JP3833159B2 - 誘導加熱装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミ鍋のような高導電率かつ低透磁率の被加熱物を効率良く誘導加熱できるようにした誘導加熱調理器や、誘導加熱式の湯沸かし器、加湿器あるいはアイロンなどの誘導加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の誘導加熱装置として、例えば誘導加熱調理器に関してアルミ鍋を加熱しているときの鍋鳴り音を抑制するとともに、力率低下を抑制する技術が開示されており(例えば、特許文献1参照。)、また、スイッチング損失を抑制するとともに、アルミ鍋を高周波で加熱するための技術が開示されている(例えば特許文献2参照。)。
【0003】
図9は特許文献1に開示されている内容を示す回路図である。図9において、サイリスタ3、サイリスタ4、ダイオード5及びダイオード6は100Vの交流電源1の電圧を入力して直流電圧に整流するブリッジ回路2を構成する。サイリスタ3,サイリスタ4は導通角を制御して、インバータの直流電源電圧をインバータ起動時約20Vに低下させ出力電力を低い値に設定して負荷検知手段24が適正な被加熱物が存在することを判断すると出力制御回路26が動作し、以降出力の変更は直流電圧を変えて行われる。
【0004】
また、入力波形整形手段23は入力設定手段25からの信号と、カレントトランス22からの信号に基づき、入力電流が決められた波形となるようにトランジスタ10を駆動することにより力率が改善される。これは、チョークコイル8はトランジスタ10が導通するとチョークコイル8にエネルギーを蓄積し、トランジスタ10がオフしたときにそのエネルギーをダイオード9を介してコンデンサ11に放出する作用により行われる。
【0005】
また、アルミニウム鍋を加熱するために、加熱コイル18の電流の周波数を20kHzから50kHzに切り替える。これは、加熱コイル18の巻き数と共振コンデンサ19の容量を変更して行われる。
【0006】
しかしながら、上記従来の技術は、アルミニウム鍋と鉄系の鍋を加熱するためには加熱コイルの巻き数を切り替える必要があり構成的に複雑でコスト的にも負担になる、また、共振周波数を50kHzにするためにスイッチング素子15、17の駆動周波数も同一周波数(50kHz)にする必要がありスイッチング損失が大きくなる、そして、スイッチング損失を低減するために共振点追尾方式を採用すると、そのための制御回路や出力変更のための電源電圧変更手段が必要となる、といった課題があった。
【0007】
上記の課題を解決するための方法として、特許文献2に開示されている技術がある。図10の回路図と、図11及び図12の波形はこの技術の内容を示すものである。
【0008】
この技術の特徴は、加熱コイル18へ流れる電流を検出するカレントトランス30により信号を受け、トランジスタ15とトランジスタ17の駆動信号に比べ、加熱コイル18と共振コンデンサ19で形成される共振電流の周波数を2倍以上に設定したことにより、トランジスタ15とトランジスタ17のスイッチング損失を抑制しながら、加熱コイルに供給する周波数を高くしてアルミニウムの鍋を加熱することができるようにしたものである。
【0009】
図11に波形にて示す出力制御方法は、電力が小の場合には、トランジスタ15はその電流が零点に1回目に達した時点でオフし、トランジスタ17はその電流が3回目に達した時点でオフするように制御する。また、電力が大の場合には、トランジスタ15はその電流が零点に2回目に達した時点でオフし、トランジスタ17はその電流が2回目に達した時点でオフするように制御する。
【0010】
図12に示す出力制御方法は、電力が小の場合には、トランジスタ15は導通後t1時間(共振電流の1/2周期より短い時間)経過後オフし、トランジスタ17はその電流が3回目に零点に下降して達した時点でオフするように制御する。また、電力が大の場合には、トランジスタ15はその電流が零点に1回目に下降して達した時点(共振電流の1/2周期目)でオフし、トランジスタ17はその電流が3回目に達した時点でオフするように制御するものである。
【0011】
【特許文献1】
特開平1−246783号公報
【特許文献2】
特開2001−160484号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献2に記載されたような従来の誘導加熱装置には、図11の制御方法では連続的に出力を調整することができないという課題があり、図12の制御方法は、導通時間の変化に対する出力の変化が大きくなりすぎて微妙な出力の制御ができないという課題があった。またいずれの制御方法でも、加熱コイル18の電流の包絡線が平滑化されていないので、商用周波数の2倍の周波数で生じるうなり音が鍋から生じることになる(以下、鍋鳴り音)という課題もあった。鍋鳴り音を防ぐ方式としては、上記の特許文献1に記載されたような技術が考えられるが、この技術は、インバータの入力電源をそれ以下に降下させ出力を調節する方法であり、この方法と上記の特記文献2に記載された方法と組み合わせても、共振電流が減衰して継続しないので十分な出力制御ができなかった。
【0013】
本発明は上記の課題を解決するもので、鍋鳴り音を発生させず、インバータのスイッチング素子のスイッチング損失を抑制するとともに、アルミ鍋を十分大きな出力で連続的にかつ制御性よく出力制御して加熱ができる誘導加熱装置を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の誘導加熱装置は、特に、加熱コイルの発生する磁界が、鉄系の負荷または非磁性ステンレスの負荷を加熱すると、共振電流は第1のスイッチング素子または第2のスイッチング素子の導通期間より長い周期で共振してなり、鉄系の負荷または非磁性ステンレス製の負荷を最大出力で加熱する場合に第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子に順方向に電流が流れているタイミングで前記スイッチング素子を遮断可能とするように共振コンデンサを、高導電率かつ低透磁率の負荷を加熱する場合よりも大きい容量に切り替えてなるので、共振コンデンサと補正用コンデンサは加熱コイルと直列に接続されると共に容量を切り替え可能とし、鉄系の負荷または非磁性ステンレス製の負荷を加熱する場合に前記直流電圧は前記昇圧平滑手段により昇圧されて前記インバータに供給され、かつ前記共振コンデンサを、高導電率、低透磁率の負荷を加熱する場合よりも大きい容量に切り替えてなることにより、共振周波数が長くなるとともに電流が増え、さらに昇圧平滑手段により直流電源電圧を昇圧しているので、共振電流値が増えることから、スイッチング素子に順方向に電流が流れているタイミングでスイッチング素子を遮断可能な範囲で最大出力を設定してスイッチング素子のターンオン時のスイッチング損失の増大を抑制しようとする場合に、最大出力を従来の構成のものより大きくすることができる。また、アルミニウムなどの高導電率かつ低透磁率製の被加熱物と鉄系の被加熱物を同一のインバータで加熱しようとするときに、従来は加熱コイルの巻き数を切り替えて被加熱物に放射する磁界の強さ(アンペアターン)を切り替えていたが、昇圧手段の昇圧によりその作用を置き換えることができるので、加熱コイルの切換をせずとも共振コンデンサの切り替えをすればアルミニウムなどの高導電率かつ低透磁率製の被加熱物と鉄系の被加熱物を加熱できるという作用がある。
【0015】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の直列接続体と、前記第1のスイッチング素子に並列に接続された第1の逆導通素子と、前記第2のスイッチング素子に並列に接続された第2の逆導通素子と、前記第1のスイッチング素子または前記第2のスイッチング素子に並列に接続された加熱コイルと共振コンデンサを含む共振回路とを有し直流電圧を入力して前記第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の導通により共振するインバータと、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子を排他的に導通制御する制御回路とを備え、前記第1のスイッチング素子または前記第1の逆導通素子に流れる共振電流は、前記加熱コイルの発生する磁界が高導電率かつ低透磁率の負荷を誘導加熱すると前記第1のスイッチング素子の駆動期間より短い周期で共振するとともに前記駆動期間において前記共振電流が所定以上の振幅で共振を維持すべく前記直流電圧は昇圧平滑手段により昇圧されかつ平滑されて前記インバータに供給されてなることにより、スイッチング素子が1石のものに比して、スイッチング素子が複数あるのでその責務が小さくなるとともに、駆動時間比を変えたり駆動周波数を変えることにより出力制御が負荷に応じてきめ細かく行える。
【0016】
また、高導電率かつ低透磁率の負荷を加熱する場合において、共振電流の尖頭値がスイッチング素子の駆動期間中に減衰して零とならないように、インバータが入力する直流電圧を脈流の入力直流電圧のピーク値よりも高くなるように昇圧しかつ平滑する昇圧平滑手段を設けているので、スイッチング素子の駆動期間中に共振電流を1サイクル以上発生させた状態でスイッチング素子の駆動期間を変更して出力を安定して制御する、あるいはスイッチング素子の責務(ターンオン損失の発生)を大きくしないように制御することができるようになる。
【0017】
また、特に、加熱コイルの発生する磁界が、鉄系の負荷または非磁性ステンレスの負荷を加熱すると、共振電流は第1のスイッチング素子または第2のスイッチング素子の導通期間より長い周期で共振してなり、鉄系の負荷または非磁性ステンレス製の負荷を最大出力で加熱する場合に第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子に順方向に電流が流れているタイミングで前記スイッチング素子を遮断可能とするように共振コンデンサを、高導電率かつ低透磁率の負荷を加熱する場合よりも大きい容量に切り替えてなるので、共振コンデンサと補正用コンデンサは加熱コイルと直列に接続されると共に容量を切り替え可能とし、鉄系の負荷または非磁性ステンレス製の負荷を加熱する場合に直流電圧は昇圧平滑手段により昇圧されかつ平滑されて前記インバータに供給され、かつ共振コンデンサを、高導電率、低透磁率の負荷を加熱する場合よりも大きい容量に切り替えてなることにより、共振周波数が長くなるとともに電流が増え、さらに昇圧手段により直流電源電圧を昇圧しているので、共振電流値が増えることから、スイッチング素子に順方向に電流が流れているタイミングでスイッチング素子を遮断可能な範囲で最大出力を設定してスイッチング素子のターンオン時のスイッチング損失の増大を抑制しようとする場合に、最大出力を従来の構成のものより大きくすることができる。また、アルミニウムなどの高導電率かつ低透磁率製の被加熱物と鉄系の被加熱物を同一のインバータで加熱しようとするときに、従来は加熱コイルの巻き数を切り替えて被加熱物に放射する磁界の強さ(アンペアターン)を切り替えていたが、昇圧手段の昇圧によりその作用を置き換えることができるので、加熱コイルの切換をせずとも共振コンデンサの切り替えをすればアルミニウムなどの高導電率かつ低透磁率製の被加熱物と鉄系の被加熱物を加熱できるという作用がある。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、特に、容量の小なる共振コンデンサで起動し、徐々に出力を増加させ、その途中で鉄系の負荷か高導電率かつ低透磁率の負荷かを判定し、鉄系の負荷であると判定した場合には駆動停止後、容量が大となるよう共振コンデンサを切り変え駆動周波数を低周波数で再駆動し、高導電率かつ低透磁率の負荷であると判定した場合には継続して所定の駆動時間比または所定の出力まで出力を増加した後駆動時間比を略固定して導通時間を変更して出力を所定の出力に到達させてなることにより、低出力で高導電率、低透磁率の負荷と鉄系の負荷の判別を行い、その検知結果に応じ適した共振コンデンサの選択と、駆動方法の選択をして所定の出力に到達させることができるものである。
【0019】
【実施例】
(実施例1)
本発明の第1の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は本実施例の誘導加熱装置の回路構成を示す図である。電源51は低周波交流電源である200V商用電源であり、ブリッジダイオードである整流回路52の入力端に接続される。整流回路52の出力端間に第1の平滑コンデンサ53が接続される。整流回路52の出力端間には、さらに、チョークコイル54と第2のスイッチング素子57の直列接続体が接続される。加熱コイル59は被加熱物であるアルミニウム製の鍋61と対向して配置されている。
【0021】
50はインバータであり、第2の平滑コンデンサ62の低電位側端子(エミッタ)は整流回路52の負極端子に接続され、第2の平滑コンデンサ62の高電位側端子は第1のスイッチング素子(IGBT)55の高電位側端子(コレクタ)に接続され、第1のスイッチング素子(IGBT)55の低電位側端子はチョークコイル54と第2のスイッチング素子(IGBT)57の高電位側端子(コレクタ)との接続点に接続される。加熱コイル59と共振コンデンサ60の直列接続体が第2のスイッチング素子57に並列に接続される。
【0022】
第1のダイオード56(第1の逆導通素子)は第1のスイッチング素子57に逆並列に接続(第1のダイオード56のカソードと第1のスイッチング素子57のコレクタとを接続)され、第2のダイオード58(第2の逆導通素子)は第2のスイッチング素子57に逆並列に接続される。スナバコンデンサ64は、第2のスイッチング素子57に並列に接続される。補正用共振コンデンサ65とリレー66の直列接続体は共振コンデンサ60に並列に接続されている。制御回路63は、電源51からの入力電流を検知するカレントトランス67と、加熱コイル59の電流を検知するカレントトランス68の検知信号を入力するとともに、第1のスイッチング素子55と第2のスイッチング素子57のゲートとリレー66の駆動コイル(図示せず)に信号を出力する。
【0023】
以上のように構成された誘導加熱装置において、以下動作を説明する。電源1は整流回路52により全波整流され、整流回路52の出力端に接続された第1の平滑コンデンサ53に供給される。この第1の平滑コンデンサ53はインバータに高周波電流を供給する供給源として働く。
【0024】
図2は上記回路における各部波形を示す図であり、図2(A)は出力が大出力である2kWの時のものである。同図(a)は第1のスイッチング素子55及び第1のダイオード56に流れる電流波形Ic1を、同図(b)は第2のスイッチング素子57及び第2のダイオード58に流れる電流波形Ic2を、同図(c)は第2のスイッチング素子57のコレクタ−エミッタ間に生じる電圧Vce2を、同図(d)は第1のスイッチング素子55のゲートに加わる駆動電圧Vg1を、同図(e)は第2のスイッチング素子57のゲートに加わる駆動電圧Vg2を、同図(f)は加熱コイル59に流れる電流ILをそれぞれ示している。
【0025】
出力が2kWのとき(図2(A))、制御回路63は時点t0から時点t1まで(e)に示すように第2のスイッチング素子57のゲートに駆動期間がT2(約24μ秒)であるオン信号を出力する。この駆動期間T2の間では第2のスイッチング素子57及び第2のダイオード58と、加熱コイル59と、共振コンデンサ60で形成される閉回路で共振し、鍋61がアルミニウム製の鍋であるときの共振周期(1/f)が駆動期間T2の約2/3倍(約16μ秒)となるように加熱コイル59の巻き数(40T)と共振コンデンサ60の容量(0.04μF)と、駆動期間T2が設定されている。チョークコイル54はこの第2のスイッチング素子57の駆動期間T2において、平滑コンデンサ53の静電エネルギーを磁気エネルギーとして蓄える。
【0026】
次に、第2のスイッチング素子57に流れる共振電流の第2番目のピークと共振電流が次に零となる間のタイミングである時点t1、すなわち第2のスイッチング素子57の順方向にコレクタ電流が流れている時点で第2のスイッチング素子57の駆動が停止される。
【0027】
すると、第2のスイッチング素子57がオフするので、第2のスイッチング素子57のコレクタと接続されたチョークコイル54の端子の電位が立ち上がり、この電位が第2の平滑コンデンサ62の電位を越えると、第1のダイオード56を通して第2の平滑コンデンサ62に充電して、チョークコイル54に蓄えた磁気エネルギーを放出する。第2の平滑コンデンサ62の電圧は整流器52の直流出力電圧Vdcのピーク値(283V)よりも高くなるように昇圧される(本実施例では500V)。昇圧されるレベルは第2のスイッチング素子58の導通時間に依存し、導通時間が長くなると第2の平滑コンデンサ62に発生する電圧が高くなる傾向にある。
【0028】
このように、第2の平滑コンデンサ62−第1のスイッチング素子55あるいは第1のダイオード56−加熱コイル59−共振コンデンサ60で形成される閉回路で共振する際に直流電源として働く第2の平滑コンデンサ62の電圧レベルが昇圧されることにより、図2(A)の(a)に示す第1のスイッチング素子55に流れる共振電流の尖頭値(ピーク値)、および共振経路を変えて、継続して共振する同図(b)の第2のスイッチング素子57に流れる共振電流の尖頭値が零とならないように、あるいは小さくならないようにして、アルミニウム製の鍋を高出力で誘導加熱し、かつ、出力を連続的に増減して制御するようにできる。
【0029】
そして、図2(A)の(d)及び(e)で示すように、制御回路63は、時点t1から両スイッチング素子が同時に導通するのを防止するために設けた休止期間後の時点t2において、第1のスイッチング素子55のゲートに駆動信号を出力する。この結果、同図(a)示すように加熱コイル59−共振コンデンサ60−第1のスイッチング素子55または第1のダイオード56−第2の平滑コンデンサ62とからなる閉回路に経路を変えて共振電流が流れることになる。この駆動信号の駆動期間T2は、この場合にはT1とほぼ同じ期間に設定されているので、第2のスイッチング素子58が導通していた場合と同様に、駆動期間T1の約2/3の周期の共振電流が流れる。
【0030】
従って、加熱コイル59に流れる電流ILは、図2(A)の(f)に示すような波形となり、第1及び第2のスイッチング素子の駆動周期(T1とT2と休止期間の和)は共振電流の周期の約3倍となり、第1及び第2の駆動周波数が約20kHzであれば、加熱コイル59に流れる共振電流の周波数は約60kHzとなる。
【0031】
図3は、商用電源51の電圧波形を(a)に、加熱コイル59と共振コンデンサ60の直列接続体に加わる電圧Vce2を(b)に、波形(c)は加熱コイル59に流れる電流ILを示している。このように第2の平滑コンデンサ62により、整流器52の出力電圧は、図3(a)に示す商用電源を全波整流した脈流波形であるのに対して、加熱コイル59に流れる電流の包絡線が図3(c)のように平滑化されるため、従来例の図13(c)で示す加熱コイル電流で生じるような商用電源周波数の2倍の周波数で生じる鍋鳴り音が抑えられることになる。
【0032】
図2(B)の波形は出力が低出力である450Wの時のものである。図2(B)の(a’)〜(e’)は図2(A)の(a)〜(e)に対応する波形である。出力電力の制御は、図2(B)に示すように、第1のスイッチング素子55の駆動時間(T1’)及び第2のスイッチング素子57の駆動時間(T2’)を2kW出力時の各々の駆動時間T1、T2より短くすることによりおこなう。
【0033】
図2(A)において、第1のダイオード56に流れる電流がピークになる時点(図2(A)の時点t5)で第2のスイッチング素子58をターンオンした場合には、出力電力は最小出力電力またはそれに近い値となる。これに対して、第1のスイッチング素子56に2回目に流れ始めて(同図t6で示す時点)から再度共振で零になる時点(図示していない)で第1のスイッチング素子56をオフするとともに第2のスイッチング素子58をオンするように制御すると最大出力電力を得ることができる(共振点電力制御)。
【0034】
出力設定が低出力である450Wのときには上記の原理により、図2(B)の(a’)に示すように、駆動時間(T1’)を出力設定が最大出力設定である2kWのときよりも短くするが、第1のスイッチング素子55に順方向電流が流れている時点(t3’)で第1のスイッチング素子55がオフするようになっている。 このようにすることで、最大出力設定の時でも、低出力設定の時でも、第1のスイッチング素子55のターンオフに伴ない、加熱コイル59に蓄積したエネルギーでスナバコンデンサ64と共振させて、第1のスイッチング素子55のコレクタ電位を立ち下げ、かつそのコレクタエミッタ間の電圧の立ち上がりを緩やかにしてスイッチング損失を低減することができる。
【0035】
その結果、引き続きターンオンすることになる第2のスイッチング素子57のターンオン時に順方向に電圧が印加しないようにまたは印加してもそのレベルを小さくして、ターンオン損失を抑制するあるいはターンオン時の雑音の発生を防止することができるととともに、第1のスイッチング素子55のターンオフ損失を低減することができるものである。
【0036】
次に起動時においては、制御回路63はリレー66はオフ状態にし、一定の周波数(約21kHz)で第1のスイッチング素子55と第2のスイッチング素子57を交互に駆動する。第1のスイッチング素子55の駆動期間は共振電流の共振周期よりも短いモードで駆動し、駆動時間比を最小にして、最小の出力にしてから徐々に駆動時間比を増加し、その間に制御回路63はカレントトランス67の検知出力とカレントトランス68の検知出力から、負荷鍋61の材料を検知する。制御回路63は負荷鍋61の材料が鉄系のものであると判断すると、加熱を停止してからリレー66を投入して、再度低出力で加熱を開始する。このとき、制御回路63は第1のスイッチング素子55と第2のスイッチング素子57を一定の周波数(約21kHz)で再度最小駆動時間比で最小出力からスタートして所定の出力まで徐々に増加させる。
【0037】
一方、鉄系の負荷であると検知しない場合には、所定の駆動時間比に到達すると、図2(B)に示すような、第1のスイッチング素子57の駆動期間より共振電流の周期の短いモードに移行する。このとき、出力は低出力状態になるように駆動期間が設定される。
【0038】
図4は第1のスイッチング素子55と第2のスイッチング素子57の駆動周波数を一定(20kHz)にしたときの第2のスイッチング素子57のオン時間と入力電力の関係を示す図である。この図が示すように、本実施例においては、周期の1/2付近で約2kWの加熱出力がえられ、その付近のピークから第2のスイッチング素子の駆動期間を短くしていけば出力を線形的に低下することができる。従って、図4に示すように駆動時間あるいは駆動時間比のリミッタの下限Tonminと上限Tonmaxを設定すれば、安定した制御を行うことができる。
【0039】
以上のように、本実施例によれば、加熱コイル59の発生する磁界によりアルミニウムや銅など高導電率、低透磁率の負荷を加熱すると、第1のスイッチング素子55、第1ダイオード56を流れる加熱コイル59と共振コンデンサ60による共振電流は、両スイッチング素子それぞれの駆動期間(T1)より短い周期で共振してなるので、第1のスイッチング素子55の駆動周波数より高い周波数(この実施例では1.5倍)の電流を加熱コイル59に供給して加熱することができ、さらに、昇圧手段であるチョークコイル54と平滑手段である第2の平滑コンデンサ62を設けて、高周波電源である平滑コンデンサ62の電圧を昇圧して平滑し、各駆動期間(T及びT’)において共振電流の振幅を大きくしているため、駆動開始後、共振電流が流れ始めてから1周期目が終了し、2周期目に到達して以降においても十分大きな振幅の共振電流を継続させ、2周期目以降において各スイッチング素子の駆動停止タイミングを変更することにより大きな出力の可変範囲を得ることができるものである。
【0040】
また、昇圧手段であるチョークコイル54は、第2のスイッチング素子58の駆動期間と関連性を持たせて昇圧の大きさを変更してなる、すなわち、第2のスイッチング素子57の導通時間が例えば長くなると、チョークコイル54の昇圧作用が大きくなり平滑手段である平滑コンデンサ62の電圧が高くなるので出力制御に利用することができる。
【0041】
また、昇圧手段54は、第2のスイッチング素子57の導通によりチョークコイル54に蓄積されたエネルギーを第1のダイオード56を経由して第2の平滑コンデンサ62に移動してなることにより、簡単な構成で脈流の入力直流電圧を平滑した高圧の電源とすることができ、この電源をもとに包絡線が平滑された高周波電流に変換して加熱コイル59に供給するので鍋鳴り音を抑制することができる。
【0042】
また、第2のスイッチング素子57または第2のダイオード58に流れる共振電流は、加熱コイル59の発生する磁界によりアルミニウムや銅等、高導電率かつ低透磁率の負荷を加熱すると第2のスイッチング素子57の駆動期間(T2)より短い周期で共振してなることにより、第1のスイッチング素子55または第1のダイオード56に流れる共振電流と合わせさらに第1及び第2のスイッチング素子の駆動周期内の共振周波数の波数を多くすることができる。
【0043】
また、第2のスイッチング素子57が導通した時、チョークコイル54にエネルギーを与える第1の平滑コンデンサ53を有することにより、チョークコイル54にエネルギーを蓄積する際の高周波成分が電源51に漏洩するのを抑制することができるものである。
【0044】
また、制御回路63は、最大出力設定時に、第1のスイッチング素子55の駆動開始後、共振電流が2周期目以降であって第1のスイッチング素子55に流れている期間内に第1のスイッチング素子55の導通を遮断する信号を出力してなる、または、第2のスイッチング素子57の駆動開始後共振電流が2周期目以降であって第2のスイッチング素子57に流れている期間内に第2のスイッチング素子の導通を遮断する信号を出力してなるので、最大出力時の第2のスイッチング素子57または第1のスイッチング素子55のターンオン損失の増大を抑制することができる。
【0045】
また、制御回路63は、最大出力設定時に、第1のスイッチング素子55の駆動開始後共振電流が2周期目以降のピーク位相を過ぎ零点に至るまでの間に前記第1のスイッチング素子55を遮断する信号を出力してなる、または、第2のスイッチング素子57の駆動開始後共振電流が2周期目以降のピーク位相を過ぎ零点に至るまでの間に前記第1のスイッチング素子55を遮断する信号を出力してなることにより、最大出力時の第2のスイッチング素子57または第1のスイッチング素子55のターンオン損失の発生を抑制するとともに、それらの駆動期間を短くすると出力を低下させることができかつ、低出力にしても各スイッチング素子のターンオンモードが起きにくくターンオン損失が発生しにくくなる。
【0046】
また、第1のスイッチング素子55と第2のスイッチング素子57の導通期間の比を略1すると共に、加熱コイル59の発生する磁界により高導電率かつ低透磁率の負荷を加熱すると、第1のスイッチング素子55及び第1のダイオード56に流れる共振電流は、第1のスイッチング素子55の駆動期間の略2/3倍の周期で共振してなることにより、第1のスイッチング素子55と第2のスイッチング素子の駆動期間中に3個の共振電流の波数を発生させることができ、駆動周波数の約3倍の高周波電流を加熱コイル59に供給することができるとともに、第1のスイッチング素子55の駆動を第1のダイオード56に電流が流れているタイミングで開始し、駆動の停止を第1のスイッチング素子55に順方向に電流が流れているタイミングで行うことができ、第2のスイッチング素子57及び第2のダイオード58についても同様とすることができ制御が安定する。
【0047】
また、起動時、第1のスイッチング素子55と第2のスイッチング素子57の駆動時間比を変え加熱出力を増加させ、途中から駆動周波数を変え加熱出力を増加させてなることにより、負荷の検知を行いやすくすることができる。すなわち、駆動時間比を変えることにより高導電率かつ低透磁率のアルミニウム等の材質の負荷でも鉄系の負荷でも低出力状態で、図4に示すように駆動時間あるいは駆動時間比のリミッタの下限Tonminと上限Tonmaxを設定すれば、出力を単調に変化させることができ、制御回路63は負荷検知が正確にかつ低出力状態でできる。また、所定の駆動時間比、駆動時間あるいは加熱出力に到達後は、高導電率かつ低透磁率の負荷の場合には特定の位相範囲でスイッチング素子を駆動及び遮断できるように駆動時間比を一定にして遮断位相を変え、駆動周波数を変えることによりスイッチング素子の損失の急激な増加を抑制して出力を可変することができるものである。
【0048】
また、起動時、第1のスイッチング素子55の駆動期間が共振電流の共振周期より短くなるようにして第1のスイッチング素子55と第2のスイッチング素子57の駆動時間比を変え加熱出力を増加させ、所定の駆動時間あるいは所定の駆動時間比に到達すると、第1のスイッチング素子55の駆動期間を共振電流の周期より長くかつ低出力になるように離散的に長く変更してから駆動期間を徐々に短くして加熱出力を低出力値から所定出力値まで増加させてなることにより、所定の駆動時間あるいは所定の駆動時間比に到達までに負荷61が高導電率かつ低透磁率の負荷かどうかを精度良くかつ安定的に行い、負荷61が高導電率かつ低透磁率の負荷である場合には離散的に駆動期間を長くして、低出力状態に移行しそこから所定の値まで安定に増加させ到達させることができるものである。
【0049】
また、加熱コイル59の発生する磁界により、鉄系の負荷または非磁性ステンレスの負荷61を加熱すると共振電流は第1のスイッチング素子55及び第2のスイッチング素子57の導通期間より長い周期で共振してなり、鉄系の負荷または非磁性ステンレス製の負荷61を最大出力で加熱する場合に第1のスイッチング素子55及び第2のスイッチング素子57に順方向に電流が流れているタイミングで前記スイッチング素子を遮断可能とするように補正用共振コンデンサ65を共振コンデンサ60に並列に接続して、高導電率かつ低透磁率の負荷を加熱する場合よりも大きい容量に切り替えてなるので、共振コンデンサ60と補正用コンデンサ64は加熱コイル59と直列に接続されると共に容量を切り替え可能とし、鉄系の負荷または非磁性ステンレス製の負荷を加熱する場合に共振コンデンサ60を、高導電率かつ低透磁率の負荷を加熱する場合よりも大きい容量に切り替えてなることにより、共振周波数が長くなるとともに電流が増え、さらにチョークコイル54により直流電圧Vdcを昇圧しているので、共振電流の振幅が大きくなることから、スイッチング素子に順方向に電流が流れているタイミングでスイッチング素子を遮断可能な範囲で最大出力を設定してスイッチング素子のターンオン時のスイッチング損失の増大を抑制しようとする場合に、最大出力を従来の構成のものより大きくすることができる。また、アルミニウム系の鍋と、鉄系の鍋を同一のインバータで加熱しようとするときに、従来は加熱コイル59の巻き数と共振コンデンサを同時に切り替えて共振周波数と被加熱物61に放射する磁界の強さ(アンペアターン)を切り替えていたが、チョークコイル54と第1のスイッチング手段57の昇圧作用により前記のコイル巻き数切り替えの作用を置き換えることができ、同一の加熱コイル59で共振コンデンサ60の切り替えをすることで、広い範囲の材質の被加熱物を加熱できるという効果がある。
【0050】
また、補正用共振コンデンサ65を共振コンデンサ60に接続せずに起動し、すなわち、容量の小なる共振コンデンサ60ので起動し、徐々に出力を増加させ、その途中で負荷61が鉄系か、高導電率かつ低透磁率のものかを判定し、鉄系の負荷であると判定した場合には駆動停止後、リレー60をオンして補正用共振コンデンサ65を並列に接続して、すなわち、共振コンデンサ60を容量が大となるよう切り変え、駆動周波数を低周波数で再駆動するので、共振周波数が長くなるとともに電流が増え、さらに昇圧手段であるチョークコイル54と第2の平滑コンデンサ62により直流電源電圧を昇圧しているので、共振電流値が増えることから、第1のスイッチング素子55及びに順方向に電流が流れているタイミングでスイッチング素子を遮断可能な範囲で最大出力を設定してスイッチング素子57のターンオン時のスイッチング損失の増大を抑制しようとする場合に、最大出力を従来の構成のものより大きくすることができる。また、高導電率、低透磁率の負荷であると判定した場合には継続して所定の駆動時間比または所定の出力まで出力を増加した後駆動時間比を固定して導通時間を変更して出力を所定の出力に到達させてなるので、いずれの負荷においても低出力で起動して負荷の判定をして、安定的に所定の出力値あるいはリミット値へと到達させるいわゆるソフトスタート動作が可能となる。
【0051】
なお、図1において、第1の平滑コンデンサと第2の平滑コンデンサの容量の比率は場合に応じて適宜決定すればよい。例えば前者を1000マイクロファラッド、後者を15マイクロファラッドとすると加熱コイル電流の包絡線の平滑度が高くなる。この場合には第1の平滑コンデンサ53の入力側の電源線にチョークコイルを挿入すればよい。逆に前者を10マイクロファラッド、後者を100マイクロファラッド程度にすれば、力率の低下を抑制できるが、後者は耐圧の大きなものを必要とするので高価となる場合がある。
【0052】
また、図1において、第2の平滑コンデンサ62は、低電位側を整流回路52の正極に接続しても良く、また、スナバコンデンサ64は第1のスイッチング素子55に並列に接続しても同様の効果が得られる。
【0053】
また、共振コンデンサ60の低電位側端子は第1のスイッチング素子55の高電位側端子(コレクタ)に接続してもよく、容量を分割して第1のスイッチング素子55の高電位側と、第2のスイッチング素子57の低電位側端子(エミッタ)に同時に接続しても同様の動作を行う。そして、第1のスイッチング素子55または第2のスイッチング素子57に並列に接続する共振回路は本実施例のものには限らず適宜本実施例の技術を応用できるものである。
【0054】
また、上記実施例では誘導加熱調理器について説明したがアルミニウムなどの高導電率かつ低透磁率材料を加熱するアイロンや湯沸かし器など他の種の誘導加熱装置にも応用できるものである。
【0055】
(実施例2)
本発明の誘導加熱装置の第2の実施例について図面を参照しながら説明する。図5は本実施例の回路構成を示す図である。本実施例が実施例1の構成と異なるのは第1の平滑コンデンサ71及びチョークコイル72が電源51と整流回路52の間に配置されている点である。
【0056】
本実施例における動作を説明する。50はインバータであり、制御回路63の動作は実施例1と同様に第1のスイッチング素子55と第2のスイッチング素子57を必要な入力電力を確保するため交互にオン・オフ動作を行う。この際、第1のスイッチング素子55のオン時には、実施例1では加熱コイル59に電流が流れるとともに、チョークコイル72から第1の平滑コンデンサ71に電流に電流の一部が回生することになる。そこで、本実施例の構成を取ることにより、整流回路52が回生電流を阻止する様に働くため、第1の平滑コンデンサ71に電流が回生することがなく、入力電力を加熱コイル59及び鍋61に伝達することが可能になる。なお、整流回路52に使用されるダイオードは高周波電流が通過するため、高速のダイオードが望ましいことになる。
【0057】
以上のように本実施例によれば、第1の平滑コンデンサ71に電流が回生しないために、入力電力が無駄なく回路に供給されるため、効率の良いアルミ鍋の加熱が可能な誘導加熱装置を実現できるものである。
【0058】
(本発明に関連する例)
本発明の誘導加熱装置に関連する例について図面を参照しながら説明する。図6は本例の回路構成を示す。電源51は商用電源であり整流回路52により整流され、チョークコイル80とトランジスタ87の直列回路に印加される。トランジスタ87のコレクタはダイオード82のアノードに接続されダイオード82のカソードは平滑コンデンサ81の高電位側に接続される。平滑コンデンサ81の低電位側は整流器52の負極側に接続される。
【0059】
79はインバータであり、チョークコイル83とトランジスタ88の直列接続体は平滑コンデンサ81の両端に接続される。加熱コイル89と共振コンデンサ91の直列接続体はトランジスタ88の両端に接続され、共振コンデンサ92とリレー93の直列接続体は共振コンデンサ91に並列に接続される。制御回路85はトランジスタ88を駆動するとともに、電源51からの入力電流を検知するカレントトランス67と加熱コイル89の電流を検知するカレントトランス94からの検知信号を入力して負荷鍋90の材質を判断する負荷検知機能を有する。そして制御回路85はその負荷検知機能の検知結果に応じて、昇圧制御回路86、リレー93、及びトランジスタ88に制御信号または駆動信号を出力する。昇圧制御回路86は、制御回路85の制御信号に基づきトランジスタ87の駆動信号を出力する。
【0060】
上記の構成について動作を説明する。制御回路85はチョークコイル80が昇圧チョッパとして働くようにトランジスタ87をオンオフ制御する。この結果、ダイオード82を介して平滑コンデンサ81の両端に整流器52の出力Vdcが昇圧されかつ平滑された電圧が印加される。この平滑された電圧はインバータの高周波電流を供給する供給源として働く。チョークコイル83は整流器52の正極に接続され、トランジスタ88がターンオフ時に零電流スイッチングを行うことに使用されている。
【0061】
また、トランジスタ88にはダイオード84が逆並列に接続されており、共振電流がトランジスタ88と逆方向に流れる場合に電流を環流するために用いられる。トランジスタ88はオン状態の時に加熱コイル89と共振コンデンサ91で決まる共振周波数で共振する共振電流を発生させ、鍋90に高周波磁界を供給する。
【0062】
制御回路85は、マイクロコンピュータなどを用いて入力電力に応じた制御をトランジスタ88に行わせている。制御回路85は負荷検知機能により加熱コイル89で加熱する鍋90がアルミニウムなどの高導電率かつ低透時率の材質であると判断するとリレー93をオフした状態で図7に示すような駆動制御をおこない、鍋90が鉄系の鍋であると判断するとリレー93をオンし、共振コンデンサ91の容量を増加させた状態で、図8に示すような駆動制御をおこない最大出力を得る。
【0063】
図7は本例における各部波形を示す図である。波形(a)はトランジスタ88及びダイオード84に流れる電流波形Icを示し、波形(b)はトランジスタ88のコレクタ−エミッタ間に生じる電圧Vceを示し、波形(c)は加熱コイル89に流れる電流ILを示し、波形(d)は制御回路85によりトランジスタ88に与えられる駆動波形VGEを示している。
【0064】
制御回路85はトランジスタ88にゲート信号を与え、トランジスタ88を導通状態にする。この時、トランジスタ88には加熱コイル89と共振コンデンサ91で生じた共振電流が流れることになる。ここで、共振電流の周波数は駆動周波数より2倍以上高いため、共振電流はやがて零になり、今度はダイオード84を通して電流は先ほどと逆方向に流れることになる。この間加熱コイル89には共振電流が流れ続けるため、鍋90には共振周波数決で決まる高周波磁界が供給されることになる。つまり、通常の2倍以上の周波数で駆動している状態と同様な効果が得られることになる。
【0065】
この後、必要なパワーを供給した後、制御回路85はダイオード84に電流が流れているタイミングでトランジスタ88をオフし、一定周期後再びオン状態に移り、これを繰り返すことになる。
【0066】
図8に示すように材質が鉄系の鍋の場合に、トランジスタ88の駆動周期(T’)は、すなわち、加熱コイル89のインダクタンスと共振コンデンサ91の容量に共振コンデンサ92の容量を付加した容量で決まる共振周期(T1’)と休止期間(T2’)の和は、スイッチング損失などを考慮して、周波数(1/T’)が通常20〜30kHzとなるように設定されている。
【0067】
これに対して、制御回路85が鍋90がアルミニウムなどの材質であると判断した場合には、共振コンデンサ92を付加せず、共振周波数を高くするとともに、トランジスタ86とチョークコイル80による昇圧レベルを上げる。
【0068】
これは、図7の(a)のIcの振動が減衰により低下しないようにして、最大出力設定時において、トランジスタ88の駆動周期(T)の間、図7に示すように共振電流を必要とする波数分所定以上の振幅で継続させ、休止期間をT2を短くして最大出力を得る。
【0069】
このとき、鍋90と結合した加熱コイル89のインダクタンスと共振コンデンサ91の容量で決まる共振周波数を、トランジスタ88の動作周波数(1/T’)の2倍以上、すなわち2波形以上の共振電流が一回のスイッチング動作で流れるような定数としている。これは、アルミ鍋などを加熱を行う場合に鍋の表皮抵抗が周波数の平方根に比例する特徴を用いて発熱を起こすことを目的としているものであり、表皮抵抗を上昇させかつスイッチング損失を増加させないものであり、このようにしてアルミ鍋や多層鍋などの加熱を可能にしている。
【0070】
以上のように、本例によれば、加熱コイル89の発生する磁界により高導電率かつ低透磁率の負荷90を加熱すると、スイッチング素子88とダイオード84を流れる共振電流は、スイッチング素子88の駆動期間より短い周期で共振してなり、かつ前記共振電流が前記駆動期間継続すべく前記直流電圧Vdcを昇圧する昇圧手段であるチョークコイル80、スイッチング素子87,及びダイオード82、そして昇圧手段で昇圧された電圧を平滑する平滑手段である平滑コンデンサ81を設けてなることにより、共振電流が零電流スイッチングすることを可能にして、スイッチング素子88の駆動周波数を共振周波数より低くし、かつ、零電流スイッチングをできるようにしてスイッチング損失を低下するとともに、鍋音を防止してアルミ鍋を加熱することができるものである。
【0071】
なお、本願には、次のような誘導加熱調理器が含まれる。すなわち、電源に並列に接続された整流回路と、前記整流回路の直流出力端に並列接続された第一の平滑コンデンサと、前記整流回路の直流出力端の正極側にその一端が接続がされたチョークコイルと、前記チョークコイルの他端にそのエミッタが接続された第一の半導体スイッチング素子と、前記チョークコイルの他端にそのコレクタが接続され、前記直流端の負極側にそのエミッタが接続された第二の半導体スイッチング素子と、前記第一の半導体スイッチング素子に並列に接続された第一のダイオードと、前記第二の半導体スイッチング素子に並列に接続された第二のダイオードと、前記第二の半導体スイッチング素子と並列に接続されて、互いには直列接続された加熱コイルおよび共振コンデンサ直列回路と、ならびに前記第一の半導体スイッチング素子のコレクタおよび前記第二の半導体スイッチング素子のエミッタに接続された第二の平滑コンデンサと、所定の出力が得られる様に前記第一及び第二の半導体スイッチング素子を制御する制御手段と、を備える誘導加熱調理器、が含まれる。
【0072】
また、電源に並列に接続されたフィルタコンデンサと、前記電源に直列に接続されたチョークコイルと、前記チョークコイルに接続された整流回路と、
前記整流回路の直流出力端の正極側にそのエミッタが接続された第一の半導体スイッチング素子と、前記整流回路の直流出力端の正極側にそのコレクタが接続され、前記直流端の負極側にそのエミッタが接続された第二の半導体スイッチング素子と、前記第一の半導体スイッチング素子に並列接続された第一のダイオードと、前記第二の半導体スイッチング素子に並列接続された第二のダイオードと、前記第二の半導体スイッチング素子と並列に接続されて、互いには直列接続された加熱コイルと共振コンデンサ直列回路と、ならびに前記第一の半導体スイッチング素子のコレクタおよび前記第二の半導体スイッチング素子のエミッタに接続された第二の平滑コンデンサと、所定の出力が得られる様に前記第一及び第二の半導体スイッチング素子を制御する制御手段と、を備える誘導加熱調理器、が含まれる。
【0073】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、加熱コイルに振幅の変化の少ない電流を供給して鍋鳴り音が生じず騒音の少ない、またスイッチング素子の損失の少なく加熱効率の高いアルミ鍋を加熱可能な誘導加熱装置であって、加熱コイルの巻き数を切り替えせずとも鉄系の材質の鍋を加熱可能な誘導加熱装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における誘導加熱装置の回路構成を示す図
【図2】本発明の実施例1における誘導加熱装置の各部の動作を示す波形図
【図3】本発明の実施例1における誘導加熱装置の各部の動作を示す別の波形図
【図4】本発明の実施例1における誘導加熱装置の入力電力制御特性を示す図
【図5】本発明の第2の実施例における誘導加熱装置の回路構成を示す図
【図6】本発明に関連する例における誘導加熱装置の各部の動作を示す波形図
【図7】本発明に関連する例における誘導加熱装置の回路構成を示す図
【図8】本発明に関連する例における誘導加熱装置の各部の波形を示す図
【図9】従来の誘導加熱装置の回路構成の例を示す図
【図10】従来の誘導加熱装置の回路構成の例を示す図
【図11】従来の誘導加熱装置の各部波形を示す図
【図12】従来の誘導加熱装置の各部波形を示す図
【図13】従来の誘導加熱装置の各部波形を示す図
【符号の説明】
50 インバータ
51 交流電源
52 整流回路
53 第1の平滑コンデンサ
54 チョークコイル(昇圧手段)
55 第1のスイッチング素子
56 第1のダイオード(第1の逆導通素子)
57 第2のスイッチング素子
58 第2のダイオード(第2の逆導通素子)
59 加熱コイル
60 共振コンデンサ
61 鍋(負荷)
62 第2の平滑コンデンサ(平滑手段)
63 制御回路
71 第1の平滑コンデンサ
72 チョークコイル
80 チョークコイル
81 平滑コンデンサ
83 チョークコイル
84 ダイオード(整流素子)
85 制御回路
88 スイッチング素子
89 加熱コイル
90 鍋(負荷)
91 共振コンデンサ

Claims (2)

  1. 第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の直列接続体と、前記第1のスイッチング素子に並列に接続された第1の逆導通素子と、前記第2のスイッチング素子に並列に接続された第2の逆導通素子と、前記第1のスイッチング素子または前記第2のスイッチング素子に並列に接続された加熱コイルと共振コンデンサを含む共振回路とを有し直流電圧を入力して前記第1のスイッチング素子と第2のスイッチング素子の導通により共振するインバータと、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子を排他的に導通制御する制御回路とを備え、前記第1のスイッチング素子または前記第1の逆導通素子に流れる共振電流は、前記加熱コイルの発生する磁界が高導電率かつ低透磁率の負荷を誘導加熱すると前記第1のスイッチング素子の駆動期間より短い周期で共振するとともに前記駆動期間において前記共振電流が所定以上の振幅で共振を維持すべく前記直流電圧は昇圧平滑手段により脈流の入力直流電圧のピーク値よりも高くなるように昇圧されかつ平滑されて前記インバータに供給され、かつ前記加熱コイルの発生する磁界が、鉄系の負荷または非磁性ステンレスの負荷を加熱すると、共振電流は前記第1のスイッチング素子または前記第2のスイッチング素子の導通期間より長い周期で共振してなり、鉄系の負荷または非磁性ステンレス製の負荷を最大出力で加熱する場合に前記直流電圧は前記昇圧平滑手段により昇圧されて前記インバータに供給され、かつ前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子に順方向に電流が流れているタイミングで前記スイッチング素子を遮断可能とするように共振コンデンサを、前記高導電率かつ低透磁率の負荷を加熱する場合よりも大きい容量に切り替えてなる誘導加熱装置。
  2. 容量の小なる共振コンデンサで起動し、徐々に出力を増加させ、その途中で鉄系の負荷か高導電率かつ低透磁率の負荷かを判定し、鉄系の負荷であると判定した場合には駆動停止後、容量が大となるよう共振コンデンサを切り変え駆動周波数を低周波数で再駆動し、高導電率かつ低透磁率の負荷であると判定した場合には継続して所定の駆動時間比または所定の出力まで出力を増加した後駆動時間比を略固定して導通時間を変更して出力を所定の出力に到達させてなる請求項1に記載の誘導加熱装置。
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