JP3835605B2 - 高圧放電ランプ点灯装置および照明装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インバータ回路により高圧放電ランプを点灯させる高圧放電ランプ点灯装置および照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の高圧放電ランプ点灯装置としては、たとえば特開2000−58284号公報に記載の構成が知られている。この特開2000−58284号公報に記載の高圧放電ランプ点灯装置は、電源に昇圧チョッパ回路を接続し、この昇圧チョッパ回路にインバータ回路を接続し、このインバータ回路により始動時には始動パルスを高圧放電ランプに印加し、始動、点灯させるものである。そして、始動時には高圧放電ランプの放電を開始させるため、放電開始電圧より高い電圧の始動パルスを高圧放電ランプに印加する必要があり、昇圧チョッパ回路の出力を最大にした状態でインバータ回路に電力を供給し、高圧放電ランプに始動パルスを印加している。
【0003】
また、特開平7−230884号公報に記載の構成が知られている。この特開平7−230884号公報に記載の高圧放電灯点灯装置は、インバータ回路を備え、このインバータ回路にLC共振回路を含み高圧放電ランプが接続される主回路を接続している。そして、高圧放電ランプの始動時には、LC共振回路の無負荷共振周波数近くの遅相領域でインバータ回路を動作させて始動パルスを発生し、高圧放電ランプが点灯すると高圧放電ランプが音響共鳴しない周波数以上でLC共振回路の無負荷共振周波数より低い周波数に低下させる。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−58284号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平7−230884号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のようにチョッパ回路の出力を大きくしている状態で、インバータ回路により始動パルスを出力すると、チョッパ回路のストレスが大きくなりチョッパ回路を大型化する必要が生じる問題を有している。また、特許文献2のように、高圧放電ランプに高い始動電圧を印加させただけでは、高圧放電ランプの始動性にばらつきがあり点灯しない場合が生じてしまうことがあった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、高圧放電ランプを確実に始動できる高圧放電ランプ点灯装置および照明装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の高圧放電ランプ点灯装置は、電極および始動補助体を備え電極および始動補助体間に浮遊容量を有する高圧放電ランプが接続され、共振インダクタおよび共振コンデンサを有するLC共振回路を含んでいる主回路と;この主回路が出力側に接続され、高圧放電ランプの始動時には、主回路の無負荷共振周波数より高い周波数で所定時間動作している所定時間の間のインバータ回路の出力電圧を検出して、高圧放電ランプの浮遊容量を算出して高圧放電ランプの種別を特定し、安定点灯時の投入電力を決定した後、高圧放電ランプの安定点灯時には20kHz〜200kHzで動作させるインバータ回路と;を具備している。
【0009】
高圧放電ランプの始動時に、無負荷共振周波数よりも高い周波数で動作させる事によって、高圧放電ランプには、所定の電圧が一定期間印加される。この間に、高圧放電ランプの始動補助体と電極間に微小放電を生じさせ、初期電子を生じさせるとともに電極先端部に付着した薬品を蒸発させることができる。そうした後、高電圧の始動パルスを印加する事によって、高圧放電ランプの始動性を向上させる事ができる。なお、高圧放電ランプの無負荷共振周波数よりも高い周波数で動作させる時間は、0.2秒から2秒以内であることが好ましい。0.2秒より短いと高圧放電ランプが微小放電にいたってない場合があり確実に始動させる事ができない、また、2秒より長いと使用者に不快感を与える場合があるためである。
【0010】
本発明によれば、高圧放電ランプに高電圧パルスを印加する前に無負荷共振周波数よりも高い周波数を所定期間印加することで高圧放電ランプの電極と対向電位である始動補助体との間で微小放電を生じさせることによって、確実に高圧放電ランプを始動させることができる。
【0012】
さらに、高圧放電ランプの浮遊容量をランプの定格電力などの特性によって予め異ならせておき、高圧放電ランプの始動前の無負荷共振周波数よりも高い周波数で動作させている所定期間内にこの高圧放電ランプに生じる電圧を検出することによって、高圧放電ランプの浮遊容量を測定し、高圧放電ランプの種別を判別し、適正な電力でランプを安定点灯する事ができるものである。このように高圧放電ランプの種別を検出した後、始動パルスを生じさせる周波数や、安定点灯時のランプ電力や点灯周波数を決定する事ができるため、さらに確実に始動させる事ができまた、安定点灯を行う事ができる。また、高圧放電ランプの種別によって異なる音響共鳴周波数も確実に避けて点灯を維持させることができるため、安定点灯がさらに可能となる。
【0013】
請求項2の発明の高圧放電ランプ点灯装置は、電極および始動補助体を備え電極および始動補助体間に浮遊容量を有する高圧放電ランプが接続され、共振インダクタおよび共振コンデンサを有するLC共振回路を含んでいる主回路と;この主回路が出力側に接続され、高圧放電ランプの始動時には、主回路の無負荷共振周波数より高い周波数で所定時間動作している所定時間の間のインバータ回路の出力電圧を検出して、高圧放電ランプの浮遊容量を算出して高圧放電ランプの種別を特定し、適合ランプと判別された場合のみ主回路の無負荷共振周波数近傍で動作させて始動パルスを発生させ、高圧放電ランプの安定点灯時には20kHz〜200kHzで動作させるインバータ回路と;を具備していることを特徴とする。
【0014】
この高圧放電ランプ点灯装置に、負荷である高圧放電ランプ以外の物が接続される場合、例えば、電球のような適合しないランプが取り付けられた場合、またはランプが取り付けられていない無負荷の場合などが考えられる。このような場合、高圧放電ランプ点灯装置から始動パルスが発生すると適合しないランプが破損したりまた、始動パルスを何回も発生させてしまうとそれが雑音となったりする不具合を生じるおそれがある。
【0015】
本発明によれば、始動パルスを発生させる前の段階で、高圧放電ランプの種別が特定できるため、さらに安全である。
【0016】
請求項3記載の照明装置は、請求項1または2記載の高圧放電ランプ点灯装置と;この高圧放電ランプ点灯装置で点灯される高圧放電ランプが取り付けられる器具本体とを具備したもので、それぞれの作用を奏する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の照明装置の第一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は高圧放電ランプ点灯装置を示す回路図、図2はスポットライトを示す断面図、図3は高圧放電ランプの一部を切り欠いて示す側面図、図4は高圧放電ランプの発光管を切り欠いて示す側面図である。
【0019】
図2に示すように、照明装置としてのスポットライト1は器具本体としてのスポットライト本体2を備え、このスポットライト本体2は天井などに取り付けられる天井取付部3を有し、この天井取付部3にアーム4が設けられている。また、アーム4には前面が開口し内部が中空なケース体5が取り付けられ、このケース体1の前面の開口に臨んでライト部6が設けられている。そして、このライト部6は、筒状の基体部7を有し、この基体部7の基端側には回転反射面が形成された反射体8が取り付けられ、この反射体8の基端側にはランプソケット11が設けられ、基体部7の先端には開口を閉塞する前面ガラス12が設けられている。さらに、ランプソケット11にはたとえば20Wセラミックメタルハライドランプなどの高圧放電ランプ15が装着され、この高圧放電ランプ15の先端部分には筒状の遮光体16が間隙を介して取り付けられている。そして、このランプソケット11には、スポットライト本体2とは別個で配設された図1に示す高圧放電ランプ点灯装置18が電気的に接続される。
【0020】
また、高圧放電ランプ15は、図3に示すように、ランプ基体21を有し、このランプ基体21にはランプソケット11に電気的および機械的に接続される口金22が形成され、先端側には透光性を有する先端が円弧状に閉塞され内部が真空の筒状の外管23を有している。そして、外管23内には、発光管24が収納されており、この発光管24は透光性セラミック容器の放電容器25を有し、この放電容器25は断面がほぼ真円のほぼ球状の包囲部26と、この包囲部26の上下方向にそれぞれ曲面で連続して形成されたキャピラリといわれる小径筒部27,28が上下対称に形成されている。また、それぞれの小径筒部27,28の先端はシール31,32により閉塞され、小径筒部27のシール31には上部側の上部導入導体33が挿入され、小径筒部28のシール32には下部側の下部導入導体34が挿入されている。さらに、上部導入導体33には口金22に電気的に接続された外部接続端子35が電気的に接続され、この外部接続端子35は下側の小径筒部28の周囲に巻回された始動補助体としての金属コイル36に電気的に接続されるとともに、ゲッタ37が支持されている。また、下部導入導体34には上側の小径筒部27の周囲に巻回された始動補助体としての金属コイル38が電気的に接続され、下部導入導体34も外部接続端子35とは電気的に絶縁された状態で口金22に電気的に接続されている。そして、電極41,44および金属コイル36,38などの間で浮遊容量を形成している。
【0021】
さらに、放電容器25の内部には、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)などの始動ガスを含む放電ガスが封入され、上側の小径筒部27内には上部導入導体33に電気的に接続された上部側の電極41が取り付けられ、この電極41は上部導入導体33に接続された軸部42および包囲部26内に位置し軸部42の先端に取り付けられたコイル部43を有しており、一方、下側の小径筒部28内には下部導入導体34に電気的に接続された下側の電極44が上部側の電極41に対向して設けられ、この下部側の電極44は下部導入導体34に接続された軸部45および包囲部26内に位置し軸部45の先端に取り付けられ上側のコイル部43に対向する下側のコイル部46を有している。そして、電極41に対して極性の異なる金属コイル36が対向し、電極44に対しても同様に極性の異なる金属コイル38が対向し、電極41,44および金属コイル36,38などの間で浮遊容量を形成している。
【0022】
次に、高圧放電ランプ点灯装置18を図1を参照して説明する。
【0023】
まず、商用交流電源eにヒューズF、抵抗R1を介してノイズフィルタ回路51が接続され、このノイズフィルタ回路51はコンデンサC1およびトランスTr1が接続されて形成され、整流および平滑機能を有する昇圧用のチョッパ回路52に接続されている。
【0024】
このチョッパ回路52は、トランスTr1にダイオードD1〜D4の全波整流手段としてのダイオードブリッジ53の交流入力端子が接続され、このダイオードブリッジ53の出力端子には平滑手段となる平滑用のコンデンサC2が接続され、このコンデンサC2にはチョッパ部54が接続されている。また、チョッパ部54は、コンデンサC2に対して並列にインダクタL1、スイッチング素子としての電界効果トランジスタQ1および電流検出用の抵抗R2の直列回路が接続され、電界効果トランジスタQ1および抵抗R2の直列回路にはダイオードD5およびコンデンサC3の直列回路が接続されている。
【0025】
さらに、コンデンサC2に対して並列に、入力電圧を検出する分圧用の抵抗R4および抵抗R5の直列回路が接続され、これら抵抗R4および抵抗R5の接続点にはチョッパ回路制御手段となるたとえばSTマイクロエレクトロニクス社製型番L6561のIC55の3番ピンに接続されている。また、同様に、コンデンサC2に対して並列に、抵抗R6およびコンデンサC4の時定数回路で構成される起動回路となるとともに電源を構成する直列回路が接続され、抵抗R7およびコンデンサC4の接続点はIC55の8番ピンに接続されている。さらに、インダクタL1には、インダクタL1に流れる電流を検出する検出巻線L2が磁気的に結合され、この検出巻線L2は抵抗R7を介してIC55の5番ピンに接続されるとともに、IC55の6番ピンおよびダイオードブリッジ53の負極に接続される。また、検出巻線L2および抵抗R7の接続点は、コンデンサC5、抵抗R8およびダイオードD6の直列回路を介してコンデンサC4に接続され、コンデンサC4に対して並列にツェナダイオードZD1が接続され、ダイオードD6およびコンデンサC4の接続点にはIC55の8番ピンが接続されている。
【0026】
また、IC55の1番ピンおよび2番ピンの間にはコンデンサC7が接続され、IC55の3番ピンはコンデンサC8を介してダイオードブリッジ53の負極に接続されている。さらに、IC55の4番ピンは電界効果トランジスタQ1および抵抗R2の接続点に接続され、IC55の7番ピンは電界効果トランジスタQ1のゲートに接続されている。
【0027】
なお、チョッパ回路52のIC55を起動する起動回路の抵抗R6およびコンデンサC4の時定数を1秒ないし3秒、好ましくは2秒程度に設定している。
【0028】
さらに、コンデンサC3に対して並列に、抵抗R11抵抗R121および抵抗R122の直列回路が接続され、抵抗R122の両端には、電界効果トランジスタQ7のドレインとソースが接続される。ここで、抵抗R122はチョッパ制御用抵抗として制御する。抵抗R11および抵抗R121の接続点は、IC55のフィードバック用の1番ピンに接続されている。なお、この1番ピンに入力される電圧により、電界効果トランジスタQ1の動作を制御して、チョッパ回路52が一定の出力電圧になるように制御する。
【0029】
そして、チョッパ回路52には、ハーフブリッジ形のインバータ回路61が接続され、このインバータ回路61はスイッチング素子としての電界効果トランジスタQ2および電界効果トランジスタQ3の直列回路を有し、電界効果トランジスタQ3には、主回路62が接続され、この主回路62は直流カット用のコンデンサC11およびLC共振回路63の共振インダクタとしてのバラストチョークとなるインダクタL3およびインダクタL4、および、抵抗R13の直列回路を介して高圧放電ランプ15が接続され、この高圧放電ランプ15に対して並列にLC共振回路63の共振コンデンサとなるコンデンサC12およびコンデンサC13の直列回路が接続されている。
【0030】
また、インバータ回路61は制御回路64を有し、この制御回路64は電界効果トランジスタQ2、Q3に制御手段となるインバータ回路制御手段としてのたとえばフィリップスセミコンダクタ社製型番UBA2021のIC66を有し、このIC66の補助電源を兼ねたスナバ回路67が接続されている。このスナバ回路67は、電界効果トランジスタQ3に並列に、抵抗R14、コンデンサC14、ダイオードD6およびコンデンサC15の直列回路が接続され、このダイオードD6およびコンデンサC15の直列回路に対して並列にダイオードD7が接続されている。
【0031】
さらに、電界効果トランジスタQ2のゲートにはIC66の2番ピン、電界効果トランジスタQ3のゲートにはIC66の6番ピンが接続されている。このIC66には、1番ピンおよび3番ピン間にコンデンサC16が接続されるとともに、3番ピンは電界効果トランジスタQ2および電界効果トランジスタQ3の接続点に接続され、12番ピンおよび14番ピン間にはコンデンサC17およびコンデンサC18の直列回路が接続され、13番ピンは抵抗R15および抵抗R16の直列回路に接続されている。また、抵抗R16は抵抗R20を介して電界効果トランジスタQ4のゲートに接続され、この電界効果トランジスタQ4のソース、ドレイン間には抵抗R17および抵抗R18の直列回路が接続され、抵抗R17および抵抗R18の接続点は抵抗R19を介してIC66の10番ピンに接続され、抵抗R18および抵抗R19の直列回路に対して並列にコンデンサC17が接続されている。また、電界効果トランジスタQ4のソースはコンデンサC18を介してIC66の14番ピンに、コンデンサC19を介してIC66の12番ピンに、コンデンサC20を介してIC66の8番ピンに、そのままIC66の11番ピンに接続されている。
【0032】
そして、抵抗R13および抵抗R13に並列に接続されたダイオードD8を介した高圧放電ランプ15の両端には、抵抗R21、抵抗R22および抵抗R23の直列回路が接続されている。
【0033】
また、抵抗R22および抵抗R23の直列回路に対して並列に、ダイオードD11およびコンデンサC21の直列回路が接続され、コンデンサC21に対して並列に抵抗R24、ツェナダイオードZD2およびコンデンサC22の直列回路が接続され、ツェナダイオードZD2およびコンデンサC22の接続点はトランジスタQ51のベースに接続され、トランジスタQ51のベース、エミッタ間には抵抗R25が接続され、電界効果トランジスタQ51のコレクタはIC66の5番ピンに接続されている。
【0034】
さらに、抵抗R23に対して並列にコンデンサC23およびダイオードD12の直列回路が接続され、このダイオードD12にはダイオードD13および抵抗R26の直列回路が接続され、この抵抗R26に対して並列にコンデンサC26、コンデンサC24およびダイオードD14の直列回路、スイッチング素子であるトランジスタQ52のコレクタ、エミッタおよびツェナダイオードZD3および抵抗R27の直列回路が接続され、コンデンサC24およびダイオードD14の接続点はトランジスタQ5のベースに接続されている。
【0035】
また、抵抗R27に対して並列にコンデンサC25が接続され、ツェナダイオードZD3およびコンデンサC25の接続点はサイリスタQ6のゲートに接続され、このサイリスタQ6のアノードはトランジスタQ51のコレクタおよびIC66の5番ピンに接続され、サイリスタQ6のカソードは抵抗R23およびIC66の7番ピンに接続されている。
【0036】
ダイオードD11と抵抗R24の接続点には抵抗R31ツェナダイオードZD4の直列回路がサイリスタQ8のゲートに接続されサイリスタQ8のアノードは電界効果トランジスタQ7のゲートに接続される。また、Q8のアノードと電界効果トランジスタQ7のゲートの接続点は抵抗R32を介してIC66の5番ピンに接続される。サイリスタQ8のカソードはIC66の7番ピンに接続される。サイリスタQ8のアノードおよびカソード間にはコンデンサC31および抵抗R31の並列回路が接続される。
【0037】
次に、上記実施の形態の動作について説明する。
【0038】
まず、商用交流電源eを投入すると、ダイオードブリッジ53で全波整流し、コンデンサC2で平滑してチョッパ回路52に直流電圧を印加する。IC55は電源投入後2秒程度動作しないので、チョッパ回路52は動作せず昇圧しないコンデンサC2の電圧のそのままの出力電圧を出力している状態である。
【0039】
そして、抵抗R15および抵抗R16を介してIC66に微小電流を供給することによりIC66は電源投入後1秒以内に動作を開始し、IC66は電界効果トランジスタQ2および電界効果トランジスタQ3を交互にオン、オフしてスイッチングさせる。このとき電界効果トランジスタQ4がオンしているので、周波数はコンデンサC19および抵抗R19,R18,R17で決定されるLC共振回路63の無負荷共振周波数よりも高い周波数で動作する。その後コンデンサC20で決定される一定時間が経過した後電界効果トランジスタQ4がオフし、コンデンサC19、抵抗R19、R18で決定される周波数で動作する。この周波数はLC共振回路63の無負荷共振周波数近傍となるように設定される。
【0040】
また、インバータ回路61が出力を開始するとコンデンサC21が充電され、このコンデンサC21の電圧が所定以上になるとツェナダイオードZD2がオンし、コンデンサC22を充電することによりトランジスタQ51にベース電流が供給されて、トランジスタQ51が5番ピンの電流をバイパスして、IC66が動作を停止し、始動パルスを発生する。
【0041】
すなわち、図5に示すように、IC66は発振周波数を無負荷共振周波数よりも高い周波数から低い周波数に向けてスイープさせて動作させており、LC共振回路63の無負荷共振周波数よりも高い周波数(たとえば107kHz)で発振させているときは、出力電圧の低いAの部分となり、LC共振回路63の共振周波数に近い周波数(たとえば84kHz)になると、出力電圧が高いBの状態、すなわち波高の始動パルスが出力されて、インバータ回路61の動作を停止させる。なお、インバータ回路61の動作開始後には、このようにインバータ回路61は高い周波数で発振しているので、IC66はスナバ回路67を電源として動作を維持し、インバータ回路61の発振動作を開始した直後のみ、発振周波数を高くしているのでIC66に安定して定常電流が供給される。
【0042】
そして、ツェナダイオードZD2のオンにより、トランジスタQ51がオンしIC66の電源をバイパスしてインバータ回路61が発振を停止する。インバータ回路61の発信が停止した後、コンデンサC22が放電され、トランジスタQ51がオフし、IC66が再び起動する。そうして、高圧放電ランプ15が始動しない場合にはこのような始動パルスの出力が繰り返される。
【0043】
このような出力電圧を高圧放電ランプ15に印加することによって、高圧放電ランプ15は確実に始動することができる。つまり、図5におけるAのように低い出力電圧(500Vrms程度)を高圧放電ランプ15に印加すると、高圧放電ランプ15の発光管24に配設されている電極43(または46)およびその近傍に配設されている始動補助体38(または36)間に電圧が印加されその電極43(または46)と始動補助体38(または36)の間に微小放電を生じさせることができる。この間に発光管24の内部で浮遊電子が生じているため、次に図5におけるBのような高い電圧(たとえば3kVp-p程度)を高圧放電ランプに印加させることによって高圧放電ランプ15の電極間43、46に放電を生じやすく確実に高圧放電ランプ15を始動させることができる。
【0044】
さらに、図5におけるAのように無負荷共振周波数より高い周波数を一定時間出力すると、出力電圧値は高圧放電ランプ15の持っている浮遊容量とLC共振周波数から決まる。例えば、高圧放電ランプ15の定格電力によって高圧放電ランプ15の浮遊容量を異ならせる。これは例えば20Wタイプの高圧放電ランプの場合、高圧放電ランプ15の始動補助体の巻数などによって浮遊容量を10pFとし、35Wタイプの高圧放電ランプの場合は浮遊容量を50pFにしておけば、図5におけるAのように無負荷共振周波数より高い周波数を動作している一定期間は、出力電圧は、20Wタイプの高圧放電ランプの場合は600Vrms、35Wタイプの高圧放電ランプの場合は500Vrmsと、ランプの種別によって出力電圧が異なる。
【0045】
この出力電圧の分圧がコンデンサC21に現れる。35Wタイプの高圧放電ランプが接続されと検出された場合は、コンデンサC21の両端の電圧が低いのでツェナダイオードZD4がオフする。このときサイリスタQ8もオフする。サイリスタQ8がオフする事により電界効果トランジスタQ7はチョッパ出力制御用抵抗R122をバイパスするのでチョパ出力電圧は、高い電圧値に制御され、すなわち高圧放電ランプ15は35Wの電力で点灯する事ができる。
【0046】
また、20Wタイプの高圧放電ランプが接続されたと検出された場合は、コンデンサC21の両端の電圧が低いのでツェナダイオードZD4がオンする。このときサイリスタQ8もオンする。サイリスタQ8がオンする事により電界効果トランジスタQ7がオフされ、チョパ出力電圧は低い電圧値に制御される。すなわち高圧放電ランプ15は20Wの電力で点灯する事ができる。なお、抵抗R31とコンデンサC31の時定数は0.5sec程度に設定する事によって、高圧パルスの発生よりも長い時間であるので、高圧パルス発生によるランプ判別に誤動作を生じる事がない。
【0047】
さらに、この状態ではコンデンサC26はタイマとして充電しつづけられ、たとえばコンデンサC26が充電される時間を10分程度とすると、このコンデンサC2が充電されることによりコンデンサC24も充電されトランジスタQ5のベース電流がなくなり、トランジスタQ5がオフしてツェナダイオードZD3がオンしサイリスタQ6をオンして、IC66の5番ピンの電流をバイパスし、IC66の出力を停止させる。
【0048】
また、電源投入から3秒程度経過すると、チョッパ回路52のIC55が動作を開始し、インバータ回路61に昇圧した電圧を印加して、この昇圧した電圧によりインバータ回路61は動作し、高圧放電ランプ15に高い電圧を印加して、グローアーク転移を確実にする。また、高圧放電ランプ15がグロー放電を開始すると高圧放電ランプ15の両端電圧が低下し、抵抗R21、抵抗R22および抵抗R23の電圧が低下し、コンデンサC21の電圧が低下して始動パルス停止動作は終了する。このように、インバータ回路61が動作した後の所定時間にチョッパ回路52が動作するので、特にネオン(Ne)、アルゴン(Ar)を用いた高圧放電ランプ15では、アーク転移のために1秒ないし3秒程度は高い開放電圧が印加されてグロー放電時間を確保してグローアーク転移時間を適切にでき、高圧放電ランプ15にストレスがかかることを防止する。このように、グロー放電時間を確保することにより、高圧放電ランプ15のいずれの電極41,44も十分に加熱昇温させることができるため、いずれか一方の電極41,44のみがアンバランスに昇温して半波アークが生ずることがなくなり、グロー側となった電極41,44のスパッタが促進され、点滅黒化特性が低下して、発光効率が低下することを防止する。
【0049】
また、インダクタL3およびインダクタL4は、高圧放電ランプ15のグロー放電開始時に飽和してもよい。そして、たとえばインダクタL3およびインダクタL4が飽和すると、インダクタンスが小さくなるため主回路62のLC共振の共振周波数が高くなるが、抵抗R13の電流に基づきIC66により進相を検出して、進相状態になった場合にはIC66の発振周波数を高くして、インバータ回路61の動作を進相状態から遅相状態に戻し、進相発振防止機能として動作する。
【0050】
そして、高圧放電ランプ15が通常の点灯状態になると、LC共振回路63の無負荷時の共振周波数より低く、高圧放電ランプ15が音響共鳴しない周波数一定でインバータ回路61は動作し、高圧放電ランプ15の始動直後から寿命末期まで高圧放電ランプ15を安定して点灯させることができる。
【0051】
本実施形態の高圧放電ランプ点灯装置によれば、高圧放電ランプ15を確実に始動させる事ができ、また、高圧放電ランプの種別を高圧放電ランプの浮遊容量によって判別して点灯させる事ができる。
【0052】
【発明の効果】
請求項1記載の高圧放電ランプ点灯装置によれば、高圧放電ランプに高電圧パルスを印加する前に無負荷共振周波数よりも高い周波数を所定期間印加することで高圧放電ランプの電極と対向電位である始動補助体との間で微小放電を生じさせることによって、確実に高圧放電ランプを始動させることができる。
【0053】
さらに、高圧放電ランプの電極および始動補助体の間の浮遊容量によって、ランプの種別を判別する事ができ、高圧放電ランプの種別によらずに安定点灯を行う事のできる高圧放電ランプ点灯装置を提供する事ができる。
【0054】
請求項2記載の高圧放電ランプ点灯装置によれば、さらに安全な高圧放電ランプ点灯装置を提供する事ができる。
【0055】
請求項3記載の照明装置によれば、請求項1または2記載の高圧放電ランプ点灯装置で点灯される高圧放電ランプが取り付けられる器具本体を具備したので、それぞれの効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高圧放電ランプ点灯装置の一実施の形態を示す回路図である。
【図2】 同上スポットライトを示す断面図である。
【図3】 同上高圧放電ランプの一部を切り欠いて示す側面図である。
【図4】 同上高圧放電ランプの発光管を切り欠いて示す側面図である。
【図5】 同上インバータ回路尾の出力電圧を示す波形図である。
【符号の説明】
1・・・照明装置としてのスポットライト、2・・・器具本体としてのスポットライト本体、15・・・高圧放電ランプ、18・・・高圧放電ランプ点灯装置、36,38・・・始動補助体としての金属コイル、41,44・・・電極、61・・・インバータ回路、62・・・主回路、63・・・LC共振回路、C12,C13・・・共振コンデンサ、L3・・・共振インダクタとしてのバラスト
Claims (3)
- 電極および始動補助体を備え電極および始動補助体間に浮遊容量を有する高圧放電ランプが接続され、共振インダクタおよび共振コンデンサを有するLC共振回路を含んでいる主回路と;
この主回路が出力側に接続され、高圧放電ランプの始動時には、主回路の無負荷共振周波数より高い周波数で所定時間動作させ、この所定時間の間のインバータ回路の出力電圧を検出して、高圧放電ランプの浮遊容量を算出して高圧放電ランプの種別を特定し、安定点灯時の投入電力を決定した後、高圧放電ランプの安定点灯時には20kHz〜200kHzで動作させるインバータ回路と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。 - 電極および始動補助体を備え電極および始動補助体間に浮遊容量を有する高圧放電ランプが接続され、共振インダクタおよび共振コンデンサを有するLC共振回路を含んでいる主回路と;
この主回路が出力側に接続され、高圧放電ランプの始動時には、主回路の無負荷共振周波数より高い周波数で所定時間動作させ、この所定時間の間のインバータ回路の出力電圧を検出して、高圧放電ランプの浮遊容量を算出して高圧放電ランプの種別を特定し、適合ランプと判別された場合のみ主回路の無負荷共振周波数近傍で動作させて始動パルスを発生させ、高圧放電ランプの安定点灯時には20kHz〜200kHzで動作させるインバータ回路と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ点灯装置。 - 請求項1または2記載の高圧放電ランプ点灯装置と;この高圧放電ランプ点灯装置で点灯される高圧放電ランプが取り付けられる器具本体と;
を具備したことを特徴とする照明装置。
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