JP3822711B2 - 合金化溶融亜鉛メッキ鋼板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建設部材、機械構造用部品、自動車の構造用部品など、構造上の強度、特に変形時の強度及び又は剛性が必要とされる箇所に適用されるに好適な合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関し、特に、プレス等による加工成形後に所定温度域で強度上昇熱処理が施される成形体の素鋼板として用いられる合金化溶融亜鉛めっき鋼板に関するものである。
【0002】
【従来技術】
薄鋼板からなるプレス成形体を製造するに際し、プレス成形前は軟質でプレス成形しやすく、プレス成形後に硬化させ部品強度を高める方法としては、200℃未満で塗装焼付する方法などがある。この塗装焼付用の鋼板としてBH鋼板が開発された。
【0003】
例えば、特開昭55−141526号公報、特開昭55−141555号公報の如くNb添加鋼において、鋼中のC、N、Al含有量に応じてNbを添加してat%でNb/(固溶C+固溶N)を特定範囲内に制限し、さらに、焼鈍後の冷却速度を制御することにより、鋼板中の固溶C、固溶Nを調整する方法や、特公昭61−45689号公報の如くTiとNbの複合添加によって焼付硬化性を向上することが開示されている。
【0004】
しかしながら、前述のような鋼板は、深絞り性に優れる材質とする為、鋼板の強度は低く、構造用材料としてとしては必ずしも十分ではない。
【0005】
また、さらに、特開平5−25549号公報の如く鋼にW、Cr、Moの単独または複合添加によって焼付硬化性を向上することが開示されている。しかしながら、焼付硬化により強度が上昇するのは、鋼板中に含まれる固溶C、固溶Nを利用する為、例えば図1の破線のBH鋼板の応力―歪み曲線に模式的に示すように、材料の降伏強度のみを上昇させる(図1のBH分の応力上昇)だけであり、引張強さを上昇させるものではない。
【0006】
このため、部品の変形の開始応力を高める効果しかなく、部品の変形開始から変形終了まで変形中全域にわたって変形に要する応力(以下、変形強度特性と記す)を高める効果については、必ずしも十分ではない。
【0007】
プレス成形体の塗装焼付以外の硬化方法としては、プレス成形後に軟窒化処理による方法がある。例えば、特開平2−80539号公報の如く窒化処理により強度が高まるようにCr、Al、V等の窒化物形成元素を鋼中に含有させる方法や、特開平3−122255号公報の如く窒化処理の熱を利用して、Cuを析出硬化させ部材の硬さを高める方法などが開示されている。しかしながら、これらの方法では、加熱温度が高く、耐食性を高めようとして通常の亜鉛めっきを用いると、めっき層が蒸散し耐食性の良いものが得られにくいという欠点を有していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点を解決するべく、加工成形前は強度レベルが300Mpa級、400Mpa級、500Mpa級、600Mpa級、あるいは700Mpa級で比較的軟質の高強度鋼でプレス成形等の加工成形がしやすく、プレス成形等の成形加工後に強度上昇を目的とした比較的低温での短時間熱処理を行うことで、引張強さ又は硬さが上昇し部材や部品の変形強度を高めるか、あるいは剛性を高めることが可能な素鋼板としての合金化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、合金化溶融亜鉛めっきを施した薄鋼板からなる各種成形材料や部品の形状を成形する上での加工性、部材や部品を熱処理することで硬化させる熱処理方法、および該鋼板からなる部品としてのプレス成形体の変形強度特性など鋭意研究を行った。その結果、鋼組成において適量のCとW、Cr、Moを複合添加することにより、更には鋼のミクロ組織を特定した合金化溶融亜鉛めっき鋼板とすることによって、耐食性を損なわずに成形後の200〜450℃の温度域での短時間熱処理で高い強度上昇(又は硬さ上昇)が得られることを新たに発見した。
【0010】
本発明は、この発見に基づいて成し遂げたもので、その発明の要旨は、
(1) 重量%にて
C :0.01〜0.08%、
Si:0.005〜1.0%、
Mn:0.01〜3.0%、
P :0.001〜0.15%、
S :0.001〜0.02%、
Al:0.001〜0.1%、
N :0.0002〜0.01%、
および
W、Cr、Moの1種または2種以上を、合計量が0.05〜3.0%含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼であり、かつ該鋼のミクロ組織がフェライトからなることを特徴とする成形後強度上昇熱処理性能を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
【0011】
(2) 鋼組成として、更に重量%で、
Ti:0.005〜0.1%、
Nb:0.005〜0.1%、
V :0.005〜0.1%、
の1種または2種以上を含有せしめたことを特徴とする前記(1)に記載の成形後強度上昇熱処理性能を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
【0012】
(3) 重量%にて
C :0.01〜0.08%、
Si:0.005〜1.0%、
Mn:0.01〜3.0%、
P :0.001〜0.15%、
S :0.001〜0.02%、
Al:0.001〜0.1%、
N :0.0002〜0.01%、
およびW、Cr、Moの1種または2種以上を、合計量が0.05〜3.0%、更に、
Ti:0.005〜0.1%、
Nb:0.005〜0.1%、
V :0.005〜0.1%、
の1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼であり、かつ該鋼のミクロ組織がフェライト主体であることを特徴とする成形後強度上昇熱処理性能を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
【0014】
(4) フェライトの組織分率が60%以上であることを特徴とする前記(3)に記載の成形後強度上昇熱処理性能を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
【0015】
(5) ミクロ組織がフェライト主体で残部がパーライト及び/又はベーナイトからなることを特徴とする前記(3)または(4)に記載の成形後強度上昇熱処理性能を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
【0016】
【発明の実施の形態】
本研究者らは、部材や部品のプレス成形性等の加工成形性を確保しつつ部材や部品に変形強度特性を付与する方法として、鋼板、熱処理方法、成形性(特にプレス成形性)について鋭意研究を行ったところ、Cと親和性の弱い炭化物形成元素であるCr、W、Moを含有する鋼板を2%以上の歪みを与えるプレス成形法で加工し200〜450℃の熱処理を施せば、合金化溶融亜鉛めっき鋼板からなる成形体が耐食性を損なわず著しく硬化することを見出した。また、さらに鋼組成として、Ti、Nb、Vを複合添加することで硬化量が増加することを見出した。
【0017】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0018】
まず、以下に鋼の成分を限定する理由について述べる。
【0019】
Cは、鋼の加工性に影響を及ぼす元素であり、含有量が多くなると、加工性は劣化する。従って0.08%以下とする。また、0.01%未満では、200℃〜450℃の熱処理時に炭化物として析出する量が少なく、熱処理の際、強度を上昇させる効果が少ないので、0.01%を下限とする。
【0020】
Siは、0.005%未満では、製造コストが飛躍的に上がり経済的でなくなるので、0.005%を下限とし、1.0%を越えると加工性は劣化するとともに、亜鉛が付着しにくく亜鉛めっきの密着性を損なうので、1.0%を上限とする。
【0021】
Mnは、0.01%未満では、製造コストが飛躍的に上がり経済的でなくなるので、0.01%を下限とし、3.00%を越えると加工性は劣化するので、3.0%を上限とする。
【0022】
Pは、深絞り性を損なわずに強度を上げられる元素であり、強度レベルに応じて添加するが、0.001%未満にするには製造コストが飛躍的に上がり経済的でなくなるので、0.001%を下限とし、0.15%を越えると二次加工脆性の問題が発生してくるので、0.15%を上限とする。
【0023】
Sは、本来、鋼中に存在することが無意味な元素であるため少ない方が良いが、0.001%未満では製造コストが飛躍的に上がり経済的でなくなるので、0.001%を下限とし、0.02%を超えると熱間圧延時に赤熱脆性を起こし、表面で割れる、いわゆる、熱間脆性を起こすため、0.02%を上限とする。
【0024】
Alは、通常、脱酸成分として添加し、ブローホール等の欠陥が発生を防止するため、0.001%以上添加する必要がある。0.001%未満では十分脱酸できないため、0.001%を下限とする。また、0.1%を越えると脱酸の効果は飽和するので、0.1%を上限とする。また、更にTiを添加して介在物を形態制御して、プレス割れを少なくするには、Alは0.001〜0.005%が好ましい。
【0025】
Nは、加工性を確保するためには少ない方が良いが、0.0002%未満では製造コストが飛躍的に上がり経済的でなくなるので、0.0002%を下限とし、0.01%を越えると加工性が劣化してくるので、0.01%を上限とする。
【0026】
加工成形後の所定の低温熱処理の際に、引張強さを上昇させる効果を発揮するには、前記元素に加えて必須元素として、更にMo、W、Crの1種または2種以上を、Mo、W、Crの合計量が0.05〜3.0%鋼に含有せしめる。合計量が0.05%未満では、前記の熱処理を施しても、引張強さの上昇が十分に期待できない。また、合計量が3.0%を超えるとMo、W、Crが鋼の強化元素であり、加工成形前の強度が高くなりすぎ加工性を損ったり、前記の熱処理を施しても引張強さを上昇させる効果が小さいか又は飽和してしまうために、経済的に不都合となるためである。
【0027】
Cr、W、Moを含有する鋼板に2%以上の歪みを付与するようなプレス成形等の加工成形を行い、200℃超〜450℃の熱処理を施すと、鋼板の引張強さが上昇する。鋼へCr、W、Moを所定量添加してこの熱処理を施した際の引張強さの上昇理由は明らかではないが、2%以上の歪みの付与によって、鋼板中のフェライト部に相当量の転位が導入され、C、Cr、W、Moの鋼中での拡散は低温でも飛躍的に高まり、またさらに導入された転位を核として、転位上にCr、W、Mo炭化物の析出が生じるため、低温短時間で炭化物が析出して部材や部品の引張強さが高まると本発明者らは考えている。
【0028】
更に後述のように、ミクロ組織がフェライトの場合、あるいはフェライト主体(特にフェライトの組織分率が60%以上)の場合、あるいはフェライト主体で残部がパーライト及び又はベイナイトの場合、にこの効果は顕著である。
【0029】
また、さらに加工成形後熱処理の際、引張強さを上昇させるには、前記のCr、W、Moに加えて、選択元素としてTi、Nb、Vを添加することが出来る。Ti、Nb、Vを含有した部材又は部品の引張強さや硬さを上昇させる効果が高まる理由は明らかではないが、本発明者らは、Ti、Nb、Vを添加すると、前記のCr、W、Mo添加による低温熱処理での作用と相乗作用を発揮し、鋼板中で微細な炭化物を形成し、この微細炭化物は、プレス時に付与する歪みに対して、転位を効果的に増殖させ、歪み量を増やしたような効果が現れるためと考ている。特に、Vを添加し、更にTi、Nbの1種又は2種の添加が加工成形後熱処理を短縮できるので好ましい。
【0030】
Tiは熱処理の際、強度を上昇させる効果を高める元素であり、0.005%未満では、その効果が小さいので、0.005%を下限としする。また、Tiは鋼の強度を高める元素であり、0.1%を超えると加工性が劣化するので、0.1%を上限とする。
【0031】
Nbは熱処理の際、強度を上昇させる効果を高める元素であり、0.005%未満では、その効果が小さいので、0.005%を下限としする。また、Nbは鋼の強度を高める元素であり、0.1%を超えると加工性が劣化するので、0.1%を上限とする。
【0032】
Vは熱処理の際、強度を上昇させる効果を高める元素であり、0.005%未満では、その効果が小さいので、0.005%を下限としする。また、Vは鋼の強度を高める元素であり、0.1%を超えると加工性が劣化するので、0.1%を上限とする。
【0033】
以上のように成分を調整するが、成形後熱処理の際、強度を上昇させる効果を高めるためには、鋼板中のC量を熱処理温度で、固溶状態にしておく事が望ましいので、炭化物形成元素であるTi、Nb、VをTi量で{(48/12)×C[%]+(48/14)×N[%]}以下、もしくはNb量を{(93/12)×C[%]+(93/14)×N[%]}以下、もしくはV量を{(51×4/12/3)×C[%]+(51/14)×N[%]}以下、もしくはTi、Nb、Vを複合添加する場合では、{Ti[%]×12/48+Nb[%]×12/93+V[%]×12×3/51/4}<C[%]+N[%]×12/14を満足するように添加することが望ましい。
【0034】
次いで鋼のミクロ組織を限定した理由についてのべる。
【0035】
鋼のミクロ組織は、フェライトからなるか又はフェライト主体(鋼のミクロ組織のフェライトの組織分率を60%以上)とする。フェライトは軟質で加工性に優れる上に、加工を加えたときに結晶粒内に多くの転位を蓄積することができる。また、歪みを加えたときに転位が均一に入り、鋼板全体の強度を均一に高めることができる。したがって、鋼のミクロ組織をフェライトからなるか又はフェライト主体とする。またさらに、フェライト主体とする組織のフェライトでない残部の組織をパーライト及び又はベイナイトとするとフェライトと残部組織の界面に応力集中が高まり、効果的にフェライトに転位を付与することができる。そのうえ、パーライト及び又はベイナイト組織はマルテンサイト組織ほど硬質でないので、パーライト及び又はベイナイト組織自身も変形し、鋼板全体として転位量が増加するので熱処理の際鋼の強度が効果的に上昇する。
【0036】
本発明の成形後強度上昇熱処理とは、塑性相当ひずみで2%以上のひずみが加わる成形加工を施した後、200〜450℃(更に好ましくは220〜370℃)の温度範囲での1分〜30分間の短時間保持(冷間成形後の加熱または温間成形後の温度保持など)において、加工前後の引張強さを比較した引張強さΔTS(=加工熱処理後TS−加工前TS)で60MPa以上(更に好ましくはΔTSで90Mp以上)強度向上可能な、またはビッカース硬さΔHv(=加工熱処理後Hv−加工前Hv)で18以上(更に好ましくはΔHvで27以上)熱処理後に上昇可能な熱処理を示す。但し、この熱処理は窒化処理等のように成形体に外部から硬化元素(例えば窒素等)を積極的に成形体内へ侵入せしめる必要がない。 本発明の加工成形後強度(引張強さ)上昇熱処理素材としての、高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板としては、熱延鋼板でも、冷延鋼板でもかまわず、板厚も限定されるものではないが、0.4〜6mmで特に有効である。
【0037】
本発明鋼の製造に際しては、上記成分に調整された溶鋼を連続鋳造法にて鋳片又は鋼片となすか造塊法にて鋼片となし、高温のまま加熱することなく又は加熱後に熱間圧延を施す。熱間圧延後、脱スケール処理を施して、そのまま溶融亜鉛めっきを行いその後に加熱合金化処理を施して高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板となす。熱間圧延や巻取り条件に関しては特段の制限はなく、常法に従い実施する。
【0038】
あるいは、熱間圧延後、脱スケール処理を施し、冷間圧延して冷延鋼板とする。その後、焼鈍・溶融亜鉛めっきを行い、その後に加熱合金化処理を施し高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板とする。この際の焼鈍温度は、通常の温度であれば十分である。また、加熱合金化処理の加熱方式は特に限定されるものではなく、燃焼ガスによる直接加熱や、誘導加熱、直接通電加熱等、を適宜選択出来る。
【0039】
合金化溶融亜鉛めっき鋼板となした後、加工性の向上や、加工後の外観のために調質圧延を施した鋼板(ダル仕上げ鋼板、ブライト仕上げ鋼板、表面に特定形状のパターンを転写された鋼板等)、表面に防錆油、潤滑油などの油膜層を有する鋼板など、通常に薄鋼板として用いられる表面の処理を施したいずれの鋼板においても、本発明の成分範囲の鋼板であれば本発明の効果を十分に享受することができる。
【0040】
ついで、上記化学成分の鋼板を用いて加工成形、例えば絞り加工などのプレス加工を行う。プレス加工を施すにあたっては、鋼板に適当な量の転位を与えるために、強度(引張強さ)や硬度が必要とされる部位に、2%以上の塑性相当ひずみが加えられる成形を施す。歪み量が少な過ぎる場合には、成形後熱処理を施しても本願発明の強度上昇の効果が十分に発揮できないことがあるので、プレス時に加える歪み量は好ましくは2%以上、更に好ましくは5%以上である。また、プレス成形法は、2%以上の歪みを付与する方法であれば、特に規定するものではなく、絞り加工、張り出し加工、曲げ加工、しごき加工、打ち抜き加工等を加えても何等差し支えない。図2にプレス成形時の歪み量とプレス成形および成形後熱処理後の引張強さの上昇量(ΔTS)との関係を示す。2%以上、好ましくは5%以上の歪みで、引張強さの上昇量が著しいことが分かる。
【0041】
プレス成形後、低温での熱処理を施す。この際、熱処理温度が200℃未満では、本願発明の効果が発現できないので200℃を下限とする。450℃を越えると亜鉛めっき層の鉄・亜鉛合金化反応が進行して、めっき層中の鉄濃度が異常に高まりあるいは所望の合金相分布が得られ難くくなり、できあがった部材や部品の耐食性を損ねることになるので、450℃以下とする。200〜450℃の温度に加熱する熱処理方法としては、特に規定するものではなく、部分高周波加熱、通電加熱、温浴熱処理、赤外線加熱、熱風加熱など、少なくとも歪み付与部を200〜450℃の温度に加熱する方法であれば、いずれでもかまわない。図3に熱処理温度と熱処理後の引張り強さの上昇量(ΔTS)の関係を示すが、成形後ΔTSが更に剛性上好ましい90MPa以上となる成形後熱処理の温度範囲としては、好ましくは温度が220〜370℃の範囲である。
【0042】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
表1に示す成分の鋼を溶製し、常法に従い連続鋳造でスラブとした。そして、加熱炉中で1200℃まで加熱し、880℃の仕上げ温度で、熱間圧延を行い、550℃で巻取り、ついで、酸洗を施し熱延鋼板とした。
【0043】
また、熱延鋼板の一部は更に、80%の圧下率で冷間圧延を行った後、830℃×60秒の再結晶焼鈍を行い、冷延鋼板となした。
【0044】
得られた熱延鋼板、冷延鋼板をJIS5号引張試験片に加工し、機械的特性値(熱処理なし)の評価を行った。
【0045】
また、別途、該鋼板をプレスにて成形し、図4に示されるハット型のプレス成形品となした。このとき、しわ押さえ圧を調整し、たて壁部Aに平均で5%、平坦部Bに2%の塑性相当ひずみを加えた。該部品を雰囲気が250℃に保たれた炉に10分間入れ、その後空冷し、熱を加えた。該部品のたて壁部Aと平坦部Bから引張試験片を切り出し、引張強さを測定した。プレス加工後の引張試験では、真の応力−歪み関係を測定していることになるので、公称応力での上昇代を見るために、プレス加工前の板厚を試験片板厚とし換算して、公称応力とした。
【0046】
以上の結果を表1に併記する。
【0047】
表1から明らかなように、本発明鋼板は、熱処理硬化性に優れていることが分かる。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、加工成形前は強度レベルが300Mpa級、400Mpa級、500Mpa級、600Mpa級、あるいは700Mpa級で比較的軟質の高強度鋼でプレス成形等の加工成形がしやすく、そして、プレス成形等の成形加工後には比較的低温での短時間熱処理を行うことで、引張強さ又は硬さが上昇し部材や部品の変形強度を高めるか、あるいは剛性を高めることが可能な素鋼板であるため、建設部材、機械構造用部品、自動車の構造用部品など、構造上の強度、特に変形時の強度及び又は剛性が必要とされる箇所に適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明鋼板と従来鋼板の応力―歪み曲線を説明する模式図である。
【図2】本発明鋼板にプレス成形で付与する歪み量と成形後熱処理での引張強さ上昇量の関係を示す図である。
【図3】成形後熱処理温度と熱処理後の引張強さ上昇量との関係を示す図である。
【図4】ハット型のプレス成形品の形状を示す模式図である。
【符号の説明】
A 壁部
B 平坦部
Claims (5)
- 重量%にて
C :0.01〜0.08%、
Si:0.005〜1.0%、
Mn:0.01〜3.0%、
P :0.001〜0.15%、
S :0.001〜0.02%、
Al:0.001〜0.1%、
N :0.0002〜0.01%、
およびW、Cr、Moの1種または2種以上を、合計量が0.05〜3.0%含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼であり、かつ該鋼のミクロ組織がフェライトからなることを特徴とする成形後強度上昇熱処理性能を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板。 - 鋼組成として、更に重量%で、
Ti:0.005〜0.1%、
Nb:0.005〜0.1%、
V :0.005〜0.1%、
の1種または2種以上を含有せしめたことを特徴とする請求項1に記載の成形後強度上昇熱処理性能を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板。 - 重量%にて
C :0.01〜0.08%、
Si:0.005〜1.0%、
Mn:0.01〜3.0%、
P :0.001〜0.15%、
S :0.001〜0.02%、
Al:0.001〜0.1%、
N :0.0002〜0.01%、
およびW、Cr、Moの1種または2種以上を、合計量が0.05〜3.0%、更に、
Ti:0.005〜0.1%、
Nb:0.005〜0.1%、
V :0.005〜0.1%、
の1種または2種以上を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼であり、かつ該鋼のミクロ組織がフェライト主体であることを特徴とする成形後強度上昇熱処理性能を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板。 - フェライトの組織分率が60%以上であることを特徴とする請求項3に記載の成形後強度上昇熱処理性能を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
- ミクロ組織がフェライト主体で残部がパーライト及び/又はベーナイトからなることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の成形後強度上昇熱処理性能を有する合金化溶融亜鉛めっき鋼板。
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JPH10310847A (ja) | 1998-11-24 |
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