JP3836717B2 - 導電性パターン材料及び導電性パターン形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は導電性パターン材料及びパターンの形成方法に関し、特に、微細な導電性パターンを容易に形成することができ、微細配線基板の形成に有用な導電性パターン材料及びそれに適用しうる導電性パターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、種々の導電性パターン材料が配線基板の形成などに使用されている。これらの代表的なものは、絶縁体上に真空蒸着などの公知の方法により形成された薄膜の導電性材料を設け、それをレジスト処理し、パターン露光により予め作成したレジストの一部を除去し、その後、エッチング処理を行なって所望のパターンを形成するものであり、少なくとも4つの工程を必要とし、ウエットエッチング処理を行う場合には、その廃液の処理工程も必要となるため、複雑な工程をとらざるをえなかった。
また、他のパターン形成方法としては、フォトレジストを用いた導電性パターン材料なども知られている。この方法は、フォトレジストポリマーを塗布したり、ドライフィルム上のフォトレジストを貼付した基材を、任意のフォトマスクを介してUV露光し、格子状などのパターンを形成する方法であり、高い導電性を必要とする電磁波シールドの形成に有用である。
近年、マイクロマシンの開発の進行や超LSIの一層の小型化に伴い、これらの配線構造もナノ単位の微細なものを要求されるようになってきており、従来の金属エッチングでは微細化に限界があり、また、細線部の加工中の断線なども懸念される。このため、配向が制御された緻密なパターンを形成する方法として、機能性有機分子薄膜を使用する方法が提案されているが、この方法においても像様の書込みは従来の如きリスフィルムのようなマスクを介してUV露光を行うものであり、回路形成の自由度はあまり高いとはいえない。
【0003】
一方、近年、導電性パターン材料として、ディジタル化されたデーターからマスクなどを介さずに直接、パターン形成する方法が注目され、種々提案されてきている。
このようなデジタル化されたパターン形成方法を利用すれば、微細なパターンが任意に形成されることが期待される。このような方法のひとつとして、自己組織化単分子膜を用いる方法が挙げられる。これは、界面活性分子を含む有機溶剤に基板を浸漬したときに自発的に形成される分子集合体を利用するもので、例えば、有機シラン化合物とSiO2、Al2O3、基板との組合せや、アルコールやアミンと白金基板との組合せが挙げられ、光リソグラフィー法などによるパターン形成が可能である。このような単分子膜は微細パターンの形成を可能とするが、限られた基板と材料との組み合わせを用いる必要があるために、実際の応用への展開が困難であり、実用に適する微細配線のパターン形成技術は未だ確立されていないのが現状である。
【0004】
さらに、軽量、フレキシブル、環境対応という観点から導電性ポリマーのパターンを使用した有機トランジスターなどの研究がされてきているが、このような有機材料を用いた支持体の特徴は、軽く、薄く、柔軟性があり、大きな面積の素子を容易に(室温での印刷と同様の技術などで)作成できるところにある。これらの特徴を、新しく開発されつつある有機半導体の、電気特性および光特性と組み合わせることにより、現在の情報技術において、もっとも必要とされている、情報パーソナル化のための技術、たとえば、簡単な情報処理機能と人に優しい入出力機能とを持つウェアラブル携帯端末などを作る技術に、新しい展開を生み出す事が期待できる。
これまで検討されてきた導電性ポリマーのパターン形成技術の具体例としてはG.Whitesidesら、Langmuir 1997 vol13 page6480およびT.Granlundら、Advanced materials 2000 vol 12 page 269記載のマイクロコンタクトプリンティング法、D.M.de Leeuwら、Applied Physics Letters vol 73 page 108記載の導電性ポリマーの光開始剤還元法、US特許542784記載の導電性ポリマーの光重合形成法などが知られている。しかし、いずれも耐久性、大面積化、導電性安定性、製造適正のなどの実用な観点からは十分なものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術の欠点を考慮してなされた本発明の目的は、強固で耐久性に優れ、且つデジタルデータに基くレーザ露光により高解像度で、断線のない微細なパターン形成が可能であり、また、大面積化、導電性安定性、製造適正などの観点からも優れた導電性パターン材料及び導電性パターン形成方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、グラフトポリマーの強いイオン吸着性に着眼し研究を進めた結果、親水性ポリマーが存在する親水性表面と導電性ポリマーとの組合せにより、上記目的が達成されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の導電性パターン材料は、支持体上に、以下の(B)に記載の手段により、該支持体表面に直接結合した親水性パターンを形成したのち、該親水性パターン上に導電性ポリマー層を形成することを特徴とする。
また、本発明の導電性パターン形成方法は、支持体上に、該支持体表面に直接結合した親水性パターンを形成する工程と、該親水性パターン上に導電性モノマーを吸着させ、重合させて、導電性ポリマー層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
なお、上記親水性パターンを形成するにあたって特に有用な方法としては、
(B)支持体上に、熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基を有する高分子化合物含有層を設け、画像様に加熱、酸の供給または輻射線の照射を行って、該層の親疎水性を変化させることで、親水性パターンを形成する方法が挙げられる。
【0007】
本発明の導電性パターン材料は、パターン露光により形成された表面親水性領域に選択的に導電性ポリマーを吸着させるため、デジタルデータに基づく高解像度のパターンを得ることができる。
本発明の導電性パターン材料のパターン形成層として用いられる、上記(B)における熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基を有する高分子化合物は、その末端又は側鎖で直接または幹高分子化合物を介して支持体に直接化学結合しており、さらに、運動性の高いグラフト鎖構造を有するため、一般的な架橋高分子膜に導電性ポリマーを吸着させる場合に比較して、吸着速度が極めて早く、単位面積当たりに吸着しうるポリマーの量が多くなるという特徴を有する。
本発明の好ましい態様においては、配線を形成するための導電性ポリマーは、その前駆体である導電性モノマーが極性に応じてパターン形成層表面にイオン的に吸着し、そのまま重合反応により高分子層が形成されるため、強固に親水性パターン上に固定される。このため薄層であっても、高強度で、柔軟性にも優れた微細な配線パターンを形成しうるものと考えられる。
【0008】
【発明の実施の形態】
まず、本発明において参考例として挙げられる、下記(B)の熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基を有する高分子化合物含有層を形成する際に参照される ( A ) 親水性パターンの形成方法を詳細に説明する。この親水性パターンを形成するのに有用な重合性基と親水性基を有する化合物に代えて、後述する熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基を有する化合物を用いることで熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基を有する高分子化合物含有層を形成しうる。
〔A−1:重合性基を有する親水性化合物〕
まず、(A)支持体上に、重合性基を有する親水性化合物を接触させ、画像様に輻射線の照射を行って親水性パターンを形成する方法について説明する。
(A−1−1:表面グラフト重合)
本発明の参考例(A)におけるパターン形成層は、支持体上に、重合性基を有する親水性化合物を接触させ、エネルギーを付与することで親水性化合物の重合性基と支持体とが化学結合を生成するため、強固で耐久性に優れ、高い親水性を有する親水性領域を形成することができる。このような結合の形成を表面グラフトと称する。
この接触は、支持体を、重合性の親水性化合物を含有する液状の組成物中に浸漬することで行ってもよいが、導電性パターン材料の取り扱い性や製造効率の観点からは、後述するように、重合性の親水性化合物を含有する組成物を主成分とする層を支持体表面に、塗布法により形成することが好ましい。
【0009】
以下に、エネルギー付与による表面グラフトの形成について説明する。
本発明(A)における親水性領域の形成は、表面グラフト重合と呼ばれる方法により行われる。グラフト重合とは高分子化合物鎖上に、光、電子線などの従来公知の方法にてエネルギーを付与することにより活性種を与え、これによって重合を開始する別の重合性化合物をさらに重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分子化合物が表面を形成するときには表面グラフト重合と呼ばれる。
【0010】
通常は、基材を構成するPETなどの支持体表面を直接、プラズマ、もしくは電子線にて処理し、表面にラジカルを発生させて重合開始能を発現させ、その後、その活性表面と親水性官能基を有するモノマーとを反応させることによりグラフトポリマー表面層、即ち、親水性基を有する表面層を得ることができる。本発明(A)の好ましい態様では、支持体に予め重合開始能を有する化合物を添加することで、このような活性点の形成を低エネルギーで容易に行うことができ、且つ、生成する活性点も多いため、簡易な方法により、より高い親水性を有する表面を形成することができる。
【0011】
光照射などによりグラフト重合を生じさせる方法自体は、公知の方法を適用することができる。光グラフト重合法の具体的方法としては特開昭63−92658号公報、特開平10−296895号公報および特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。具体的には、支持体上に重合開始剤と重合性化合物からなる重合性組成物をあらかじめ下塗りしておき、その上に重合性基を有する親水性化合物を接触させ光照射する方法である。
また、親水性化合物をパターン状に形成する他の手段として、T.Matsuda,Y.Nakayama Langmuir 1999 vol15 page5560,およびMacromolecules 1996 vol29 page8622記載のごとくN,N−ジエチルチオカルバメート基を有するポリマー基板を使用し、これに親水性モノマーを接触させパターン状に露光することで表面グラフト重合を起こさせ、ポリアクリル酸を表面に固定した親水性パターンを形成する方法や、Y.Ito Macromolecules 1997vol30 page7001記載のごとく、アジド基を有するポリアクリル酸をポリスリレンなどのポリマー基板に塗布し、パターン状に露光することでポリアクリル酸を表面に固定した親水性ポリマーパターンを得る方法も適用することができる。
表面グラフトを作成する方法のなかでも、エネルギー付与を光照射により行う光グラフト法をとることが好ましい。
【0012】
(A−1−2:重合性基を有する親水性化合物)
本発明(A)に用いられる重合性基を有する親水性化合物とは、後述の親水性モノマー、又は該親水性モノマーから選ばれる少なくとも一種を用いて得られる親水性ホモポリマー、コポリマーに、重合性基として、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基などのエチレン付加重合性不飽和基を導入したラジカル重合性基含有親水性化合物を指し、この化合物は、少なくとも末端又は側鎖に重合性基を有するものであり、特に末端に重合性基を有するものが好ましく、さらに、末端及び側鎖に重合性基を有するものが好ましい。
【0013】
このようなエチレン付加重合性不飽和基を導入したラジカル重合性基含有親水性化合物は以下のように合成できる。
合成方法としては、親水性モノマーとエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーを共重合する方法、親水性モノマーと二重結合前駆体を有するモノマーを共重合させ、次に塩基などの処理により二重結合を導入する方法、親水性化合物の官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを反応させる方法が挙げられる。特に好ましいのは、合成適性の観点から、親水性化合物の官能基とエチレン付加重合性不飽和基を有するモノマーとを反応させる方法である。
【0014】
上記ラジカル重合性基を主鎖末端及び/又は側鎖に有する親水性化合物の合成に用いられる親水性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、イタコン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基、アミド基およびエーテル基などの親水性基を有するモノマーが挙げられる。
【0015】
親水性モノマ−と共重合するアリル基含有モノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、2−アリルオキシエチルメタクリレートが挙げられる。
また、二重結合前駆体を有するモノマーとしては2−(3−クロロ−1−オキソプロポキシ)エチルメタクリレー卜が挙げられる。
親水性モノマー中のカルボキシル基、アミノ基もしくはそれらの塩、水酸基およびエポキシ基などの官能基との反応を利用して不飽和基を導入するために用いられる付加重合性不飽和基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートなどがある。
【0016】
末端及び/又は側鎖に重合性基を持つ親水性化合物の好ましい例として、親水性マクロモノマーが挙げられる。本発明(A)に用いられるマクロモノマーの製造方法は、例えば平成1年9月20日にアイピーシー出版局発行の「マクロモノマーの化学と工業」(編集者 山下雄也)の第2章「マクロモノマーの合成」に各種の製法が提案されている。本発明(A)で用いられる親水性のマクロモノマーで特に有用なものとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのカルボキシル基含有のモノマーから誘導されるマクロモノマー、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスチレンスルホン酸、およびその塩のモノマーから誘導されるスルホン酸系マクロモノマー、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカルボン酸アミドモノマーから誘導されるアミド系マクロモノマー、ヒドロキシエチルメタクリレー卜、ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの水酸基含有モノマーから誘導されるマクロモノマー、メトキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレートなどのアルコキシ基もしくはエチレンオキシド基含有モノマーから誘導されるマクロモノマーである。またポリエチレングリコール鎖もしくはポリプロピレングリコール鎖を有するモノマーも本発明(A)に用いられるマクロモノマーとして有用に使用することができる。
これらのマクロモノマーのうち有用な分子量は250〜10万の範囲で、特に好ましい範囲は400〜3万である。
【0017】
(A−1−3:上記親水性マクロモノマーとの併用に有用な親水性モノマー)
また、上記重合性基を有する親水性マクロモノマーに、さらに、親水性モノマーを添加しても良い。親水性モノマーを添加することにより重合率を上げることができる。
親水性モノマーの添加量は、全ての重合性基を有する親水性化合物中、固形分で0〜60重量%が好ましい。60重量%以上では塗布性が悪く均一に塗布できないので不適である。
末端及び/又は側鎖に重合性基を有する親水性化合物と併用するのに有用な、親水性モノマーとしては、アンモニウム、ホスホニウムなどの正の荷電を有するモノマー、もしくは、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、ホスホン酸基などの負の荷電を有するか負の荷電に解離しうる酸性基を有するモノマーが挙げられるが、その他にも、例えば、水酸基、アミド基、スルホンアミド基、アルコキシ基、シアノ基などの非イオン性の基を有する親水性モノマーを用いることもできる。
本発明(A)において、親水性マクロモノマーとの併用に、特に有用な親水性モノマーの具体例としては、次のモノマーを挙げることが出来る。
【0018】
例えば、(メタ)アクリル酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、イタコン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン酸塩、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、ビニルスチレンスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メタ)アクリレー卜もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩およびアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキンエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸、アミノ基もしくはそれらの塩、2−トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはそのハロゲン化水素酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸、アミノ基もしくはそれらの塩、などを使用することができる。また2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N−メタクリロイルオキシエチルカルバミン酸アスパラギン酸の如き分子中にアミノ酸骨格を有するモノマー、グリコキシエチルメタクリレートの如き分子中に糖骨格を有するモノマーなども有用である。
【0019】
このような親水性化合物を含有する組成物に使用する溶剤は、主成分である前記親水性マクロモノマーや親水性モノマーなどが溶解可能ならば特に制限はないが、水、水溶性溶剤などの水性溶剤が好ましく、これらの混合物や、溶剤にさらに界面活性剤を添加したものなどが好ましい。
水溶性溶剤は、水と任意の割合で混和しうる溶剤を言い、そのような水溶性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリンの如きアルコール系溶剤、酢酸の如き酸、アセトンの如きケトン系溶剤、ホルムアミドの如きアミド系溶剤、などが挙げられる。
【0020】
必要に応じて溶剤に添加することのできる界面活性剤は、溶剤に溶解するものであればよく、そのような界面活性剤としては、例えば、n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの如きアニオン性界面活性剤や、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドの如きカチオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(市販品としては、例えば、エマルゲン910、花王(株)製など)、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(市販品としては、例えば、商品名「ツイーン20」など)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの如き非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
組成物を液状のまま接触させる場合には、任意に行うことができるが、塗布法により親水性化合物組成物塗布層を形成する場合の塗布量は固形分換算で0.1〜10g/m2が好ましく、特に1〜5g/m2が好ましい。0.1g/m2未満では十分な表面親水性を得ることができず、また10g/m2を超えると均一な塗布膜が得にくいため、いずれも好ましくない。
【0021】
〔A−2:支持体〕
本発明(A)に用いられる支持体とは、前述の重合性基を有する親水性化合物の末端又は側鎖が直接または幹高分子化合物を介して化学的に結合できるような支持体表面を有するものである。支持体自体がこのような特性を有していてもよく、このような特性を有する中間層を支持体上に設けてもよい。
【0022】
(A−2−1:支持体表面或いは中間層)
このような支持体表面は、前記表面グラフト層をグラフト合成して設けるのに適した特性を有していれば、無機層、有機層のいずれでもよい。
特に、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法により薄層ポリマーを合成する場合には、有機表面を有する層であることが好ましく、特に有機ポリマーの層であることが好ましい。また有機ポリマーとしてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、フォルマリン樹脂などの合成樹脂、ゼラチン、カゼイン、セルロース、デンプンなどの天然樹脂のいずれも使用することができるが、光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、放射線照射グラフト重合法などではグラフト重合の開始が有機ポリマーの水素の引き抜きから進行するため、水素が引き抜かれやすいポリマー、特にアクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ樹脂などを使用することが、特に製造適性の点で好ましい。
このような支持体表面は、後述の基板(支持体)を兼ねていても良く、また必要に応じて支持体上に設けられた中間層であってもかまわない。
【0023】
(A−2−2:支持体基板)
本発明(A)における導電性パターン材料に使用され、その表面に前記特性を備えた支持体表面を有する支持体基板は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれる。本発明(A)に使用される支持体基板としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも、前記中間層を兼ねることができるポリエステルフィルムが特に好ましい。
【0024】
また、本発明(A)の親水性パターンを利用した導電性パターン材料においては、パターン形成層の形成性、パターン形成層との密着性の観点から、前記親水性化合物が直接化学結合している支持体基板として、その表面が粗面化されているものを用いることが好ましい。
粗面化した支持体基板を用いる場合には、その表面性状は以下の条件を満たすものであることが好ましい。
粗面化された支持体基板の好ましい状態としては、2次元粗さパラメータの中心線平均粗さ(Ra)が0.1〜1μm、最大高さ(Ry)が1〜10μm、十点平均粗さ(Rz)が1〜10μm、凹凸の平均間隔(Sm)が5〜80μm、局部山頂の平均間隔(S)が5〜80μm、最大高さ(Rt)が1〜10μm、中心線山高さ(Rp)が1〜10μm、中心線谷深さ(Rv)が1〜10μmの範囲が挙げられ、これらのひとつ以上の条件を満たすものが好ましく、全てを満たすことがより好ましい。
【0025】
(A−2−3:重合開始能を発現する層)
なお、本発明(A)においては、上記支持体表面に、エネルギーを付与することにより重合開始能を発現する化合物として、重合性化合物と重合開始剤を添加することが好ましい。
重合開始能を発現する層(以下、適宜、重合性層と称する)は、必要な成分を、それらを溶解可能な溶媒に溶解し、塗布などの方法で支持体表面上に設け、加熱または光照射により硬膜し、形成することができる。
【0026】
(a)重合性化合物
重合性層に用いられる重合性化合物は、支持体との密着性が良好であり、且つ、活性光線照射などのエネルギー付与により上層に含まれる、末端及び/又は側鎖に重合性基を有する親水性化合物が付加し得るものであれば特に制限はないが、なかでも、分子内に重合性基を有する疎水性ポリマーが好ましい。
このような疎水性ポリマーとしては、具体的には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリぺンタジエンなどのジエン系単独重合体、アリル(メタ)アクリレー卜、2−アリルオキシエチルメタクリレー卜などのアリル基含有モノマーの単独重合体;
さらには、前記のポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエンなどのジエン系単量体またはアリル基含有モノマーを構成単位として含む、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルなどとの二元または多元共重合体;
不飽和ポリエステル、不飽和ポリエポキシド、不飽和ポリアミド、不飽和ポリアクリル、高密度ポリエチレンなどの分子中に炭素−炭素二重結合を有する線状高分子または3次元高分子類;などが挙げられる。
なお、本明細書では、「アクリル、メタクリル」の双方或いはいずれかを指す場合、「(メタ)アクリル」と表記することがある。
重合性化合物の含有量は、重合性層中、固形分で0〜100重量%の範囲が好ましく、10〜80重量%の範囲が特に好ましい。
【0027】
(b)重合開始剤
本発明(A)における重合性層にはエネルギー付与により重合開始能を発現させるための重合開始剤を含有することが好ましい。ここで用いられる重合開始剤は、所定のエネルギー、例えば、活性光線の照射、加熱、電子線の照射などにより、重合開始能を発現し得る公知の熱重合開始剤、光重合開始剤などを目的に応じて、適宜選択して用いることができる。なかでも、熱重合よりも反応速度(重合速度)が高い光重合を利用することが製造適性の観点から好適であり、このため、光重合開始剤を用いることが好ましい。
本発明(A)に用い得る光重合開始剤は、照射される活性光線に対して活性であり、重合性層に含まれる重合性化合物と、上層に含まれる末端又は側鎖に重合性基を有する親水性化合物とを重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などを用いることができる。
【0028】
そのような光重合開始剤としては、具体的には、例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンの如きアセトフェノン類;ベンゾフェノン(4,4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、の如きケトン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルの如きベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの如きベンジルケタール類、などが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、重合性層中、固形分で0.1〜70重量%の範囲が好ましく、1〜40重量%の範囲が特に好ましい。
【0029】
上記重合性化合物及び重合開始剤を塗布する際に用いる溶媒は、それらの成分が溶解するものであれば特に制限されない。乾燥の容易性、作業性の観点からは、沸点が高すぎない溶媒が好ましく、具体的には、沸点40℃〜150℃程度のものを選択すればよい。
具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシプロパノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテートなどが挙げられる。
これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50重量%が適当である。
【0030】
重合性層を支持体上に形成する場合の塗布量は、乾燥後の重量で、0.1〜20g/m2が好ましく、さらに、1〜15g/m2が好ましい。塗布量0.1g/m2未満では十分な重合開始能を発現できず、親水性化合物のグラフト化が不十分となり、所望の親水性を得られない懸念があり、塗布量が20g/m2を超えると膜性が低下する傾向になり、膜剥がれを起こしやすくなるため、いずれも好ましくない。
【0031】
上記のように、支持体表面上に上記の重合性層形成用の組成物を塗布などにより配置し、溶剤を除去することにより成膜させて重合性層を形成するが、このとき、加熱及び/又は光照射を行って硬膜することが好ましい。特に、加熱により乾燥した後、光照射を行って予備硬膜しておくと、重合性化合物のある程度の硬化が予め行なわれるので、親水性化合物のグラフト化を達成した後に重合性層ごと脱落するといった事態を効果的に抑制し得るため好ましい。ここで、予備硬化に光照射を利用するのは、前記光重合開始剤の項で述べたのと同様の理由による。
加熱温度と時間は、塗布溶剤が十分乾燥しうる条件を選択すればよいが、製造適正の点からは、温度が100℃以下、乾燥時間は30分以内が好ましく、乾燥温度40〜80℃、乾燥時間10分以内の範囲の加熱条件を選択することがより好ましい。
【0032】
加熱乾燥後に所望により行われる光照射は、後述するパターン形成に用いる光源を用いることができるが、引き続き行われる親水性パターンの形成と、エネルギー付与により実施される重合性層の活性点とグラフト鎖との結合の形成を阻害しないという観点から、重合性層中に存在する重合性化合物が部分的にラジカル重合しても、完全にはラジカル重合しない程度に光照射することが好ましく、光照射時間については光源の強度により異なるが、一般的には30分以内であることが好ましい。このような予備硬化の目安としては、溶剤洗浄後の膜残存率が10%以上となり、且つ、予備硬化後の開始剤残存率が1%以上であることが、挙げられる。
【0033】
〔A−3:パターン形成〕
本発明(A)における導電性パターン材料にパターン形成を行う場合のエネルギー付与方法には特に制限はなく、支持体表面に活性点を生じさせ、重合性基を有する親水性化合物と結合し得るエネルギーを付与できる方法であれば、いずれも使用できるが、コスト、装置の簡易性の観点からは活性光線を照射する方法が好ましい。
画像様の露光に活性光線の照射を適用する場合、デジタルデータに基づく走査露光、リスフィルムを用いたパターン露光のいずれも使用することができる。
パターン形成に用いる方法としては、加熱、露光等の輻射線照射により書き込みを行う方法が挙げられ、例えば、赤外線レーザ、紫外線ランプ、可視光線などによる光照射、γ線などの電子線照射、サーマルヘッドによる熱的な記録などが可能である。ここで用いる光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯等がある。放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、遠赤外線などがある。またg線、i線、Deep−UV光、高密度エネルギービーム(レーザービーム)も使用される。
一般的に用いられる具体的な態様としては、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ、紫外線ランプ露光などが好適に挙げられる。
コンピュータのデジタルデータによるダイレクトパターン形成を行うためには、レーザ露光により極性変換を生起させる方法が好ましい。レーザとしては、炭酸ガスレーザ、窒素レーザ、Arレーザ、He/Neレーザ、He/Cdレーザ、Krレーザ等の気体レーザ、液体(色素)レーザ、ルビーレーザ、Nd/YAGレーザ等の固体レーザ、GaAs/GaAlAs、InGaAsレーザ等の半導体レーザ、KrFレーザ、XeClレーザ、XeFレーザ、Ar2等のエキシマレーザ等を使用することができる。なかでも、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。
【0034】
このようにエネルギー付与を行うことで支持体表面に発生した活性点と、重合性基を有する親水性化合物とが重合して、運動性の高い親水性グラフト鎖を有する表面が形成される。また、好ましい態様として、末端又は側鎖の少なくとも一方に重合性基を有する親水性化合物を過剰に添加することで、支持体と結合したグラフト鎖の側鎖の重合性基にさらに、親水性グラフト鎖が結合したり、活性点に対して複数のグラフト鎖が結合したりすることで、枝分かれを有するグラフト鎖構造が形成され、運動性が高い親水性グラフトの形成密度、運動性ともに飛躍的に向上するため、さらなる高い親水性が発現するものである。
【0035】
次に、(B)支持体上に、熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基(以下、適宜、極性変換基と称する)を有する高分子化合物含有層を設け、画像様に加熱、酸の供給または輻射線の照射を行って、該層の親疎水性を変化させることで、親水性パターンを形成する方法について説明する。
〔B−1:極性変換基を有する表面層〕
本発明(B)に係るパターン形成層も、前記(A)と同様、一般的に表面グラフト重合と呼ばれる手段をもちいて作成される。グラフト重合とは高分子化合物鎖上に活性種を与え、これによって重合を開始する別の単量体をさらに重合させ、グラフト(接ぎ木)重合体を合成する方法で、特に活性種を与える高分子化合物が固体表面を形成する時には表面グラフト重合と呼ばれる。
【0036】
本発明(B)の親水性パターン形成方法を実現するための表面グラフト重合法としては、文献記載の公知の方法をいずれも使用することができる。たとえば、新高分子実験学10、高分子学会編、1994年、共立出版(株)発行、P135には表面グラフト重合法として光グラフト重合法、プラズマ照射グラフト重合法、が記載されている。また、吸着技術便覧、NTS(株)、竹内監修、1999.2発行、p203,p695には、γ線、電子線などの放射線照射グラフト重合法が記載されている。
光グラフト重合法の具体的方法としては特開平10−296895号公報および特開平11−119413号公報に記載の方法を使用することができる。
【0037】
このような表面グラフト層を作成するための手段としてはこれらの他、一方に極性変換基を有する高分子化合物鎖の末端及び/または側鎖に、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などの反応性官能基を付与し、これと支持体表面に存在する官能基とのカップリング反応により形成することもできる。また、好ましい態様として、末端又は側鎖の少なくとも一方に反応性官能基を有する高分子化合物鎖を過剰に添加することで、支持体と結合したグラフト鎖の側鎖の反応性基にさらに、高分子化合物鎖が結合し、枝分かれを有するグラフト鎖構造が形成されたり、反応性官能基に、互いに結合して枝分かれを有するグラフト鎖が結合したりして、グラフト鎖の形成密度、運動性ともに飛躍的に向上するため、さらなる高い親水性が発現するものである。
なお、本発明(B)における支持体表面とは、その表面に、極性変換基を有する高分子化合物の末端または側鎖が直接または幹高分子化合物を介して化学的に結合する機能を有する表面を示すものであり、支持体自体がこのような表面特性を有するものであってもよく、また該支持体上に別途中間層を設け、該中間層がこのような特性を有するものであってもよい。
【0038】
また、極性変換基を有する高分子化合物鎖の末端または側鎖が幹高分子化合物を介して化学的に結合された表面を作成するための手段としては、支持体表面官能基とカップリング反応しうる官能基を幹高分子化合物の側鎖に付与し、グラフト鎖として親疎水性が変化する官能基を有する高分子化合物鎖を組み込んだグラフト高分子化合物を合成し、この高分子と下層表面官能基とのカップリング反応により形成することもできる。
【0039】
(B−1−1:親疎水性が変化する官能基)
次に、本発明(B)における導電性パターン材料の特徴の一つである、熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基(極性変換基)について説明する。
極性変換基としては、疎水性から親水性に変化する官能基と、親水性から疎水性に変化する官能基の2種類がある。
【0040】
(i)疎水性から親水性に変化する官能基
疎水性から親水性に変化する官能基としては、文献記載の公知の官能基を挙げることができる。
これらの官能基の有用な例は、特開平10−282672号公報に記載のアルキルスルホン酸エステル、ジスルホン、スルホンイミド、EP0652483、WO92/9934記載のアルコキシアルキルエステル、H.Itoら著、Macrornolecules,vol.21,pp.1477記載のt−ブチルエステル、その他、シリルエステル、ビニルエステルなどの文献記載の酸分解性基で保護されたカルボン酸エステルなどを挙げることができる。
【0041】
また、角岡正弘著、「表面」vol.133(1995),pp.374記載のイミノスルホネート基、角岡正弘著、Polymer preprints,Japan vol.46(1997),pp.2045記載のβケトンスルホン酸エステル類、山岡亜夫著、特開昭63−257750号のニトロベンジルスルホネート化合物も挙げることができるが、これらの官能基に限定される訳ではない。
これらのうち、特に優れているのは下記に示される2級のアルキルスルホン酸エステル基、3級のカルボン酸エステル基、および下記に示されるアルコキシアルキルエステル基である。
【0042】
本発明(B)において、疎水性から親水性に変化する官能基として特に優れている2級のアルキルスルホン酸エステル基としては、下記一般式(1)で表されるものである。
【0043】
【化1】
【0044】
(一般式(1)式中、Lはポリマー骨格に連結するのに必要な多価の非金属原子から成る有機基を表し、R1、R2は置換もしくは非置換アルキル基を表す。また、R1、R2はそれが結合している2級炭素原子(CH)と共に環を形成してもよい。)
【0045】
前記一般式(1)のR1、R2は置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アリール基を表し、また、R1、R2はそれが結合している2級炭素原子(CH)と共に環を形成してもよい。R1、R2が置換もしくは非置換アルキル基を表すとき、アルキル基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基などの直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基が挙げられ、炭素数1から25までのものが好適に用いられる。R1、R2が置換もしくは非置換アリール基を表すとき、アリール基には炭素環式アリール基と複素環式アリール基が含まれる。炭素環式アリール基としてはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ピレニル基など炭素数6から19のものが用いられる。また、複素環式アリール基としてはピリジル基、フリル基、その他ベンゼン環が縮環したキノリル基、ベンゾフリル基、チオキサントン基、カルバゾール基などの炭素数3〜20、ヘテロ原子数1〜5を含むものが用いられる。
【0046】
R1、R2が置換アルキル基、置換アリール基であるとき、置換基としてはメトキシ基、エトキシ基などの炭素数1〜10までのアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基のようなハロゲン置換されたアルキル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、p−クロロフェニルオキシカルボニルなどの炭素数2から15までのアルコキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基;水酸基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−ジフェニルアミノベンゾイルオキシなどのアシルオキシ基;t−ブチルオキシカルボニルオキシ基などのカルボネート基;t−ブチルオキシカルボニルメチルオキシ基、2−ピラニルオキシ基などのエーテル基;アミノ基、ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、モルフォリノ基、アセチルアミノ基などの置換、非置換のアミノ基;メチルチオ基、フェニルチオ基などのチオエーテル基;ビニル基、ステリル基などのアルケニル基;ニトロ基;シアノ基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基などのアシル基;フェニル基、ナフチル基のようなアリール基;ピリジル基のようなヘテロアリール基等を挙げることができる。また、R1、R2が置換アリール基であるとき、置換基としては、前述したものの他にもメチル基、エチル基などのアルキル基を用いることができる。
【0047】
上記のR1、R2としては、感材の保存安定性に優れる点で、置換、非置換のアルキル基が好ましく、経時安定性の点で、アルコキシ基,カルボニル基,アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン基などの電子吸引性基で置換されたアルキル基、もしくはシクロヘキシル基、ノルボルニル基などのアルキル基が特に好ましい。物性値としては、重クロロホルム中、プロトンNMRにおける2級メチン水素のケミカルシフトが4.4ppmよりも低磁場に現れる化合物が好ましく、4.6ppmよりも低磁場に現れる化合物がより好ましい。このように、電子吸引性基で置換されたアルキル基が特に好ましいのは、熱分解反応時に中間体として生成していると思われるカルボカチオンが電子吸引性基により不安定化し、分解が抑制されるためであると考えられる。具体的には、−CHR1R2の構造としては、下記式で表される構造が特に好ましい。
【0048】
【化2】
【0049】
また、前記一般式(1)のLで表される非金属原子からなる多価の連結基とは、1から60個までの炭素原子、0個から10個までの窒素原子、0個から50個までの酸素原子、1個から100個までの水素原子、及び0個から20個までの硫黄原子から成り立つものである。より具体的な連結基としては下記の構造単位が組み合わさって構成されるものを挙げることができる。
【0050】
【化3】
【0051】
多価の連結基が置換基を有する場合、置換基としてはメチル基、エチル基等の炭素数1から20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6から16までのアリール基、水酸基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基のような炭素数1から6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基のような炭素数1から6までのアルコキシ基、塩素、臭素のようなハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基のような炭素数2から7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネートのような炭酸エステル基等を用いることができる。
【0052】
本発明(B)において、疎水性から親水性に変化する官能基として特に優れているアルコキシアルキルエステル基としては、下記一般式(2)で表されるものである。
【0053】
【化4】
【0054】
式中R3は水素原子を表し、R4は水素原子または炭素数18個以下のアルキル基を表し、R5は炭素数18個以下のアルキル基を表す。また、R3、R4およびR5の内の2つが結合して環を形成してもよい。特に、R4およびR5が結合して5または6員環を形成することが好ましい。
【0055】
以上、本発明(B)における疎水性から親水性に変化する官能基としては、一般式(1)で表される2級のアルキルスルホン酸エステル基が特に好ましい。
前記一般式(1)〜(2)で表される官能基〔官能基(1)〜(13)〕の具体例を以下に示す。
【0056】
【化5】
【0057】
【化6】
【0058】
(ii)親水性から疎水性に変化する官能基
本発明(B)において、熱、酸または輻射線により親水性から疎水性に変化する官能基としては、公知の官能基、例えば、特開平10−296895号及び米国特許第6,190,830号に記載のオニウム塩基を含むポリマー、特にアンモニウム塩を含むポリマーを挙げることができる。具体的なものとして、(メタ)アクリロルオキシアルキルトリメチルアンモニウムなどを挙げることができる。また、下記一般式(3)で示されるカルボン酸基およびカルボン酸塩基が好適なものとして挙げられるが、これらの例示に特に限定されるものではない。
【0059】
【化7】
【0060】
(式中、Xは−O−、−S−、−Se−、−NR8−、−CO−、−SO−、−SO2−、−PO−、−SiR8R9−、−CS−を表し、R6、R7、R8、R9は各々独立して1価の基を表し、Mは陽電荷を有するイオンを表す。)
R6、R7、R8、R9の具体例としては、−F、−Cl、−Br、−I、−CN、−R10、−OR10、−OCOR10、−OCOOR10、−OCONR10R11、−OSO2R10、−COR10、−COOR10、−CONR10R14、−NR10R11、−NR10−COR11、−NR10−COOR11、−NR10−CONR11R12、−SR10、−SOR10、−SO2R10、−SO3R10等が挙げられる。
R10、R11、R12は、それぞれ水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。
【0061】
これらのうち、R6、R7、R8、R9として好ましいのは、具体的には、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキニル基、アルケニル基である。
Mの具体例としては、前述のような陽電荷を有するイオンが挙げられる。
前記一般式(3)で表される官能基の具体例〔官能基(14)〜(31)〕を以下に示す。
【0062】
【化8】
【0063】
【化9】
【0064】
本発明(B)における極性変換基を有する高分子化合物は、上記のような官能基を有するモノマー1種の単独重合体であっても、2種以上の共重合体であっても良い。また、本発明(B)の効果を損なわない限り、他のモノマーとの共重合体であっても良い。
なお、上記のような官能基を有するモノマーの具体例を以下に示す。
(前記一般式(1)〜(2)で表される官能基を有するモノマーの具体例〔例示モノマー(M−1)〜(M−15)〕)
【0065】
【化10】
【0066】
【化11】
【0067】
(前記一般式(3)で表される官能基を有するモノマーの具体例〔例示モノマー(M−16)〜(M−33)〕)
【0068】
【化12】
【0069】
【化13】
【0070】
〔B−2:支持体〕
本発明(B)に用いられる支持体としては、前記親水性パターン形成方法(A)で用いたものと同様の、支持体表面或いは中間層、支持体基板、を使用することができる。ただし、本態様においては、中間層は重合性開始能を有さなくてもよい。
また、本発明(B)においては、支持体として使用するアルミニウム板には必要に応じて粗面化処理、陽極酸化処理などの公知の表面処理を行なってもよい。
【0071】
(B−2−1:光熱変換物質)
なお、本発明(B)における導電性パターン材料をIRレーザーなどで画像記録する場合には、該光エネルギーを熱エネルギーに変換するための光熱変換物質を導電性パターン材料のどこかに含有させておくことが好ましい。光熱変換物質を含有させておく部分としては、例えば、パターン形成層、中間層、支持体基板のいずれでもよく、さらには、中間層と支持体基板との間に光熱変換剤層を設け、そこに添加してもよい。
【0072】
本発明(B)における導電性パターン材料に用い得る光熱変換物質としては、紫外線、可視光線、赤外線、白色光線等の光を吸収して熱に変換し得る物質ならば全て使用でき、例えば、カーボンブラック、カーボングラファイト、顔料、フタロシアニン系顔料、鉄粉、黒鉛粉末、酸化鉄粉、酸化鉛、酸化銀、酸化クロム、硫化鉄、硫化クロム等が挙げられる。本発明(B)において特に好ましいのは、書き込みに使用する赤外線レーザの露光波長である760nmから1200nmに極大吸収波長を有する染料、顔料または金属微粒子である。
【0073】
染料としては、市販の染料及び文献(例えば、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。好ましい染料としては、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0074】
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、好ましい別の染料の例として、米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収染料を挙げることができる。これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
【0075】
本発明(B)において使用される顔料としては、市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0076】
これらの染料又は顔料は、光熱変換物質含有層全固形分の0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜10重量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10重量%、顔料の場合特に好ましくは3.1〜10重量%の割合で使用することができる。顔料又は染料の添加量が0.01重量%未満であると感度が低くなり、また50重量%を越えると光熱変換物質含有層の膜強度が弱くなる。
【0077】
〔B−3:パターン形成〕
本発明(B)のパターン形成機構では、上記(i)の如く、疎水性から親水性に変化する官能基を用いた高分子化合物層では、加熱、酸または輻射線照射において極性変換した部分が親水性領域となり、この領域に導電性ポリマーを吸着させることで、該領域が導電性の領域となり、配線が形成されることになる。
一方、上記(ii)の如く、親水性から疎水性に変化する官能基を用いた高分子化合物層では、該層がもともと親水性表面を有しており、加熱、酸または輻射線照射において極性変換した部分が疎水性となる。この場合、未露光部分のみに導電性ポリマーが吸着するため、単一の回路形成、広い面積の導電性領域の形成、などに適する導電性パターン材料が得られる。
また、本発明(B)における導電性パターン材料にパターン形成を行う場合のエネルギー付与方法には、前記親水性パターン形成方法(A)で用いたものと同様のものを使用することができる。
【0078】
〔導電性ポリマー層の形成〕
本発明の導電性パターン材料においては、支持体上に、前記親水性ポリマーの親水性官能基に導電性ポリマーを吸着させて形成した導電性ポリマー層を有することを特徴とする。この導電性ポリマー層が導電性を有する。
本発明に用いられる導電性ポリマーとは、10-6s・cm-1以上、好ましくは、10-1s・cm-1以上の導電性を有する高分子化合物であれば、いずれのものも使用することができるが、具体的には、例えば、置換および非置換の導電性ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリピロール、ポリセレノフェン、ポリイソチアナフテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセチレン、ポリピリジルビニレン、ポリアジン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、また、目的に応じて2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、所望の導電性を達成できる範囲であれば、導電性を有しない他のポリマーとの混合物として用いることもできるし、これらのモノマーと導電性を有しない他のモノマーとのコポリマーなども用いることができる。
【0079】
このような導電性ポリマーを用いて、導電性ポリマー層を形成する方法には特に制限はないが、均一な薄膜を形成し得るという観点からは、以下に述べるような導電性を有するモノマーを用いる方法が好ましい。
まず、前記親水性グラフトポリマー鎖が存在する親水性表面を有する支持体を、過硫酸カリウムや、硫酸鉄(III)などの重合触媒や重合開始能を有する化合物を含有する溶液に浸漬し、この液を撹拌しながら導電性ポリマーを形成し得るモノマー、例えば、3、4−エチレンジオキシチオフェンなどを徐々に滴下する。このようにすると、グラフトポリマー鎖の親水性の官能基と導電性ポリマーを形成し得るモノマーとが相互作用により強固に吸着すると共に、モノマー同士の重合反応が進行し、親水性グラフトポリマー鎖が存在する親水性表面上に、導電性ポリマーの極めて薄い膜が形成され、これが導電性ポリマー層となる。
このように形成された導電性ポリマー層は、親水性表面上での重合反応により形成されているため、モノマーの供給速度などの条件を調整することで非常に薄い膜も形成することができ、さらに、薄膜であっても均質で、且つ、膜厚が均一であるという利点を有する。
【0080】
支持体表面における重合反応を利用すれば、例えば、PETの如き樹脂などの支持体表面に直接導電性ポリマーの薄膜を形成することもできるが、そのような支持体との相互作用を形成し得ないこのような膜は容易に剥離してしまい、実用上問題のないレベルの膜強度を有する薄膜を形成することはできない。
【0081】
本発明においては、導電性モノマー自体がグラフトポリマー鎖の親水性基と静電気的に、或いは、極性的に相互作用を形成することで強固に吸着するため、それらが重合して形成されたポリマー膜は、親水性表面との間に強固な相互作用を形成しているため、薄膜であっても、擦りや引っ掻きに対しても充分な強度を有するものとなる。
さらに、導電性ポリマーと親水性の官能基とが、陽イオンと陰イオンの関係で吸着するような素材を選択することで、親水性の官能基が導電性ポリマーのカウンターアニオンとして吸着することになり、一種のドープ剤として機能するため、導電性パターン材料の導電性を一層向上させることができるという効果を得ることもできる。具体的には、例えば、親水性基としてスチレンスルホン酸を、導電性ポリマーの素材としてチオフェンを選択すると、両者の相互作用により、親水性表面と導電性ポリマー層との界面にはカウンターアニオンとしてスルホン酸基(スルホ基)を有するポリチオフェンが存在し、これが導電性ポリマーのドープ剤として機能することになる。
【0082】
親水性パターン材料表面に形成された導電性ポリマー層の膜厚には特に制限はないが、0.01μm〜10μmの範囲であることが好ましく、0.1μm〜5μmの範囲であることがより好ましい。導電性ポリマー層の膜厚がこの範囲内であれば、充分な導電性と透明性とを達成することができる。0.01μm以下であると導電性が不充分となる懸念があるため好ましくない。
【0083】
以上の方法で、パターン形成された本発明の導電性パターン材料は、種々の回路形成に使用でき、パターン形成手段を選択することでナノスケールの導電性領域を形成することができるため、マイクロマシンや超LSIなどの回路形成を含む広い用途が期待される。
さらに、支持体にPETなどの透明フィルムを使用した場合には、パターン形成された透明導電性フィルムとして使用することができる。このような透明導電性フィルムの用途としては、ディスプレイ用透明電極、調光デバイス、太陽電池、タッチパネル、その他の透明導電膜が挙げられるが、CRTやプラズマディスプレイにつける電磁波シールドフィルターとして特に有用である。このような電磁波シールドフィルターは高い導電性と透明性とを必要とするため、導電性ポリマー層を格子状に設けることが好ましい。このような格子線幅は、20〜100μm、開口部は50〜600μm程度が好ましい。この格子は必ずしも規則正しく、直線で構成されていなくてもよく、曲線状で構成されていてもよい。本発明においては、このような任意のパターン形状の導電性ポリマー層を容易に形成しうるため、目的に応じた種々の設定が可能である。
【0084】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔参考例1〕
(親水性パターンの作成)
188μmのコロナ処理された2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(A4100、東洋紡(株)製)を用い、グロー処理として平版マグネトロンスパッタリング装置(CFS−10−EP70、芝浦エレテック製)を使用し、下記条件で酸素グロー処理を行った。
初期真空:1.2×10−3Pa
酸素圧力:0.9Pa
RFグロー:1.5kw
処理時間:60sec
【0085】
次に、グロー処理したフィルム上に、アクリル酸をロッドバー#6を用いて塗布し、塗布面を25μのPETフィルムでラミネートした。次にこの上にクロムを蒸着したマスクパターンを重ね、上からUV光を照射(400W高圧水銀灯:UVL−400P、理工科学産業(株)製 照射時間30秒)した。光照射後、マスクとラミネートフィルムを取り除き、水洗することによりポリアクリル酸がパターン状にグラフトされた親水性パターン1を得た。
【0086】
(導電性ポリマー層の形成)
前記親水性パターン1を有する支持体を、アントラキノン−2−スルホン酸ナトリウム・一水和物1.23g、5−スルフォサチリチル酸ナトリウム・水和物7.20g、及び、三塩化鉄・6水和物4.38g、を125mlの水に溶解した溶液に浸漬し、撹拌しながらピロール0.75mlと水125mlの溶液を加えた。一時間後、支持体を取り出し、水洗し、次にアセトンで洗浄することで支持体の表面に導電性ポリマーであるポリピロール層が形成された参考例1の導電性パターン材料1を得た。
【0087】
〔導電性パターン材料の評価〕
1.導電性
得られた導電性パターン材料1の表面抵抗値を、LORESTA−FP(三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定した。表面抵抗値は、1000Ω/□であった。表面抵抗値が低いほど、導電性に優れるものであると評価する。
2.鉛筆硬度
得られた導電性パターン材料1の表面の皮膜強度を、JIS G 0202に記載の方法に準じて測定した。鉛筆硬度は4H以上であった。試験に使用した鉛筆硬度が高い、即ち、1H→4HのようにHの数値が高いほど、強度に優れると評価する。
【0088】
〔参考例2〕
(親水性パターンの作成)
実施例1で用いられたものと同様のポリエチレンテレフタレートフィルム上に下記の重合性開始能を発現する層(重合性層)形成用の組成物をロッドバー#17を用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させた。次にこの塗布されたフィルムに、上からUV光を照射(400w高圧水銀灯 照射時間10分)し、予備硬化させた。
・アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 4g
(モル比率80/20、分子量10万)
・エチレンオキシド変性ビスフェノールAジアクリレート 4g
(東亞合成(株)M210)
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 16g
【0089】
次にこの支持体表面上にスチレンスルホン酸ナトリウムの水溶液(30wt%)をロッドバー#12を用いて塗布し、乾燥することなく塗布面を25μのPETフィルムでラミネートした。次にこの上にクロムを蒸着したマスクパターンを重ね、上からUV光を照射(400W高圧水銀灯 照射時間10分)した。光照射後、マスクとラミネートフィルムを取り除き、水洗することによりポリスチレンスルホン酸ナトリウムがパターン状にグラフトされた親水性パターン2を得た。
【0090】
(導電性ポリマー層の形成)
前記親水性パターン2を有する支持体を、過硫酸カリウム13.0g、及び、硫酸鉄(III)50mgを溶かした2000mlの液に浸漬した。つぎにこの液を撹拌しながら3、4−エチレンジオキシチオフェン5.5gを徐々に滴下した。この液を室温で10時間撹拌した。支持体を取り出し、水洗することで支持体の表面に導電性ポリマーであるポリチオフェン層が形成された参考例2の導電性パターン材料2を得た。
【0091】
〔導電性パターン材料の評価〕
1.導電性
得られた導電性パターン材料2の表面抵抗値を、LORESTA−FP(三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定した。表面抵抗値は、1300Ω/□であり、実用に適する導電性を有していることがわかった。
2.鉛筆硬度
得られた導電性パターン材料2の表面の皮膜強度を、JIS G 0202に記載の方法に準じて測定した。鉛筆硬度は4H以上であり、強度に優れていることがわかった。
【0092】
〔実施例1〕
(親水性パターンの形成)
参考例1で用いられたものと同様のポリエチレンテレフタレートフィルム上に下記の中間層形成用塗布液をロッドバー#10を用いて塗布し、100℃で1分間乾燥し、膜圧1.6μmの赤外線吸収剤を含有する中間層を作成した。
・エポキシ樹脂(エピコート, Yuka−shell Co,Ltd.) 2 g
・赤外線吸収剤(IR125 和光純薬剤) 0.2g
・1−メトキシ−2−プロパノール 9 g
・メチルエチルケトン 9 g
【0093】
中間層を形成した支持体表面を次の条件にてプラズマ処理して表面グラフト重合によるパターン形成層の形成を行った。
島津製作所製LCVD−01型プラズマ処理装置を用いて0.04toorのアルゴンガス雰囲気下にて10秒間処理後、空気に曝し、中間層表面にパーオキシド基を導入した。この膜を10wt%のα(スチレン−4−スルホニル)酢酸Na塩水溶液に浸漬し、15分間アルゴンガスをバブルしたのち、7時間60℃に加温することによってグラフト重合を行った。グラフト重合後膜を3000mlのイオン交換水中につけ、グラフト重合以外のホモポリマーを除去することによりプラズマ処理により表面にグラフトされたパターン形成層を備えた導電性パターン形成材料3を得た。
得られた導電性パターン形成材料3を波長830nmの赤外光を発する赤外線レーザ(ビーム径20μm)にて像様に露光した。
【0094】
(導電性ポリマー層の形成)
参考例1と同様にして、支持体上に導電性ポリマーであるポリピロ−ル層を形成し、実施例1の導電性パターン材料3を得た。
【0095】
〔導電性パターン材料の評価〕
1.導電性
得られた導電性パターン材料3の表面抵抗値を、LORESTA−FP(三菱化学(株)製)を用いて四探針法により測定した。表面抵抗値は、1000Ω/□であり、実用に適する導電性を有していることがわかった。
2.鉛筆硬度
得られた導電性パターン材料3の表面の皮膜強度を、JIS G 0202に記載の方法に準じて測定した。鉛筆硬度は4H以上であり、強度に優れていることがわかった。
【0096】
【発明の効果】
本発明の導電性パターン材料は、強固で耐久性に優れ、且つ且つデジタルデータに基くレーザ露光により高解像度で、断線のない微細なパターン形成が可能であり、また、大面積化、導電性安定性、製造適正のなどの観点からも優れた導電性パターンを形成しうる。
Claims (5)
- 支持体表面に、熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基と支持体表面官能基とカップリング反応しうる官能基とを有する高分子化合物を接触させて該支持体表面でカップリング反応させ、支持体表面に直接結合したグラフト鎖構造を有し、熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基を有する高分子化合物含有層を設け、画像様に加熱、酸の供給または輻射線の照射を行って、該高分子含有層の親疎水性を変化させることで、親水性パターンを形成したのち、該親水性パターン上に導電性モノマー吸着し、該導電性モノマーの重合反応により形成された導電性ポリマー層を有することを特徴とする導電性パターン材料。
- 前記熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基が、下記一般式(1)乃至(3)で示される部分構造を有することを特徴とする請求項1記載の導電性パターン材料。
- 前記熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基を有する高分子化合物含有層に、さらに、光熱変換剤を含有することを特徴とする請求項1記載の導電性パターン材料。
- 支持体表面に、熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基と支持体表面官能基とカップリング反応しうる官能基とを有する高分子化合物を接触させて該支持体表面でカップリング反応させ、支持体表面に直接結合したグラフト鎖構造を有し、熱、酸または輻射線により親疎水性が変化する官能基を有する高分子化合物含有層を形成し、画像様に加熱、酸の供給または輻射線の照射を行って、該層の親疎水性を変化させることで、該支持体表面に直接結合したグラフト鎖構造を有する親水性パターンを形成する工程と、
該親水性パターン上に導電性モノマーを吸着させ、該導電性モノマーを重合させて、導電性ポリマー層を形成する工程と、
を有することを特徴とする導電性パターン形成方法。 - 前記親水性パターン上に導電性モノマーを吸着させ、該導電性モノマーを重合させて、導電性ポリマー層を形成する工程が、該親水性パターンを有する支持体を、重合触媒又は重合開始能を有する化合物を含有する溶液に浸漬し、この液を撹拌しながら、導電性モノマーを滴下する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の導電性パターン形成方法。
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