JP3832267B2 - 微粒子数の低減されたフォトレジスト液製品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は微粒子数の低減されたフォトレジスト液製品の製造方法に関し、詳しくは、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等の放射線によって作用するリソグラフィに適したフォトレジスト液製品を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
微粒子数が低減されたフォトレジスト液製品は、従来、フッ素系樹脂製及びポリオレフィン製のフィルターから選ばれる1種以上のフィルターにより、原料フォトレジスト液を濾過して製造されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記フィルターは繰り返し濾過操作に使用すると、フィルターに捕捉された微粒子により目詰まりしてしまい、事実上使い捨てになるため、従来の製造方法は、結果的にコストがかさむものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、コストがかさまないフォトレジスト液製品の製造方法を提供すべく鋭意検討した結果、一回以上原料フォトレジスト液の濾過に使用されたフッ素系樹脂製及びポリオレフィン製のフィルターから選ばれる1種以上のフィルターを、他の有機溶媒を含んでいてもよいN−メチルピロリドンを用いて濾過時の方向とは逆向きに洗浄し、この逆洗浄されたフィルターにより前記の原料フォトレジスト液を濾過すると、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は、フッ素系樹脂製製及びポリオレフィン製のフィルターから選ばれる1種以上のフィルターにより、原料フォトレジスト液を濾過してフォトレジスト液製品を製造する方法であって、一回以上原料フォトレジスト液の濾過に使用された上記1種以上のフィルターを、他の有機溶媒を含んでいてもよいN−メチルピロリドンを用いて濾過時の方向とは逆向きに洗浄し、この逆洗浄されたフィルターにより前記の原料フォトレジスト液を濾過することを特徴とする微粒子数の低減されたフォトレジスト液製品の製造方法を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる原料フォトレジスト液は、上記リソグラフィに適用できるものであればよいが、好ましくは、上記フォトレジスト液中の樹脂成分又は感光剤成分が、N−メチルピロリドンの希薄濃度溶液中において、容易に溶解又は分解するものを挙げることができる。このような感光剤成分としては、例えば、o−ベンゾキノンジアジドスルホン酸エステル、o−ベンゾキノンジアジドスルホン酸アミド、o−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルやo−ナフトキノンジアジドスルホン酸アミドのようなキノンジアジドスルホン酸エステル及びキノンジアジドスルホン酸アミド等が挙げられる。
【0007】
本発明において用いられる他の有機溶媒としては、N−メチルピロリドンと混和するものであればよいが、好ましくは、例えば、原料フォトレジスト液中に含まれる溶媒が挙げられる。このような原料フォトレジスト液中に含まれる溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ピルビン酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブアセテート及びエチルセロソルブアセテート等が例示される。
原料フォトレジスト液中の樹脂成分としては、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。
又、アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、ポジ型フォトレジストに用いられるノボラック樹脂が好ましい。
【0008】
本発明は、一回以上原料フォトレジスト液の濾過に使用された上記フィルターを、他の有機溶媒を含んでいてもよいN−メチルピロリドンを用いて濾過時の方向とは逆向きに洗浄し、この逆洗浄されたフィルターにより前記の原料フォトレジスト液を濾過することを特徴とするものであるが、原料フォトレジスト液を、一旦、フッ素系樹脂製のフィルターに通過させ、その後、ポリオレフィン製のフィルターに通過させる方法が好ましい。
本発明において用いられるフッ素系樹脂製フィルターとしては、ポリテトラフルオロエチレン製のものがこのましい。又、ポリオレフィン製のフィルターとしては、ポリエチレン製のものが好ましい。
本発明において、逆洗浄後に再使用するフィルターとしては、ポリエチレン製のフィルターが好ましい。
フィルターの逆洗浄の際には、原料フォトレジスト液に含まれる感光剤成分が、N−メチルピロリドン溶液中において、1〜500ppmの範囲の希薄濃度になることが好ましい。例えば、o−ベンゾキノンジアジドスルホン酸エステル、o−ベンゾキノンジアジドスルホン酸アミド、o−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルやo−ナフトキノンジアジドスルホン酸アミド等のポジ型フォトレジストに用いられる感光剤成分は、比較的、フォトレジスト液中の微粒子数の増加原因となりやすいが、フィルターに残存している感光剤成分が上記濃度範囲でN−メチルピロリドンにより分解されやすいので、効率的な逆洗浄を行うことが可能になる。
【0009】
本発明で好ましく用いられるポリテトラフルオロエチレン製のフィルターとしては、例えば、ABD1UFD3E[日本ポール(株)製]、ABD1UFT3EN[日本ポール(株)製]等が挙げられる。孔径は、通常0.01〜1μm程度のものが使用される。又、本発明で好ましく用いられるポリエチレン製のフィルターとしては、例えば、SH4M228J3[日本ミリポア(株)製]、CS09XFE[三菱化成(株)製]、CS20XFE[三菱化成(株)製]等が挙げられる。孔径は、通常0.01〜0.2μm程度のものが使用される。
【0010】
【実施例】
以下、実施例等により、本発明を更に詳細に説明する。
【0011】
参考例1
図1に記載の装置[配管における太線及び矢印は、液の流れ方向を示す。]を用いて、ポリエチレン製のフィルターSH4M228J3[孔径0.2μm、日本ミリポア(株)製]の逆洗浄を行った。
上記ポリエチレン製フィルターは、原料フォトレジスト液を一回濾過して、住友化学工業(株)製PFI−32A6[アルカリ可溶性ノボラック樹脂、キノンジアジドスルホン酸エステル系感光剤及び2−ヘプタノンからなるポジ型フォトレジスト液製品]を得たときに使用したものである。又、図1記載の釜(1)内には、アルカリ可溶性ノボラック樹脂、キノンジアジドスルホン酸エステル系感光剤及び2−ヘプタノン等を混合することにより調製された上記PFI−32A6(原料フォトレジスト液)の残液が溜まっている。
【0012】
上記原料フォトレジストの残液が溜まった釜(1)からフィルターハウジング(2)内までのバルブや配管、並びに、フィルターハウジング(2)からフィルターハウジング(3)内までのバルブや配管を、2−ヘプタノン、N−メチルピロリドン及び2−ヘプタノンを用いて、この順に逆洗浄した。
最初の2−ヘプタノンによる洗浄(以下、粗洗浄という)は3回行い、それぞれ順に、2−ヘプタノンを14.1kg、7.4kg及び8.4kg使用した。2番目のN−メチルピロリドンによる洗浄(以下、NMP洗浄という)は2回行い、それぞれ順に、NMPを5.4kg及び7kg使用した。3番目の2−ヘプタノンによる洗浄(以下、置換洗浄という)は7回行い、それぞれ順に、2−ヘプタノンを5kg、6.2kg、6kg、7.2kg、6kg、8kg及び7kg使用した。
2回目の粗洗浄後に得られた液中の感光剤濃度は0.4ppmであり、3回目の粗洗浄後に得られた液中には、感光剤は検出されなかった。又、1回目の置換洗浄後に得られた液中のNMP濃度は2807ppmであり、4回目の置換洗浄後に得られた液中のNMP濃度は93ppmであり、7回目の置換洗浄後に得られた液中のNMP濃度は29ppmであった。なお、フィルターハウジング(2)は、溶媒由来の微粒子のカットを主目的として設けている。
【0013】
参考例2
ポリエチレン製のフィルターSH4M228J3(購入直後の新品を2−ヘプタノンで湿潤させたもの)と、参考例1で得た逆洗浄後のポリエチレン製フィルターSH4M228J3(以下、再使用品という)とを、図2記載のフィルターハウジング(3)内にそれぞれ別個に装着し、図2記載の装置を用いて以下に記すテストを行った。
【0014】
<粒子除去性能に影響するフィルター微細孔構造の損壊有無の確認試験>
フィルターハウジング(3)の側部に設けたバルブ(5)から窒素ガスを導入し、バルブ(6)を調節することにより、上記装着したフィルターを一定時間加圧後、拡散通過ガス量を捕集して、フィルター微細孔構造の損壊有無を試験した。窒素圧150kPaにおいても、再使用品の拡散通過ガス量は、新品フィルターの拡散通過ガス量以下であり、フィルターの微細孔構造の損壊がないことが確認された。
【0015】
参考例3
参考例1で得たポリエチレン製フィルターSH4M228J3(再使用品)を上記PFI−32A6(フォトレジスト液製品)に浸漬し、前記PFI−32A6製品(フィルターの浸漬はなし)を対照として、0.2μm径以上の微粒子数の変化を経時的に試験して、表1の結果を得た。
【0016】
【0017】
表1のとおり、室温以上の温度では、微粒子数の増加は認められなかった。このことから、参考例1で得た再使用ポリエチレン製フィルターは2−ヘプタノンに対する耐性に優れており、このフィルターをフォトレジスト液の濾過に使用しても、微粒子数増加の原因にならないことが判る。
【0018】
実施例1
図3記載の装置[参考例1で得たポリエチレン製フィルターSH4M228J3(再使用品)をフィルターハウジング(3)内に装着している。又、フィルターハウジング(2)は、原料レジストを構成する溶媒由来の微粒子のカットを主目的として設けている。なお、配管における太線及び矢印は、液の流れ方向を示す]を用い、参考例1で使用した原料フォトレジスト液を、窒素ガス加圧によるワンパス方式で濾過した結果、0.2μm径以上の微粒子数の少ないフォトレジスト製品が得られた。
なお、本例では窒素ガス加圧によるワンパス方式で濾過したが、ポンプを用いて循環方式で濾過しても、ワンパス方式と同様、微粒子数の少ないフォトレジスト製品が得られる。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、フォトレジスト製品を工業的有利に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で用いた装置
【図2】参考例2で用いた装置
【図3】実施例1で用いた装置
【符号の説明】
1・・釜、2・・フィルターハウジング、3・・フィルターハウジング、4・・逆洗浄入口部、5・・開閉用バルブ、6・・圧力調節用バルブ
Claims (10)
- フッ素系樹脂製及びポリオレフィン製のフィルターから選ばれる1種以上のフィルターにより、原料フォトレジスト液を濾過してフォトレジスト液製品を製造する方法であって、一回以上原料フォトレジスト液の濾過に使用された上記1種以上のフィルターを、他の有機溶媒を含んでいてもよいN−メチルピロリドンを用いて濾過時の方向とは逆向きに洗浄し、この逆洗浄されたフィルターにより前記の原料フォトレジスト液を濾過することを特徴とする微粒子数の低減されたフォトレジスト液製品の製造方法。
- フッ素系樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンである請求項1に記載の製造方法。
- ポリオレフィンが、ポリエチレンである請求項1又は2に記載の製造方法。
- 原料フォトレジスト液中の樹脂成分又は感光剤成分が、N−メチルピロリドンの希薄濃度溶液中において容易に溶解又は分解するものである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 他の有機溶媒が、原料フォトレジスト液中に含まれる溶媒である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 原料フォトレジスト液中に含まれる溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、ピルビン酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブアセテート又はエチルセロソルブアセテートである請求項5に記載の製造方法。
- 濾過が、フッ素系樹脂製のフィルター及びポリオレフィン製のフィルターを通過させるものである請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
- 原料フォトレジスト液中の樹脂成分が、アルカリ可溶性樹脂である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
- アルカリ可溶性樹脂が、ノボラック樹脂である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
- 逆洗浄されたフィルターが、ポリオレフィン製のフィルターである請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
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