JP3837776B2 - 硬化性樹脂組成物及びそれを用いた塗装方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規にして有用なる硬化性樹脂組成物に関し、特に、積層塗装仕上げに用いるべき、ベースコートとして好適なる硬化性樹脂組成物と、該硬化性樹脂組成物を用いた塗装方法とに関する。
【0002】
さらに詳細には、本発明は、最小必須のベース用樹脂成分として、水酸基、アミド基およびカルボキシル基を併有する非水分散型アクリル系樹脂を用いるという一方で、最小必須の硬化剤成分として、アミノ樹脂を用いるという形の、従来型のベース塗料よりも、とりわけ、ピーリング性などに優れるし、加えて、塗装不揮発分も高いという、極めて実用性の高い硬化性樹脂組成物と、それを用いた塗装方法とに関する。
【0003】
【従来の技術】
従来においては、主に、メタリック塗装に用いられる、金属素材上に、電着プライマー、中塗り塗料、ベースコートおよびトップクリヤコート(以下、トップクリヤーともいう。)などを積層せしめる塗装は、自動車塗装系の過半を占めるというに到っている。
【0004】
この積層された塗膜において、それぞれ、電着プライマーは、金属素材の防食機能を主目的としているというものであるし、また、中塗りの方は、上塗りを平滑にし、しかも、ツヤの良い塗膜を得る下地としての作用を有しているというものであるし、加えて、それぞれ、機能の異なる電着プライマーと、上塗り塗膜とを、長期間に亘って、密着せしめる作用を有しているというものである。
【0005】
さらに、上塗りの方は、通常の無機および/または有機顔料を含むソリッド・カラー仕上げあるいはアルミニウムまたはブロンズなどの、いわゆるメタリック粉末を含むベースコートなどによる、着色美装と、長期間に亘る耐候性とを素材に与えることを主目的としているというものであるし、さらに亦、ベースコートの方は、通常、メタル粉末の配列や、塗膜が完成されたのちの、いわゆるワクシング(waxing)などの面から、ベースコートを保護せしめる作用を有しているというものであって、トップクリヤーによって被覆されているというものである。
【0006】
加えて、近年は、低コスト化の観点からも、中塗り工程を省略して、電着プライマー上に、ベースコートを、2層、塗装して、該ベースコートの上に、トップクリヤーを塗装するという形の積層塗装も亦、採用されて来ている。
【0007】
このような上塗り塗膜にあっては、工程の短縮化と、省エネルギー化との観点からも、ベースコートと、トップクリヤーとは、ウエット・オン・ウエット方式で以て塗り重ねられて、同時に、焼き付けられている。
【0008】
こうした、それぞれ、2コート1ベーク方式または3コート1ベーク方式は、多くの利点を持つという一方で、問題点も少なくはないということであるが、こうした諸方式なるものは、ベースコート塗料としては、通常、アクリル樹脂を必須のベース樹脂成分として用い、他方、アミノ樹脂を必須の硬化剤成分として用いて、これらの各成分を組み合せた形の樹脂系が用いられている。
【0009】
しかるに、こうした形の塗料は、一般に用いられている、光輝剤たるアルミニウムの配向(以下、メタル配向という。)が充分ではなく、塗装不揮発分も亦、慨して低いということである。
【0010】
そこで、塗装不揮発分を高めるというために、アクリル樹脂から成る非水分散型樹脂が、一部、採用されてはいるものの、通常のアクリル樹脂と同様に、たとえば、車の走行中に当たる小石などによって発生する、中塗り塗膜あるいは電着塗膜界面での、いわゆう塗膜剥離(ピーリング)なども亦、問題となっている。
【0011】
このように、従来型技術によるベースコート塗料では、今日の諸要求性能を、悉く、満足させ得るというような形の、実用性の高いものが、未だに、得られていないということである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的とする処は、まずは、ベースコート塗料として、所期の目的である、メタル配向や、ピーリング性などに優れるし、しかも、比較的高い塗装不揮発分を持った、極めて実用性の高いベース塗料組成物を提供することにあるし、加えて、斯かるベース塗料組成物を用いた塗装方法をも提供することにある。
【0013】
そこから、本発明が解決しようとする課題は、一にかかって、まずは、比較的高い塗装不揮発分を有するものであるし、しかも、メタル配向や、ピーリング性などにも優れるという、極めて実用性の高いベース塗料組成物を提供することにあるし、加えて、斯かる特定のベース塗料組成物を用いた塗装方法をも提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、基本的には、それぞれ、一つには、一分子中にアミド基およびカルボキシル基を併有する形の特定の水酸基含有非水分散型アクリル系樹脂を必須の樹脂成分として用いるという一方で、アミノ樹脂を必須の硬化剤成分として用いることから成る、斬新なる硬化性樹脂組成物を提供しようとするものであるし、加えて、斯かる特定のベース塗料組成物を用いた塗装方法をも提供することにあるし、
【0015】
二つには、一分子中にアミド基およびカルボキシル基を併有する水酸基含有非水分散型アクリル系樹脂と、水酸基含有ポリエステル樹脂とを必須の樹脂成分として用いるという一方で、アミノ樹脂を必須の硬化剤成分として用いることから成る、斬新なる硬化性樹脂組成物をも提供しようとするものであるし、加えて、斯かる特定のベース塗料組成物を用いた塗装方法をも提供することにある。
【0016】
【発明の実施の形態】
かくして、本発明は、一つには、一分子中にアミド基およびカルボキシル基を併有する水酸基含有非水分散型アクリル系樹脂を必須の樹脂成分として用い、アミノ樹脂を必須の硬化剤成分として用いることから成る、硬化性樹脂組成物を請求しているものであるし、
【0017】
二つには、一分子中にアミド基およびカルボキシル基を併有する水酸基含有非水分散型アクリル系樹脂と、水酸基含有ポリエステル樹脂とを必須の樹脂成分として用い、アミノ樹脂を必須の硬化剤成分として用いることから成る、硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0018】
また、本発明は、上記した非水分散型アクリル系樹脂として、特に、非水溶剤類に可溶なるアミド基含有アクリル系樹脂類を、分散安定剤として用いて得られるという形のものを用いるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0019】
さらに、本発明は、上記した非水分散型アクリル系樹脂として、特に、アミド基含有アクリル系樹脂類を、非水溶剤類に不溶なる分散粒子として用いるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0020】
さらには、本発明は、上記した非水分散型アクリル系樹脂(以下、水酸基含有非水分散型樹脂という。)として、特に、非水溶剤類に可溶なるアミド基含有アクリル系樹脂類を、分散安定剤として用い、さらに、アミド基含有アクリル系樹脂類(以下、アミド基含有樹脂類という。)を、非水溶剤類に不溶なる分散粒子として用いて得られるという形のものを用いるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0021】
さらに亦、本発明は、上記したアミド基含有樹脂類として、特に、次のような一般式[I]
【0022】
【化2】
CH2=CR1−CO−NH−R2−OR3 [I]
【0023】
(ただし、式中のR1 は水素原子またはメチル基を表わすものとし、R2 は炭素数が1〜3なる、分岐を有してもよいアルキレン基を表わすものとし、また、R3 は水素原子または炭素数が1〜13なる、芳香族、脂肪族ないしは脂環式
炭化水素基を表わすものとする。)
【0024】
で示される(メタ)アクリルアミド系単量体(a)の2〜30重量%と、該単量体(a)と共重合可能なる其の他のビニル系単量体(b)とを共重合して得られるアクリル系重合体類を用いるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0025】
さらには亦、上記した水酸基含有ポリエステル樹脂として、特に、それぞれ、水酸基価が20〜200mgKOH/gなる範囲内の、酸価が2〜50mgKOH/gなる範囲内の、数平均分子量が1,000〜20,000なる範囲内のものであり、しかも、該水酸基含有ポリエステル樹脂を用いて得られる硬化性樹脂組成物中における該水酸基含有ポリエステル樹脂の含有量として、上記した非水分散型樹脂/水酸基含有ポリエステル樹脂なる固形分重量比で以て、98/2〜50/50なる範囲内に存在しているものを用いるという、特定の硬化性樹脂組成物をも請求しているものであるし、
【0026】
そして、本発明は、基材上に、上述したような種々の形の、特定の硬化性樹脂組成物と、顔料類と、溶剤類とを必須の成分として含有する着色フィルム形成組成物を塗布して、ベースコートを形成せしめ、次いで、此のベースコート上に、クリヤーフィルム形成組成物を塗布して、トップコートを形成せしめることから成るという、特定の積層塗装方法をも請求しているものであるし、
【0027】
そして亦、本発明は、基材上に、上述したような種々の形の、特定の硬化性樹脂組成物と、顔料類と、溶剤類とを必須の成分として含有する着色フィルム形成組成物を塗布して、ベースコートを形成せしめ、次いで、此の着色フィルム上に、その他の組成から成る着色フィルム形成組成物を塗布した、その他のベースコートを形成せしめ、さらに、その上に、クリヤーフィルム形成組成物を塗布して、トップコートを形成せしめることから成るという、特定の積層塗装方法をも請求しているものであるし、
【0028】
また、本発明は、上記した積層塗装方法が、2コート2ベーク方式によるものであるという、特定の塗装方法をも請求しているものであるし、
【0029】
さらに、本発明は、上記した積層塗装方法が、2コート1ベーク方式によるものであるという、特定の塗装方法をも請求しているものであるし、
【0030】
さらには、本発明は、上記した積層塗装方法が、3コート1ベーク方式によるものであるという、特定の塗装方法をも請求しているものである。
【0031】
このように、まず、本発明に係る硬化性樹脂組成物は、一つには、一分子中にアミド基およびカルボキシル基を併有する水酸基含有非水分散型樹脂(以下、NADともいう。)を必須の樹脂成分とし、他方、アミノ樹脂を必須の硬化剤成分とするという形の、斬新なるものであるし、二つには、一分子中に、それぞれ、アミノ基およびカルボキシル基を併有する水酸基含有非水分散型樹脂と、ポリエステル樹脂とを必須の樹脂成分とし、他方、アミノ樹脂を必須の硬化剤成分とするという形の、斬新なるものである。
【0032】
さらに、前記したアミド基含有樹脂類として、一般式[I]
【0033】
【化3】
CH2=CR1−CO−NH−R2−OR3 [I]
【0034】
(ただし、式中のR1 は水素原子またはメチル基を表わすものとし、R2 は炭素数が1〜3なる、分岐を有してもよいアルキレン基を表わすものとし、また、R3 は水素原子または炭素数が1〜13なる、芳香族、脂肪族ないしは脂環式
炭化水素基を表わすものとする。)
【0035】
で示される(メタ)アクリルアミド系単量体(a)の2〜30重量%と、該単量体(a)と共重合可能なる其の他のビニル系単量体(b)とを共重合して得られるという特定のアクリル系重合体類を用いることによって、目的とする、高塗装不揮発分を有するというものであるし、しかも、メタル配向や、ピーリング性などにも優れた塗膜が得られるということを見出すに及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0036】
ここにおいて、それぞれ、必須のベース樹脂成分と、必須の硬化剤成分とは、前者樹脂/後者硬化剤なる固形分重量比が、90/10〜60/40となるような重量%比で以て用いられるというのが適切であるし、好ましくは、85/15〜70/30となるような重量%比で以て用いられるというのが適切である。
【0037】
この際における、硬化剤成分の使用比率が10未満の場合には、詰まる処、此の90/10なる重量%比が大きくなり、ひいては、ベース樹脂成分の使用量が多くなるということになり、その結果として、硬化剤成分の使用量が少なくなって、どうしても、硬化性が不充分となり易く、ひいては、耐溶剤性などが問題となって来るようになるし、
【0038】
一方、40を超えて、硬化剤成分の使用比率が余りにも大きくなるような場合には、つまり、60/40なる重量%比が小さくなり、ベース樹脂成分の使用量が少なくなり、その結果として、硬化剤成分の使用量が多くなって、どうしても、塗膜が脆くなって来るようになり易くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0039】
次いで、本発明におけるベース塗料組成物の調製に当たって使用される、それぞれの樹脂について、一層、具体的に説明をすることにする。
【0040】
まず、NADとは、基本的には、たとえば、ビニル系単量体の生成重合体を溶解しない有機溶剤中で、分散安定剤の存在下に、前掲したような、各種のビニル系単量体を重合せしめることによって得られる形の非水分散型樹脂を指称するものである。
【0041】
こうしたNADを調製するには、次のようにすればよく、まず、ここにおいて使用すべき溶剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ヘキサン、ヘプタンもしくはオクタンの如き、各種の脂肪族炭化水素類;石油ベンジン、リグロイン、ミネラル・スピリットもしくは石油ナフサの如き、各種の脂環式炭化水素類;
【0042】
またはトルエン、キシレン、エチルベンゼンもしくは「ハウス(HAWS)」(オランダ国シェル社製の、高芳香族炭化水素系混合溶剤の商品名)の如き、各種の芳香族炭化水素類などであるし、さらには、アルコール系、エステル系またはケトン系などのような種々の極性溶剤も亦、適宜、使用し併用することが出来るのは、勿論である。
【0043】
次いで、前記した分散安定剤として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、次のようなものがある。
【0044】
▲1▼ ポリブタジエンや、ポリイソプレンなどのような、種々の不飽和結合含有重合体類に、後掲するような各種の単量体類の1種または2種以上を重合せしめるということによって得られる形のグラフト共重合体;
【0045】
または上記した不飽和結合含有重合体類に、後掲するような単量体類と、(メタ)アクリル酸とを共重合せしめるということによって得られるグラフト共重合体に、さらに、此の後者グラフト共重合体中のカルボキシル基に対して、グリシジル(メタ)アクリレートの如き、各種の不飽和結合含有エポキシ化合物を付加反応せしめるということによって得られる形の不飽和結合含有グラフト共重合体;
【0046】
▲2▼ アルキド樹脂;
【0047】
▲3▼ C4 〜C12なるアルキルアルコールで以てエーテル化された形のアルキルエーテル化メラミン樹脂縮合体であって、しかも、前掲したような各種の溶剤に可溶なる形のもの;
【0048】
▲4▼ 12−ヒドロキシステアリン酸の如き、各種の水酸基含有飽和脂肪酸の自己縮合ポリエステルの末端位にあるカルボキシル基に対して、上記した不飽和結合含有エポキシ化合物を付加反応せしめて得られる末端不飽和結合含有ポリエステルに、次いで、後掲するような各単量体類を重合せしめるということによって得られる形のグラフト共重合体;
【0049】
または上記した末端不飽和結合含有ポリエステルと、後掲するような各単量体類と、(メタ)アクリル酸とを共重合せしめたのち、さらに、そのカルボキシル基に対して、上記した不飽和基含有エポキシ化合物を付加反応せしめるということによって得られる形の不飽和結合含有グラフト共重合体;あるいは
【0050】
▲5▼ n−ブチル(メタ)アクリレート、イソ(iso)−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートまたはステアリル(メタ)アクリレートの如き、C4 以上なる各種のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステル類を必須の単量体とし、必要に応じて、その他のビニル系単量体をも共重合せしめるということによって得られる形の、種々の(共)重合体類や、
【0051】
斯かる上記したC4 以上なる各種のアルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルを必須の単量体とし、そうした各種の単量体類と、(メタ)アクリル酸とを、必要に応じて、さらには、その他のビニル系単量体をも共重合せしめて得られる共重合体中のカルボキシル基に対して、上記した不飽和結合含有エポキシ化合物を付加反応せしめるということによって得られる形の不飽和結合含有共重合体類や、
【0052】
各種の不飽和結合含有共重合体類と、後掲するような各種の単量体類の1類または2種以上とを共重合せしめて得られるグラフト共重合体や、各種の不飽和結合含有共重合体類と、後掲するような各種の単量体類と、(メタ)アクリル酸とを共重合せしめるということによって得られる形の共重合体中のカルボキシル基に対して、上掲したような不飽和結合含有エポキシ化合物を付加反応せしめるということによって得られる形の含有グラフト共重合体などである。
【0053】
これらのうちでも、上記した、それぞれ、▲2▼および▲3▼なる群に属する各種の分散安定剤や、上記した▲5▼なる群に属する各種の分散安定剤にあって、C4 以上なるアルコールで以てエステル化された、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類を必須のベース樹脂成分とする(共)重合体類;あるいは該(共)重合体類から誘導されるような種々の不飽和結合含有共重合体を、当該分散安定剤として使用するというような場合には、
【0054】
これらの分散安定剤は、いずれも、前掲したような溶剤に対して不溶なるセグメントを有してはいないけれども、引き続いて、こうした部類の分散安定剤を用いて、非水分散型樹脂を調製するに際して行なわれる、各種の単量体類の重合初期において、前掲したような溶剤に不溶なるセグメントが形成化され、目的とする非水分散型樹脂が得られる処となる。
【0055】
ここでいう、次のような一般式[I]
【0056】
【化4】
CH2=CR1−CO−NH−R2−OR3 [I]
【0057】
(ただし、式中のR1 は水素原子またはメチル基を表わすものとし、R2 は炭素数が1〜3なる、分岐を有してもよいアルキレン基を表わすものとし、また、R3 は水素原子または炭素数が1〜13なる、芳香族、脂肪族ないしは脂環式
炭化水素基を表わすものとする。)
【0058】
で示される(メタ)アクリルアミド系単量体(a)として特に代表的なもののみを挙げるにとどめれば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−フェノキシメチル(メタ)アクリルアミドまたはN−ヘキシロキシメチル(メタ)アクリルアミドなどである。
【0059】
ここにおいて、該単量体(a)と共重合可能なるビニル系単量体類(b)として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレートまたはイソ(iso)−プロピル(メタ)アクリレートの如き、C1 〜C3 なるアルコール類で以てエステル化された形の、(メタ)アクリル酸の、各種のアルキルエステル類などであるし、さらには、(メタ)アクリロニトルの如き、各種のシアノ基含有単量体などであるし、
【0060】
他方、こうした各種の単量体類と共重合可能なる其の他の単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ブチル(メタ)クリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートもしくはシクロヘキシル(メタ)アクリレートの如き、C4 以上なるアルコール類で以てエステル化された形の、各種の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類;
【0061】
マイレン酸、フマル酸もしくはイタコン酸の如き、各種の不飽和ジカルボン酸と、一価アルコール類とのジエステル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニルもしくは「ベオバ」(シエル社製の、ビニルエステル類の商品名)の如き、各種のビニルエステル類;
【0062】
「ビスコート 8F、8FM、3Fもしくは3FM」[大阪有機化学(株)製の、含フッ素(メタ)アクリル系単量体の商品名]、パープルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジ−パーフルオロシクロヘキシルフマレートまたはN−iso−プロピルパーフルオロオクタンスルホンアミドエチル(メタ)アクリレートの如き、各種の、(パー)フルオロアルキル基含有の不飽和結合含有単量体類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニルもしくはフッ化ビニリデンの如き、各種のハロゲン化ビニル(ビニリデン)類;
【0063】
エチレンもしくはプロピレンの如き、各種のα−オレフイン類;スチレン、α−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、O−メチルスチレンもしくはp−メチルスチレンの如き、各種の芳香族ビニル単量体類;無水マイレン酸もしくは無水フタル酸の如き、各種の不飽和多価カルボン酸無水基含有不飽和単量体類;(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシメチル化(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドもしくはN−メチロール(メタ)アクリルアミドの如き、各種のカルボン酸アミド基含有単量体類;
【0064】
p−スチレンスルホンアミドもしくはN−メチル−p−スチレンスルホンアミドの如き、各種のスルホン酸アミド基含有単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートもしくは2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの如き、各種の、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類と、燐酸または其のエステル類との縮合反応によって得られる形の燐酸エステル結合含有単量体類;2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸の如き、各種の、スルホン酸基含有単量体または其れらの有機アミン塩類;
【0065】
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートの如き、各種の、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類;
【0066】
無水マイレン酸の如き、各種の多価カルボン酸と、エチレングリコールの如き、各種のグルコール類との付加反応生成物などのような、多価カルボン酸のモノ−ないしはジ−ヒドロキシアルキルエステルで以て代表されるような種々の不飽和結合含有ポリヒドロキシアルキルエステル類;あるいはヒドロキシエチルビニルエーテルの如き、各種のヒドロキシアルキルビニルエーテル類などである。
【0067】
上掲したような、各種の単量体類と共重合可能なる其の他の単量体としては、就中、(メタ)アクリル酸、イタコン酸またはクロトン酸の如き、各種のカルボキシル基含有単量体類などが、一般的なものである。
【0068】
このようにして得られるアミド基含有樹脂は、上述した通り、分散安定剤中に含有せしめるということが可能であるし、また、該アミド基含有樹脂は、分散粒子成分としても用いるということが出来る。
【0069】
さらに、これらの、それぞれ、分散安定剤および/または分散粒子として用いられる、此のアミド基含有樹脂それ自体が、前述したような、それぞれ、カルボキシル基および水酸基を、官能基として有していることを必須の条件とするものである。
【0070】
さらに亦、メタル配向の向上化を目的として、非水分散型樹脂の粒子内部を架橋せしめることも、特に有効なる手段である。
【0071】
上掲したような各種の単量体類と共に使用されて、非水分散型樹脂ないしは非水分散型重合体の分子内架橋化に供される化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめるならば、次に掲げるような化合物などである。
【0072】
すなわち、まず、一分子中に少なくとも2個の重合性エチレン性不飽和結合を持った形の化合物などが挙げられるが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレーチ、1,6−ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどである。
【0073】
次いで、カルボキシル基を有する化合物と、エポキシ基を有する化合物との組み合わせになる形の化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめるならば、次に掲げるような化合物などである。
【0074】
すなわち、まず、上記したカルボキシル基含有化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、既述しているような、たとえば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸またはクロトン酸の如き、各種のカルボキシル基含有単量体などをはじめ、さらには、一分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有するポリカルボキシル化合物などである。
【0075】
次いで、上記したエポキシ基含有化合物としては、まず、エポキシ基含有単量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、グリシジル(メタ)アクリレートなどをはじめ、さらには、β−メチルグルシジル(メタ)アクリレートなどである。
【0076】
他方、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する形の、いわゆるポリエポキシ化合物として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルまたはグリセリントリグリシジルエーテルなどである。
【0077】
そのほかにも、いわゆる粒子内架橋に利用し得る化合物ならびに反応として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、γ−グリシドキシプロピルトリメキンシランの如き、各種の加水分解シリル基の自己架橋による反応や、前掲したようなエポキシ基含有化合物と、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのような、一分子中に少なくとも2個のアミノ基を有する種々の化合物との架橋化反応をなどである。
【0078】
ここにおいて、塗料組成物としての一必須構成成分であり、本発明において用いられる、前記した架橋NADを調製するには、前掲したような溶剤類の存在下に、さらに、分散安定剤をも共存させて、分子内架橋に供する化合物をも含んだ各種の単量体類を重合反応せしめるというようにすればよい。斯かる重合反応は、アゾ系または過酸化物系などのような、公知慣用の種々の重合開始剤を使用して、常法に従って行なうというようにすればよい。
【0079】
次いで、水酸基含有ポリエステル樹脂について説明をすることにするが、当該水酸基含有ポリエステル樹脂の調製の際に用いられる原料類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、まず、アルコール主成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、水添ビスゲノールA、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4ーシクロヘキシル−1,3−プロパンジオールまたはペンタエリスリトールなどであるし、
【0080】
他方、酸成分としては、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、(無水)トリメリット酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、安息香酸、p−ターシャリーブチル安息香酸、バーサチック酸、テトラハイドロフタル酸、テトラハイドロ(無水)フタル酸またはヘキサハイドロ(無水)フタル酸などが、特に代表的なものとして挙げられる。
【0081】
また、任意に使用し得る其の他の成分として、ヤシ油、大豆油、サフラワー油またはヒマシ油などのような、種々の天然油脂や、「カージュラー E」(シェル社製品)またはイソノナン酸などのような合成脂肪酸などで以て代表されるような、油または脂肪酸をも用いるということが出来る。
【0082】
当該水酸基含有ポリエステル樹脂の調製法としては、特に制限がなく、公知慣用の種々の溶剤法や、溶融法などを採用し利用することができる。
【0083】
かくして得られる、当該水酸基含有ポリエステル樹脂としては、その水酸基価が20〜200mgKOH/gなる範囲内にあることが適切であるし、また、その酸価が2〜50mgKOH/gなる範囲内にあることが適切であるし、さらに、その数平均分子量が1,000〜20,000なる範囲内にあることが適切である。
【0084】
そして、前述した非水分散型樹脂と、当該水酸基含有ポリエステル樹脂との使用割合、就中、前述した水酸基含有NADと、当該水酸基含有ポリエステル樹脂との使用割合としては、前者NAD/後者ポリエステルなる固形分重量比で以て、98/2〜50/50なる範囲内が適切であり、好ましくは、95/5〜60/40ある範囲内が適切である。
【0085】
水酸基含有ポリエステル樹脂の使用比率が2未満の場合には、どうしても、とりわけ、耐ピーリング性が充分でなくなり易いし、一方、50を超えて余りにも多くなる場合には、どうしても、メタル配向などの面で以て、問題が出て来易くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0086】
架橋剤としての、前記したアミノ樹脂としては、従来において、すでに、使用されているような公知慣用の種々の形のものを、そのまま、使用することが出来るが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メラミン、アセトグアナミンまたはベンゾグアナミンの如き、各種のアミノ基含有化合物と、アセトアルデヒドまたはグリオキザールの如き、各種のアルデヒド系化合物とを、公知慣用の種々の方法により、反応せしめるということによって得られる形の、種々の形の縮合物;
【0087】
あるいは此等らの各種の縮合物を、アルコール類、特に、C1 〜C4 なる低級アルコールで以て、部分的に、あるいは完全に、エーテル化せしめるということによって得られる形の化合物などである。
【0088】
本発明に係る硬化性樹脂組成物としては、上述したようなビヒクル成分のほかにも、従来において用いられて来たような種々のベース塗料組成物にとって、一般的なる配合成分、たとえば、アルミニウム、プロンズ粉、雲母粉またはチタン・コート・マイカの如き、各種の金属顔料;カーボン・ブラックまたは二酸化チタンの如き、各種の一般的なる無機顔料や、
【0089】
フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、シンカシャ・レッドまたはフラバンス・エローの如き、各種の一般的なる有機顔料などのような、種々の着色顔料をはじめ、さらには、表面調製剤や、沈降防止剤などのような、種々の添加物などをも配合せしめるということができる。
【0090】
本発明において使用することの出来る溶剤成分として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、「ソルベッソ100もしくは150」(エクソン社製品)などをはじめ、さらには、トルエンまたはキシレンの如き、各種の芳香族炭化水素;ヘキサンまたはシクロヘキサンの如き、各種の脂肪族系炭化水素;エタノール、ブタノールもしくはイソブタノールの如き、各種のアルコール類;
【0091】
あるいは酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸アミルまたはセロソルブアセテートの如き、各種のエステル類などのような、一般塗料に用いられている部類の種々の溶剤類などであり、こうした諸々の溶剤類を、溶解度ならびに沸点などを考慮して、適宜、選択するということが出来る。
【0092】
本発明に係る硬化性樹脂組成物を塗装するに当たっては、前述のような各種の溶剤などで以て、所望の粘度にまで希釈せしめ、エア・スプレーガン、静電塗装ガンまたはミニベル塗装ガンなどを用いて、塗装せしめるというようにすればよい。
【0093】
引き続いて、室温に、2〜5分間のあいだ、フラッシュ・タイムをおいたあとに、顔料類を含まない、透明液より成るクリヤー塗料を、希釈せしめたのちに塗布せしめるというようにすればよいし、次いで、5〜10分間のあいだ、セッテングせしめたのちに、電気オーブンまたはガスオーブンなどで以て焼き付けを行なうというようにすればよい。
【0094】
さらには、いわゆる2コート1ベーク方式で塗装せしめたのちに、さらに、オーバー・トップ・クリヤー塗料を塗装せしめる形の、いわゆる3コート2ベーク方式で塗膜を形成せしめることが出来るが、そのようにすればよい。
【0095】
本発明において利用することが出来るトップ・クリヤー塗料においては、焼き付け塗料である限り、特に限定されるものではないが、それらのうちでも好ましいものとしては、アクリル系樹脂、アルキド系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂またはシリコン系樹脂などのような、種々の樹脂成分を含有するという形の合成樹脂系焼き付け塗料が、特に代表的なものである。
【0096】
その際に用いられる硬化剤成分としては、アミノ樹脂またはイソシアネート系樹脂などといった部類の、水酸基と反応性を有する、公知慣用の種々の硬化剤類を使用するということができる。
【0097】
さらに、近年においては、いわゆる耐酸性雨型塗料が開発されて来ており、メラミン硬化系に代わるべき、カルボキシル基と、エポキシ基との反応系;カルボキシル基と、シクロカーボネート基との反応系;あるいは酸無水基と、水酸基との反応系などのような、新規な種々の硬化性樹脂を含有した形のクリヤー塗料の使用も亦、可能である。
【0098】
かくして得られる、本発明に係る硬化性樹脂組成物は、主として、金属素材ないしは金属製品などに、鉄、就中、鉄製品などに利用し適用されるというものであって、とりわけ、自動車用の塗料として、就中、自動車用のメタリック・ベースコート用の塗料として利用し適用されるというものである。
【0099】
したがって、本発明に係る硬化性樹脂組成物を用いて行なわれる、本発明に係る塗装方法において適用すべき、被塗物基材として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、アルミニウム、ステンレス・スチール、クロム・メッキ、トタン板またはブリキ板の如き、各種の金属素材ないしは金属製品類などであり、
【0100】
具体的には、自動車車体または自動車(用)部品類、二輪車または二輪車(用)部品類などをはじめ、さらには、門扉またはフェンス類の如き、各種の建材類などである。
【0101】
【実施例】
【0102】
次に、本発明を、参考例、実施例および比較例により、一層、具体的に説明することにするが、本発明は、決して、これらの例示例のみに限定されるものではない。なお、以下において、部および%は、断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0103】
参考例1〔架橋NAD(A)の調製例〕
【0104】
《分散安定剤の調製》
【0105】
それぞれ、攪拌機、温度計、冷却器および窒素導入管を備えた反応容器に、「ロウス(LAWS)」(シェル社製の、低芳香族炭化水素系溶剤の商品名)の350部およびn−ブタノールの100部を入れ、100℃にまで昇温して、此の温度に保持した。
【0106】
次いで、ここへ、スチレンの50部、イソブチルメタクリレートの145部、n−ブチルアクリレートの170部、N−メチロールアクリルアミドの50部、2−ヒドロキシエチルアクリレートの75部およびアクリル酸の10部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネートの10部およびジ−tert−ブチルパーオキサイドの5部と、「LAWS」の50部とを、3時間に亘って滴下した。
【0107】
滴下終了後の6時間にして、ハイドロキノンの1.0部、2−メチルイミダゾールの1.0部およびグリシジルメタクリレートの3部を投入し、反応を継続せしめた。これらの投入後も、5時間のあいだ、反応を続行せしめるということによって、不揮発分が50.2%なる分散安定剤用樹脂(a−1)を得た。
【0108】
引き続いて、攪拌機、温度計、冷却器および窒素導入管を備えた反応容器に、「LAWS」の350部およびn−ブタノールの100部を加え、100℃にまで昇温して、此の温度に保持した。
【0109】
次いで、ここへ、スチレンの50部、イソブチルメタクリレートの165部、n−ブチルアクリレートの200部、2−ヒドロキシエチルアクリレートの75部およびアクリル酸の10部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネートの10部およびジ−tert−ブチルパーオキサイドの5部と、「LAWS」の50部とを、3時間に亘って滴下した。
【0110】
滴下終了後の6時間にして、ハイドロキノンの1.0部、2−メチルイミダゾールの1.0部およびグリシジルメタクリレートの3部を投入し、反応を継続せしめた。これらの投入後も、5時間のあいだ、反応を続行せしめるということによって、不揮発分が50.2%なる分散安定剤用樹脂(a−2)を得た。
【0111】
《NADの調製》
【0112】
次いで、反応容器に、先に得られた樹脂(a−1)の300部と、キシレンの50部、n−ヘプタンの150部およびn−ブタノールの70部とを加え、95℃にまで昇温して、此の温度に保持した。
【0113】
しかるのち、ここへ、メチルメタクリレートの100部、エチルアクリレートの135部、n−ブチルアクリレートの30部、2−ヒドロキシアクリレートの40部、アクリロニトルの35部およびアクリル酸の10部と、「LAWS」の80部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネートの3.5部とを、4時間亘って滴下した。
【0114】
滴下終了後も、此の温度で、10時間のあいだ反応を続行せしめて、目的とする樹脂の溶液を得た。かくして得られた樹脂溶液の不揮発分は、50.1%であった。以下、これをNAD(A−1)と略記する。
【0115】
参考例2(同上)
参考例1と同様の反応容器に、分散安定剤樹脂(a−1)の500部、N−ヘプタンの150部、キシレンの20部およびn−ブタノールの50部を加えて、90℃にまで昇温して、此の温度に保持した。
【0116】
次いで、スチレンの20部、メチルメタクリレートの80部、エチルアクリレートの72部、アクリロニトリルの40部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの25部、アクリル酸の5部およびエチレングリコールジメタクリレートの8部と、キシレンの30部と、tert−ブチルパーオキシ−2エチルヘキサネートの2.5部とを、3時間に亘って滴下した。
【0117】
滴下終了後も、此の温度で、9時間のあいだ反応を継続せしめて、目的とする樹脂の分散液を得た。かくして得られた樹脂溶液の不揮発分は、50.2%であった。以下、これをNAD(A−2)と略記する。
【0118】
参考例3(同上)
参考例1と同様の反応容器に、分散安定剤樹脂(a−1)の300部、N−ヘプタンの150部、キシレンの50部およびn−ブタノールの70部を加えて、95℃にまで昇温して、此の温度に保持した。
【0119】
しかるのち、ここへ、メチルメタクリレートの100部、エチルアクリレートの135部、n−ブチルアクリレートの23部、2−ヒドロキシアクリレートの40部、アクリロニトルの35部、アクリル酸の10部およびグリシジルメタクリレートの7部と、「LAWS」の80部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネートの3.5部とを、4時間亘って滴下した。
【0120】
滴下終了後も、此の温度で、9時間のあいだ反応を継続せしめて、目的とする樹脂の分散液を得た。かくして得られた樹脂分散液の不揮発分は、50.4%であった。以下、これをNAD(A−3)と略記する。
【0121】
参考例4(同上)
参考例1と同様の反応容器に、分散安定剤樹脂(a−2)の300部、N−ヘプタンの150部、キシレンの50部およびn−ブタノールの70部を加えて、95℃にまで昇温して、此の温度に保持した。
【0122】
しかるのち、ここへ、メチルメタクリレートの90部、エチルアクリレートの120部、n−ブチルアクリレートの20部、2−ヒドロキシアクリレートの40部、アクリロニトルの35部、アクリル酸の10部およびN−メチロールアクリルアミドの35部と、「LAWS」の80部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネートの3.5部とを、4時間亘って滴下した。
【0123】
滴下終了後も、此の温度で、9時間のあいだ反応を継続せしめて、目的とする樹脂の分散液を得た。かくして得られた樹脂分散液の不揮発分は、49.8%であった。以下、これをNAD(A−4)と略記する。
【0124】
参考例5(同上)
参考例1と同様の反応容器に、分散安定剤樹脂(a−1)の300部、N−ヘプタンの150部、キシレンの50部およびn−ブタノールの70部を加えて、95℃にまで昇温して、此の温度に保持した。
【0125】
しかるのち、ここへ、メチルメタクリレートの90部、エチルアクリレートの120部、n−ブチルアクリレートの20部、2−ヒドロキシアクリレートの40部、アクリロニトルの35部、アクリル酸の10部およびN−メチロールアクリルアミドの35部と、「LAWS」の80部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネートの3.5部とを、4時間亘って滴下した。
【0126】
滴下終了後も、此の温度で、9時間のあいだ反応を継続せしめて、目的とする樹脂の分散液を得た。かくして得られた樹脂分散液の不揮発分は、49.8%であった。以下、これをNAD(A−5)と略記する。
【0127】
参考例6(同上)
参考例1と同様の反応容器に、分散安定剤樹脂(a−2)の300部、N−ヘプタンの150部、キシレンの50部およびn−ブタノールの70部を加えて、95℃にまで昇温して、此の温度に保持した。
【0128】
しかるのち、ここへ、メチルメタクリレートの100部、エチルアクリレートの135部、n−ブチルアクリレートの30部、2−ヒドロキシアクリレートの40部、アクリロニトルの35部およびアクリル酸の10部と、「LAWS」の80部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネートの3.5部とを、4時間亘って滴下した。
【0129】
滴下終了後も、此の温度で、9時間のあいだ反応を継続せしめて、目的とする樹脂の分散液を得た。かくして得られた樹脂分散液の不揮発分は、50.8%であった。以下、これをNAD(A−6)と略記する。
【0130】
参考例7〔水酸基含有ポリエステル樹脂(B)の調製例〕
攪拌機、温度計、冷却器および窒素導入管を備えた反応容器中に、イソフタル酸の270部、アジピン酸の357部、ネオペンチルグリコールの164部、トリメチロールプロパンの124部および1,6−ヘキサンジオールの229部を仕込んで、攪拌を開始した。その間、生成する縮合水を、蒸留塔を備えた水分離器により、反応容器外に除去しつつ、100℃より230℃にまで、3時間かけて、均一速度で昇温した。
【0131】
次いで、230℃に、2時間のあいだ、温度を保持して、攪拌を続行させた。その後は、60部のキシレンを、反応容器中に加え、230℃で、キシレンの環流下に反応を進行せしめ、キシレンと共沸して出て来る縮合水を、水分離器により、系外に除去しつつ、酸価6に達した処で、反応を終了させ、冷却させた。
【0132】
冷却後は、キシレンの500部およびn−ブタノールの140部を加えた。かくして得られた目的樹脂の水酸基価は100.1mgKOH/gであり、その酸価は5.1mgKOH/gであったし、その不揮発分は、60.2%であった。以下、これを水酸基含有ポリエステル樹脂(B)と略記する。
【0133】
実施例1〜10
【0134】
《ベース塗料の調製》
【0135】
第1表に示すような配合組成割合に従って配合せしめ、希釈用溶剤(A)で以て、フォード・カップNO.4による粘度が13秒となるように調整して、目的とする種々のベース塗料を得た。
【0136】
【表1】
【0137】
【表2】
【0138】
【表3】
【0139】
【表4】
【0140】
【表5】
【0141】
【表6】
【0142】
【表7】
【0143】
【表8】
【0144】
《第1表の脚注》
「A−322]……………………「アクリディック A−322」の略記であって、大日本インキ化学工業(株)製の、アクリル樹脂(溶液型)の商品名;不揮発分=50%
【0145】
「L−117−60」……………「スーパーベッカミン L−117−60」の略記であって、同上社製のn−ブチル化メラミン樹脂の商品名;不揮発分=60%
【0146】
「F.S.マルーン DSK」…「ファーストゲンスーパーマルーン DSK」の略記であって、同上社製のペリレン系顔料の商品名
【0147】
「7160N」……………………「アルペースト 7160N」の略記であって、東洋アルミニウム工業(株)製の、アルミニウムペーストの商品名;不揮発分=65%
【0148】
「CR−93」……………………「タイペーク CR−93」の略記であって、石原産業(株)製の酸化チタン系顔料の商品名
【0149】
《希釈溶剤(A)の調製》
【0150】
n−ヘプタン 20部
キシレン 20部
トルエン 20部
酢酸n−ブチル 10部
酢酸エチル 30部
【0151】
比較例1、3および5
【0152】
《ベース塗料の調製》
【0153】
第1表に示すような配合組成割合に従って配合せしめ、希釈用溶剤(A)で以て、フォード・カップNO.4による粘度が13秒となるように調整して、対照用の種々のベース塗料を得た。
【0154】
比較例2、4および6
【0155】
《ベース塗料の調製》
【0156】
第1表に示すような配合組成割合に従って配合せしめ、希釈用溶剤(B)で以て、フォード・カップNO.4による粘度が13秒となるように調整して、対照用のベース塗料を得た。
【0157】
《希釈溶剤(B)の調製》
【0158】
キシレン 20部
トルエン 30部
酢酸n−ブチル 20部
酢酸エチル 30部
【0159】
《トップクリヤー塗料の調製》
【0160】
下記するような配合組成割合に従って配合せしめ、さらに、「ソルベッソ100」(前出社製の、芳香族系混合溶剤の商品名)で以て、フォードカップNo.4による粘度が25秒となるように調整して、目的とする、種々のトップクリヤー塗料を得た。
【0161】
「アクリディック A−345」 130部
[大日本インキ化学工業(株)
製の、アクリル樹脂の商品名
;不揮発分=55%]
「スーパーベッカミン L−117−60」 50部
「チヌビン 900」 2部
(スイス国チバ・ガイギー社製
の、紫外線吸収剤の商品名)
「チヌビン 292」 2部
(同上)
「BYK 300」 0.1部
(アメリカ国ビッグ・ケミー社
製の、レベリング剤の商品名)
【0162】
評価判定試験の要領
【0163】
燐酸化成処理を行なった軟鋼板上に、自動車用電着プライマーおよび中塗りサーフェサーを塗布して得られた塗板に、実施例1〜8および比較例1〜4におけるベース塗料を、エアスプレーによって、乾燥塗膜が17マイクロ・メーター(μm)となるように塗装せしめたのちに、3分間のあいだ、セッテングせしめた。
【0164】
次いで、前記したトップクリヤー塗料を、乾燥塗膜が30μmとなるように塗装せしめた。
【0165】
燐酸化成処理を行なった軟鋼板上に、自動車用電着プライマーを塗布して得られた塗板に、実施例9および10ならびに比較例5および6で得られた、それぞれのベース塗料を、エアスプレーによって、乾燥塗膜が17μmとなるように塗装せしめたのちに、3分間のあいだ、セッティングせしめた。
【0166】
次いで、比較例1におけるベース塗料を、同様に、エア・スプレーによって、乾燥塗膜が17μmとなるように塗装せしめたのちに、3分間のあいだ、セッティングせしめた。次いで、前記したトップクリヤー塗料を、乾燥塗膜が30μmとなるように塗装せしめた。
【0167】
室温に、10分間のあいだ放置したのちに、140℃なる雰囲気の電気熱風乾燥機中に、25分間のあいだ入れて、硬化せしめた。それぞれの硬化塗膜について、塗膜諸性能の評価判定試験を行なった。それらの結果は、まとめて、第2表に示す。
【0168】
塗膜諸性能に関する評価判定試験の要領概略
【0169】
仕上がり外観(艶感など)……………スガ試験機(株)製の写像明度測定器により評価判定した。斯かる装置を用いて得られる、それぞれの数値は、塗膜の、主として、鮮映性を示す指標であり、この値が大きいほど、此の鮮映性が良好であるということを意味している。
【0170】
仕上がり外観(メタル配向など)……メタリック感測定装置「ALCOPE LMR−100」[関西ペイント(株)製品]によるIV値で以て表示しているが、それぞれの評価数値の高いほど、此の仕上がり外観が良好であるということを意味している。
【0171】
ピーリング………………………………飛石試験機「JA−400」[スガ試験機社製品]を用い、使用条件としては、それぞれ、50gの7号砕石を使用し、しかも、圧力を4Kg/cm2 として、剥離せしめた塗膜を、目視により、評価判定した。
【0172】
【表9】
【0173】
【表10】
【0174】
【表11】
【0175】
【表12】
【0176】
【表13】
【0177】
【表14】
【0178】
以上に詳説して来た処からも明らかなように、本発明に係る硬化性樹脂組成物は、とりわけ、塗装時不揮発分も高く、しかも、とりわけ、メタル配向にも、かつまた、ピーリング性などにも優れるという、極めて実用性の高いものであることが、無理なく、知り得よう。
【0179】
【発明の効果】
本発明に係る硬化性樹脂組成物は、とりわけ、塗装時不揮発分も高く、しかも、とりわけ、メタル配向にも、かつまた、ピーリング性などにも優れるという、極めて実用性の高いものであるし、他方、こうした、実用性の高い硬化性樹脂組成物を用いて行なわれる、本発明に係る塗装方法も亦、極めて実用性の高いものである。
Claims (12)
- 一分子中にアミド基およびカルボキシル基を併有する水酸基含有非水分散型アクリル系樹脂を必須の樹脂成分として用い、アミノ樹脂を必須の硬化剤成分として用いることを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
- 一分子中にアミド基およびカルボキシル基を併有する水酸基含有非水分散型アクリル系樹脂と、水酸基含有ポリエステル樹脂とを必須の樹脂成分として用い、アミノ樹脂を必須の硬化剤成分として用いることを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
- 前記した非水分散型アクリル系樹脂が、非水溶剤類に可溶なるアミド基含有アクリル系樹脂類を、分散安定剤として用いて得られるものである、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記した非水分散型アクリル系樹脂が、アミド基含有アクリル系樹脂類を、非水溶剤類に不溶なる分散粒子として用いて得られるものである、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記した非水分散型アクリル系樹脂が、非水溶剤類に可溶なるアミド基含有アクリル系樹脂類を、分散安定剤として用い、さらに、アミド基含有アクリル系樹脂類を、非水溶剤類に不溶なる分散粒子として用いて得られるものである、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記した水酸基含有ポリエステル樹脂が、それぞれ、水酸基価が20〜200mgKOH/gなる範囲内、酸価が2〜50mgKOH/gなる範囲内、数平均分子量が1,000〜20,000なる範囲内のものであり、しかも、該水酸基含有ポリエステル樹脂を用いて得られる硬化性樹脂組成物中における該水酸基含有ポリエステル樹脂の含有量として、前記した非水分散型アクリル系樹脂/水酸基含有ポリエステル樹脂なる固形分重量比で以て、98/2〜50/50なる範囲内に存在しているものである、請求項2に記載の組成物。
- 基材上に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物と、顔料類と、溶剤類とを必須の成分として含有する着色フィルム形成組成物を塗布して、ベースコートを形成せしめ、次いで、此のベースコート上に、クリヤーフィルム形成組成物を塗布して、トップコートを形成せしめることを特徴とする、積層塗装方法。
- 基材上に、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物と、顔料類と、溶剤類とを必須の成分として含有する着色フィルム形成組成物を塗布して、ベースコートを形成せしめ、次いで、此の着色フィルム上に、その他の組成から成る着色フィルム形成組成物を塗布した、その他のベースコートを形成せしめ、さらに、その上に、クリヤーフィルム形成組成物を塗布して、トップコートを形成せしめることを特徴とする、積層塗装方法。
- 前記した積層塗装方法が、2コート2ベーク方式によるものである、請求項8に記載の塗装方法。
- 前記した積層塗装方法が、2コート1ベーク方式によるものである、請求項8に記載の塗装方法。
- 前記した積層塗装方法が、3コート1ベーク方式によるものである、請求項9に記載の塗装方法。
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