JP3828695B2 - 三階建て住宅の制震壁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制震性を向上させる部材を配設して制震効果を高めた三階建て住宅の制震壁の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、中・低層住宅では、大きな地震力の作用を免れる方法として、一般的な住宅に比べて、柱や梁を強固にする専用設計が行われている。柱や梁に特別に大径のものを使用したり、ブレースの配置数を増やすなどの方法がとられている。このうちブレースによる方法においては、軸組にブレースを組み込んで水平耐力を向上させた耐力壁とし、該耐力壁を壁面方向の要所要所に配置することによって、建物全体の水平耐力を増強するようにしている。
耐震設計においては、建物の高さにかかわらず、一般に震度階が4、5弱の地震(以下「中地震」とする)までは、建物全体の弾性変形が保証され、震度階が5強、6の地震(以下「大地震」とする)になると、塑性変形域に達し、該塑性変形に伴う履歴減衰によって地震エネルギーを吸収して建物全体の倒壊を防止するようにしている。
例えば、特開平8−135250号公報に記載の技術のように、低降伏点鋼より構成された制震ブレースを住宅に組み込み、地震エネルギーの吸収を制震ブレースに負担させることで、住宅の損壊を最小化するものがある。
【0003】
自壊によって地震エネルギーの吸収を行う低降伏点鋼などを用いた耐震部材の住宅への配設は、主に大地震への対抗手段である。耐震用の部材が塑性変形域に達しない小・中地震に対しては、住宅全体の剛性を高めることで耐震効果を向上させる必要がある。従来においては、前述するように柱や梁に特別に大径のものを使用したり、ブレースの配置数を増やすなどして、住宅の剛性を高めていた。
【0004】
地震時の応答を抑える制震装置としてはマスダンパー系として、AMDやTMDがある。各層配置型ダンパー系としては鋼製ダンパー、鉛ダンパー、摩擦ダンパー、オイルダンパーなどがある。これらは、主に中高層建築物に用いられる場合が多く、制震装置自体が大きく、現場において建物との取付が行われている。
また、住宅の基礎と躯体の間に積層ゴムなどを配設する方法なども知られている。特開平9−13740号公報や、特開平10−220067号公報に示されるものである。
さらに、建築物内部に耐震要素を付加したり、エネルギー吸収装置を配設する方法も知られている。特開平11−50689号公報に示されるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の制震構造は、主に中高層の建物を対象とするものであり、制震装置自体が大きく、その装置の取り付けが現場において行われるため、施工に時間が掛かる。
また、特開平9−13740号公報や、特開平10−220067号公報に示される技術のように、住宅の基礎と躯体の間に緩衝材などを配設する方法では、専用の基礎と躯体を必要とし、施工費が高くなる。
建築物内部に耐力壁のような耐震要素を付加することで、住宅の剛性の向上に寄与させることができる。ただしこのときは、増設した耐震要素や制震機構等の位置によって、建築物の内部空間の居住性や利用性が阻害されてしまう場合がある。
そして、特開平11−50689号公報に示される技術は、高層建築物を対象にしているものであり、大きな変形が躯体構造に深刻な負荷を与える住宅のような低層の建築物には用いることが困難である。
このため、徒にブレースや耐力壁の配設数の増加によって住宅の剛性の向上による制震効果を得るよりは、前記のTMDやダンパーのように、積極的な制震効果を有する装置を配設する方がよい。
フレームにダンパーを用いて制震壁や制震フレームのような制震機構を構成する際には、ダンパーに接続したフレームの剛性を向上させる必要があり、フレームの面外へのはらみも抑制する必要がある。
そこで、本発明は、フレームとダンパーを用いて制震壁を構成し、それを躯体構造に組み込み、制震効果を有する三階建て住宅の制震壁を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
三階建て住宅の躯体構造で、耐力壁7と梁4との間に配設する制震壁W5において、該制震壁W5は、縦長の長方形状に形成された枠フレーム52の内側に、上下一対の三角形状トラスフレーム53・53を配置して構成し、上側に配設されたトラスフレーム53は鋭角側を下方に向け、下側に配設されたトラスフレーム53は鋭角側を上方に向け配設し、鋭角の対辺部分を上下の枠フレーム52・52と共有する状態で対面させて突出させ、前記トラスフレーム53・53の直角の対辺部分はステーを介してオイルダンパー16に接続し、該トラスフレーム53・53の先端部に、枠フレーム52の面外へのはらみ出しを防止する揺れ止め機構を有し、更に該枠フレーム52の内側にブレース54を組み込んで固定したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。
図1は梁勝ちブレース構造の三階建て住宅の俯瞰図、図2は梁勝ち構造の三階建て住宅を示す概念図、図3は柱勝ちラーメン構造の三階建て住宅の俯瞰図、図4はオイルダンパーの側面断面図、図5は三角状制震壁の側面図、図6は三角状制震壁の応力状態を示す説明図、図7は三角状制震壁のオイルダンパーの取付部を示す側面図、図8は図7のA−A断面図、図9は矩形状制震壁の側面図、図10は矩形状制震壁の応力状態を示す説明図、図11は矩形状制震壁のオイルダンパーの取付部の側面図、図12は図11のB−B断面図、図13は上下一対の三角形状フレームとダンパーにより構成した制震壁の側面図、図14は同じく施工状態を示す斜視図、図15は三角形状フレームに板体を固設しフレームを補強する構成を示す斜視図、図16は上下一対の三角形状フレームとダンパーと枠フレームにより構成した制震壁の側面図、図17は制震壁のはらみ出し防止機構の他の構成例を示す側面図、図18は同じくC−C断面図、図19は上下一対の三角形状フレームとダンパーと枠フレームとブレースにより構成した制震壁の側面図、図20は同じく分解斜視図、図21は上下一対の三角形状フレームとダンパーと枠フレームとブレースにより構成した制震壁の他の構成例を示す側面図である。
【0009】
まず、三階建て住宅の躯体構造について説明する。
図1に示すように、三階建て住宅の躯体1は、鋼製軸組3および梁4・5・6により構成されており、該躯体が基礎2上に立設されるものである。躯体1は梁勝ちブレース構造で構成されており、梁4・5・6は通し梁である。このため梁勝ちラーメン構造の住宅においては、躯体構造の強度・剛性を維持する範囲内で軸組3の配設個所を決定することができ、柱勝ちの住宅と異なり自由度の高い内部構造を実現できる。
軸組3は基礎2上に立設され、該軸組3の下部は基礎2の上面に固設されている。基礎2上に配設されている軸組3・3・・・及び後述するように梁4・5上に配設されている軸組3・3・・・には、耐力壁7が含まれている。この耐力壁7にはブレースが組み込まれており、この耐力壁7が外周をはじめ建物全体にバランス良く配置されている。
基礎2の上に立設された軸組3・3・・・の上には、梁4が配設される。軸組3の上面に梁4がボルトなどにより締結される。該梁4・4・・・には、水平ブレースが配設されており、躯体に急激な力がかかっても、躯体全体で、強くしなやかに受け止める構成になっている。
【0010】
さらに梁4上に2階部分を構成する軸組3が配設される。梁4上に立設された軸組3も、下面を梁4に固設されている。そして、梁4の上に配設された軸組3・3・・・の上には梁5が配設される構成となっている。梁5は軸組3の上面にボルトなどを締結することにより、固設されている。梁5・5・・・には水平ブレースが配設されており、梁5・5間の剛性を高めるとともに、強度としなやかさを有する躯体を構成するものである。
【0011】
同様にして、梁5上に3階部分を構成する軸組3が配設され、該軸組3・3・・・の上には梁6が配設される構成になっている。梁6は軸組3の上面にボルトなどを締結することにより、固設されている。梁6・6・・・には水平ブレースが配設されており、梁6・6間の剛性を高めるとともに、強度としなやかさを有する躯体を構成するものである。
そして、梁6の上に、束、斜材、あるいはトラスフレーム等を配設し、屋根を構成することができる。
【0012】
図1には、屋根付の梁勝ちブレース構造の三階建て住宅を示したが、制振壁を配設する三階建て住宅の躯体構造は上記のものに限定されるものではない。躯体構造としては、以下で説明するような梁勝ち構造の三階建て住宅の躯体に使用できるものである。
すなわち第一の場合として図2(a)に示すように、通し梁4・5・6を主体とし、階毎で分断される柱8によって通し梁間を橋架して構成される梁勝ちラーメン構造がある。
次いで第二の場合として図1及び図2(b)に示すように、通し梁4・5・6を主体とし、軸組3もしくはそれと置換した耐力壁7にて通し梁間を橋架して構成される梁勝ちブレース構造がある。
第三の場合としては図2(c)に示すように、通し梁4・5・6を主体とし、通し梁間の橋架部材としては階毎で分断される柱8を基本とし、軸組3、耐力壁7をその上に付加する、第一、第二の場合の組み合わせとしての梁勝ちラーメン・ブレース混合構造がある。
上記三つのいずれの躯体構造を用いても、制振壁を付加した三階建て住宅を構成することができるのである。
【0013】
軸組3は、基礎2上面または梁4・5上面に突設されたアンカーボルトを、該軸組3の下面に接続することにより、基礎2や梁4・5上に固設される。軸組3・3・・・は数箇所でボルトにより接続されるため、十分な接続の強度を得ることができる。基礎2上において、このように接続された軸組3の上には前記梁4が配設され、同様にして梁5・6も接続される。軸組3の上面には梁4・5・6を接続するための孔が穿設されており、該孔を利用して、ボルトなどにより軸組3が梁4・5・6に固設されるものである。
軸組3はボルトなどにより基礎2や梁4・5・6に固設されるため、該ボルトを取り外すことにより、軸組3を基礎2および梁4・5・6より容易に取り外すことができる。そして、このような通常の軸組3に替えて、耐力壁7を固設することにより、建物全体の耐震性を大きく向上することができるのである。
【0014】
また、図3に示すように、柱勝ちラーメン構造で構成される三階建て住宅に、耐力壁7を配設する構成とすることも可能である。
柱勝ちラーメン構造である躯体101は、鋼製の通し柱108及び梁104・105、梁106によって構成され、躯体が基礎2上に立設されている。梁104・105、梁106は、通し柱108を横架している。梁104は二階の床面、梁105は三階の床面、梁106は三階の天井面を形成するが、それぞれの面を構成する該梁相互間には、水平ブレースが配設されており、それぞれの面の剛性を高めると共に、強度としなやかさを有する躯体を構成するものである。
加えて、前記耐力壁7が外周をはじめ建物全体にバランス良く配置されることにより、建物全体の耐震性を大きく向上することができるのである。
【0015】
前記耐力壁7は、C型形鋼を溶接したフレームに、ブレースをX字型に組み入れた構成になっている。これにより、耐力壁7を基礎2と梁4の間もしくは梁4・5間、梁5・6間に組み込みやすく、耐力壁7の配置を容易に行うことができる。
このような耐力壁7を、外周をはじめ建物全体にバランス良く配置し、水平ブレースや梁4・5・6を介して建物にかかる荷重を分散させる。耐力壁7に地震などにより強い力が働いた場合、耐力壁7に組み入れられたブレースにより、その力に対抗する。
また大地震の際には、前記塑性変形域に達した段階で耐力壁7に内設されているブレースが屈曲・伸張することで地震のエネルギーを吸収して、梁や柱への地震力の負担を軽減し、躯体構造そのものの損壊を防いでいる。
さらに、低降伏点鋼より構成された制震ブレースを住宅に組み込み、より効果的に躯体構造への負担を軽減する耐力壁を、住宅に配設することもできる。
【0016】
次に、三階建て住宅に配設する制震壁について説明する。
本構成例においては、図1に示すように、前記耐力壁7の配設に加えて、後述する制震壁Wを配設する。制振壁Wを躯体構造に付加することで、より一層地震への対応を図ることができるのである。
【0017】
まず、制震壁Wに使用するダンパーについて説明する。
前述した地震時の振動による上部構造と地盤、あるいは上部構造と下部構造との間の応答変位、応答加速度等を抑制するいわゆる各層配置型ダンパーとしては、鋼製ダンパー、鉛ダンパー、摩擦ダンパー、オイルダンパー、粘弾性ダンパーなどがある。
【0018】
前記鋼製ダンパーとは、鋼材の塑性変形を利用するもので、水平方向の大変形とそれに伴う鉛直方向の変形に追従できるように形状、支持部の細部などにそれぞれ工夫がされており、製造に特殊な設備を要せず、比較的安価に製作できることや、比較的コンパクトな形状で、大きな減衰能力を持つダンパーが構成できるという特徴を有する。
鉛ダンパーとは、純度の高い鉛が大変形領域で優れた繰返し塑性変形能力を示すことを利用するものであり、大変形領域で用いるのに適し、また、前記鋼材ダンパーに比べて早期に降伏を促すことができ、比較的小変形時から減衰機能を発揮することが期待できる。
また、摩擦ダンパーとは、2面間の固体摩擦を利用するものであり、摩擦面に与える面圧により滑り耐力を調節できる機構となるという特徴をし、摩擦面の種類を適切に選択することによって、鋼材ダンパーなどに比べ、多くの繰返しに対して安定した性能を発揮することができる。
そして、オイルダンパーとは、車両用として広く使用されているショックアブソーバーを大型化したピストン式のものが代表的であり、速度依存型の減衰機構として、小振幅から大振幅まで振幅に応じて優れた減衰力が作用する。また、粘性体ダンパーとは、高粘性材料のせん断抵抗を利用するものが代表的であり、オイルダンパーと同様に、小振幅から大振幅まで振幅に応じた減衰力が作用する。
【0019】
これらのダンパーのうち、速度に依存した減衰力を大略仮定することで、減衰定数の形式で性能を設定することができ、効果の把握が比較的容易なオイルダンパーを使用した場合について説明する。ただし、制震壁Wのダンパーとしては、十分な減衰機能を有するダンパーであればよく、オイルダンパーや前述した鋼製ダンパー、鉛ダンパー、摩擦ダンパー、粘弾性ダンパーに限定されるものではない。
【0020】
前記オイルダンパー16は、図4に示すように、シリンダ157と、該シリンダ157内を摺動するピストン58と、該ピストン58に結合されたピストンロッド59とから構成され、前記シリンダ157内には、所定の粘性抵抗を発生させるための油65が充填されると共に、シリンダ157の端部には、例えば図7に示す枠体66側の連結プレート63が連結される連結部60が設けられている。
【0021】
そして、前記ピストン58には、シリンダ157の内部を摺動する際に粘性抵抗を発生させるための図示せぬ弁部が設けられている。該弁部は、ピストン58が一方向に摺動したときのみ「開」となって、油の抵抗により減衰力を発生するようにしており、さらには、ピストン58が往復動するため、弁部には一方向用の弁と、逆方向用の弁とが設けられいる。
また、前記ピストンロッド59は、一端がピストン58に一体的に結合され、他端には、例えば図7に示す梁側の連結プレート62が連結される連結部61が設けられている。
【0022】
このような構成からなるオイルダンパー16を地震時に振動する層間に介設すると、地震力によって前記ピストン58がシリンダ157内を往復動し、その際に油がピストン58により区切られたシリンダ157内の空間を、一方から他方に弁部を通って移動する。この時に発生する油の抵抗により外部振動が減衰され、応答変位、応答加速度等を軽減することができるのである。
【0023】
次に、制震壁Wの構造に関し、図5乃至図21により説明する。
まず、第1構成例として三角状制震壁W1について説明する。
図5において、基礎2の上には、アンカーボルト75・75・・・により左右一対の斜めフレーム67a・67bが締結固定され、該斜めフレーム67a・67bの上端間が連結されて枠体66を形成し、場合によっては、斜めフレーム67a・67bの上下中間部の内側面間には、中間フレーム68が、その端部において水平に連結されることもある。三角状制震壁W1の枠体66のフレーム構成としては、図5に示す略A字状の形状となる。
【0024】
そして、前記枠体66の頂部と梁4との間にはダンパー部15が構成されている。図7、図8に示すように、梁4の下面からは、上部をボルト72・72で梁4に固定された連結プレート62が垂設され、該連結プレート62の左方には、前記オイルダンパー16a・16bが上下に水平に並設され、該オイルダンパー16a・16bの右方の連結部61・61は、前記連結プレート62の左側端に回動可能に連結されている。
【0025】
オイルダンパー16a・16bの更に左方には振れ止め73が構成されている。該振れ止め73においては、上部をボルト72・72で梁4に固定された振れ止めプレート64が垂設され、該振れ止めプレート64下部は下方に開いたコ字状を呈し、前記斜めフレーム67頂部に立設された連結プレート63上部を挟持すると共に、該連結プレート63と前記振れ止めプレート64とは振れ止めピン71により回動可能に連結されている。
該振れ止めピン71には、更に、上側のオイルダンパー16aの連結部60が軸支され、一方、下側のオイルダンパー16bの連結部60は、前記連結プレート63の下部に連結ピン69により回動可能に連結されている。
【0026】
そして、前記振れ止めプレート64の左右両側部には、水平方向に長い長孔63a・63bが開口され、該長孔63a・63bに振れ止めピン70と前記振れ止めピン71とが挿通支持されており、該振れ止めピン70・71が長孔63a・63b内を水平方向に摺動可能な構成としている。すなわち、枠体66の頂部に立設した連結プレート63は、梁4から垂設した振れ止めプレート64に設けた前記長孔63a・63bによって、振動面方向(図中左右方向)にガイドされており、枠体66の振動面外への動きを規制するようにしているのである。
【0027】
このように、複数のフレーム67a・67bより成る枠体66と梁4との間に、地震に対する応答性を緩和可能なダンパーであるオイルダンパー16a・16bを介設したので、図6に示すように、水平力Pが作用した場合は、連結プレート62により前記ピストンロッド59が引き出され、オイルダンパー16a・16bには張力74a・74bが発生する。そして、建物内で最も減衰機能の高いオイルダンパー16a・16bに地震力は集中するようになるのである。
【0028】
さらに、前記枠体66内に、剛性を高める中間フレーム68などの補強部材を配設することにより、オイルダンパー16a・16b以外の部材の変形を大きく抑制し、オイルダンパー16a・16bの効果を一層高めることができるのである。
なお、補強部材としては、フレーム以外に、トラス、ブレース、枠体66内に張設した補強板などを用いてもよく、あるいは、これらを組み合わせることで、より一層の剛性の向上を図ることができる。
【0029】
さらに、枠体66と梁4との間に、前述のような振れ止め73を設けることにより、フレーム67a・67bの面外へのはらみ出しを防止することができ、その結果、水平力Pの作用方向とオイルダンパー16a・16b作動方向とが一致し、オイルダンパー16a・16bの減衰機能を一層効果的に発揮することができる。
また、梁4より垂設した振れ止めプレート64と、枠体66とオイルダンパー16a・16bとを接続する連結プレート63とを簡単に係合させて、振れ止め効果を得るようにしたので、低コストでコンパクトな制震壁W1を構成することができる。
【0030】
そして、前述のように、制震壁W1は、枠体66とダンパー部15とから構成されており、工場での一体的な組み立てが容易であり、さらに、この組み立てた制震壁W1は、アンカーボルト75やボルト72などの締結具により、基礎2や梁4に簡単に取付けできる構成となっているため、現場作業効率を大きく向上させることができるのである。
【0031】
次に、第2の構成例として、矩形状制震壁W2について説明する。
図9において、左右一対の縦フレーム22a・22bの上端部間及び下端部間には、上下一対の横フレーム23a・23bが、その端部において連結されて枠体66を形成し、さらに、縦フレーム22a・22bの上下中間部の内側面間には、前記横フレーム23a・23bに平行に、中間フレーム24が、その端部において連結されている。該中間フレーム24の左右両端の上下位置にはブレース151・152・153・154の一端が連結され、そのうちのブレース151・152の先端(他端)は上側の横フレーム23aの左右中央部下面にて連結固定され、同様に、ブレース153・154の下端(他端)は下側の横フレーム23bの左右中央部上面に連結固定されている。
【0032】
このような構成よりなる枠体66において、下側の横フレーム23bの左右端部は、アンカーボルト75・75・・により基礎2の上に固定される一方、上側の横フレーム23aと梁4との間にはダンパー部17が構成されている。
該ダンパー部17においては、図11、図12に示すように、梁4の下面からは、上部をボルト72・72で梁4に固定された連結プレート62が垂設され、該連結プレート62の左方には、オイルダンパー16a・16bが上下に水平に並設され、該オイルダンパー16a・16bの右方の連結部61・61は、前記連結プレート62の左側端に回動可能に連結されている。
【0033】
オイルダンパー16a・16bの更に左方には振れ止め84が構成されている。該振れ止め84においては、上部をボルト72・72で梁4に固定された振れ止めプレート78が垂設され、該振れ止めプレート78の下部は、横フレーム23aの左右中央部上に立設されたU字状の連結プレート77により挟持されると共に、該連結プレート77と前記振れ止めプレート78とは上下の振れ止めピン79・80により回動可能に連結されている。
更に、連結プレート77にはオイルダンパー16a・16bの左方の連結部60・60が連結ピン81・82により回動可能に連結されている。
【0034】
そして、前記連結プレート77には、水平方向に長い長孔77a・77bが開口され、該長孔77a・77bに前記振れ止めピン79・80が挿通支持されており、振れ止めピン79・80が長孔77a・77b内を水平方向に摺動可能な構成としている。さらに、振れ止めプレート78にも、水平方向に長孔78aが開口され、該長孔78aに前記連結ピン81が挿通支持されており、連結ピン81が長孔78a内を水平方向に摺動することができる。
【0035】
すなわち、矩形状制震壁においても、枠体66の上側の横フレーム23a上に立設した連結プレート77は、梁4から垂設した振れ止めプレート78によって、振動面方向(図中左右方向)にガイドされており、枠体66の振動面外への動きを規制するようにしているのである。
【0036】
このように、複数のフレーム22a・22b・23a・23bより成る枠体66と梁4との間にオイルダンパー16a・16bを介設したので、図10に示すように、水平力Pが作用した場合は、連結プレート62により前記ピストンロッド59が引き出され、オイルダンパー16a・16bには張力83a・83bが発生するが、すぐに減衰されて枠体66へはほとんど影響しない。
従って、前述の三角状制震壁W1と同様に、高い剛性を備えた枠体66は地震力の影響をほとんど受けず、減衰機能の高いオイルダンパー16a・16bに地震力が集中するようになる。
【0037】
特に、本構成例の制震壁W2においては、前記枠体66内に多数のブレース151・152・153・154を設けており、たとえ制震壁W2に地震力による水平力Pが作用しても、ブレース151・154には張力が発生し、ブレース152・153には圧縮力が発生し、この張力と圧縮力とが抵抗力となって枠体66の変形を抑制し、より一層の剛性の向上を図るようにしている。これにより、オイルダンパー16a・16bが有効に働く。
【0038】
さらに、前記制震壁W2においても、枠体66と梁4との間に振れ止め84を設け、フレーム22a・22b・23aの面外へのはらみ出しを防止すると共に、枠体66と小型のダンパー部17とから制震壁を構成し、工場での一体的な組み立てや、基礎2や梁4への取付けが容易に行えるようにして現場作業効率を大きく向上できるようにしている。
【0039】
次に、第3構成例として、躯体1の制震性を向上させる制震壁W3について、図13乃至図15において説明する。
制震壁W3は、基礎2と梁4との間、および梁4・5、梁5・6間に配設され、ボルトの締結により固設されている。制震壁W3の寸法は、前述の耐力壁7と同様に構成されているため、躯体1および基礎2の構成を変更することなく、容易に取付けることができる。制震壁W3はプレハブ化されており、施工が容易に行える構成になっている。
前記制震壁W3は、トラスフレーム41・41および該トラスフレーム41・41間に配設される三つのオイルダンパー16・16・16により構成されている。
前記トラスフレーム41・41は、オイルダンパー16・16・16により接続されており、該オイルダンパー16は制震壁W3の面内に配設されている。このため、トラスフレーム41が面外にはらみ出そうとした場合には、該トラスフレーム41に接続されたオイルダンパー16により、トラスフレーム41のはらみ出しが規制される。
【0040】
前記トラスフレーム41は、図13・図15に示すように、直角三角形状に構成されている。上側に配設されたトラスフレーム41は鋭角側を下方に向け、下側に配設された配設されたトラスフレーム41cは鋭角側を上方に向け、斜辺が向き合うように梁4・5に固設された状態で配設されている。前記トラスフレーム41の斜辺部分にはオイルダンパー16を接続するステーが固設されている。オイルダンパー16はロッドとシリンダーをそれぞれトラスフレーム41・41の前記ステーに接続した状態で配設されている。
【0041】
前記トラスフレーム41は、断面がC字型形状であるC型鋼により、直角三角形状に構成されており、該直角三角形の辺同士をC型鋼により接続した構成になっている。このため、トラスフレーム41は軽量かつ剛性に優れたフレームとなる。
トラスフレーム41を直角三角形状に構成し、該トラスフレーム41・41間にオイルダンパー16を配設するため、該オイルダンパー16の配置空間を大きくとることができる。このため、トラスフレーム41・41間に複数個のオイルダンパー16を配設することができ、制震壁W3の配置における設計上の自由度が向上する。
前記トラスフレーム41を、耐力壁7と同一のC型鋼により構成するため、軽量かつ剛性の高いフレームを構成できる。さらに、躯体1を構成する軸組3の原材料を共通化でき、耐力壁7およびトラスフレーム41の製造に掛かるコストを低減できる。
【0042】
前記制震壁W3は、躯体が地震により揺れる場合などに変形し、トラスフレーム41・41間の間隔が変化する。これにより、トラスフレーム41・41間に配設されたオイルダンパー16のロッドが摺動する。
【0043】
前記オイルダンパー16は、シリンダ、該シリンダ内に挿入されたピストン、該ピストンに接続したロッドにより構成される。ピストンには、バルブ機構が設けられており、該バルブ機構により、減衰力の速度特性が調節される。バルブ機構はオリフィス、リリーフバルブおよび環状隙間を組み合わせることにより、所定の速度特性を実現できるものである。これにより、ロッドを摺動するエネルギーがオイルの粘性抵抗により吸収される。そして、オイルダンパー16は、ロッドとシリンダがそれぞれトラスフレーム41・41に接続される構成になっている。
【0044】
前記オイルダンパー16は、ロッドの摺動速度が速い場合には抵抗力が大きく、摺動速度が遅い場合には抵抗力が小さい。このため、急激な揺れにより、制震壁W3のトラスフレーム41・41の間に大きな抵抗力が発生するため、耐力壁7などに掛かる荷重を軽減することができる。
また、速度依存型の減衰機構として、小振幅から大振幅まで振幅に応じた減衰力が作用する。速度に依存した減衰力を大略仮定することで、減衰定数の形式で性能を設定することができ、応答スペクトルなどを介して効果の把握が比較的容易にできる。
【0045】
また、建物に地震力が伝達され、軸組3、耐力壁7および梁4・5・6により構成される躯体1が揺れると、その揺れにより制震壁W3のトラスフレーム41・41間の相対距離が変化し、オイルダンパー16により地震力が吸収される。このため、躯体にかかる地震力が低減され、躯体の制震性を向上することができる。
前記制震壁W3により、速度に依存した粘性抵抗を利用して建物の減衰力を高め、より大きな地震エネルギーを吸収することができる。制震壁W3により他の躯体構成部材に過大な負荷をかけることなく、地震エネルギーを吸収することができる。そして、大地震(地動加速度400gal 程度)に対しても耐力壁7および躯体が弾性域にとどまり、地震力を受けた後も、躯体を構成する各部が破損することなく、補修の必要が無くなるか、少なくすることをねらいとしている。
【0046】
前記制震壁W3の構成において、さらにトラスフレーム41cの剛性を向上させることも可能である。図15に示すごとく、トラスフレーム41に板体41eを固設することにより、該トラスフレーム41cの剛性を向上できる。板体41eの固設方法としては、板体41eを鉄製とし、トラスフレーム41に溶接固定する。板体41eを木製とし、トラスフレーム41に接着剤により貼設する。もしくは板体41eをネジ、ビス、リベットなどにより固設することができる。
トラスフレーム41の剛性が向上することにより、オイルダンパー16への地震力の伝達効率を向上させ、エネルギーの吸収効率を上げることができる。
【0047】
次に、第4の構成例として、制震壁W4について説明する。
図16において、制震壁W4は梁4と梁5の間に立設されており、該制震壁W4の下面および上面が、それぞれ梁4と梁5にボルトの締結により固設されている。
制震壁W4は、縦フレーム42b・42b、横フレーム42d・42d、トラスフレーム42c・42cおよび該トラスフレーム42c・42c間に配設されるオイルダンパー16・16・16により構成される。
前記縦フレーム42b・42bおよび横フレーム42d・42dにより制震壁W4の枠体が形成されている。フレーム42b・42bは梁4・5間に配設されており、前記横フレーム42d・42dは梁4もしくは梁5に固設されている。前記縦フレーム42b・42bは角パイプにより構成されており、梁5を支持する構成になっている。
【0048】
縦フレーム42b・42bおよび横フレーム42d・42dにより構成される枠体の内側には、トラスフレーム42c・42cおよびオイルダンパー16・16・16が配設される。トラスフレーム42cは、略V字状の形状で、その先端側が横フレーム42dに固設されて、略直角三角形状の外形形状に構成されている。また、前記トラスフレーム42cの先端は、ガイド42fにより面外へ一定範囲以上、動かないように規制されている。
前記トラスフレーム42cの先端部42gは、側面視、コの字状に構成されており、2枚の平板が平行に配置された形状に構成されている。先端部42gにはピンが挿嵌固定されている。該ピンはガイド42fに設けられた長孔に遊嵌されている。ガイド42fに形成された長孔は水平方向に長く設けられており、トラスフレーム42cの水平方向への揺れは規制しない構成になっている。
【0049】
前記トラスフレーム42cが制震壁W4の面外方向にはらもうとした場合には、先端部42gがガイド42fに当接し、トラスフレーム42cのはみを防止するものである。トラスフレーム42cがはらむ場合には、トラスフレーム42cとフレーム42dの接合部を中心として、該トラスフレーム42cの先端42gが回動する形となる。ガイド42fにも過大な力が掛かることが無いので、ガイド42fには強度が要求されず、容易に構成することができる。
さらに、制震壁W4のトラスフレーム42cのはらみを防止できるため、トラスフレーム42cが外装や内装を傷つけることがなく、地震の後の補修に掛かる費用が減少する。
【0050】
また、はらみ出し防止の構造として、トラスフレーム42cの先端部を挟む形にガイド部材を配設する構成もある。制震壁W4を、図17、図18に示すように、フレーム42bに立設しているプレート42h・42hによって、トラスフレーム42cを左右方向摺動可能に前後方向から挟み込む構成とするのである。なお、プレート42hは溶接等によってフレーム42cに固着している。
このとき、前述のガイド42fを配設する必要はなく、ガイド42fを挿通するピンを先端部42gに設ける必要もない。したがって、前述の制震壁W4よりも容易に構成することができ、かつ同様な効果を得ることができるのである。
【0051】
次に、第5構成例として、躯体1の制震性を向上させる制震壁W5について説明する。
図19、図20において、制震壁W5は基礎2と梁4の間および梁4・5、梁5・6間に立設されるものであり、該制震壁W5の下面および上面が、それぞれボルトの締結により固設される。
制震壁W5は、枠フレーム52、その補強フレーム52c、トラスフレーム53・53および該トラスフレーム53・53間に配設されるオイルダンパー16・16そして、ブレース54により構成される。
【0052】
トラスフレーム53は、図19・図20に示すように、略直角三角形状に構成されている。上側に配設されたトラスフレーム53は鋭角側を下方に向け、下側に配設されたトラスフレーム53は鋭角側を上方に向け配設されている。トラスフレーム53・53は、鋭角の対辺部分を枠フレーム52と共有する状態で対面させた状態に配設されている。
前記トラスフレーム53の直角の対辺部分にはオイルダンパー16を接続するステーが固設されている。オイルダンパー16はロッドとシリンダーをそれぞれトラスフレーム53・53の前記ステーに接続されている。
【0053】
前記枠フレーム52、トラスフレーム53は、C型鋼により構成されており、このため、トラスフレーム53は軽量かつ剛性に優れたフレームとなる。
トラスフレーム53を略直角三角形状に構成し、該トラスフレーム53・53間にオイルダンパー16を配設するため、該オイルダンパー16の配置空間を大きくとることができる。このため、トラスフレーム53・53間に複数個のオイルダンパー16を配設することができ、制震壁W5の配置における設計上の自由度が向上する。
さらに、枠フレーム52により構成される面内に複数個のオイルダンパー16を配設し、該オイルダンパー16をトラスフレーム53・53間に配設するので、トラスフレーム53のはらみ出しを防止できる。該トラスフレーム53を、耐力壁7と同一のC型鋼により構成するため、軽量かつ剛性の高いフレームを構成できる。さらに、躯体1を構成する軸組3の原材料を共通化でき、耐力壁7およびトラスフレーム53の製造に掛かるコストを低減できる。
【0054】
制震壁W5におけるブレース54の組み込み構成について説明する。
制震壁W5は、躯体が地震により揺れる場合などに変形し、トラスフレーム53・53間の間隔が変化する。これにより、トラスフレーム53・53間に配設されたオイルダンパー16のロッドが摺動する。
制震壁W5が変形する際には、ブレース54により変形に対する抗力が発生し、ついには該ブレース54が屈曲、伸張し、該制震壁W5が耐力壁の役割も果たすものである。
【0055】
前記トラスフレーム53の先端は、ガイド52bにより面外へ一定範囲以上、動かないように規制されている。
トラスフレーム53の先端部は、側面視、コの字状に構成されており、2枚の平板が平行に配置された形状に構成されている。先端部にはピン53hが挿嵌固定されている。該ピンは、ガイド52bに設けられた長孔に遊嵌されている。ガイド52bに形成された長孔は水平方向に長く設けられており、トラスフレーム53の水平方向への揺れは規制しない構成になっている。
【0056】
トラスフレーム53が制震壁W5の面外方向にはらもうとした場合には、先端部がガイド52bに当接し、トラスフレーム53のはらみを防止するものである。トラスフレーム53がはらむ場合には、トラスフレーム53と枠フレーム52の接合部を中心として、該トラスフレーム53の先端部が回動する形となる。ガイド52bにも過大な力が掛かることが無いので、ガイド52bには強度が要求されず、容易に構成することができる。
さらに、制震壁W5のトラスフレーム53のはらみを防止できるため、トラスフレーム53が外装や内装を傷つけることがなく、地震の後の補修に掛かる費用が減少する。
【0057】
次に、第6構成例として、制震壁W6のについて説明する。
図21において、制震壁W6は、枠フレーム52、その補強フレーム52c、三角フレーム57、オイルダンパー16およびブレース54により構成されている。
枠フレーム52は縦長の長方形状に形成されており、該枠フレーム52の寸法は耐力壁7と互換性のあるものとなっている。また、中央部には補強フレーム52cが架設されている。
三角フレーム57は頂点を鋭角とする略二等辺三角形状に形成されおり、補強フレーム52cが底辺に一致する構成となっている。該三角フレーム57は補強フレーム52cを対象軸とし、上下に2つ配設されている。該三角フレーム57の頂点部57bにはオイルダンパー16のロッドが接続されている。該オイルダンパー16のシリンダーは枠フレーム52に固設されたステー52dに接続されている。
そして、ブレース54は、枠フレーム52の内側に固設されている。
【0058】
制震壁W6においては、建物に地震力が伝達され、軸組3、耐力壁7および梁4・5・6により構成される躯体1が揺れると、その揺れにより枠フレーム52が変形し、三角フレーム57・57は、枠フレーム52に比べて、ほとんど変形されない。これにより、三角フレーム57の頂点部57bと枠フレーム52のステー52d間の相対距離が変化する。この相対距離の変化によりオイルダンパー16のロッドが摺動され、該オイルダンパー16により地震力が吸収される。
このため、躯体にかかる地震力が低減され、躯体の制震性を向上することができる。また、枠フレーム52の変形にともない、ブレース54が抗力を発生し、制震壁W6が耐震要素である耐力壁としての効果も期待できるのである。
【0059】
上記の構成において、ダンパー16は枠フレーム52において、基礎もしくは梁に近い位置に配設されるため、ダンパー16の保持剛性を高くでき、ダンパー16の面外方向へのねじれなどを抑制できる。これにより、三角フレーム57の頂点部57bの枠フレーム52面外へのはらみ出しを抑制できる。さらに、ダンパー16と、該ダンパー16と基礎もしくは梁との相対距離の変化はほとんど無くすことができ、地震力の効率的な吸収を行うことができる。
このように制震壁W6を構成するので、ダンパー16により地震のエネルギーを吸収し、ブレース54により地震力に対した抗力が発生する。
躯体に制震壁W6を組み込むことにより、躯体の制震性を容易に向上でき、過剰な地震力はダンパーにより吸収することができる。制震壁W6を用いることにより、制震性を有する躯体の設計上の自由度を向上できる。
【0060】
【発明の効果】
本発明は以上のような構成としたので、次のような効果をそうする。
請求項1記載の如く、三階建て住宅の躯体構造で、耐力壁7と梁4との間に配設する制震壁W5において、該制震壁W5は、縦長の長方形状に形成された枠フレーム52の内側に、上下一対の三角形状トラスフレーム53・53を配置して構成し、上側に配設されたトラスフレーム53は鋭角側を下方に向け、下側に配設されたトラスフレーム53は鋭角側を上方に向け配設し、鋭角の対辺部分を上下の枠フレーム52・52と共有する状態で対面させて突出させ、前記トラスフレーム53・53の直角の対辺部分はステーを介してオイルダンパー16に接続し、該トラスフレーム53・53の先端部に、枠フレーム52の面外へのはらみ出しを防止する揺れ止め機構を有し、更に該枠フレーム52の内側にブレース54を組み込んで固定したので、1つの制震壁により制震要素と耐震要素を配設でき、中地震に対する制震効果の向上と同時に、大地震に対する躯体構造損壊防止の効果を合わせて得ることができる。建物の躯体を構成する際の施工工程を大幅に減少できる。
また、同一のフレーム内において、耐力要素により吸収しきれない地震力を制震壁により吸収するため、効率的に地震力の吸収を行うことができ、他の軸組フレームに与える負荷を軽減できて、住宅全体の制震に大きく寄与することができる。
また、ブレースを制震要素としてフレームの変形を抑えると共に、フレームが変形する際にはダンパーにより地震力を吸収することができる。さらには耐力壁としての効果も得られるので、躯体構造損壊防止の効果を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 梁勝ちブレース構造の三階建て住宅の俯瞰図。
【図2】 梁勝ち構造の三階建て住宅を示す概念図。
【図3】 柱勝ちラーメン構造の三階建て住宅の俯瞰図。
【図4】 オイルダンパーの側面断面図。
【図5】 三角状制震壁の側面図。
【図6】 三角状制震壁の応力状態を示す説明図。
【図7】 三角状制震壁のオイルダンパーの取付部を示す側面図。
【図8】 図7のA−A断面図。
【図9】 矩形状制震壁の側面図。
【図10】 矩形状制震壁の応力状態を示す説明図。
【図11】 矩形状制震壁のオイルダンパーの取付部の側面図。
【図12】 図11のB−B断面図。
【図13】 上下一対の三角形状フレームとダンパーにより構成した制震壁の側面図。
【図14】 同じく施工状態を示す斜視図。
【図15】 三角形状フレームに板体を固設しフレームを補強する構成を示す斜視図。
【図16】 上下一対の三角形状フレームとダンパーと枠フレームにより構成した制震壁の側面図。
【図17】 制震壁のはらみ出し防止機構の他の構成例を示す側面図。
【図18】 同じくC−C断面図。
【図19】 上下一対の三角形状フレームとダンパーと枠フレームとブレースにより構成した制震壁の側面図。
【図20】 同じく分解斜視図。
【図21】 上下一対の三角形状フレームとダンパーと枠フレームとブレースにより構成した制震壁の他の構成例を示す側面図。
【符号の説明】
W 制震壁
1 躯体1
2 基礎
4・5・6 梁
15 ダンパー部
16 オイルダンパー
22a・22b 縦フレーム
23a・23b 横フレーム
41・42・53 トラスフレーム
52 枠フレーム
54 ブレース
57 三角フレーム

Claims (1)

  1. 三階建て住宅の躯体構造で、耐力壁7と梁4との間に配設する制震壁W5において、該制震壁W5は、縦長の長方形状に形成された枠フレーム52の内側に、上下一対の三角形状トラスフレーム53・53を配置して構成し、上側に配設されたトラスフレーム53は鋭角側を下方に向け、下側に配設されたトラスフレーム53は鋭角側を上方に向け配設し、鋭角の対辺部分を上下の枠フレーム52・52と共有する状態で対面させて突出させ、前記トラスフレーム53・53の直角の対辺部分はステーを介してオイルダンパー16に接続し、該トラスフレーム53・53の先端部に、枠フレーム52の面外へのはらみ出しを防止する揺れ止め機構を有し、更に該枠フレーム52の内側にブレース54を組み込んで固定したことを特徴とする三階建て住宅の制震壁。
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