JP3838499B2 - アクチュエータの温度検出方法および電気式動力舵取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクチュエータの温度検出方法および電気式動力舵取装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
サーミスタ等の温度センサを用いることなく、アクチュエータの温度を検出するものとして、例えば、特開平10−100913号公報に開示される「電動パワーステアリング装置の制御装置」がある。これは、操舵状態を検出し、該操舵状態に応じたアシスト力をモータにより発生させて操舵をアシストする電気式動力舵取装置において、操舵トルクを検出するトルクセンサによって当該モータの巻線温度を推定するものである。
【0003】
ところが、このような電気式動力舵取装置に用いられるトルクセンサの場合、トーションバー等のねじれ量をセンサリングと電磁結合するセンサコイルのインダクタンス変化量として測定することによりトルクを検出し得る構成を採ることが多い(特開2000−146722号公報による「トルクセンサ」参照)。そのため、このような1コイル構成のトルクセンサにより操舵角を検出しようとしても相対的な操舵角を検出し得るにとどまることから、トルク検出に加えて絶対角の検出も求められるアプリケーションにおいては、このようなトルクセンサに代わって、絶対角度も検出可能なレゾルバが用いられるようになってきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように1コイル構成のトルクセンサに代わってレゾルバが用いられるようになると、今度は温度を測定する温度センサやその温度検出回路が別個に必要となる。そのため、レゾルバによりトルクや角度を検出するような構成を採ると、部品点数の増加に伴う製品コストの増大や故障発生率の上昇を招くという新たな問題を生じる。
【0005】
また、前述したような1コイル構成のトルクセンサを電気式動力舵取装置に用いる場合には、操舵トルクを検出する必要から、通常、ステアリングホイールの近傍に設けられる反面、アシスト力を発生するモータから物理的に離れたところに位置する構成を採る場合が多い。そのため、温度検出の対象となる当該モータから離れたところにあるトルクセンサを用いて温度を検出しようとすると、ある程度の検出誤差が発生し得るという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、温度センサを用いることなく、アクチュエータやモータの温度を正確に検出し得るアクチュエータの温度検出方法および電気式動力舵取装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の作用・効果】
上記目的を達成するため、請求項1のアクチュエータの温度検出方法では、レゾルバにより制御角度を検出されるアクチュエータの温度を検出するアクチュエータの温度検出方法であって、前記アクチュエータから離隔して位置する第1のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を、請求項1に記載の式 (1) 、 (2) により表したとき、式 (1) のφsおよび式 (2) のφcに基づいて、前記 sin 相の振幅a0および前記 cos 相の振幅b0を算出し、これらの振幅a0、b0から算出される位相ずれφと温度との関係から、当該第1のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度を、求める第1ステップと、前記第1のレゾルバと前記アクチュエータとの間に位置する第2のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を上式 (1) 、 (2) により表したとき、上式 (1) のφsおよび上式 (2) のφcに基づいて、前記 sin 相の振幅a0および前記 cos 相の振幅b0を算出し、これらの振幅a0、b0から算出される位相ずれφと温度との関係から、当該第2のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度を、求める第2ステップと、「前記第1ステップによる第1レゾルバ温度」、「前記第2ステップによる第2レゾルバ温度」および「前記第1、第2のレゾルバ、前記アクチュエータの3者間の熱伝導距離」に基づいて、前記アクチュエータの温度を求める第3ステップと、を含むことを技術的特徴とする。
【0008】
請求項1の発明では、第1ステップにより、アクチュエータから離隔して位置する第1のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度を求め、第2ステップにより、第1のレゾルバとアクチュエータとの間に位置する第2のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度を求め、第3ステップにより、第1レゾルバ温度、第2レゾルバ温度および第1、第2のレゾルバ、アクチュエータの3者間の熱伝導距離に基づいて、アクチュエータの温度を求める。これにより、第1レゾルバ温度および第2レゾルバ温度といった2箇所の温度データと、第1、第2のレゾルバ、アクチュエータの3者間の熱伝導距離とに基づいてアクチュエータの温度を求めることから、3者間の単位熱伝導距離当たりの温度傾斜に求めることにより、アクチュエータの温度を容易かつ正確に求めることができる。したがって、温度センサを用いることなく、アクチュエータの温度を正確に検出することができる。
【0009】
また、請求項2のレゾルバにより制御角度を検出されるアクチュエータの温度を検出するアクチュエータの温度検出方法であって、前記アクチュエータから離隔して位置する第1のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を、請求項2に記載の式 (1) 、 (2) により表したとき、式 (1) のKsまたは式 (2) のKcに基づいて、前記Ksの変化と温度との関係または前記Kcの変化と温度との関係から、当該第1のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度を、求める第1ステップと、前記第1のレゾルバと前記アクチュエータとの間に位置する第2のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を上式 (1) 、 (2) により表したとき、上式 (1) のKsまたは上式 (2) のKcに基づいて、前記Ksの変化と温度との関係または前記Kcの変化と温度との関係から、当該第2のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度を、求める第2ステップと、「前記第1ステップによる第1レゾルバ温度」、「前記第2ステップによる第2レゾルバ温度」および「前記第1、第2のレゾルバ、前記アクチュエータの3者間の熱伝導距離」に基づいて、前記アクチュエータの温度を求める第3ステップと、を含むことを技術的特徴とする。
【0010】
請求項2の発明では、第1ステップにより、アクチュエータから離隔して位置する第1のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度を求め、第2ステップにより、第1のレゾルバとアクチュエータとの間に位置する第2のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度を求め、第3ステップにより、第1レゾルバ温度、第2レゾルバ温度および第1、第2のレゾルバ、アクチュエータの3者間の熱伝導距離に基づいて、アクチュエータの温度を求める。これにより、第1レゾルバ温度および第2レゾルバ温度といった2箇所の温度データと、第1、第2のレゾルバ、アクチュエータの3者間の熱伝導距離とに基づいてアクチュエータの温度を求めることから、3者間の単位熱伝導距離当たりの温度傾斜に求めることにより、アクチュエータの温度を容易かつ正確に求めることができる。したがって、温度センサを用いることなく、アクチュエータの温度を正確に検出することができる。
【0011】
さらに、請求項3の電気式動力舵取装置では、操舵状態を検出し、該操舵状態に応じたアシスト力をモータにより発生させて操舵をアシストする電気式動力舵取装置であって、前記操舵状態を検出する第1のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を、請求項2に記載の式 (1) 、 (2) により表したとき、式 (1) のφsおよび式 (2) のφcに基づいて、前記 sin 相の振幅a0および前記 cos 相の振幅b0を算出し、これらの振幅a0、b0から算出される位相ずれφと温度との関係から、当該第1のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度を、求める第1レゾルバ温度検出手段と、前記モータの回転状態を検出する第2のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を上式 (1) 、 (2) により表したとき、上式 (1) のφsおよび上式 (2) のφcに基づいて、前記 sin 相の振幅a0および前記 cos 相の振幅b0を算出し、これらの振幅a0、b0から算出される位相ずれφと温度との関係から、当該第2のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度を、求める第2レゾルバ温度検出手段と、「前記第1レゾルバ温度検出手段による第1レゾルバ温度」、「前記第2レゾルバ温度検出手段による第2レゾルバ温度」および「前記第1、第2のレゾルバ、前記モータの3者間の熱伝導距離」に基づいて、前記モータの温度を求めるモータ温度検出手段と、を備えることを技術的特徴とする。
【0012】
請求項3の発明では、第1レゾルバ温度検出手段により、操舵状態を検出する第1のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度を求め、第2レゾルバ温度検出手段により、モータの回転状態を検出する第2のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度を求め、モータ温度検出手段により、第1レゾルバ温度、第2レゾルバ温度および第1、第2のレゾルバ、モータの3者間の熱伝導距離に基づいて、モータの温度を求める。これにより、第1レゾルバ温度および第2レゾルバ温度といった2箇所の温度データと、第1、第2のレゾルバ、モータの3者間の熱伝導距離とに基づいてモータの温度を求めることから、3者間の単位熱伝導距離当たりの温度傾斜に求めることにより、モータの温度を容易かつ正確に求めることができる。したがって、温度センサを用いることなく、モータの温度を正確に検出することができる。
【0013】
また、請求項4の電気式動力舵取装置では、操舵状態を検出し、該操舵状態に応じたアシスト力をモータにより発生させて操舵をアシストする電気式動力舵取装置であって、前記操舵状態を検出する第1のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を、請求項4に記載の式 (1) 、 (2) により表したとき、式 (1) のKsまたは式 (2) のKcに基づいて、前記Ksの変化と温度との関係または前記Kcの変化と温度との関係から、当該第1のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度を、求める第1レゾルバ温度検出手段と、前記モータの回転状態を検出する第2のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を上式 (1) 、 (2) により表したとき、上式 (1) のKsまたは上式 (2) のKcに基づいて、前記Ksの変化と温度との関係または前記Kcの変化と温度との関係から、当該第2のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度を、求める第2レゾルバ温度検出手段と、「前記第1レゾルバ温度検出手段による第1レゾルバ温度」、「前記第2レゾルバ温度検出手段による第2レゾルバ温度」および「前記第1、第2のレゾルバ、前記モータの3者間の熱伝導距離」に基づいて、前記モータの温度を求めるモータ温度検出手段と、を備えることを技術的特徴とする。
【0014】
請求項4の発明では、第1レゾルバ温度検出手段により、操舵状態を検出する第1のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度を求め、第2レゾルバ温度検出手段により、モータの回転状態を検出する第2のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度を求め、モータ温度検出手段により、第1レゾルバ温度、第2レゾルバ温度および第1、第2のレゾルバ、モータの3者間の熱伝導距離に基づいて、モータの温度を求める。これにより、第1レゾルバ温度および第2レゾルバ温度といった2箇所の温度データと、第1、第2のレゾルバ、モータの3者間の熱伝導距離とに基づいてモータの温度を求めることから、3者間の単位熱伝導距離当たりの温度傾斜に求めることにより、モータの温度を容易かつ正確に求めることができる。したがって、温度センサを用いることなく、モータの温度を正確に検出することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のレゾルバを用いた温度検出方法、アクチュエータの温度検出方法および電気式動力舵取装置の実施形態について図を参照して説明する。なお、以下の各実施形態では、本発明の電気式動力舵取装置を自動車等の車両の電気式動力舵取装置に適用した例を挙げて説明する。
【0016】
まず、本実施形態に係る電気式動力舵取装置10の主な構成を図1に基づいて説明する。図1に示すように、電気式動力舵取装置10は、主に、ステアリングホイール11、ステアリング軸12、ピニオン軸13、トーションバー14、第1角度センサ15用のレゾルバ15s、第2角度センサ16用のレゾルバ16s、減速機17、ラックピニオン18、モータ回転角センサ19用のレゾルバ19s、モータM、ECU20等から構成されており、ステアリングホイール11による操舵状態を検出し、その操舵状態に応じたアシスト力をモータMにより発生させて運転者による操舵をアシストするものである。なお、ラックピニオン18の両側には、それぞれタイロッド等を介して図略の車輪が連結されている。
【0017】
即ち、ステアリングホイール11にはステアリング軸12の一端側が連結され、このステアリング軸12の他端側にはトーションバー14の一端側が連結されている。またこのトーションバー14の他端側にはピニオン軸13の一端側が連結され、このピニオン軸13の他端側にはラックピニオン18のピニオンギアが連結されている。またステアリング軸12およびピニオン軸13には、それぞれの回転角(操舵角θ1 、θ2 )を絶対的に検出可能なレゾルバ15s、16sがそれぞれ設けられており、各々ECU20に電気的に接続されている。
【0018】
これにより、ステアリング軸12とピニオン軸13とをトーションバー14により相対回転可能に連結することができるとともに、ステアリング軸12の回転角(操舵角θ1 )をレゾルバ15sによる第1角度センサ15によって、またピニオン軸13の回転角(操舵角θ2 )をレゾルバ16sによる第2角度センサ16によって、それぞれ検出することができる。そのため、ステアリング軸12の回転角を第1角度センサ15によって操舵角θ1 として検出することができるとともに、第1角度センサ15によるステアリング軸12の操舵角θ1 と第2角度センサ16によるピニオン軸13の操舵角θ2 との角度差(または偏差)や、角度比等からトーションバー14のねじれ量(操舵トルクに対応するもの)をねじれ角として検出することができる。
【0019】
また、このピニオン軸13の途中には、モータMにより発生する駆動力を所定の減速比で伝達する減速機17が図略のギアを介して噛合されており、当該減速機17介してモータMの駆動力、つまりアシスト力をピニオン軸13に伝え得るように構成されている。さらにこのモータMにも、その回転角(モータ回転角θM )を検出し得るレゾルバ19sによるモータ回転角センサ19が設けられており、このレゾルバ19sもECU20に電気的に接続されている。
【0020】
なお、電気式動力舵取装置10に用いられるレゾルバ15s、16s、19s(以下「レゾルバ15s等」という。)は、いずれも、1相の励磁コイルに励磁信号を与えることにより、2相の出力コイルから検出角度(電気角)に応じたレゾルバ出力信号を得ることができる構成を採る、いわゆる1相励磁2相出力(電圧検出)型のものである。
【0021】
即ち、レゾルバ15s等は、回転子に固定された1相の励磁コイルと、電気角が90度ずれるように巻回された2相の出力コイルとにより構成され、当該回転子は2相の出力コイルに対して回転可能に支持されている。そして、励磁コイルの一端は接地され、他端は後述するAMP32を介してCPU30に電気的に接続されている。また2相の出力コイルは、それぞれの一端がともに接地され、それぞれの他端は独立して出力信号を出力し得るように、後述するAMP34、36を介してCPU30のA/D変換器に電気的に接続されている。
【0022】
レゾルバ15s等をこのように構成することにより、CPU30により生成され、AMP32を介して出力される励磁信号は、励磁コイルに入力されるため、2相の出力コイルはそれぞれ励磁され、出力信号SS、SCが誘起される。この出力信号は、次の式(3) 、(4) のように表すことができるので、当該出力信号がAMP34、36およびA/D変換器を介してCPU30に入力されることで、CPU30による所定の演算処理により回転子の回転角度(電気角)θ、即ち、検出対象の回転角を演算することができる。
【0023】
Ss = E・Ks・sinθ・sin(ωt+φs)+Bs・・・(3)
Sc = E・Kc・cosθ・sin(ωt+φc)+Bc・・・(4)
なお、上式(3) 、(4) において、Ssは sin相における出力信号電圧、Scは cos相における出力信号電圧、Eは励磁信号の振幅、Ksは sin相における励磁コイルと出力コイルとの間の変圧比、Kcは cos相における励磁コイルと出力コイルとの間の変圧比、θは電気角、ωは励磁信号の角速度、tは時間、φsは sin相における励磁コイルと出力コイルとの位相ずれ、φcは cos相における励磁コイルと出力コイルとの位相ずれ、Bsは sin相における出力信号のオフセット電圧、Bcは cos相における出力信号のオフセット電圧である。
【0024】
次に、電気式動力舵取装置10を構成するECU20等の電気的構成および動作を図2および図3に基づいて説明する。
図2に示すように、ECU20は、主に、第1角度センサ15、第2角度センサ16、アシストトルク決定手段21、電流制御手段23、モータ回転角センサ19等により構成されており、具体的には図3に示すように、A/D変換器を内蔵したCPU30(マイクロコンピュータ)、AMP32、34、36や図略のメモリ、各種インタフェイス回路等から構成されている。
【0025】
なお、これらのAMP32、34、36は、電圧または電流を増幅する機能を有する緩衝増幅器で、レゾルバ15s等とCPU30との間に介在している。これにより、AMP32はCPU30の出力ポートPoからレゾルバ15s等に出力される1相励磁信号を増幅する役割を果たし、またAMP34、36はレゾルバ15s等からCPU30のA/D変換器に入力される2相レゾルバ出力信号を増幅する役割を果たしている。
【0026】
これにより、レゾルバ15s等により検出された電気角(検出角度)、即ち操舵角θ1 、θ2 、モータ回転角θM は、2相レゾルバ出力信号としてそれぞれECU20に入力されるため、ECU20では後述するようにCPU30によりこれらの各2相レゾルバ出力信号に基づいて操舵角θ1 、θ2 、モータ回転角θM をそれぞれ算出する。そして、これらの算出された操舵角θ1 、θ2 、モータ回転角θM に基づいて、モータMにより発生させるアシスト力を次述するように決定する。
【0027】
第1角度センサ15は、図1に示すレゾルバ15sの出力に基づき操舵角θ1 を検出する。同様に、第2角度センサ16は、レゾルバ16sの出力に基づき操舵角θ2 を検出する。
アシストトルク決定手段21は、第1角度センサ15により検出された操舵角θ1 と第2角度センサ16により検出された操舵角θ2 とに基づいて、モータMにより発生させるアシスト力を決定するものである。例えば、操舵角θ1 、θ2 の角度差(または偏差)や角度比等に対応して予め設定されたアシスト電流指令IA *のマップや所定の演算処理等によって、アシスト電流指令IA *を求めている。
【0028】
電流制御手段23は、アシストトルク決定手段21により決定されたアシスト電流指令IA *をモータMに流れる実電流IA 、および、モータ回転角センサ19にて検出されたモータMのモータ回転角θM に基づいて、電圧に変換して電圧指令V* を出力するものである。即ち、電流制御手段23では、電流センサ27により検出されたモータMに流れる実電流IA を負帰還させることによって目標とする電圧指令V* を出力するように制御している。
【0029】
モータ駆動手段25は、PWM回路24とスイッチング素子Q1〜Q4とにより構成されている。PWM回路24は、ECU20とは異なるハードウェアにより実現されるパルス幅変調回路で、電流制御手段23から出力される電圧指令V* に応じたパルス幅をもつパルス信号をU相、V相ごとに出力し得るように構成されている。これにより、出力側に接続されるスイッチング素子Q1〜Q4の各ゲートに対応するU相、V相のパルス信号を与えることができるので、パルス幅に応じてスイッチング素子Q1〜Q4をオンオフ動作させることにより、任意にモータMを駆動制御することができる。
【0030】
以上から、電気式動力舵取装置10は、第1角度センサ15および第2角度センサ16により操舵状態を検出し、該操舵状態に応じたアシスト力をモータMにより発生させて運転者による操舵をアシストすることができる。
【0031】
次に、このような電気式動力舵取装置10の操舵トルクおよび操舵角を検出する第2角度センサ16のレゾルバ16s、またモータMのモータ回転角を検出するモータ回転角センサ19のレゾルバ19sを用いて、当該モータMの温度を演算して検出するモータ温度演算処理1〜3の例を図4〜図7に基づいて説明する。なお、以下説明するモータ温度演算処理1〜3は、いずれもCPU30により実行されるプログラムにより演算処理されるものである。
【0032】
まず、モータ温度演算処理1を図4および図7に基づいて説明する。
図4に示すモータ温度演算処理1は、前述した式(3) のφsおよび式(4) のφcに基づいて、レゾルバ15s等の出力信号Ss、Scからレゾルバ15s等の温度あるいはその周囲の温度を求めることにより、モータMの温度T1を検出するものである。
【0033】
図4に示すように、モータ温度演算処理1では、所定の初期化処理の後、まずステップS101により、レゾルバ15s等から出力される出力信号Ss、ScをA/D変換器を介して取得しディジタル値R1〜R8を得る処理が行われる。この処理では、位相120°ごとに9点のディジタル値R1〜R8を得ている。
【0034】
続くステップS103では、ステップS101により取得したディジタル値R1〜R8に基づいて sin近似式の振幅a0を最小二乗法による算出する処理が行われる。具体的には次式(5) により求められるが、その詳細は、本願出願人による特願2002−123868号に係る出願明細書を参照されたい。
a0 = E・Ks・sinθ・cos(φs)・・・(5)
【0035】
次のステップS105では、ステップS101により取得したディジタル値R1〜R8に基づいて cos近似式の振幅b0を最小二乗法による算出する処理が行われる。具体的には次式(6) により求められる。この式(6) の詳細も、式(5) と同様、本願出願人による特願2002−123868号に係る出願明細書を参照されたい。
b0 = E・Kc・sinθ・sin(φc)・・・(6)
【0036】
このように sin相の振幅a0と cos相の振幅b0とが式(5) 、(6) に示すように表されることから、温度依存成分である位相ずれφは次式(7) により求めることができる。つまり、ステップS107では、 sin相の振幅a0と cos相の振幅b0とに基づいて、次式(7) により位相ずれφを算出する処理が行われる。
φ = tan-1(b0/a0) ・・・(7)
【0037】
ステップS107により位相ずれφが算出されると、続くステップS109により、位相ずれφに基づいて温度T1を算出する処理が行われる。具体的には、位相ずれφと温度T1の直線の近似式を用いるか、あるいは予め作成されている変換テーブルやマップを用いることにより、位相ずれφを温度T1に変換する。
【0038】
これにより、レゾルバ15s等から出力される出力信号Ss、Scに基づいて、レゾルバ15s等あるいはその周囲の温度T1を求めることができるので、レゾルバ15s等に近接したところに位置するモータMの初期温度を検出することができる。つまり、レゾルバ15s等の温度とモータMの温度との間に差がない場合、例えば、長期間停止後のエンジン始動時やデッドソーク時等の雰囲気温度の上昇時には、図7(A) に示す第2角度センサ16のレゾルバ16sから出力される出力信号Ss、Scに基づくものであれば、ステップS101〜ステップS109による各処理により得られた温度T1(図7(A) では90℃)がそのままモータMの温度として検出される(図7(A) に示す□(白四角)印)。
【0039】
一方、例えば、エンジン停止後間もないエンジンの再始動時等においては、熱容量の比較的大きなモータMに対し熱容量の小さいレゾルバ15s等の方が急速に冷め易くまた熱し易いので、レゾルバ15s等から出力される出力信号Ss、Scに基づくレゾルバ15s等あるいはその周囲の温度T1の算出だけでは、当該モータMの温度を正確に求めることはできない。そのため、次に説明するステップS113〜ステップS117による各処理が必要となる。
【0040】
そこで、ステップS111により、放熱量の演算が必要であるか否かを判断し、必要であると判断されれば(S111でYes)、ステップS113に処理を移行、また必要であると判断されなければ(S111でNo)、ステップS109で求めた温度T1をモータMの温度とし、一連の本モータ温度演算処理1を終了する。
【0041】
ステップS113では、モータMの実電流IA と電圧指令値V* とに基づいて、モータ消費電力Pmを算出する処理が行われる。そして、ステップS115により、モータ消費電力Pmに基づいて温度TPmを算出する処理が行われる。このステップS115による処理は、モータ消費電力Pmと温度データTPmの直線の近似式を用いるか、あるいは予め作成されている変換テーブルやマップを用いることにより、モータ消費電力Pmを温度TPmに変換する。
【0042】
ステップS115により温度TPmが算出されると、続くステップS117により放熱量の演算も含めた温度T1’が算出される。即ち、ステップS117では、ステップS109で求めた温度T1(例えば図7(B) では70℃)とステップS115で求めた温度TPm(例えば図7(B) では20℃)との和(T1’=T1+TPm(例えば図7(B) では90℃=70℃+20℃))によって、放熱量の演算も含めた温度T1’がモータMの温度として検出される(図7(B) に示す□(白四角)印)。
【0043】
このように、図4に示すモータ温度演算処理1では、前述した式(3) のφsおよび式(4) のφcに基づいて、レゾルバ15s等の出力信号Ss、Scからレゾルバ15s等の温度あるいはその周囲の温度を求めることができる。そのため、温度センサを用いることなく、レゾルバ15s等およびその周囲の温度、ひいてはモータMの温度を、正確に検出することができる。
【0044】
次に、モータ温度演算処理2を図5および図7に基づいて説明する。
図5に示すモータ温度演算処理2は、前述した式(3) のKsおよび式(4) のKcに基づいて、レゾルバ15s等の出力信号Ss、Scからレゾルバ15s等の温度あるいはその周囲の温度を求めることにより、モータMの温度T2を検出するものである。
【0045】
図5に示すように、モータ温度演算処理2では、所定の初期化処理の後、まずステップS201により、レゾルバ15s等から出力される出力信号SsをA/D変換器を介して取得しディジタル値G1、また出力信号ScをA/D変換器を介して取得しディジタル値G2を得る処理が行われる。
【0046】
続くステップS203では、ステップS201により取得したディジタル値G1、G2に基づいて、次式(8) によりレゾルバ15s等の回転子の回転角θを算出する処理が行われる。
θ = tan-1(G1/G2) ・・・(8)
【0047】
ステップS205では、ステップS203により算出した回転角θの判定処理が行われる。即ち、回転角θが、45°<θ<135°または225°<θ<315°の場合には(S205でYes)、ステップS207に処理を移行し、そうでない場合には(S205でNo)、ステップS209に処理を移行する。
【0048】
ステップS207では、次式(9) により変圧比変化K1/K0を算出する。
K1/K0 = G1/G3 ・・・(9)
ここでG3は、予め測定により得ている基準式である次式(10)に、測定時のωtの値であるωt1および測定時のθの値であるθ1を代入した基準値である。
Gs = E・Ks・sin(ωt+φs)・sin(θ) ・・・(10)
【0049】
ステップS209でも、ステップS207と同様に、次式(11)により変圧比変化K1/K0を算出する。
K1/K0 = G2/G4 ・・・(11)
ここでG4は、予め測定により得ている基準式である次式(12)に、測定時のωtの値であるωt1および測定時のθの値であるθ1を代入した基準値である。
Gc = E・Kc・sin(ωt+φc)・cos(θ) ・・・(12)
【0050】
次のステップ211では、ステップS207あるいはステップS209により求めた変圧比変化K1/K0に基づいて温度T2を算出する処理が行われる。具体的には、変圧比変化K1/K0と温度T2の直線の近似式を用いるか、あるいは予め作成されている変換テーブルやマップを用いることにより、変圧比変化K1/K0を温度T2に変換する。
【0051】
これにより、レゾルバ15s等から出力される出力信号Ss、Scに基づいて、レゾルバ15s等あるいはその周囲の温度T2を求めることができる。したがって、レゾルバ15s等に近接したところに位置するモータMの初期温度を検出することができる。このことは、図4に示すステップS109のところで、図7(A) を参照して既に説明したのと同様に、レゾルバ15s等の温度とモータMの温度との間に差がない場合には、ステップS201〜ステップS211による各処理により得られた温度T2(図7(A) では90℃)がそのままモータMの温度として検出される(図7(A) に示す□(白四角)印)。
【0052】
一方、例えば、エンジン停止後間もないエンジンの再始動時等においては、熱容量の比較的大きなモータMに対し熱容量の小さいレゾルバ15s等の方が急速に冷め易くまた熱し易いので、レゾルバ15s等から出力される出力信号Ss、Scに基づくレゾルバ15s等あるいはその周囲の温度T1の算出だけでは、当該モータMの温度を正確に求めることはできない。そのため、ステップS215〜ステップS219による各処理が必要となるが、これらの処理は、図4に示すステップS113〜ステップS117による各処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0053】
ステップS213により、放熱量の演算が必要であるか否かを判断し、必要であると判断されれば(S213でYes)、ステップS215に処理を移行してステップS215〜S219の各処理を行う。また必要であると判断されなければ(S213でNo)、ステップS211で求めた温度T2をモータMの温度とし、一連の本モータ温度演算処理2を終了する。
【0054】
このように、図5に示すモータ温度演算処理2では、前述した式(3) のKsおよび式(4) のKcに基づいて、レゾルバ15s等の出力信号Ss、Scからレゾルバ15s等の温度あるいはその周囲の温度を求めることができる。そのため、図4に示すモータ温度演算処理1により、前述した式(3) のφsおよび式(4) のφcに基づいてモータMの温度T1を検出するだけでなく、KsおよびKcに基づいてもモータMの温度T2を検出することにより、異なる側面から二重にモータMの温度を求めて検出することができる。したがって、温度センサを用いることなく、レゾルバ15s等およびその周囲の温度、ひいてはモータMの温度を、さらに正確に検出することができる。
【0055】
続いて、モータ温度演算処理3を図1、図6および図7に基づいて説明する。図6に示すモータ温度演算処理3は、図4を参照して説明したモータ温度演算処理1または図5を参照して説明したモータ温度演算処理2により、モータMから離隔して位置するレゾルバ16sの第1レゾルバ温度Tφsを求め、同様にモータ温度演算処理2またはモータ温度演算処理3により、レゾルバ16sとモータMとの間に位置するレゾルバ19sの第2レゾルバ温度Tφmを求めることによって、第1レゾルバ温度Tφs、第2レゾルバ温度Tφmおよびレゾルバ16s、19s、モータMの3者間の熱伝導距離に基づいて、モータMの温度T3を検出するものである。
【0056】
図6に示すように、モータ温度演算処理3では、所定の初期化処理の後、まずステップS301により、第1レゾルバ温度Tφsを算出する処理が行われる。即ち、図1に示すように、モータMから離れて位置するレゾルバ16sの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度Tφsを、前述したモータ温度演算処理1のステップS101〜S109またはモータ温度演算処理2のステップS201〜S211により算出する処理を行う。これにより、例えば、図7(A) 、(B) に示すような●(黒丸)印の第1レゾルバ温度Tφsが得られる。
【0057】
次のステップS303では、第2レゾルバ温度Tφmを算出する処理が行われる。即ち、図1に示すように、レゾルバ16sとモータMとの間に位置するレゾルバ19sの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度Tφmを、前述したモータ温度演算処理1のステップS101〜S109またはモータ温度演算処理2のステップS201〜S211により算出する処理を行う。これにより、例えば、図7(A) 、(B) に示すような▲(黒三角)印の第2レゾルバ温度Tφmが得られる。
【0058】
続くステップS305では、ステップS301で算出した第1レゾルバ温度TφsとステップS303で算出した第2レゾルバ温度Tφmとに基づいて、モータMの温度T3を算出する処理が行われる。具体的には、例えば、レゾルバ16sとレゾルバ19sとの間における単位熱伝導距離当たりの温度傾斜ΔTを次式(13)により算出し、さらに次式(14)に示すように、レゾルバ19sとモータMとの熱伝導距離d2に換算した温度増減を第2レゾルバ温度Tφmに加える演算を行うことによりモータMの温度T3を算出する。
ΔT = (Tφs−Tφm)/d1 ・・・(13)
T3 = ΔT・d2+Tφm ・・・(14)
ここで、d1はレゾルバ16sとレゾルバ19sとの間の熱伝導距離、d2はレゾルバ19sとモータMとの間の熱伝導距離である。
【0059】
また、上式(13)、(14)によることなく、第1レゾルバ温度Tφs、第2レゾルバ温度Tφmおよびレゾルバ16s、19s、モータMの3者間の熱伝導距離(d1+d2)から、近似式あるいは予め作成されている変換テーブルやマップを用いることにより、モータMの温度T3を求めてもよい。
【0060】
これにより、図7(A) 、(B) に示すように、第1レゾルバ温度Tφs(同図中●(黒丸)印)および第2レゾルバ温度Tφm(同図中▲(黒三角)印)から、モータMの温度T3(同図中○(白丸)印)を求めることができる。そのため、図7(A) に示すような、レゾルバ16s、19sの温度とモータMの温度との間に差がない場合、例えば、長期間停止後のエンジン始動時やデッドソーク時等の雰囲気温度の上昇時であっても、図4、5を参照して説明したモータ温度演算1、2の場合には(図7(A) に示す□(白四角)印による90℃)よりも、さらに正確にモータMの温度あるいはその周囲の温度を検出することができる(図7(A) に示す○(白丸)印による70℃)。
【0061】
また例えば、エンジン停止後間もないエンジンの再始動時等においては、熱容量の比較的大きなモータMに対し熱容量の小さいレゾルバ16s、19sの方が急速に冷め易くまた熱し易いので、レゾルバ16s、19sから出力される出力信号Ss、Scに基づくレゾルバ16s、19sあるいはその周囲の温度T1、T2の算出だけでは、当該モータMの温度を正確に求めることはできないときであっても、図4、5を参照して説明したモータ温度演算1、2の場合(図7(B) に示す□(白四角)印による90℃)よりも、さらに正確にモータMの温度あるいはその周囲の温度を検出することができる(図7((B) に示す○(白丸)印による80℃)。
【0062】
以上説明したように、電気式動力舵取装置10では、ステップS301により、操舵トルクを検出するレゾルバ16sの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度Tφsを図4に示すモータ温度演算処理1または図5に示すモータ温度演算処理2により求め、ステップS303により、モータMのモータ回転角θM を検出するレゾルバ19sの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度Tφmを図4に示すモータ温度演算処理1または図5に示すモータ温度演算処理2により求め、ステップS305により、第1レゾルバ温度Tφs、第2レゾルバ温度Tφmおよびレゾルバ16s、19s、モータMの3者間の熱伝導距離に基づいて、モータMの温度T3を求める。これにより、例えば、レゾルバ16sとレゾルバ19sとの間における単位熱伝導距離当たりの温度傾斜ΔTを上式(13)により算出し、さらに上式(14)に示すように、レゾルバ19sとモータMとの熱伝導距離d2に換算した温度増減を第2レゾルバ温度Tφmに加える演算を行うことによりモータMの温度T3を算出するので、モータMの温度T3を容易かつ正確に求めることができる。したがって、温度センサを用いることなく、モータMの温度を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る電気式動力舵取装置の主な構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すECUおよびモータ駆動回路の主な構成を示すブロック図である。
【図3】ECUとレゾルバとの接続構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る電気式動力舵取装置のECUにより実行されるモータ温度演算処理1の流れを示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る電気式動力舵取装置のECUにより実行されるモータ温度演算処理2の流れを示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る電気式動力舵取装置のECUにより実行されるモータ温度演算処理3の流れを示すフローチャートである。
【図7】レゾルバ16s、レゾルバ19sおよびモータMの温度関係を3者間の熱伝導距離により示した説明図である。
【符号の説明】
10 電気式動力舵取装置
11 ステアリングホイール
15 第1角度センサ
16 第2角度センサ
15s レゾルバ
16s レゾルバ(第1のレゾルバ)
19 モータ回転角センサ
19s レゾルバ(第2のレゾルバ)
20 ECU
30 CPU(第1レゾルバ温度検出手段、第2レゾルバ温度検出手段、モータ温度検出手段)
M モータ(アクチュエータ)
θ1 、θ2 操舵角
θM モータ回転角(制御角度)
S301(第1ステップ、第1レゾルバ温度検出手段)
S303(第2ステップ、第2レゾルバ温度検出手段)
S305(第3ステップ、モータ温度検出手段)
Claims (4)
- レゾルバにより制御角度を検出されるアクチュエータの温度を検出するアクチュエータの温度検出方法であって、
前記アクチュエータから離隔して位置する第1のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を、次の式 (1) 、 (2) により表したとき、
Ss = E・Ks・ sin θ・ sin( ωt+φs ) +Bs・・・ (1)
Sc = E・Kc・ cos θ・ sin( ωt+φc ) +Bc・・・ (2)
上式 (1) 、 (2) において、Ssは sin 相における出力信号電圧、Scは cos 相における出力信号電圧、Eは励磁信号の振幅、Ksは sin 相における励磁コイルと出力コイルとの間の変圧比、Kcは cos 相における励磁コイルと出力コイルとの間の変圧比、θは電気角、ωは励磁信号の角速度、tは時間、φsは sin 相における励磁コイルと出力コイルとの位相ずれ、φcは cos 相における励磁コイルと出力コイルとの位相ずれ、Bsは sin 相における出力信号のオフセット電圧、Bcは cos 相における出力信号のオフセット電圧とすると、上式 (1) のφsおよび上式 (2) のφcに基づいて、前記 sin 相の振幅a0および前記 cos 相の振幅b0を算出し、これらの振幅a0、b0から算出される位相ずれφと温度との関係から、当該第1のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度を、求める第1ステップと、
前記第1のレゾルバと前記アクチュエータとの間に位置する第2のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を上式 (1) 、 (2) により表したとき、上式 (1) のφsおよび上式 (2) のφcに基づいて、前記 sin 相の振幅a0および前記 cos 相の振幅b0を算出し、これらの振幅a0、b0から算出される位相ずれφと温度との関係から、当該第2のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度を、求める第2ステップと、
「前記第1ステップによる第1レゾルバ温度」、「前記第2ステップによる第2レゾルバ温度」および「前記第1、第2のレゾルバ、前記アクチュエータの3者間の熱伝導距離」に基づいて、前記アクチュエータの温度を求める第3ステップと、を含むことを特徴とするアクチュエータの温度検出方法。 - レゾルバにより制御角度を検出されるアクチュエータの温度を検出するアクチュエータの温度検出方法であって、
前記アクチュエータから離隔して位置する第1のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を、次の式 (1) 、 (2) により表したとき、
Ss = E・Ks・ sin θ・ sin( ωt+φs ) +Bs・・・ (1)
Sc = E・Kc・ cos θ・ sin( ωt+φc ) +Bc・・・ (2)
上式 (1) 、 (2) において、Ssは sin 相における出力信号電圧、Scは cos 相における出力信号電圧、Eは励磁信号の振幅、Ksは sin 相における励磁コイルと出力コイルとの間の変圧比、Kcは cos 相における励磁コイルと出力コイルとの間の変圧比、θは電気角、ωは励磁信号の角速度、tは時間、φsは sin 相における励磁コイルと出力コイルとの位相ずれ、φcは cos 相における励磁コイルと出力コイルとの位相ずれ、Bsは sin 相における出力信号のオフセット電圧、Bcは cos 相における出力信号のオフセット電圧とすると、上式 (1) のKsまたは上式 (2) のKcに基づいて、前記Ksの変化と温度との関係または前記Kcの変化と温度との関係から、当該第1のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度を、求める第1ステップと、
前記第1のレゾルバと前記アクチュエータとの間に位置する第2のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を上式 (1) 、 (2) により表したとき、上式 (1) のKsまたは上式 (2) のKcに基づいて、前記Ksの変化と温度との関係または前記Kcの変化と温度との関係から、当該第2のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度を、求める第2ステップと、
「前記第1ステップによる第1レゾルバ温度」、「前記第2ステップによる第2レゾルバ温度」および「前記第1、第2のレゾルバ、前記アクチュエータの3者間の熱伝導距離」に基づいて、前記アクチュエータの温度を求める第3ステップと、を含むことを特徴と するアクチュエータの温度検出方法。 - 操舵状態を検出し、該操舵状態に応じたアシスト力をモータにより発生させて操舵をアシストする電気式動力舵取装置であって、
前記操舵状態を検出する第1のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を、次の式 (1) 、 (2) により表したとき、
Ss = E・Ks・ sin θ・ sin( ωt+φs ) +Bs・・・ (1)
Sc = E・Kc・ cos θ・ sin( ωt+φc ) +Bc・・・ (2)
上式 (1) 、 (2) において、Ssは sin 相における出力信号電圧、Scは cos 相における出力信号電圧、Eは励磁信号の振幅、Ksは sin 相における励磁コイルと出力コイルとの間の変圧比、Kcは cos 相における励磁コイルと出力コイルとの間の変圧比、θは電気角、ωは励磁信号の角速度、tは時間、φsは sin 相における励磁コイルと出力コイルとの位相ずれ、φcは cos 相における励磁コイルと出力コイルとの位相ずれ、Bsは sin 相における出力信号のオフセット電圧、Bcは cos 相における出力信号のオフセット電圧とすると、上式 (1) のφsおよび上式 (2) のφcに基づいて、前記 sin 相の振幅a0および前記 cos 相の振幅b0を算出し、これらの振幅a0、b0から算出される位相ずれφと温度との関係から、当該第1のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度を、求める第1レゾルバ温度検出手段と、
前記モータの回転状態を検出する第2のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を上式 (1) 、 (2) により表したとき、上式 (1) のφsおよび上式 (2) のφcに基づいて、前記 sin 相の振幅a0および前記 cos 相の振幅b0を算出し、これらの振幅a0、b0から算出される位相ずれφと温度との関係から、当該第2のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度を、求める第2レゾルバ温度検出手段と、
「前記第1レゾルバ温度検出手段による第1レゾルバ温度」、「前記第2レゾルバ温度検出手段による第2レゾルバ温度」および「前記第1、第2のレゾルバ、前記モータの3者間の熱伝導距離」に基づいて、前記モータの温度を求めるモータ温度検出手段と、
を備えることを特徴とする電気式動力舵取装置。 - 操舵状態を検出し、該操舵状態に応じたアシスト力をモータにより発生させて操舵をアシストする電気式動力舵取装置であって、
前記操舵状態を検出する第1のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を、次の式 (1) 、 (2) により表したとき、
Ss = E・Ks・ sin θ・ sin( ωt+φs ) +Bs・・・ (1)
Sc = E・Kc・ cos θ・ sin( ωt+φc ) +Bc・・・ (2)
上式 (1) 、 (2) において、Ssは sin 相における出力信号電圧、Scは cos 相における出力信号電圧、Eは励磁信号の振幅、Ksは sin 相における励磁コイルと出力コイルとの間の変圧比、Kcは cos 相における励磁コイルと出力コイルとの間の変圧比、θは電気角、ωは励磁信号の角速度、tは時間、φsは sin 相における励磁コイルと出力コイルとの位相ずれ、φcは cos 相における励磁コイルと出力コイルとの位相ずれ、Bsは sin 相における出力信号のオフセット電圧、Bcは cos 相における出力信号のオフセット電圧とすると、上式 (1) のKsまたは上式 (2) のKcに基づいて、前記Ksの変化と温度との関係または前記Kcの変化と温度との関係から、当該第1のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第1レゾルバ温度を、求める第1レゾルバ温度検出手段と、
前記モータの回転状態を検出する第2のレゾルバに1相励磁信号を与えて得られる2相レゾルバ出力信号を上式 (1) 、 (2) により表したとき、上式 (1) のKsまたは上式 (2) のKcに基づいて、前記Ksの変化と温度との関係または前記Kcの変化と温度との関係から、当該第2のレゾルバの温度あるいはその周囲の温度である第2レゾルバ温度を、求める第2レゾルバ温度検出手段と、
「前記第1レゾルバ温度検出手段による第1レゾルバ温度」、「前記第2レゾルバ温度検出手段による第2レゾルバ温度」および「前記第1、第2のレゾルバ、前記モータの3者間の熱伝導距離」に基づいて、前記モータの温度を求めるモータ温度検出手段と、
を備えることを特徴とする電気式動力舵取装置。
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