JP3832288B2 - 排ガス浄化装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼室内に直接燃料を噴射する筒内噴射型内燃機関において排ガス浄化を行なう排ガス浄化装置に関し、特に、超リーン燃焼時における排ガス浄化に用いて好適の、排ガス浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、燃焼室内に燃料を直接噴射する火花点火式筒内噴射型内燃機関が開発されている。この筒内噴射型内燃機関は、従来の希薄燃焼内燃機関(リーンバーンエンジン)に比べ空燃比の極めて大きい超希薄領域での運転(超リーン燃焼運転時)が可能であるため、運転領域の多くを希薄領域として設定することができ、より一層の燃費向上を図ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような筒内噴射型内燃機関では、圧縮行程に燃料を噴射し、層状燃焼を成立させることで超希薄な混合気(酸素過剰雰囲気)下での燃焼(空燃比30以上での燃焼)を行なうため、この燃焼下では、同一燃料量で比較した場合、従来の希薄燃焼内燃機関(空燃比22程度での希薄領域で燃焼)よりも筒内での空気量が多く発熱量が少ないため、運転状態によっては排気温度が低くなる場合があり(約150度程度)、排気通路内に設けられた触媒の温度が低下してしまい、排ガス浄化効率が悪化するという課題がある。
【0004】
ところで、触媒を昇温する技術としては、触媒の温度を検出し、この検出温度が触媒活性温度よりも低い場合には、空燃比を強制的に理論空燃比に設定することで、触媒温度を迅速に活性温度まで上昇させる技術が提案されている(特開平3−948号公報)。
しかし、この従来技術は、従来型の希薄燃焼内燃機関を対象としており、冷態始動時における早期触媒活性化を図ることを目的としたものであるため、筒内噴射型内燃機関における通常運転中における排気温度の低下という特有の課題を何ら解決しうるものではない。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、超希薄燃焼を行なう筒内噴射型内燃機関において、排ガスを浄化する触媒の温度低下を抑制し、排ガス浄化効率の悪化を防止することができるようにした、排ガス浄化装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の排ガス浄化装置は、燃焼室内に直接燃料を噴射し、理論空燃比よりも空燃比の大きい層状超リーン燃焼を運転状態に応じて行なう筒内噴射型内燃機関に設けられ、上記機関の排気通路内に配設され排ガスを浄化する触媒と、上記触媒の温度を検出して上記触媒の温度低下を検出もしくは予測することにより、または温度低下を生じる特定運転状態を検出して上記触媒の温度低下を推定することにより、上記触媒の温度が触媒活性温度に達して活性化した後の上記触媒の温度低下を検出する温度低下検出手段と、上記温度低下検出手段により上記触媒の温度低下が検出された場合に上記触媒の温度低下を抑制するように作動する温度低下抑制手段とを備え、上記筒内噴射型内燃機関は、上記層状超リーン燃焼と、該層状超リーン燃焼よりも燃焼空燃比の小さい予混合燃焼とを運転状態に応じて切り換えて行なうものであり、上記予混合燃焼を行なうために理論空燃比近傍で運転するストイキオ運転モード又は理論空燃比よりも大きな空燃比で運転するリーン運転モードを有し、上記温度低下抑制手段は、上記温度低下検出手段からの出力に応じて上記触媒の温度が第1設定値よりも低くなるか又は低くなることが予測される場合に上記機関の運転を上記予混合燃焼のリーン運転モードに切り換え、さらに上記温度低下検出手段からの出力に応じて上記触媒の温度が上記第1設定値よりも低い温度として設定された第2設定値よりも低くなるか又は低くなることが予測される場合に上記機関の運転を上記予混合燃焼のストイキオ運転モードに切り換えることを特徴としている。
【0007】
この温度低下抑制手段は、機関の燃焼状態(層状超リーン燃焼と予混合燃焼)を切り換える切換手段(運転モードを切り換える温度低下抑制用モード切換手段)又は機関の排気行程中に追加燃料を噴射する追加燃料噴射制御手段であることが好ましい。
この温度低下検出手段が触媒の温度を直接的に検出する手段である場合には、温度低下検出手段により触媒温度が予め設定された設定温度よりも低くなったことが検出されたときに、温度低下抑制手段により燃焼状態を所定時間、予混合燃焼とすることが好ましい。この場合、排ガス浄化効率の悪化を未然に防ぐことが可能となる。
【0008】
また、温度低下検出手段により触媒の温度低下及び温度低下度合を検出して、この温度低下度合に応じて温度低下抑制手段により予混合燃焼とする時間を可変としてもよい。温度低下度合が小さい場合、排ガス浄化効率の悪化を防止しながら、しかも予混合燃焼となる時間を短縮でき、燃料消費の悪化を最小限に抑えることができる。
【0009】
また、運転モードの切換後(温度低下抑制手段による制御後)には、触媒温度の実際の検出により通常の運転モードに戻すことが考えられる。この場合、触媒の昇温勾配が急なときには通常モードに戻すための設定温度を下げ、触媒が過昇温となることを未燃に防止するようにするのが好ましい。
さらに、温度低下検出手段が触媒の温度を推定する手段である場合には、例えば、排ガス温度の低下が生じる層状超リーン燃焼の継続時間により触媒の温度又は温度低下を推定し、温度低下抑制手段は層状超リーン燃焼にセットされてから所定時間経過後、一定時間、予混合燃焼としてもよい。この場合、非常に簡素な制御仕様とすることができる。
【0010】
この機関がストイキオ運転モードを有する場合はストイキオ運転モードに、リーン運転モードを有する場合はリーン運転モードにそれぞれ切り換えることが好ましい。
請求項2記載の本発明の排ガス浄化装置は、燃焼室内に直接燃料を噴射し、理論空燃比よりも空燃比の大きい層状超リーン燃焼を運転状態に応じて行なう筒内噴射型内燃機関に設けられ、上記機関の排気通路内に配設され排ガスを浄化する触媒と、上記触媒の温度を検出して上記触媒の温度低下を検出もしくは予測することにより、または温度低下を生じる特定運転状態を検出して上記触媒の温度低下を推定することにより、上記触媒の温度が触媒活性温度に達して活性化した後の上記触媒の温度低下を検出する温度低下検出手段と、上記温度低下検出手段により上記触媒の温度低下が検出された場合に上記触媒の温度低下を抑制するように作動する温度低下抑制手段とを備え、上記筒内噴射型内燃機関は、上記層状超リーン燃焼と、該層状超リーン燃焼よりも燃焼空燃比の小さい予混合燃焼とを運転状態に応じて切り換えて行なうものであり、上記予混合燃焼が、理論空燃比で運転するストイキオ運転モードと上記理論空燃比よりも大きな空燃比で運転するリーン運転モードとの2つの運転モードを有し、上記温度低下検出手段は、上記触媒の温度を検出して上記触媒の温度低下を検出又は予測するように構成され、上記温度低下抑制手段は、該温度低下検出手段により上記触媒の温度が予め設定された第1設定値よりも低くなる場合又は低くなることが予測された場合には上記運転モードを上記リーン運転モードとし、さらに上記温度低下検出手段により上記触媒の温度が上記第1設定値よりも低い温度に設定された第2設定値よりも低くなる場合又は低くなることが予測された場合には上記運転モードを上記ストイキオ運転モードとすることを特徴としている。
【0011】
好ましくは、これらの第1設定値及び第2設定値は、温度低下検出手段による出力に応じて可変とする。例えば、温度低下勾配が急な場合には第2設定値を上げ、温度低下抑制手段を早めに作動させて、触媒浄化効率が悪化してしまうのを未然に防止するようにするのが好ましい。
請求項3記載の本発明の排ガス浄化装置は、燃焼室内に直接燃料を噴射し、理論空燃比よりも空燃比の大きい層状超リーン燃焼を運転状態に応じて行なう筒内噴射型内燃機関に設けられ、上記機関の排気通路内に配設され排ガスを浄化する触媒と、上記触媒の温度を検出して上記触媒の温度低下を検出もしくは予測することにより、または温度低下を生じる特定運転状態を検出して上記触媒の温度低下を推定することにより、上記触媒の温度が触媒活性温度に達して活性化した後の上記触媒の温度低下を検出する温度低下検出手段と、上記温度低下検出手段により上記触媒の温度低下が検出された場合に上記触媒の温度低下を抑制するように作動する温度低下抑制手段とを備え、上記筒内噴射型内燃機関は、上記層状超リーン燃焼と該層状超リーン燃焼よりも燃焼空燃比の小さい予混合燃焼とを運転状態に応じて切り換えて行なうものであり、上記温度低下抑制手段は、上記層状超リーン燃焼と上記予混合燃焼とを切り換える第1手段と、上記機関の少なくとも排気行程中に追加燃料を噴射する第2手段とを有し、上記温度低下抑制手段が、上記機関の定常運転状態のときに上記第1手段を選択して上記層状超リーン燃焼から上記予混合燃焼へ切り換える一方、上記機関の低負荷運転状態のときに上記第2手段を選択することを特徴としている。
【0012】
この温度低下抑制手段は、定常走行運転状態の場合には、機関の燃焼状態を予混合燃焼に切り換え(第1手段実行)、減速燃料カットを含む低負荷運転状態(アイドル運転状態を含むことが好ましい)の場合には機関の排気行程中に追加燃料を噴射する(第2手段実行)ことが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施形態について説明する。
まず、図1〜図5を参照して本発明の第1実施形態としての排ガス浄化装置について説明する。
本排ガス浄化装置を備える筒内噴射型内燃機関の構成は、図3に示すようになっており、吸気,圧縮,膨張,排気の各行程を一作動サイクル中にそなえる内燃機関、即ち4サイクルエンジンであって、火花点火式で、且つ、燃焼室内に燃料を直接噴射する筒内噴射エンジン(筒内噴射型内燃機関)として構成されている。
【0014】
燃焼室1には、吸気通路2および排気通路3が連通しうるように接続されており、吸気通路2と燃焼室1とは吸気弁4によって連通制御されるとともに、排気通路3と燃焼室1とは排気弁5によって連通制御されるようになっている。
また、吸気通路2には、上流側から順にエアクリーナ6およびスロットル弁7が設けられており、排気通路3には、その上流側から順に排出ガス浄化用触媒としての排出ガス浄化用触媒コンバータ9および図示しないマフラ (消音器)が設けられている。なお、吸気通路2には、サージタンク2aが設けられている。
【0015】
また、排出ガス再循環装置(以下、EGR装置という)10が配設されている。つまり、吸気通路2のサージタンク2a部分と排気通路3の上流側とを接続するように排気還流通路10bが設けられており、この排気還流通路10bにはEGRバルブ10aが取り付けられている。
そして、このEGRバルブ10aによって、排気通路3から吸気通路2への排出ガス(排気又は排気ガス又は排ガスともいう)の流量を制御できるようになっている。なお、EGRバルブ10aの制御はエンジンの運転状態に応じて行なわれるようになっている。
【0016】
また、スロットル弁7は図示しないアクセルペダルの踏込み量に応じて開度が変わり、これにより燃焼室1内に導入される空気量が調整されるようになっている。更に、16は、アイドルスピードコントロールバルブ(ISCバルブ)であり、吸気通路2のスロットル弁設置部分をバイパスするバイパス路16Aに設けられ、図示しないステッパモータによって開閉駆動され、主にスロットル弁7全閉又は略全閉時におけるアイドル回転数を微調整している。
【0017】
50はエアバイパスバルブ(ABV)であり、吸気通路2のスロットル弁7設置部分をバイパスするようにスロットル弁7の上流側の吸気通路2とサージタンク2aとを連通するバイパス路50Aに設けられ、スロットル弁7とは別個に吸気量を調整して空燃比を調整しうるものである。
インジェクタ(燃料噴射弁)8は気筒内の燃焼室1へ向けて燃料を直接噴射すべく、その開口を燃焼室1に臨ませるように、配置されている。また、当然ながら、このインジェクタ8は各気筒毎に設けられており、例えば本実施形態のエンジンが直列4気筒エンジンであるとすると、インジェクタ8は4個設けられていることになる。
【0018】
このような構成により、スロットル弁7の開度に応じエアクリーナ6を通じて吸入された空気が吸気弁4の開放により燃焼室1内に吸入され、この燃焼室1内で、吸入された空気とインジェクタ8から直接噴射された燃料とが混合され、燃焼室1内で点火プラグ35を適宜のタイミングで点火させることにより、燃焼せしめられて、エンジントルクを発生させたのち、燃焼室1内から排出ガスとして排気通路3へ排出され、触媒コンバータ(以下、単に触媒ともいう)9で排出ガス中のCO,HC,NOx の3つの有害成分を浄化されてから、マフラで消音されて大気側へ放出されるようになっている。
【0019】
特に、本エンジンは、空燃比をリーンにしながら節約運転を行なえるエンジンであり、リーン運転時には、通常の三元触媒だけでは排出ガス中のNOx を十分に浄化できないため、触媒9は、リーンNOx 触媒9Aと三元触媒9Bとを組み合わせたものになっている。つまり、リーンNOx 触媒9Aの下流に、理論空燃比下で排出ガス中のCO,HC及びNOx を浄化可能な三元機能を有する三元触媒9Bを備えるようにしている。
【0020】
これは、三元触媒9BをリーンNOx 触媒9Aの下流に配置してリーンNOx触媒9AでのNOx 浄化を妨げることのないようにしながら、リーンNOx 触媒で十分に浄化できなかったCOやHCを確実に浄化することができるようにするためである。なお、リーンNOx 触媒が三元機能を有する場合にはリーンNOx触媒を1つだけ配置してもよい。
【0021】
ところで、本エンジンについてさらに説明すると、このエンジンは、吸気通路2から燃焼室1内に流入した吸気流が縦渦(逆タンブル流)を形成するように構成され、燃焼室1内で、吸気流がこのような縦渦流を形成するので、この縦渦流を利用しながら例えば燃焼室1の頂部中央に配設された点火プラグ35の近傍のみに少量の燃料を集めて、点火プラグ35から離隔した部分では極めてリーンな空燃比状態とすることができ、点火プラグ35の近傍のみを理論空燃比又はリッチな空燃比とすることで、安定した層状燃焼(層状超リーン燃焼)を実現しながら、燃料消費を抑制することができる。この場合の最適な燃料噴射のタイミングとしては、空気流動の弱い圧縮行程後期である。
【0022】
また、このエンジンから高出力を得る場合には、インジェクタ8からの燃料が燃焼室1全体に均質化され、全燃焼室1内を理論空燃比やリーン空燃比の混合気状態にさせて予混合燃焼を行なえばよく、もちろん、理論空燃比による方がリーン空燃比によるよりも高出力が得られるが、これらの際にも、燃料の霧化及び気化が十分に行なわれるようなタイミングで燃料噴射を行なうことで、効率よく高出力を得ることができる。このような場合の最適な燃料噴射のタイミングとしては、吸気流を利用して燃料の霧化及び気化を促進できるように、吸気行程の初期又は前期には燃料噴射を終えるように設定する。
【0023】
ところで、このエンジンを制御するために、種々のセンサが設けられている。まず吸気通路2側には、そのエアクリーナ配設部分に、吸入空気量をカルマン渦情報から検出するエアフローセンサ11,吸入空気温度を検出する吸気温センサ12および大気圧を検出する大気圧センサ13が設けられており、そのスロットル弁配設部分に、スロットル弁7の開度を検出するポテンショメータ式のスロットルセンサ14,アイドリング状態を検出するアイドルスイッチ15等が設けられている。
【0024】
また、排気通路3側には、触媒9の上流側部分に、排ガス中の酸素濃度(O2濃度)を検出する酸素濃度センサ17(以下、単にO2 センサ17という)が設けられるとともに、触媒9の下流側部分には、触媒若しくはその近傍の温度θC.C (以下、触媒温度θC.C という)を検出する触媒温度検出手段としての触媒温度センサ(高温センサ)26が設けられている。
【0025】
さらに、その他のセンサとして、エンジン冷却水温を検出する水温センサ19や、図2に示すごとく、クランク角度を検出するクランク角センサ21(このクランク角センサ21はエンジン回転数を検出する回転数センサも兼ねている)および第1気筒(基準気筒)の上死点を検出するTDCセンサ(気筒判別センサ)22がそれぞれカム近傍に設けられている。
【0026】
そして、これらのセンサからの検出信号は、電子制御ユニット(ECU)23へ入力されるようになっている。
なお、ECU23へは、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルポジションセンサ24やバッテリの電圧を検出するバッテリセンサ25からの電圧信号や始動時を検出するクランキングスイッチ〔あるいはイグニッションスイッチ(キースイッチ)〕20からの信号も入力されるようになっている。
【0027】
ところで、ECU23のハードウエア構成は図2のようになるが、このECU23はその主要部としてCPU27をそなえており、このCPU27へは、吸気温センサ12,大気圧センサ13,スロットルセンサ14,O2 センサ17,水温センサ19,アクセルポジションセンサ24,触媒温度センサ26およびバッテリセンサ25からの検出信号が入力インタフェイス28およびアナログ/デジタルコンバータ30を介して入力されるとともに、エアフローセンサ11,クランク角センサ21,TDCセンサ22,アイドルスイッチ15,クランキングスイッチ20,イグニッションスイッチ等からの検出信号が入力インタフェイス29を介して入力されようになっている。
【0028】
さらに、CPU27は、バスラインを介して、プログラムデータや固定値データを記憶するROM31,更新して順次書き替えられるRAM32,フリーランニングカウンタ48およびバッテリが接続されている間はその記憶内容が保持されることによってバックアップされたバッテリバックアップRAM(図示せず)との間でデータの授受を行なうようになっている。
【0029】
なお、RAM32内データはイグニッションスイッチをオフすると消えてリセットされるようになっている。
また、CPU27で演算結果に基づく燃料噴射制御信号は、各気筒毎の(ここでは、4つの)噴射ドライバ(燃料噴射弁駆動手段)34を介して、インジェクタ8のソレノイド(インジェクタソレノイド)8aへ出力されるようになっている。
【0030】
今、燃料噴射制御(空燃比制御)に着目すると、CPU27で演算された燃料噴射用制御信号がドライバ34を介して出力され、例えば4つのインジェクタ8を順次駆動させるようになっている。
そして、上述のような筒内噴射エンジンの特徴から、このエンジンでは、燃料噴射の態様として、層状超リーン燃焼によるリーン運転を実現し燃費を向上させるために圧縮行程中(特に、圧縮行程後半)で燃料噴射を行なう後期噴射モード(後期リーン運転モード)と、予混合燃焼によるリーン運転を実現し、緩加速による出力を得るために吸気行程中(特に吸気行程前半)に燃料噴射を行なう前期噴射モード(前期リーン運転モード)と、予混合燃焼によるストイキオ運転(理論空燃比運転)を実現し、前期噴射モードより出力を向上させるために吸気行程中に燃料噴射を行なうストイキオモード(ストイキオ運転モード)とが設けられており、エンジンの運転状態に応じて切り換えられるようになっている。
【0031】
なお、後期リーン運転モードでは、特に、排ガス温度の低下を生じるため、これを特定運転状態という。また、上述の運転モードの切換は、機関の燃焼状態の切換(層状超リーン燃焼と予混合燃焼とを切り換える)を意味する。
このような燃料噴射制御(インジェクタ駆動制御)のために、ECU23には、図1のブロック図に示すように、噴射モード(運転モード)の選択を行なう運転モード設定手段106や燃料噴射量の設定を行なう燃料噴射制御手段101が設けられている。
【0032】
そして、運転モード設定手段106には、図1に示すように、通常運転時の噴射モードの選択を行なう機能(通常運転モード設定手段)107と触媒9の温度低下を抑制するために噴射モードを切り換える機能(温度低下抑制用モード切換手段)108とが備えられる。
このうち、通常運転モード設定手段107では、噴射モードを、エンジン回転数センサ21,各種センサ類104等から検出されたエンジン回転数(回転速度)Neやアクセルペダル踏込量θACC に基づいてエンジンの目標出力トルクTを設定して、エンジン回転数Neやこの目標出力トルクTに応じて、前期噴射モードと後期噴射モードとのいずれかのモードを選択的に設定する。例えばエンジン回転数Neが低くて目標トルクTも低い領域では後期噴射モードとし、エンジン回転数Ne及び目標トルクTのいずれかが低くなければ前期噴射モード又はストイキオモードとするようになっている。
【0033】
また、温度低下抑制用モード切換手段108は、排ガス浄化にかかる本筒内噴射型内燃機関の特徴的な構成要素であり、後述する温度低下判定手段105により触媒9の温度低下が判定された場合に、通常運転モード設定手段107により設定される通常運転モードを温度低下抑制用運転モードに切り換え、触媒9の温度低下を抑制する機能を有するものである。このため、温度低下抑制用モード切換手段108は、触媒9の温度低下を抑制するように作動する温度低下抑制手段110を構成する。
【0034】
この温度低下抑制用モード切換手段108では、図1に示すように、通常運転モード設定手段107、後述する温度低下判定手段105及びスロットルセンサ14からの情報に基づき、通常運転モードとしての後期リーン運転モードを温度低下抑制用運転モードとしての前期リーン運転モードに切り換えるようになっている。なお、運転モードの切換は、機関の燃焼状態の切換に相当するため、後期リーン運転モードを前期リーン運転モードに切り換えることは、層状超リーン燃焼を予混合燃焼に切り換えることを意味する。
【0035】
これは、排ガス温度は、通常運転モード設定手段107によって選択される運転モード(即ち、運転時の空燃比)による影響が大きく、ストイキオ運転モード(理論空燃比)に近くなるほど吸入空気の単位重量当たりの燃料量が増加(従って、発熱量が増加)し、排ガス温度が高くなるという特性があるため、この特性を利用し、運転モードを切り換えることにより、より高い温度の排ガスが触媒9の近傍へ排出されるようにして、排ガスから触媒9に伝わる熱量を増やし、触媒9の温度低下を抑制し、触媒9の浄化効率の悪化を防止しようとするものである。
【0036】
ここでは、通常運転モードとして排ガス温度の低い後期リーン運転モードが選択されている場合に、後期リーン運転モードよりも排ガス温度が高い前期リーン運転モードに切り換えるようにしているが、これは、希薄な混合気により燃焼させる後期リーン運転モードの場合に排ガス温度が最も低くなるため、触媒9の温度低下が著しいからである。
【0037】
また、温度低下抑制用モード切換手段108は、スロットルセンサ14からの情報をも取り入れるようにしている。これは、温度低下抑制用モード切換手段108による制御を、一定負荷の状態(定常運転状態)で行なうように設定することが好ましいからである。
この理由は、定常運転状態でない加速時には、通常運転モードが切り換えられるため、特に、温度低下抑制用モード切換手段108によって運転モードを切り換えることにより温度低下抑制制御を行なう必要がないからである。また、定常運転状態でない減速時には、減速燃料カットのような運転状態があり、この燃料カット時には、運転モードを切り換えたところで排気温度を上げるために必要な燃料がカットされていることから、排気温度を上げることができないからである。また、減速中にもモード切換制御を実行し、その中で減速燃料カット時のみ、運転モードの切換制御を禁止するように設定しようとすると、制御が複雑になるからである。なお、このような減速燃料カットを含む低負荷運転状態については、後述する第4実施形態に示すような温度低下抑制制御を行なうことが好ましい。
【0038】
このため、温度低下抑制用モード切換手段108は、一定時間におけるスロットル開度の変化量ΔTPSがスロットル開度の変化量の基準値TP1以下であるか否かを判定し(ΔTPS≦TP1)、これによって定常運転状態にあるか否かを判定するようになっている。なお、変化量ΔTPSは、例えば、前回の検出周期におけるスロットル開度の値と今回の検出周期におけるスロットル開度の値との差により求められる。また、基準値TP1は、0に近い値として設定される。
【0039】
また、温度低下抑制用モード切換手段108は、触媒温度θC.C に基づいて運転モードの切換を行なうため、ECU23には、触媒9の温度低下を判定する温度低下判定手段105が設けられている。なお、この温度低下判定手段105と上述の触媒温度センサ26とから温度低下検出手段111が構成される。
この温度低下判定手段105は、一旦、触媒温度θC.C が触媒9を活性化させるのに必要な温度(触媒活性温度)に達して活性化した後に、触媒温度θC.C を検出する触媒温度センサ26からの検出情報に基づいて、触媒9の温度低下を判定するようになっている。
【0040】
このため、温度低下判定手段105は、触媒温度θC.C が予め設定された設定温度θ1 以下であるか否かを判定することによって(θC.C ≦θ1 )、触媒9の温度低下を判定するようになっている。
ここで、設定温度θ1 は触媒活性温度よりも高い値として設定され、例えば、触媒活性下限温度にある所定温度(例えば、50℃)を加えた値として設定される。この触媒活性下限温度は本実施形態にかかるリーンNOX 触媒では、400度程度である。なお、この所定温度の値は、触媒温度センサ26の応答遅れ、応答精度により決まる値であり、システムによっても変わるものである。また、触媒の触媒活性下限温度は、触媒成分等により変わるものである。
【0041】
なお、この温度低下判定手段105は、温度低下抑制手段110としての温度低下抑制用モード切換手段108による制御によって、触媒温度θC.C が十分に上昇したか否かを判定すべく、触媒9の温度を検出する触媒温度センサ26からの検出情報に基づいて、触媒9の温度上昇を判定するようになっている。
このため、温度低下判定手段105は、触媒温度θC.C が予め設定された設定温度θ2 以上になったか否かを判定することによって(θC.C ≧θ2 )、触媒温度θC.C が上昇したか否かを判定するようになっている。
【0042】
ここで、設定温度θ2 は、温度低下抑制制御の終了条件であり、触媒温度θC.C が十分に上昇したか否かを判定するためのものであるため、図9(a)に示すように、設定温度θ1 よりも大きい値(高い温度)として設定される。なお、設定温度θ2 は設定温度θ1 と同じ値として設定してもよい。
このような設定温度θ1 ,θ2 は、例えば、図9(a)に示すように設定される。図9(a)中、曲線Aは触媒温度θC.C の変化を示している。また、図中、噴射期間とは温度低下抑制用前期リーン運転モードに基づく噴射期間を示している。
【0043】
図9(a)に示すように、触媒温度θC.C が低下し、設定温度θ1 以下になった場合に、温度抑制制御用モード切換手段108により前期リーン運転モードに切り換えることによって温度低下抑制制御を行ない(図中、噴射期間としている)、これによって触媒温度θC.C が上昇し、設定温度θ2 以上になった場合は温度低下抑制制御を終了し、運転モードを通常運転モードに戻す(ここでは、後期リーン運転モードに戻す)ようにしている。そして、再び、触媒温度θC.C が低下し、設定温度θ1 以下になった場合には、同様の制御を繰り返すようにしている。
【0044】
ところで、図1に示すように、ECU23には、燃料噴射制御手段101が備えられている。この燃料噴射制御手段101における燃料噴射制御を説明すると、この燃料噴射制御手段101では、燃料噴射量は、燃料噴射時間(インジェクタの駆動時間であって、実際の制御の上ではインジェクタ駆動パルス幅という)tAUとして設定されるが、ストイキオモード,前期噴射モードの場合も後期噴射モードの場合も、機関負荷(1ストローク当たりの吸入空気量)Q/Neと目標とする空燃比(A/F、以下AFとする)等に基づいて、まず、次式によって基本駆動時間tp が算出される。
【0045】
p =(Q/Ne)×(1/AF)×(αAIR /αFUEL)×(1/GINJ
なお、機関負荷Q/Neは1ストローク当たりの吸入空気量であり、エアフローセンサ11で検出された吸入空気量Qをエンジン回転数センサ(クランク角センサ)21で検出されたエンジン回転数Neで除算することで求められる。
また、αAIR は空気密度、αFUELは燃料密度、GINJ はインジェクタゲインである。
【0046】
そして、燃料噴射時間tAUは、次式で算出される。
AU=tp ×f+tD
なお、fは各種の燃料補正係数であり、この燃料補正係数fは、水温センサ19で検出されたエンジン冷却水温,吸気温センサ12で検出された吸気温,大気圧センサ13で検出された大気圧等に応じて設定される。また、tD はインジェクタ無駄時間(デッドタイム)である。
【0047】
本発明の第1実施形態としての排ガス浄化装置は、上述のように構成されているので、例えば、図4に示すように、通常運転モード設定手段107によって設定された運転モードに基づき燃料噴射制御が行なわれる。
この制御は一定のクランク角毎に実行され、まず、ステップA10〜A30の処理を行なう。つまり、ステップA10で、エアフローセンサ11,回転数センサ21で検出された吸入空気量Q,エンジン回転数Neから、機関負荷Q/Ne(即ち、1ストローク当たりの吸入空気量)を計算する。次に、ステップA20で、上式に示すように、この機関負荷Q/Neに基づいて、基本駆動時間tp を計算する。さらに、ステップA30で、基本駆動時間tp に各種の燃料補正係数Kの乗算等を行なって燃料噴射時間tAUを算出する。
【0048】
そして、これに基づいて、燃料噴射(ステップA40)が行なわれる。
次に、本排ガス浄化装置による温度低下抑制制御、即ち、温度低下抑制用モード切換手段108による温度低下抑制用運転モードへの切換制御について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。なお、この制御は一定の周期毎に実行される。
【0049】
まず、ステップB10では、通常運転モード設定手段107によって選択されている運転モードが後期リーン運転モードか否かを判定し、この判定の結果、後期リーン運転モードが選択されている場合はステップB20に進み、後期リーン運転モードが選択されていない場合はステップB60に進む。
そして、ステップB20では、触媒温度θC.C が設定温度θ1 以下であるか否かを判定し、この判定の結果、触媒温度θC.C が設定温度θ1 以下である場合はステップB30に進み、定常運転状態であるか否かを判定すべく、スロットル開度の変化量ΔTPSがスロットル開度の変化量の基準値TP1以下であるか否かを判定する。
【0050】
この判定の結果、変化量ΔTPSが基準値TP1以下である場合はステップB40に進み、変化量ΔTPSが基準値TP1以下でない場合は、定常運転状態でないため温度低下抑制制御を行なわずリターンする。
一方、ステップB20での判定の結果、触媒温度θC.C が設定温度θ1 以下でない場合は、温度低下抑制制御は必要ないためリターンする。
【0051】
ステップB40では、温度低下抑制制御を行なうべく、温度低下抑制用モード切換手段108によって、通常運転モードとしての後期リーン運転モードを温度低下抑制用前期リーン運転モードに切り換え、ステップB50で、フラグFを1にセットする。ここで、フラグFは温度低下抑制制御中である場合に1となり、温度低下抑制制御中でない場合に0となり、また、初期設定時には0にセットされる。
【0052】
ところで、ステップB10で後期リーン運転モードが選択されていない場合はステップB60に進み、ステップB60では、フラグFが1であるか否かを判定し、この判定の結果、フラグFが1である場合(F=1)は、ステップB70に進み、フラグFが1でない場合はリターンする。
ステップB70では、定常運転状態であるか否かを判定すべく、スロットル開度の変化量ΔTPSがスロットル開度の変化量の基準値TP1以下であるか否かを判定する。この判定の結果、変化量ΔTPSが基準値TP1以下である場合はステップB80に進み、触媒温度θC.C が設定温度θ2 以上になったか否かを判定し、この判定の結果、触媒温度θC.C が設定温度θ2 以下になっていると判定された場合は、さらにステップB90に進み、温度低下抑制制御を終了し、ステップB100でフラグFを0にリセットする。
【0053】
そして、ステップB80で、触媒温度θC.C が設定温度θ2 以下になっていないと判定された場合はリターンし、引続き温度低下抑制制御を続行する。
一方、ステップB70で、変化量ΔTPSが基準値TP1以下でないと判定された場合はステップB90に進み、温度低下抑制制御を終了し、ステップB100でフラグFを0にリセットする。
【0054】
なお、温度低下抑制制御の終了後は、通常運転モード設定手段107によって設定される運転モード(ここでは、元の運転モードである後期リーン運転モード)に戻る。
このようにして、本実施形態の排ガス浄化装置では、温度低下検出手段111としての温度低下判定手段105により触媒9の温度低下が検出された場合に、温度低下抑制手段110としての温度低下抑制用モード切換手段108を作動させることで、筒内噴射型内燃機関に特有の排ガス温度の低下に伴う触媒浄化効率の悪化を防止することができるという利点がある。
【0055】
つまり、通常運転モード設定手段107及び温度低下検出手段111としての温度低下判定手段105等からの出力に応じて、温度低下抑制手段110としての温度低下抑制用モード切換手段108により機関の運転モードを切り換えることによって、層状超リーン燃焼による排ガス温度の低下を抑制することができ、これによって、排ガス温度の低下に伴う触媒浄化効率が悪化するのを防止することができるという利点がある。
【0056】
次に、第1実施形態の変形例について説明する。
上述の第1実施形態の排ガス浄化装置では、触媒9の温度低下を判定するための設定温度を1つ設けているが、この変形例では、触媒温度θC.C に応じて温度低下抑制制御を行なうべく、第1設定値及びこれよりも低い温度として設定される第2設定値の2つの設定値を設け、触媒温度θC.C が第1設定値よりも低くなる場合又は低くなることが予測された場合に、温度低下抑制用運転モードとしての前期リーン運転モードに切り換え、この運転モードで十分に触媒9の温度低下を抑制することができない場合、即ち、触媒温度θC.C が第2設定値よりも低くなる場合又は低くなることが予測された場合に、温度低下抑制用運転モードとしてのストイキオ運転モードに切り換えるようにする。
【0057】
本変形例の排ガス浄化装置によれば、触媒温度θC.C が設定温度よりも若干低くなった場合には、運転モードを燃料消費の悪化を考慮して前期リーン運転モードとし、触媒9の排ガス浄化効率を維持することができるとともに、触媒温度θC.C が設定温度よりもかなり低下した場合には、触媒9の排ガス浄化効率が極めて悪化してしまうので運転モードをストイキオ運転モードとし、積極的に触媒温度θC.C を昇温させて、触媒9の浄化効率の悪化を防止することができるという利点がある。
【0058】
次に、第2実施形態について説明すると、この実施形態の排ガス浄化装置は、図6に示すように、上述の第1実施形態ものと、温度低下検出手段111としての温度低下判定手段105が異なる。
つまり、この実施形態では、温度低下判定手段105は、触媒温度センサ26からの検出情報に基づいて触媒9の温度低下度合(温度低下勾配)を検出して、触媒9の温度低下を予測し、検出された温度低下度合に応じて設定温度θ1を変更し、触媒温度θC.C がこの設定温度θ1以下であるか否かを判定することによって、一旦、触媒温度θC.C が触媒活性温度に達して活性化した後に、触媒温度θC.C が低下したか否かを判定するようになっている。
【0059】
このため、温度低下判定手段105は、図6に示すように、触媒温度θC.C の時間変化量Δθを算出する機能を有するΔθ算出部105Aを備え、このΔθ算出部105Aによって、触媒温度センサ26からの検出情報を一定時間毎に読み込み、今回の読込周期における触媒温度θC.C と前回の読込周期における触媒温度θC.C との差Δθ(触媒温度θC.C の時間変化量Δθ)を演算することにより、温度低下度合を検出するようになっている。
【0060】
そして、このΔθ算出部105Aからの情報に基づいて、触媒9の温度低下を予測して設定温度θ1を変更し、この設定温度θ1により触媒温度θC.C が低下したか否かを判定すべく、温度低下判定手段105には、さらに、θ1,θ2読込部105B,判定部105Cが備えられる。
このθ1読込部105Bは、Δθ算出部105Aによって算出される触媒温度θC.C の時間変化量Δθに基づいて、設定温度θ1をマップ〔θ1=G(Δθ)〕により読み込む機能を有するものであり、また、判定部105Cは、触媒温度θC.C がθ1,θ2読込部105Bによって読み込まれた設定温度θ1以下であるか否かを判定することによって(θC.C ≦θ1)、触媒温度θC.C が低下したか否かの判定を行なう機能を有するものである。
【0061】
なお、この温度低下判定手段105は、温度低下抑制手段110としての温度低下抑制用モード切換手段108による制御によって、触媒温度θC.C が十分に上昇したか否かを判定すべく、触媒温度θC.C を検出する触媒温度センサ26からの検出情報に基づいて触媒9の温度上昇度合(温度上昇勾配)を検出することによって触媒9の温度上昇を予測し、触媒温度θC.C が上昇したか否かも判定するようになっている。つまり、温度低下度合に応じて設定温度θ2を変更し、触媒温度θC.C がこの設定温度θ2以上であるか否かを判定することによって、触媒温度θC.C が上昇したか否かを判定するようになっている。
【0062】
このため、温度低下判定手段105が備えるΔθ算出部105Aによって、触媒温度センサ26からの検出情報を一定時間毎に読み込み、今回の検出周期における触媒温度θC.C と前回の検出周期における触媒温度θC.C との差(触媒温度θC.C の時間変化量Δθ)を演算することにより、温度上昇度合を検出するようになっている。
【0063】
そして、温度低下判定手段105が備えるθ1,θ2読込部105B,判定部105Cは、Δθ算出部105Aからの情報に基づいて、触媒9の温度上昇を予測して、設定温度θ2を変更し、この設定温度θ2により触媒温度θC.C が上昇したか否かを判定する機能をも有するようになっている。
つまり、θ1読込部105Bは、Δθ算出部105Aによって算出される触媒温度θC.C の時間変化量Δθに基づいて、設定温度θ2をマップ〔θ2=G(Δθ)〕により読み込む機能をも有し、また、判定部105Cは、触媒温度θC.Cがθ1,θ2読込部105Bによって読み込まれた設定温度θ2以上であるか否かを判定することによって(θC.C ≧θ2)、触媒温度θC.C が上昇したか否かの判定を行なう機能をも有するようになっている。
【0064】
ここで、設定温度θ2は、温度低下抑制制御の終了条件であり、触媒温度θC.C が十分に上昇したか否かを判定して、触媒温度の過昇温の防止のためのものであるため、第1実施形態の設定温度θ2よりも大きい値(高い温度)として設定されている。つまり、触媒の耐熱温度が800°C程度であれば、所定温度を200°C程度として設定温度θ2は600°C程度とすることが好ましい。もちろん、触媒によって耐熱温度が変わるので、設定温度θ2は触媒に応じて適宜設定することが好ましい。
【0065】
これらの設定温度θ1,θ2は、例えば、図9(b)に示すように設定される。図9(b)中、曲線A,Bは触媒温度θC.C の変化を示しており、曲線Aは触媒温度θC.C の変化が緩やかな場合を示しており、曲線Bは触媒温度θC.C の変化が急な場合を示している。
この曲線Aで示すように触媒温度θC.C の変化が緩やかな場合は、図9(a)を参照しながら、第1実施形態において説明した設定温度θ1 ,θ2 と同様に設定温度θ1,θ2が設定されるようになっている。一方、曲線Bで示すように触媒温度θC.C の変化が急な場合は、設定温度θ1はマップ〔θ1=G(Δθ)〕により大きくなるように(温度が高くなるように)設定され、設定温度θ2はマップ〔θ2=G(Δθ)〕により小さくなるように(温度が低くなるように)設定されるようになっている。
【0066】
これは、触媒温度θC.C の低下が急な場合には、設定温度θ1を高い温度に設定することによって、温度低下抑制制御を早めに開始し、触媒温度θC.C が過剰に低下し触媒9の浄化効率が悪化するのを未然に防止するとともに、触媒温度θC.C の上昇が急な場合には、設定温度θ2を低い温度に設定することによって温度低下抑制制御を早めに終了し、通常運転モードに戻った場合に、触媒温度θC.C が過剰に上昇するのを未然に防止するためである。
【0067】
さらに説明すると、このように設定温度θ1を可変とすることは、温度低下抑制用前期リーン運転モードを継続する時間を可変とすることを意味し、上述のように、設定温度θ1を高い温度に設定し、設定温度θ2を低い温度に設定した場合には、温度低下抑制用前期リーン運転モードを継続する時間を短縮することができ、燃料消費の悪化を抑制することができるのである。
【0068】
また、設定温度θ2を高く設定することで触媒を十分に昇温させることができ、温度低下抑制制御が煩雑に行なわれないようにすることができる。
なお、本実施形態における排ガス浄化装置におけるその他の構成については、上述の第1実施形態のものと同様であるため、ここではその説明を省略する。本発明の第2実施形態としての排ガス浄化装置は、上述のように構成されており、通常運転モード設定手段107によって設定された運転モードに基づく燃料噴射制御は、上述の第1実施形態と同様に行なわれるため、その説明は省略する。
【0069】
また、本実施形態の排ガス浄化装置による温度低下抑制制御、即ち、温度低下抑制用モード切換手段108による温度低下抑制用運転モードへの切換制御について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。なお、この制御は一定の周期毎に実行される。
まず、ステップD10では、通常運転モード設定手段107によって選択されている運転モードが後期リーン運転モードか否かを判定し、この判定の結果、後期リーン運転モードが選択されている場合はステップD20に進み、後期リーン運転モードが選択されていない場合はステップD80に進む。
【0070】
ステップD20では、Δθ算出部105Aにより触媒温度検出モード(図8参照)を実行し、触媒温度θC.C の一定時間における変化量Δθを算出する。つまり、図8に示すように、ステップE10で一定時間毎に触媒温度θC.C を読み込み、これに基づいて、ステップE20で触媒温度θC.C の一定時間の変化量Δθを算出する。
【0071】
そして、ステップD30では、θ1,θ2読込部105Bによって、ステップD20で算出された変化量Δθに基づいて設定温度θ1をマップから読み込み、ステップD40に進む。ステップD40では、判定部105Cによって、触媒温度θC.C が設定温度θ1以下であるか否かを判定し、この判定の結果、触媒温度θC.C が設定温度θ1以下である場合はステップD50に進む。
【0072】
なお、ステップD50以降の処理、即ち、ステップD50〜ステップD70までの処理は、上述の第1実施形態における温度抑制制御を示すフローチャート(図5参照)のステップB30〜ステップB50と同様であるため、ここではその説明を省略する。
一方、ステップD40での判定の結果、触媒温度θC.C が設定温度θ1以下でない場合は、温度低下抑制制御は必要ないためリターンする。
【0073】
ところで、ステップD10で後期リーン運転モードが選択されていない場合はステップD80に進み、ステップD80では、フラグFが1であるか否かを判定し、この判定の結果、フラグFが1である場合(F=1)は、ステップD90に進み、フラグFが1でない場合はリターンする。
ステップD90では、定常運転状態であるか否かを判定すべく、スロットル開度の変化量ΔTPSがスロットル開度の変化量の基準値TP1以下であるか否かを判定する。この判定の結果、変化量ΔTPSが基準値TP1以下である場合はステップD100に進み、Δθ算出部105Aにより触媒温度検出モード(図8参照)を実行し、触媒温度θC.C の一定時間における変化量Δθを算出する。つまり、図8に示すように、ステップE10で一定時間毎に触媒温度θC.C を読み込み、これに基づいて、ステップE20で触媒温度θC.C の一定時間の変化量Δθを算出する。
【0074】
そして、ステップD110では、θ1,θ2読込部105Bによって、ステップD100で算出された変化量Δθに基づいて設定温度θ2をマップから読み込み、ステップD120に進む。
ステップD120では、判定部105Cによって、触媒温度θC.C が設定温度θ2以上であるか否かを判定し、この判定の結果、触媒温度θC.C が設定温度θ2以上になっていると判定された場合は、さらにステップD130に進み、温度低下抑制制御を終了し、ステップD140でフラグFを0にリセットする。
【0075】
また、ステップD120で触媒温度θC.C が設定温度θ2以上になっていないと判定された場合はリターンし、引続き、温度低下抑制制御を続行する。
一方、ステップD90で、変化量ΔTPSが基準値TP1以下でないと判定された場合はステップD130に進み、温度低下抑制制御を終了し、ステップD140でフラグFを0にリセットする。
【0076】
なお、温度低下抑制制御の終了後は、通常運転モード設定手段107により設定される運転モード(ここでは、後期リーン運転モード)に戻る。
このようにして、本実施形態の排ガス浄化装置では、温度低下検出手段111としての温度低下判定手段105により触媒9の温度低下が判定された場合に、温度低下抑制手段110としての温度低下抑制用モード切換手段108を作動させることで、筒内噴射型内燃機関に特有の排ガス温度の低下に伴う触媒浄化効率の悪化を防止することができるという利点がある。
【0077】
つまり、通常運転モード設定手段107及び温度低下検出手段111としての温度低下判定手段105等からの出力に応じて、温度低下抑制手段110としての温度低下抑制用モード切換手段108により機関の運転モードを切り換えることによって、層状超リーン燃焼による排ガス温度の低下を抑制することができ、これによって、排ガス温度の低下に伴う触媒浄化効率が悪化するのを防止することができるという利点がある。
【0078】
次に、第3実施形態について説明すると、この実施形態の排ガス浄化装置は、図10に示すように、上述の第1実施形態ものと、温度低下検出手段111としての温度低下判定手段105が異なる。
つまり、この実施形態では、温度低下判定手段105が、通常運転モード設定手段107によって設定された後期リーン運転モードによるリーン運転が開始されてからの継続時間に基づいて、触媒9の温度低下を推定するように構成されている。この触媒9の温度低下の推定は、後期リーン運転モードによるリーン運転が開始されてからの継続時間t1が設定時間T0 以上であるか否かを判定することによって行なうようになっている。
【0079】
このように、本実施形態では、排ガス温度の低下が生じる後期リーン運転モード(層状超リーン燃焼)の継続時間により触媒温度θC.C 又は触媒9の温度低下を推定し、この推定に基づいて、温度低下抑制制御を行なうようにしている。
このため、温度低下判定手段105は、通常運転モード設定手段107によって後期リーン運転モードが設定された場合には、その継続時間を計測すべくタイマ109Aをスタートさせるようになっている。そして、タイマ109Aによるカウント値t1が設定時間T0 以上になった場合に、触媒温度θC.C が低下したと判定し、その信号を温度低下抑制用モード切換手段108に送るようになっている。
【0080】
なお、継続時間t1は、図10に示すように、タイマ109Aにより計測するため、継続時間t1はタイマ109Aのカウント値を示している。また、設定時間T0 は、例えば、30秒程度に設定する。
また、この温度低下判定手段105は、後期リーン運転モードによるリーン運転が開始されてからの継続時間t1が設定時間T0 以上になった場合には、後述するタイマ109Aをリセットする機能をも有する。
【0081】
また、温度低下判定手段105は、温度低下抑制用モード切換手段108によって設定された前期リーン運転モードによるリーン運転が開始されてからの継続時間に基づいて、温度低下抑制制御によって触媒9の温度低下が抑制され、温度低下抑制制御を終了できるか否か、即ち、触媒温度θC.C が十分に上昇したか否かを判定する機能をも有する。
【0082】
この温度低下抑制制御を終了できるか否かの判定は、前期リーン運転モードによるリーン運転が開始されてからの継続時間t2が設定時間T1 以上であるか否かを判定することによって行なうようになっている。
これは、上述の後期リーン運転モード(層状超リーン燃焼)の継続時間t1による触媒温度θC.C 又は触媒9の温度低下の推定と同様に、前期リーン運転モードによるリーン運転が開始されてからの継続時間t2により触媒温度θC.C 又は触媒9の温度上昇を推定するものである。
【0083】
このため、温度低下判定手段105は、温度低下抑制用モード切換手段108によって前期リーン運転モードに切り換えられた場合には、その継続時間を計測すべくタイマ109Bをスタートさせるようになっている。そして、タイマ109Bによるカウント値(即ち、継続時間)t2が設定時間T1 以上になった場合に、触媒温度θC.C が上昇したと判定し、その信号を温度低下抑制用モード切換手段108に送るようになっている。
【0084】
なお、継続時間t2は、図10に示すように、タイマ109Bにより計測するため、継続時間t2はタイマ109Bのカウント値に相当する。また、設定時間T1 は、例えば、90秒程度に設定する。
また、この温度低下判定手段105は、前期リーン運転モードによるリーン運転が開始されてからの継続時間t2が設定時間T1 以上になった場合には、後述するタイマ109Bをリセットする機能をも有する。
【0085】
なお、本実施形態における排ガス浄化装置におけるその他の構成については、上述の第1実施形態のものと同様であるため、ここではその説明を省略する。
本発明の第3実施形態としての排ガス浄化装置は、上述のように構成されており、通常運転モード設定手段107によって設定された運転モードに基づく燃料噴射制御は、上述の第1実施形態と同様に行なわれるため、その説明は省略する。
【0086】
また、本実施形態の排ガス浄化装置による温度低下抑制制御、即ち、温度低下抑制用モード切換手段108による温度低下抑制用運転モードへの切換制御について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。なお、この制御は一定の周期毎に実行される。
まず、ステップC10では、通常運転モード設定手段107によって選択されている運転モードが後期リーン運転モードか否かを判定し、この判定の結果、後期リーン運転モードが選択されている場合はステップC20に進み、後期リーン運転モードが選択されていない場合はステップC70に進む。
【0087】
そして、ステップC20では、通常運転モード設定手段107によって選択されている後期リーン運転モードによるリーン運転が開始されてからの継続時間(タイマ109Aのカウント値)t1が設定時間T0 以上になっているか否かを判定し、この判定の結果、継続時間t1が設定時間T0 以上になっている場合はステップC30に進んでタイマ109Aのカウント値t1をリセットし、さらに、ステップC40に進む。
【0088】
なお、ステップC40以降の処理、即ち、ステップC40〜ステップC60までの処理は、上述の第1実施形態における温度抑制制御を示すフローチャート(図5参照)のステップB30〜ステップB50と同様であるため、ここではその説明を省略する。
一方、ステップC20での判定の結果、継続時間t1が設定時間T0 以上になっていない場合は温度低下抑制制御は必要ないためリターンする。
【0089】
ところで、ステップC10で後期リーン運転モードが選択されていない場合はステップC70に進み、ステップC70では、フラグFが1であるか否かを判定し、この判定の結果、フラグFが1である場合(F=1)は、ステップC80に進み、フラグFが1でない場合はリターンする。
ステップB80では、定常運転状態であるか否かを判定すべく、スロットル開度の変化量ΔTPSがスロットル開度の変化量の基準値TP1以下であるか否かを判定する。
【0090】
この判定の結果、変化量ΔTPSが基準値TP1以下である場合はステップC90に進み、温度低下抑制用モード切換手段108によって選択されている前期リーン運転モードによるリーン運転が開始されてからの継続時間(タイマ109Bのカウント値)t2が設定時間T1 以上になっているか否かを判定し、この判定の結果、継続時間t2が設定時間T1 以上になっている場合はステップC100に進んでタイマ109Bのカウント値t2をリセットし、さらに、ステップC110に進み、温度低下抑制制御を終了し、ステップC120でフラグFを0にリセットする。
【0091】
また、ステップC90で継続時間t2が設定時間T1 以上になっていないと判定された場合はリターンし、引続き、温度低下抑制制御を続行する。
一方、ステップC80で変化量ΔTPSが基準値TP1以下でない場合はステップC110に進み、温度低下抑制制御を終了し、ステップB100でフラグFを0にリセットする。
【0092】
なお、温度低下抑制制御の終了後は、通常運転モード設定手段107により設定される運転モード(ここでは、後期リーン運転モード)に戻る。
このようにして、本実施形態の排ガス浄化装置は、温度低下検出手段111としての温度低下判定手段105により触媒9の温度低下が推定された場合に、温度低下抑制手段110としての温度低下抑制用モード切換手段108を作動させることで、筒内噴射型内燃機関に特有の排ガス温度の低下に伴う触媒浄化効率の悪化を防止することができるという利点がある。
【0093】
つまり、通常運転モード設定手段107及び温度低下検出手段111としての温度低下判定手段105からの出力に応じて、温度低下抑制手段110としての温度低下抑制用モード切換手段108により機関の運転モードを切り換えることによって、層状超リーン燃焼による排ガス温度の低下を抑制することができ、これによって、排ガス温度の低下に伴う触媒浄化効率が悪化するのを防止することができるという利点がある。
【0094】
次に、第4実施形態について説明すると、この実施形態の排ガス浄化装置は、図12に示すように、上述の第1実施形態と、温度低下抑制手段110が異なるため、運転モード設定手段106及び燃料噴射制御手段101の構成が異なるものとなっている。
つまり、この実施形態では、温度低下抑制手段110は、温度低下抑制用運転モードへの切換制御を行なう機能(温度低下抑制用モード切換手段)108を有するものとして構成するのに代えて、図12に示すように、各気筒の膨張行程以降、即ち、排気行程内(具体的には、膨張行程末期から排気行程の間)の排気弁5の開放中に追加燃料噴射制御を行なう機能(追加燃料噴射制御手段)102を有するものとして構成するようにしている。
【0095】
つまり、通常の燃焼室内での燃焼のための燃料噴射の他に、触媒9を活性化するために、追加燃料を噴射するようになっている。この追加燃料噴射は、未燃の燃料成分を含んだ混合気を触媒9に供給することにより、混合気中の未燃燃料成分を触媒9により燃焼せしめて、触媒9を昇温させ、触媒9の温度低下を抑制するようにしているのである。
【0096】
このため、運転モード設定手段106は、第1実施形態の通常運転モード設定手段107と同様の機能のみ有するものとして構成される。したがって、ここでは、運転モード設定手段106の説明は省略する。
また、燃料噴射制御手段101は、図12に示すように、第1実施形態の燃料噴射制御手段101と同様の機能を有する通常燃料噴射制御手段103と触媒9の温度低下を抑制するために追加燃料噴射制御を行なう機能(追加燃料噴射制御手段)102とを備えて構成される。
【0097】
この追加燃料噴射制御手段102が、本実施形態の排ガス浄化装置において特徴的な構成要素であり、追加燃料噴射制御手段102では、触媒9が、一旦、触媒活性温度に達し活性化した後に、温度低下判定手段105によって触媒9の温度低下が判定された場合に、各気筒の排気行程内に追加燃料噴射を行なうように制御することによって、触媒9の温度低下を抑制するようになっている。このため、この追加燃料噴射制御手段102は、触媒9の温度低下を抑制するように作動する温度低下抑制手段110として機能するものである。
【0098】
この追加燃料噴射制御手段102では、図12に示すように、温度低下判定手段105及び運転モード設定手段106からの情報に基づき、触媒9の温度低下を抑制すべく追加燃料噴射制御を行なうようになっているため、ECU23には、触媒9の温度低下を判定する温度低下判定手段105が設けられている。
この温度低下判定手段105は、第1実施形態のものと同様の機能を有するものであるが、本実施形態では、さらに、触媒温度θC.C が可燃温度θ0 以上であるか否かも判定する機能をも有するように構成されている。
【0099】
ここで、可燃温度θ0 とは、触媒9が反応し、燃焼するために最低必要な温度である。触媒温度θC.C が可燃温度θ0 以上であるか否かも判定することとしているのは、可燃温度θ0 以下では追加燃料噴射により供給された未燃の燃料が触媒9上で燃焼しないためである。
なお、温度低下判定手段105と触媒温度センサ26とから温度低下検出手段111が構成される。
【0100】
また、追加燃料噴射制御手段102は、運転モード設定手段106によってリーン運転モードが設定されている場合(特定運転状態)に、各気筒の排気行程内に追加燃料噴射を行なうように制御するため、運転モード設定手段106からのリーン運転モードに設定されている旨の情報を取り込むようになっている。ここで、リーン運転モードに設定されている特定運転状態とは、減速燃料カットを含む低負荷運転状態を意味し、この低負荷運転状態にはアイドル運転状態も含まれる。
【0101】
これは、リーン運転モードに設定されている場合に、特に、排ガス温度が低下し、触媒温度θC.C が低下しやすいためである。一方、リーン運転モードに設定されている場合には、通常運転における主燃焼に使われる酸素量が少なく、余剰酸素量が多いという特徴があり、この余剰酸素を触媒9の温度低下抑制制御としての追加燃料噴射による燃焼に利用しようとするものでもある。
【0102】
なお、追加燃料噴射制御手段102では、運転モード設定手段106によってリーン運転モードが設定され、かつ、温度低下判定手段105によって触媒9の温度低下が判定された時を、排気行程における追加燃料噴射の噴射開始時期TINJ として決定するようになっている。ここで、噴射開始時期TINJ を決定するのは、後述するインジェクタ駆動時間tPLUSの設定の際に、基本駆動時間tB を補正するのに必要になるからである。
【0103】
このときの追加燃料の噴射時間(1作動サイクル内での全噴射時間)texは、主燃焼後に残存する余剰酸素に応じた燃料量Mfuelが噴射されるようにインジェクタ駆動時間tPLUSを設定するようになっている。これは、追加燃料を触媒9により燃焼させる際に、主燃焼後に残存する余剰酸素を追加燃料により完全燃焼させ、触媒9を効率的に昇温させることができるようにするためである。
【0104】
このインジェクタ駆動時間tPLUSの設定は、以下のようにして行なわれる。つまり、インジェクタ駆動時間tPLUSの設定は、排気行程における追加の燃料噴射において基本となる基本駆動時間tB を、噴射開始時期TINJ ,触媒温度θC.C によって補正することにより行なわれる。
ここで、基本駆動時間tB は、主燃焼後の余剰酸素に対して噴射可能な燃料量Mfuelに基づいて算出される。つまり、通常燃料噴射制御手段103によって求められる1気筒1サイクル当たりの吸入空気量Qと目標とする空燃比(目標A/F)とから主燃焼後に残存する酸素量が求められ、この酸素量に基づいて燃料量Mfuelが算出される。
【0105】
なお、燃料量Mfuelは、次式により求められる。
fuel=Q×(1/理論空燃比−1/目標空燃比)
また、排気行程における噴射開始時期TINJ による補正は、噴射開始時期TINJ と補正係数K2 とから予め設定されているマップから補正係数K2 が求められ、この補正係数K2 を基本駆動時間tB に掛ける(tB ×K2 )ことによって行なわれる。
【0106】
また、触媒温度θC.C による補正は、触媒温度θC.C と補正係数K3 とから予め設定されているマップから補正係数K3 が求められ、この補正係数K3 を基本駆動時間tB に掛ける(tB ×K3 )ことによって行なわれる。
このようにして、排気行程におけるインジェクタ駆動時間tPLUSは、次式により求められる。
【0107】
PLUS=tB ×K2 ×K3
このようにして設定された噴射開始時期TINJ 及びインジェクタ駆動時間tPLUSに応じて、追加燃料噴射は、通常の燃料噴射とは別個に排気行程において行なわれる。
なお、本実施形態における排ガス浄化装置におけるその他の構成については、上述の第1実施形態のものと同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0108】
本発明の第4実施形態としての排ガス浄化装置は、上述のように構成されており、運転モード設定手段106によって設定された運転モードに基づく燃料噴射制御は、上述の第1実施形態の通常運転モード設定手段107によって設定された運転モードに基づく燃料噴射制御と同様に行なわれるため、その説明は省略する。
【0109】
また、本実施形態の排ガス浄化装置による温度低下抑制制御、即ち、追加燃料噴射制御手段102による追加燃料噴射制御について、図13のフローチャートを参照しながら説明する。なお、この制御は一定の周期毎に実行される。
まず、ステップF1で、フラグFが0か否かを判定し、フラグFが0である場合はステップF10に進み、フラグFが0でない場合はステップF80に進む。ここで、フラグFは温度低下抑制制御中である場合に1となり、温度低下抑制制御中でない場合に0となり、また、初期設定時には0にセットされる。
【0110】
ステップF10では、触媒温度θC.C が可燃温度θ0 以上設定温度θ1 以下であるか否かを判定する(θ0 ≦θC.C ≦θ1 )。この結果、触媒温度θC.C が可燃温度θ0 以上設定温度θ1 以下である場合は、ステップF15に進んでフラグFを1にセットしてステップF20に進み、触媒温度θC.C が可燃温度θ0 以上設定温度θ1 以下でない場合は、温度低下抑制制御を行なわずリターンする。
【0111】
そして、ステップF20で、運転モード設定手段106により設定された運転モードがリーン運転モードであるか否かを判定し、この判定の結果、リーン運転モードである場合はステップF30に進み、温度低下抑制制御としての排気行程噴射制御を行なうべく、ステップF30〜F70までの処理を行ない、リーン運転モードでない場合は温度低下抑制制御としての排気行程噴射制御を行なわず、ステップF90に進んでフラグFを0にリセットして、リターンする。
【0112】
ところで、ステップF80では、温度低下抑制制御によって触媒温度θC.C が上昇し、触媒温度θC.C が設定温度θ2 以上になったか否かを判定する。この結果、触媒温度θC.C が設定温度θ2 以上でない場合は、温度低下抑制制御としての排気行程噴射制御を継続すべくステップF20に進み、触媒温度θC.C が設定温度θ2 以上である場合は、温度低下抑制制御としての排気行程噴射制御を終了するため、ステップF90に進んで、フラグFを0にリセットし、リターンする。
【0113】
排気行程噴射制御としては、ステップF30〜F70までの処理を行なうが、ステップF30では、排気行程における追加燃料噴射の噴射開始時期TINJ を決定する。そして、ステップF40で1気筒1サイクルあたりの吸入空気量Q、目標A/Fを読み込む。
次に、ステップF50で1気筒1サイクル当たりの吸入空気量Qと目標A/Fとから主燃焼後に残存する酸素量を求め、この酸素量に基づいて燃料量Mfuelを算出する。そして、ステップF60で排気行程における追加燃料噴射の基本駆動時間tB を噴射開始時期TINJ ,触媒温度θC.C によって補正して、排気行程におけるインジェクタ駆動時間tPLUSを設定する。
【0114】
そして、この設定に基づいて排気行程での追加の燃料噴射が行なわれる(ステップF70)。また、制御を簡易化するために、噴射開始時期を固定してもよい(固定時期は、例えば120°ATDCが考えられる)。
このようにして、本実施形態の排ガス浄化装置では、温度低下検出手段111を構成する温度低下判定手段105により触媒9の温度低下が検出されるとともに、運転モード設定手段106からの出力により触媒9の温度低下が予測されるリーン運転モード〔特定運転状態(減速燃料カットを含む低負荷運転状態)〕が検出された場合に、温度低下抑制手段110としての追加燃料噴射制御手段102により少なくとも機関の排気行程中に追加燃料を噴射することで、確実に触媒9の昇温が図ることができ、触媒9の浄化効率の悪化を未然に防止することができるという利点がある。
【0115】
次に、第5実施形態について説明すると、この実施形態の排ガス浄化装置は、図14に示すように、上述の第4実施形態ものと、温度低下検出手段111としての温度低下判定手段105が異なる。
つまり、この実施形態では、温度低下判定手段105が、触媒温度センサ26からの検出情報に基づいて触媒9の温度低下度合(温度低下勾配)を検出し、この温度低下度合に応じて設定温度θ1を変更し、この設定温度θ1によって、一旦、触媒温度θC.C が触媒活性温度に達して活性化した後に、触媒温度θC.C が低下したか否かを判定するようになっている。
【0116】
このため、温度低下判定手段105は、図14に示すように、上述の第2実施形態の温度低下判定手段105と同様の構成を有するが、さらに、触媒温度θC.C が可燃温度θ0 以上であるか否かも判定する機能をも有するように構成されている。ここでは、第2実施形態の温度低下判定手段105と同様の構成についてはその説明は省略する。
【0117】
なお、本実施形態における排ガス浄化装置におけるその他の構成については、上述の第4実施形態のものと同様であるため、ここではその説明を省略する。
本発明の第5実施形態としての排ガス浄化装置は、上述のように構成されており、通常運転モード設定手段107によって設定された運転モードに基づく燃料噴射制御は、上述の第1実施形態と同様に行なわれるため、その説明は省略する。
【0118】
また、本実施形態の排ガス浄化装置による温度低下抑制制御、即ち、追加燃料噴射制御手段102による追加燃料噴射制御について、図15のフローチャートを参照しながら説明する。なお、この制御は一定の周期毎に実行される。
まず、ステップG10で、Δθ算出部105Aにより触媒温度検出モード(図8参照)を実行し、触媒温度θC.C の一定時間における変化量Δθを算出する。つまり、図8に示すように、ステップE10で一定時間毎に触媒温度θC.C を読み込み、これに基づいて、ステップE20で触媒温度θC.C の一定時間の変化量Δθを算出する。
【0119】
次に、ステップG15で、フラグFが0か否かを判定し、フラグFが0である場合はステップG20に進み、フラグFが0でない場合はステップG90に進む。ここで、フラグFは温度低下抑制制御中である場合に1となり、温度低下抑制制御中でない場合に0となり、また、初期設定時には0にセットされる。
そして、ステップG20で、θ1,θ2読込部105Bによって、ステップD20で算出された変化量Δθに基づいて設定温度θ1をマップから読み込み、ステップG30に進む。ここで、設定温度θ1を可変とするマップは、基本的に触媒温度θC.C の変化量Δθが温度低下側に大きく変化した場合(即ち、温度低下度合が大の場合)、設定温度θ1を高くするように設定されている。
【0120】
ステップG30では、判定部105Cによって、触媒温度θC.C が可燃温度θ0 以上設定温度θ1以下であるか否かを判定し、この判定の結果、触媒温度θC.C が可燃温度θ0 以上設定温度θ1以下である場合はステップG35に進んでフラグFを1にセットしてステップG40に進み、触媒温度θC.C が可燃温度θ0以上設定温度θ1以下でない場合は、温度低下抑制制御と行なわず、リターンする。
【0121】
そして、ステップG40で、運転モード設定手段106により設定された運転モードがリーン運転モードであるか否かを判定し、この判定の結果、リーン運転モードである場合は、温度低下抑制制御としての排気行程噴射制御を行なうべく、ステップG45〜G80までの処理を行ない、リーン運転モードでない場合は温度低下抑制制御としての排気行程噴射制御を行なわず、ステップG110に進んでフラグFを0にリセットして、リターンする。
【0122】
ところで、ステップG90では、θ1,θ2読込部105Bによって、ステップG10で算出された変化量Δθに基づいて設定温度θ2をマップから読み込み、ステップG100に進む。ここで、設定温度θ2を可変とするマップは、基本的に触媒温度θC.C の変化量Δθが温度上昇側に大きく変化した場合(即ち、温度上昇度合が大の場合)、設定温度θ2を低くするように設定されている。
【0123】
そして、ステップG100で、温度低下抑制制御によって触媒温度θC.C が上昇し、触媒温度θC.C が設定温度θ2以上になったか否かを判定する。この結果、触媒温度θC.C が設定温度θ2以上でない場合は、温度低下抑制制御としての排気行程噴射制御を継続すべくステップG40に進み、触媒温度θC.C が設定温度θ2以上である場合は、温度低下抑制制御としての排気行程噴射制御を行なわず、ステップG110に進みフラグFを0にリセットして、リターンする。
【0124】
排気行程噴射制御としては、ステップG45〜G80までの処理を行なうが、これは、第4実施形態において、図13を参照しながら説明した排気行程噴射制御のステップF30〜ステップF70に相当するものであるため、ここでは、その説明を省略する。
このようにして、本実施形態の排ガス浄化装置では、第4実施形態と同様な効果が得られるとともに、設定温度θ1を可変とすることで、触媒温度低下度合が大きい場合には早い時期から少なくとも機関の排気行程中に追加燃料を噴射することで、確実に触媒9の昇温が図ることができ、触媒9の浄化効率の悪化を未然に防止することができるという利点がある。また、設定温度θ2を可変とすることで、触媒温度低下抑制制御によって触媒温度が急に上昇した場合でも、早い時期に触媒温度低下抑制制御を停止させ、触媒の過昇温を防止することができる利点もある。
【0125】
次に、第6実施形態について説明すると、この実施形態の排ガス浄化装置は、図16に示すように、上述の第1実施形態のものと第4実施形態のものとを組み合わせたものである。これは、触媒の温度低下が予測される定常走行運転時に、減速燃料カットを含む低負荷運転時(アイドル運転時も含む)に効率よく確実に触媒の温度低下を防止するために構成されている。
【0126】
そして、この実施形態では、燃料噴射制御手段101が、第4実施形態のものと同様に構成されており、その他の構成については、第1実施形態のものと同様な構成にされている。そして、温度低下抑制用モード切換手段(第1手段)108と追加燃料噴射制御手段(第2手段)102とから温度低下抑制手段110が構成され、これらの温度低下抑制用モード切換手段108又は追加燃料噴射制御手段102による温度低下抑制制御を運転状態によって切り換えるようにしている。
【0127】
さらに説明すると、触媒温度センサ26により触媒温度が所定温度よりも低くなり、その後、スロットルセンサ14等の出力から機関の運転状態を判定し、その時の運転状態が定常走行運転状態の場合には、温度低下抑制手段110としての温度低下抑制用モード切換手段108によって温度低下抑制制御を行ない、減速燃料カットを含む低負荷運転状態(アイドル運転状態を含む)の場合には、温度低下抑制手段110としての追加燃料噴射制御手段102によって温度低下抑制制御を行なうようになっている。
【0128】
本実施形態の排ガス浄化装置は、上述のように構成されているため、温度低下抑制用モード切換手段108によって運転モード(燃焼状態)を切り換えることによる温度低下抑制制御と追加燃料噴射制御手段102によって追加燃料を噴射することによる温度低下抑制制御とを機関の運転状態に応じて選択的に行なうようにすることで、燃料消費の悪化を最小限に抑制しながら、確実に触媒9の温度低下(触媒の浄化効率の低下)を防止することができるという利点がある。
【0129】
なお、本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、例えば第1実施形態では、触媒の温度に応じて温度低下抑制制御の作動及び停止を行なっているが、温度低下抑制制御の作動を触媒の温度に応じて開始させ、その後、温度低下抑制制御の継続時間、つまり、運転モードが切り換わってからの時間に応じて、温度低下抑制制御を終了させるように設定してもよい。
【0130】
また、第1,2,3,6実施形態の排ガス浄化装置では、温度低下抑制用運転モードとして選択される運転モードを前期リーン運転モードとしているが、これに限られるものではなく、触媒の温度上昇に応じて段階的に運転モードを前期リーン運転モードからストイキオ運転モードに切り換えてもよく、また、触媒温度θC.C を急激に上昇させる必要がある状況では、後期リーン運転モードから直接ストイキオ運転モードが選択されるようにしてもよい。これは、三元触媒9Bに比べ触媒活性温度が高く活性温度域の狭いリーンNOX 触媒9Aの温度低下を抑制するのに、特に有効である。
【0131】
また、第1,2,3,6実施形態の排ガス浄化装置では、触媒温度θC.C が非常に低くなっている場合に、効率よく触媒温度θC.C を上昇させるには、まず、温度低下抑制用運転モードとしてのストイキオ運転モードに切り換えるようにしてもよい。この場合、触媒9の過昇温を防止すべく、触媒温度がある程度上昇したことが検出又は推定された場合に、さらに、温度低下抑制用運転モードとしての前期リーン運転モードに切り換えるようにするとよい。
【0132】
さらに、第1,2,3,6実施形態の排ガス浄化装置では、通常運転モードとして後期リーン運転モードが選択されている場合としているが、前期リーン運転モードにおいて運転状態によって排ガス温度が低下する場合には、温度低下抑制用運転モードとしてのストイキオ運転モードに切り換えるようにしてもよい。また、第1,2,3,6実施形態の排ガス浄化装置では、通常運転モードとして後期リーン運転モード,前期リーン運転モード及びストイキオ運転モードを切り換える機関に備えられるものとして説明しているが、機関が後期リーン運転モードと前期リーン運転モードとを切り換えるものとして構成されている場合には、温度低下抑制用運転モードとして前期リーン運転モードが設定されるようにすればよく、また、機関が後期リーン運転モードとストイキオ運転モードとを切り換えるものとして構成されている場合には、温度低下抑制用運転モードとしてストイキオ運転モードが設定されるようにすればよい。
【0133】
また、第1,2,3,6実施形態の排ガス浄化装置では、スロットルセンサ14からの検出情報をも取り入れることによって、定常運転状態において温度低下抑制用モード切換手段108による温度低下抑制制御を行なうようにしているが、このような判定を行なわず、触媒温度θC.C のみに基づいて制御を行なうか否かを判定するようにしてもよい。
【0134】
さらに、温度低下抑制手段として、本エンジンの一部の気筒については圧縮行程中に燃料噴射を行なう層状超リーン燃焼とし、他の気筒については吸気行程中に燃料噴射を行ないストイキオ又は燃料リッチな空燃比による予混合燃焼として、ストイキオ又は燃料リッチの気筒から排出される未燃成分(CO,HC,H2等)と燃料リーンの気筒から排出されるO2 とによる酸化反応によって、触媒を昇温させるように構成してもよく、さらに、上述した各運転状態と組み合わせて、各運転状態毎に効率よく触媒の昇温を図るようにしてもよい。
【0135】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の排ガス浄化装置によれば、温度低下検出手段により触媒の温度低下が判定された場合に温度低下抑制手段を作動させることで、筒内噴射型内燃機関に特有の排ガス温度の低下に伴う触媒浄化効率の悪化を防止することができるという利点がある。
【0136】
また、付加デバイス無しの安価なシステムで、層状超リーン燃焼による排ガス温度の低下を抑制することができ、これによって、排ガス温度の低下に伴う触媒浄化効率が悪化するのを防止することができるという利点がある。
請求項2記載の本発明の排ガス浄化装置によれば、触媒温度が設定温度よりも若干低くなった場合には、運転モードを燃料消費の悪化を考慮してリーン運転モードとし、触媒の排ガス浄化効率を維持することができるとともに、触媒温度が設定温度よりもかなり低下した場合には、触媒の排ガス浄化効率が極めて悪化してしまうので運転モードをストイキオ運転モードとし、積極的に触媒の温度を昇温させて、触媒の浄化効率の悪化を防止することができるという利点がある。
【0137】
請求項3記載の本発明の排ガス浄化装置によれば、燃焼状態の切換と追加燃料噴射とを選択的に行なうようにすることで、燃料消費の悪化を抑制しながら、確実に触媒の温度低下(触媒の浄化効率の低下)を防止することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての排ガス浄化装置の制御系の要部構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態としての排ガス浄化装置における制御ブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態としての排ガス浄化装置の全体構成図である。
【図4】本発明の第1実施形態としての排ガス浄化装置の燃料噴射制御を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態としての排ガス浄化装置の温度低下抑制制御を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態としての排ガス浄化装置の制御系の要部構成を模式的に示す制御ブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態としての排ガス浄化装置の温度低下抑制制御を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態としての排ガス浄化装置の温度低下抑制制御における触媒温度検出モードを説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施形態としての排ガス浄化装置において用いられる設定温度を説明するため図であり、(a)は設定温度θ1 ,設定温度θ2 、(b)は設定温度θ1,設定温度θ2をそれぞれ説明するためのものである。
【図10】本発明の第3実施形態としての排ガス浄化装置の制御系の要部構成を模式的に示す制御ブロック図である。
【図11】本発明の第3実施形態としての排ガス浄化装置の温度低下抑制制御を説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の第4実施形態としての排ガス浄化装置の制御系の要部構成を模式的に示す制御ブロック図である。
【図13】本発明の第4実施形態としての排ガス浄化装置の温度低下抑制制御を説明するためのフローチャートである。
【図14】本発明の第5実施形態としての排ガス浄化装置の制御系の要部構成を模式的に示す制御ブロック図である。
【図15】本発明の第5実施形態としての排ガス浄化装置の温度低下抑制制御を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の第6実施形態としての排ガス浄化装置の制御系の要部構成を模式的に示す制御ブロック図である。
【符号の説明】
1 燃焼室
2 吸気通路
2a サージタンク
3 排気通路
4 吸気弁
5 排気弁
6 エアクリーナ
7 スロットル弁
8 インジェクタ(燃料噴射弁)
8a インジェクタソレノイド
8b インジェクタソレノイド用スイッチングトランジスタ
9 排出ガス浄化用触媒としての排出ガス浄化用触媒コンバータ
9A リーンNOx 触媒
9B 三元触媒
10 排出ガス再循環装置(EGR装置)
10b 排気還流通路
10a EGRバルブ(排出ガス還流手段)
11 エアフローセンサ
12 吸気温センサ
13 大気圧センサ
14 スロットルセンサ
15 アイドルスイッチ
16 アイドルスピードコントロールバルブ(ISCバルブ)
16A バイパス路
17 酸素濃度センサ(O2 センサ)
19 冷却水温度センサ
20 クランキングスイッチ又はイグニッションスイッチ
21 クランク角センサ(エンジン回転数センサ)
22 TDCセンサ(気筒判別センサ)
23 電子制御ユニット(ECU)
24 アクセルポジションセンサ
25 バッテリセンサ
26 触媒温度センサ(触媒温度検出手段)
27 CPU
28,29 入力インタフェイス
30 アナログ/デジタルコンバータ
31 ROM
32 RAM
34 噴射ドライバ(燃料噴射弁駆動手段)
35 点火プラグ
50 エアバイパスバルブ(ABV)
50A バイパス路
101 燃料噴射制御手段
102 追加燃料噴射制御手段(温度低下抑制手段)
103 通常燃料噴射制御手段
104 各種センサ類
105 温度低下判定手段(温度低下検出手段)
105A Δθ算出部
105B θ1,θ2読込部
105C 判定部
106 運転モード設定手段
107 通常運転モード設定手段
108 温度低下抑制用モード切換手段
109A タイマ
109B タイマ
110 温度低下抑制手段
111 温度低下検出手段

Claims (3)

  1. 燃焼室内に直接燃料を噴射し、理論空燃比よりも空燃比の大きい層状超リーン燃焼を運転状態に応じて行なう筒内噴射型内燃機関に設けられ、
    上記機関の排気通路内に配設され排ガスを浄化する触媒と、
    上記触媒の温度を検出して上記触媒の温度低下を検出もしくは予測することにより、または温度低下を生じる特定運転状態を検出して上記触媒の温度低下を推定することにより、上記触媒の温度が触媒活性温度に達して活性化した後の上記触媒の温度低下を検出する温度低下検出手段と、
    上記温度低下検出手段により上記触媒の温度低下が検出された場合に上記触媒の温度低下を抑制するように作動する温度低下抑制手段とを備え、
    上記筒内噴射型内燃機関は、
    上記層状超リーン燃焼と、該層状超リーン燃焼よりも燃焼空燃比の小さい予混合燃焼とを運転状態に応じて切り換えて行なうものであり、
    上記予混合燃焼を行なうために理論空燃比近傍で運転するストイキオ運転モード又は理論空燃比よりも大きな空燃比で運転するリーン運転モードを有し、
    上記温度低下抑制手段は、上記温度低下検出手段からの出力に応じて上記触媒の温度が第1設定値よりも低くなるか又は低くなることが予測される場合に上記機関の運転を上記予混合燃焼のリーン運転モードに切り換え、さらに上記温度低下検出手段からの出力に応じて上記触媒の温度が上記第1設定値よりも低い温度として設定された第2設定値よりも低くなるか又は低くなることが予測される場合に上記機関の運転を上記予混合燃焼のストイキオ運転モードに切り換えることを特徴とする、排ガス浄化装置。
  2. 燃焼室内に直接燃料を噴射し、理論空燃比よりも空燃比の大きい層状超リーン燃焼を運転状態に応じて行なう筒内噴射型内燃機関に設けられ、
    上記機関の排気通路内に配設され排ガスを浄化する触媒と、
    上記触媒の温度を検出して上記触媒の温度低下を検出もしくは予測することにより、または温度低下を生じる特定運転状態を検出して上記触媒の温度低下を推定することにより、上記触媒の温度が触媒活性温度に達して活性化した後の上記触媒の温度低下を検出する温度低下検出手段と、
    上記温度低下検出手段により上記触媒の温度低下が検出された場合に上記触媒の温度低下を抑制するように作動する温度低下抑制手段とを備え、
    上記筒内噴射型内燃機関は、上記層状超リーン燃焼と、該層状超リーン燃焼よりも燃焼空燃比の小さい予混合燃焼とを運転状態に応じて切り換えて行なうものであり、
    上記予混合燃焼が、理論空燃比で運転するストイキオ運転モードと上記理論空燃比よりも大きな空燃比で運転するリーン運転モードとの2つの運転モードを有し、
    上記温度低下検出手段は、上記触媒の温度を検出して上記触媒の温度低下を検出又は予測するように構成され、
    上記温度低下抑制手段は、該温度低下検出手段により上記触媒の温度が予め設定された第1設定値よりも低くなる場合又は低くなることが予測された場合には上記運転モードを上記リーン運転モードとし、さらに上記温度低下検出手段により上記触媒の温度が上記第1設定値よりも低い温度に設定された第2設定値よりも低くなる場合又は低くなることが予測された場合には上記運転モードを上記ストイキオ運転モードとすることを特徴とする、排ガス浄化装置。
  3. 燃焼室内に直接燃料を噴射し、理論空燃比よりも空燃比の大きい層状超リーン燃焼を運転状態に応じて行なう筒内噴射型内燃機関に設けられ、
    上記機関の排気通路内に配設され排ガスを浄化する触媒と、
    上記触媒の温度を検出して上記触媒の温度低下を検出もしくは予測することにより、または温度低下を生じる特定運転状態を検出して上記触媒の温度低下を推定することにより、上記触媒の温度が触媒活性温度に達して活性化した後の上記触媒の温度低下を検出する温度低下検出手段と、
    上記温度低下検出手段により上記触媒の温度低下が検出された場合に上記触媒の温度低下を抑制するように作動する温度低下抑制手段とを備え、
    上記筒内噴射型内燃機関は、上記層状超リーン燃焼と該層状超リーン燃焼よりも燃焼空燃比の小さい予混合燃焼とを運転状態に応じて切り換えて行なうものであり、
    上記温度低下抑制手段は、上記層状超リーン燃焼と上記予混合燃焼とを切り換える第1手段と、上記機関の膨張行程以降に追加燃料を噴射する第2手段とを有し、
    上記温度低下抑制手段が、上記機関の定常運転状態のときに上記第1手段を選択して上記層状超リーン燃焼から上記予混合燃焼へ切り換える一方、上記機関の低負荷運転状態のときに上記第2手段を選択することを特徴とする、排ガス浄化装置。
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