JP3840092B2 - 感光性平版印刷版 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性平版印刷版に関するものである。さらに詳しくは、感度、耐薬品性に優れる光重合型感光性平版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光重合系を用いた平版印刷版の研究は多数行われ、特に近年アルゴンレーザ、FD−YAGレーザー、Violet半導体レーザー等の可視レーザーに感応可能な高感度光重合開始系を利用したレーザー刷版の開発が行われている。
これらの光重合性平版印刷原版の多くは、支持体としてのアルミニウム板上に付加重合可能なエチレン性二重結合を含む化合物と光重合開始剤、さらに所望により用いられる有機高分子結合剤、熱重合禁止剤等からなる光重合性組成物からなる感光層を設けたものである。
近年、このような光重合系平版印刷版などを利用したCTP(Computer to Plate:電子データから印刷版への直描システム)の普及により、印刷業界の製版工程の短時間化、省人化が急速に進行している。さらに、印刷ニーズの多様化によりカラー化、小部数化がすすみ、さらに製版工程の短時間化、すなわち高生産性のCTPシステムが求められてきている。高生産性を達成するためには、1版あたりの描画時間を短縮することが必要であり、光重合系平版印刷版のさらなる高感度化が求められている。
また、インキなどの印刷条件も多様化してきており、それに対応するために、種々の印刷薬品に対する耐薬品性に優れる版材が求められてきている。耐薬品性を高める方法としては、製版後の印刷版を高温で加熱処理することで耐刷性、耐薬品性を向上させる方法、いわゆるバーニング処理が有効であるが、大型の機械を要し、処理工程が煩雑になる点が問題であった。
バーニング処理を行うことなく耐薬品性を向上させるためには、個々の素材自身の薬品に対する溶解性を抑えることで感材全体としての耐薬品性を向上させる方法があるが、多くの場合、同時に現像液に対する溶解性も低下してしまい、十分な現像性が確保できない問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、高生産性システムを達成できる高感度な光重合型感光性平版印刷版を提供することにある。また、本発明の別の目的は、現像性を劣化させることなく耐薬品性を向上させた光重合型感光性平版印刷版を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、アルミニウム支持体上に、付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する化合物、アルカリ水溶液に可溶または膨潤性を有する高分子重合体、および光重合開始剤系を含有する光重合性感光層を有する感光性平版印刷版において、該光重合性感光層が相分離構造を有することを特徴とする感光性平版印刷版により達成される。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明の平版印刷版の製版方法について詳細に説明する。
本発明において使用できる感光性平版印刷版は、支持体上に光重合性感光層を形成した光重合型感光性平版印刷版であり、特に限定されない。以下に例示として光重合性感光層について簡単に説明する。
【0006】
[光重合性感光層]
本発明で用いられる光重合性感光層の主な成分は、(a)付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する化合物、(b)アルカリ水溶液に可溶または膨潤性を有する高分子重合体、および(c)光重合開始剤であり、さらに必要に応じて、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤等の種々の化合物を添加してもよい。
【0007】
本発明で用いられる光重合性感光層は相分離構造を有することを特徴とする。本発明において相分離構造とは、感光層を垂直方向に切断して現れる断面のSEM(走査型電子顕微鏡)観察において、感光層中に直径0.01〜1.0μm程度の球状または偏平な球状の分散相、すなわち感光層中に相が分離している構造を有することを意味する。また、場合によっては、上下に分離した重層様の構造をとることもある。光重合性感光層がこのような相分離構造を有していることにより、本発明の感光性平版印刷版は、高い感度および優れた耐薬品性を有すると考えられる。その理由として、層分離によって感光層成分が濃縮されて局在することでそのような効果を発現するものと推定している。
【0008】
本発明における光重合性感光層中の(a)付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を含む化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物の中から任意に選択することができる。例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつものである。
モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等があげられる。
【0009】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレト、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
【0010】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
【0011】
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
【0012】
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
さらに、前述のエステルモノマーの混合物もあげることができる。
【0013】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
【0014】
その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等があげられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R')OH (A)
(ただし、RおよびR'は、HあるいはCH3を示す。)
【0015】
また、特開昭51−37193号に記載されているようなウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。なお、これらの使用量は、全成分に対して5〜70質量%(以下%とも略称する。)、好ましくは10〜50%である。
【0016】
本発明における光重合性感光層中の(c)光重合開始剤としては、使用する光源の波長により、特許、文献等で公知である種々の光開始剤、あるいは2種以上の光開始剤の併用系(光開始系)を適宜選択して使用することができる。
例えば、400nm以上の可視光線、Arレーザー、半導体レーザーの第2高調波、SHG−YAGレーザーを光源とする場合にも、種々の光開始系が提案されており、例えば、米国特許第2850445号に記載のある種の感光性染料、染料とアミンの複合開始系(特公昭44−20189号)、ヘキサアリールビイミダゾールとラジカル発生剤と染料との併用系(特公昭45−37377号)、ヘキサアリールビイミダゾールとp−ジアルキルアミノベンジリデンケトンの系(特公昭47−2528号、特開昭54−155292号)、環状シス−α−ジカルボニル化合物と染料の系(特開昭48−84183号)、環状トリアジンとメロシアニン色素の系(特開昭54−151024号)、3−ケトクマリンと活性剤の系(特開昭52−112681号、特開昭58−15503号)、ビイミダゾール、スチレン誘導体、チオールの系(特開昭59−140203号)、有機過酸化物と色素の系(特開昭59−140203号、特開昭59−189340号)、ローダニン骨格の色素とラジカル発生剤の系(特開平2−244050号)、チタノセンと3−ケトクマリン色素の系(特開昭63−221110号)、チタノセンとキサンテン色素、さらにアミノ基あるいはウレタン基を含む付加重合可能なエチレン性不飽和化合物を組み合わせた系(特開平4−221958号、特開平4−219756号)、チタノセンと特定のメロシアニン色素の系(特開平6−295061号)等をあげることができる。
【0017】
また、最近400〜410nmの波長のレーザー(バイオレットレーザー)が開発され、それに感応する450nm以下の波長に高感度を示す光開始系が開発されており、これらの光開始系も使用することができる。
例えば、カチオン色素/ボレート系(特開平11−84647号公報)、メロシアニン色素/チタノセン系(特開2000−147763号公報)、カルバゾール型色素/チタノセン系(特願平11−221480号)等をあげることができる。
【0018】
本発明においては特にチタノセン化合物を用いた系が、感度の点で優れており好ましい。チタノセン化合物としては、種々のものを用いることができるが、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報に記載されている各種チタノセン化合物から適宜選んで用いることができる。さらに具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジ−フルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル等をあげることができる。
【0019】
さらに上記光開始剤に必要に応じ、2−メルカプトベンズチアゾール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール等のチオール化合物、N−フェニルグリシン、N,N−ジアルキルアミノ芳香族アルキルエステル等のアミン化合物等の水素供与性化合物を加えることによりさらに光重合開始能力が高められることが知られている。
【0020】
これらの光重合開始剤の使用量は、エチレン性不飽和化合物100質量部に対し、0.05〜100質量部、好ましくは0.1〜70質量部、さらに好ましくは0.2〜50質量部の範囲で用いることができる。
【0021】
本発明における光重合性感光層中の(b)アルカリ水溶液に可溶または膨潤性を有する高分子重合体としては、(a)付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する化合物と相溶性を有している有機高分子重合体である限り、どれを使用してもかまわない。このような有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。
【0022】
また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体、ウレタン樹脂、ブチラール樹脂がある。
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体および〔アリル(メタ)アクリレート(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体が好適である。この他に水溶性有機高分子重合体として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ポリアミドや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
【0023】
また特公平7−120040号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特開平11−352691号各公報に記載のポリウレタン樹脂も本発明の用途には有用である。
これら高分子重合体は側鎖にラジカル反応性基を導入することにより硬化皮膜の強度を向上させることができる。付加重合反応し得る官能基としてエチレン性不飽和結合基、アミノ基、エポキシ基等が、又光照射によりラジカルになり得る官能基としてはメルカプト基、チオール基、ハロゲン原子、トリアジン構造、オニウム塩構造等が、又極性基としてカルボキシル基、イミド基等があげられる。上記付加重合反応し得る官能基としては、アクリル基、メタクリル基、アリル基、スチリル基などエチレン性不飽和結合基が特に好ましいが、又アミノ基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基、燐酸基、カルバモイル基、イソシアネート基、ウレイド基、ウレイレン基、スルホン酸基、アンモニオ基から選ばれる官能基も有用である。
【0024】
本発明の特徴である感光層中の相分離構造を形成させる上では、(A)N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(B)N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、(C)N−(4−スルファミルフェニル)アクリルアミド、及び(D)N−(4−スルファミルフェニル)メタクリルアミドのうち少なくとも一つから誘導される構造単位を有する高分子重合体を、その他のアルカリ水溶液に可溶または膨潤性を有する高分子重合体の成分と共に用いることが特に有効である。
上記(A)〜(D)のうち少なくとも一つから誘導される構造単位を有する高分子重合体中の、(A)〜(D)の使用モル比は10〜60モル%であることが好ましい。また、(b)アルカリ水溶液に可溶または膨潤性を有する高分子重合体中の、(A)〜(D)のうち少なくとも一つから誘導される構造単位を有する高分子重合体の使用量は、30〜70質量%であることが好ましい。
【0025】
組成物の現像性を維持するためには、高分子重合体は適当な分子量、酸価を有することが好ましく、重量平均分子量で5000〜30万、酸価20〜200mg-KOH/gの高分子重合体が有効に使用される。
【0026】
これらの高分子重合体は感光性組成物全重量に対し任意な量を混和させることができる。しかし90質量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは10〜90質量%、より好ましくは30〜80質量%である。また(a)付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する化合物と(b)アルカリ水溶液に可溶または膨潤性を有する高分子重合体は、重量比で1/9〜9/1の範囲とするのが好ましい。より好ましい範囲は2/8〜8/2であり、さらに好ましくは3/7〜7/3である。
【0027】
また、本発明においては以上の基本成分の他に感光性組成物の製造中あるいは保存中において付加重合可能なエチレン性不飽和化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合禁止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合禁止剤としてはハロイドキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩等があげられる。熱重合禁止剤の添加量は、全組成物の重量に対して約0.001%〜約5%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
【0028】
さらに感光層の着色を目的として、着色剤を添加してもよい。着色剤としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
【0029】
加えて、硬化皮膜の物性を改良するために、無機充填剤やジオクチルフタレート、ジメチルフタレート、トリクレジルホスフェート等の可塑剤等の添加剤を加えてもよい。これらの添加量は全組成物の10質量%以下が好ましい。
【0030】
本発明における光重合性感光層は、上述した成分を含む光重合性組成物を支持体上に塗布して設けることできる。塗布する際には光重合性組成物を種々の有機溶剤(溶媒)に溶かして使用に供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、1〜50質量%が適当である。
【0031】
本発明における光重合性組成物には、塗布面質を向上するために界面活性剤を添加することができる。
その被覆量は乾燥後の重量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.3〜5g/m2である。さらに好ましくは0.7〜3g/m2である。
【0032】
[オーバーコート層]
本発明では、上述した光重合性感光層上に、酸素遮断性保護膜層として、水溶性ビニル重合体を主成分とするオーバーコート層を設けることが好ましい。このようなオーバーコート層に含まれる水溶性ビニル重合体としては、ポリビニルアルコール、およびその部分エステル、エーテル、およびアセタール、またはそれらに必要な水溶性を付与するような実質的量の未置換ビニルアルコール単位を含有するその共重合体があげられる。ポリビニルアルコールとしては、71〜100モル%加水分解され、重合度が300〜2400の範囲のものがあげられる。具体的には株式会社クラレ製PVA−105,PVA−110,PVA−117,PVA−117H,PVA−120,PVA−124,PVA−124H,PVA−CS,PVA−CST,PVA−HC,PVA−203,PVA−204,PVA−205,PVA−210,PVA−217,PVA−220、PVA−224,PVA−217EE,PVA−217E,PVA−220E,PVA−224E,PVA−405,PVA−420,PVA−613,L−8等があげられる。上記の共重合体としては、88〜100モル%加水分解されたポリビニルアセテートクロロアセテートまたはプロピオネート、ポリビニルホルマールおよびポリビニルアセタールおよびそれらの共重合体があげられる。その他有用な重合体としてはポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体およびその加水分解物、ゼラチンおよびアラビアゴム等があげられ、これらは単独または、併用して用いても良い。
【0033】
本発明におけるオーバーコート層を塗布する際用いる溶媒としては、純水が好ましいが、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類を純水と混合しても良い。そして塗布溶液中の固形分の濃度は1〜20質量%が適当である。
【0034】
本発明におけるオーバーコート層にはさらに塗布性を向上させるための界面活性剤、皮膜の物性を改良するための水溶性の可塑剤等の公知の添加剤を加えても良い。水溶性の可塑剤としては例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピオンアミド、シクロヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール等がある。また、水溶性の(メタ)アクリル系ポリマーなどを添加しても良い。
【0035】
その被覆量は乾燥後の重量で0.1〜15g/m2の範囲が適当である。好ましくは0.5〜10g/m2である。さらに好ましくは1〜5g/m2である。
本発明における光重合型感光性平版印刷版は、所定の親水化処理が施されたアルミニウム等の支持体上に光重合性感光層を設け、さらにその上に任意にオーバーコート層を設けたものである。
【0036】
〔下塗り層〕
本発明に用いる感光材料は、支持体上に光重合性組成物を塗布することにより光重合性感光層を設けてなるものであるが、必要に応じて支持体と感光層との間に下塗り層を設けることができる。下塗り層の成分としては、種々の有機化合物が用いられ、例えば、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類、置換基を有しても良いフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸およびエチレンジホスホン酸、ポリビニルホスホン酸等の有機ホスホン酸またはホスホン酸基を有する保磁力化合物、置換基を有しても良いフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸およびグリセロリン酸等の有機リン酸またはリン酸基を有する高分子化合物、置換基を有しても良いフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸およびグリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸またはホスフィン酸基を有する高分子化合物、アミノエチルスルホン酸、トルエンスルホン酸ナトリウム等の有機スルホン酸塩または、スルホン酸塩構造を有する高分子化合物、グリシンやβ−アラニン等のアミノ酸類、およびトリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩、あるいはアミン塩酸塩構造を有する高分子化合物等から選ばれるが、これらは単独で使用しても、2種以上混合しても良い。
【0037】
有機下塗り層の被覆量は、1〜100mg/m2が適当であり、好ましくは1〜50mg/m2である。上記の被覆量が1mg/m2より少ないと十分な効果が得られない。また、100mg/m2より大きくても、耐刷力の低下や汚れの発生などが生じ、所望の効果が得られない。
【0038】
[支持体]
以下に本発明における光重合型感光性平版印刷版に使用される支持体およびその処理に関して説明する。
【0039】
(アルミニウム板)
本発明において用いられるアルミニウム板は、純アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とし微量の異原子を含むアルミニウム合金の板状体である。この異原子には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金組成としては、10質量%以下の異原子含有率のものである。本発明に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは、精錬技術上製造が困難であるため、できるだけ異原子を含まないものがよい。また、上述した程度の異原子含有率のアルミニウム合金であれば、本発明に使用し得る素材ということができる。このように本発明に使用されるアルミニウム板は、その組成が特に限定されるものではなく、従来公知、公用の素材のものを適宜利用することができる。好ましい素材としては、JIS A 1050、同1100、同1200、同3003、同3103、同3005材が含まれる。本発明において用いられるアルミニウム板の厚さは、約0.1mm〜0.6mm程度である。アルミニウム板を粗面化処理するに先立ち、表面の圧廷油を除去するための、例えば界面活性剤またはアルカリ性水溶液で処理する脱脂処理が必要に応じて行われる。
【0040】
(粗面化処理および陽極酸化処理)
アルミニウム板の表面を粗面化処理する方法としては、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法がある。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などと称せられる公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
【0041】
このように粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じてアルカリエッチング処理および中和処理された後、表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては多孔質酸化皮膜を形成するものならばいかなるものでも使用することができ、一般には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
【0042】
陽極酸化の処理条件は用いる電解質により種々変わるので一既に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲にあれば適当である。
【0043】
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2の範囲である。陽極酸化皮膜が1.0g/m2未満であると耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
【0044】
なお、このような陽極酸化処理は平版印刷版の支持体の印刷に用いる面に施されるが、電気力線の裏回りにより、裏面にも0.01〜3g/m2の陽極酸化皮膜が形成されるのが一般的である。
【0045】
(バックコート)
支持体の裏面には、必要に応じてバックコートを設けてもよい。こうしたバックコートとしては、特開平5−45885号公報記載の有機高分子化合物および特開平6−35174号公報記載の有機または無機金属化合物を加水分解および重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。
【0046】
[露光および現像処理]
こうして得られた光重合型感光性平版印刷版は、半導体レーザーの第2高調波(SHG−LD、350〜600nm)、Violet半導体レーザー(400〜410nm)等により直接露光された後、現像処理される。
【0047】
また、光重合型感光性組成物の感光層の上には、前述したように、任意に酸素遮断性を有するオーバーコート層が設けてあり、水、温水でオーバーコート層を先に除外し、その後未露光部の感光層を現像で除去する方法が知られている。これらの水または温水には特開平10−10754号公報に記載の防腐剤等、特開平8−278636号公報記載の有機溶剤等を含有させることができる。
【0048】
現像処理に使用される現像液としては従来知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第ニリン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムなどの無機アルカリ剤があげられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
【0049】
これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて用いられる。
本発明で使用される現像液には、ポリオキシアルキレンエーテル基を有するノニオン系界面活性剤を含有することが好ましく、この界面活性剤添加により、未露光部の感光層の溶解促進、露光部への現像液の浸透性の低減が可能となる。
ポリオキシアルキレンエーテル基を含有する界面活性剤としては、下記一般式(I)の構造を有する物が好適に使用される。
【0050】
1−O−(R2−O)nH (I)
式中、R1は、置換基を有しても良い炭素数3〜15のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、または置換基を有しても良い炭素数4〜15の複素芳香族環基(尚、置換基としては炭素数1〜20のアルキル基、Br、Cl、I等のハロゲン原子、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、炭素数7〜17のアラルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数2〜20のアルコキシ−カルボニル基、炭素数2〜15のアシル基があげられる。)を示し、R2は、置換基を有しても良い炭素数1〜100のアルキレン基(尚、置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜15の芳香族炭化水素基があげられる。)を示し、nは1〜100の整数を表す。
【0051】
また式(I)の(R2−O)nの部分は、上記範囲であれば、2種、または3種の基であっても良い。具体的にはエチレンオキシ基とプロピレンオキシ基、エチレンオキシ基とイソプロピルオキシ基、エチレンオキシ基とブチレンオキシ基、エチレンオキシ基とイソブチレン基等の組み合わせのランダムまたはブロック状に連なったもの等があげられる。
【0052】
本発明において、ポリオキシアルキレンエーテル基を有する界面活性剤は、単独または複合系で使用され、現像液中、1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%添加することが効果的である。添加量が少ないと現像性の低下が、逆に多すぎると現像による画像部のダメージが強くなり、印刷版の耐刷性を低下させてしまう。
【0053】
またさらに以下に記すその他の界面活性剤を加えてもよい。
その他の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンステアレート等のポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート等のソルビタンアルキルエステル類、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート等のモノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類、ブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ペンチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ヘキシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩類、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩類、ドデシルスルホン酸ソーダ等のアルキルスルホン酸塩類、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤;ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のアルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤等が使用可能であるが、特に好ましいのはアルキルナフタレンスルホン酸塩類等のアニオン界面活性剤である。
これら界面活性剤は単独、もしくは組み合わせて使用することができる。また、これら界面活性剤の現像液中における含有量は有効成分換算で0.1〜20質量%が好ましい。
【0054】
本発明の現像液には、上記の成分の他に、必要に応じて以下の様な成分を併用することができる。例えば安息香酸、フタル酸、p−エチル安息香酸、p−n−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−n−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−t−ブチル安息香酸、p−2−ヒドロキシエチル安息香酸、デカン酸、サリチル酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の有機カルボン酸;イソプロピルアルコール、ヘンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の有機溶剤;この他、キレート剤、還元剤、染料、顔料、硬水軟化剤、防腐剤、消泡剤等があげられる。
【0055】
本発明における感光性平版印刷版の前記現像液による現像は、通常、自動現像機によって行われる。その際、処理量に応じて現像液が疲労してくるが、現像液よりもアルカリ強度の高い水溶液(補充液)を現像液に加えることによって、長時間現像タンク中の現像液を交換することなく、多量の光重合型平版印刷版を処理することができることが知られている。本発明においてもこの補充方式が好ましく適用される。
光重合型CTP印刷版用の自動現像機としては、LP−850P、LP−850PII、LP−1050P、LP−1250PLX、LP1350P(以上富士写真フイルム株式会社製)、HL−860X(三菱化学株式会社製)、等があげられる。
【0056】
このようにして現像処理された光重合型平版印刷版は特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。光重合型平版印刷版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。
【0057】
上記の様な処理により得られた印刷版は特開2000−89478号公報に記載の方法による後露光処理やバーニングなどの加熱処理により、耐刷性を向上させることができる。
このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
印刷時、版上の汚れ除去のため使用するプレートクリーナーとしては、従来より知られているPS版用プレートクリーナーが使用され、例えば、CL−1、CL−2、マルチクリーナー、CP、CN−4、CN、CG−1、PC−1、SR、IC(富士写真フイルム株式会社製)等があげられる。
【0058】
【実施例】
以下に本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。
厚さ0.24mm、幅1030mmのJIS A 1050アルミニウム板を用いて連続的に処理を行った。
【0059】
(a) 既存の機械的粗面化装置を使って、比重1.12の研磨剤(パミス)と水の懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラー状ナイロンブラシにより機械的な粗面化を行った。研磨剤の平均粒径は40〜45μm最大粒径は200μmだった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロンを使用し、毛長50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴を開けて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラー(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラーはブラシを回転させる駆動モーターの負荷が、ブラシローラーをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kwプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じで回転数は200rpm であった。
【0060】
(b) アルミニウム板を苛性ソーダ濃度2.6wt%、アルミニウムイオン濃度6.5wt%、温度70℃でスプレーによるエッチング処理を行い、アルミニウム板を13 g/m2溶解した。その後スプレーによる水洗を行った。
(c) 温度30℃の硝酸濃度1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーで水洗した。前記デスマットに用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的な粗面化を行う工程の廃液を用いた。
【0061】
(d) 60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。この時の電解液は、硝酸1wt%水溶液(アルミニウムイオン0.5wt%、アンモニウムイオン0.007wt%含む)、温度40℃であった。交流電源は電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが2msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。
電流密度は電流のピーク値で30 A/dm2、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で255 C/cm2であった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、スプレーによる水洗を行った。
【0062】
(e) アルミニウム板を苛性ソーダ濃度26wt%、アルミニウムイオン濃度6.5wt%でスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.2 g/m2溶解し、前段の交流を用いて電気化学的な粗面化を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の除去と、生成したピットのエッジ部分を溶解し、エッジ部分を滑らかにした。その後スプレーで水洗した。
(f) 温度60℃の硫酸濃度25wt%水溶液(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後スプレーによる水洗を行った。
(g) 既存の二段給電電解処理法の陽極酸化装置(第一および第二電解部長各6m、第一給電部長3m、第二給電部長3m、第一および第二給電電極長各2.4m)を使って電解部の硫酸濃度170g/リットル(アルミニウムイオンを0.5wt%含む)、温度38℃で陽極酸化処理を行った。その後スプレーによる水洗を行った。
この時、陽極酸化装置においては、電源からの電流は、第一給電部に設けられた第一給電電極に流れ、電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第一電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させ、第一給電部に設けられた電解電極を通り、電源に戻る。
【0063】
一方、電源からの電流は、第二給電部に設けられた第二給電電極に流れ、同様に電解液を介して板状アルミニウムに流れ、第二電解部で板状アルミニウムの表面に酸化皮膜を生成させるが、電源から第一給電部に給電される電気量と電源から第二給電部に給電される電気量は同じであり、第二給電部における酸化皮膜面での給電電流密度は、約25(A/dm2)であった。第二給電部では、1.35 g/m2の酸化皮膜面から給電することになった。最終的な酸化皮膜量は2.7 g/m2であった。ここまでの基板を〔A〕とする。
基板〔A〕において、(a)のブラシ研磨を除いて作製した基板を〔B〕とする。
【0064】
〔実施例1、2、比較例1、2〕
上述したように処理された各アルミニウム板〔A〕、〔B〕、上に、下記組成の下塗り液を乾燥塗布重量が2−3mg/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させた。
【0065】
Figure 0003840092
次いで、下記組成の感光液を乾燥塗布重量が1.4 g/m2となるように塗布し、100℃で1分間乾燥させ、感光層を形成した。
【0066】
Figure 0003840092
【0067】
Figure 0003840092
【0068】
【化1】
Figure 0003840092
【0069】
【化2】
Figure 0003840092
【0070】
【化3】
Figure 0003840092
【0071】
Figure 0003840092
【0072】
この感光層上に下記に記載の水溶液を乾燥塗布重量が2.5g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥させ、光重合型感光性性平版印刷版を得た。
【0073】
Figure 0003840092
【0074】
これらの感光性平版印刷版を、それぞれViolet半導体レーザー搭載プレートセッター(Barco社Viking8)で露光量を段階的に変えて、2400dpi にて175線/インチの条件で、1〜99%の網点画像を走査露光した後、現像液DV−2(富士写真フイルム製、水で5倍希釈、補充液DV−2RによりpH12.5に調整)およびフィニッシングガム液FP−2W(富士写真フイルム製、水で2倍希釈)を仕込んだ自動現像機(富士写真フイルム製LP850PII、現像速度1.0m/分、プレヒート後に酸素遮断層を水洗除去する機構有り)で標準処理を行った。
製版後の版を富士写真フイルム(株)製マルチクリーナーで10回拭き、画像部の様子を目視で観察し相対評価を行った結果、および画像形成に要した露光量(感度)を表1に示す。クリーナー拭き試験では、感光層表面に変化が無く、問題なしと判断したものを“○”とし、やや表面が侵され、画像濃度(色)が薄くなり始めたものを“△”と評価した。
【0075】
(表1)
支持体 感光層 感度 クリーナー拭き
実施例1 A 感光液1 40μJ/cm2
実施例2 B 感光液1 35μJ/cm2
実施例3 A 感光液2 45μJ/cm2
実施例4 B 感光液2 40μJ/cm2
比較例1 A 感光液 75μJ/cm2
比較例2 B 感光液 60μJ/cm2
【0076】
本発明の実施例1〜4の感材の方が、比較例1、2よりも高感度で、耐薬品性にも優れていることがわかった。
実施例1〜4の感材を折り曲げて割り、その断面部分をアセトンに浸漬してわずかに溶解させた後に、SEM観察を行ったところ、いずれにも球状物が分散した海島構造が観察され、相分離構造を有していることが確認された。一方、比較例1、2の感材ではそのような海島構造は観察されなかった。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高感度でかつ耐薬品性に優れた光重合型感光性平版印刷版を提供することができる。

Claims (3)

  1. アルミニウム支持体上に、(a)付加重合可能なエチレン性不飽和二重結合を少なくとも1個有する化合物、(b)アルカリ水溶液に可溶または膨潤性を有する高分子重合体、および(c)光重合開始剤を含有する光重合性感光層を有する感光性平版印刷版であって、前記(b)高分子重合体が、(A)N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、(B)N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、(C)N−(4−スルファミルフェニル)アクリルアミド、及び(D)N−(4−スルファミルフェニル)メタクリルアミドのうち少なくとも一つから誘導される構造単位を有する高分子重合体とその他のアルカリ水溶液に可溶または膨潤性を有する高分子重合体からなり、前記 (b) 高分子重合体中の、前記(A)〜(D)のうち少なくとも1つから誘導される構造単位を有する高分子重合体の使用量が30〜70質量%であることを特徴とする感光性平版印刷版。
  2. 350〜600nmの波長を有する光源により露光されることを特徴とする、請求項1記載の感光性平版印刷版。
  3. 請求項1記載の感光性平版印刷版を350〜600nmの波長を有する光源により露光し、その後現像する事を含む、平版印刷版の製造方法。
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