JP3841219B2 - 炭素繊維強化複合材製板状成形体 - Google Patents

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Description

本発明は炭素繊維強化複合材に関する。特に本発明はゴルフクラブシャフトや釣り竿、ロボットアーム等に適する、振動減衰特性に優れた炭素繊維強化複合材に関する。
ゴルフシャフトや釣り竿等のスポーツ用品分野では軽量、高強度、剛性設計の高自由度等のような高性能化を目指しており、炭素繊維強化複合材料等の繊維強化複合材料が多く使用されるようになってきている。
これら高性能化の要素の一つに振動減衰特性が高いことが挙げられ、ゴルフシャフト、釣り竿、宇宙構造物、自動組立機部品等で高振動減衰特性が要求されている。例えばゴルフシャフトでは振動減衰特性が高いと打球時に手がしびれにくい。
従来振動減衰特性を高める方法としてマトリックス樹脂の改質やインターリーフ層の設置があったが、耐吸湿性が低下したり、成形方法の変更を余儀なくされたり、層間強度が低下するといった問題があった。
さらにポリアクリロニトリル(以下PANという)系炭素繊維と振動減衰性に優れるアラミド繊維を組み合わせる方法もあるが、耐吸湿性が要求される用途には適さないという問題があった。
本発明はこれら従来の課題を解消し、振動減衰特性に優れる炭素繊維強化複合材製板状成形体を提供することを目的とする。
本発明は、引張弾性率100〜600GPaのポリアクリロニトリル系炭素繊維からなるプリプレグシートを複数枚積層してなる炭素繊維強化複合材製板状成形体において、該プリプレグシートの1層以上が、その各層の10分の1以上2分の1以下(面積比)の部分が引張弾性率400〜1000GPaのピッチ系炭素繊維のみからなるプリプレグで前記板状成形体の平均厚み以下に薄くなった部分の最上層および/または最下層の部分に置き換えられた置換プリプレグシートであることを特徴とする炭素繊維強化複合材製板状成形体に関する。
本発明の繊維強化複合材(成形体)は優れた振動減衰特性を有する。例えば、繊維体積含有率が50〜70vol%の本発明のシャフトに1000μεの剪断歪みを加えたときには、通常0.005〜0.1、好ましくは0.02〜0.1の対数減衰率が得られ、これはPAN系炭素繊維プリプレグのみからなる同一樹脂組成、同一形状の成形体の対数減衰率よりも大きな値である。
本発明の炭素繊維強化複合材とは、炭素繊維強化複合材料でできた全ての成形体のことであり、板状等の縦長成形体および筒状成形体等のことをいう。
本発明において板状等の縦長成形体とは、横の長さに対する縦の長さの比が通常2〜500であり、平板状成形体だけでなく、表面に凹凸を有する板状成形体や断面がI型、T型、L型等の成形体をも含む。
本発明において筒状成形体とは、管状成形体のような側壁のみからなる中空体だけでなく、本質的に四方を閉ざされたような中空状の成形体でもよく、具体的には円筒状成形体、中空の三角柱状成形体、中空の六角柱状の成形体、釣竿やゴルフシャフト、ロボットアーム等のようなテーパを有する筒状成形体等が例示され、特にゴルフシャフト等のテーパを有するシャフトに好ましく用いられる。
本発明の炭素繊維強化複合材には、引張弾性率100〜600GPaのポリアクリロニトリル系炭素繊維からなるプリプレグシートの、そのシートの面積比で10分の1以上2分の1以下、好ましくは10分の2以上10分の4以下の部分を、引張弾性率が400〜1000GPaのピッチ系炭素繊維のみからなるプリプレグで置き換えた炭素繊維プリプレグシート(置換プリプレグシートという)を、通常1〜20層含ませることができる。
本発明におけるピッチ系炭素繊維は、同じ引張弾性率を有するPAN系炭素繊維よりも振動減衰特性に優れており、このようなピッチ系炭素繊維として通常引張弾性率が400〜1000GPa、好ましくは600〜1000GPaのものが用いられる。
前記ピッチ系炭素繊維プリプレグは、成形体にしたときにより大きな振動減衰率を発現することが好ましい。具体的には、該ピッチ系炭素繊維のみからなり繊維体積含有率60vol%の炭素繊維強化プラスチックの一方向材片持ちばりに、100μεの曲げ歪みを加えたときの該片持ちばりの振動減衰率が、通常0.01〜0.05、好ましくは0.02〜0.05という性能を有するピッチ系炭素繊維、からなるプリプレグを使用することが望ましい。具体的には、引張弾性率400〜1000GPaのピッチ系炭素繊維がこのような性能を有する。
本発明において用いるプリプレグシートとしては、織物プリプレグおよび一方向プリプレグを使用することができるが、繊維の配向角を制御しやすいため一方向プリプレグが好ましく用いられる。
縦長成形体を製造する場合、引張弾性率が400〜1000GPa、好ましくは600〜1000GPaのピッチ系炭素繊維のみからなるプリプレグは、該成形体の平均厚み以下、好ましくは平均厚みの90%以下、より好ましくは平均厚みの80%以下に薄くなった部分の最上層および/あるいは最下層の部分、即ち縦長成形体のより大きな歪みの発生する部分に用いることができる。
筒状成形体を製造する場合、引張弾性率が400〜1000GPa、好ましくは600〜1000GPaのピッチ系炭素繊維のみからなるプリプレグは、該成形体の平均径以下、好ましくは平均径の90%以下、より好ましくは平均径の80%以下に細くなった積層部分に、即ち筒状成形体のより大きな歪みの発生する部分に用いることが望ましく、例えばゴルフシャフトではクラブヘッドの付け根部分、釣り竿では先端部分、片持ちばりでは固定端側部分である。
また該ピッチ系炭素繊維プリプレグが、成形体の肉薄部や細径部等前記のような特定の部分を占める量は、成形体の体積比で通常20分の1〜2分の1、好ましくは10分の1〜10分の4とすることができる。
置換プリプレグシートは、PAN系炭素繊維からなるプリプレグシートの特定部分を切り取り、切り取った部分をピッチ系炭素繊維のみからなるプリプレグに置き換えることによって得られる。
このとき、切り取られて残ったプリプレグを構成するPAN系炭素繊維の配向に対する置き換えたプリプレグを構成するピッチ系炭素繊維の配向角は、好ましくは−5〜5°以内、より好ましくは−3〜3°以内である。
また、置換プリプレグシートを構成するPAN系炭素繊維からなるプリプレグとピッチ系炭素繊維のみからなるプリプレグの境界は、実質的に互いに重なり合わせないようにしかつ、該プリプレグ同士の隙間が開かないようにすることが好ましい。
本発明で用いる炭素繊維プリプレグシートにおいて、引張弾性率が400〜1000GPaのピッチ系炭素繊維のみからなるプリプレグを使用する以外の部分には、通常主として引張弾性率100〜600GPa、好ましくは200〜300GPaのPAN系炭素繊維からなるプリプレグを使用する。
該PAN系炭素繊維としては、通常圧縮強度500〜2500MPa、好ましくは700〜2500MPa、より好ましくは1000〜2500MPaのものを用いることができる。
本発明において、引張弾性率が400〜1000GPa、好ましくは600〜1000GPaのピッチ系炭素繊維のみからなるプリプレグは、成形体の実質的な最上層、最下層、最内層あるいは最外層等の一部に使用することができる。
筒状の成形体を製造する場合、まず引張弾性率100〜600GPaのPAN系炭素繊維からなるプリプレグシートをマンドレルの周りに通常1〜20層巻回した後、置換プリプレグシートを、図1(1)に示すように成形体の一端から特定部分までに引張弾性率400〜1000GPaのピッチ系炭素繊維からなるプリプレグ(1a)が、残りの部分に主として引張弾性率100〜600GPaのPAN系炭素繊維からなるプリプレグ(2a)が位置するように、通常1〜20層巻回することができる。
また置換プリプレグシートを図1(1)に示すように、筒状成形体の一端から特定部分までに前記ピッチ系炭素繊維プリプレグ(1a)が、残りの部分に主として引張弾性率100〜600GPaのPAN系炭素繊維からなるプリプレグ(2a)が位置するようにマンドレルに通常1〜20層巻回した後、主として引張弾性率100〜600GPaのPAN系炭素繊維からなるプリプレグシートをその周りに通常1〜20層巻回することもできる。
本発明においては、成形体を構成する強化繊維を1あるいは2以上の異なる配向にすることができる。
本発明の成形体は、通常斜交層およびストレート層から構成することができる。例えば筒状成形体は、強化繊維が該成形体の軸方向に対して傾斜した斜交層と、ほぼ軸方向に配向したストレート層から構成することがでる。板状等の縦長成形体は、強化繊維が該成形体のほぼ長手方向に配向したストレート層と、長手方向に対して角度を有して配向している斜交層から構成することができる。
具体的には、斜交層には正と負の斜交層があり、正の斜交層は、その強化繊維が板状等の縦長成形体の長手方向あるいは筒状成形体の軸方向に対して30°〜60°、好ましくは35°〜55°、より好ましくは40°〜50°に配向するように積層あるいはマンドレルに巻回する。
負の斜交層は、その強化繊維が正の斜交層の強化繊維と交差するように配向しており、板状等の縦長成形体の長手方向あるいは筒状成形体の軸方向に対して−30°〜−60°、好ましくは−35°〜−55°、より好ましくは−40°〜−50°に配向するように積層あるいはマンドレルに巻回する。
ストレート層は、その強化繊維が板状等の縦長成形体の長手方向あるいは筒状成形体の軸方向に対して−20°〜20°、好ましくは−10°〜10°に配向するように積層あるいはマンドレルに巻回する。
斜交層とストレート層のマンドレル等への積層順序は、どちらを先に積層してもよい。
テーパを有する筒状成形体を製造する場合、斜交層としては、該成形体の細径端部からある程度径が太くなるまでの部分に引張弾性率が400〜1000GPaのピッチ系炭素繊維からなるプリプレグが、残りの部分に主として引張弾性率100〜600GPaのPAN系炭素繊維からなるプリプレグが位置するような置換プリプレグシートを使用することができ、ストレート層としては、主として引張弾性率100〜600GPaのPAN系炭素繊維からなるプリプレグシートを使用することができる。
またテーパを有する筒状成形体を製造する場合、ストレート層として、該成形体の細径端部からある程度径が太くなるまでの部分に引張弾性率が400〜1000GPaのピッチ系炭素繊維からなるプリプレグが、残りの部分に主として引張弾性率100〜600GPaのPAN系炭素繊維からなるプリプレグが位置するような置換プリプレグシートを使用し、斜交層として、主として引張弾性率100〜600GPaのPAN系炭素繊維からなるプリプレグシートを使用することもできる。
つまり、ゴルフシャフト等のねじり歪みがかかり易い製品には、前者のように斜交層に置換プリプレグシートを使用し、釣竿やロボットアーム等の曲げ歪みがかかり易い製品には、後者のようにストレート層に置換プリプレグシートを使用することができる。
置換プリプレグシートを斜交層またはストレート層として筒状成形体に使用する場合、そのピッチ系炭素繊維は、同じシート内のPAN系炭素繊維に対して、好ましくは−5〜5°以内、より好ましくは−2〜2°以内、さらに好ましくは実質同じ方向に配向させる。
本発明において斜交層として用いるプリプレグシートとしては、織物プリプレグおよび一方向プリプレグを使用することができるが、繊維の配向角を制御しやすいため一方向プリプレグが好ましく用いられる。
本発明においてストレート層として用いるプリプレグシートとしては、繊維の配向を制御し易いため一方向プリプレグが好ましく用いられる。
斜交層およびストレート層に使用される樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂が用いられ、好ましくはエポキシ樹脂が用いられる。
斜交層およびストレート層の強化繊維の目付は、通常50〜180g/m 、 好ましくは75〜150g/m の範囲である。目付が180g/m より大きいと、ストレート層の場合、成形体の裁断形状や重量設計における自由度が制限されやすく、斜交層の場合、成形体の重量設計における自由度が制限されるうえ、製造時におけるプリプレグシートのマンドレルへの巻き付き性も劣る等の弊害が生じやすい。
斜交層については、正の斜交層と負の斜交層を一組として重ね合わせて積層あるいはマンドレル等に巻回することができ、また正の斜交層を積層あるいはマンドレル等に巻回した後その上から負の斜交層を積層あるいは巻回することもできる。
斜交層の巻回数あるいは積層数は、通常1〜10層、好ましくは4〜8層である。テーパを有する筒状成形体の場合、斜交層の積層厚さは太径部と細径部で異なってもよい。
ここでいう積層数は正負の斜交層を合計した数である。巻回数は正負の斜交層を一つにつなげた場合のマンドレルへの巻回数と対応しており、テーパを有する筒状成形体で細径側と太径側で巻回数が異なるようにプリプレグシートをカットした場合は、シャフト軸(軸方向)に垂直な任意の断面において該巻回数は連続的に変化する。
全てのあるいは一部の斜交層に引張弾性率400〜1000GPa、好ましくは600〜1000GPaのピッチ系炭素繊維を使用する場合は、正負の斜交層を、その繊維が製造される成形体の長手方向あるいは軸方向に対して対称に配向するように一対で使用することができる。
ストレート層に使用されるPAN系炭素繊維としては、通常圧縮強度500〜2500MPa、好ましくは700〜2500MPa、より好ましくは1000〜2500MPaのものが用いられる。
ストレート層は通常1〜10層積層するように裁断することができる。
本発明では、全てのあるいは一部のストレート層に、引張弾性率400〜1000GPa、好ましくは600〜1000GPaのピッチ系炭素繊維のみからなるプリプレグを含んだ置換プリプレグシートを使用することができる。
なお、本発明の成形体を製造する際には、その最外層あるいは最上層に、削りしろとして織物プリプレグあるいは一方向プリプレグを積層することができる。
成形体の成形後、該削りしろは成形体のその後の加工精度を上げるために通常0.01〜1mmほど削り取るが、このとき削りしろの全部あるいは一部を削ることができる。
本発明の板状等の縦長成形体あるいは筒状成形体は、通常繊維体積含有率が50〜70vol%である。
なお、本発明の炭素繊維強化複合材のねじり振動の対数減衰率は、以下のように測定した。
即ち図2に示すように、歪みゲージ1を貼り付けた筒状成形体(シャフト)2を細径側を下にしておもり付き円盤3上に垂直に立て、太径側を万力4に固定した状態で該成形体を振動させ、そのときのねじり歪みの振動波形を測定し、これを基に対数減衰率を算出した。
ねじり歪みの測定は、純粋なねじり歪みが得られるよう2軸0/90゜トルク用歪みゲージ2枚を用いて4アクティブゲージ法で行った。歪みゲージは筒状成形体の細先端から92mmと920mmの2カ所に貼り付けた(一つのみ図示)。
歪みデータは、歪みゲージで歪みを感知し、ブリッヂボックス、動歪み計、ADコンバーターを介してパーソナルコンピュータに取り込ませた。歪みのデータをパーソナルコンピュータに取り込む際のサンプリングタイムは10−4〜10−3秒、サンプリングポイント数は1000〜8192ポイントとした。
筒状成形体2の細端部は、周方向に質量が均等に配分されているおもり付き円盤3に、その中心と該成形体の軸とが一致するように固定する。この円盤3上のおもり5の大きさ、材質、使用枚数を変えることで、シャフト軸まわりの慣性モーメントを変えることができる。おもり付き円盤3の直径と円周との2つの交点に糸6を取り付け、曲げモーメントがかからないよう同時にそれら2本の糸6を引いて成形体にねじりモーメントを与えた後に、そのモーメントを一気に解放し自由減衰振動させる。ねじりの振動の測定は、力が解放された直後から数秒間行う。
本発明においては、振動波形の1周期ごとの振幅A 、An+1 の比の自然対数をもって対数減衰率とした。
実際の計算において、近接する振幅の差が小さいときは精度を向上させるため、間隔をあけた振幅の比から求めた。n番目の振幅をA 、m番目の振幅をA ( 但し、n<m)とすると、次式のようになる。
一方、本発明の炭素繊維強化複合材の曲げ振動の対数減衰率は、以下のように測定した。
即ち、厚さ1.5mmの片持ちばりを垂直に立てて下側を固定して、はりを大気中で振動させ(加振は電磁式トランスデューサーを使用)、はりの中央部の水平方向の変位を非接触型のセンサーで測定した。
変位信号はアンプ、ADコンバーターを介してパーソナルコンピュータに取り込ませた。データをパーソナルコンピュータに取り込む際のサンプリングタイムは10−3〜10−2秒、サンプリングポイント数は4096ポイントとした。対数減衰率の算出方法は炭素繊維複合材料筒状成形体の場合に同じとした。
強化繊維の引張弾性率の測定方法はJIS R7601に基づいた。強化繊維の圧縮強度の測定はJIS K7670に基づき、樹脂の圧縮強度を無視して繊維体積含有率から換算して求めた。
以下に実施例を示すが本発明はこれにより限定されるものではないことはいうまでもない。
実施例1 シャフト
斜交層およびストレート層から、シャフトを以下のように製造した。
図1(1)に、正の斜交層用の各プリプレグの裁断形状とそれらのはり合わせ方を模式的に表した。同図において、1aはピッチ系炭素繊維(商品名:XN−80、引張弾性率785GPa)からなるプリプレグ(商品名:E8026C−12S、日本グラファイトファイバー社製、繊維体積含有率60vol%、目付125g/m)を示し、シャフトの先端部分を構成する。2aはPAN系炭素繊維(商品名:UM46、引張弾性率435GPa)からなるプリプレグ(商品名:Q−R118、東邦レーヨン社製、繊維体積含有率60vol%、目付116g/m)を示し、シャフトの中間から手元部分を構成する。
より詳しくは、斜交層としてはシャフトの先端から平均474mmの先端部分にXN−80プリプレグを用い、それ以降はUM46プリプレグを使用し、これらの2つのプリプレグをはり合わせて一枚の正の斜交層とした。
この正の斜交層と、これと鏡像の関係にある負の斜交層とをはり合わせたものを積層した。炭素繊維の配向角度はシャフト軸方向に対して±45゜、積層数は8層(4層ずつ)とした。
ストレート層としては、PAN系炭素繊維(商品名:T700S、引張弾性率230GPa)からなるプリプレグ(商品名:P3052S−12、東レ社製、繊維体積含有率60vol%、目付125g/m)をシャフト全長にわたり使用し、積層数は4層とし前記斜交層の上から巻回した。
上記ストレート層の上に織物(平織り)プリプレグを巻回し、さらにその上にシュリングテープを巻回したものを100〜130℃に加熱して硬化させた。その後必要に応じてシュリングテープ表面の凸凹を研磨した。
できあがったシャフトの全長は1120mm、細径端の内径は6mm、外径は8.5mmであり、太径端の内径は12.5mm、外径は14mmとなった。
表1に示すように、実施例1のシャフトは優れた振動減衰性を有していた。
実施例2 シャフト
図1(2)に、斜交層用の各プリプレグの裁断形状とそれらのはり合わせ方を模式的に表した。同図において、1bはシャフトの中間部分を構成するピッチ系炭素繊維XN−80からなるプリプレグE8026C−12S、2bは先端部分を構成するPAN系炭素繊維UM46からなるプリプレグQ−R118、2cは手元部分を構成するPAN系炭素繊維UM46からなるプリプレグQ−R118をそれぞれ示す。
より詳しくは、斜交層としては、シャフトの先端より平均474mmから平均826mmの中間部分にXN−80プリプレグを用い、それよりも先端とそれよりも以降はUM46プリプレグを使用し、これらの3つのプリプレグをはり合わせて一枚の正の斜交層とした。それ以外は実施例1と同様にしてシャフトを製造した。表1に示すように、実施例2のシャフトは実施例1に次ぐ優れた振動減衰性を有していた。
実施例3 シャフト
図1(3)に、斜交層用の各プリプレグの裁断形状とそれらのはり合わせ方を模式的に表した。同図において、1cはシャフトの手元部分を構成するピッチ系炭素繊維XN−80からなるプリプレグE8026C−12S、2dは先端から中間部分を構成するPAN系炭素繊維UM46からなるプリプレグQ−R118をそれぞれ示す。
より詳しくは、斜交層としては、シャフトの先端より平均826mmから平均1120mm(太径端部)の手元部分にXN−80プリプレグを用い、それよりも先端はUM46プリプレグを使用し、これらの2つの斜交層をはり合わせて一枚の正の斜交層とした。それ以外は実施例1と同様にしてシャフトを製造した。表1に示すように、実施例3のシャフトは実施例2に次ぐ振動減衰性を有していた。
比較例1 シャフト
斜交層全層にUM46プリプレグQ−R118を使用した以外は、実施例1と同様にしてシャフトを製造した。表1に示すように振動減衰性は低かった。
実施例4 板状成形体
一方向プリプレグシート14層からなる炭素繊維複合材料板(板状成形体)を製造した。ただし、表裏面各2層ずつについては、片持ちばりの曲げ変形時に応力が最大となる固定端を含む板長の3分の1の面積の部分にピッチ系炭素繊維XN−80からなるプリプレグE8026C−12Sを用い、その他の部分にはPAN系炭素繊維UM46からなるプリプレグQ−R118を使用した。
この成形体は、表2に示すように高い振動減衰率を有していた。
比較例2 板状成形体
全層にUM46プリプレグQ−R118を使用した以外は、実施例2と同様に板状成形体を製造した。表2のように振動減衰性は低かった。
置換プリプレグシート(斜交層)を構成する各プリプレグの裁断形状とそれらのはり合わせ方を模式的に表した図。 筒状成形体の振動減衰率評価装置。
符号の説明
1a シャフトの先端部分にあたるピッチ系炭素繊維プリプレグ
1b シャフトの中間部分にあたるピッチ系炭素繊維プリプレグ
1c シャフトの手元部分にあたるピッチ系炭素繊維プリプレグ
2a シャフトの中間から手元部分にあたるPAN系炭素繊維プリプレグ
2b シャフトの先端部分にあたるPAN系炭素繊維プリプレグ
2c シャフトの手元部分にあたるPAN系炭素繊維プリプレグ
2d シャフトの先端から中間部分にあたるPAN系炭素繊維プリプレグ
1 剪断歪みゲージ
2 筒状成形体(シャフト)
3 おもり付きアルミ円盤
4 万力
5 慣性モーメント制御おもり
6 ミニチュアワイヤまたは糸
7 プーリー
8 導線
9 検出器

Claims (4)

  1. 引張弾性率100〜600GPaのポリアクリロニトリル系炭素繊維からなるプリプレグシートを複数枚積層してなる炭素繊維強化複合材製板状成形体において、
    該板状成形体の平均厚み以下に薄くなった部分の最上層および/または最下層の部分に、前記プリプレグシートの1層以上が、その各層の10分の1以上2分の1以下(面積比)の部分が引張弾性率400〜1000GPaのピッチ系炭素繊維のみからなるプリプレグで置き換えられた置換プリプレグシートであることを特徴とする炭素繊維強化複合材製板状成形体。
  2. 前記ピッチ系炭素繊維の繊維体積含有率60vol%の炭素繊維強化プラスチックの一方向材片持ちばりに、100μεの曲げ歪みを加えたときの該片持ちばりの振動減衰率0.01〜0.05を有するピッチ系炭素繊維からなるプリプレグであることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維強化複合材製板状成形体。
  3. 前記板状成形体の平均厚みの90%以下に薄くなった部分の最上層および/または最下層の部分に前記ピッチ系炭素繊維のみからなるプリプレグシートを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の炭素繊維強化複合材製板状成形体。
  4. 前記強化繊維が成形体のほぼ長手方向に配向したストレート層と、長手方向に対して角度を有して配向している斜交層から構成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の炭素繊維強化複合材製板状成形体。
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