JP3838330B2 - 低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩の製造方法 - Google Patents

低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩の製造方法 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、着色が改善され、かつ灼熱残分量が少なく、各種用途に有用な低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩を効率よく、工業的に有利に製造する方法に関するものである。
背景技術
従来、アリルアミンは、一般に、破壊的連鎖移動によって重合しにくいことが知られており、アリルアミン重合体の有効な製造方法についてはあまり知られていないが、その中で、アリルアミン重合体またはその付加塩の一般的な製造方法として、モノアリルアミン付加塩を、水または極性溶媒中において、分子中にアゾ基とカチオン性窒素をもつ基とを有するラジカル重合開始剤の存在下、40〜70℃の範囲の温度において重合させることにより、アリルアミン重合体の付加塩を得たのち、場合によりアルカリで中和する方法が知られている(例えば、特開昭58−201811号公報)。この方法により得られたアリルアミン重合体またはその付加塩は、比較的着色しにくく、特に精製することなく、染料固着剤、製紙用バインダー、各種薬品の添加剤などの分野で使用されている。
一方、近年、低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩が種々の分野で要望されている。しかしながら、ラジカル重合開始剤として、分子中にアゾ基とカチオン性窒素をもつ基とを有するラジカル重合開始剤を用いる場合、低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩を製造するためには、特公平6−2780号公報に記載のように塩酸などの無機酸を大過剰に使用することが必要であるため、過剰の無機酸の除去が煩雑である上、得られる重合液が着色しやすいという問題があった。
さらに、低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩の別な製造方法として、特開平5−195450号公報には、モノアリルアミンの付加塩の水溶液を用い、多量の過酸化物系ラジカル重合開始剤の存在下で高温で重合させる方法が開示されている。
しかしながら、この方法では、ラジカル重合開始剤を多量に用い、過酷な温度条件で重合させるため、得られる低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩の水溶液は、褐色などに着色するのを免れないし、さらに、時間の経過と共に、その着色が進行しやすいという問題があった。
また、その着色を改善するため、上記の方法で重合した液を活性炭処理すると、活性炭をろ過して除く操作が必要となり、その上、そのろ過の際、微粉末の活性炭が目的の重合体を含む液に混入しやすく、用途によってはそれが問題となることがあった。
ところで、プリンターとして、ドットインパクトプリンター、レーザープリンター、サーマルプリンター、インクジェットプリンターなどが知られているが、これらの中でインクジェットプリンターは、高速で低騒音である、印刷コストが低い、機構が簡単で小型軽量化が可能である、マルチカラー化や画像の大型化が容易である、現像定着が不要である、記録パターンの融通性が大きいなどの特徴を有することから、近年広く普及している。
このインクジェットプリンターにおいては、インクジェット記録方式として、従来から、静電吸引方式、空気圧送方式、圧電素子の電気的変形を利用した方式、あるいは加熱発泡時の圧力を利用した方式等によってインク小滴を発生・噴射させ、更にこのインク小滴を記録用紙に付着させて記録を行っている。そして、この記録方式におけるインクとしては、通常、染料や顔料などの着色剤を、水または水溶性有機溶剤、あるいはこれらの混合液に溶解または分散させて調製した水性インクが使用されている。
近年、インクジェット記録では普通紙上の耐水性が求められてきており、これを達成する水性インク組成として、ポリエチレンイミン及びこの変成物を中心としたポリアミンと染料との組み合わせが種々検討されてきた。
例えば、(1)ヒドロキシエチル化ポリエチレンイミンと染料成分とからなる水堅牢性インクジェット組成物(特開昭62−119280号公報)、(2)分子量300以上の一級アミノ基を有するポリアミンと、アニオン染料と、安定性付与剤と、湿潤剤とを含む耐水性水性インク組成物(特開平2−255876号公報、特開平3−188174号公報)、(3)特定のアニオン染料とアミノ酸型ポリアミンまたはポリエチレンイミンとを含む水性インク(特開平8−113743号公報)などが提案されている。
しかしながら、前記(1)のインクジェット組成物においては、ポリエチレンイミンがヒドロキシエチル基を含有しているので、その含有率の程度に応じて親水性が大きくなり、耐水性が低下するという問題があるし、(2)の水性インク組成物においては、実施例に具体的に記載されているポリエチレンイミンは、アニオン染料へのアタック性が強く、保存安定性が悪いという問題がある。さらに、(3)の水性インクにおいては、耐水性を付与する目的に適した染料として、アニオン性含金属染料、特定位置にアニオン基とアゾ基とを有する非含金属染料または芳香環を有する非含金属アゾ染料を用いることが必要であり、染料の選択肢が狭いので、所望の色相や色濃度をもつインクの調製が困難であるという問題を有している。
一方、アリルアミン重合体を耐水化剤として、インク組成物に使用することが試みられているが、この場合、特開昭63−33484号公報に記載されているように、アリルアミン塩酸塩重合体と染料(スルホン酸塩等の酸塩を含む染料)とを反応させることにより、アリルアミン重合体を対カチオンとする染料を製造し、これを固体として単離することにより、無機塩等を取り除いてから使用しなければならない等の煩雑な操作が必要であった。また、その煩雑な操作を省くため、あらかじめアリルアミン重合体をフリーにしてさらに無機塩等を取り除いても、インクに用いた場合、インクの凝集等がおこりやすく使用上、問題となっていた。
発明の開示
このような事情のもとで、本発明の目的は、着色が改善され、かつ灼熱残分量が少なく、各種用途に有用な低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩を効率よく、工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、未反応モノアリルアミンと塩を含む低分子量アリルアミン重合体溶液を蒸留処理して、未反応モノアリルアミンを留去後、電気透析に付し、場合によりさらに酸処理することにより、上記の目的を達成しうることを見出した。
発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明の目的は、未反応モノアリルアミンと塩を含む低分子量アリルアミン重合体溶液を蒸留処理して、未反応モノアリルアミンを留去後、電気透析に付し、場合によりさらに酸処理することを特徴とする重量平均分子量250〜4000の低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩の製造方法により達成される。
発明を実施するための最良の形態
発明の低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩の製造方法について説明する。
本発明の方法により製造される低分子量アリルアミン重合体は、式(I)
【化1】
Figure 0003838330
で表される繰り返し単位を主に含有する重合体である。
本発明の方法において出発材料として用いられる、未反応モノアリルアミンと塩を含む低分子量アリルアミン重合体溶液としては、これに限定されるものではないが、水や極性溶媒中においてモノアリルアミンの付加塩を低重合度条件下で重合させたのち、重合液を中和して得られたものが好ましい。
原料モノマーとして用いられるモノアリルアミンの付加塩は、通常、モノアリルアミンの無機酸塩であり、このようなものとしては、例えばモノアリルアミンの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩などを挙げることができるが、酢酸塩などの有機酸塩を用いることもできる。
重合媒体として、水や極性溶媒が用いられる。極性溶媒としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸などの無機酸またはその水溶液、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸などの有機酸またはその水溶液、アルコール類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、さらには塩化亜鉛、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの無機塩の水溶液などが挙げられる。
モノアリルアミンの付加塩は、単離された結晶の形で使用するのが普通であるが、上記水や極性溶媒中にモノアリルアミンと酸とを加えてその系中で付加塩を生成させてもよい。もちろん、酸またはその水溶液を重合媒体として使用する場合には、所定量のモノアリルアミンを酸またはその水溶液中に加え、そのまま重合させることができる。
重合する際の重合媒体中のモノアリルアミンの濃度としては、特に制限はなく、使用するラジカル重合開始剤の種類に応じて適宜選定されるが、例えば過酸化物系ラジカル重合開始剤を用いる場合は、モノマー濃度は、通常10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%である。モノアリルアミン濃度が低いと低分子量のアリルアミン重合体が得られやすいが、重合率が低くなりやすく、逆に、モノアリルアミン濃度が高すぎると重合率が高いが、アリルアミン重合体の分子量が高くなりやすい。
低重合度条件下で重合させるために用いるラジカル重合開始剤としては、公知の過酸化物系ラジカル重合開始剤や、アゾ基とカチオン性窒素をもつ基とを有するラジカル重合開始剤などを用いることができる。過酸化物系ラジカル重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などが挙げられ、一方アゾ基とカチオン性窒素をもつ基とを有するラジカル重合開始剤としては、例えばアゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、アゾビス(2−イミダゾリニルプロパン)二塩酸塩などが挙げられる。これらのラジカル重合開始剤の中で、特にアリルアミン重合体の低分子量化および重合率の向上などの点から、過酸化物系ラジカル重合開始剤が好ましい。
このラジカル重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その使用量は、通常の重合反応に用いる量に比べて多くする必要があり、モノアリルアミンの付加塩に対して、通常1.5重量%以上、好ましくは5〜75重量%、さらに好ましくは10〜50重量%である。一般的には、ラジカル重合開始剤の使用量が少ないと重合率が低くなり、かつ分子量が高くなりやすく、好ましくない。
モノアリルアミンの付加塩を、水や極性溶媒中、低重合度条件下で重合させる際は、重合系のモノマー濃度を低くし、また、重合温度を高くすることにより行うことができるが、さらに、ラジカル重合開始剤濃度を高くすることにより、重合収率を高くすることができる。
重合温度は、通常のアリルアミン重合体の製造方法に比べ、高温にすることが必要であり、通常75℃〜還流温度、好ましくは80〜100℃である。重合温度が低すぎると重合率が低下し、また分子量が大きくなりやすい。一方、重合時間は、使用するラジカル重合開始剤の種類および重合温度などにより左右され、一概に定めることはできないが、過酸化物系ラジカル重合開始剤を用いる場合には、通常1時間以上である。
このような過酷な条件で重合するので、得られる重合終了直後の液、すなわち低分子量アリルアミン重合体の付加塩溶液は、褐色などに着色し、また、時間の経過と共にその着色がさらに進行しやすい。
重合終了後の重合液は、低分子量アリルアミン重合体が付加塩の状態で存在するが、その液をそのまま、特公平7−68298号公報に記載のようにイオン交換膜による電気透析に付しても着色は改善されにくい。
そこで本発明で用いる出発材料の製造においては、上記重合液をアルカリで中和処理する。この中和処理は、低分子量アリルアミン重合体の付加塩を遊離の状態にする程度に、すなわち、中和後の重合液のpHが、通常9〜13.5、好ましくは10〜13の範囲になるように実施するのがよい。中和処理に用いるアルカリとしては特に制限はないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物などが好ましく挙げられる。この中和処理により、遊離した酸がアルカリと反応して塩を生成する。
以上のようにして出発材料である低分子量アリルアミン重合体溶液が得られるが、この低分子量アリルアミン重合体は未反応モノアリルアミンと塩を含有する。そこで本発明においては、低分子量アリルアミン重合体を蒸留処理して、未反応モノアリルアミンを留去する。蒸留は減圧下で行われるのが好ましく、その際、温度40〜100℃、真空度10〜300mmHgの条件で実施するのがより好ましく、温度50〜80℃、真空度20〜200mmHgの条件で実施するのが特に好ましい。このような条件では、低分子量アリルアミン重合体は留去することなく、残留する。
本発明の方法においては、このようにして未反応のモノアリルアミンを留去した後の残留液を、電気透析に付すが、モノアリルアミンを留去する際に水などの溶媒も一部留去されるので、溶媒で希釈してから電気透析に付してもよい。この電気透析はイオン交換膜によるのが好ましい。
本発明においては、このイオン交換膜による電気透析処理によって、目的の低分子量アリルアミン重合体がほとんど除去されずに残り、しかも、低分子量アリルアミン重合体溶液の着色が大幅に改善されるとともに、重合のため使用した重合開始剤に由来する不純物と中和により生成した塩も、併せて除去することができる。
次に、イオン交換膜による電気透析処理の実施態様について説明する。
低分子量アリルアミン重合体の製造で用いる電気透析装置において、槽は、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とが交互に並行に配列され、膜により区画された希釈室、濃縮室及び電極室より構成されており、電槽の両端の電極室には、それぞれ陽極と陰極の電極板が配設されている。原液槽に投入された原液(モノマー留去後の重合液)は、ポンプPにより電槽の希釈室に送られる。ここで、着色成分などは、陽イオン交換膜または陰イオン交換膜を通して濃縮室へ移動する。この際、低分子量アリルアミン重合体は陽イオン交換膜により遮断されるため希釈室に残り、着色が改善された状態で、そのまま残留する。一方、濃縮液槽及び電極室には、濃縮液たる電解液が投入される。この濃縮液はポンプPにより濃縮室へ送られる。
具体的には、原液、濃縮液、電極液をそれぞれ、希釈室、濃縮室、電極室へ循環させ、電極板に直流電圧を印加することにより、原液槽に投入された原液からは、徐々に着色成分などが透析除去され、濃縮液中に透析された着色成分などは濃縮液槽に濃縮される。その結果、原液槽には着色度の改善された重合体溶液が、濃縮液槽には着色成分などが濃縮貯蔵されることになる。この際、濃縮液槽には、中和塩または開始剤由来の不純物が併せて濃縮貯蔵される。このようにして、着色が改善され、かつ中和塩または開始剤由来の不純物が除去されたアリルアミン重合体を得ることができる。
た、本発明に用いられる陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜は一般的なイオン交換膜[例えば旭硝子(株)製のCMV,AMVなど]でよく、特殊なイオン交換膜を用いる必要はない。またこれらのイオン交換膜を装着させる電気透析槽も、市販されているものでもよく、膜間隔、室数などを特別に設定する必要はない。
しかし、本発明で用いるイオン交換膜による電気透析においては、この透析を長時間続けたり、その透析を繰り返して何度も行うと、さらにイオン交換膜による電気透析を行っても、低分子量のアリルアミン重合体溶液の着色の改善がしにくくなることがある。
アリルアミン重合体のようなカチオン系重合体をイオン交換膜による電気透析に適用した場合、イオン交換膜の汚染(ファウリング)が起こるという例はほとんどないにもかかわらず、そのような現象は、本発明でイオン交換膜による電気透析を長時間続けるとイオン交換膜が意外にも汚染されてしまうことに原因があることを本発明者らは見出した。
なお、この汚染の現象は、特公平7−68298号公報に記載のように分子量1万程度の高分子量アリルアミン重合体の場合は実質的に起こらず、低分子量アリルアミン重合体のイオン交換膜による透析において特有なものである。
特開昭53−88672号公報のように、ある種の有機イオンがこのようなイオン交換膜の汚染(ファウリング)を起こすことは知られている。しかし、通常、イオン交換膜による電気透析によって汚染される膜は陰イオン交換膜であるが、興味あることに本発明においては陽イオン交換膜が汚染されてくる。これは低分子量アリルアミン重合体溶液中のより低重合度の低分子量アリルアミン重合体が膜に付着してしまうからである。
カチオン系重合体のイオン交換膜の汚染対策として逆通電が有効であるという例はほとんどないにもかかわらず、この膜汚染の対策として、本発明者らは、逆通電を行うことによりその汚染を解消できることを見出した。なお、この逆通電とは、イオン交換膜による電気透析において、イオン交換膜が難透過性物質によって汚染された場合に、イオン交換膜の性能を回復するために、汚染生成時と逆方向に通電することをいう。逆通電する際には、濃縮液槽と原液槽に電解液を投入して実施される。
濃縮液槽に用いる電解液のpHとしては、7.2〜13.5が好ましく、8〜13がさらに好ましく、9〜12.5が特に好ましい。pHが7.5未満の場合には、膜汚染が回復しにくく、pHが13.5を超えると膜が破壊されやすくなる。電解液として上記のようなアルカリ性のpH範囲が好ましいのは、膜汚染物質がカチオンの状態で膜に付着しているので、汚染物質を除去するためには、膜汚染物質を遊離状態にすることが必要なためとも考えられる。
濃縮液槽に用いる電解液としては、例えば、無機塩水溶液に、アルカリを加えて上記のpHに調整したものを使用できる。電解液に用いる無機塩としては、例えば塩化ナトリウム、臭化ナトリウムなどが挙げられ、pH調整用のアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。電解液中の無機塩濃度は、通常、1〜20重量%であり、好ましくは2〜15重量%である。
逆通電の際、原液槽に用いる電解液としては、濃度0.5〜5重量%程度の無機塩水溶液を用いることができる。それに用いる無機塩としては、例えば塩化ナトリウム、臭化ナトリウムなどが挙げられる。
本発明においては、逆通電を操作として加えることにより、イオン交換膜を代えることなく、着色度の小さい低分子量アリルアミン重合体溶液を工業的に有利に製造することができる。
本発明においては、このようにして得られた低分子量アリルアミン重合体溶液を、着色の改善とともに、その灼熱残分がアリルアミン重合体に対して、5重量%以下になるようにすることができる。なお、この灼熱残分は、アリルアミン重合体溶液を650℃で2.5時間灼熱し、その残渣の量を測定して求めた値である。
本発明の方法で得られた低分子量アリルアミン重合体の重量平均分子量は250〜4000の範囲であるが、着色の問題が特に起こりやすいのは、重量平均分子量が250〜2500の低分子量アリルアミン重合体を製造する場合であるので、この範囲の重量平均分子量を有する低分子量アリルアミン重合体溶液に本発明の方法を適用するのが、特に有利である。なお、この重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリエチレンオキシドを標準物質として測定した値である。
本発明の方法により得られる低分子量アリルアミン重合体は、着色の少ないものであり、その指標として、濃度3重量%のアリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液に調製した液について波長480nmで測定した吸光度を0.12以下、好ましくは0.1以下にすることができる。
このようにして製造した低分子量アリルアミン重合体における重合体の分子量、灼熱残分及び着色度は前記したとおりであるが、残存モノマーも、通常、アリルアミン重合体に対して250重量ppm以下と少ないものを製造することができる。
本発明の方法により製造した低分子量アリルアミン重合体は着色が改善されるとともに、さらなる着色も進みにくい。
本発明の方法で着色が改善されるのは、着色成分は低分子量成分が多いため、電気透析によって着色成分などが除去できるためと考えられる。
本発明によりアリルアミン重合体の付加塩を製造する場合は、上記のようにイオン交換膜により電気透析処理したアリルアミン重合体溶液に、適量、例えば、アリルアミン重合体中のモノマー単位と等当量の酸を加えることにより、付加塩を製造することができる。酸としては、例えば塩酸、硫酸、臭化水素酸、硝酸、酢酸などが挙げられる。このアリルアミン重合体の付加塩も着色が改善されたものになる。
発明で得られる低分子量アリルアミン重合体は、灼熱残分量が5重量%以下であり、かつ重量平均分子量が250〜4000、好ましくは250〜2500の範囲のものである。
さらに、この低分子量アリルアミン重合体の未反応モノアリルアミン含有量は250重量ppm以下が好ましく、またその3重量%濃度の塩酸塩水溶液における波長480nmの吸光度は0.12以下、特に0.10以下が好ましい。
また、本発明で得られる低分子量アリルアミン重合体の付加塩は、前記性状を有する低分子量アリルアミン重合体に、塩酸、硝酸、酢酸などの酸を付加することにより得られたものである。
して、このようにして得られた前記性状を有する低分子量アリルアミン重合体溶液に、適量、例えばアリルアミン重合体中のモノマー単位と等当量の塩酸、硝酸、酢酸などを加えることにより、本発明の低分子量アリルアミン重合体の付加塩を製造することができる。
本発明で得られた低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩は、着色の嫌われる分野、あるいは無機塩や残存モノマーを嫌う用途に好適に用いることができる。
次に、本発明で得られた低分子量アリルアミン重合体の好ましい用途であるインク添加用耐水化剤およびインク組成物について説明する。
ンク添加用耐水化剤は、前記性状を有する低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩を含有するものであり、特にインクジェット記録用インクに好ましく用いられる。
また、インク組成物は、(A)着色剤、および(B)前記性状を有する本発明の低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩を含む耐水化剤を含有するものであり、特にインクジェット記録用として好適である。
該インク組成物における(A)成分の着色剤としては、特に制限はなく、従来水性インクに慣用されている着色剤の中から、任意のものを適宜選択して用いることができるが、本発明において、耐水性の向上を目的としているので、特に直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食品用色素などの水溶性染料が好ましく用いられる。この水溶性染料としては、鮮明性、水溶性、安定性、耐光性その他の要求される性能を満たすものとして、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、71、108、146、154、168;C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106、199;C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83、227;C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、86、98、142;C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、46、60;C.I.ダイレクトバイオレット47、48;C.I.ダイレクトブラウン109;C.I.ダイレクトグリーン59;C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、63、112、118;C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、117、120、167、229、234;C.I.アシッドレッド1、6、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、180、249、256、289、315、317;C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、61、71;C.I.アシッドオレンジ7、19;C.I.アシッドバイオレット49;C.I.ベーシックブラック2;C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28、29;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、37;C.I.ベーシックバイオレット7、14、27;C.I.フードブラック1、2等が挙げられる。これらの着色剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ンク組成物においては、溶媒として、通常、水または水と水溶性有機溶剤との混合物が用いられる。この水としては、例えばイオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水、または超純水などを用いることができる。また、紫外線照射、または過酸化水素添加などにより滅菌した水を用いると、インク組成物を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができるので好適である。
一方、水溶性有機溶剤としては、例えばエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチルペンタン−2,4−ジオール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、1,2,3−ヘキサントリオールなどのアルキレングリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロールなどのグリセロール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールの低級アルキルエーテル、チオジエタノール、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、これらにメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコールなどのアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミドなどのアミド類、アセトンなどのケトン類などの水溶性溶剤を混合して用いてもよい。水と上記水溶性有機溶剤との混合割合については特に制限はなく、状況に応じて適宜選定することができる。
ンク組成物においては、(A)成分である着色剤の含有量は、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%の範囲で選定される。着色剤の含有量が0.1重量%未満では記録物に充分な光学濃度を付与することができないし、20重量%を超えるとその量の割には光学濃度の向上効果は認められず、むしろ紙面上でのインク組成物の乾燥速度が遅くなる原因となる。
一方、(B)成分である耐水化剤の含有量は、フリーの低分子量アリルアミン重合体として、通常0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%の範囲で選定される。この含有量が0.5重量%未満では耐水性付与効果が充分に発揮されないし、30重量%を超えるとインク組成物の粘度が高くなりすぎ、好ましくない。
ンク組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、公知の添加剤、例えば他のカチオン性重合体などの耐水化剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、界面活性剤、カチオン性重合体の安定化剤、蛍光増白剤、防菌剤、防錆剤、防腐剤などを含有させることができる。
ンク組成物は、耐水性に優れるとともに、変色や凝集などが抑制され、保存安定性にも優れている。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1 着色が改善された低分子量アリルアミン重合体及びその塩酸塩の製造
濃度58重量%モノアリルアミン塩酸塩水溶液22.6kgに、過硫酸アンモニウム2.62kgと水4.9kgからなる水溶液を添加して、得られた混合物を82〜92℃で3時間、重合させることにより、茶褐色の濃度46.6重量%低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液を得た。これを希釈して濃度3重量%の低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液にし、比較例1の低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液とした。この低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩は、GPCで測定した重合率が93%であり、また、ポリエチレンオキシドを標準物質としてGPCにより重量平均分子量を求めたところ、フリーの低分子量アリルアミン重合体として、837であった。
なお、分子量測定のためのGPCカラムとしては、アサヒパック水系ゲルろ過タイプGS−220(排除限界分子量3000)とGS−620HQ(排除限界分子量200万)を直列に接続したものを用い、カラムの溶出溶媒としては、0.4モル/リットル塩化ナトリウム水溶液を用いた。
また、比較例1の濃度3重量%低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液は、480nmでの吸光度を測定したところ、0.183であった。
次に、上記の濃度46.5重量%低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液3.22kgに濃度49重量%水酸化ナトリウム水溶液1.42kgを添加混合し中和した。この中和後の水溶液のpHは12であった。このようにして未反応モノアリルアミンと塩化ナトリウムを含む低分子量アリルアミン重合体を出発材料として得た。
このようにして得られた出発材料を60℃で80mmHgの減圧下蒸留処理して未反応モノアリルアミンを留去した。さらに水で希釈することにより低分子量アリルアミン重合体水溶液を濃度18.4重量%で得た。この水溶液の一部を650℃で2.5時間燃焼させ灼熱残分を求めたところ、低分子量アリルアミン重合体に対して156重量%であった。
この濃度18.4重量%低分子量アリルアミン重合体水溶液4.0kgをさらに水で希釈して濃度11.2重量%に調整し、イオン交換膜による電気透析(電気透析装置として日本練水株式会社DU−0b型を、陽イオン交換膜として旭硝子(株)製CMVを12枚、陰イオン交換膜として旭硝子(株)製AMVを11枚使用した)に付した。なお、透析条件としては、濃縮液槽には、1重量%塩化ナトリウム水溶液4リットルを入れ、原液槽には、脱モノマーされた前記の濃度11.2重量%の重合体水溶液を入れた。このそれぞれの液を約125リットル/hrの流量で循環させながら、電極間に13.5ボルトの直流電圧を印加した。この条件で12時間、イオン交換膜による電気透析処理をすることにより、濃度15.2重量%のアリルアミン重合体水溶液を4.65kg(回収率96%)を得た。
このようにして得られたアリルアミン重合体水溶液の一部を、650℃で2.5時間、オーブン中で燃焼させ灼熱残分を求めたところ、アリルアミン重合体に対して4.5重量%を示した。このアリルアミン重合体の水溶液に、塩酸をモノマー単位に対し等モル加えて水で希釈して濃度3重量%アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液を調製して、これを実施例1の低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液とした。この実施例1の低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液は、波長480nmでその吸光度を測定したところ、0.093であり、比較例1の場合に比べ、大幅な着色改善が見られた。
実施例2 低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の保存安定性
実施例1または比較例1の低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液を、約25℃で密封して保存した。16日間経過したのち、実施例1または比較例1の低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液は、波長480nmでの吸光度が、保存前に比べて、それぞれ、8.0%、40.4%上昇していた。この結果から、実施例1で製造した低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液は、着色が進みにくいことが判明した。
実施例3 逆通電によるイオン交換膜の回復
濃度58重量%モノアリルアミン塩酸塩水溶液339kgに、過硫酸アンモニウム39.3kgと水73.5kgとからなる水溶液を添加して、得られた混合物を83〜91℃で3時間、重合させることにより、茶褐色の低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液を得た。
この低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩は、GPC測定で求めた重合率が94%であり、また、ポリエチレンオキシドを標準物質としてGPCにより重量平均分子量を求めたところ、フリーの低分子量アリルアミン重合体として、881であった。
この低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液に濃度49重量%水酸化ナトリウム水溶液213kgを添加混合し中和した。得られる中和混合物を60℃にて80mmHgの減圧下で脱モノマー処理し、さらに水で希釈することにより濃度9.5重量%の低分子量アリルアミン重合体水溶液を得た。なお、この一部に塩酸水溶液を加えて濃度3重量%低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液を調製して、480nmでのその吸光度を測定したところ、0.187であった。
前記の濃度9.5重量%低分子量アリルアミン重合体の水溶液の着色を改善するため、その水溶液を240kgずつ3回にわけてイオン交換膜による電気透析に付した。なお、電気透析装置として日本練水(株)製DW−O型を用いた。また、イオン交換膜としては、膜面積5.0dm2/対のイオン交換膜(陽イオン交換膜として旭硝子(株)製CMV16枚、陰イオン交換膜として旭硝子(株)製AMV15枚)を用いた。印加電圧は、65ボルトにした。
そして、灼熱残分がアリルアミン重合体に対して5重量%以下になるまでの透析時間を求めたところ、表1に示すように1回目は、62時間であった。使用したイオン交換膜をそのまま用いて、前記の濃度9.5重量%低分子量アリルアミン重合体の水溶液を2回目、3回目も同様にしてイオン交換膜による電気透析に付したところ、表1のように、2回目の同透析時間が78時間であり、3回目の時は、90時間でも灼熱残分量が5%以下にならなかった。なお、表1中の吸光度のデータは、濃度3重量%低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液に調製した液を用いて測定した値である。
一方、4回目として、逆通電をした後に同様にしてイオン交換膜による電気透析を行った。逆通電は以下のようにして行った。原液槽に濃度1重量%塩化ナトリウム水溶液40リットル、濃縮液槽に濃度5重量%塩化ナトリウム溶液(ただし、水酸化ナトリウムでpH10.5に調整したもの)40リットルを充填し、直流電圧を通常と逆に印加して、2時間、逆通電を実施して膜の回復を行った。その結果、表1に示すように、透析時間が63時間と短縮し、電気透析の能率は
1回目と同程度に回復した。
【表1】
Figure 0003838330
実施例4
実施例1の方法により精製した低分子量アリルアミン重合体を酢酸水溶液で中和してpH7に調整して精製低分子量アリルアミン重合体水溶液(モノマー単位で0.02モル/リットル)を得て、その水溶液にアルミ薄片をいれ、60℃で放置しアルミ表面に腐食が始まる日(腐食日)を調べた。その結果、腐食日は13日であった。一方、比較として、比較例1の低分子量アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液を水酸化ナトリウム水溶液で中和してpH7に調整して粗製の低分子量アリルアミン重合体の水溶液(モノマー単位で0.02モル/リットル)を得て、その腐食日を同様にして調べたところ、4日であった。本発明により製造した低分子量アリルアミン重合体は、金属の腐食に対して強いことが判明した。
参考 耐水化剤として用いた場合の安定性
染料として、C.I.ダイレクトブルー199の10重量%水溶液4.7g、C.I.ダイレクトイエロー86の8重量%水溶液6.6g、C.I.フードブラック2の8重量%水溶液5.4gの3種類を用いた。
また、耐水化剤用アリルアミン重合体として、実施例1で得られた電気透析精製後のフリーのアリルアミン重合体水溶液(透析低分子PPA)を用いた。このものは、灼熱残分がアリルアミン重合体に対して4.5重量%、未反応モノアリルアミン残存量がアリルアミン重合体に対して18重量ppm、濃度3重量%アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液における波長480nmでの吸光度が0.093、重量平均分子量が837であった。
5×10−4モルの上記染料溶液をそれぞれ試験管に取り、1モル/l濃度の耐水化剤用アリルアミン重合体水溶液を0.5ml(5×10−4モル)、1.0ml(10−3モル)、1.5ml(1.5×10−3モル)、2.0ml(2.0×10−3モル)または3.0ml(3.0×10−3モル)の割合で、それぞれの染料溶液に添加して溶解させた。その後、1週間室温に放置して目視で沈殿の有無などを評価した。その結果を表2に示す。
比較参考 耐水化剤として用いた場合の安定性
参考における耐水化剤用アリルアミン重合体として、実施例1において、未反応モノアリルアミンを除いたが、電気透析は行わないフリーのアリルアミン重合体水溶液(非透析低分子PAA)を用いた以外は、参考と同様にして実施した。結果を表2に示す。
該フリーのアリルアミン重合体は、灼熱残分がアリルアミン重合体に対して156重量%、未反応モノアリルアミン残存量がアリルアミン重合体に対して45.1重量ppm、濃度3重量%アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液における波長480nmでの吸光度が0.186、重量平均分子量が837であった。
比較参考 耐水化剤として用いた場合の安定性
参考における耐水化剤用アリルアミン重合体として、実施例1において、水酸化ナトリウムで中和しないアリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液(比較例1のアリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液、非透析低分子PAA・HCl)を用いた以外は、参考と同様にして実施したが、染料溶液に添加後、ただちに凝集沈殿が生成した。結果を表2に示す。
該アリルアミン重合体の塩酸塩は、未反応モノアリルアミン残存量がアリルアミン重合体に対して7.5重量%、濃度3重量%アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液における波長480nmでの吸光度が0.183、重量平均分子量が、フリーのアリルアミン重合体として、837であった。
比較参考 耐水化剤として用いた場合の安定性
参考における耐水化剤用アリルアミン重合体として、電気透析した重量平均分子量1万のフリーのアリルアミン重合体水溶液(透析高分子PAA)を用いた以外は、参考と同様にして実施した。結果を表2に示す。
該フリーのアリルアミン重合体は、灼熱残分がアリルアミン重合体に対して4.5重量%、未反応モノアリルアミン残存量がアリルアミン重合体に対して44.0重量ppm、濃度3重量%アリルアミン重合体の塩酸塩の水溶液における波長480nmでの吸光度が0.008であった。
【表2】
Figure 0003838330
表2に示すように、本発明で得られた低分子量アリルアミン重合体を耐水化剤としてインク組成物に用いた場合、インクの変色、凝集などがなく、極めて安定であることが分かった。
参考 インク組成物
以下に示す組成の水性溶液を0.7μmのメンブランフィルターにてろ過し、イエローインク組成物を調製した。
純水 76重量部
トリエチレングリコール 10 〃
エチレングリコール 2 〃
実施例1の透析低分子PPA 10 〃
C.I.ダイレクトイエロー86 2 〃
計 100 〃
上記インク組成物を用い、インクジェット記録方式プリンター(キャノン社製BJC−800)にて、A4サイズ普通紙上に、3.5cm(非記録部分)おきに、1.5cm幅のフルベタ印刷を行った。記録物を1時間自然放置したのち、水中に1時間浸漬後、24時間自然乾燥し、非記録部のインク移り濃度及び記録部のインク残りを目視で評価した。
その結果、非記録部の着色はほとんどなく、また、記録部にも変化はなかった。
比較参考
参考において、実施例1の透析低分子PAAを用いずに、かつ純水の量を86重量部に変えて、イエローインク組成物を調製した以外は、参考と同様にして実施した。
その結果、非記録部にインクの付着が目立ち、かつ記録部に濃度低下が認められた。
産業上の利用可能性
本発明の方法によれば、着色が改善され、インク添加用耐水化剤として好適な低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩を高重合率、高回収率で工業的に有利に製造することができる。

Claims (3)

  1. 未反応モノアリルアミンと塩を含む低分子量アリルアミン重合体溶液を蒸留処理して、未反応モノアリルアミンを留去後、電気透析に付し、場合によりさらに酸処理することを特徴とする重量平均分子量250〜4000の低分子量アリルアミン重合体またはその付加塩の製造方法。
  2. 電気透析がイオン交換膜を用いて行われ、イオン交換膜による電気透析を行う際に、この電気透析においてすでに使用したイオン交換膜に逆通電を行い、該イオン交換膜を再生してから使用する請求項1に記載の方法。
  3. 逆通電を行う際の濃縮液槽中の電解液のpHが7.5〜13.5である請求項2に記載の方法。
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