JP3846694B2 - ワーク処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ライン上の各工程でワークに加工処理を加えながら、加工処理されたワークをラインの上流側から下流側へ順次移送するワーク処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワークに対する複数の加工処理を自動的に行うために、加工処理ラインの上流側から下流側へ向けて、複数のワーク処理ユニットを所定の順序で配置し、ワークを各ワーク処理ユニットに順次、間欠移送させることが一般的に行われている。例えば、図9に示されるような鋳物ワークWの貫通穴102、103、104、105の開口周縁部に発生した鋳バリを、貫通穴に対応した形状のバリ取り工具106、107、108、109を順次挿入させて自動的に剪断除去する場合のワーク処理装置110として、図11〜13に示すような装置が用いられる。
【0003】
ワーク処理装置110には、加工処理ラインに沿って延びるワーク載置台111上に、等間隔で設定された各工程のワーク配置ポジションi〜nが設けられている。各ワーク配置ポジションi〜nには、ワークWを処理するためのバリ取り工具106、107、108、109を備えたワーク処理ユニット112、113、114、115、およびワークの位相割り出しユニット116、117が配設されている。また、各ワーク配置ポジションi〜nには、ワークWを加工、位相割り出しする際の固定ができるよう、ワーク載置台111から上方に突出してワークWの下部に係合する固定ロッド118・・・118と、上部フレーム119から下方に伸長してワークWの上部に係合する係合ロッド120、121、122、123・・・が配設されている。
【0004】
さらに、次工程の各ワーク配置ポジションへワークを間欠移送するために、加工ユニット112、113、114、115、および位相割り出しユニット116、117と対向するようにワーク載置台111を挟んだ反対側に、チャック124・・・124を備えた移動シャトル125・・・125が配設されている。移動シャトル125・・・125は、スライドレール126上をスライド移動可能なテーブル127に固定されており、テーブル127は、駆動シリンダー128により加工処理ラインに沿って1工程分だけ往復スライドできるようになっている。
【0005】
この自動処理装置110によるワークWのバリ取りおよび位相割り出しは、各工程において、図14に示されるように一斉に行われる。まず、加工処理ラインの上流側、第1工程のワーク配置ポジションiに供給されたワークWに対しては、固定ロッド118と係合ロッド120が係合する。係合ロッド120は、連結された回転モーター129によりワークWを回転させる。回転中のワークWに対して、位相割り出しユニット116がワークWの最も大きい貫通穴102に対応した挿入具130を軽く押し当て、貫通穴102に嵌合させることにより、ワークWの位相割り出しが行われる。
【0006】
第2工程のワーク配置ポジションjでは、ワークWを固定ロッド118と係合ロッド121で固定した後、ワーク処理ユニット112が貫通穴102に対してバリ取り工具106を挿入することにより、バリの剪断除去が行われる。第3工程のワーク配置ポジションkでは、ワークWを固定ロッド118と係合ロッド121で固定した後、ワーク処理ユニット113が貫通穴102の隣に形成された貫通穴104に対してバリ取り工具108を挿入することにより、バリの剪断除去が行われる。
【0007】
第4工程ワーク配置ポジションlでは、貫通穴102,104の裏側に形成された貫通穴103、105のバリ取りを行うために、係合ロッド123が、連結された回転モーターによりワークWを反転(180度回転)させて、これに位相割り出しユニット117が貫通穴103に挿入具131を嵌合させることにより、位相割り出しを行う。そして、第2工程および第3工程と同様に、第5工程のワーク配置ポジションmでは、貫通穴103に対してバリ取り工具107を挿入し、最後の第6工程のワーク配置ポジションnでは、貫通穴105に対してバリ取り工具109を挿入することにより、バリの剪断除去を終了する。
【0008】
各工程で上記作業の終了したワークWに対して、移動シャトル125・・・125から駆動シリンダーの伸長によりチャック124・・・124が係合し(図15)、その状態のまま移動シャトル125・・・125をスライドさせることにより、ワークWは、ワーク載置台111上を次工程まで移送される(図16)。移動シャトル125・・・125は、チャック124・・・124が駆動シリンダーの短縮によりワークから解除された後、次のワークを移送するために前工程に戻る。上記のようにして、ワークWの4つの貫通穴に対するバリ取り作業が自動的に行われる。しかしながら、上記装置には次に挙げるような問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
まず、各工程におけるワークWの加工処理時間および各工程間の移送時間に加え、各工程間を移送する際に行われる、チャック124・・・124の係合および解除の動作時間が必要であり、全体としてワークの加工処理時間が長くなってしまうという問題点があった。
【0010】
また、移動シャトル125・・・125が、加工処理ラインに沿ってワーク載置台111に隣接する両側のスペースのうち片側を完全に取ってしまうため、ワーク処理ユニット112〜115は、すべてその反対の一方側に配置されることになる。したがって、スペース上、1つのワーク配置ポジションに対し、1つの加工ユニットしか配置できず、加工処理ラインが長くなり、装置全体が大型化するという問題が生じていた。特に、加工処理の対象箇所がワークの裏側の面にもある場合、上記従来技術のように、加工処理ラインの途中でワークWを反転、位相割り出しする工程1を設ける必要があり、これも工程の増加によりラインを延長し、装置を大型化させる一因となっていた。
【0011】
さらに、ワークWの加工処理時、固定ロッド118・・・118および係合ロッド120、121・・・がワークWを上下から固定支持するが、これらの固定支持部材は、バリ取り工具が側方の一方からのみ係合されると、その推力によって図17に示されるように矢印の向きに大きくたわみ、それによって、ワークWが位置ずれしまう。そのため、これらの固定支持部材の駆動機構は故障し易いという問題があるとともに、ワークWに対する加工処理が確実にできない場合があった。これを防止するためには、固定支持部材の強度アップや、別に支持ストッパを設けることが考えられるが、装置の大型化や複雑化という問題が生じる。
【0012】
その他に、各ワーク処理ユニットが工具の駆動機構を要するのに加えて、各移動シャトルもチャックの駆動機構を要するため、コスト高になるという問題があった。
【0013】
そこで、本願発明の発明者は、移動シャトルやチャック機構を廃止して、ワーク移送時の動作を減らすことでワーク加工処理時間の短縮を図れるとともに、無駄なスペースを無くすことで工程の短縮化、装置の小型化を図れる等、上記の問題を解決するワーク処理装置を案出した。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ワーク配置ポジションと、該ワーク配置ポジションに対応する位置に配置されたワーク処理ユニットと、該ワーク処理ユニットに固定され、前記ワーク配置ポジションに配置されたワークに対する加工処理を行う工具とを有してなり、ワークを前記工具により加工処理するとともに、前記ワーク配置ポジションから次工程に移送することができるワーク処理装置において、前記ワーク処理ユニットは、前記工具をワークに係合させることによりワークに対する加工処理を行うとともに、前記工具のワークに対する係合状態を維持したままで直動的に次工程に移動することにより、ワークを次工程に移動させ、次工程で前記工具のワークに対する係合状態を解除してワークを次工程に配置し、前工程に戻っていくことを特徴とするワーク処理装置を提供する。
【0015】
請求項1の発明に係るワーク処理装置によれば、以下のような作用効果を奏する。すなわち、工具をワークに係合させることによりワークに対する加工処理を行うとともに、そのワークと工具の係合状態を維持したままで工具を移動させるので、工具によりワークが保持、移送されることになり、ワークを保持する専用のチャックや移動シャトルを設ける必要がなく装置の簡素化、小型化、低コスト化等を図ることができる。また、次工程のワーク配置ポジション等においてワークの位相が割り出されている必要がある場合においても、ワークと工具の係合状態を維持したままでワーク処理ユニットを直線移動させるので、その加工処理工程におけるワークの姿勢を保ったままで次工程のワーク配置ポジション等へ移送することができて、ワークの位相を再度割り出す等の手数を省くこともできる。さらに、ワークの加工処理(工具の係合および係合の解除)が、チャックおよびチャックの解除を兼ねるため、ワークの加工処理時間を全体として短くすることができるメリットがある。
【0016】
請求項2の発明は、ワーク配置ポジションと、該ワーク配置ポジションに対応する位置に配置されたワーク処理ユニットと、前記ワーク処理ユニットに固定され、前記ワーク配置ポジションに配置されたワークに対する加工処理を行う工具とを有してなり、ワークを前記工具により加工処理するとともに、前記ワーク配置ポジションから次工程に移送することができるワーク処理装置において、前記ワーク処理ユニットは、前記ワーク配置ポジションを挟んだ両側に対向した状態で連結して配置され、前記工具をワークの両側から同時に係合させることによりワークに対する加工処理を行うとともに、前記工具のワークに対する係合状態を維持したままで、直動的に次工程に移動することによりワークを次工程に移動させ、次工程で前記工具のワークに対する係合状態を解除してワークを次工程に配置し、前工程に戻っていくことを特徴とするワーク処理装置を提供する。
【0017】
請求項2の発明に係るワーク処理装置では、ワークを挟む両側から工具を同時に係合させて加工処理を行い、そのワークと工具の係合状態を維持したままで工具を移動させることにより、請求項1の発明に加えて、以下のような作用効果を奏する。すなわち、ワークの表裏の異なる箇所を1工程で加工処理することができるとともに、ワークを反転させる工程を設ける必要がないので、加工処理ラインの短縮化、装置のコンパクト化を図ることができる。さらに、ワークに対し一方側からのみ工具が係合する場合に比較して、各工程でのワークの固定支持部材に加わる負荷が少なくなり、故障の心配が少なく済むとともに、ワークの位置ずれが少なく確実に加工処理されるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、図面を参照しつつ、以下に説明する。
【0019】
まず、本願発明に係るワーク処理装置の構成を図1ないし3に基づいて説明する。図1は本願発明に係るワーク処理装置1の側面図を示す。図2は、図1のA−A断面図を示し、図3は、図1のB−B断面図をそれぞれ示す。図面を見易くするため、図2ではワーク処理ユニットを省き、図3ではフレームを省いている。
【0020】
ワーク処理装置1は、ワーク処理ライン上に等間隔で設けられたワーク配置ポジションX、Y、Zに配置されたワークWに対応して、各処理工程のワーク処理位置に配置された複数対のワーク処理ユニット51と52、53と54、および55と56に備えられた挿入具や工具で順次処理を加えながら、上流工程(X)側から下流工程(Z)側へ、矢印Cの向きに移送するものである。本実施の形態では、ワークへの加工処理として、従来技術に示されたワークWと同形状のワークWの貫通穴に発生したバリの除去処理を行う場合について説明するものとし、ワークWに形成された貫通穴の符号については従来技術と共通の102〜105を使用する。なお、本説明では、理解の容易化を図るため、上下左右等の向きが記載されているが、それによって、本願発明に係るワーク処理装置の構成や設置の向きが限定されるものではない。
【0021】
2は、ワーク処理装置のフレームであり、外部フレーム21に、上部フレーム22および下部フレーム23が架け渡されている。下部フレーム23には、ワーク処理ラインに沿って延び、ワークWの移送経路となるワーク載置台3が設けられている。
【0022】
ワーク載置台3は、中央部にワーク処理ラインに沿って設けられたスリット状の穴31を有している。ワーク載置台の下側には、ワークWを各工程に対応するワーク配置ポジションX、Y、Zで固定支持する固定ロッド4が配設されている。固定ロッド4は、ワーク載置台3の下方からシリンダー41の伸長によって、穴31より上方に突出する。突出した固定ロッド4はワーク載置台31に載置されたワークWの下部に係合し、各工程での処理時にワークWが位置ずれしないようにするものである。図2では、固定ロッド4をワーク配置ポジションXについてのみ図示したが、ワーク配置ポジションY、Zに対応する位置にも同様に配設されている。なお、ワーク配置ポジションXに配設された固定ロッド4は、軸を中心として回転可能とされている。
【0023】
各工程のワーク配置ポジションX、Y、Zに対応する位置(ワーク処理位置)でワーク載置台3を挟んだ両側には、図3に示されるように、対となるワーク処理ユニット51と52、53と54、および55と56がそれぞれ対向した状態で配置されている。ワーク処理ユニット51、52、53、54、55、56は、ワーク載置台31に載置されたワークWに対し、それぞれ駆動シリンダーにより進退運動する進退部材511、521、531、541、551、561を備えている。
【0024】
ワーク配置ポジションXに対応するワーク処理位置にあるワーク処理ユニット51、52の進退部材511、521の先端には、円筒形のワークWの側面に形成された2つの貫通穴102、103にそれぞれ係合することにより、ワークの位相を割り出し、把持する挿入具512、522が固定されている。挿入具512、522は貫通穴102、103に対応した形状をしており、またワークWを把持したときに、ワークWの側面外周部に接して把持状態を安定させるためのストッパ513、523を有する。
【0025】
ワーク配置ポジションYに対応するワーク処理ユニット53、54の進退部材531、541の先端には、把持具512、522が係合していた穴と同じ2つの貫通穴102、103へ係合し、貫通穴102、103の内部に発生したバリを除去するバリ取り工具532、542が固定されている。ワーク配置ポジションZに対応するワーク処理ユニット55、56の進退部材551、561の先端には、ワークWの前記貫通穴とは別の2つの貫通穴104,105へ係合し、該貫通穴の内部に発生したバリを除去するためのバリ取り工具552,562が固定されている。バリ取り工具532、542、552、562は、それぞれ係合する貫通穴に対応した形状を有しており、係合することによって、内部に発生したバリをせん断し、押し出すことによって除去するようになっている。
【0026】
ワーク載置台3を挟む両側のスペースの一方側(図3における右側)にあるワーク処理ユニット51、53、55はすべてテーブル61の上面に固定されており、一方、上記スペースとは、ワーク載置台3を挟む反対側(図3における左側)にあるワーク処理ユニット52、54、56はすべてテーブル62の上面に固定されている。テーブル61、62は、連結体63により連結されており、かつ、相対スライドレール611、621を介して下部フレーム23にスライド可能に固定されている。さらに、連結体63は、下部フレーム23に支持されるボールネジ−ナット直動機構7のナット71と連結されており、ボールネジ72を伝動ベルト81によりサーボモータ8で回転させることにより、ワーク処理ラインに沿って直動的に往復移動することができるようになっている。
【0027】
したがって、テーブル61、62、および、これらの上面に対向した状態で固定されるワーク処理ユニット51〜56は、ワーク処理ラインの方向に沿って同期的に往復移動可能となっている。また、ボールネジ−ナット直動機構7とサーボモーター8を組み合せて採用することにより、ワークWを次工程に高速移送することができ、電気制御により、次工程の最適位置にワークWを配置させるように送りストロークを調整することが容易にできる。
【0028】
上部フレーム22の各工程のワーク配置ポジションX、Y、Zに対応する位置には、ワークWの上部に係合する係合ロッド91、92、93が下向きに吊り下げられている。係合ロッド91、92、93は、それぞれ、シリンダー911、921、931の伸長によって降下し、固定ロッド4と同様にワークWに係合し固定支持する役割を果たす。なお、ワーク配置ポジションXの係合ロッド91は、シリンダー911に配設された電気モーター912と連結され、回転することができるように構成されている。
【0029】
次に、本願発明に係るワーク処理装置1を使用して、ワークWの側面の貫通穴102〜105に発生したバリを除去しつつ、ワークWを次工程へ位相する場合の作用を説明する。ここでは、説明の便宜上、各処理工程のワーク配置ポジションX、Y、Zに配置されたワークWについて、それぞれWx、Wy、Wzのように添字を付加して表示する。
【0030】
ワークWxが、図示されない部品供給装置によりワーク載置台3の上面のワーク配置ポジションXに載置される(図2、図3)。ワークWxが載置されると、固定ロッド4がシリンダー41の伸長によって下方から突出し、ワークWxの下部に係合する一方、係合ロッド91がシリンダー911の伸長によって上方から降下し、ワークWxの上部に係合する。これによって、ワークWxは、配置ポジションXでの位置決めがなされる。
【0031】
次に、ワークWxは、係合ロッド91を介して電気モーター912により回転させられる。回転中のワークWの側面外周部に対して、ワーク処理ユニット51、52の進退部材が前進して、挿入具512、522が押し当てられる。挿入具512、522は、円筒状のワークWxの側面外周部を倣いながら滑り、ワークWの側面貫通穴102、103に係合し、ストッパ513、523が側面外周部に当接する(図4)。この後、固定ロッド4および係合ロッド91が、シリンダー41およびシリンダー911によって、ワークWxから元の位置に退避させられる。これによりワークWxについて、ワーク配置ポジションYおよびZにおけるバリ取り処理時の位相が割り出されるとともに、挿入具512、522による把持がなされる。なお、挿入具512、522は、ワークWの側面部に傷を付けないように、かつ、スムーズに回転させることができるように、樹脂等の滑りやすい材質で作成され、あるいは先端にローラーが装着されている。
【0032】
そして、上記の挿入具512、522とワークWxが係合している状態のままで、ワーク処理ユニット51、52が、サーボモーター8の駆動によりテーブル61、62を介して、次工程のワーク配置ポジションYに対応する位置までスライド移動し、これに伴いワークWxもワーク配置ポジションYまでスライド移動する(図5)。
【0033】
さらに、この状態から、ワーク処理ユニット51、52の進退部材が後退して、挿入具512、522の係合が解除されることより、ワークWxがワーク配置ポジションXと割り出された位相を維持したままで、ワーク配置ポジションYに載置され、移送が完了する(図6)。
【0034】
最後に、サーボモータ8が逆回転して、テーブル61、62に固定されたワーク処理ユニット51、52が、ワーク配置ポジションXに対応した位置、すなわち、元の位置に戻る(図3)。このとき、ワーク載置台3のワーク配置ポジションXには、すでに新たなワークWが、部品供給装置により載置されている。
【0035】
さて、上記のワークWxに対する位相割り出し処理と並行して、ワーク配置ポジションYでは、以下のような加工処理が行われる。ワーク配置ポジションXで位相割り出しがなされて、ワーク載置台3のワーク配置ポジションYに載置されたワークWyに対し、固定ロッド4がシリンダー41の伸長によって下方から突出し、ワークWyの下部に係合し、一方、係合ロッド92がシリンダー921の伸長によって上方から降下し、ワークWyの上部に係合する。これによって、ワークWyのワーク配置ポジションYでの支持固定がなされる。
【0036】
支持固定されたワークWyに対して、ワーク処理ユニット53、54の進退部材531、541が前進して、バリ取り工具532、542がワークWの両側面にある貫通穴102,103に係合する(図4)。これにより、貫通穴102,103の内部では、バリ取り工具532、542によるバリのせん断、押出しによる除去が行われるとともに、ワークWが工具532、542により保持されることとなる。
【0037】
なお、バリ取り工具532、542は、ワークWの側面の貫通穴102,103に対して同時に前進し係合されるようになっている。対向して配置された工具532、542が、ワークWを両側から挟むように、かつ同時に係合するため工具の推力が相互に支持されて、ワークを支持固定する固定ロッド4や係合ロッド121に加わる横方向の負荷が小さくなり、これらが故障する等の不具合を防止できる。また、ワークWの位置ブレが小さく抑えられるので、ワークWに対するバリ取り加工が確実に行われるというメリットがある。
【0038】
次に、バリ取り工具532、542とワークWyが係合している状態のままでワーク処理ユニット53、54が、サーボモーター8の駆動により、テーブル61、62を介して、次工程のワーク配置ポジションZに対応する位置まで、直線的にスライド移動する。これに伴いワークWyもワーク載置台の上面を滑るようにして次工程のワーク配置ポジションZまでスライド移動する(図5)。
【0039】
なお、ワークWに設けられた貫通穴102,103は角穴で、かつ、これに係合されるバリ取り工具532、542も貫通穴に対応した形状の角形であるため、係合する工具は2本であるが、ワークWは係合する工具によって実質的に3点以上で支持されることになる。したがって、工具によるワークの保持姿勢が一定に定まり、移送途中に動いたりすることがない。
【0040】
また、スライド移動の駆動機構としてサーボモーターを用いたので、ワークWの重量に応じてワークの移動速度や停止時のブレーキのかけ具合を変えることにより、ワークWにかかる慣性力等を調整して工具からワークが離脱する等の不具合を回避したり、ワークを移動途中に一旦停止させ工具を動かす等して、ワークの姿勢を整えたりといったことが可能である。
【0041】
さて、ワークWyが移動してきたワーク配置ポジションZでは、ワーク処理ユニット53、54の進退部材531、541が後退して、ワークWとバリ取り工具532、542の係合が解除される。これにより、ワークWyがワーク配置ポジションYと同じ位相を維持したままで、ワーク配置ポジションZに載置され、移送が完了する(図6)。したがって、ワーク配置ポジションZでは、ワークWの位相割り出しをやり直す必要がない。
【0042】
最後に、サーボモーター8が逆回転して、テーブル61、62に固定されたワーク処理ユニット53、54が、前工程のワーク配置ポジションYに対応した位置、すなわち、元の位置に戻る(図3)。そして、すでに位相を割り出され、ワーク載置台3のワーク配置ポジションYに載置されている次のワークWに対する処理を続行する。
【0043】
ワーク処理ポジションZに配置されたワークWzについても、ワークWxおよびワークWyに対する処理と並行して、ワークWyとほぼ同様の加工処理が行われる。すなわち、ワークWzの側面に形成された別の貫通穴にバリ取り工具552、562が係合して(図4)、その係合状態を維持したままで、ワークWzがスライド移動し(図5)、さらに、バリ取り工具552、562の係合が解除されることより、不図示の部品シューターへの移送が完了する(図6)。ワークWの位相が一定に整えられていることにより、ワークが部品シューターに一定の姿勢で安定的に投入され、不測のトラブルが防止される。処理がワーク処理ユニット55、56が、ワーク配置ポジションZに対応した位置に戻り(図3)、割り出された位相を維持したまま移送されてきた次のワークに対する処理を続行する。
【0044】
各工程のワーク配置ポジションX、Y、Zにおける処理は上記のとおりであり、図3〜6に示されるように、各ワーク配置ポジションに載置されたワークに対する処理は、並行して同時、かつ連続的に行われる。
【0045】
なお、上記の実施形態では、工具の進退(係合)方向が、ワークの移送される方向に対して直角となるように構成されていたが、例えば、図7に示されるワーク処理ユニット591および601に固定された工具592および602のように、ワークの加工対象部位の位置によって、工具の進退(係合)方向が、ワークの移送される方向に対して斜めに交差するようにもできる。このようにすれば、ワークWの加工対象部位と工具の向きを合わせるために、ワークの位相割り出しをやり直す必要がない。
【0046】
また、上記実施形態では、ワーク配置ポジションY、Zのいずれについても、工具の進退(係合)方向が、ワークの移送される方向に対して同じ交差角(直角)となるように構成されていたが、例えば、図7に示されるワーク処理ユニット591および601に固定された工具592および602のように、工具の進退(係合)方向を、前工程のワーク処理ユニット571および581に固定された工具572および582と異ならせるようにしてもよい。このようにすれば、次工程において異なる角度から工具を係合させなければならない場合でも、ワークの向きをセットし直す必要がない。
【0047】
さらに、上記実施形態では、同一工程で対向して配置されたワーク処理ユニットでは、工具が同一方向に進退(係合および係合解除)するように構成されていたが、例えば、図8に示されるワーク処理ユニット631および641に固定された工具632および642のように、対向する工具の進退(係合および係合解除)方向が交差するものであってもよい。なお、交差角があっても、工具の推力の同方向成分は相互に支持されて、ワークの支持固定部材に加わる横方向の負荷が小さくなるとともに、ワークWの位置ブレが小さく抑えられる効果は奏するものである。
【0048】
また、上記の実施形態では、ワークを加工処理する工具としてバリ取り工具が用いられていたが、これに限らず、ワークに係合し、その係合状態を維持したまま、ワークを移送できるものであれば何でもよい。例えば、ワーク処理ユニットと工具の間に回転モーターを介在させるようにしておき、その先端に、ワークを加工処理する工具としてドリル、タップ、ナットランナー等を備えておいてもよい。また、これらの工具を順番に配列しておくことにより、ワークWの同一部位に対して穴開け加工、ネジ溝切り加工、ボルト締め加工をするという一連の作業を行わせることもできる。それぞれ、ドリルとドリル穴、タップとネジ穴、ナットランナーとボルトを係合させて、ワーク処理ユニットを移動させることにより、次工程へ、前工程と同じ位相を維持した状態でワークを移送することができる。
【0049】
「加工処理」の字句からは、一般にワークW自体に手を加える工具が対象になると理解されるが、ここでは、ワークに形成された穴に係合して内部を検査する検査工具のようなものも含めることができる。
【0050】
上記の実施形態では、ワークに設けられた貫通穴が角穴およびこれに係合される工具も角形であったため、ワークに対して工具のみを係合させるだけでワークの保持姿勢が一定に定まったが、例えば、係合される工具が丸棒状である等の事情により、工具の係合だけではワークの保持姿勢を維持できず、移送途中にワークが動いてしまう場合も考えられる。このような場合には、ワーク処理ユニットに工具とともに進退する係合部材を固定し、工具とともにワークに係合するようにしておくことにより、3点以上で支持して、移送時においてワークを確実に保持することができる。
【0051】
上記の実施形態では、対となる処理ユニットの両方に工具を備え、ワークWを両側から加工処理していたが、一方の処理ユニットにのみ加工処理をする工具を装着し、他方の処理ユニットはワークWを把持させるための当て具(押圧具、係合具)だけを装着しておいてもよい。例えば、処理ユニット53と54のうち、53にのみバリ取り工具を装着しておき、54にはワークWを加工処理せずに押圧または係合するだけの当て具を装着してもよい。このようにすれば、ワークの片面側のみに工具を係合させる場合であっても、ワークを安定的に保持して移送することができる。また、ワークに対する工具の係合と、当て具の押圧または係合を同時に行うことにより、双方の推力を支持し合うので、固定支持具の故障やワークの位置ずれを防止できる。
【0052】
上記の実施形態では、ワークWの加工処理を行う工程は、2工程(Y、Z)であったが、3工程以上としてもよいし、1工程のみとしてもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明に係るワーク処理装置によれば、工具をワークに係合させることによりワークに対する加工処理を行うとともに、そのワークと工具の係合状態を維持したままで工具を移動させるので、専用のチャックや移動シャトルを設ける必要がなく装置の簡素化、小型化、低コスト化等を図ることができる。また、次工程のワーク配置ポジション等においてワークの位相が割り出されている必要がある場合においても、ワークと工具の係合状態を維持したままでワーク処理ユニットを直線移動させるので、その加工処理工程におけるワークの姿勢を保ったままで次工程のワーク配置ポジション等へ移送することができて、ワークの位相を再度割り出す等の手数を省くこともできる。さらに、ワークの加工処理(工具の係合および係合の解除)が、チャックおよびチャックの解除を兼ねるため、ワークの加工処理時間を全体として短くすることができるメリットがある。
【0054】
さらに、ワークに対して工具を両側から同時に挟み込むように係合させるので、ワークの表裏の異なる箇所を1工程で加工処理することができるとともに、ワークを反転させる工程を設ける必要がなく、加工処理ラインの短縮化、装置のコンパクト化を図ることができる。さらに、ワークに対し一方側からのみ工具が係合する場合に比較して、各工程でのワークの固定支持部材に加わる負荷が少なくなり、故障の心配が少なく済むとともに、ワークの位置ずれが少なく確実に加工処理されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るワーク処理装置を示す側面図
【図2】本願発明に係るワーク処理装置の図1におけるA−A断面図
【図3】本願発明に係るワーク処理装置の図1におけるB−B断面図
【図4】図3において、工具がワークに係合した状態を示す図
【図5】図3において、ワークが次工程に移送された状態を示す図
【図6】図3において、工具がワークから係合解除した状態を示す図
【図7】本願発明に係るワーク処理装置の変形例を示す図
【図8】本願発明に係るワーク処理装置の別の変形例を示す図
【図9】加工処理されるワークの側面図
【図10】加工処理されるワークの図9におけるD−D断面図
【図11】従来のワーク処理装置を示す側面図
【図12】従来のワーク処理装置の図11におけるE−E断面図
【図13】従来のワーク処理装置の図11におけるF−F断面図
【図14】図13において、工具がワークに係合した状態を示す図
【図15】図13において、ワークがチャックされた状態を示す図
【図16】図13において、ワークが次工程に移送された状態を示す図
【図17】従来のワーク処理装置で、工具がワークに係合した状態を示す拡大側面図
【符号の説明】
1 ワーク処理装置
53 ワーク処理ユニット
54 ワーク処理ユニット
532 バリ取り工具
542 バリ取り工具
7 ボールネジナット機構
8 サーボモータ
Y ワーク配置ポジション
Z ワーク配置ポジション
Claims (2)
- ワーク配置ポジションと、該ワーク配置ポジションに対応する位置に配置されたワーク処理ユニットと、該ワーク処理ユニットに固定され、前記ワーク配置ポジションに配置されたワークに対する加工処理を行う工具とを有してなり、ワークを前記工具により加工処理するとともに、前記ワーク配置ポジションから次工程に移送することができるワーク処理装置において、前記ワーク処理ユニットは、前記工具をワークに係合させることによりワークに対する加工処理を行うとともに、前記工具のワークに対する係合状態を維持したままで直動的に次工程に移動することにより、ワークを次工程に移動させ、次工程で前記工具のワークに対する係合状態を解除してワークを次工程に配置し、前工程に戻っていくことを特徴とするワーク処理装置。
- ワーク配置ポジションと、該ワーク配置ポジションに対応する位置に配置されたワーク処理ユニットと、該ワーク処理ユニットに固定され、前記ワーク配置ポジションに配置されたワークに対する加工処理を行う工具とを有してなり、ワークを前記工具により加工処理するとともに、前記ワーク配置ポジションから次工程に移送することができるワーク処理装置において、前記ワーク処理ユニットは、前記ワーク配置ポジションを挟んだ両側に対向した状態で連結して配置され、前記工具をワークの両側から同時に係合させることによりワークに対する加工処理を行うとともに、前記工具のワークに対する係合状態を維持したままで、直動的に次工程に移動することによりワークを次工程に移動させ、次工程で前記工具のワークに対する係合状態を解除してワークを次工程に配置し、前工程に戻っていくことを特徴とするワーク処理装置。
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