JP3822701B2 - インクジェットプリンタの回復装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体にインクを噴射して記録を行うインクジェットプリンタの回復装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドのノズル面に接離可能に接触する吸引キャップを有し該吸引キャップを通じて記録ヘッドのインクを吸引する吸引ポンプ手段と、該吸引ポンプ手段を駆動制御する制御手段とを備えるインクジェットプリンタは知られている。
【0003】
かかるインクジェットプリンタにおいて、制御手段により、吸引ポンプ手段を制御して、吸引動作を行わせるが、一般に、かかる吸引動作は1つの大きな吸引負圧を発生させ、吸引キャップを通じて、記録ヘッド内のインクを一気に吸引するようにして行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、かかるインクジェットプリンタの使用において、記録ヘッドにはじめてインクカートリッジを接続した時を含むインクカートリッジの交換時等においては、記録ヘッドとインクカートリッジとの間のインク通路が空気で満たされている状態が生じ得るが、そのような状態で、記録動作の途中における吐出不良回復のための通常のパージ動作時の場合と同様に、吸引キャップを通じて大きな吸引力を作用させ、記録ヘッドのインクを一気に吸引するようにすると、インクカートリッジより記録ヘッドへ向けインクが空気と混ざった状態で急激に流入し、該インクが泡立ち、記録ヘッドの吐出チャンネル内のインクに気泡が含まれることとなる。特に、記録ヘッドとインクカートリッジの接続部分(たとえばインクカートリッジのインク供給孔)に、記録ヘッド側へゴミ等がインクとともに移動しないようにフィルタ部材が設けられている場合に、その傾向が顕著である。
【0005】
そのため、インクカートリッジの交換時等においては、前述した泡立ちが起こらないような態様で、記録ヘッドよりインクを吸引したいという要求がある。
【0006】
その一方、記録ヘッドのノズルがインクの乾燥やゴミ詰まり等により吐出不良になったときには、大きな負圧で記録ヘッド内のインクを一気に吸引することが望ましい。また、プリンタに内蔵するタイマー手段によって、不使用期間の長さに応じて自動的に行われる自動吸引時には、ノズルから乾燥しつつあるインクを除去するだけであるから、比較的小さな負圧でよい。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、記録ヘッドのノズルやインク通路の状態に応じて、インクの吸引の態様を変更することができるインクジェットプリンタの回復装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドのノズル面に接離可能に接触する吸引キャップを有し該吸引キャップを通じて記録ヘッドのインクを吸引する吸引ポンプ手段と、該吸引ポンプ手段を複数種類のインクの吸引の態様で駆動制御する制御手段とを備えるインクジェットプリンタの回復装置において、
前記吸引ポンプ手段は、予め決めた複数個の吸引動作を一連の動作として有すると共に、ポンプハウジング内において独立移動可能な2つのピストン部材と、前記2つのピストン部材を前記予め決めた複数個の吸引動作に応じて移動させるようにそれらに関連づけられたカム部材と、該カム部材を回転駆動する駆動手段とを有し、該駆動手段に前記制御手段が関連づけられ、
前記カム部材は、前記複数個の吸引動作に対応してそれぞれ2個のピストン部材をその間のポンプ室が拡大する方向に移動させ、その拡大状態で停止させる各カム部を、該カム部材の回転方向に複数有し、
前記制御手段は、前記各吸引動作に対応する前記各カム部の2個のピストン部材を停止させる位置での該カム部材の回転に対し、前記複数種類のインクの吸引の態様に応じた休止時間を選択的に挿入あるいは休止時間を省略するものであって、前記2個のピストン部材を停止させる各カム部の位置で、前記休止時間を含ませ、あるいは休止時間を省略することで、前記複数個の吸引動作からなる一連の動作を順次行う、あるいは隣接する2つの吸引動作をほぼ一気に行う制御をするものである。
【0009】
このようにすれば、制御手段によって駆動手段が制御され、前記吸引ポンプ手段における2個のピストン部材をポンプ室が拡大した状態で停止させる各カム部の位置で、前記休止時間を含ませ、あるいは休止時間を省略することで、複数個の吸引動作からなる一連の動作を順次行う、あるいは隣接する2つの吸引動作をほぼ一気に行うことで吸引ポンプ手段が行う吸引が変化せしめられる。その結果、記録ヘッドのノズルやインク通路の状態に応じて、インクの吸引の態様が変更される。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載のインクジェットプリンタの回復装置において、前記カム部材には、ワイパ部材及び前記吸引キャップが関連づけられ、前記ワイパ部材の前記ノズル面に対する進退及び吸引キャップの前記ノズル面に対する進退は、前記カム部材の回転によって制御される。
【0011】
このようにすれば、カム部材が回転し、ワイパ部材,吸引キャップ及び吸引ポンプが制御され、良好な吐出状態を確保するために、記録ヘッドに対し一連の回復動作、即ち前記ノズル面に対して吸引キャップ及びワイパ部材を接離する動作、吸引ポンプにより吸引・排出動作が行われることになる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1記載のインクジェットプリンタの回復装置において、前記制御手段が、前記吸引ポンプ手段を制御して、インクカートリッジの交換時は、吸引力が小さくかつ吸引時間が短い複数個の吸引動作を行わせるものであり使用者が任意に若しくは自動的に行う吸引動作時には、吸引力が大きくかつ吸引時間が長い吸引動作を行わせるものである。
【0013】
このようにすれば、インクカートリッジの交換時には、制御手段によって吸引ポンプ手段が制御され、吸引力が小さくかつ吸引時間が短い複数個の吸引動作が行われ、その結果、インクカートリッジより記録ヘッドへのインク通路内の空気を追い出しつつインクが徐々に吸引され、インクの吸引の際にインクが泡立ち記録ヘッド内のインクに気泡が含まれるという事態が回避され、良好な吐出状態が確保される。
【0014】
また、使用者がキー操作等によって任意に行う吸引動作若しくはプリンタの不使用期間の長さ等に応じて自動的に行われる吸引動作時には、制御手段によって吸引ポンプ手段の駆動が制御され、吸引力が大きくかつ吸引時間が長い吸引動作が行われ、吐出状態が確実に維持され、あるいはインクの不吐出、吐出不良が回避される。
【0015】
請求項4の発明は、請求項1記載のインクジェットプリンタの回復装置において、前記制御手段が、インクカートリッジの交換時に行う吸引動作では、前記一連の動作を複数回繰り返して行い、少なくとも最初の一連の動作では吸引力が小さくかつ吸引時間が短い複数個の吸引動作を行い、後続の一連の動作では、吸引力が大きくかつ吸引時間が長い吸引動作を行うものである。
【0016】
よって、インクカートリッジの交換時に行う吸引動作では、一連の動作が複数回繰り返して行われ、少なくとも最初の一連の動作では吸引力が小さくかつ吸引時間が短い複数個の吸引動作を行い、これにより、インク通路内の空気を追い出しつつ該通路内がインクで満たされる。それから、後続の一連の動作で、吸引力が大きくかつ吸引時間が長い吸引動作が行われることによって、確実に吐出可能な状態にされる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0018】
図1はインクジェットプリンタの全体構成を示す概略斜視図である。同図において、インクジェットプリンタ1は、左右方向に延びる回転軸(図示せず)によってフレーム2に回転可能に支承される円筒形状のプラテンローラ3を有する。プラテンローラ3は、給紙カセット又は手差し給紙部から供給された印刷用紙4(記録媒体)を、記録ヘッド5に対面させながら搬送するものであり、いわゆる紙送り機構LMの一部を構成している。尚、前記記録ヘッド5は、印刷用紙4にインク液滴を吐出するノズルを有し印刷用紙4に対し記録動作を行うインクジェット式であり、紙送り機構LMは、該紙送り機構LMを駆動し印刷用紙4を搬送する紙送りモータとしてのLFモータ14(図5参照)を備えている。
【0019】
前記印刷用紙4は、フレーム2の後方の用紙供給口(図示せず)から矢印A方向に供給され、プラテンローラ3の回転により矢印B方向に送給され、用紙排出口(図示せず)から矢印C方向に排出されるように構成されている。前記プラテンローラ3の前方には、キャリッジ6がプラテンローラ3の軸線に沿って矢印D方向に移動可能に設けられている。
【0020】
前記キャリッジ6は、記録ヘッド5及び該記録ヘッド5に供給されるインクを収容したインクカートリッジ7をそれぞれ着脱可能に搭載している。尚、本例ではイエロー、ブラック、シアン、マゼンタの4色についてのヘッド部を有する記録ヘッド5及びインクカートリッジ7がそれぞれ搭載されている。
【0021】
そして、前記インクカートリッジ7は、図2に詳細を示すように、キャリッジ6のカートリッジ装着部6aに装着されると、マニホールド部材15を介して、ヘッド支持部材16に支持された記録ヘッド5に接続されるようになっている。マニホールド部材15は、その後端部がカートリッジ装着部6aの縦壁部6bを貫通してジョイント部材17を介してインクカートリッジ7に接続されている。その接続部分においては、インクカートリッジ7のインク供給孔7aにアダプタ18と共に、記録ヘッド5側にゴミ等がインクと共に移動しないように網状のフィルタ部材19が設けられている。
【0022】
前記プラテンローラ3の軸線と平行にキャリッジ軸8が設けられ、このキャリッジ軸8にはキャリッジ6がスライド可能に嵌挿されている。また、キャリッジ6の係合部6cが、キャリッジ軸8と平行に延びるガイドレール9によって案内されるようになっている。これによって、キャリッジ6に搭載された記録ヘッド5は、プラテンローラ3の軸線に沿ってスライド移動により往復移動可能となっている。前記キャリッジ6はタイミングベルト11の一部に固着され、該タイミングベルト11がタイミングプーリ12,13間に巻き掛けられてキャリッジ機構CMが構成され、前記一方のタイミングプーリ12にCRモータ10(キャリッジ駆動モータ)が連結されている。よって、CRモータ10が回転駆動されることで、キャリッジ機構CMを介して、キャリッジ6が、印刷用紙に記録を行う記録エリアにおいて往復移動するようになっている。また、キャリッジ機構CMとCRモータ10とによって、前記記録エリアと、後述する吸引キャップ41、吸引ポンプ42及びワイパ部材32による回復動作を行う回復エリアとの間を移動させる移動手段が構成されている。尚、前記CRモータ10としては、ステップモータ又はDCモータが使用される。また、キャリッジ6には、具体的に図示していないが、インクカートリッジ7の交換を検出するカートリッジ交換検出スイッチ21が設けられている(図5参照)。
【0023】
また、前記プラテンローラ3に対応する記録エリアの右側には、記録ヘッド5の不吐出あるいは吐出不良を回復するためのパージ機構RMが配設された回復エリアが形成されている。このようなパージ機構RMを設けているのは、インクジェット式の記録ヘッド5は、使用中に内部に気泡が発生したり、インクが乾燥したりする等の原因により吐出不良を起こすので、これを良好な吐出状態に回復させるためである。
【0024】
また、前記プラテンローラ3に対応する記録エリアの左側には、廃インク受け部材22が配設されたフラッシングエリアが形成されている。このような廃インク受け部材22を設けているのは、記録ヘッド5のノズルの目詰まりを解消したり、ノズル内のインクに混入した気泡を除去するために、記録ヘッド5による記録動作の直前にインクを予備吐出するためである。
【0025】
前記パージ機構RMは、記録ヘッド5の移動経路内に突出した突出位置と記録ヘッド5の移動経路より後退した待機位置との間を移動可能で、突出位置において記録ヘッド5のノズル面に密着して被せられる吸引キャップ41と、前記突出位置において、記録ヘッド5のノズル面に吸引キャップ41が密着しているときに、該吸引キャップ41を通じて、記録ヘッド5内のインクを吸引除去する吸引ポンプ42と有する吸引手段31を備えている。
【0026】
前記吸引手段31に隣接して、記録エリア側に記録ヘッド5のノズル面を払拭するように記録ヘッド5に対し相対移動可能なワイパ部材32が、その反対側に記録を行わない際に記録ヘッド5のノズル面を覆いインク蒸発を防止してノズル面が乾燥するのを回避する保存キャップ装置33がそれぞれ配設されている。
【0027】
そして、前記ワイパ部材32、吸引キャップ41及び吸引ポンプ42が、回転駆動されるカム部材43に関連づけられ、前記ワイパ部材32の進退、吸引キャップ41の進退及び吸引ポンプ42の作動は、共通のカム部材43の回転によって制御されるように構成されている。
【0028】
また、前記カム部材43は、図3に示すように、一体的に設けられた駆動ギヤ46を有し、モータ等の駆動手段によって回転駆動される。例えば、前記駆動ギヤ46が、紙送り機構LMのLFモータ14により回転駆動される駆動ギヤ(図示せず)に係脱可能に噛み合うように構成され、LFモータ14を駆動手段として、カム部材43が正回転駆動されるようになっている。
【0029】
また、前記ワイパ部材32を支持するワイパホルダ34の後端部(カムフォロア部)がカム部材43の第1カム溝43aに移動可能に係合し、それによって、ワイパ部材32は、記録ヘッド5の移動経路内に突出する突出位置と、記録ヘッド5の移動経路よりも後退した待機位置との間を、記録ヘッド5の移動経路に対して直交する方向に往復移動可能で、前記突出位置において記録ヘッド5のノズル面を払拭するように制御される。
【0030】
また、前記吸引キャップ41は、キャップホルダ44に支持され、該キャップホルダ44の後端部(カムフォロア部)が、前記第1のカム溝43aと同一面側のカム部材43の第2のカム溝43bに移動可能に係合している。
【0031】
前記吸引ポンプ42は、フレーム部材51に取り付け固定された円筒状のポンプハウジング52内に、第1及び第2のピストン部材53,54が独立して移動可能に嵌挿されている。そして、ポンプハウジング52には、吸引口52aと排出口52bとが軸線方向に一定間隔を存して設けられ、吸引口52aには吸引パイプ55を介して吸引キャップ41が接続され、排出口52bは、インク吸収材57が収容された廃インクタンク58に連係されている(図1参照)。また、ポンプハウジング52の一端部側が大気に開放された大気開放部52cとなっており、該大気開放部52c側に第1のピストン部材53が配設されている。
【0032】
第1及び第2のピストン部材53,54は、それぞれ第1及び第2の駆動軸部材61,62の一端部に連結され、該駆動軸部材61,62によって駆動され、ポンプハウジング52内において両ピストン部材53,54間にポンプ室52eを形成するようになっている。
【0033】
前記第1の駆動軸部材61は、第2の駆動軸部材62内に摺動可能に嵌挿され、各駆動軸部材61,62の他端部が、前記カム溝43a,43bとは反対面側のカム部材43の第3及び第4のカム溝43c,43dに移動可能に係合している。前記カム部材のカム溝43c,43d(カム部)は、複数個の吸引動作に対応した形状を有しており、後述するようにカム部材43は回転されたり一時停止されたりするが、その組合せを変化させることで、前記吸引ポンプ42が行う吸引動作の吸引力及び吸引時間が制御されるようになっている。
【0034】
従って、前記カム部材43が一定のタイミングで回転駆動されることで、吸引キャップ41のキャッピング、吸引ポンプ42によるインクの吸引、及びワイパ部材32による記録ヘッド5のノズル面の払拭が順に行われ、吸引ポンプ42によって吸引されたインクは、吸引ポンプ42を介して廃インクタンク58に吐出され、そして廃インクタンク58内のインク吸収材57に吸収される。
【0035】
前記保存キャップ装置33は、図1に示すように、記録ヘッド5の各ヘッド部を被せられる保存キャップ71を有し、該保存キャップ71を支持するケーシング72が、キャリッジ6の移動方向と平行に延びるガイドロッド部材73にスライド移動及び回動が可能なるように支承されている。また、前記ケーシング72は、キャリッジ6の、記録エリア外方への移動時に該キャリッジ6に係合して、キャリッジ6と一体的にスライド移動するための係合凸部72aが前方に突設されている。そして、キャリッジ6が記録エリアから回復エリア側に移動すると、キャリッジ6がケーシング72の係合凸部72aに係合するので、保存キャップ71はキャリッジ6の移動に追従してスライド移動する(図1において右方向)。このスライド移動の際、図示しない傾斜カム手段の作用により、ガイドロッド73の回りに回動し、その結果、保存キャップ71は記録ヘッド5に接近する方向へ回転し、保存キャップ71は記録ヘッド5のノズル面に接触してキャッピングを行うことになる。その後、再びキャリッジ6が記録エリア方向に移動する場合には、保存キャップ71が記録エリア側に移動しながら記録ヘッド5から離れ、キャリッジ5が回復エリアから脱すると、初期状態に戻る。
【0036】
次に、前記実施の形態に係るインクジェットプリンタ1の制御部を図5のブロック図を参照しつつ説明する。この制御部は、周知の演算処理装置であるCPU100を中心に構成される。CPU100は、インターフェース101を介して、パソコン等のホストコンピュータ102の接続され、ホストコンピュータ1102からの印刷指令を受け、その指令に従って種々の印刷を実行するようになっている。
【0037】
ホストコンピュータ102の機能構成として典型的なものにウインドウシステムがある。このウインドウシステム上に、各種のアプリケーション(A)(B)・・・(n)が設けられ、また、フォントドライバ、CRTドライバ、キーボードドライバ、マウスドライバ、プリンタドライバ等が組み込まれている。各種のアプリケーションの実行中に、インクジェットプリンタ1を使用して印刷する場合には、このプリンタドライバによってプリンタの印刷機能に適合した画像に関する出力データが作成される。
【0038】
前記CPU100には、操作パネル103,ROM104,RAM105が接続されている。操作パネル103は、用紙サイズその他の種々のパラメータを設定し、それらを表示するものである。ROM104は、インクジェットプリンタ1の制御上必要な種々のプログラム類を格納するものである。RAM105は、ホストコンピュータ102から転送された印刷データや、インクジェットプリンタ1の制御上必要な種々の数値の一時記憶を行うものであり、また、バックアップメモリ105aを有する。
【0039】
前記CPU100は、LF駆動回路111、CR駆動回路112、ヘッド駆動回路113を介してLFモータ14、CRモータ10、記録ヘッド5を駆動制御するようになっている。また、キャリッジ6に設けられインクカートリッジ7の交換を検出するカートリッジ交換検出スイッチ21よりの信号も入力されるようになっている。
【0040】
LFモータ14は、前記駆動ギヤ46に対して係脱可能なギヤを含む切り換え機構121を介してパージ機構RM又は紙送り機構LMのいずれか一方を駆動するように構成されている。そして、前記CPU100により、吸引ポンプ42の作動を制御してパージ動作を行わせる制御手段が構成されている。
【0041】
前記吸引ポンプ42は、図8(a)に示すように、一連の動作において複数個の吸引動作を行うことができるようになっており、前記CPU100は、前記吸引ポンプ42をカム部材43を介して制御することで、前記複数個の吸引動作を選択的に組み合わせて吸引動作の数と共に吸引力を変化させるようになっている。例えば、インクカートリッジ7の交換時は、泡立ちの問題を生ずることなくインクを吸引するために、吸引力が小さくかつ吸引時間が短い複数個の吸引動作を行わせ、定期的なメンテナンス時には、良好な吐出状態を維持するために、吸引力が比較的大きくかつ吸引時間が比較的長い吸引動作を行わせる。また、吐出不良の場合には、吐出不良を回復するために、吸引力が大きくかつ吸引時間が長い吸引動作を行わせる。
【0042】
CRモータ10は、キャリッジ機構CMを駆動するもので、該キャリッジ機構CMのキャリッジ6の動きにより、前記切り換え機構121の切り換えがなされる。
【0043】
前記パージ機構RM、紙送り機構LM、キャリッジ機構CMは、それぞれのセンサを備えており、該センサによる検知信号は、カウンタ群122を介してCPUに入力される。パージ機構RMは、パージHPセンサ131を有し、該パージHPセンサ131は、吸引ポンプ42が原点位置にあるときに、その旨をカウンタ群122のパージ位置カウンタ122aに報知する。この信号はパージ機構によるパージ動作の基準とされる。
【0044】
紙送り機構LMは,PEセンサ132を有し、該PEセンサ132は、新たに供給される印刷用紙4の先端により信号を発し、カウンタ群122のLF位置カウンタ122bに報知する。この信号が縦方向の記録位置制御の基準となる。
【0045】
キャリッジ機構CMは,CR位置センサ133を有し、該CR位置センサ133は、CRモータ10の駆動パルスをカウントしてキャリッジの位置を検知し、カウンタ群122のCR位置カウンタ122cに報知する。この位置情報は、横方向の維持位置制御の基準となるほか、印刷用紙4の新規供給動作及び印刷済み用紙の排出動作の可否の判断基準となる。
【0046】
以上のように構成されたインクジェットプリンタ1の動作について説明する。
【0047】
まず、インクジェットプリンタ1においては、通常、記録ヘッド5は保存キャップ71で覆われた状態で待機位置にある。そして、記録データが入力されると、記録が行われる。
【0048】
印刷用紙4は、プラテンローラ3と記録ヘッド5との間に供給され、CRモータ10の作動により記録ヘッド5が待機位置から記録開始位置に移動させられる。記録ヘッド5が、記録データに基づいてインクを噴射しつつ記録エリアにおいて往復移動せしめられることによって、印刷用紙4上に印刷が行われる。印刷が終了すると、記録ヘッド5が待機位置に移動させられ、保存キャップ1にて覆われて使用しない間のノズル面の乾燥が防止される。
【0049】
また、例えばインクの吐出不良が生じた場合等において、使用者の判断によって、操作パネル103におけるパージスイッチが操作され、パージ指令が入力されると、パージ機構RMを作動させるパージモードに入り、後述するように吸引作動プログラムが実行される。
【0050】
ところで、かかるパージスイッチは、インク吐出不良が生じた場合に操作され、それによって上述したように吸引ポンプ42により吸引動作が行われるのであるが、吸引ポンプ42による吸引動作は、そのほか、インクカートリッジ7が交換され、記録ヘッド5内にインクを吸引する必要がある場合や、保存キャップ71をしていても記録動作をさせない状態が継続されると、記録ヘッド5のノズルは乾燥しはじめるので、良好な吐出状態を確保するために、不使用期間の長さに応じて自動的にメンテナンスを行う場合にも行われる。即ち、インクカートリッジ7が交換されると、キャリッジ6に設けられたカートリッジ交換検出スイッチ21がそれを検出するので、CPU100の制御により、インクカートリッジ7の交換よるインク吸引のための吸引動作が行われ、また、CPU100及びROM104、RAM105により構成されるタイマー手段により、印刷を開始する際等に、その直前の不使用期間の長さに応じて吸引動作が自動的に行われる。
【0051】
パージモードとなると、吸引作動プログラムに基づき、まず、CPU100によってCR駆動回路112を介してCRモータ10によるキャリッジ機構CMの駆動によって、記録ヘッド5が保存キャップ71と対向する位置から吸引キャップ41と対向する位置に移動せしめられる。この回復エリアにあるとき、既に、切り換え機構121によって、LFモータ14がパージ機構RMへ駆動力を伝達可能な状態に切り換わっている。そして、LFモータ14からの駆動力により、カム部材43が回転し、ワイパ部材32,吸引キャップ41及び吸引ポンプ42が制御され、良好な吐出状態を確保するために、記録ヘッド5に対し一連の回復動作、即ち吸引キャップ41及びワイパ部材32を接離する動作、吸引ポンプ42により吸引・排出動作が行われることになる。ここで、吸引動作には、吸引キャップ41をノズル面に密着させて吸引ポンプ42により記録ヘッド5からインクを吸引する動作、吸引キャップ41の少なくとも一部をノズル面から離して吸引ポンプ42により吸引キャップ41内からインクを吸引する、いわゆる空吸引動作が含まれる。
【0052】
続いて、上述したところの記録ヘッド5に対する吸引キャップ41及びワイパ部材32を接離する動作、並びに吸引ポンプ42により吸引・排出動作について、図6〜図8に基づいて、カム部材43の回転角度の変化に沿って説明する。
【0053】
まず、カム部材43の回転角が0゜付近の状態では、吸引ポンプ42の両ピストン部材53,54はその間のポンプ室の容積を最小にして該ポンプ室が排出口52b付近に位置する一方、吸引キャップ41は、記録ヘッド5から離れた待機位置に位置する初期状態にある(図7参照)。
【0054】
それから、カム部材43が回転駆動されると、その回転角が6゜付近から第1及び第2のピストン部材53,54が一体となって徐々に移動し、57゜付近(図6(b)参照)で若干移動速度を落し、97゜付近で速度を速める。一方、前記両ピストン部材53,54の移動の途中において、カム部材43の回転角が57゜付近になると、図7に示すように、吸引キャップ41が待機位置から、記録ヘッド5の移動経路側に徐々に前進せしめられ、86゜付近で吸引キャップ41が記録ヘッド5のノズル面を覆うことになる。
【0055】
カム部材43の回転角が108゜付近になる(図6(c)参照)と、第2のピストン部材54が移動を停止し、第1のピストン部材53のみが移動を継続して、ポンプ室52eを拡大すると共に吸引口52aを開放する(図6(d)参照)。そして、114゜付近で第1のピストン部材53は停止し、121゜まで両ピストン部材53,54の移動が停止した状態が維持される。このとき、カム部材43の回転が、121゜(位置A)付近において一定時間(3秒)停止されることで、第1の吸引動作が行われる(図8(a)〜(d)のイ参照)。
【0056】
それから、両ピストン部材53,54が排出口52b側に移動し、第1のピストン部材52aが吸入口52aを閉じて、停止する(図6(e)参照)。カム部材43の回転角が158゜までその状態を維持し、158゜から164゜に変化する間、第2のピストン部材53は静止したままで第1ピストン部材53が第2のピストン部材54との間隔が広がる方向に移動せしめられ、第1及び第2ピストン部材53,54の間のポンプ室52eを再び拡大すると共に吸引口52aを開放し(図6(f)参照)、179゜まで両ピストン部材53,54の移動が停止した状態が維持される。このとき、カム部材43の回転が、171゜(位置B)付近において一定時間(3秒)停止されることで、吸引力の小さくかつ吸引時間が短い第2の吸引動作が行われる(図8(a)(c)のロ参照)。
【0057】
それから、179゜から184゜になるまでの間、第2のピストン部材54が第1のピストン部材53と離れる方向に移動し(図6(g)参照)、ポンプ室52eを拡大し、184゜で停止し、200゜までの間第1及び第2のピストン部材53,54が前記停止状態を維持する。このとき、カム部材43の回転が、192゜(位置C)付近において一定時間(3秒)停止されることで、吸引力の小さくかつ吸引時間が短い第3の吸引動作が行われる(図8(a)のハ参照)。位置Bでの一時停止を行うことなく、位置Cで一定時間(5秒)停止を行うと、カム部材43は通常360°を3秒で回転する速度で回転しているため、164°の位置で瞬間的に負圧があらわれるものの、164°から184°までのポンプ室52eの拡大がほぼ一気に行われたことと同等になり、このポンプ室52eの拡大により位置Bで停止した場合よりも吸引負圧が高められて、吸引力が大きくかつ吸引時間が比較的大きい吸引動作が行われる(図8(b)のホ参照)。
【0058】
さらに、200゜から205゜になるまでの間、第2のピストン部材54が第1のピストン部材53と離れる方向にさらに移動し(図6(h)参照)、さらにポンプ室52eを拡大して、205゜から239゜までの間第1及び第2のピストン部材53,54が、前記ポンプ室52eの容積を維持する。このとき、カム部材43の回転が、211゜(位置D)付近において一定時間(3秒)停止されることで、吸引力の小さくかつ吸引時間が短い第4の吸引動作が行われる(図8(a)のニ参照)。位置Cでの一時停止を行うことなく、位置Dで一定時間(3秒)停止を行うと、184°の位置で瞬間的に負圧があらわれるものの、184°から205°までのポンプ室52eの拡大がほぼ一気に行われたことと同等になり、位置Cで停止した場合よりも吸引負圧が高められて、吸引力が大きくかつ吸引時間が比較的大きい吸引動作が行われる(図8(c)のヘ参照)。また、位置B及びCでの一時停止を行うことなく、位置Dでの一定時間(5秒)停止を行うと、164°から205°までのポンプ室52eの拡大がほぼ一気に行われ、吸引負圧が大きく高められて、吸引力が大きくかつ吸引時間が長い吸引動作が行われる(図8(d)のト参照)。
【0059】
239゜から272゜までさらに第2のピストン部材54が第1のピストン部材53と離れる方向に移動し(図6(i)参照)、吸引動作が行われ、272゜付近から第1のピストン部材53も第2のピストン部材の追従して移動して、吸引口を閉塞する。
【0060】
そして、282゜付近で第2のピストン部材54が排出口52bを開放した状態で停止する(図6(j)参照)が、第1のピストン部材53は、前記移動をカム部材43の回転角度が338゜付近になるまで継続し、ポンプ室52eを圧縮し、積極的に排出動作を行う(図6(k)参照)。これによって、ポンプ室52e内のインクが廃インクタンク58に排出される。
【0061】
一方、吸引キャップ41は、86゜から250゜付近まで記録ヘッド5のノズル面への密着状態が維持され、250゜から268゜まで吸引キャップ41は徐々に後退せしめられ、そして298゜まで若干速度を遅くしてさらに後退し、初期状態に戻る。従って、250°付近からピストン部材53,54の移動は、記録ヘッド5からインクを吸引せず、吸引キャップ41とチューブ55内の残留インクを排出する。
【0062】
排出動作後、カム部材43が338゜から345゜までの間両ピストン部材53,54は停止状態を維持し、その後354゜までの間両ピストン部材53,54が少し戻され、図6(l)に示すようになり、初期状態と同様の状態に戻され、その状態が354゜から360゜(0゜)まで維持されて、初期状態となる。
【0063】
また、ワイパ部材32は、カム部材43の回転角が0゜から287゜まで待機状態を維持し、287゜から300゜まで徐々に前進し、300゜で突出位置となり、300゜から320゜までの間その突出位置を維持し、記録エリア側に移動する記録ヘッド5のノズル面を払拭する(図7参照)。320゜から333゜まで徐々に後退し、待機位置となり、そのまま360゜となる。
【0064】
そして、記録ヘッド5のノズル面がワイパ部材32によって拭われた後、まず、記録ヘッド5がフラッシングエリアに移動せしめられ、インクを記録ヘッド5の全ノズルから廃インク受け部材22に対しインクを吐出する予備吐出が行われ、それから、記録ヘッド5が記録開始位置に移動せしめられることになる。
【0065】
従って、図8(a)に示すように、基本的には、4つの吸引動作を有するが、CPU100により、カム部材43の回転を位置B,C,Dにおいて、一時停止を行うか否かにより、前記4つの吸引動作を選択的に組み合わせて、図8(b)〜(d)に示すように、吸引動作の数と共に吸引力を変化させることができる。
【0066】
つまり、例えばインクカートリッジの交換時は、記録ヘッド5とインクカートリッジ7との間のインク通路が空気で満たされているような状態で、吸引ポンプ42により吸引動作を行う際に、吸引キャップ41を通じて大きな負圧力を作用させて記録ヘッド5のインクを一気に吸引するようにすると、インクカートリッジ7より記録ヘッド5に向けインクが空気と混ざった状態で急激に流入し、該インクが泡立ち、記録ヘッド5内のインクに気泡が含まれることとなるが、図8(a)に示すように、吸引力が小さくかつ吸引時間が短い4つの吸引動作を行わせることにより、インクカートリッジ7よりインク通路内の空気を追い出しつつインクを徐々に吸引することが可能となり、インクの吸引の際にインクが泡立ち記録ヘッド2内のインクに気泡が含まれるという事態が回避される。
【0067】
例えば、第1の吸引動作イで、インクがフィルタ部材19を徐々に通過するように吸引し、第2の吸引動作ロで、マニホールド部材15を徐々にインクで満たし、第3の吸引動作ハで、記録ヘッド5の多数のチャンネルにインクを導入し、さらに第4の吸引動作ニで、記録ヘッド5から吸引キャップ41に所定量のインクを吸引するように構成することができる。
【0068】
また、印刷の開始前に、不使用期間の長さに応じて自動的に行われるメンテナンス時には、インクカートリッジと記録ヘッド5との間のインク通路がインクで満たされているから、大きな吸引力でも泡立つことはないが、乾燥しつつあるインクを除去するだけであるから、図8(b)(c)に示すように、吸引力が比較的大きくかつ吸引時間が比較的長い吸引動作ホ、ヘが含められ、良好な吐出状態が維持される。図8(b)(c)は不使用期間の長さに応じて適宜選択されるようにしてもよい。
【0069】
さらに、吐出不良を解消するためのパージ時には、図8(d)に示すように、吸引力がさらに大きくかつ吸引時間がさらに長い吸引動作トが含められ、吸引キャップ41を通じてインクを一気に吸引して、良好な吐出状態が回復される。
【0070】
このように、インクカートリッジ交換時、定期メンテナンス時及び、吐出不良解消のパージ時において、インクの吸引の態様をそれぞれ変更することで、記録ヘッド5のノズルやインク通路の状態に応じて、最適の吸引動作を行うことが可能となる。なお、図8(a)〜(d)のいずれの態様においても、最初に吸引力が小さくかつ吸引時間が短い吸引動作を行っているが、この最初の吸引動作は、必要に応じて省略することができる。
【0071】
また、上記複数個の吸引動作を含む一連の動作は、目的に応じて複数回行われる。例えば、インクカートリッジ7を交換した後には、最初の一連の動作で第1〜第4の吸引動作を順次実行し、上記のようにインクを泡立てることなく記録ヘッド5に導入するが、2回目以後は、インクを泡立てることがないため、図8(b)〜(d)のいずれかを実行する。このようにすることで、記録ヘッド5に新しいインクを確実に充填して吐出可能な状態とすることができる。前述のように使用者のキー操作によって適宜行われるパージ動作と、プリンタが自動的に行うメンテナンス動作の場合にも、図8(b)〜(d)を組み合わせて複数回行うことができる。特に、自動メンテナンスの場合には、不使用時間の長さに応じて繰り返し回数を設定するようにしてもよい。
【0072】
上記の実施の形態においては、インクカートリッジの交換時とそうでない時とを検出スイッチ21からの信号の有無で判断しているが、使用者がキー操作で選択できるようにしてもよい。
【0073】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したような形態で実施され、以下に述べるような効果を奏する。
【0074】
請求項1の発明は、上記のように、吸引ポンプ手段が、予め決めた複数個の吸引動作を一連の動作として有すると共に、ポンプハウジング内において独立移動可能な2つのピストン部材と、前記2つのピストン部材を前記予め決めた複数個の吸引動作に応じて移動させるようにそれらに関連づけられたカム部材と、該カム部材を回転駆動する駆動手段とを有し、該駆動手段に前記制御手段が関連づけられ、前記カム部材は、前記複数個の吸引動作に対応してそれぞれ2個のピストン部材をその間のポンプ室が拡大する方向に移動させ、その拡大状態で停止させる各カム部を、該カム部材の回転方向に複数有し、前記制御手段は、前記各吸引動作に対応する前記各カム部の2個のピストン部材を停止させる位置での該カム部材の回転に対し、前記複数種類のインクの吸引の態様に応じた休止時間を選択的に挿入あるいは休止時間を省略するものであって、前記2個のピストン部材を停止させる各カム部の位置で、前記休止時間を含ませ、あるいは休止時間を省略することで、前記複数個の吸引動作からなる一連の動作を順次行う、あるいは隣接する2つの吸引動作をほぼ一気に行う制御をするようにしているので、前記各吸引動作に対応する前記カム部材の複数の位置に対し休止時間を選択的に挿入するという簡単な制御によって、吸引ポンプ手段が行う吸引を制御して、記録ヘッドのノズルやインク通路の状態に応じて、インクの吸引の態様を変更することができる。
【0075】
請求項2の発明は、カム部材が回転し、ワイパ部材,吸引キャップ及び吸引ポンプが制御され、良好な吐出状態を確保するために、記録ヘッドに対し一連の回復動作、即ち前記ノズル面に対し吸引キャップ及びワイパ部材を接離する動作、吸引ポンプにより吸引・排出動作が行われることになる。
【0076】
請求項3の発明は、インクカートリッジの交換時には、吸引ポンプ手段を制御して、吸引力が小さくかつ吸引時間が短い複数個の吸引動作を行うようにしているので、インクカートリッジより記録ヘッドへのインク通路内にインクが空気と混ざった状態で急激に流入し、該インクが泡立ち、記録ヘッド内のインクに気泡が含まれる事態を回避することができる。
【0077】
また、使用者が任意に若しくは自動的に行う吸引動作時には、吸引ポンプ手段を制御して、吸引力が大きくかつ吸引時間が長い吸引動作を行うようにしているので、インクの吐出状態を確実に維持し、あるいは不吐出、吐出不良を、確実に回避することができる。
【0078】
請求項4の発明は、インクカートリッジの交換時に行う吸引動作では、一連の動作を複数回繰り返して行い、少なくとも最初の一連の動作では吸引力が小さくかつ吸引時間が短い複数個の吸引動作を行い、それから、後続の一連の動作で、吸引力が大きくかつ吸引時間が長い吸引動作を行うようにしているので、請求項2の発明の場合と同様に、最初の一連の動作で、インク通路内の空気を追い出しつつ該通路内をインクで満たした状態でインクの吸引をすることができ、さらに後続の一連の動作で吸引力が大きくかつ吸引時間が長い吸引動作を行うことで、記録ヘッドに新しいインクを確実に充填し吐出可能な状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るインクジェットプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【図2】 本発明に係る記録ヘッドとインクカートリッジとの接続部分の断面図である。
【図3】 本発明に係るワイパ部材、吸引キャップ、吸引ポンプ及びカム部材との関係を示す横断面図である。
【図4】本発明に係る吸引ポンプを示す断面図である。
【図5】 インクジェットプリンタの制御部のブロック図である。
【図6】 (a)〜(j)は吸引ポンプの動作説明図である。
【図7】 カム部材の回転角と、吸引キャップ、ワイパ部材及び吸引ポンプとの動作説明図である。
【図8】 吸引ポンプ手段による吸引負圧の変化の態様の説明図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
5 記録ヘッド
7 インクカートリッジ
14 LFモータ
32 ワイパ部材
41 吸引キャップ
42 吸引ポンプ
43 カム部材
43c カム溝
43d カム溝
52 ポンプハウジング
53 第1のピストン部材
54 第2のピストン部材
100 CPU
121 切り換え機構
Claims (4)
- 記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドのノズル面に接離可能に接触する吸引キャップを有し該吸引キャップを通じて記録ヘッドのインクを吸引する吸引ポンプ手段と、該吸引ポンプ手段を複数種類のインクの吸引の態様で駆動制御する制御手段とを備えるインクジェットプリンタの回復装置において、
前記吸引ポンプ手段は、予め決めた複数個の吸引動作を一連の動作として有すると共に、ポンプハウジング内において独立移動可能な2つのピストン部材と、前記2つのピストン部材を前記予め決めた複数個の吸引動作に応じて移動させるようにそれらに関連づけられたカム部材と、該カム部材を回転駆動する駆動手段とを有し、該駆動手段に前記制御手段が関連づけられ、
前記カム部材は、前記複数個の吸引動作に対応してそれぞれ2個のピストン部材をその間のポンプ室が拡大する方向に移動させ、その拡大状態で停止させる各カム部を、該カム部材の回転方向に複数有し、
前記制御手段は、前記各吸引動作に対応する前記各カム部の2個のピストン部材を停止させる位置での該カム部材の回転に対し、前記複数種類のインクの吸引の態様に応じた休止時間を選択的に挿入あるいは休止時間を省略するものであって、前記2個のピストン部材を停止させる各カム部の位置で、前記休止時間を含ませ、あるいは休止時間を省略することで、前記複数個の吸引動作からなる一連の動作を順次行う、あるいは隣接する2つの吸引動作をほぼ一気に行う制御をするインクジェットプリンタの回復装置。 - 前記カム部材には、ワイパ部材及び前記吸引キャップが関連づけられ、
前記ワイパ部材の前記ノズル面に対する進退及び吸引キャップの前記ノズル面に対する進退は、前記カム部材の回転によって制御される請求項1記載のインクジェットプリンタの回復装置。 - 前記制御手段は、前記吸引ポンプ手段を制御して、
インクカートリッジの交換時は、吸引力が小さくかつ吸引時間が短い複数個の吸引動作を行わせるものであり、
使用者が任意に若しくは自動的に行う吸引動作時には、吸引力が大きくかつ吸引時間が長い吸引動作を行わせるものである請求項1又は2記載のインクジェットプリンタの回復装置。 - 前記制御手段は、インクカートリッジの交換時に行う吸引動作では、前記一連の動作を複数回繰り返して行い、少なくとも最初の一連の動作では吸引力が小さくかつ吸引時間が短い複数個の吸引動作を行い、後続の一連の動作では、吸引力が大きくかつ吸引時間が長い吸引動作を行うものである請求項1又は2記載のインクジェットプリンタの回復装置。
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-
1997
- 1997-03-19 JP JP6585297A patent/JP3822701B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH10258527A (ja) | 1998-09-29 |
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