JP3833607B2 - 振動発生器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は振動発生器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば移動体通信機器の端末である携帯電話機などの携帯機器には、着信を呼出音で知らせる代わりに、携帯機器そのもの又は付属品内に振動発生器を収納しておき、この振動発生器を振動させることで人体に着信を感知させるものがある。
【0003】
そしてこの種の従来の振動発生器としては、モータの回転軸に、その重心を回転軸に対して偏芯させた分銅を取り付け、この分銅を回転することで振動を発生させる構造のものがあった(特許文献1の図4参照)。
【0004】
しかしながらこのような構造の振動発生器は、偏芯させて取り付けた分銅を回転する際の回転軸のブレを振動として利用する方法なので、モータの回転軸の軸受け部分が過酷な力を受け、その耐久性や信頼性を阻害するという問題などがあった。
【0005】
またこれらの回転モータ型振動発生器は人体に着信を感知させるために振動するが、人体が感知する感度のよい周波数は100Hz前後にあり、150Hzを超えると感知できなくなり、回転数を最大でも8000rpm以下に抑える必要があり、人体への刺激としての振動加速度を大きくする方法として回転数を上げる手段に限界があった。
【0006】
一方人体に着信を感知させるために人体に与える刺激として同一の刺激を続けていると刺激でなくなってくるため、絶えず新鮮な振動刺激を与え続ける必要があるが、回転モータ型振動発生器は直流モータなので一定の電圧を印加する方式であり、電圧を可変させることは制御系を加えるため困難である。このため従来の回転モータ型振動発生器では図13に示すように、モータへ流す電流を間欠させる時間を制御してパターン化し、絶えず新鮮な振動刺激を与えるようにしている。しかしながらこの方式は決まった振動周波数の振動加速度値を断続する時間を変えるだけのため、新鮮さに欠けるという問題があった。また人体が感知する感度のよい周波数は人(体格・体形等)によって異なり、このため一定の振動周波数しか付与できないと、その振動発生器を使用する人にとって必ずしも感知するのに最適な振動周波数を付与できていないという問題もあった。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−180186号公報
【特許文献2】
特開2002−210411号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、個々の人体の何れに対しても最適感度の周波数の振動を供給できるとともに、絶えず新鮮な振動刺激を与え続けることができる振動発生器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため本願の請求項1に記載の振動発生器は、永久磁石を取り付けてなる可動子と、可動子の端面に対して所定の隙間を介して対向する端面を有し、取り付けたコイルに電流を流して励磁することで前記可動子との間に磁路を形成する固定子と、線材の一端を可動子側に他端を固定子側に取り付けることで可動子を略直線状に振動可能に支持する一対の弾性支持部材とを具備する振動発生器において、前記コイルに周波数変調された電流を流すことにより、可動子の振動の振動加速度を変化させるとともに、前記コイルに流す周波数変調された電流は、前記一対の弾性支持部材による弾発力と、前記可動子と固定子との間に働く磁気的吸引・反発力とで決まる可動子の共振周波数を中心周波数として所定の周波数振幅で周波数変調された電流であり、これによって変調周期の倍の振動加速度変化を発生させるとともに、振動加速度値の低下部を交互に異なる振動加速度値とすることを特徴とする。
【0011】
本願の請求項2に記載の振動発生器は、永久磁石を取り付けてなる可動子と、可動子の端面に対して所定の隙間を介して対向する端面を有し、取り付けたコイルに電流を流して励磁することで前記可動子との間に磁路を形成する固定子と、線材の一端を可動子側に他端を固定子側に取り付けることで可動子を略直線状に振動可能に支持する一対の弾性支持部材とを具備する振動発生器において、前記コイルに周波数変調された電流を流すことにより、可動子の振動の振動加速度を変化させるとともに、前記コイルに流す周波数変調された電流が、前記一対の弾性支持部材による弾発力と、前記可動子と固定子との間に働く磁気的吸引・反発力とで決まる可動子の共振周波数を中心周波数として周波数振幅を所定の初期値の振幅から徐々に狭めて前記共振周波数に収束せしめる変調周期で周波数変調された電流であり、これによって変調周期の倍の振動加速度変化を発生させるとともに、共振周波数に収束することによる最大振動加速度値を周波数変調周期の最後に与えることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態にかかる振動発生器1の斜視図、図2(a)は正面図、図2(b)は側面図、図3は分解斜視図である。これらの図に示すように振動発生器1は、固定子10の上部に可動子50を2つの弾性支持部材80,80によって支持して構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0015】
固定子10は、合成樹脂材からなる端子付き基台部20上にコア付きコイル30と2枚の弾性体40,40とを取り付けて構成されている。また端子付き基台部20の下面両側にはそれぞれ端子板23,23が取り付けられている。
【0016】
コア付きコイル30は略棒状の鉄の焼結体からなるコイルコア31の周囲にコイル33を巻き回して構成されている。このコア付きコイル30は端子付き基台部20上に取り付けられ、その際コイル端部35,35が端子付き基台部20の内部に露出する端子板23,23の接続部231,231に接続固定される。
【0017】
弾性体40,40は薄いゴム板製であり、前記端子付き基台部20の弾性体載置部211,211上にそれぞれ載置できる形状に形成されている。
【0018】
次に弾性支持部材80,80は、何れも一本の線材を折り曲げることによって構成されたいわゆるダブルトーション型のコイルバネであり、略一回転半ほど巻き回した2つのコイル部81,81のそれぞれ両側から2本づつのほぼ平行なアーム部83,83とアーム部85,85とを突き出し、一方の方向に延ばしたアーム部83,83間は端部(以下「連結部」と呼ぶ)82によって連結し、他方のアーム部85,85は先端を折り曲げて端部(以下「係止端部」と呼ぶ)87,87として構成している。
【0019】
図4は可動子50の分解斜視図である。同図に示すように可動子50は、前記コイルコア31と同等の材質からなる可動子ヨーク51に、錘60と永久磁石70と高透磁率部材〈以下「センターヨーク」と呼ぶ〉75とを取り付けて構成されている。
【0020】
可動子ヨーク51は略四角柱状(棒状)であってその両端に固定子10側に向かって延びる腕部52,52を設け、全体として略「コ」字状に形成され、腕部52,52の内側面を前記コイルコア31の端面37,37と所定の隙間を介して対向するテーパ面状の端面53,53とし、腕部52,52の両外側側面に前記弾性支持部材80,80の連結部82,82を係止するL字状に折れ曲がる切り欠きからなる係止部55,55を設けて構成されている。
【0021】
錘60は非磁性体材料によって構成され、その中央に永久磁石70を嵌合する収納部61が設けられている。永久磁石70は四角形状の板部材であり、その上下面をSN磁極として構成している。 なお永久磁石70の面の縦横方向の寸法は、コイル33上面の縦横方向の寸法とほぼ同一寸法に形成され、コイル33の上面をちょうど覆う寸法形状に形成されている。センターヨーク75は薄い四角形状の板部材であって、これに磁束を集めるために高透磁率部材で構成されている。
【0022】
可動子50の組み立ては、可動子ヨーク51の下面中央に、錘60の嵌合部63を嵌合した状態で、永久磁石70を錘60の収納部61に挿入し、その下にセンターヨーク75を取り付けることで行なわれる。
【0023】
次に振動発生器1を組み立てるには図3において、コア付きコイル30と弾性体40,40を取り付けた固定子10のバネ端固定部217,217に、弾性支持部材80,80の係止端部87,87を挿入し、同時に弾性支持部材80,80の各アーム部85を固定子10のバネ係止部219に係止する。このように弾性支持部材80,80の係止端部87,87とアーム部85を固定することで、コイル部81,81は弾性体40上に少し弾圧された状態で当接し、これによって弾性支持部材80,80は3点で確実に支持される。そして弾性支持部材80,80の連結部82,82を可動子50の係止部55,55に挿入・係止することで、図1,図2に示す振動発生器1が完成する。
【0024】
可動子50は弾性支持部材80,80によってコイル33による固定子10の磁化方向(即ち図2(a)の左右方向)に向けて振動自在に支持される。このとき永久磁石70のセンターヨーク75を取り付けた側の磁極面は、コイル33の外周側面に対向するような隙間を介して設置され、この対向面は平行となるように構成されている。
【0025】
以上のように構成された振動発生器1の磁路は、図2に一点鎖線で示すように、永久磁石70のセンターヨーク75を取り付けた磁極面からコイル33の外周側面を通してコイルコア31内に入り、コイルコア31内においてコイル33による固定子10の磁化方向(NS磁極方向)を向くように導かれ、さらにコイルコア31の両端面37,37から隙間を通って可動子50の両端面53,53に入り可動子ヨーク51の中央から永久磁石70の他方の磁極面に再び戻るように形成される。
【0026】
そしてこの振動発生器1は図示しない回路基板上に載置され、回路基板上に設けた回路パターン(端子パターン)に、前記端子付き基台部10の端子板23を当接して低融点金属等で電気的・機械的に接続固定する。そして図示しない回路基板側からコイル33に所定の電流を流すと、可動子50が左右に単振動を開始する。以下その原理を説明する。
【0027】
ここでまず図5は可動子50の左右への変位X(mm)と、可動子50に働く左右方向への推力F(N)との関係を示す図である。なおこの推力Fはプラスのとき図2(a)の右方向への力、マイナスのとき左方向への力を示している。また変位Xはプラスのとき図2(a)の右方向への変位、マイナスのとき左方向への変位を示している。
【0028】
図5の太い点線はコイル33に電流を流さないときの永久磁石70の磁力と弾性支持部材80,80による弾発力との合力状態を示し、実線はコイル33にNI=+0.35(N)の電流を流した場合の電磁力に前記永久磁石70の磁力と弾性支持部材80,80による弾発力とを合計した合力の状態を示し、細い点線はコイル33にNI=―0.35(N)の電流を流した場合の電磁力に前記永久磁石70の磁力と弾性支持部材80,80による弾発力とを合計した合力の状態を示している。
【0029】
同図に示すように、何れの状態においても、可動子50に印加される推力は略直線状であり、これは可動子50を単振動させるのに好適な状態であることを示している。このような推力となるのは以下の理由による。
【0030】
即ち図6の線aに示すように、弾性支持部材80,80のみによる推力は、変位量が増せば増すほど直線的に可動子50を中立位置に戻そうとする力となる。一方図6の線bに示すように、永久磁石70のみによる推力は弾性支持部材80,80の推力と反対方向の推力であり、変位量が小さい場合はほとんど働かず、変位量が増えて左右いずれかの隙間が小さくなると小さくなった方に向けて急激に増加する。従って図6の線a及び線bの推力を合わせれば、図6の線cに示すような略直線状の推力になるのである。なお、永久磁石70のみによる推力が図6の線bに示すようになるのは、可動子50の両端面53,53は何れもS極となっているので可動子50が中立位置にある場合は左右何れにも吸引されないからである。但し何れかの端面53が固定子10の何れかの端面37に接近した場合は、その端面37に吸着しようとする推力が指数関数的に増加していく。このように永久磁石70のみによる推力は中立点近傍では小さいので、弾性支持部材80,80の弾発力をそれほど大きくしなくても、コイル33に電流を流さないときに可動子50を中立位置に保持したままの状態にしておくことが容易に行える。
【0031】
そしてコイル33にNI=+0.35(N)の電流を流して固定子10の左右の端面37,37にNS磁極を励磁した場合は、図5に示すように永久磁石70と弾性支持部材80,80による推力をそのまま所定の幅で上方向にほぼ平行移動した状態の推力になる。即ち何れの変位位置においても前記永久磁石70と弾性支持部材80,80による推力よりもほぼ一定の変位量だけ大きい推力となる。NI=―0.35(N)の電流を流した場合はこれとは逆に下方向に略平行移動する。
【0032】
このように一対の弾性支持部材80,80により決められる機械バネ定数が図6の線aから求められ、永久磁石70を取り付けた可動子50と軟磁性体である鉄からなるコイルコア31を取り付けた固定子10との間で磁路を形成することにより働く吸着力からなる磁気バネ定数(図6の線b)との合力として合成バネ定数(図6の線c)が生じる。この合成バネ定数が振動発生器1の共振周波数を決めている。合成バネ定数は図6の横軸を変位とし縦軸を応力としたときの傾きで与えられる。またこの合成バネ定数は図5のNI=0(N)の曲線と同じであり、コイル33に電流を流したときのNI=−0.35(N)とNI=+0.35(N)の曲線の傾きから与えられる合成バネ定数の値はほぼ同じであることから、コイル33に電流を流したときに得られる共振周波数は図6の線cから求まる合成バネ定数の値から与えられる共振周波数と一致する。図7は振動発生器1の80Hzから150Hzまでの振動加速度を測定し得られたデータであり、この実測の共振周波数と、図4の線cから求まる合成バネ定数の値から公式によって算出される共振周波数とは、良い一致を示している。
【0033】
次にこの振動発生器1の駆動方法を説明する。図2に示すようにコイル33に電流を流していないときは、弾性支持部材80,80が可動子50を中立位置に維持する。次にコイル33に電流(例えばNI=−0.35N)を供給するとコイルコア31の両端面37,37にNS磁極が励磁され、例えば可動子50の右側端面53が対向するコイル端面37方向(左方向)に向けて引き付けられていく。これは図5において細い点線が変位X=0mmにおいてマイナスの推力になっているからである。そして可動子50の右側端面53が対向するコイル端面37に接近したときに、コイル33に供給する電流の方向を反転(NI=+0.35N)すると、図5において実線の推力になり、これは可動子50を逆方向〈右方向〉に引っ張る推力なので、可動子50は逆方向に移動をはじめる。
【0034】
そして前記電流の反転を可動子50の振動周波数に合わせて繰り返し行うことで、可動子50の両端面53,53が固定子10のコイル端面37,37に当接する寸前で可動子50を反転移動させ(つまりコイル端面37とは常に当接しない)、可動子50の振動を繰り返すことができる。
【0035】
この実施形態においては、可動子50を左右一対の弾性支持部材80,80で支持しているので、可動子50の動きを左右方向へのほぼ平行移動にすることができ、固定子10のコイル端面37,37に対する可動子50の端面53,53の動きをほぼ平行移動にすることができ、またセンターヨーク75と固定子10との隙間もほぼ一定のままとなり、従って磁気回路を乱さない構造で、安定した振動が確保できる。
【0036】
図7は振動発生器1を80Hzから150Hzまでの周波数で振動させたときの振動加速度を測定し得られたデータであり、横軸にコイル33に流す電流の周波数を示し、縦軸に振動加速度を示す。図7に示すように本発明に用いる構造の振動発生器1では振動加速度に極大値を持ち、この極大値を示す周波数を共振周波数という。前記したようにこの共振周波数は、一対の弾性支持部材80,80により決められる機械バネ定数と、永久磁石70を取り付けた可動子50と軟磁性体である鉄からなるコイルコア31を取り付けた固定子10との間で磁路を形成することにより働く吸着力からなる磁気バネ定数との合力として求まる合成バネ定数を、バネ定数から共振周波数を求める公式に代入することで得られる共振周波数と良い一致をする。このことよりこの方式(構造)の振動発生器1は、一対の弾性支持部材80,80と永久磁石70を取り付けた可動子50および固定子10との間での磁路とにより、振動加速度に極大値を持つ共振周波数が決まる。
【0037】
そして本発明においては、この振動発生器1が有する周波数−振動加速度特性(図7参照)を利用して、コイル33に周波数変調された電流、即ち時間とともに周波数を変更していく電流を流すことにより、可動子の振動の振動加速度を時間とともに変化させてゆき、これによって個々の人体にとって最適な感度を有する周波数を前記変化している周波数の中に含ませて何れの人に対しても最適な感度を与えることができ、同時に振動加速度(振動強度)の変化によって絶えず新鮮な振動刺激を与え続けることができる。以下、具体的に振動発生器1に印加する周波数変調された電流の各種例を説明する。
【0038】
ここでまず図8に本発明の振動発生器1を周波数変調された電流によって駆動する回路例(振動発生器駆動手段)を示す。この駆動回路は電源としてDC3V駆動であり、最低電圧DC2.6V駆動を可能にしている。また本発明の振動発生器1に印加する波形はHブリッジを用いてデューテイ50%の交番方形波であり、振動周波数を変化させる周波数変調機能を備えている。なお以下に示すような各種周波数変調できる振動発生器駆動回路(振動発生器駆動手段)であれば、どのような振動発生器駆動回路であっても良いことは言うまでもない。
【0039】
図9乃至図10は本発明の各種実施の形態を示す図であり、振動発生器1のコイル33に各種周波数変調された電流を入力したときの振動発生器1の振動加速度出力の状態を示す図である。即ち図9の実施の形態では振動発生器1の共振周波数を中心周波数とする所定の周波数振幅(この場合は±10Hz)で周波数変調された電流をコイル33に流すことによって、振動加速度出力として変調周期の倍の振動加速度変化であって、しかも振動加速度値の低下部a1,a2が、交互に異なる振動加速度出力を得るようにしている。このように本発明の振動発生器1は、周波数変調のみを行うことにより、振動周波数変化を与えると同時に振動加速度出力の変化を与えることができる。この周波数変調による振動加速度出力の特色は、鋭い〈瞬間的な〉共振周波数における最大の振動加速度を出すことと、二つのゆっくりとした(間がある)低い振動加速度値を持つ新鮮な変化のある振動加速度出力を提供できることである。なお変調周期は一秒から三秒の間を選定している。
【0040】
図10の実施の形態の入力電流は、本発明の振動発生器1の共振周波数を中心周波数として所定の周波数振幅(この場合±10Hz)の電流を初期値として入力した後この初期値の振幅を徐々に狭めていって前記共振周波数に収束せしめるのを一つの変調周期として周波数変調を繰り返す電流である。この電流をコイル33に流すことにより変調周期の倍の振動加速度変化を発生し、且共振周波数に収束することによる最大振動加速度値を周波数変調周期の最後に与える振動加速度出力が得られる。変調周期は一秒から三秒の間を選定している。この実施の形態の場合も、周波数変調のみを行うことにより、振動周波数変化を与えると同時に振動加速度出力の変化を与えることができる。
【0041】
図11の入力電流は、振動発生器1の共振周波数を上限の周波数として所定の周波数振幅(この場合±5Hz)で所定の変調周期で周波数変調された電流をコイル33に流すことにより低い周波数での振動加速度値から高い周波数である共振周波数での最大の振動加速度値出力までを交互に得るものである。この場合も、周波数変調のみを行うことにより、振動周波数変化を与えると同時に振動加速度出力の変化を与えることができる。変調周期は一秒から三秒の間を選定している。
【0042】
図12の入力電流は、振動発生器1の共振周波数を下限の周波数として所定の周波数振幅(この場合は±5Hz)で所定の変調周期で周波数変調された電流をコイル33に流すことにより高い周波数での振動加速度から低い周波数の共振周波数での最大の振動加速度値出力までを交互に得るものである。これによって図7の周波数―振動加速度特性が示す共振周波数より高い周波数部分の特性曲線に従った振動加速度出力の変化を得ることができる。また当然のことながら周波数変調を行っているので、周波数変化に応じた振動加速度値出力を示す。
【0043】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。即ち図7の周波数―振動加速度特性に基づいた各種周波数変調を行うことにより、より変化に富んだ周波数変化に応じた振動加速度値出力を得ることができる。例えば、共振周波数を中心周波数にしないで、共振周波数よりもずらした中心周波数での周波数変調を行って新鮮な振動刺激を得ることもできる。また低い振動加速度値から高い振動加速度値に変化する振動加速度値変化を1つの変調周期とするように周波数変調を行なっても良い。
【0044】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば以下のような優れた効果を有する。▲1▼周波数変調によってコイルに流す電流の周波数を周期的に変化できるので、個々の人体の何れに対してもその周期の中で最適感度の周波数の振動を供給できる。同時にコイルに周波数変調された電流を流すことにより、可動子の振動加速度(振動強度)を変化させることができ、絶えず新鮮な振動刺激を人体に与え続けることができる。つまり周波数変調するだけで、振動強度である振動加速度の変化が個人個人の感度差である振動周波数変化と合わせて得られ、個々の人体にそれぞれ新鮮で感度の良い振動加速度の変化を与え続けることができる。
【0045】
▲2▼コイルに流す電流を、可動子の共振周波数を中心周波数として所定の変調周期で周波数変調された電流としたので、変調周期の倍の振動加速度変化を発生させることができ、絶えず周波数と振動加速度値とに変化を与え続けることができる。
【0046】
▲3▼コイルに流す電流を、可動子の共振周波数を中心周波数として周波数振幅を所定の初期値の振幅から徐々に狭めて前記共振周波数に収束せしめる変調周期で周波数変調された電流としたので、変調周期の倍の振動加速度変化を発生させるとともに、共振周波数に収束することによる最大振動加速度値を周波数変調周期の最後に与えることができ、これによっても絶えず周波数と振動加速度値とに変化を与え続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる振動発生器1を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は振動発生器1の正面図、図2(b)は側面図である。
【図3】振動発生器1の分解斜視図である。
【図4】可動子50の分解斜視図である。
【図5】コイルに電流を流したときの可動子の変位−推力特性図である。
【図6】機械バネ定数、磁気バネ定数、合成バネ定数を、変位−応力特性曲線から得る図である。
【図7】振動発生器1の周波数−振動加速度特性図である。
【図8】振動発生器1の周波数変調部を備えた振動発生器駆動回路図である。
【図9】本発明の一実施の形態にかかる振動発生器1への入力電流と振動加速度出力の関係を示す図である。
【図10】本発明の他の実施の形態にかかる振動発生器1への入力電流と振動加速度出力の関係を示す図である。
【図11】 他の振動発生器1への入力電流と振動加速度出力の関係を示す図である。
【図12】 他の振動発生器1への入力電流と振動加速度出力の関係を示す図である。
【図13】回転振動モータの代表的な電流間欠による振動モードを示す図である。
【符号の説明】
1 振動発生器
10 固定子
20 端子付き基台部
30 コア付きコイル
31 コイルコア
33 コイル
37 端面
40 弾性体
50 可動子
51 可動子ヨーク
53 端面
60 錘
70 永久磁石
75 センターヨーク(高透磁率部材)
80 弾性支持部材
Claims (2)
- 永久磁石を取り付けてなる可動子と、
可動子の端面に対して所定の隙間を介して対向する端面を有し、取り付けたコイルに電流を流して励磁することで前記可動子との間に磁路を形成する固定子と、
線材の一端を可動子側に他端を固定子側に取り付けることで可動子を略直線状に振動可能に支持する一対の弾性支持部材とを具備する振動発生器において、
前記コイルに周波数変調された電流を流すことにより、可動子の振動の振動加速度を変化させるとともに、
前記コイルに流す周波数変調された電流は、前記一対の弾性支持部材による弾発力と、前記可動子と固定子との間に働く磁気的吸引・反発力とで決まる可動子の共振周波数を中心周波数として所定の周波数振幅で周波数変調された電流であり、これによって変調周期の倍の振動加速度変化を発生させるとともに、振動加速度値の低下部を交互に異なる振動加速度値とすることを特徴とする振動発生器。 - 永久磁石を取り付けてなる可動子と、
可動子の端面に対して所定の隙間を介して対向する端面を有し、取り付けたコイルに電流を流して励磁することで前記可動子との間に磁路を形成する固定子と、
線材の一端を可動子側に他端を固定子側に取り付けることで可動子を略直線状に振動可能に支持する一対の弾性支持部材とを具備する振動発生器において、
前記コイルに周波数変調された電流を流すことにより、可動子の振動の振動加速度を変化させるとともに、
前記コイルに流す周波数変調された電流は、前記一対の弾性支持部材による弾発力と、前記可動子と固定子との間に働く磁気的吸引・反発力とで決まる可動子の共振周波数を中心周波数として周波数振幅を所定の初期値の振幅から徐々に狭めて前記共振周波数に収束せしめる変調周期で周波数変調された電流であり、これによって変調周期の倍の振動加速度変化を発生させるとともに、共振周波数に収束することによる最大振動加速度値を周波数変調周期の最後に与えることを特徴とする振動発生器。
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