JP3829353B2 - 熱収縮性ポリエステル系フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱収縮性ポリエステル系フィルムに関し、さらに詳しくは熱収縮性フィルムの収縮後にシワ、収縮斑、歪みの発生が極めて少なく、かつ衝撃に対する耐破断性に優れた、ラベル用途に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱収縮性フィルム、特にボトルの胴部のラベル用収縮フィルムの分野では、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等からなるフィルムが主として用いられていたが、近年、ポリ塩化ビニルについては廃棄時に焼却する際の塩素系ガス発生の問題、ポリエチレンについては印刷が困難である問題等があり、さらにPETボトルの回収にあたってはPET以外の樹脂ラベルを分別する必要がある等の問題が加わり、熱収縮性ポリエステル系フィルムが注目を集めている。
ところが、熱収縮性ポリエステル系フィルムは、急激に収縮するものが多く、収縮後にシワ、収縮斑、歪みが残り、また収縮後に外部から与えられた衝撃による破断が生じやすい等ラベル用収縮フィルムとして満足されるものではなかった。
かかる欠点の一部を回避するため、特開平1−110931号公報では主収縮方向と直交する方向の破断伸度を著しく小さくすることによって収縮仕上がり性を改良する方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法で得られた収縮性フィルムにあっても、印刷、ラベリング等の工程でテンションがかかると破断しやすいだけでなく、内容物を充填したボトルの胴部に環状に収縮して装着された状態でボトルをまとめて輸送を実施すれば、相互にあるいは箱体と当たってラベル破れが起こりやすくなり、やはりラベル用等の収縮フィルムとしての実用性に乏しいフィルムであった。
このように、熱収縮性ポリエステル系フィルムでは、収縮仕上がり性と収縮前あるいは後の耐破断性を両立させることが重要な課題であった。
本発明は、上記従来の熱収縮性ポリエステル系フィルムの有する問題点を解決し、収縮後にシワ、収縮斑、歪みの発生が極めて少なく、かつ衝撃に対する耐破断性に優れた、ラベル用途に好適な熱収縮性ポリエステル系フィルムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ジカルボン酸成分中テレフタル酸成分が70モル%以上、ジオール成分中エチレングリコール成分が70モル%以上で、他の成分としてネオペンチルグリコール成分、ブタンジオール成分、アジピン酸成分、イソフタル酸成分の1種または2種以上の成分を含有したポリエステルからなる延伸されたフィルムであって、90℃のエアーオーブン中で加熱開始から1分後までの間に発現する主収縮方向の収縮応力の最大値(σmax)が0.5〜1.2Kg/mm2、75℃温水中で10秒間処理後の主収縮方向の熱収縮率が40%以下、95℃温水中で10秒間処理後の主収縮方向の熱収縮率が50%以上であることを特徴とする。
【0005】
上記の構成からなる本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、安定した熱収縮性を有し、かつ収縮後にシワ、収縮斑、歪みの発生が極めて少なく、かつ衝撃に対する耐破断性に優れた、ラベル用途に好適な熱収縮性フィルムである。
【0006】
また、上記の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、ジカルボン酸成分中テレフタル酸成分が70モル%以上、ジオール成分中エチレングリコール成分が70モル%以上で、他の成分としてネオペンチルグリコール成分、ブタンジオール成分、アジピン酸成分、イソフタル酸成分の1種または2種以上の成分を含有したポリエステル未延伸フィルムを主収縮方向となる方向に延伸するにあたり、全延伸倍率を3.0倍以上、全延伸倍率の40〜60%を延伸する前段の延伸温度をTg(ガラス転移点)+10〜Tg+40℃、その後の、全延伸倍率の60〜40%を延伸する後段の延伸温度をTg−15〜Tg+10℃で且つ前段の延伸温度より低い温度で延伸することにより製造することができる。
【0007】
この熱収縮性ポリエステル系フィルムの製造法は、安定した熱収縮性を有し、かつ収縮後にシワ、収縮斑、歪みの発生が極めて少なく、かつ衝撃に対する耐破断性に優れた、ラベル用途に好適な熱収縮性フィルムを製造する方法であって、延伸条件を選んで収縮特性を一定範囲にすれば、収縮仕上がり性と耐破断性が両立した熱収縮性ポリエステル系フィルムが得られるのである。本発明方法の基本的な考え方は主収縮方向の延伸の前段を高温に保持することにより収縮仕上がり性を良化させ、主収縮方向の延伸の後段を低温に保持することにより耐破断性を良化させることである。また、本発明では主収縮方向をフィルム製造時の巾方向(横方向)とすることが熱収縮性フィルムの使用時の利便性から考えて好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を具体的に説明する。
本発明で用いるポリエステルは、ジカルボン酸成分中テレフタル酸成分が70モル%以上、ジオール成分中エチレングリコール成分が70モル%以上であるポリエステルであって、より具体的にはテレフタル酸以外のジカルボン酸成分として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の公知のジカルボン酸の1種または2種以上を示すことができる。また、エチレングリコール以外のグリコール成分としてネオペンチルグリコール成分、ブタンジオール成分、アジピン酸成分、イソフタル酸成分の1種または2種以上を示すことができる。また、収縮仕上がり性が特に優れた熱収縮性ポリエステルフィルムとするためには、ネオペンチルグリコールがグリコール成分の残りの成分であるポリエステルを使用することが好ましい。
なお、本発明において用いるジカルボン酸成分中テレフタル酸成分が70モル%以上、ジオール成分中エチレングリコール成分が70モル%以上であるポリエステルとは、2種以上のポリエステルを混合して用いる場合、混合後にエステル交換がなされているかどうかに関わらずポリエステル全体の中のジカルボン酸成分中に占めるテレフタル酸の割合い、グリコール成分中に占めるエチレングリコールの割合いをそれぞれ示す。
【0009】
本発明の熱収縮性フィルムを構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分中テレフタル酸成分が70モル%以上、ジオール成分中エチレングリコール成分が70モル%以上であるポリエステルであるが、テレフタル酸、エチレングリコールがそれぞれジカルボン酸成分、ジオール成分中70モル未満の場合、得られた熱収縮性フィルムの収縮後の耐破断性が低下する。
【0010】
本発明の熱収縮性フィルムは90℃のエアーオーブン中で加熱開始から1分後までの間に発現する主収縮方向(最大の収縮率を有する方向)の収縮応力の最大値(σmax)が0.5〜1.2Kg/mm2である特性を有する。熱収縮性フィルムの収縮応力の最大値(σmax)が1.2Kg/mm2を越える場合、ボトル等の被包装体を包装して収縮トンネルを通過させる場合に収縮斑、歪みが発生しやすい。逆に主収縮方向の収縮応力の最大値(σmax)が0.5Kg/mm2未満の場合、収縮トンネルでボトルの胴部に熱収縮性フィルムを収縮させたラベルを装着した後、このボトルに温かい内容物を充填した際、内容物の熱で収縮後のフィルムに歪みが生じ、ボトルの上部でラベルが花びら状にたるむという欠点が生じやすい。
【0011】
また、本発明の熱収縮性フィルムは主収縮方向の熱収縮率が75℃温水中で10秒間処理後では40%以下であり、95℃温水中では10秒間処理後で50%以上あることが必要である。特に、ボトル等の被包装体を包装して収縮トンネルを通過させる場合の収縮斑を抑制するためには、75℃温水中で10秒間処理後の主収縮方向の熱収縮率は35%以下であるのが好ましい。
75℃での主収縮方向の熱収縮率が40%を越える場合、上記収縮トンネルでフィルムを収縮させた場合、シワ、収縮斑、歪みが発生しやすい。また、95℃での主収縮方向の熱収縮率が50%未満の場合、ボトルの上部で円錐状の径が小さくなっている部分の収縮不足を生じやすい。
【0012】
また、本発明の熱収縮性フィルムの製造法は主収縮方向に延伸する際、全延伸倍率が3.0倍以上であることが必要である。全延伸倍率が3.0倍未満の場合、得られた熱収縮性フィルムの厚み分布が悪く均一性に欠け、フィルム製造工程および熱収縮性フィルムへの印刷等、熱収縮性フィルムを加工する工程での操業性が低下するため生産性が低くなり、また熱収縮性フィルムの商品価値も低下する。
【0013】
また、未延伸のフィルムを主収縮方向への延伸の前段(全延伸倍率の40〜60%)をTg+10〜Tg+40℃の温度で延伸することが必要である。
主収縮方向への延伸の前段の延伸倍率が全延伸倍率の40%未満の場合あるいは延伸温度がTg+10℃未満の場合、得られた熱収縮性フィルムの主収縮方向の収縮応力の最大値(σmax)が大きくなり、熱収縮率と収縮応力を両立させることができない。
逆に主収縮方向への延伸の前段の延伸倍率が全延伸倍率の60%を越える場合あるいは延伸温度がTg+40℃以上の場合、主収縮方向の収縮応力の最大値(σmax)が小さくなり収縮応力をコントロールできないばかりでなく、得られたフィルムの耐破断性が低下するため本発明の目的物が得られず、さらに得られた熱収縮性フィルムの厚み分布が悪くなるため商品価値が低下する。
【0014】
また、未延伸フィルムの主収縮方向への延伸の後段(全延伸倍率の40%から60%)をTg−15℃〜Tg+10℃の温度で且つ前段の延伸温度より低い温度で延伸することが必要である。
主収縮方向への延伸の後段の倍率が全延伸倍率の40%未満の場合あるいはTg+10℃を越える場合、得られた熱収縮性フィルムを収縮させた後の衝撃力による耐破断性が低下する。
逆に主収縮方向への延伸の後段の延伸倍率が60%を越える場合あるいは延伸温度がTg−15℃未満の場合、延伸工程で破断を生じやすくなり、また得られた熱収縮性フィルムは熱収縮後の透明性が悪くなる傾向がある。
【0015】
本発明の熱収縮性フィルムの厚みは特に限定するものではないが、ラベル用収縮フィルムとして10〜200μmが好ましく、20〜100μmがさらに好ましい。
【0016】
また、本発明の熱収縮性フィルムの主収縮方向と直交する方向の熱収縮率は特に限定するものではないが、95℃温水中で10秒間処理後の熱収縮率が15%以下が好ましく、10%以下がさらに好ましい。
【0017】
次に本発明の熱収縮性フィルムの製造法をより具体的に説明するが、下記製造法に限定されるものではない。
本発明に用いるポリエステル原料をホッパードライヤー、パドルドライヤー等の乾燥機、または真空乾燥機を用いて乾燥し、200〜300℃の温度でフィルム状に押し出す。押し出しに際してはTダイ法、チューブラー法等、既存のどの方法を採用しても構わない。押し出し後急冷して未延伸フィルムを得る。該未延伸フィルムに対し延伸処理を行うが、本発明の目的を達成するには主収縮方向としては横方向が実用的であるので以下主収縮方向が横方向である場合の製膜法の例を示すが、主収縮方向を縦方向とする場合も下記方法における延伸方向を90度変えるほか通常の操作に準じて製膜することができる。
【0018】
また、目的とする熱収縮性ポリエステル系フィルムの厚み分布を均一化させることに着目すれば、テンターを用いて横方向に延伸する際、延伸工程に先立って実施される予備加熱工程では熱伝達係数を0.0013カロリー/cm2・sec・℃以下の低風速で所定のフィルム温度になるまで加熱を行うことが好ましい。
横方向の延伸は、その全延伸倍率を3.0倍以上、好ましくは3.5倍以上、さらに好ましくは4.0倍以上として延伸する。さらに、前段の延伸倍率を全延伸倍率の40〜60%、好ましくは45〜55%とし、Tg+10〜Tg+40℃の温度、好ましくはTg+15〜Tg+30℃の温度で延伸し、次いで後段の延伸倍率を全延伸倍率の40〜60%好ましくは45〜55%とし、Tg−15〜Tg+10℃、好ましくはTg−10〜Tg+5℃の温度で延伸する。また、後段の延伸温度は、前段の延伸温度より低く、例えば1〜40℃の範囲で低い温度が好ましい。
しかる後必要により70〜100℃の温度で熱処理して熱収縮性ポリエステル系フィルムを得る。
延伸に伴うフィルムの内部発熱を抑制し、巾方向のフィルム温度斑を小さくする点に着目すれば、延伸工程の熱伝達係数は0.0009カロリー/cm2・sec・℃以上、好ましくは0.0011〜0.0017カロリー/cm2・sec・℃の条件がよい。
延伸の方法は、テンターでの横1軸延伸ばかりでなく、付加的に縦方向を僅かに延伸することも可能である。このような2軸延伸においては、逐次2軸延伸法、同時2軸延伸法のいずれの方法によってもでもよく、さらに必要に応じて縦方向または横方向に再延伸を行ってもよい。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、本発明において、フィルムの評価方法は下記の通りである。
【0020】
(1)熱収縮率
フィルムを10cm×10cmの正方形に裁断し、所定温度±0.5℃の温水中に無荷重状態で10秒間処理して熱収縮させた後、フィルムの縦および横方向の寸法を測定し、下記(1)式に従い熱収縮率を求めた。該熱収縮率の大きい方向を主収縮方向とした。
熱収縮率=(収縮前の長さ−収縮後の長さ/収縮前の長さ)×100(%) (1)式
【0021】
(2)収縮応力の最大値
東洋精機(株)製のエアーオーブン付のテンシロン(型式:UTM−4L)を用いてチャック間を50mm、サンプル形状を主収縮方向:10cm、主収縮方向と直交方向:2cmとし、90℃エアーオーブン中で1分間加熱した際に発現する力をレコーダーに記録し、最大値を読みとり、下記(2)式に従い収縮応力の最大値を求めた。
収縮応力の最大値=(読み取り値/加熱前のサンプル断面積) (Kg/mm2) (2)式
【0022】
(3)収縮仕上がり性
Fuji Astec INC製のスチームトンネル(型式:SH−1500−L)を用い、通過時間10秒、1ゾーン温度/2ゾーン温度:85℃/90℃に設定し、900ccの角型PETボトル(高さ25.5cm、中央部断面の縦7.1cm、横7.1cm)(市販のAGF(株)製のブレンディに使用されているボトル)を用いてテスト(試料数=10)した。
なお、熱収縮性フィルムには、あらかじめ東洋インキ製造(株)の草・金・白のインキで3色印刷した。評価は目視で行い、基準は下記の通りとした。
シワ・色斑・収縮不足とも未発生 → ○
色斑が発生 → △
クレーター状のシワまたは収縮不足が発生 → ×
【0023】
(4)耐破断性
上記印刷フィルムを30℃・60%RH雰囲気下で15日間保管した後、東洋精機(株)製のテンシロン(型式:UTM−4L)を用いて、JIS C2318の方法で引張試験を行い、主収縮方向と直角の方向(縦方向)の伸度30%以下の発生数で評価(試料数=50)した。
【0024】
(5)Tg(ガラス転移点)
セイコー電子工業(株)製のDSC(型式:DSC220)を用いて、未延伸フィルム10mgを−40℃から120℃まで昇温速度20℃/分で昇温した際に得られた吸熱曲線に接線を引き、その交点をTg(ガラス転移点)とした。
【0025】
(6)厚み分布
アンリツ(株)製の接触厚み計(型式:KG60/A)を用いて、縦方向5cm・横方向50cmのサンプルの厚みを測定(試料数=20)し、各々のサンプルについて、下記(3)式により厚みのバラツキを求めた。また、該厚みのバラツキの平均値(n=50)を下記の基準に従って評価した。
厚みのバラツキ=(最大厚み−最少厚み/平均厚み)×100(%) (3)式
平均値:6%以下 → ○
平均値:6%より大きく10%未満 → △
平均値:10%以上 → ×
【0026】
実施例に用いたポリエステルは以下の通りである。
ポリエステルA:ポリエチレンテレフタレート
ポリエステルB:エチレングリコール70モル%、ネオペンチルグリコール30モル%とテレフタル酸とからなるポリエステル
ポリエステルC:ポリブチレンテレフタレート
ポリエステルD:テレフタル酸65モル%、アジピン酸10モル%、イソフタル酸25モル%とブタンジオールとからなるポリエステル
【0027】
(実施例1)
ポリエステルAを35wt%、ポリエステルBを55wt%、ポリエステルCを10wt%混合したポリエステルを280℃で押し出し・急冷して、未延伸フィルムを得た(Tg:69℃)。
該未延伸フィルムを、熱伝達係数0.0008カロリー/cm2・sec・℃の条件でフィルム温度が100℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に88℃で2.6倍、続けて同方向に70℃で2.2倍延伸した。次いで80℃で20秒間熱処理し、厚み60μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(実施例2)
ポリエステルAを35wt%、ポリエステルBを55wt%、ポリエステルDを10wt%混合したポリエステルを280℃でTダイから押し出し、チルロールで急冷して、未延伸フィルムを得た(Tg67℃)。
該未延伸フィルムを実施例1の操作と同様に予備加熱を行った後、テンターで横方向に85℃で2.6倍、続けて同方向に70℃で2.2倍延伸した。次いで80℃で20秒間熱処理し厚み60μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(実施例3)
未延伸フィルムを縦方向に75℃で1.1倍延伸した後、横延伸に移った以外は実施例2に準じた方法で製膜し、厚み60μmの熱収縮性ポリエステルフィルムを得た。
(実施例4)
実施例1の方法で得られた未延伸フィルムを熱伝達係数0.0008カロリー/cm2・sec・℃の条件でフィルム温度が91℃になるまで予備加熱した後、テンターで横方向に85℃で1.8倍、続けて同方向に68℃で2.2倍延伸した。次いで80℃で20秒間熱処理し厚み60μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(比較例1)
ポリエステルAを15wt%、ポリエステルBを75wt%、ポリエステルCを10wt%混合したポリエステルを用いた以外は実施例1に記載した条件で製膜して厚み60μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(比較例2)
実施例1の方法で得られた未延伸フィルムを横方向に70℃で2.6倍、続けて同方向に70℃で2.2倍延伸した(即ち、温度差をつけずに低温側だけで延伸した)以外は実施例1に記載した方法で製膜し、厚み60μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(比較例3)
実施例1の方法で得られた未延伸フィルムを横方向に88℃で2.6倍、続けて同方向に88℃で2.2倍延伸した(即ち、温度差をつけずに高温側だけで延伸した)以外は実施例1に記載した方法で製膜し、厚み60μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(比較例4)
横方向延伸の後段の延伸を50℃で2.2倍とした以外は実施例1に記載した方法で製膜したが、製膜不良(破断)のためフィルムが得られなかった。
(比較例5)
横方向延伸を88℃で3.2倍、続けて同方向に70℃で1.6倍とした以外は実施例1に記載した方法で製膜して厚み60μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(比較例6)
横方向延伸を85℃で1.4倍、続けて同方向に65℃で2.4倍とした以外は実施例4に記載した方法で製膜して厚み60μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(比較例7)
熱伝達係数を0.0017カロリー/cm2・sec・℃とし、延伸後の熱処理温度を70℃とした以外は実施例1に記載した方法で厚み60μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
(比較例8)
延伸後の熱処理温度を90℃とした以外は実施例1に記載した方法で製膜して、厚み60μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。
【0028】
実施例1〜4および比較例1〜8で得られたフィルムの評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜4で得られた熱収縮性フィルムはいずれも良好な収縮仕上がり(シワ・色斑・収縮不足等の欠点がない)を示し、耐破断性に優れ、厚み分布も良好であった。
このように、本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは、高品質で実用性が高く、特に収縮ラベル用として好適である。
一方、比較例1で得られた熱収縮性フィルムは耐破断性が劣り、比較例2で得られた熱収縮性フィルムはシワ・色斑が生じ、比較例3および5で得られた熱収縮性フィルムは厚み分布が悪くさらに耐破断性が劣り、比較例6で得られた熱収縮性フィルムは色斑が生じ、比較例7で得られた熱収縮性フィルムはシワが生じかつ厚み分布が悪く、比較例8で得られた熱収縮性フィルムは収縮不足が起こりかつ耐破断性が劣っていた。
このように、比較例で得られた熱収縮性ポリエステル系フィルムはいずれも品質が劣り、実用性が低いものであった。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】
本発明の熱収縮性ポリエステル系フィルムは収縮後にシワ、収縮斑、歪みの発生が極めて少なく、かつ衝撃に対する耐破断性に優れている。
Claims (2)
- ジカルボン酸成分中テレフタル酸成分が70モル%以上、ジオール成分中エチレングリコール成分が70モル%以上で、他の成分としてネオペンチルグリコール成分、ブタンジオール成分、アジピン酸成分、イソフタル酸成分の1種または2種以上の成分を含有したポリエステルからなる延伸されたフィルムであって、90℃のエアーオーブン中で加熱開始から1分後までの間に発現する主収縮方向の収縮応力の最大値(σmax)が0.5〜1.2Kg/mm2、75℃温水中で10秒間処理後の主収縮方向の熱収縮率が40%以下、95℃温水中で10秒間処理後の主収縮方向の熱収縮率が50%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
- ラベル用収縮フィルムであることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性ポリエステル系フィルム。
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