JP3824245B2 - 転写シート及びそれを用いた画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はゼログラフィ方式により、普通紙等の被転写材にトナー画像を静電転写する工程を有する電子写真複写機や熱転写記録方式により得られた画像としての熱溶融性インク、昇華染料等を被転写材に転写する工程を有する、プリンタやインクジェット方式により水性インクや熱溶融性インクを被転写材に転写する工程を有するプリンタ(以下、複写装置と略する)に用いられる転写シートに関し、より詳細には、複写装置で形成した転写シート上の画像を他の基材、例えば布、キャンバス、プラスチック、紙、木材、皮革、ガラス、陶器、金属等に再転写する工程に使用される転写シートに関するものである。また、これを用いた画像形成方法及び画像転写方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の複写装置の普及、発展に伴い、単に普通紙上に複写画像を形成するという複写装置本来の用途にとどまらず、その機能を応用して新しい用途を開拓する試みがなされている。
このような新しい用途の一つとして、複写装置で作成した画像を布や皮革、キャンバス、プラスチック、木材、ガラス、陶器、金属等の他の基材に再転写、定着して使用する例がある。このような使用方法は、例えばオーダーメードのTシャツやトレーナー、エプロン、ジャンパー、コップ、皿、ステンドグラス、パネル、複製絵画のような大量生産しない個人向け、もしくは小ロットの商品の製造方法として有効な手段であり、更に最近では高画質画像が得られるフルカラー複写機を使用することも可能となったため、より高画質の画像が手軽にプリントできるようになり、更に需要が拡大しつつある。
【0003】
このような被転写材にトナーや熱溶融性インク、昇華染料、水性インク等を転写して転写画像を形成するための転写シートとしては、例えば、特開昭52−82509号公報に開示されている転写シートがある。しかし、該転写シートでは転写時に少なくとも熱または圧力のいずれかを必要とするため、プラスチックのような熱に弱い材質や均一な圧力を加えることの困難な曲面には転写が困難であるという問題があった。一方、特開平8−108610号公報に開示されている水圧転写紙は水透過性の台紙、剥離層、接着剤層、画像保持層からなり、画像形成後水圧転写紙を水に浸して剥離層を溶解させ台紙を剥離し、水面に浮かんだ転写層を被転写体に転写するため、転写時に熱又は圧力を必要としない。しかしながら、剥離層(本発明の水溶性糊層に相当)の溶解速度が遅く、画像形成後転写するまでに時間がかかるため、水溶性糊層の溶解速度の速い転写シートが求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような事情に鑑みなされたもので、水溶性糊層の溶解速度が速く、生産性の高い転写シートを提供することを目的としている。
もう一つの目的は、熱に弱い材質や曲面にも転写可能な転写シートを提供することにある。
もう一つの目的は、良好な転写性を有すると共に被転写材への優れた画像定着性が得られる転写シートを提供することである。
もう一つの目的は、転写シート作成時に有機溶剤を使用する必要がなく、環境に優しく、低コストの転写シートを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討した結果、水溶性糊層塗料として鹸化度90モル%以下、重合度1000以下のイタコン酸変性ポリビニルアルコールを用いることにより上記課題が解決されることを見いだし本発明に至った。
【0006】
即ち上記目的は、本発明の(1)「少なくとも水透過性の支持体、水溶性糊層、転写層からなる転写シートにおいて、水溶性糊層に用いる水溶性樹脂が、鹸化度90モル%以下、重合度1000以下のイタコン酸変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする転写シート」、(2)「少なくとも水透過性の支持体、水溶性糊層、接着層、転写層からなる前記第(1)項に記載の転写シート」、及び、(3)「水溶性糊層の乾燥付着量が1g/m2〜50g/m2であることを特徴とする前記第(1)項又は(2)項に記載の転写シート」により達成される。
【0007】
また上記目的は、本発明の(4)「電子写真方式を用いて像受容体にトナー像を形成し、像受容体に形成されたトナー像を、少なくとも熱又は圧力のいずれかによって定着する画像形成方法であって、該像受容体が前記第(1)項乃至(3)項のうち何れか1に記載の転写シートであることを特徴とする画像形成方法」、(5)「熱により、熱溶融性インク層または熱昇華性染料を受容体上に転写する画像形成方法であって、該像受容体が前記第(1)項乃至(3)項のうち何れか1に記載の転写シートであることを特徴とする画像形成方法」、(6)「インクジェット方式を用いて、像受容体に水性インクまたは熱溶融性インクの像を形成する画像形成方法であって、該像受容体が前記第(1)項乃至(3)項のうち何れか1に記載の転写シートであることを特徴とする画像形成方法」、及び、(7)「転写シートに記録された画像を被転写材に転写する画像転写方法において、該転写シートが前記第(1)項乃至(3)項のうち何れか1に記載の転写シートであって、前記第(4)項乃至(6)項のうち何れか1に記載の方法で形成した転写シートの像を転写することを特徴とする画像転写方法」によって達成される。
【0008】
更に、本発明には以下の(8)〜(15)の様態が含まれる。
(8)「転写層材料が水系エマルジョンであることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項のうち何れか1に記載の転写シート」、(9)「転写層材料として、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸またはアクリル酸エステルの少なくとも一種からなるポリマーあるいは少なくとも一種の材料を含む共重合体を用いること特徴とする前記(1)項乃至(3)項、又は(8)のうち何れか1に記載の転写シート」、(10)「転写層の乾燥付着量が5g/m2〜200g/m2であることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項、又は(8)乃至(9)項のうち何れか1に記載の転写シート」、(11)「接着層の乾燥付着量が0.1g/m2〜10g/m2であることを特徴とする前記(2)項乃至(3)項、又は(8)項乃至(10)項のうち何れか1に記載の転写シート」、(12)「接着層材料として、アクリル酸またはアクリル酸エステルの少なくとも一種からなるポリマーあるいは少なくとも一種の材料を含む共重合体を用いること特徴とする前記(2)項乃至(3)項、又は(8)項乃至(11)項のうち何れか1に記載の転写シート」、(13)「接着層材料が水系エマルジョンであることを特徴とする前記(2)項乃至(3)項、又は(8)項乃至(12)項のうち何れか1に記載の転写シート」、(14)「水溶性糊層材料が水溶液であることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項、又は(8)項乃至(13)項のうち何れか1に記載の転写シート」、(15)「水透過性の支持体が秤量20g/m2〜200g/m2であることを特徴とする前記(1)項乃至(3)項、又は(8)項乃至(14)項のうち何れか1に記載の転写シート」。
【0009】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明の転写シートは、少なくとも水透過性の支持体、水溶性糊層、転写層からなる転写シートにおいて、水溶性糊層に用いる水溶性樹脂が、鹸化度90モル%以下、重合度1000以下のイタコン酸変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする転写シートである。好ましくは、水透過性の支持体、水溶性糊層、接着層、転写層からなる転写シートにおいて、水溶性糊層に用いる水溶性樹脂が、鹸化度90モル%以下、重合度1000以下のイタコン酸変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする転写シートである。
【0010】
上記構成の転写シートにおいては、転写層の表面にトナー、インク、染料等で画像を形成した後に水に浸すことによって水溶性糊層が溶解して支持体と転写層あるいは支持体と接着層が剥離し、転写層を被転写材に張り付けることにより、画像の再転写が行なわれる。転写シートから支持体を剥離した直後は転写層あるいは接着層が水に濡れているために被転写材上での位置合わせが容易であり、乾燥すると被転写材との接着力を発現する。
【0011】
ここで、水溶性糊層として鹸化度90モル%以下、重合度1000以下のイタコン酸変性ポリビニルアルコールを用いることにより、水溶性糊層の溶解速度が速くなり短時間で転写シートを使用できる状態になる。鹸化度が90モル%以下であるとポリビニルアルコールの結晶性が低下し、また、ポリビニルアルコール間のヒドロキシル基による水素結合も減少するために溶解速度が向上するものと思われる。さらに、重合度1000以下のポリビニルアルコールは重合度が1000を超えるポリビニルアルコールと比較して分子量が小さいために溶解速度が速いだけではなく、水溶液の粘度が低いため水溶性糊層塗料の調製及び転写シートの製造が容易である。
【0012】
さらに、理由は定かではないが、水溶性糊層として鹸化度90モル%以下、重合度1000以下のイタコン酸変性ポリビニルアルコールを用いることにより、ポリビニルアルコールよりもさらに溶解速度が速くなり、生産性の高い転写シートが得られる。
ところで、本発明の好ましい実施形態として、転写層ないし接着層材料に水性エマルジョンを、水溶性糊層に水溶液を、それぞれ、使用することにより、転写シート作成時の有機溶剤の揮散がなく、環境に優しく、低コストでの転写シートの製造が可能となる。
また、本発明の転写層材料を使用した際、支持体として坪量20〜200g/m2の紙を使用することにより、各種複写装置内での搬送安定性が非常に高くなり、水に浸した時の透水性も良好であり、かつ、比較的低コストで転写シートが製造できる。
【0013】
ここで、本発明における転写層としては以下のような材料を用いることができる。具体的には、熱可塑性ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、硝酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレンなどのスチレン樹脂またはスチレン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体などのビニル共重合体、ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂などのロジンエステル樹脂、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴムなどの天然、または、合成ゴム類、および、各種アイオノマーなどの他、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等である。
【0014】
ポリウレタンには、イソシアネート類と、分子末端がヒドロキシル基であるポリオールとの反応により得られる熱可塑性ポリウレタンが含まれる。イソシアネート類には、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネートなどが含まれる。ポリオールには、アルカンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどのポリヒドロキシ化合物が含まれる。これらのポリヒドロキシ化合物は少なくとも一種用いられる。アルカンポリオールとしては、1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールなどのアルカンジオールなどが挙げられる。ポリエステルポリオールとしては、脂肪族ポリエステルジオール、例えば、後述する脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸のいずれか一方の成分を構成単位として含むポリエステルジオールが含まれる。ポリエーテルポリオールには、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAとエチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドとの付加化合物などのポリエーテルジオールが含まれる。
【0015】
ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン13、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン616などや、これらのナイロン原料を用いた共重合ナイロン(例えばナイロン6/12など)などが例示される。
【0016】
ポリエステルには、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸のいずれか一方の成分を構成単位として含むポリエステル、特に、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸を構成成分とする脂肪族ポリエステルが含まれる。好ましいポリエステルには、飽和脂肪族カルボン酸の単位を含む場合が多い。脂肪族ジオール成分には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリメチレングリコールなどが含まれ、脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカン二酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0017】
ポリオレフィンには、例えば、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−(4−メチルペンテン−1)共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、無水マレインなどの変性ポリオレフィンなどが挙げられる。好ましいポリオレフィンには、変性ポリオレフィンなどが含まれる。
【0018】
本転写層は必要に応じて、粘着性付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、ワックス、可塑剤、充填剤などを含んでいもよい。
転写層の乾燥付着量は5g/m2〜200g/m2が好ましい。5g/m2以下では転写層の強度が不十分であり、200g/m2以上では転写したときに画像が不自然である上、複写装置での搬送不良が起りやすくなる。
【0019】
また、本発明における接着層としては以下のような材料を用いることができる。具体的には、天然ゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、ポリイソブチレンゴム、イソブチレン/イソプレン共重合ゴム、スチレン/イソプレン/スチレンブロックコポリマーゴム、スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマーゴム、クロロプレンゴム、ブタジエン/アクリロニトリル共重合ゴム、ポリブタジエンゴム等のゴム系粘着剤、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸オクチル、あるいはこれらのイソプレンブロックコポリマーゴム、クロロプレンゴム、ブタジエン/アクリロニトリル共重合ゴム、ポリブタジエンゴム等のゴム系粘着剤、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸オクチル、あるいはこれらの共重合体等のアクリル系粘着剤、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルブチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系粘着剤、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系粘着剤等が挙げられる。
【0020】
接着層の乾燥付着量は0.1g/m2〜10g/m2が好ましく、より好ましくは0.3g/m2〜5g/m2である。0.1g/m2以下では接着力が不十分であり、10g/m2以上では接着剤が多すぎて逆に接着力が低下する。
水溶性糊層の乾燥付着量は1g/m2〜50g/m2が好ましい。1g/m2以下では転写層あるいは接着層と支持体が接着して剥離できなくなり、50g/m2以上では水溶性糊層が厚すぎるために溶解に時間がかかり剥離速度が低下する傾向にある。
【0021】
本発明で使用される支持体としては、紙、合成紙、布、不織布、皮革、またはポリエチレンテレフタレート、ジアセテートセルロース、トリアセテートセルロース、アクリル系ポリマー、セロハン、セルロイド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリイミド、ボリエーテルスルホン、ポリエチルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂シート、金属板、金属箔等が挙げられる。また、これらの材料を適宜組み合わせて製造した複合シートや、これらに塗工やラミネートによって耐水性や導電性を付与したもの等の使用が可能であり、特に限定されない。好ましくは秤量20〜200g/m2の紙が経済性及び複写装置内搬送安定性、透水性の面で用いられる。
【0022】
水溶性糊層、接着層、転写層を形成するには、各層を形成する材料を水又は適当な溶剤中に溶解もしくは分散もしくはエマルジョン化させて調整した塗工液をロールコーター、ブレードコーター、ワイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロッドコーター等のコーターを適宜使用して支持体上に塗布して形成する。その他、ホットメルトコーター、ラミネートコーター等を使用して支持体上に積層して形成してもよい。
本発明の転写シート上に画像を形成するには、上述したような電子写真記録、感熱転写記録、熱昇華性染料を用いた感熱転写記録、インクジェット記録を適用する他にも、オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、孔版印刷等の各種の印刷方法、さらに静電記録、ドットインパクト記録、手書き等の記録方法を適宜選択して適用することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。なお実施例中の部数は重量部を表わすものである。
実施例1
支持体として坪量93g/m2の上質紙を用い、下記組成よりなる水溶性糊層用材料(A)を支持体の片面にワイヤーバーで塗布、乾燥して水溶性糊層(乾燥塗布量11g/m2)を設けた。
[水溶性糊層用材料(A)]
イタコン酸変性ポリビニルアルコール 20部
(KL−506、クラレ社製、鹸化度74.0〜80.0%、重合度600)
水 80部
[接着層用材料(A)]
アクリル酸エステル系共重合樹脂エマルジョン 10部
(SE−4100、昭和高分子社製、固形分62%)
水 52部
上記で得られた接着層の上に、下記転写層塗料(A)をワイヤーバーで塗布、乾燥して転写層(乾燥塗布量67g/m2)を設けて本発明の転写シート(a)を得た。
[転写層用材料(A)]
酢酸ビニル系エマルジョン
(SH−502、昭和高分子社製、固形分50%)
得られた転写シート(a)をカラー複写機(リコー製、プリテール550)を使用し、転写層にフルカラー画像を形成した。転写層に形成された画像は鮮明、高画質であり、プリテール550用専用普通紙に形成した場合の画像との差は認められなかった。
次に、上記で得られたフルカラー画像形成済の転写シート(a)を摂氏20度の水に1分間浸し、その後剥離したところ容易に剥離することができ、画像がゆがんだり接着層に紙の繊維が付着することはなかった。
さらに、上記で得られた剥離済みの転写シート(a)を接着層がアクリル板に密着するように載せ、ヘラでしごいた後に水分を乾燥させたところ、転写シートとアクリル板は強固に接着した。
【0024】
実施例2(参考例)
実施例1において、水溶性糊層に下記塗料(B)を用いた他は実施例1と同様にして転写シート(b)を得た。
[水溶性糊層用材料(B)]
ポリビニルアルコール 20部
(PVA−205、クラレ社製、鹸化度86.5〜89.5%、
重合度500)
水 80部
【0025】
実施例3
実施例1において、接着層を設けない他は実施例1と同様にして転写シート(c)を得た。
【0026】
比較例1
実施例1において、水溶性糊層に下記塗料(C)を用いた他は実施例1と同様にして転写シート(d)を得た。
[水溶性糊層用材料(C)]
ポリビニルアルコール 20部
(PVA−105、クラレ社製、鹸化度98.0〜99.0%、重合度500)
水 80部
【0027】
比較例2
実施例1において、水溶性糊層に下記塗料(D)を用いた他は実施例1と同様にして転写シート(e)を得た。
[水溶性糊層用材料(D)]
ポリビニルアルコール 10部
(PVA−217、クラレ社製、鹸化度87.0〜89.0%、重合度1700)
水 90部
【0028】
比較例3
実施例1において、水溶性糊層に下記塗料(E)を用いた他は実施例1と同様にして転写シート(f)を得た。
[水溶性糊層用材料(E)]
デキストリン 40部
(日澱化学社製、赤玉デキストリン)
水 60部
以上、得られた転写シート(a)〜(f)をカラー複写機(リコー製、プリテール550)を使用し、転写層にフルカラー画像を形成した後、フルカラー画像形成済の転写シート(a)〜(f)をセ氏20度の水に1分間浸し、剥離した時のはがれやすさを5段階で評価した。
【0029】
【表1】
1.剥離不可能
2.剥離が非常に重く、転写層が変形する
3.剥離は重いが、転写層の変形はない
4.剥離は軽い
5.剥離にほとんど力を必要としない
【0030】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明から明らかなように、本発明の転写シートは水溶性糊層の溶解速度が速いために生産性が高く、熱に弱い材質や曲面にも転写可能であり、良好な転写性を有すると共に被転写材への優れた画像定着性が得られる。また、転写シート作成時に有機溶剤を使用する必要がなく、環境に優しく、低コストでの製造が可能となる。
Claims (7)
- 少なくとも水透過性の支持体、水溶性糊層、転写層からなる転写シートにおいて、水溶性糊層に用いる水溶性樹脂が、鹸化度90モル%以下、重合度1000以下のイタコン酸変性ポリビニルアルコールであることを特徴とする転写シート。
- 少なくとも水透過性の支持体、水溶性糊層、接着層、転写層からなる請求項1に記載の転写シート。
- 水溶性糊層の乾燥付着量が1g/m2〜50g/m2であることを特徴とする請求項1又は2に記載の転写シート。
- 電子写真方式を用いて像受容体にトナー像を形成し、像受容体に形成されたトナー像を、少なくとも熱又は圧力のいずれかによって定着する画像形成方法であって、該像受容体が請求項1乃至3のうち何れか1に記載の転写シートであることを特徴とする画像形成方法。
- 熱により、熱溶融性インク層または熱昇華性染料を受容体上に転写する画像形成方法であって、該像受容体が請求項1乃至3のうち何れか1に記載の転写シートであることを特徴とする画像形成方法。
- インクジェット方式を用いて、像受容体に水性インクまたは熱溶融性インクの像を形成する画像形成方法であって、該像受容体が請求項1乃至3のうち何れか1に記載の転写シートであることを特徴とする画像形成方法。
- 転写シートに記録された画像を被転写材に転写する画像転写方法において、該転写シートが請求項1乃至3のうち何れか1に記載の転写シートであって、請求項4乃至6の何れか1に記載の方法で形成した転写シートの像を転写することを特徴とする画像転写方法。
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