JP3828534B2 - 磁性塗料の製造方法および磁気記録媒体 - Google Patents
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また、磁気記録媒体の高容量化のためには、記録波長をますます短くすること、およびトラック幅を小さくすることが必要不可欠である。
しかしながら、前述したように、磁気記録媒体の高容量化に伴う磁性粉末の微粒子化と高磁気エネルギー化により、磁性粉末の凝集力が大きくなり、磁性粉末などを磁性塗料中に均一に分散させることが困難になってきた。
また、本発明は、上記の製造方法で得られた磁性塗料を用いて製造された磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体に係るものである。
上記の高速攪拌混合機としては、ホソカワミクロン社製のアグロマスタのような転動流動効果を利用したガス吹上げ式攪拌機、同社製のサイクロミックスやメカノフュージョンシステム、松山重工業社製のアキシャルミキサのような回転式混合機、三井鉱山社製のヘンシェルミキサなどを用いることができる。
上記の連続式2軸混練機には、栗本鐵工所製のKEX−30、KEX−40、KEX−50、KEX−65、KEX−80、日本製鋼所製のTEX30αII、TEX44αII、TEX65αII、TEX77αII、TEX90αIIなどを用いることができる。
本発明者らの検討によると、このような分散工程を好適に行うためには、サンドミルの分散条件(分散用媒体の粒子径、比重、分散用媒体の充填量、サンドミルの攪拌速度、塗料粘度など)の設定が重要であることはもちろんであるが、分散時の塗料の増粘現象を抑えることが重要であることがわかった。
このため、最終的な塗料粘度を見越して分散前の塗料粘度を設定するか、分散後に溶剤を加えて塗料粘度を下げることが行われる。しかし、最終的な塗料粘度を見越して分散前の塗料粘度を設定すると、バインダ樹脂濃度が低くなりすぎて分散初期の塗料の分散が不安定になりやすい。また、分散後に溶剤を加えて塗料粘度を下げると、分散系の安定性がくずれて、磁性粉末の再凝集が起こりやすいという問題がある。
すなわち、図1に示すように、サンドミル(S1)と超音波分散機(H1)とを連結して一連の工程とし、同じく、サンドミル(S2)と超音波分散機(H2)とを、サンドミル(S3)と超音波分散機(H3)とを、サンドミル(S4)と超音波分散機(H4)とを、それぞれ連結して一連の工程とし、これら一連の工程に、供給タンクT1内の磁性塗料1を供給ポンプ2により順番に供給して分散するか、図2に示すように、サンドミル(S1)と超音波分散機(H1)とを連結して一連の工程とし、これに供給タンクT1内の磁性塗料1を供給ポンプ2により切り換えバルブ3を介して何回か循環させて供給して分散し、必要な分散時間を確保して、貯蔵タンクT2に貯蔵する。
つまり、本発明の特徴は、所定のサンドミル分散工程中に2回以上超音波分散工程を組み込むことであり、これによりサンドミルのみによる分散工程を何回か繰り返すよりも、塗料粘度の上昇がはるかに小さくなることがわかった。
これに対して、上記本発明のように、サンドミル分散工程とサンドミル分散工程の間に超音波分散工程を設けると、磁性粉末に効率良くバインダ樹脂が吸着されるようになり、その結果、粘度上昇が効果的に抑制されるものと考えられる。
分散用媒体は、ガラス、セラミック、金属(表面が樹脂で覆われたものも含む)など、従来公知のものを使用できるが、比重が3以上10以下のものが好ましく、3.5以上8以下のものがより好ましい。この範囲が好ましいのは、比重が3未満では、分散用媒体が軽くなりすぎて、分散エネルギーが小さくなり、10を超えると、重すぎて、ミル内での分散用媒体の動きが悪くなり、分散効率が低下するからである。
分散用媒体のミル容器への充填量は、ミル内容量に対して見掛け容量比率で50〜90%が好ましい。この範囲が好ましいのは、50%未満では、分散効率が低下し、90%を超えると、分散用媒体の動きが悪くなるばかりか、発熱量が多くなるためである。
塗料分散時の滞留時間は、磁性塗料の構成成分、用途により異なるが、通常30〜90分が好ましい。2連以上のサンドミルを用いて塗料分散を行う場合に、各連の分散条件を変えてもよい。たとえば、始めに大粒径分散用媒体を使用し、最後に小粒径分散媒体を使用すると、より好ましい。
強磁性鉄系金属磁性粉には、Mn、Zn、Ni、Cu、Coなどの遷移金属を合金として含ませてもよい。その中でも、Co、Niが好ましく、とくにCoは飽和磁化を最も向上できるので、好ましい。上記の遷移金属元素の量としては、鉄に対して、5〜50原子%とするのが好ましく、10〜30原子%とするのがより好ましい。
希土類元素の量としては、鉄に対して0.2〜20原子%、好ましくは0.3〜15原子%、より好ましくは0.5〜12原子%である。
なお、強磁性鉄系金属磁性粉における上記した各原子の原子%は、蛍光X線分析により測定される値である(特開2001−181754号公報参照)。
強磁性鉄系金属磁性粉や窒化鉄磁性粉の保磁力は、80〜320kA/mが好ましく、飽和磁化量は、80〜200A・m2 /kg(80〜200emu/g)が好ましく、100〜180A・m2 /kg(100〜180emu/g)がより好ましい。
また、BET比表面積は、35m2 /g以上が好ましく、40m2 /g以上がより好ましく、50m2 /g以上が最も好ましい。通常100m2 /g以下である。
ポリウレタン樹脂には、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリエステルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン樹脂などがある。
このようなバインダ樹脂を使用すると、磁性粉末などの分散性が向上するためである。2種以上の樹脂を併用する場合には、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも、−SO3 M基同士の組み合わせが好ましい。
また、これらのバインダ樹脂とともに、バインダ樹脂中に含まれる官能基などと結合させて架橋する熱硬化性の架橋剤を併用するのが好ましい。
これらの架橋剤は、バインダ樹脂100重量部に対して、通常1〜30重量部の割合で用いられる。より好ましくは5〜20重量部である。
また、上記した熱硬化性のバインダ樹脂に代えて、放射線硬化性樹脂を用いてもよい。放射線硬化性樹脂には、熱硬化性樹脂をアクリル変性し放射線感応性二重結合を持たせたものや、アクリルモノマー、アクリルオリゴマーが用いられる。
この研磨剤としては、α−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素など、主としてモース硬度6以上のものが単独または組み合わせて使用できる。これらの研磨剤の粒子サイズとしては、通常、平均粒子径で10〜200nmであるのが好ましい。
磁性層の保磁力は、80〜320kA/mが好ましく、100〜300kA/mがより好ましく、120〜280kA/mがさらに好ましい。この範囲が好ましいのは、80kA/m未満では、記録波長を短くすると反磁界減磁で出力低下が起こり、320kA/mを超えると、磁気ヘッドによる記録が困難になるためである。
非磁性支持体の厚さは、用途によって異なるが、通常は、1.5〜11μmのものが使用される。非磁性支持体の厚さは、より好ましくは2〜7μmである。この範囲の厚さの非磁性支持体が使用されるのは、1.5μm未満となると、製膜が難しくなり、またテープ強度が小さくなるためであり、11μmを超えると、テープ全厚が厚くなり、テープ1巻あたりの記録容量が小さくなるためである。
非磁性支持体の長手方向のヤング率としては、5.8GPa(590kg/mm2 )以上が好ましく、7.1GPa(720kg/mm2 )以上がより好ましい。非磁性支持体の長手方向のヤング率が5.8GPa以上がよいのは、長手方向のヤング率が5.8GPa未満では、テープ走行が不安定になるためである。
また、リニアレコーディングタイプでは、長手方向のヤング率/幅方向のヤング率は、理由は明らかではないが、0.7〜1.3が好ましい。
以上のような特性を満足する非磁性支持体としては、たとえば、二軸延伸のポリエチレンテレフタレートフイルム、ポリエチレンナフタレートフイルム、芳香族ポリアミドフィルム、芳香族ポリイミドフィルムなどが挙げられる。
下塗り層の厚さは、0.2μm以上、1.5μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましく、0.8μm以下がさらに好ましい。この範囲が好ましい理由は、0.2μm未満では、磁性層の厚さむら低減効果や、耐久性の向上効果が小さくなり、また1.5μmを超えると、磁気テープの全厚が厚くなりすぎて、テープ1巻あたりの記録容量が小さくなるためである。この下塗り層に使用するバインダ樹脂(ないし架橋剤)や下塗り層形成のための塗料溶剤には、磁性層の場合と同様のものが用いられる。
導電性改良の目的で、平均粒子径が10〜100nmのグラファイトのような板状炭素性粉末や平均粒子径が10〜100nmの板状ITO(インジウム・スズ複合酸化物)粉末などを添加してもよい。上記の非磁性板状粉末を添加することにより、膜厚の均一性、表面平滑性、剛性、寸法安定性が改善される。
下塗り層には、磁性層と下塗り層に含まれる全粉体に対し、0.5〜5重量%の高級脂肪酸を含有させ、0.2〜3重量%の高級脂肪酸のエステルを含有させると、ヘッドとの摩擦係数が小さくなるので好ましい。上記範囲の高級脂肪酸の添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、5重量%を超えると、下塗り層が可塑化してしまい、強靭性が失われるおそれがあるからである。
また、上記範囲の高級脂肪酸のエステル添加が好ましいのは、0.2重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さく、3重量%を超えると、磁性層への移入量が多すぎるため、テープとヘッドが貼り付くなどの副作用を生じるおそれがあるためである。
磁性層への脂肪酸の添加量は、下塗り層と磁性層の間で脂肪酸が転移するので、とくに限定されず、磁性層と下塗り層を合わせた脂肪酸の添加量を上記の量とすればよい。下塗り層に脂肪酸を添加すれば、必ずしも磁性層に脂肪酸を添加しなくてもよい。
上記範囲の脂肪酸アミドの添加が好ましいのは、0.5重量%未満では、ヘッド/磁性層界面での直接接触が起こりやすく、焼付き防止効果が小さくなり、また3重量%を超えると、ブリードアウトしてしまい、ドロップアウトなどの欠陥が発生するおそれがあるからである。また、上記範囲の高級脂肪酸のエステルの添加が好ましいのは、0.2重量%未満では、摩擦係数低減効果が小さくなり、また3重量%を超えると、ヘッドに貼り付くなどの副作用を生じるおそれがあるためである。
さらに、本発明をディスク状の磁気記録媒体に適用する場合は、潤滑剤の総量として、磁性層の強磁性粉末または下塗り層の非磁性粉末に対して、0.1〜50重量%、好ましくは2〜25重量%の範囲で、上記潤滑剤が用いられる。
下塗り層、磁性層または最上層非磁性層に含ませる非磁性粉末、カーボンブラックまたは磁性粉末は、分散剤で表面処理したり、分散剤とともに各層用塗料を製造してもよい。これらは、単独でも組み合わせて使用してもよい。分散剤は、いずれの層でも、バインダ樹脂100重量部に対し、通常0.5〜20重量部の範囲で添加される。
本発明において、磁気テープを構成する非磁性支持体の他方の面(磁性層が形成されている面とは反対側の面)には、走行性の向上などを目的として、バックコート層を設けることができる。このバックコート層に磁性があると、磁気記録層の磁気信号が乱れる場合があるため、通常、バックコート層は非磁性である。
大粒子径カーボンブラックとして、小粒子径カーボンブラックの5〜15重量%、平均粒子径200〜400nmの大粒子径カーボンブラックを使用すると、表面も粗くならず、走行性向上効果も大きくなる。
導電性改良の目的で、平均粒子径が10〜100nmの板状炭素性粉末や平均粒子径が10〜100nmの板状ITO粉末などを添加してもよい。また、必要に応じて、平均粒子径が0.1〜0.6μmの粒状酸化鉄粉末を添加してもよい。添加量としては、バックコート層中の全無機粉体の重量を基準にして、2〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。また、平均粒子径が0.1〜0.6μmのアルミナを添加すると、耐久性がさらに向上するので、好ましい。
バインダ樹脂の含有量は、通常、カーボンブラックと無機非磁性粉末との合計量100重量部に対して、40〜150重量部、好ましくは50〜120重量部、より好ましくは60〜110重量部、さらに好ましくは70〜110重量部である。上記範囲が好ましいのは、50重量部未満では、バックコート層の強度が不十分であり、120重量部を超えると、摩擦係数が高くなりやすいためである。セルロース系樹脂を30〜70重量部、ポリウレタン系樹脂を20〜50重量部使用するのが好ましい。
さらに、実施例および比較例中の塗料粘度は、ビスコテスター(リヨン社製の「VT−04E」)(1号ロータ使用)を使用し、分散後1分以内の塗料を300mlビーカに取り、測定開始30秒後の指示値から粘度を求めたものである。
(1)成分
非磁性板状酸化鉄粉末(平均粒子径:50nm) 76部
カーボンブラック(平均粒子径:25nm) 24部
ステアリン酸 2.0部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 8.8部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部
(ガラス転移温度:40℃、含有−SO3 Na基:1×10-4当量/g)
シクロヘキサノン 25部
メチルエチルケトン 40部
トルエン 10部
(2)成分
ステアリン酸ブチル 1部
シクロヘキサノン 70部
メチルエチルケトン 50部
トルエン 20部
(3)成分
ポリイソシアネート 1.4部
シクロヘキサノン 10部
メチルエチルケトン 15部
トルエン 10部
(1)混練工程成分
磁性粉末 (Co−Fe−Al−Y) 100部
〔Co/Fe:24原子%、Al/(Fe+Co):4.7重量%、
Y/(Fe+Co):7.9原子%、
σs:129A・m2 /kg(129emu/g)、
Hc:196.2kA/m(2465Oe)、
平均粒子径:75nm、軸比:5〕
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 13部
(含有−SO3 Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂(PU) 4.5部
(含有−SO3 Na基:1.0×10-4当量/g)
アルミナ粉末(平均粒子径:80nm) 8部
カーボンブラック(平均粒子径:25nm) 5部
メチルアシッドホスフェート 2部
テトラヒドロフラン 20部
メチルエチルケトン 25部
シクロヘキサノン 25部
(2)希釈工程成分
パルミチン酸アミド 1.5部
ステアリン酸n−ブチル 1部
メチルエチルケトン 90部
シクロヘキサノン 90部
(3)配合工程成分
ポリイソシアネート 1.5部
メチルエチルケトン 80部
シクロヘキサノン 80部
このような一次分散終了後の塗料粘度(温度25℃)は、4.2Pa・s(4,200cP)であった。この一次分散済み塗料に、さらに(3)配合工程成分を加えて攪拌し、ろ過して、磁性塗料を調製した。
カーボンブラック(平均粒子径:25nm) 80部
カーボンブラック(平均粒子径:350nm) 10部
非磁性板状酸化鉄粉末(平均粒子径:50nm) 10部
ニトロセルロース 45部
ポリウレタン樹脂(−SO3 Na基含有) 30部
シクロヘキサノン 260部
トルエン 260部
メチルエチルケトン 525部
このバックコート層用塗料を、前記方法で作製した磁気シートの磁性層の反対面側に、乾燥、カレンダ後の厚さが0.5μmとなるように塗布し、乾燥した。
スリットマシン(磁気テープ原反を所定幅の磁気テープに裁断する装置)は、構成している各種要素を下記のように改良したものを用いた。巻き出し原反からスリット刃物群に至るウェブ経路中にテンションカットローラを設け、このテンションカットローラをサクションタイプとし、吸引部は多孔質金属を埋め込んだメッシュサクションとした。刃物駆動部に動力を伝達する機構を持たないモータ直結のダイレクトドライブとした。
このようにして得られた磁気テープを、カートリッジに組み込み、コンピュータ用テープを作製した。
これら以外は、実施例1と同様にして、コンピュータ用テープを作製した。一次分散終了後の塗料粘度(温度25℃)は3.8Pa・s(3,800cP)であった。
また、塗布直前の磁性塗料に超音波分散処理を行った(滞留時間0.5秒)。
これら以外は、実施例1と同様にして、コンピュータ用テープを作製した。一次分散用塗料の塗料粘度(温度25℃)は1.3Pa・s(1,300cP)で、一次分散終了後の塗料粘度(温度25℃)は4.7Pa・s(4,700cP)であった。
磁性塗料の分散処理を、一次分散A1ラインを2回通すことから、1回通すことに変更した(サンドミルおよび超音波分散機のそれぞれの滞留時間は実施例1と同じ)以外は、実施例1と同様にして、コンピュータ用テープを作製した。一次分散終了後の塗料粘度(温度25℃)は5.6Pa・s(5,600cP)であった。
実施例1において、一次分散ラインを、ジルコニアビーズ(粒子径0.5mm)を見掛け体積で80%充填したサンドミル(周速10m/s)と超音波分散機(周波数20kHz、振幅50μm)とを配管で連結した一次分散A1ラインから、ジルコニアビーズ(粒子径0.5mm)を見掛け体積で80%充填したサンドミル(周速10m/s)単独からなる一次分散Bラインに変更した。
また、塗料の分散処理を、一次分散A1ラインを2回通すことから、一次分散Bラインを4回通すことに変更し、その後、超音波分散機(周波数20kHz、振幅50μm)を1回通した以外は、実施例1と同様にして、コンピュータ用テープを作製した。一次分散終了後の塗料粘度(温度25℃)は5.8Pa・s(5,800cP)であった。
磁性粉末を、磁性粉末〔Co/Fe:24原子%、Al/(Fe+Co):4.7重量%、Y/(Fe+Co):7.9原子%、σs:129A・m2 /kg(129emu/g)、Hc:196.2kA/m(2,465Oe)、平均粒子径:75nm、軸比:5〕から、磁性粉末〔Co/Fe:30原子%、Al/(Fe+Co):4.7重量%、Y/(Fe+Co):4.8原子%、σs:137A・m2 /kg(137emu/g)、Hc:188.6kA/m(2,370Oe)、平均粒子径:100nm、軸比:5〕に変更した以外は、比較例2と同様にして、コンピュータ用テープを作製した。
一次分散用塗料の塗料粘度(温度25℃)は0.9Pa・s(900cP)で、一次分散終了後の塗料粘度(温度25℃)は4.8Pa・s(4,800cP)であった。
┌────┬───────┬───────────┬────────┐
│ │ 磁性粉末の │ 一次分散ライン │ 一次分散後の │
│ │ 粒子サイズ │ の構成 │ 塗料粘度 │
│ │ (nm) │ │ (Pa・s) │
├────┼───────┼───────────┼────────┤
│実施例1│ 75 │ A1×2 │ 4.2 │
│ │ │ │ │
│実施例2│ 75 │ A1×3 │ 3.9 │
│ │ │ │ │
│実施例3│ 75 │ A1×4 │ 3.7 │
│ │ │ │ │
│実施例4│ 75 │ A2×2+A3×2 │ 3.8 │
│ │ │ │ │
│実施例5│ 45 │ A1×2+A4×2 │ 4.7 │
├────┼───────┼───────────┼────────┤
│比較例1│ 75 │ A1×1 │ 5.6 │
│ │ │ │ │
│比較例2│ 75 │ B×4(超音波なし)│ 5.8 │
│ │ │ │ │
│比較例3│ 100 │ B×4(超音波なし)│ 4.8 │
└────┴───────┴───────────┴────────┘
最表面の表面粗さを、AFM(DigitalInstruments社 Dimension3000)を用いて、測定した。測定条件は、タッピングモードで行い、視野は40μm×40μm角で行い、平均線中心粗さRaを求めた。
磁気特性は、試料振動型磁束計(VSM、東英工業社製)で、最高磁場0.8MA/m(10kOe)の条件下で、測定した。ヒステリシスループを書かせた上で、これから、Hc、SFDの特性値を求めた。
電磁変換特性の測定には、ドラムテスターを用いた。
ドラムテスターには、電磁誘導型ヘッド(トラック幅25μm、ギャップ0.2ミクロン)とMRヘッド(8μm)を装着し、誘導型ヘッドで記録し、MRヘッドで再生を行った。両ヘッドは回転ドラムに対して異なる場所に設置されており、両ヘッドを上下方向に操作することで、トラッキングを合わせることができる。磁気テープはカートリッジに巻き込んだ状態から適切な量を引き出して廃棄し、さらに60cmを切り出し、さらに4mm幅に加工して、回転ドラムの外周に巻き付けた。
出力およびノイズは、ファンクションジェネレータにより、矩形波を記録電流電流発生器に入力制御し、波長0.2μmの信号を書き込み、MRヘッドの出力をプリアンプで増幅後、スペクトラムアナライザーに読み込んだ。0.2μmのキャリア値を媒体出力Cとした。また、0.2μmの矩形波を書き込んだときに、記録波長0.2μm以上に相当するスペクトルの成分から、出力およびシステムノイズを差し引いた値の積分値をノイズ値Nとして用いた。両者の比をとってC/Nとした。CおよびC/Nともに、比較例1のコンピュータ用テープの値との相対値を求めた。
┌────┬──────┬────────────┬───────────┐
│ │磁性層表面の│ 磁気特性 │ 電磁変換特性 │
│ │粗さ〔Ra〕├──────┬─────┼─────┬─────┤
│ │ │ Hc │ SFD │ C │ C/N │
│ │ (nm) │(kA/m)│ │ (dB)│ (dB)│
├────┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤
│実施例1│ 3.4 │ 211 │ 0.49│ 0.6 │ 0.9 │
│ │ │ │ │ │ │
│実施例2│ 3.3 │ 212 │ 0.47│ 0.7 │ 1.2 │
│ │ │ │ │ │ │
│実施例3│ 3.3 │ 212 │ 0.46│ 0.9 │ 1.5 │
│ │ │ │ │ │ │
│実施例4│ 3.1 │ 213 │ 0.44│ 1.1 │ 1.8 │
│ │ │ │ │ │ │
│実施例5│ 2.9 │ 205 │ 0.67│−0.9 │ 3.3 │
├────┼──────┼──────┼─────┼─────┼─────┤
│比較例1│ 4.4 │ 210 │ 0.52│ 0 │ 0 │
│ │ │ │ │ │ │
│比較例2│ 4.1 │ 211 │ 0.51│ 0.3 │ 0.5 │
│ │ │ │ │ │ │
│比較例3│ 4.2 │ 193 │ 0.51│−0.2 │−4.5 │
└────┴──────┴──────┴─────┴─────┴─────┘
2 供給ポンプ
3 切替えバルブ
T1 供給タンク
T2 貯蔵タンク
S1〜S4 サンドミル
H1〜H4 超音波分散機
Claims (2)
- 平均粒子径が0.1μm未満の磁性粉末とバインダ樹脂とを含む磁性塗料の分散工程において、分散用媒体を使用して分散を行う工程と超音波分散を行う工程とを組み合わせ、この組み合わせ工程を2回以上繰り返すことを特徴とする磁性塗料の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法で得られた磁性塗料を用いて製造された磁気記録媒体。
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