JP3834621B2 - 水性ガスシフト反応用触媒 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一酸化炭素と水から二酸化炭素と水素を生成させる水性ガスシフト反応用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性ガスシフト反応は、工業的水素製造プロセスにおける重要な役割を担う反応であり、下記の反応式で示される。
【0003】
CO+H2O→CO2+H2
この反応は、メタノール合成プラント、アンモニア合成プラント等において、メタン改質ガス(H2+CO+CO2)の水素の増量、H2/CO比の調節のために用いられている。
【0004】
特に、高純度水素を必要とする場合は、通常この反応は次の2段反応で行なわれる。1段反応では、Fe-Cr混合酸化物触媒等の高温シフト触媒を用い、温度域310-450℃で反応を行うことにより、CO濃度を2〜3%まで減らすことができる。2段反応では、Cu-Zn-Al複合酸化物触媒等の低温シフト触媒を用い、温度域210-240℃で反応を行うことにより、CO濃度を1%以下まで減らすことができる。
【0005】
また、メタン、ガソリン等を燃料とする燃料電池では、次の過程により水素が製造される。
【0006】
燃料→[燃料改質器]→水素→[燃料電池セル]
上記燃料改質器における反応は、触媒を必要とし、通常は次の3段階の触媒反応で行われる。この触媒反応のうち、後の2つの反応(2)および(3)は、水素ガス中のCO除去が主目的となっている。
(1)水蒸気改質反応
(2)水性ガスシフト反応(CO変成反応)
(3)CO選択酸化反応またはメタン化反応
上記燃料電池は、家庭用等の小型燃料電池への応用が試みられており、そのためには燃料改質器を小型化する必要性がある。しかし、2段反応(2)の水性ガスシフト反応は、1段反応(1)および3段反応(3)に比べて反応速度が遅いことから、大量の触媒を必要とするため燃料電池が大型化してしまう。そのため高速で反応する水性ガスシフト触媒が望まれている。
【0007】
その問題の解決策として、卑金属触媒よりも活性の高い貴金属触媒を用いる方法が考えられたが、貴金属触媒を用いた反応では高温で副反応(メタン化)が起こり水素を消費してしまうという問題点がある。
【0008】
また、CO濃度を減少させることができる水性ガスシフト触媒としては、銅触媒がこれまで実績のある触媒として挙げられる。しかし、銅系触媒には、触媒の作動状態では銅は還元状態に保たれているが、燃料電池システムの運転停止の際に触媒と空気が接触し酸化銅となってしまい、再起動の際に酸化銅が還元され発熱するので触媒が熱劣化してしまう等の問題点がある。
【0009】
これまで、水性ガスシフト反応に活性な金属種を列挙した文献として、D.C. Grenoble and M. M..Estadt, J. Catal., 67, 90 (1981)等が知られている。また、COと水素からのメタンを生成する反応に関する文献として、M.A.Vannice, "CATALYSIS Science and Technology" , Springer-Verlag, Vol.3, p.139 (1982)等が知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、触媒活性が高く耐酸化性のある水性ガスシフト反応用触媒を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の従来技術の問題点に鑑みて、水性ガスシフト反応用触媒について鋭意研究を重ねた結果、特性の異なる少なくとも2種の金属を酸化物表面に分散担持させることにより、高温で高い触媒活性を保ちつつメタン化を抑制することができる水性ガスシフト反応用触媒が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は下記の水性ガスシフト触媒を提供する。
【0013】
項1.金属種群A(Pt, Pd, Ni, Ir, Rh, Co, Os, Ru, Fe, Re, Tc, Mn)から選ばれる少なくとも1種と金属種群B(Au, Ag, Cu)から選ばれる少なくとも1種とが、金属酸化物上に担持されていることを特徴とする水性ガスシフト反応用触媒。
【0014】
項2.金属酸化物が、(i)酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、酸化ランタン、酸化チタン、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化スカンジウム、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化マンガン、酸化バナジウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素からなる群から選ばれる単一金属の金属酸化物、(ii)亜鉛、鉄、銅、ランタン、チタン、コバルト、ジルコニウム、マグネシウム、ベリリウム、ニッケル、クロム、スカンジウム、カドミウム、インジウム、スズ、マンガン、バナジウム、セリウム、アルミニウム及びケイ素からなる群から選ばれる2種以上の金属の複合酸化物、あるいは(iii)(i)の少なくとも1種と(ii)の少なくとも1種の混合物である項1に記載の水性ガスシフト用触媒。
【0015】
項3.金属種AがPtであり、金属種BがAuであり、金属酸化物が酸化チタン及び/又は酸化セリウムである項2に記載の水性ガスシフト用触媒。
【0016】
【発明の実施の形態】
金属種群A(Pt, Pd, Ni, Ir, Rh, Co, Os, Ru, Fe, Re, Tc, Mn) から選ばれる少なくとも1種と金属種群B(Au, Ag, Cu)から選ばれる少なくとも1種とを、同じ金属酸化物の表面に共存させた触媒を調製し、その触媒を用いた水性ガスシフト反応を検討したところ、該触媒は、高温で活性が高く、メタン化反応が抑制でき、かつ高い水素収率が達成できるという効果のあることがわかった。
【0017】
即ち、本発明は、金属酸化物及び金属種Aと金属種Bからなることを特徴とする水性ガスシフト反応用触媒に係る。
【0018】
本発明における金属種Aとしては、水性ガスシフトに高活性であるが、同時にメタン化にも活性であるという特徴を持つ、上述した周期律表の7〜10族の元素(Pt, Pd, Ni, Ir, Rh, Co, Os, Ru, Fe, Re, Tc, Mn)から選ばれる1又は2以上の金属種が挙げられる。好ましくは、Pt, Pd, Ni, Rh, Ru等が挙げられる。より好ましくは、高い触媒活性の点より、Ptが挙げられる。
【0019】
本発明における金属種Bとしては、水性ガスシフトに活性であるが、メタン化活性が非常に小さいという特徴を持つ、上述した周期律表の11族元素(Au, Ag, Cu)から選ばれる1又は2以上の金属種が挙げられる。好ましくは、Au, Cu等が挙げられる。より好ましくは、高い触媒活性及びメタン化抑制効果の点より、Auが挙げられる。
【0020】
本発明における金属酸化物としては、一般的に金属種を分散担持する目的で選ばれる酸化物種であれば特に限定はない。例えば、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、酸化ランタン、酸化チタン、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化スカンジウム、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化マンガン、酸化バナジウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等から選ばれる単一金属の金属酸化物、あるいは、亜鉛、鉄、銅、ランタン、チタン、コバルト、ジルコニウム、マグネシウム、ベリリウム、ニッケル、クロム、スカンジウム、カドミウム、インジウム、スズ、マンガン、バナジウム、セリウム、アルミニウム、ケイ素等から選ばれる2以上の元素の複合酸化物等が挙げられる。必要に応じて、上記の単一金属の金属酸化物から選ばれる少なくとも1種と複合酸化物から選ばれる少なくとも1種の混合物を用いることも可能である。このうち、好ましくは、酸化チタン、酸化セリウム、セリウム−ジルコニウム複合酸化物、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、セリウム−ランタン複合酸化物等が挙げられ、より好ましくは、酸化チタン、酸化セリウム、セリウム−ジルコニウム複合酸化物等が挙げられ、とりわけ、高い触媒活性及び安定性の点から、酸化チタン、酸化セリウム、セリウム−ジルコニウム複合酸化物が特に好ましい。
【0021】
金属酸化物の形状は特に限定的ではなく、例えば、粉体状の他、予め成型した状態で用いることや各種の支持体に固定した状態で用いることもできる。
【0022】
また、本発明の水性ガスシフト反応用触媒としては、金属酸化物上に金属種を固定化した金属固定化酸化物が特に好ましい。この様に金属を酸化物上に固定化したものは、金属と酸化物との接触面積が多くなり、優れた触媒性能を発揮することができる。酸化物上に金属を固定化する場合にも、金属は、粒径2〜10nm程度の微粒子状であることが好ましく、粒径2〜4nm程度であることがより好ましい。
【0023】
金属酸化物上に金属種を固定化する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、
・含浸法(G. C. Bond and P. A. Sermon, Gold Bull. 102 (1973) 6等)
・共沈法(特開昭60-238148号公報等)
・析出沈殿法(特開昭62-155937号公報、特開平3-97623号公報、特開昭63-252908号公報、特開平2-252610号公報等)
・コロイド混合法(Tsubota S., Nakamura T., Tanaka K., and Haruta M., Catal. Lett., 56 (1998) 131)
・気相グラフティング法(特開平9-122478号公報)
・液相グラフティング(Okumura M., and Haruta M., Chem. Lett., (2000) 396)
等が挙げられる。本発明による触媒は、(1)金属種Aを担持した後、金属種Bを担持する、(2)金属種Bを担持した後、金属種Aを担持する、(3)金属種Aと金属種Bを同時に担持するといういずれの方法を用いても調製することができる。金属種Aと金属種Bの両者がより均一に担持され、より高い触媒活性を達成するためには、(3)のように両成分を同時に担持する方法をとることが好ましい。
【0024】
出発材料として次の様な化合物が挙げられる。金属種A又は金属種Bの前駆体としては、例えば、金属の水溶性化合物(例えば、塩化金酸、塩化白金酸、塩化ニッケル、塩化パラジウム、硝酸ニッケル、硝酸パラジウム等);金属アセチルアセトナト錯体(例えば、白金アセチルアセトナト錯体等)、金属ジベンジリデンアセトン錯体(例えば、パラジウムジベンジリデンアセトン錯体等)、金属シクロオクタジエン錯体(例えば、ニッケルシクロオクタジエン錯体等)等の加熱により気化する化合物が挙げられる。
【0025】
金属酸化物の原料としては、例えば、各種金属の硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物等が挙げられる。具体的には、硝酸セリウム、硝酸アルミニウム等の硝酸塩、硫酸鉄、硫酸アルミニウム、硫酸チタン等の硫酸塩、酢酸鉄、酢酸アルミニウム等の酢酸塩、塩化セリウム、三塩化チタン、四塩化チタン等の塩化物等が挙げられる。
【0026】
上記に挙げた公知の方法により、沈澱を析出させた後、沈殿物を乾燥する。金属種A及びBの前駆体を最終的に金属の状態にするために、水素、一酸化炭素等を窒素、ヘリウム、アルゴン等で希釈した各種還元性ガス雰囲気下で、沈殿物を還元処理する。還元性ガスとしては、例えば、窒素ガスで希釈した1〜10vol%程度の水素ガス、一酸化炭素ガス等を用いることができる。還元処理温度は、公知の還元条件の範囲から適宜選択すればよく、通常室温〜600℃程度が好ましく、安定かつ微細な金属粒子を得るためには、200〜400℃程度がより好ましい。還元処理時間は、例えば、1〜12時間程度が好ましい。
【0027】
また、沈殿物中の不純物を酸化分解するために、上記の還元処理に先立ち酸素雰囲気下で高温焼成してもよい。酸素雰囲気下とは、空気下、あるいは酸素を窒素、ヘリウム、アルゴン等で希釈した混合気体下をいう。
【0028】
また、液相中で還元剤と接触させることにより還元する方法をとることもできる。該液相としては、例えば、水、メタノール等が挙げられる。還元剤としては、例えば、ヒドラジン、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。反応温度は、例えば、室温〜100℃程度が好ましい。反応時間は、例えば、1分〜10時間程度が好ましい。
【0029】
本発明の触媒における、金属種A及びBの含有量は、触媒の合計量に対して、0.1〜30重量%程度であればよく、金属量当たりの活性の点から、0.1〜10重量%程度とするのがより好ましい。また、金属種Aと金属種Bの含有比は1:99〜99:1の何れでもよい。より好ましくは、1:99〜1:1である。
【0030】
本発明では、より実用的な形態で使用することを目的として、各種の形状の支持担体に上記触媒を担持させることもできる。支持担体としては、アルミナ、シリカ、コージライト、ゼオライト、酸化チタン等を例示できる。担体の形状は特に限定されず、例えば、粉末状、球状、粒状、ハニカム状、発泡体状、繊維状、布状、板状、リング状等現在触媒担体として一般に使用されている全ての形状が使用可能である。
【0031】
本発明の触媒は、主として一酸化炭素、水、二酸化炭素、水素の4種のガスを含む混合ガスから、水素を製造し一酸化炭素濃度を低減させる目的において、有効に用いることができる。本発明の触媒は一酸化炭素と水を含むガスから二酸化炭素と水素を生成する水性ガスシフト反応、二酸化炭素と水素を含むガスから一酸化炭素と水を生成する逆水性ガスシフト反応の何れに対しても活性を示す。水性ガスシフト反応と逆水性ガスシフトは互いに逆反応の関係にあり、ある温度において反応が最大限に進行した場合には化学平衡組成から成る一酸化炭素、水、二酸化炭素、水素の4種の混合ガスとなる。反応ガス中に最初から一酸化炭素、水、二酸化炭素、水素の4種のガスが共存する場合でも、平衡組成に達するまで水性ガスシフト反応、又は逆水性ガスシフト反応が進行する。
【0032】
本発明触媒を用いる水性ガスシフト反応の圧力は、特に限定的でなく、常圧から100気圧といった高圧条件まで用いることができる。特に、メタン生成をより効果的に抑制するためには反応を常圧付近で行なうことが望ましい。
【0033】
本発明触媒を用いる水性ガスシフト反応における温度は、使用する金属酸化物の種類やその他の条件によって異なるが、例えば、100〜450℃程度であればよい。本発明の触媒は、特に、250℃〜450℃程度の反応温度において、高い水性ガスシフト反応活性を示し、問題となるメタンの副生が非常に少ない。
【0034】
原料ガスの一酸化炭素と水の混合比は特に限定的でないが、一酸化炭素の濃度範囲が全原料ガスに対して1〜30Vol%であり、水蒸気が一酸化炭素と等量(Vol)以上、好ましくは2倍等量(Vol)以上共存する場合に特に有効である。また、空間速度の範囲も特に限定的ではない。
【0035】
【発明の効果】
本発明の水性ガスシフト反応触媒は、従来の触媒よりも高活性であり高い水素収率を達成することができ、かつ高温でのメタンの生成を抑制することができる。そのため、水性ガスシフト反応器の小型化が可能となる。
【0036】
また、家庭用燃料電池システムなどでは、夜間の機器停止時に触媒が空気と接触し、銅などの金属種が酸化されて活性低下を導く原因となっていることが知られている。本発明触媒は、金属種A、Bの両者に空気中で酸化されない金属種を選択することによって(例えば金属種Aとして白金、金属種Bとして金)耐酸化性を有し、日常的に起動停止を繰り返す燃料電池機器への用途に対しても効果的に用いることができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明瞭にするが、これにより本発明が限定されるものではない。
【0038】
実施例1
塩化金酸[HAuCl4 ・4H2 O]0.57ミリモルと塩化白金酸[H2PtCl6 ・6H2 O]0.19ミリモルを1000mlの蒸留水に溶解させ、NaOH水溶液を滴下してpHを7に調節した。これに、酸化チタン粉末(平均粒子径30nm)5gを加え、70℃で1時間撹拌した。この後、沈降物を蒸留水で充分に洗浄した後、乾燥し、希釈水素流通下(N2で希釈した3vol%水素ガス)、400℃で2時間還元処理することにより、金−白金担持酸化チタン触媒[Au−Pt/TiO2 ,金属担持量3wt%,Au:Pt=3:1]を得た。続いて、得られた触媒を用いて、水性ガスシフト反応に対する活性を以下の方法で調べた。
【0039】
上記触媒を0.12g用い、原料ガス(CO 1.3%、H2O 3.1%、CO2 0.4%、H2 5.0%、He 90.2%体積比の混合ガス)を103ml/分の流量で常圧にて流通させ、反応ガス中で一旦350℃まで昇温した後に各温度での水性ガスシフト反応に対する触媒活性を調べた。
【0040】
その結果を図1〜3に示す。図1には反応温度に対し、触媒活性の指標としてCO転化率を示し、図2には目的生成物である水素の収率、図3には副生成物であるメタンの収率を示す。
【0041】
比較例1
塩化金酸[HAuCl4 ・4H2 O]のみを用いて実施例1と同様の条件で触媒を調製し、金担持酸化チタン触媒[Au/TiO2 ,金属担持量2.4wt%]を得た。得られた触媒を用いて実施例1と同じ条件で反応を行なった。結果を図1〜3に示す。
【0042】
比較例2
塩化白金酸[H2PtCl6・6H2 O]のみを用いて実施例1と同様の条件で触媒を調製し、白金担持酸化チタン触媒[Pt(0.75)/TiO2 ,金属担持量0.75wt%]を得た。得られた触媒を用いて実施例1と同じ条件で反応を行なった。結果を図1〜3に示す。
【0043】
比較例3
塩化白金酸[H2PtCl6・6H2 O]のみを用いて実施例1と同様の条件で触媒を調製し、白金担持酸化チタン触媒[Pt(3)/TiO2 ,金属担持量3wt%]を得た。得られた触媒を用いて実施例1と同じ条件で反応を行なった。結果を図1〜3に示す。
【0044】
実施例2
酸化チタンの代わりに酸化セリウムを用いて、実施例1と同様の条件で触媒を調製し、金−白金担持酸化セリウム触媒[Au−Pt/CeO2 ,金属担持量3wt%,Au:Pt=3:1]を得た。得られた触媒を用いて実施例1と同じ条件で反応を行なった。その結果を図4〜6に示す。図4には反応温度に対し、触媒活性の指標としてCO転化率を示し、図5には目的生成物である水素の収率、図6には副生成物であるメタンの収率を示す。
【0045】
比較例4
塩化金酸[HAuCl4 ・4H2 O]のみを用いて実施例1と同様の条件で触媒を調製し、金担持酸化セリウム触媒[Au/CeO2 ,金属担持量3wt%]を得た。得られた触媒を用いて実施例2と同じ条件で反応を行なった。結果を図4〜6に示す。
【0046】
比較例5
塩化白金酸[H2PtCl6・6H2 O]のみを用いて実施例1と同様の条件で触媒を調製し、白金担持酸化セリウム触媒[Pt/CeO2 ,金属担持量3wt%]を得た。得られた触媒を用いて実施例2と同じ条件で反応を行なった。結果を図4〜6に示す。
【0047】
これらの結果より、次に示すような本発明触媒の特徴が明らかである。
【0048】
図1〜3には酸化チタンを担体とする触媒系について、Au-Pt/TiO2触媒の特徴をAu/TiO2及びPt/TiO2触媒と比較して示す。図1からAu-Pt/TiO2触媒の250℃以上でのCO転化率はPt/TiO2より低いものの、Au/TiO2触媒よりも高く、金に白金を添加することにより、活性を高めることができることを示している。
【0049】
図3は好ましくない副生成物のメタンの収率を示す。Pt/TiO2はメタンが生成するが、Au/TiO2及びAu-Pt/TiO2ではメタンが生成せず、一般に白金触媒で問題とされるメタンの生成が、Au-Pt/TiO2触媒では抑制されていることを示している。
【0050】
図2は目的生成物である水素の収率を示す。Pt/TiO2触媒での収率は高いが、300℃以上の高温ではメタン副生のため、水素収率が低下してしまう。Au-Pt/TiO2ではメタンが生成しないため、高温でも水素収率の低下がなく、350℃においてはPt/TiO2よりも高い水素収率を得ることができる。
【0051】
図4〜6には酸化セリウムを担体とする触媒系について、Au-Pt/CeO2触媒の特徴をAu/CeO2及びPt/CeO2触媒と比較して示す。白金と金が共存する効果については酸化チタン担体の場合と同様であり、Au-Pt/CeO2では高温におけるメタン生成が抑制されており、250℃以上の高温域で高い水素収率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種水性ガスシフト反応触媒を用いた場合の反応温度とCO転化率を表したグラフである。
【図2】各種水性ガスシフト反応触媒を用いた場合の反応温度と水素収率を表したグラフである。
【図3】各種水性ガスシフト反応触媒を用いた場合の反応温度とメタン収率を表したグラフである。
【図4】各種水性ガスシフト反応触媒を用いた場合の反応温度とCO転化率を表したグラフである。
【図5】各種水性ガスシフト反応触媒を用いた場合の反応温度と水素収率を表したグラフである。
【図6】各種水性ガスシフト反応触媒を用いた場合の反応温度とメタン収率を表したグラフである。
Claims (4)
- Pt と Auとが、金属酸化物上に担持されていることを特徴とする水性ガスシフト反応用触媒。
- 金属酸化物が、(i)酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、酸化ランタン、酸化チタン、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化ニッケル、酸化クロム、酸化スカンジウム、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化スズ、酸化マンガン、酸化バナジウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素からなる群から選ばれる単一金属の金属酸化物、(ii)亜鉛、鉄、銅、ランタン、チタン、コバルト、ジルコニウム、マグネシウム、ベリリウム、ニッケル、クロム、スカンジウム、カドミウム、インジウム、スズ、マンガン、バナジウム、セリウム、アルミニウム及びケイ素からなる群から選ばれる2種以上の金属の複合酸化物、あるいは(iii)(i)の少なくとも1種と(ii)の少なくとも1種の混合物である請求項1に記載の水性ガスシフト用触媒。
- 金属酸化物が酸化チタン、酸化セリウム及びセリウム−ジルコニウム複合酸化物から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の水性ガスシフト用触媒。
- Pt 及び Au の含有量が、触媒の合計量に対して0.1〜30重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の水性ガスシフト用触媒。
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2002
- 2002-04-17 JP JP2002114488A patent/JP3834621B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2004066003A (ja) * | 2002-08-01 | 2004-03-04 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 燃料改質ガスの水性ガスシフト反応用触媒 |
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