JP3846544B2 - 光デジタイザ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、検出面上において指示体の指示位置座標を検出する光遮断方式の光デジタイザに関し、特に、光源の対角の近傍にある再帰反射部材からの再帰反射光の反射効率を上げた光デジタイザに関する。
【0002】
【従来の技術】
近来、抵抗皮膜方式や電磁誘導方式のデジタイザに代えて、より高精度な検出能力を有する光方式のデジタイザが注目されている。図7に、従来の光デジタイザの一例を示す。図7(a)が光デジタイザの平面概略図であり、図7(b)がその一部断面の側面図である。図示のように、指示体となる指2が検出面1上に置かれたときに、検出面1の上方に設けられる2つの検出ユニット3により三角測量の原理により指示位置座標を検出するものである。検出ユニット3は、図7(b)に示すように、リニアイメージセンサ13の結像レンズ9の前に、ハーフミラー又はトンネルミラー12を付加してLED光源11の光軸がリニアイメージセンサ13の光軸と一致するようにそれぞれを配置した構成となっている。検出面1に光を遮るものが何も置かれていない時には、検出ユニット3から、検出面1上を通過して再帰反射部材22に入射した光は、逆の光路を通って検出ユニット3に戻ってくる。検出面1に指2等が置かれた時には、光の光路の一部が遮られて、検出ユニット3に帰らなくなる。この影の部分がイメージセンサ13で撮像できるため、その影の方向を検出することで、光を遮ったもののある方向を検出することができる。即ち、指2が存在する方向が、2つの異なる既知の位置にある検出ユニット3,3によって検出できれば、三角測量の原理により指2の指示位置座標を算出できる。
【0003】
ここで、再帰反射部材とは、そこに入射した光が入射した方向へまっすぐに戻ってくるような反射特性を有する部材をいう。典型的な再帰反射部材は、小さな透明ガラスビーズを多数埋め込んだ再帰反射シートや、小さなコーナキューブプリズム或いは反射率の高い白色部材などが使用可能である。しかし、その再帰反射特性は完全ではないため、浅い角度(大きい入射角)で入射した光に対しては再帰反射特性が悪くなる。従って、検出ユニットから一番遠い対角にある再帰反射部材への光の入射角がもっとも大きくなり、その辺りからの再帰反射光は弱くなってしまうので、その近辺の再帰反射光を用いて指示体を検出しようとすると、影の部分と再帰反射光の部分の差が少なくなるので検出感度が落ちてしまう。そこで、影の部分がはっきりと分かるように、大光量のLED等を用いることもある。図7に示す従来例では、検出ユニット3の対角のにある再帰反射部材22の角の部分を湾曲させ、深い角度(小さい入射角)で入射するようにすることで再帰反射特性を改善している。
【0004】
図8に示す他の従来例では、検出ユニット3の対角にある再帰反射部材22の付近に鋸歯状再帰反射部23を設けることにより再帰反射特性を改善している。更に、図9に示す他の従来例は、検出ユニット3の光源にレーザを用いて検出面1の下側にはミラー24を設け、他の2辺の部分に再帰反射部材22を設けた光デジタイザの一例であるが、この従来例でも同様に入射角が大きくなる部分に鋸歯状再帰反射部23が設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7に示す従来例では、検出ユニット3の対角の再帰反射部材22の角部を湾曲させるため、湾曲させない場合に比べて装置の大きさが同じであれば検出領域が狭くなっていた。逆に言うと、同じ大きさの検出面を実現しようとすると、装置が大型化することは避けられなかった。また、再帰反射部材の角部を湾曲させなければならないので、装置の設計の自由度も損ねるものであった。
【0006】
図8,図9に示す従来例は、更に鋸歯状再帰反射部23が必要になるため小型化には向かず、しかも鋸状再帰反射部を設けなければならないので製造工程も増え、コスト高になることは否めなかった。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、高価な大光量のLED等は用いることなく検出面内の如何なる場所でも良好な検出感度を保つことができ、装置の大きさに対する検出領域の大きさをより広く確保できるので装置自体の小型化が可能で、しかも製造コストも押さえることが可能な光デジタイザを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した本発明の目的を達成するために、検出面上において指示体の指示位置座標を検出するための本発明による光デジタイザは、光線を発するための光源と、前記検出面の周囲に設けられる前記光源から発せられた光線を再帰反射する再帰反射部材と、前記指示体が前記再帰反射部材からの再帰反射光を遮断することにより生じる影の方向を検出するための撮像手段と、前記撮像手段に前記再帰反射光を結像するための結像レンズと、前記光源から前記光源の対角の近傍にある前記再帰反射部材へ入射する光を屈折させ、該再帰反射部材への入射角を変化させる入射角変更手段とからなる。
【0009】
入射角変更手段は、前記再帰反射部材の前面の一部又は全体に設けられるフレネルビームスプリッタ、レンティキュラレンズ、又はプリズムシート、更には透過散乱性フィルムの何れからなる。
【0010】
上記手段によれば、検出面内の如何なる場所でも良好な検出感度を保つことができ、しかも装置の大きさに対する検出領域の大きさをより広く確保できるので装置自体の大きさを小型化できるという作用が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明の光デジタイザの好適な実施例を示す図である。図中、従来例で用いた参照符号と同一の符号を付した部分は同一物をあらわしている。検出ユニット3は、従来例の図7(b)に示したような構成を用いることもできるが、勿論、光を発光し再帰反射部材からの再帰反射光を受光するような構成になっていれば、例えば光源と結像レンズを近づけて配置するものや、LEDを複数並べるもの等、種々適応可能である。指示体が検出面に置かれたときにその指示位置座標を検出する工程は従来技術と同様である。即ち、検出面1に光を遮るものが何も置かれていない時には、検出ユニット3から、検出面1上を通過して再帰反射部材22に入射した光は、逆の光路を通って検出ユニット3に戻ってくる。検出面1に指2等が置かれた時には、光の光路の一部が遮られて、検出ユニット3に帰らなくなる。この影の部分を検出ユニットのイメージセンサ等の受光素子で撮像し、その影の方向を検出する。この検出を2つの異なる既知の位置にある検出ユニット3,3で行うことで、三角測量の原理により指2の指示位置座標を算出するものである。
【0012】
本実施例の特徴とするところは、図1に示す如く、再帰反射部材22の前面に、フレネルビームスプリッタ30を設けた点にある。フレネルビームスプリッタ30は、図2に示す特性を有する光学レンズである。図2(a)はフレネルビームスプリッタ30の断面図であり、図2(b)はその斜視図である。図示のように、フレネルビームスプリッタは、多数の平行な対向する同角度の小面が刻まれているものであり、入射光を図示のように屈折させる特性を有する。この特性により、検出ユニット3の対角の近傍にある再帰反射部材22へ光が入射した場合、図3に示すように、浅い角度で入射する入射光はフレネルビームスプリッタ30により屈折され、再帰反射部材22に深い角度で入射するようになる。従って、従来浅い角度で入射するために再帰反射光の光量が低下してしまっていた角部においても、良好な再帰反射光を得られるようになる。そのため、再帰反射部材を湾曲させたり鋸歯状の再帰反射部材を設ける必要がないので、検出領域に隣接して再帰反射部材を設けることができ、装置自体の大きさに対する検出面の大きさを大きく取ることが可能となる。従って、装置を小型化した場合でも、十分な検出領域を確保することが可能となる。また、高価な大光量のLEDを用いなくても十分な再帰反射光を得られるので安価に製造可能である。
【0013】
また、フレネルビームスプリッタ30は、深い角度で入射してきた光は、屈折されて多少大きい角度で出射する特性を有している。従って、検出ユニット3の真下方向に発せられる光は、ほぼ垂直にフレネルビームスプリッタ30へ入射するため、ここで屈折されて多少浅い角度で再帰反射部材22へ入射するようになる。これらの特性から、検出ユニット3の対角の遠い位置にある再帰反射部材22からの反射光がある程度強くなり、検出ユニット3の真下の近い位置にある再帰反射部材22からの反射光がある程度弱くなるので、検出ユニットで受光される再帰反射部材からの反射光の強度がある程度均一化することができ、指2による影の部分と反射光の部分の検出が容易になる。なお、フレネルビームスプリッタの平面部を検出面側に、小面が刻まれている面を再帰反射部材側に向くように配置することで、検出面の周りの枠が平坦になるので再帰反射部材前面でのゴミ詰まり等もなくなる。また、フレネルビームスプリッタはシート状になっているので、単に再帰反射部材の前面に貼っていくだけでよいので製造コストも押さえることができる。
【0014】
なお、図示例では、再帰反射部材の前面の全体においてフレネルビームスプリッタを設けているが、本発明はこれに限定されず、再帰反射部材の角部、即ち検出ユニットの対角の位置にある再帰反射部材の一部の前面にのみ設けてもよい。
【0015】
また、上述の例では、フレネルビームスプリッタを再帰反射部材の前面に設ける例を示したが、フレネルビームスプリッタと同様の特性を有するレンティキュラレンズを再帰反射部材の前面に設けてもよい。なお、レンティキュラレンズとは、極細い微細な半円筒形或いはこれと光学的に等価なレンズアレイをいう。これにより、上述の例と同様の作用効果が得られる。
【0016】
更に、フレネルビームスプリッタやレンティキュラレンズ以外にも、プリズムシートを用いることも可能である。図4に、プリズムシートを用いた場合の本発明の光デジタイザを示す。図示のように、再帰反射部材22の前面に、プリズムシート31が設けられている。図5(a)は、プリズムシートの断面図であり、図5(b)はその斜視図である。図示のように、プリズムシートは、多数の平行で一定のプリズム角を持つ溝が刻まれたものであり、入射光は一定の角度で屈折するものである。このような特性を有するプリズムシートを図4に示すように再帰反射部材22の前面に設ける。ここで、プリズムシートは一定の角度で屈折するので、図示のように検出面1の底部の再帰反射部材22の前面には、検出面の真中を中心にして左右別の向きにプリズムシート31a,31bを配置し、検出面1の両側面の再帰反射部材22の前面には、プリズムシート31c,31dをそれぞれ図示のように配置することが望ましい。このような構成とすることで、角部での再帰反射特性が改善され、検出ユニット3で受光される再帰反射部材からの反射光の強度がある程度均一化されるので、指2による影の部分の検出が容易になる。但し、前述の実施例と同様に、本実施例でも検出ユニットの対角にある再帰反射部材の一部の前面にプリズムシートを設けるだけでも構わない。なお、指2が検出面1に置かれたときの指示位置座標を検出する工程は上述の例と同一のため説明は省略する。このように、プリズムシートを用いても再帰反射部材を湾曲させたり鋸歯状の再帰反射部材を設ける必要がないので、検出領域に隣接して再帰反射部材を設けることができ、装置自体の大きさに対する検出面の大きさを大きく取ることが可能となる。逆の言い方をすれば、装置を小型化した場合でも、十分な検出領域を確保することが可能となる。
【0017】
更に、図6に本発明の光デジタイザの他の実施例を示す。図示の例は、図9に示した従来例に本発明を適応したものである。即ち、検出ユニット3の光源にレーザを用いて検出面1の下側にはミラー24を設け、他の2辺の部分に再帰反射部材22を設けた光デジタイザであり、その再帰反射部材22の前面に入射角変更手段としてプリズムシート31を配置したものである。プリズムシート31を設けた場合の作用効果は上述の通りであり、説明は省略する。なお、プリズムシート31ではなく、他の入射角変更手段、例えばフレネルビームスプリッタやレンティキュラレンズ等であっても勿論構わない。
【0018】
更にまた、入射角変更手段としては、例えば液晶表示装置で用いられる視野角拡大フィルム等も使用可能である。これは、入射光を特定方向に透過散乱する特性を有するフィルムで、入射光を表面の回折効果で広げることができるものである。この特性を利用することで、これまで説明した入射角変更手段と同様に、光源からの浅い入射光を深くして再帰反射部材に入射させることが可能となる。
【0019】
なお、本発明の光デジタイザは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、再帰反射部材への入射角を改善するための光学手段として、フレネルビームスプリッタやレンティキュラレンズ、プリズムシート、透過散乱性フィルム等を例示したが、本発明はこれに限定されず、浅く入射してきた光を屈折させて深い角度で再帰反射部材へ入射するように入射角を変更するものであれば種々適応可能である。
【0020】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の光デジタイザによれば、高価な大光量のLED等は用いることなく検出面内の如何なる場所でも良好な検出感度を保つことができ、装置の大きさに対する検出領域の大きさをより広く確保できるので装置自体の小型化も可能で、しかも製造コストも押さえることが可能な光デジタイザを提供できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の光デジタイザの概略平面図を示し、再帰反射部材の前面にフレネルビームスプリッタを設けた実施例を示す図である。
【図2】図2は、フレネルビームスプリッタの特性を説明するための図である。
【図3】図3は、再帰反射部材への入射光がフレネルビームスプリッタにより屈折することを説明するための図である。
【図4】図4は、本発明の他の光デジタイザの概略平面図を示し、再帰反射部材の前面にプリズムシートを設けた実施例を示す図である。
【図5】図5は、プリズムシートの特性を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の更に他の光デジタイザの概略平面図である。
【図7】図7は、従来の光デジタイザを示す図であり、再帰反射部材の角部が湾曲しているものを示す図である。
【図8】図8は、従来の他の光デジタイザを示す図であり、再帰反射部材の角部に鋸歯状再帰反射部を設けているものを示す図である。
【図9】図9は、従来の更に他の光デジタイザを示す図であり、再帰反射部材の角部に鋸歯状再帰反射部を設けているものを示す図である。
【符号の説明】
1 検出面
2 指
3 検出ユニット
9 結像レンズ
11 光源
12 トンネルミラー
13 リニアイメージセンサ
22 再帰反射部材
23 鋸歯状再帰反射部
24 ミラー
30 フレネルビームスプリッタ
31 プリズムシート
Claims (5)
- 検出面上において指示体の指示位置座標を検出する光デジタイザであって、該光デジタイザは、
光線を発するための光源と、
前記検出面の周囲に設けられる前記光源から発せられた光線を再帰反射する再帰反射部材と、
前記指示体が前記再帰反射部材からの再帰反射光を遮断することにより生じる影の方向を検出するための撮像手段と、
前記撮像手段に前記再帰反射光を結像するための結像レンズと、
前記光源から前記光源の対角の近傍にある前記再帰反射部材へ入射する光を屈折させ、該再帰反射部材への入射角を変化させる入射角変更手段と、
からなることを特徴とする光デジタイザ。 - 請求項1に記載の光デジタイザであって、前記入射角変更手段は、前記再帰反射部材の前面の一部又は全体に設けられるフレネルビームスプリッタからなることを特徴とする光デジタイザ。
- 請求項1に記載の光デジタイザであって、前記入射角変更手段は、前記再帰反射手段の前面の一部又は全体に設けられるレンティキュラレンズからなることを特徴とする光デジタイザ。
- 請求項1に記載の光デジタイザであって、前記入射角変更手段は、前記再帰反射手段の前面の一部又は全体に設けられるプリズムシートからなることを特徴とする光デジタイザ。
- 請求項1に記載の光デジタイザであって、前記入射角変更手段は、前記再帰反射手段の前面の一部又は全体に設けられる透過散乱性フィルムからなることを特徴とする光デジタイザ。
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