JP3839837B1 - 測定用治具 - Google Patents
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Abstract
【課題】持ち運びや設置が容易で、エピポーラ幾何の原理に基づく測定対象の3次元的な寸法の決定を高精度に行うことを可能にする。
【解決手段】閉ループに形成されている平坦な主表面を有する基材110と、基材の主表面に設けられていて、測定対象が写り込んでいる複数枚の写真画像から測定対象の寸法を解析する際に、写真画像同士の間で互いに対応する対応点となる、最少でも8個の基準点130とを備えている。そして、基準点のそれぞれは、基材の閉ループに沿って互いに離間して配列されている。
【選択図】図1
【解決手段】閉ループに形成されている平坦な主表面を有する基材110と、基材の主表面に設けられていて、測定対象が写り込んでいる複数枚の写真画像から測定対象の寸法を解析する際に、写真画像同士の間で互いに対応する対応点となる、最少でも8個の基準点130とを備えている。そして、基準点のそれぞれは、基材の閉ループに沿って互いに離間して配列されている。
【選択図】図1
Description
この発明は、測定対象とともに複数回撮影されることにより、測定対象が写り込んでいる複数枚の写真画像から測定対象の寸法を解析する際に、写真画像同士の間で互いに対応する対応点となる基準点を、写真画像に写し込むための測定用治具に関する。
様々な対象物の寸法測定は、例えば以下に説明する第1および第2の手法によって、行われていた。なお、以下、寸法測定の対象物を測定対象と称する。この測定対象には、例えば、建築物自身や、建築物の壁面に生じたひび割れ、壁面に付着した汚れ、壁面に描かれた画像、その他がなりえる。また、これら以外にも、様々なものが測定対象となりえる。
第1の手法は、本出願人によって、2004年5月28日に、特願2004−158645号として出願された測定用治具を用いるものである。この治具は、ベース部と、4本の細長い長尺部を備えている。ベース部は、4本の長尺部を回動自在に支持しており、4本の長尺部は、ベース部を中心にして、90°間隔で4方向に張り出す構成となっている。
第1の手法は、1m以上の比較的大きな測定対象の寸法を測定する場合に、よく用いられる。
測定現場(以下、単に現場と称する場合もある)の作業員は、例えば柱などの建築物の寸法を測定する場合に、この治具を測定対象の前に設置し、ベース部を中心にして4本の長尺部を4方向に張り出す。4本の長尺部のそれぞれは、先端が切欠きが設けられており、長さ方向に複数の貫通孔が等間隔に設けられている。各切欠きと各貫通孔は、位置関係が予め定まっている。また、各切欠き間および各貫通孔間は、距離が予め定まっている。そのため、各切欠きおよび各貫通孔は、測定対象の寸法を解析する際の基準点として、また、各切欠き間および各貫通孔間の距離は、測定対象の寸法を解析するための基準尺として利用される。
作業員は、デジタルカメラ(以下、単にカメラと称する)で、この治具が写真画像に写り込むように、測定対象とともに、複数方向から複数回撮影する。これにより、現場では、複数枚のデジタル写真画像(以下、単に写真画像と称する)が取得される。なお、後述の解析センタのコンピュータは、エピポーラ幾何の原理に基づいて、後述の3次元画像を作成するのに、最少でも8個の基準点が写る写真画像を複数枚必要とする(例えば、非特許文献1および2参照)。そのため、このとき、作業員は、8個以上の基準点が写真画像に写り込むように、撮影する必要がある。
作業員は、撮影が終了すると、撮影により取得された複数枚のデジタル写真画像(以下、単に写真画像と称する)を、通信装置を用いて、解析センタに送信する。なお、解析センタは、写真画像から測定対象の寸法を解析する機関である。
解析センタの作業員は、現場から複数枚の写真画像を受信すると、それらの写真画像を解析装置に入力する。この解析装置は、画像解析用のソフトウエアがインストールされたコンピュータによって構成されている。以下、この解析装置を、単にコンピュータと称する場合もある。
解析装置であるコンピュータは、複数枚の平面的な写真画像から、測定対象と治具の各長尺部の切欠きとを抽出する。
測定対象と各長尺部の切欠きとを抽出すると、コンピュータは、治具の各切欠きおよび各貫通孔を基準点とし、また、それぞれ異なる方向から撮影した複数枚の写真画像同士の間で、当該基準点に対応する各撮影像を対応点として認識する。そして、コンピュータは、各対応点と測定対象との相対的な位置関係から、測定対象と治具とが写る仮想的な3次元画像を作成する。
3次元画像を作成すると、コンピュータは、各対応点の位置関係が基準点である治具の各基準点の位置関係に比例していることから、公知のエピポーラ方程式を用いて、3次元画像における各対応点の位置座標および各対応点間の距離を特定することができる(例えば、特許文献1、2および非特許文献1参照)。さらに、コンピュータは、各対応点の位置と各対応点間の距離を基準にして、各対応点と測定対象との相対的な位置関係から、エピポーラ方程式を用いて、対応点と測定対象との間の距離や、3次元画像における測定対象の特定の部位の位置座標を特定する。なお、エピポーラ方程式は、公知であり、また、様々な画像解析に利用されているので、ここでは、詳細な説明を省略する。
測定対象の特定の部位の位置座標を特定すると、コンピュータは、特定した測定対象の特定の部位の位置座標に基づいて、測定対象の寸法を解析する。
以上により、コンピュータは、測定対象の寸法を3次元的に解析する。
なお、このようにして解析された寸法は、測定対象が例えば壁面に生じたひび割れのような平面的なものであれば、基準点が測定対象に密接するため、誤差が生じない。しかしながら、解析された寸法は、測定対象が例えば柱などのような立体的なものであれば、基準点が測定対象から離間するため、若干ながら誤差が生じる可能性がある。
第2の手法は、シールを貼り付けたりあるいは目印を付ける方法である。
第2の手法は、1m未満の比較的小さな測定対象の寸法を測定する場合に、よく用いられる。
図15は、従来例の説明図である。
測定現場の作業員は、図15に示すように、例えば2つのパイプ300を繋ぐ継ぎ手305におけるフランジ310とフランジ310との間の隙間の寸法(すなわち、図15に示す矢印と矢印の間の距離)を測定する場合に、測定対象の周囲(例えば、隙間の周囲であるフランジやパイプなど)の複数の箇所に、個別のシール350を貼り付ける。このシール350は、測定対象の寸法を解析する際の基準点として、また、シール350とシール350との間の距離は、測定対象の寸法を解析するための基準尺として利用される。
作業員は、カメラで、このシール350が写真画像に写り込むように、測定対象(すなわち、フランジ310とフランジ310との間の隙間)とともに、複数方向から複数回撮影する。なお、解析センタのコンピュータは、既に説明したように、3次元画像を作成するのに、最少でも8個の基準点(すなわち、シール350)が写る写真画像を複数枚必要とする。そのため、このとき、作業員は、8個以上の基準点が写真画像に写り込むように、撮影する必要がある。
作業員は、撮影が終了すると、撮影により取得された複数枚の写真画像を、通信装置を用いて、解析センタに送信する。
解析センタの作業員は、現場から複数枚の写真画像を受信すると、それらの写真画像を解析装置であるコンピュータに入力する。
解析装置であるコンピュータは、複数枚の平面的な写真画像から、測定対象と各シール350とを抽出する。
測定対象と各シール350とを抽出すると、コンピュータは、各シール350を基準点とし、また、複数枚の写真画像同士の間で互いに対応する各基準点を対応点として識別する、そして、コンピュータは、各対応点と測定対象との相対的な位置関係から、測定対象と各シール350とが写る仮想的な3次元画像を作成する。
なお、目印の場合には、シールの代わりに目印を付ければよい。
以下、コンピュータは、第1の手法と同様に、測定対象の寸法を解析する。
特開2004−220312号公報(段落2〜段落48、図1〜図19)
特開2003−185433号公報(段落28〜段落66、図2〜図8)
徐 剛、辻 三郎 著「3次元ビジョン」共立出版(株)、1998年4月20日発行、p.61−75
森 好司 著「2001年度 立命館大学大学院理工学研究科 修士論文 『RANSACを用いた特徴点の全自動対応づけ』」
上述の第1の手法は、測定用治具の構成が大掛かりなため、治具の持ち運びや設置が困難であるという課題があった。
また、第1および第2の手法は、正確な位置関係にある8個以上の基準点が写真画像に写り込むように撮影する必要があるため、治具の設置やシールの貼り付けに要する負担を現場の作業員に強いているという課題があった。
特に、第2の手法は、各シール間の距離が等間隔になるように、シールの貼り付け位置あるいは目印の付ける位置を現場で正確に位置決めしてから、シールを貼り付けるかあるいは目印を付ける必要がある。その上、シール同士間の距離測定を現場で正確に行う必要がある。そのため、第2の手法は、非常な作業負担を現場の作業員に強いた。また、シールの貼り付け位置がラウンドしているような場所では、シールの位置決めが困難であった。すなわち、測定対象の周囲がラウンドしているような場所では、基準点の設置が困難であった。
また、第1および第2の手法は、対応点と測定対象とが離間する場合でも、エピポーラ方程式を用いて、対応点と測定対象との間の距離、すなわち、測定用治具から測定対象までの奥行き方向の距離を解析している。しかしながら、第1および第2の手法は、基準点が固定されていないため、各基準点の位置関係が厳密には正確ではない。そのため、その解析値には若干ながら誤差が生じる可能性がある。したがって、解析精度が、若干ながら低くなっているという課題があった。なお、誤差は、特に、測定対象の形状が、ラウンドしているような場合に生じる可能性が高い。
なお、今後の技術の発展に伴い、撮影機能付きの光学顕微鏡や電子顕微鏡等によって超微小なサイズの測定対象を撮影し、エピポーラ幾何に基づくエピポーラ方程式を用いて、撮影された写真画像から、測定対象の寸法を解析することが推測される。その場合に、基準尺となる超微小なサイズのターゲットを写真画像に写し込む必要がある。しかしながら、現在では、そのような超微小なサイズのターゲットは、存在していなかった。
この発明の第1の目的は、これらの課題を解決するために、持ち運びや設置が容易で、解析装置に測定対象の寸法を高精度に解析させることができる測定用治具を提供することにある。
この発明の第2の目的は、最大でも2m以下の小規模な測定対象の測定の利用に好適な測定用治具を提供することにある。
上述の課題を解決するために、請求項1に記載の測定用治具は、円環状の閉ループを形成する、平行平面板状の第1の基材と、半円環状の半ループを形成する、平行平面板状の第2の基材とによって構成されている。これら第1および第2の基材の閉ループは、互いに等しい直径を有している。そして、第2の基材は、その両端を、第1の基材の直径上の位置で、第1の基材に対して直角に結合して、配置されている。さらに、第1および第2の基材は、それぞれの主表面に、測定対象が写り込んでいる複数枚の写真画像から測定対象の寸法を解析する際の対応点となる、複数の基準点をそれぞれ備えている。これら第1および第2の基材の基準点の総数は、最少でも8個である。これら第1および第2の基材の基準点のそれぞれは、第1の基材の直径で分割された半ループと、第2の基材の半ループとで構成される直角に折れ曲がった一つの閉ループに沿って等間隔に配列されている。
請求項2に記載の測定用治具は、半円環状の半ループを形成する、平行平面板状の第3の基材と、半円環状の半ループを形成する、平行平面板状の第4の基材とによって構成されている。これら第3および第4の基材の半ループは、互いに等しい直径を有している。そして、第4の基材は、その両端を、第3の基材の直径上の位置で、第3の基材に対して直角に結合して、配置されている。さらに、第3および第4の基材は、互いに直行して連続したそれぞれの主表面に、測定対象が写り込んでいる複数枚の写真画像から測定対象の寸法を解析する際の対応点となる、複数の基準点をそれぞれ備えている。これら第3および第4の基材の基準点の総数は、最少でも8個である。これら第3および第4の基材の基準点のそれぞれは、第3の基材の半ループと、第4の基材の半ループとで構成される直角に折れ曲がった一つの閉ループに沿って等間隔に配列されている。
請求項1に記載の測定用治具によれば、円環状の閉ループを形成する第1の基材と、これと直交していて半円環状の半ループを形成する第2の基材とに、それぞれ、基準点が設けられた構造であるので、治具の構成が従来よりも簡易なため、治具の持ち運びや設置を容易にすることができる。
さらに、この治具によれば、第1および第2の基材のそれぞれの主表面に、総数が最少でも8個の基準点が閉ループに沿って互いに離間して配列されている。これら基準点は、基材に、予め、正確な位置関係、すなわち、距離関係で設けることができ、しかも、各測定対象が変わっても、各基準点間の位置関係は不変であるので、この治具を測定対象とともに複数方向から複数回撮影するだけで、正確な位置関係にある8個以上の基準点を複数枚の写真画像に容易に写し込むことができる。そのため、従来、現場の作業員に強いていた負担を軽減することができる。また、測定対象の周囲がラウンドしているような場所でも、基準点を容易に設置することができる。
さらに、この治具によれば、基準点が2次元方向だけでなく3次元方向にも配置されているので、3次元方向への位置関係が正確な複数の基準点を各写真画像に写し込むことができる。そのため、対応点と測定対象との間の距離、すなわち、測定用治具から測定対象までの奥行き方向の距離の解析値に含まれる誤差を小さくすることができ、これによって、コンピュータによる3次元の寸法の解析精度を高めることができる。
さらに、基準点が2次元方向にしか配置されていない治具は、コンピュータによる解析精度を高めるためには、多くのデータ量が必要である。これに対して、この治具は、基準点が2次元方向だけでなく3次元方向にも配置されているため、基準点が2次元方向にしか配置されていない治具よりも少ないデータ量で、コンピュータによる解析精度を高めることができる。
さらに、基準点が2次元方向にしか配置されていない治具は、コンピュータによる解析精度を高めるためには、多くのデータ量が必要である。これに対して、この治具は、基準点が2次元方向だけでなく3次元方向にも配置されているため、基準点が2次元方向にしか配置されていない治具よりも少ないデータ量で、コンピュータによる解析精度を高めることができる。
請求項2に記載の測定用治具によれば、全体的にL字状の形態となっているので、請求項1に記載の測定用治具と同様の効果を達成できる他に、請求項1に記載の測定用治具に比べて、コンパクトな形状となっている。そのため、測定現場が小さなスペースしかない場合に、容易に設置することができる。また、車に載せるような場合でも、小さなスペースの荷台に載せることができるため、運搬し易い。
以下、図を参照してこの発明の実施の形態につき説明する。なお、各図は、各構成要素の大きさ、形状、および配置関係を、この発明を理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、この発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
[実施例1]
<測定用治具の構成>
以下、図1を参照して、実施例1の測定用治具の構成につき説明する。
<測定用治具の構成>
以下、図1を参照して、実施例1の測定用治具の構成につき説明する。
図1に示すように、測定用治具(以下、単に治具と称する)100は、閉ループを形成する基材110と、この基材110に設けられている複数の基準点130とを備えている。なお、この治具100は、写真測定用ターゲットとも称する。また、基材110は、基体または基盤とも称する。
図1に示す例では、基材110は、平らな部材によって幅が一定の円環状の無終端ループ体として形成されている。
基材110は、変形や破損がしにくい素材、すなわち、熱膨張係数が小さく、硬い素材によって構成するとよい。例えば、基材110は、好ましくは、アクリルなどの樹脂材や、ステンレス鋼などのメタル材がよい。
この基材110は、無終端ループ(以下、閉ループと称する)で囲まれた透かし穴120が開けられている。したがって、この基材110は、厚みおよび幅が一定のリング状の板体である。この透かし穴120は、平行平面板状の円板から、円形の穴をくり抜いて形成されており、測定対象を治具100とともに、撮影する際に、測定対象をこの穴120を通して背景として撮影画像に写り込ませる機能手段となる。これにより、現場の作業員は、透かし穴120を介して、治具100と、その背後に存在する測定対象とを同一フレーム内に写し込むことができる。なお、測定対象には、例えば、構造物や、建築物、建築物の壁面に生じたひび割れ、壁面に付着した汚れ、壁面に描かれた画像、その他がなりえる。また、これら以外にも、様々なものがなりえる。
また、基材110は、その主表面に、基準点130を備えている。既に説明しているように、基準点130は、測定対象が写り込んでいる複数枚の写真画像から測定対象の寸法を解析する際に、複数枚の写真画像同士の間で互いに対応する対応点として利用される。
なお、基準点130の個数は、最少でも8個とする。既に説明しているように、この8個という個数は、写真画像からエピポーラ幾何に基づいて、3次元解析を行うために最小限必要とされている個数である。これら基準点130は、測定対象と一緒に撮影されて、エピポーラ幾何に基づいて測定対象の寸法を解析する際の位置基準および長さ基準を与えるものである。
さらに、これら基準点130は、3次元画像における寸法解析のための基準位置座標としても利用されるとともに、各基準点130間の距離は、同様に、寸法解析のための基準距離として利用される。
基準点130のそれぞれは、基材110の閉ループに沿って互いに離間して配列されている。基準点130は、特に、真円を形成する閉ループ上に、配置されていることが好ましい。なぜなら、基準点130は四角形などの多角形上に配置されていると、カメラの撮影領域から外れる恐れがあるので、真円に沿って基準点130を配列することにより、測定対象にごく近い位置での撮影であっても、これら基準点130をカメラの撮影領域内に、すなわち、写真画像に容易に写し込めるようにしている。
基材110は、基準点130に対し下地としての役割を有している。この基材110の地色と基準点130の色は、コンピュータが基準点130を容易に識別できるように、コントラスト比が高いことが好ましい。そこで、好ましくは、この地色を黒色にし、また、基準点130の色を白色(ただし、灰色や淡い青白色などの白系統の色を含む)にするとよい。この基準点130は、塗布や、印刷、焼付け、その他の任意の好適な方法で、基材110の主表面に形成すればよい。
なお、基準点130は、複数方向から撮影された写真画像に写る基準点130(すなわち、対応点)の中心位置を正確に識別できるように、好ましくは、円形(真円)のマークとして形成するとよい。
また、基準点130は、隣接するもの同士の間の距離が精確に定まっていれば、隣接する個々の基準点130間で任意の間隔とすることができるが、等間隔とすることがより好ましい。
また、基準点130は、最遠のもの同士の距離(すなわち、基材の径の両端に位置する2個の基準点の距離)が、10cm、20cm、50cm、150cm、その他になるように、用途に応じて決めることができる。
なお、閉ループの幅は、例えば円形の基準点130の直径の1.5倍のように、設計に応じて任意に決めることができる。
なお、従来では、基準点は、特定の位置に正確に固定されておらず、現場でその都度設定していた。そのため、基準点と基準尺は、別体であった。すなわち、2個の基準点の間隔は、必ずしも正確な距離を示していなかった。これに対し、この発明の治具100では、基準点130は、それぞれ、基材110の同一主表面上の特定の位置に固定されている。そのため、基準点130と基準尺は、一体になっている。すなわち、2個の基準点130の間隔は、基準距離としての正確な距離を与えるので、予め、その間隔が精確になるように、基準点130を設定しておけばよい。
なお、治具100の大きさ(すなわち、外径)Aは、(1×10)〜(n×100)cm程度(nは任意の整数)が好ましい。ただし、手で持ち運ぶ場合や車両などに積み込む場合を考慮すると、治具100の大きさAは、最大でも200cm程度が好ましい。また、測定対象が透かし穴120の中に写り込むようにすることを考慮すると、治具100の大きさAは、30〜150cm程度がさらに好ましい。また、治具100の厚さTは、写真画像に写る測定対象の隠れ量が小さくなるように、薄くすることが好ましい。具体的には、3〜5mm程度が好ましい。また、透かし穴120の大きさ(直径)、すなわち、基材110の内径Bは、治具100の大きさAに応じて適宜決めることができる。また、基準点130の大きさ(直径)Cは、基材110の閉ループに沿って配置できる大きさであればよい。
<測定用治具の使用例>
以下、図2〜図6を参照して、実施例1の測定用治具の使用例につき説明する。図2〜図6は、それぞれ、治具の使用例を示す図である。
以下、図2〜図6を参照して、実施例1の測定用治具の使用例につき説明する。図2〜図6は、それぞれ、治具の使用例を示す図である。
図2に示す例では、2つのパイプ300を繋ぐ継ぎ手305のフランジ310の対向面間の距離や、パッキン320に発生したひび割れ330、その他を測定対象とし、その寸法を測定する。
測定現場の作業員は、測定対象の前に治具100を設置する。なお、図2に示す例では、作業員は、治具100の透かし穴120を通して2つのパイプ300に連結されたフランジ310を見通せるように、当該フランジ310に治具100を立て掛けたり、あるいは、図示していない支持体で治具100を保持することにより、治具100を設置している。
ところで、治具100は、閉ループを形成する基材110によって構成される。これは、各基準点130を閉ループ上に配置するためである。これにより、コンピュータは、測定対象の寸法を解析する際に、基準点の位置を、閉ループの形状によって識別することができる。
また、治具100は、基材110が平らな部材によって円環状の閉ループに形成され、さらに、各基準点130がその閉ループに沿って基材110の平坦な主表面上に設けられている。これは、持ち運びを容易にするとともに、各基準点130を常に同一平面内に配置するためである。
測定対象の前に治具100を設置すると、作業員は、複数台のデジタルカメラ(以下、単にカメラと称する)200で、測定対象と治具100の8個以上の基準点130がデジタル写真画像(以下、単に写真画像と称する)に写り込むように、複数方向から複数回撮影する。
例えば図2に示す例では、作業員は、2台のカメラ200a、200bを、測定対象と治具100の8個以上の基準点130とがカメラ200の撮影画角(すなわち、図2に示す2つの矢印の間の角度)内でかつ焦点深度内となるように配置している。
そして、作業員は、一方の方向からカメラ200aで任意の回数(例えば1回)撮影し、その後、他方の方向からカメラ200bで任意の回数(例えば1回)撮影し、これにより、複数枚の写真画像を取得する。
図3は、2台のカメラ200b、200aのうち、カメラ200aで一方の方向から撮影する場合における、測定対象と治具100とを示している。他方、図4は、カメラ200bで他方の方向から撮影する場合における、測定対象と治具100とを示している。図3と図4に示す例では、測定対象は、写真画像の中の、治具100の透かし穴130内に写り込むことになる。なお、図3に示す例では、測定対象は、左側に片寄って写真画像に写り込むことになる。これに対して、図4に示す例では、測定対象は、右側に片寄って写真画像に写り込むことになる。また、治具100の12個の基準点130は、少なくとも8個以上が写真画像に写り込むことになる。なお、図3と図4は、ある1個の基準点130が、カメラ200aで撮影された写真画像の中には対応点130aとして写り込み、カメラ200bで撮影された写真画像の中には対応点130bとして写り込むことを示している。
作業員は、撮影が終了すると、従来周知の通り、撮影により取得された複数枚の写真画像を、電子データとして、通信装置を用いて、解析センタに送信する。
解析センタの作業員は、現場から複数枚の写真画像を受信すると、それらの写真画像を解析装置であるコンピュータに入力する。
コンピュータは、従来と同様にして、測定対象の寸法を、エピポーラ幾何に基づいて解析する。なお、このとき、コンピュータは、各基準点130が同一平面上にあることを前提にして解析する。
この解析では、8個の対応点の座標値および各対応点間の距離が画像解析上の基準位置および基準尺になるので、寸法を3次元的に定めることができる。例えば、図2に示す例では、ひび割れ330の長さを、パッキン320のラウンドに沿って正確に測定できる。また、2つのフランジ310の対向面間の距離を、各点に対して測定できる。この場合、全ての測定点における2つのフランジ310の対向面間の距離が一定であれば、2つのフランジ310は正常に接合されていると判定することができる。また、各測定点における2つのフランジ310の対向面間の距離が異なっていれば、2つのフランジ310は正常に接合されていないと判定することができる。すなわち、2つのフランジ310の対向面間の距離がある方向に向かって徐々に変化していると測定された場合には、2つのフランジ310間の接合が異常であると判定することができる。
なお、仮に、写真画像に写り込んでいる対応点の数が8個未満の場合であっても、対応点の数が最少で7個あれば、コンピュータは、測定対象の寸法を解析することができる。ただし、この場合は、その解析値に誤差が生じる可能性がある。
図5に示す例では、建築物の壁321に生じたひび割れ330を測定対象とし、その寸法を測定している。
測定現場の作業員は、透かし穴120内にひび割れ330が見えるようにして、測定対象の前に治具100を設置する。このとき、作業員は、治具100の正方形(すなわち、図5に示す仮想線400によって形成された図形)を形成する4つの基準点130a、130b、130c、および130dがひび割れ330の主要部を囲むように、治具100を設置する。
測定対象の前に治具100を設置すると、作業員は、測定対象と治具100の8個以上の基準点130が写真画像に写り込むようにカメラ200を移動させて、カメラ200で複数方向から複数回撮影する。
以後の処理は、図3や図4を参照して説明した処理と同様に行えばよい。
図6に示す例では、何か出っ張ったもの、例えば柱322を測定対象とし、その寸法を測定している。
測定現場の作業員は、測定対象を囲むように、透かし穴120内に柱322を位置決めして、治具100を設置する。
測定対象を囲むように治具100を設置すると、作業員は、2台のカメラ200で、測定対象と治具100の8個以上の基準点130が写真画像に写り込むように、複数方向から複数回撮影する。図6に示す例では、作業員は、一方の方向からカメラ200aで1回撮影し、その後、他方の方向からカメラ200bで1回撮影している。
以後の処理は、図3や図4を参照して説明した処理と同様に行えばよい。
以上の通り、実施例1の治具100によれば、治具の構成が従来よりも簡易なため、治具の持ち運びや設置を容易にすることができる。
さらに、この治具100によれば、最少でも8個の基準点が閉ループに沿って等間隔に設けられているので、この治具100を測定対象とともに複数方向から複数回撮影するだけで、8個以上の対応点を複数枚の写真画像に容易に写し込むことができる。そのため、従来、現場の作業員に強いていた負担を軽減することができる。また、測定対象の周囲がラウンドしているような場所でも、基準点130を容易に設置することができる。
さらに、この治具100によれば、必ず閉ループに沿って最少でも8個の基準点130を写真画像に写し込むことができるので、その基準点130に基づく対応点と測定対象とが離間する場合でも、対応点と測定対象との間の距離、すなわち、測定用治具から測定対象までの奥行き方向の距離の解析値に含まれる誤差を従来よりも小さくすることができる。そのため、解析精度を従来よりも高めることができる。
[実施例2]
実施例2は、実施例1の治具100に、基準点130のそれぞれを識別するためのマークを備えた構成例を示している。
実施例2は、実施例1の治具100に、基準点130のそれぞれを識別するためのマークを備えた構成例を示している。
以下、図7を参照して、実施例2の測定用治具の構成につき説明する。
図7に示すように、治具101は、実施例1の治具100に、マーク140と、必要に応じて設けられている取り付け穴150とを備えた構成となっている。
マーク140は、各基準点130のそれぞれの周囲に設けられている。マーク140の個数は、それぞれに対応する基準点130の番号を示している。そのため、マーク140の個数は、それぞれに対応する基準点130によって異なる。図7に示す例では、12個の基準点130に対し、それぞれ、1〜12個のマーク140が設けられている。
取り付け穴150は、例えば壁などに設けられたフックやネジが通ることにより、治具101を壁などに固定する。この治具101を何かに立て掛けて設置したり、図示していない支持体で保持して設置する場合には、取り付け穴150は不要である。
コンピュータは、測定対象の寸法を解析する際に、複数枚の写真画像に写る各基準点130の周囲に設けられたマーク140を識別する。これにより、コンピュータは、複数枚の写真画像に写る各対応点がいずれの番号の基準点130のものであるのかを、このマーク140によって容易に識別することができる。そのため、コンピュータは、複数枚の写真画像に写る各対応点同士の対応関係を正確かつ容易に識別することができる。
このような実施例2の治具101は、実施例1の治具100と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、治具101は、実施例1の治具100に比べて、コンピュータによる各基準点130の識別性を高めることができる。
[実施例3]
実施例3は、閉ループが多角形状に形成された構成例を示している。
実施例3は、閉ループが多角形状に形成された構成例を示している。
以下、図8と図9を参照して、実施例3の測定用治具の構成につき説明する。
図8に示すように、治具102は、三角形状に形成された基材112によって構成されている。その基材112には、各辺につき5個ずつ、3つの辺で合計12個の基準点132が設けられている。12個の基準点132は、等間隔に設けられており、三角形状の閉ループを形成している。なお、各基準点132の周囲には、実施例2に示すマーク140を設けてもよい。
また、図9に示すように、治具103は、四角形状に形成された基材113によって構成されている。その基材113には、各辺につき4個ずつ、4つの辺で合計12個の基準点133が設けられている。12個の基準点133は、等間隔に設けられており、四角形状の閉ループを形成している。なお、各基準点133の周囲には、実施例2に示すマーク140を設けてもよい。
なお、ここでは、閉ループが三角形状または四角形状に形成された構成例を示しているが、閉ループは五角形、六角形、あるいはそれ以上の多角形の形状に形成することもできる。ただし、この場合には、基準点が多角形状の閉ループの各頂点に存在するように、基準点を配列する必要がある。このようにすれば、頂点の基準点間の距離を最大基準距離として利用することができる。
このような実施例3の治具102および103は、実施例1の治具100と同様の作用効果を得ることができる。
[実施例4]
実施例4は、プラスチック、金属、紙などの、硬くかつ熱膨張係数の小さい媒体からなる基材に、基準点を印刷形成した構成例を示している。
実施例4は、プラスチック、金属、紙などの、硬くかつ熱膨張係数の小さい媒体からなる基材に、基準点を印刷形成した構成例を示している。
以下、図10を参照して、実施例4の測定用治具の構成につき説明する。
図10に示すように、治具104は、硬くかつ熱膨張係数の小さい媒体からなる基材114によって構成されている。その基材114には、12個の基準点130が印刷形成されている。12個の基準点132は、等間隔に設けられており、円形(真円)状の閉ループを形成している。なお、各基準点130の周囲には、実施例2に示すマーク140を設けてもよい。また、閉ループの内側には、実施例1に示す透かし穴120を設けてもよい。
このような実施例4の治具104は、実施例1の治具100と同様の作用効果を得ることができる。
[実施例5]
実施例5は、2つの平らな基材を直角に交差するように配置して、立体的に形成した構成例を示している。
実施例5は、2つの平らな基材を直角に交差するように配置して、立体的に形成した構成例を示している。
以下、図11を参照して、実施例5の測定用治具の構成につき説明する。
図11に示すように、治具105は、2つの平らな基材110と基材115とによって構成されている。
第1の基材110は、実施例1のものと同じものである。第1の基材110は、円環状の閉ループを形成している。なお、第1の基材110の基準点130は、測定対象の解析に際して、平面的な、X−Y軸平面上の対応点となる。
これに対して、第2の基材115は、第1の基材110を半分に切欠いたものである。第2の基材115は、第1の基材110の閉ループと同径の、半円環状の半ループを形成している。
第2の基材115は、変形しない程度の厚さを確保することが好ましい。ただし、第2の基材115による測定対象の隠れ量が少なくなるように、第2の基材115の厚みは、可能な限り薄くすることが好ましい。そこで、第2の基材115の厚さは、第2の基材115が変形して基準点間の距離に変化を生じてしまうことがなければ、好ましくは、1〜2mmにするとよい。
第1の基材110と第2の基材115は、互いの閉ループの中心点を通る線上、すなわち、直径上の位置で90°に交差している。したがって、第1の基材110と第2の基材115の閉ループは、互いの径の両端が重なるとともに90°の角度をなすように、配置されている。
第2の基材115は、半円環状の半ループの内部に、透かし穴125を備えている。また、第2の基材115は、その主表面に、5個の円形の基準点135と2個の半円形の基準点135とを備えている。なお、半円形の基準点135は、第1の基材110の円形の基準点130の半分と結合して、直角に折れ曲がった1つの基準点を構成している。基準点135は、第2の基材115の閉ループに沿って、等間隔に設けられている。なお、第2の基材115の基準点135は、測定対象の解析に際して、立体的な、X−Z軸平面またはY−Z軸平面上の対応点となる。
なお、各基準点130および135の周囲には、実施例2に示すマーク140を設けてもよい。
このような実施例5の治具105は、実施例1の治具100と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、治具105は、第2の基材115を把持部として用いることができるため、容易に持ち運ぶことができる。
さらに、治具105は、実施例1の治具100に比べて、基準点130および135が2次元方向だけでなく3次元方向にも配置されているので、3次元方向への位置関係が正確な複数の基準点を各写真画像に写し込むことができる。そのため、実施例1の治具100よりも、対応点と測定対象との間の距離、すなわち、測定用治具から測定対象までの奥行き方向の距離の解析値に含まれる誤差を小さくすることができ、これによって、コンピュータによる解析精度を高めることができる。
さらに、実施例1の治具100は、基準点130が2次元方向にしか配置されていない。そのため、治具100は、コンピュータによる解析精度を高めるためには、多くのデータ量が必要である。これに対して、実施例5の治具105は、基準点130および135が2次元方向だけでなく3次元方向にも配置されている。そのため、治具105は、実施例1の治具100よりも少ないデータ量で、コンピュータによる解析精度を高めることができる。
[実施例6]
実施例6は、実施例5の円環状の閉ループを形成する第1の基材110を半分に切欠いた構成例を示している。
実施例6は、実施例5の円環状の閉ループを形成する第1の基材110を半分に切欠いた構成例を示している。
以下、図12を参照して、実施例6の測定用治具の構成につき説明する。
図12に示すように、治具106は、2つの平らな、すなわち、平行平面板状の第3の基材116と第4の基材117とによって構成されている。
第3の基材116は、実施例5の第1の基材110を半分に切欠いたものに相当する。
第3の基材116は、半円環状の半ループを形成している。
この第3の基材116は、半ループで囲まれた内側に、透かし穴126を備えている。
また、第3の基材116は、5個の円形の基準点136と2個の半円形の基準点136とを備えている。基準点136は、第3の基材116の半ループに沿って、等間隔に設けられている。なお、各基準点135および136の周囲には、実施例2に示すマーク140を設けてもよい。
一方、第4の基材117は、実施例5で説明した第2の基材115に相当する。
このような実施例6の治具106は、実施例5の治具105と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、治具106は、実施例5の治具105に比べて、コンパクトな形状となっている。そのため、測定現場が小さなスペースしかない場合に、容易に設置することができる。また、車に載せるような場合でも、小さなスペースの荷台に載せることができるため、運搬し易い。
[実施例7]
実施例7は、L字状に形成された平行平面板状の第5の基材の主表面に、最少でも8個の基準点によって閉ループが形成された構成例を示している。
実施例7は、L字状に形成された平行平面板状の第5の基材の主表面に、最少でも8個の基準点によって閉ループが形成された構成例を示している。
以下、図13(A)〜(D)と図14(A)〜(D)を参照して、実施例7の測定用治具の構成につき説明する。なお、図13(A)〜(D)と図14(A)〜(D)に示す例では、1つのL字状に形成された平行平面板状の基材によって治具を形成しているが、2つの平行平面板状の基材を直角に結合することによって、治具を形成してもよい。
図13(A)に示すように、治具107aは、平行平面板状の基材、すなわち、平らな基材118aによって構成されている。
また、基材118aは、その主表面に、12個の円形の基準点138aを備えている。基準点138aのそれぞれは、全体の配列が円形となるように、等間隔に設けられている。これによって、基材118aは、内部に、円形の閉ループが形成されている。
さらに、基材118aは、閉ループが直角に折れ曲がるように、L字状に形成されている。
図13(B)に示すように、治具107bは、平行平面板状の基材118bによって構成されている。
また、基材118bは、その主表面に、12個の円形の基準点138bを備えている。基準点138bのそれぞれは、全体の配列が正三角形となるように、等間隔に設けられている。これによって、基材118bは、内部に、正三角形の閉ループが形成されている。
さらに、基材118bは、閉ループが直角に折れ曲がるように、L字状に形成されている。
図13(C)に示すように、治具107cは、平行平面板状の基材118cによって構成されている。
また、基材118cは、その主表面に、12個の円形の基準点138cを備えている。基準点138cのそれぞれは、全体の配列が正方形となるように、等間隔に設けられている。これによって、基材118cは、内部に、正方形の閉ループが形成されている。
さらに、基材118cは、閉ループが直角に折れ曲がるように、L字状に形成されている。
図13(D)に示すように、治具107dは、平行平面板状の基材118dによって構成されている。
また、基材118dは、その主表面に、12個の円形の基準点138dを備えている。基準点138dのそれぞれは、全体の配列がひし形となるように、等間隔に設けられている。これによって、基材118dは、内部に、ひし形の閉ループが形成されている。
さらに、基材118dは、閉ループが直角に折れ曲がるように、L字状に形成されている。
図14(A)に示すように、治具108aは、図13(A)に示す治具107aに比べて、基材118aの内部に、円形の透かし穴128aが開けられている。この透かし穴128aは、基材118aの主表面に設けられた12個の基準点138aに沿って、その内部に、開けられている。これにより、基材118aは、12個の基準点138aとともに、この透かし穴128aによっても、内部に、円形の閉ループが形成されている。
図14(B)に示すように、治具108bは、図13(B)に示す治具107bに比べて、基材118bの内部に、正三角形の透かし穴128bが開けられている。この透かし穴128bは、基材118bの主表面に設けられた12個の基準点138bに沿って、その内部に、開けられている。これにより、基材118bは、12個の基準点138bとともに、この透かし穴128bによっても、内部に、正三角形の閉ループが形成されている。
図14(C)に示すように、治具108cは、図13(C)に示す治具107cに比べて、基材118cの内部に、正方形の透かし穴128cが開けられている。この透かし穴128cは、基材118cの主表面に設けられた12個の基準点138cに沿って、その内部に、開けられている。これにより、基材118cは、12個の基準点138cとともに、この透かし穴128cによっても、内部に、正方形の閉ループが形成されている。
図14(D)に示すように、治具108dは、図13(D)に示す治具107dに比べて、基材118dの内部に、ひし形の透かし穴128dが開けられている。この透かし穴128dは、基材118dの主表面に設けられた12個の基準点138dに沿って、その内部に、開けられている。これにより、基材118dは、12個の基準点138dとともに、この透かし穴128dによっても、内部に、ひし形の閉ループが形成されている。
なお、透かし穴128a〜128dの形状は、適宜変形することができる。
また、各基準点138a〜138dの周囲には、実施例2に示すマーク140を設けてもよい。
このような実施例7の治具107a〜107dおよび108a〜108dは、実施例6の治具106と同様の作用効果を得ることができる。
さらに、治具107a〜107dは、実施例6の治具106に比べて、構成が簡易なため、低コストで大量に製造することができる。
この発明は、前述の実施例に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。例えば、基材に設ける基準点配列の間隔は、必ずしも等間隔でなくてもよい。
この発明は、建築物に限らず、様々な物品や画像などの寸法の測定に利用することができる。
さらに、この発明は、約2m以下の小型の測定対象の写真測量用のターゲットとして用いるのに特に好適である。
さらに、この発明は、治具を超微小なサイズに形成することにより、光学顕微鏡や電子顕微鏡等の写真測量用のターゲットに利用することができる。例えば、可能ならば、治具をミクロンまたはそれ以下のサイズに形成し、その治具を光学顕微鏡や電子顕微鏡等の測定用ステージやその他の箇所に取り付けることにより、数ミクロンまたはそれ以下の超微小なサイズの測定対象の写真測量用のターゲットとして用いることも可能である。
100 …測定用治具(治具)
110 …基材(平らな部材)
120 …透かし穴
130 …基準点
A …治具の径
B …透かし穴の径
C …基準点の径
T …治具の厚さ
110 …基材(平らな部材)
120 …透かし穴
130 …基準点
A …治具の径
B …透かし穴の径
C …基準点の径
T …治具の厚さ
Claims (2)
- 円環状の閉ループを形成する、平行平面板状の第1の基材と、半円環状の半ループを形成する、平行平面板状の第2の基材とによって構成され、
該第1の基材の前記閉ループおよび該第2の基材の前記半ループは、互いに等しい直径を有しており、
該第2の基材は、その両端を、第1の基材の直径上の位置で、該第1の基材に対して直角に結合して、配置されており、
該第1および第2の基材は、それぞれの主表面に、測定対象が写り込んでいる複数枚の写真画像から該測定対象の寸法を解析する際の対応点となる、複数の基準点をそれぞれ備えており、
該第1および第2の基材の前記基準点の総数は、最少でも8個であり、
該第1および第2の基材の前記基準点のそれぞれは、前記第1の基材の直径で分割された半ループと、前記第2の基材の前記半ループとで構成される直角に折れ曲がった一つの閉ループに沿って等間隔に配列されている
ことを特徴とする測定用治具。 - 半円環状の半ループを形成する、平行平面板状の第3の基材と、半円環状の半ループを形成する、平行平面板状の第4の基材とによって構成され、
該第3および第4の基材の前記半ループは、互いに等しい直径を有しており、
該第4の基材は、その両端を、前記第3の基材の直径上の位置で、該第3の基材に対して直角に結合して、配置されており、
該第3および第4の基材は、互いに直行して連続したそれぞれの主表面に、測定対象が写り込んでいる複数枚の写真画像から該測定対象の寸法を解析する際の対応点となる、複数の基準点をそれぞれ備えており、
該第3および第4の基材の前記基準点の総数は、最少でも8個であり、
該第3および第4の基材の前記基準点のそれぞれは、前記第3の基材の半ループと、前記第4の基材の前記半ループとで構成される直角に折れ曲がった一つの閉ループに沿って等間隔に配列されている
ことを特徴とする測定用治具。
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