JP3821927B2 - 直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、気相重合法による直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
ポリエチレンのうちでもエチレンと1-ブテンなどの炭素数4以上のα−オレフィンとの共重合体であって、密度が約0.925g/cm3 より小さい直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)から形成されるフィルムは、ヒートシール性に優れ、柔軟性でかつ強靱であり、耐水性、耐湿性、耐薬品性に優れており、しかも安価であるなどの諸特性に優れており、従来よりフィルム成形用材料として広く利用されている。
【0003】
上記のようなLLDPEは、エチレンとα−オレフィンとを一般的にチーグラー触媒の存在下、低圧下に共重合させることにより製造されている。この重合は通常溶液重合、スラリー重合などの液相重合法によって実施されているが、この重合を気相重合法で行うと、重合後にポリマーは粒子状で得られ、重合溶液からの粒子析出あるいは粒子分離などの工程が不要となって製造プロセスを簡略化することができるので、近年気相重合法によるLLDPEの製造が盛んに研究されている。
【0004】
ところで上記のようなLLDPEでは、その分子量分布および組成分布が狭いとベタツキの少ないなど優れた特性を有するフィルムを得ることができる。
本発明者もLLDPEを気相重合法によって製造する方法について研究したところ、流動層反応器内において、触媒の存在下にエチレンとα−オレフィンとを気相共重合させるに際して、ガス状の第1飽和脂肪族炭化水素と、気−液混合状態の第2飽和脂肪族炭化水素とを導入すると、分子量分布および組成分布が狭く、フィルム特性に優れたLLDPEを効率よく製造することができるという効果があることを見出して本発明を完成するに至った。
【0005】
なお従来オレフィンの気相重合において、流動層反応器内に飽和脂肪族炭化水素を液状で導入してその蒸発潜熱により重合熱を除熱する方法は知られており、このように液状で導入された飽和脂肪族炭化水素は、反応器内で気化することによって反応熱を除去しうることは知られていた。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、流動層反応によるエチレンと炭素数4〜10のオレフィンとの気相共重合を効率よく行なうことができ、しかも組成分布および分子量分布が狭く、フィルム材料として好適な特性を有する直鎖状低密度ポリエチレンを得ることができるような直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明に係る直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法は、流動層反応器内を流通する重合モノマーを含むガス流によって触媒を含む固体粒子が流動状態に保持された流動層において、下記触媒の存在下に重合モノマーとしてのエチレンと炭素数4〜10のオレフィンとを気相で共重合させるに際して、重合モノマーとともに、エタン、プロパン、 n- ブタン、 i- ブタンから選ばれるガス状の第1飽和脂肪族炭化水素と、i- ペンタン、 n- ペンタン、ヘキサン、ヘプタンから選ばれる気−液混合状態の第2飽和脂肪族炭化水素とを、流動層反応器の底部から導入して上記共重合反応を行なうことを特徴としている。
【0008】
上記反応器から排出されるガスは、飽和脂肪族炭化水素を合計で0.8〜80モル%の量で含有していることが好ましい。
また上記反応器から排出されるガス中の、第1飽和脂肪族炭化水素と、第2飽和脂肪族炭化水素とのモル比(第1飽和脂肪族炭化水素/第2飽和脂肪族炭化水素)は1/9〜8/2であることが望ましい。
【0009】
上記のように反応器から排出される飽和脂肪族炭化水素を含むガスを冷却して、第1飽和脂肪族炭化水素はガス状で、かつ第2飽和脂肪族炭化水素を気−液混合相で流動層反応器に循環させることが好ましい。
【0010】
本発明では、上記触媒として、
[A]周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物、および
[B](B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、(B-2) 有機アルミニウム化合物、および(B-3) 該メタロセン化合物[A]と反応してイオン対を形成しうる化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む触媒を用いることが好ましい。
【0011】
本発明では、密度0.865〜0.925g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンポリエチレンを得ることができる。
【0012】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法について具体的に説明する。
【0013】
なお本発明において、「重合」という語は単独重合のみならず共重合を包含した意味で用いられることがあり、また「重合体」という語は単独重合体のみならず、共重合体を包含した意味で用いられることがある。
【0014】
本発明では、流動層反応器内を流通する重合モノマーを含むガス流によって触媒を含む固体粒子が流動状態に保持された流動層において、触媒の存在下に重合モノマーとしてのエチレンと炭素数4〜10のオレフィンとを気相で共重合させて直鎖状低密度ポリエチレンを製造するに際して、重合モノマーとともに、ガス状の第1飽和脂肪族炭化水素と、気−液混合状態の第2飽和脂肪族炭化水素とを、流動層反応器の底部から導入して上記共重合反応を行なっている。
【0015】
ここで本発明を、図1を参照しながら具体的に説明する。
流動層反応器1内において、触媒をライン2から供給し、またライン9から供給されたガス状重合モノマーおよび飽和脂肪族炭化水素を、反応器下部の供給口3から反応器下部に設けられた多孔板などの分散板7から流動層5へ吹き込み、反応器上部のライン4から排出させることにより反応器内を流通させて、このガス流(流動化ガス)によって固体粒子(固体触媒および生成ポリマー)を流動状態に保持することにより流動層(反応系)5が形成される。
【0016】
このような流動層5において、エチレンと炭素数4〜10のオレフィンとの共重合により生成したポリマー(直鎖状低密度ポリエチレン)は、反応器からライン6を介して連続的または断続的に抜き出される。
【0017】
一方反応器1からライン4を介して排出されるガスは、未反応重合モノマーおよび飽和脂肪族炭化水素などを含有しており、通常、冷却された後循環ガスとしてライン11から供給口3を介して反応器1に循環される。
【0018】
上記のように供給口3からは重合モノマーおよび循環ガスからなる流動化ガスが反応器1に導入され、通常該ガスにより流動層5を流動状態に保持することができるような流量で流通されるが、具体的に供給口3から導入されるガス量は、流動層の最小流動化速度をUmfとするとき、約3Umf〜50Umf程度、好ましくは約5Umf〜30Umf程度の流量であることが望ましい。流動層5を機械的に攪拌することもでき、たとえばイカリ型攪拌機、スクリュウ型攪拌機、リボン型攪拌機など種々の型式の攪拌機を用いて攪拌することができる。
【0019】
本発明では、上記のように流動状態に保持された流動層5において、反応器内に供給された重合モノマーすなわちエチレンと炭素数4〜10のオレフィンとを共重合させている。
【0020】
本発明において、エチレンと共重合させる炭素数4〜10のオレフィンとしては、具体的に1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンなどのα−オレフィンが挙げられる。これらのうちでも、炭素数5〜8のα−オレフィンが特に好ましく用いられる。これらを2種以上組合わせて共重合させることもできる。
【0021】
反応器に供給されるエチレンと炭素数4〜10のオレフィンとは、目的とする直鎖状低密度ポリエチレンによっても異なるが、通常エチレン1モルに対してオレフィン0.015〜0.15モル好ましくは0.02〜0.08モルの量で供給される。
【0022】
また本発明では、エチレンとα−オレフィンとともに必要に応じてポリエン類などを共重合させてもよく、たとえばブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネンなどの非共役ジエン類を共重合させることができる。
【0023】
本発明では、反応器底部から、重合モノマーとともに、ガス状の第1飽和脂肪族炭化水素と、気−液混合状態の第2飽和脂肪族炭化水素とを導入して上記共重合反応を行なっている。このような飽和脂肪族炭化水素としては、具体的にたとえばエタン、プロパン、n-ブタン、i-ブタン、n-ペンタン、i-ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、2,2-ジメチルプロパン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、2,2,3-トリメチルブタン、2-メチルペンタン、3-メチルペンタン、2,2-ジメチルペンタン、3,3-ジメチルペンタン、2,3-ジメチルペンタン、2,4-ジメチルペンタン、2-メチルヘキサン、3-メチルヘキサン、4-メチルヘキサン、2,3-ジメチルヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタンなどの炭素数2〜10飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。
【0024】
上記のうちでもガス状で反応器に導入される第1飽和脂肪族炭化水素としては、エタン、プロパン、n-ブタン、i-ブタンが好ましく、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0025】
ここでガス状の飽和脂肪族炭化水素とは、飽和脂肪族炭化水素が実質的に全てガス相として存在するものであり、具体的には全飽和脂肪族炭化水素100%中の99%以上がガス相として存在するものすなわちvapor fractionが0.99以上であるものをいう。このガス相の存在割合は、Chem. Eng. Sci.,27,1197(1972)に示されたSoave-Redlich-Kwong の方法による気液平衡定数Kiから求めることができる。
【0026】
また気−液混合状態で反応器に導入される第2飽和脂肪族炭化水素は、第1飽和脂肪族炭化水素よりも沸点が高く、熱交換器などで冷却されたときに凝縮しやすいものが選ばれる。第2飽和脂肪族炭化水素としては、たとえばi-ペンタン、n-ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどが好ましく、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本発明では、第1飽和脂肪族炭化水素と、第2飽和脂肪族炭化水素として飽和脂肪族炭化水素を併用する際に、特にエタンおよびi-ペンタンを組み合わせて、またはエタンおよびヘキサンを組み合わせて用いることが好ましい。
【0028】
反応器から排出されるガスの組成(すなわち実質的に流動層反応系のガス組成)は、飽和脂肪族炭化水素の炭素数、重合温度、流動化ガスの流速などによっても異なるが、該ガス中の飽和脂肪族炭化水素の量が、通常0.8〜80モル%好ましくは1.5〜60モル%程度であることが望ましい。
【0029】
また該排出ガス中の、上記のような第1飽和脂肪族炭化水素と、第2飽和脂肪族炭化水素とのモル比(第1飽和脂肪族炭化水素/第2飽和脂肪族炭化水素)は、1/9〜8/2であることが望ましい。
【0030】
飽和脂肪族炭化水素は、上記のように通常重合モノマーとともにライン9から反応器底部の供給口3を介して反応器1に導入されるが、反応器の任意の同一場所からあるいはそれぞれ別々の場所から補給してもよい。
【0031】
流動層5において、第1飽和脂肪族炭化水素および第2飽和脂肪族炭化水素の共存下に行われるエチレンと炭素数4〜10のオレフィンの共重合は、共重合されるオレフィンの種類および割合、飽和脂肪族炭化水素の割合、流動層の流動状態などによっても異なるが、通常重合圧力は1〜100kg/cm2好ましくは2〜40kg/cm2の条件下、重合温度は通常20〜130℃好ましくは50〜120℃より好ましくは70〜110℃で行なわれることが望ましい。
【0032】
重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行なうこともできる。
また上記共重合は、必要に応じて水素などの分子量調節剤の存在下に行なうこともでき、反応器1の任意の場所たとえばライン9から供給することができる。
【0033】
上記のような飽和脂肪族炭化水素は非重合性の炭化水素であり、一旦反応器1に供給されると重合により消費されることがなく、通常、排出ライン4から未反応重合モノマーとともに抜き出され、流動化ガスとして反応器1に循環される。
【0034】
具体的にこの排出ガスは飽和脂肪族炭化水素を合計で0.8〜80モル%の量で含有していてもよいが、飽和脂肪族炭化水素の炭素数によっても異なる。
反応器から排出されたガスは、通常熱交換器8に導かれて冷却され、重合熱が除去された後、循環ガスとして供給口3から反応器1に循環される。この際熱交換器8で冷却された飽和脂肪族炭化水素は気−液混合状態で反応系に循環される。このように排出ガスを反応器に循環させる際には、排出ガスの一部をたとえばライン10からパージしてもよい。
【0035】
本発明では、得られる直鎖状低密度ポリエチレンの分子量は、重合温度などの重合条件を変更することにより調節することもできるし、水素(分子量調節剤)の使用量を制御することにより調節することもできる。
【0036】
本発明では、上記のようにガス状飽和脂肪族炭化水素と、気−液混合状態の飽和脂肪族炭化水素とを反応器に導入してエチレンと炭素数4〜10のオレフィンとを共重合させており、これによって組成分布および分子量分布の狭く、フィルム特性に優れた直鎖状低密度ポリエチレンを製造することができる。また第2飽和脂肪族炭化水素の蒸発潜熱によって流動層5の重合熱を除熱することができ、ガス状飽和脂肪族炭化水素の導入による流動層の膨潤を抑制することもできる。
【0037】
本発明では、上記のような共重合を、チーグラー型チタン触媒、フィリップ型酸化クロム触媒などのエチレン重合用触媒として公知の触媒を広く用いて行なうことができるが、このような触媒のうちでも特にメタロセン系触媒を用いることが望ましい。具体的に本発明において好ましく用いられるメタロセン系触媒は、たとえば
[A]周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物、および
[B](B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、
(B-2) 有機アルミニウム化合物、および
(B-3) メタロセン化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物
から選ばれる少なくとも1種の化合物を含んでなる。
【0038】
周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物[A]は、具体的に、次式(i) で示される。
MLx …(i)
(式中、MはZr、Ti、Hf、V、Nb、TaおよびCrから選ばれる遷移金属であり、Lは遷移金属に配位する配位子であり、少なくとも1個のLはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、トリアルキルシリル基またはSO3R基(ここでRはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素数1〜8の炭化水素基)であり、xは遷移金属の原子価である。)
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、たとえば、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、メチルエチルシクロペンタジエニル基、プロピルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、ブチルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基などのアルキル置換シクロペンタジエニル基あるいはインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などを例示することができる。これらの基は、ハロゲン原子、トリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
【0039】
これらの中では、アルキル置換シクロペンタジエニル基が特に好ましい。
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子として、具体的にハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられ、炭素数1〜12の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、ベンジル基、ネオフィル基などのアラルキル基などが挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられ、アリーロキシ基としては、フェノキシ基などが挙げられ、SO3R基としては、p-トルエンスルホナト基、メタンスルホナト基、トリフルオロメタンスルホナト基などが挙げられる。
【0040】
上記一般式で表される化合物がシクロペンタジエニル骨格を有する基を2個以上含む場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する基同士は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基、シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0041】
このようなシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むメタロセン化合物は、たとえば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記式(ii)で示される。
【0042】
R2 kR3 lR4 mR5 nM …(ii)
(式中、Mは上記遷移金属であり、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、R3、R4およびR5はシクロペンタジエニル骨格を有する基または上記したような他の基であり、kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。)
本発明ではこの式R2 kR3 lR4 mR5 nMにおいて、R2、R3、R4およびR5のうち少なくとも2個すなわちR2およびR3が、シクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であるメタロセン化合物が好ましく用いられる。これらのシクロペンタジエニル骨格を有する基は、アルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0043】
上記のようなメタロセン化合物としては、具体的にMがジルコニウムであるとき、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)シクロヘキシルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムモノクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムモノハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムメトキシクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムエトキシクロリド、
ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、
ビス(インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)
ビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)ジフェニルジルコニウム、
エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナト)、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(p-トルエンスルホナト)、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(2-メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(2-メチル,4-イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(2,4,7-トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、
ジメチルシリレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(2-メチル,4-イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジフェニルシリレンビス(2,4,7-トリメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
【0044】
なお上記例示において、シクロペンタジエニル環の二置換体は1,2-および1,3-置換体を含み、三置換体は1,2,3-および1,2,4-置換体を含む。またプロピル、ブチルなどのアルキル基は、n-、i-、sec-、tert-などの異性体を含む。
【0045】
また上記のようなジルコニウムメタロセン化合物において、ジルコニウムを、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタルまたはクロムに置換えた化合物を挙げることもできる。
【0046】
本発明では、メタロセン化合物[A]として、少なくとも2個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有するジルコニウムメタロセン化合物が好ましく用いられる。
【0047】
これら化合物は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のベンゼン可溶性のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−276807号公報で開示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0048】
上記のようなアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができる。
(1) 吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などを懸濁した炭化水素懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して反応させる方法。
【0049】
上記炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒を用いることができる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらのうち特に芳香族炭化水素が好ましく用いられる。
【0050】
(2) ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
【0051】
(3) デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0052】
なおこのアルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収されたアルミノキサンの溶液から溶媒あるいは未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解して用いてもよい。
【0053】
アルミノキサンを製造する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、具体的には、有機アルミニウム化合物(B-2)として後述するようなものが挙げられ、これらを2種以上組合せて用いることもできる。
【0054】
これらのうち、トリアルキルアルミニウムおよびトリシクロアルキルアルミニウムが特に好ましい。
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶性あるいは難溶性である。
【0055】
このような有機アルミニウムオキシ化合物のベンゼンに対する溶解性は、100ミリグラム原子のAlに相当する該有機アルミニウムオキシ化合物を100mlのベンゼンに懸濁した後、攪拌下60℃で6時間混合した後、ジャケット付G−5ガラス製フィルターを用い、60℃で熱時濾過を行ない、フィルター上に分離された固体部を60℃のベンゼン50mlを用いて4回洗浄した後の全濾液中に存在するAl原子の存在量(xミリモル)を測定することにより求められる(x%)。
【0056】
本発明では、有機アルミニウムオキシ化合物(B-1)を2種以上組合わせて用いることもできる。
本発明で用いられる有機アルミニウム化合物(B-2)は、たとえば下記一般式(iii) で示される。
【0057】
R1 nAlX3-n … (iii)
(式(i) 中、R1 は炭素数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子または水素原子であり、nは1〜3である。)
上記一般式(i) において、R1 は炭素数1〜12の炭化水素基たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリ−ル基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0058】
このような有機アルミニウム化合物(B-2)としては、具体的には、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、
イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム、
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド、
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド、
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド、
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどを挙げることができる。
【0059】
また有機アルミニウム化合物(B-2)として、下記一般式(iv)で示される化合物を用いることもできる。
R1 nAlY3-n … (iv)
(R1は上記と同様であり、Yは−OR2基、−OSiR3 3基、−OAlR4 2基、−NR5 2基、−SiR6 3基または−N(R7)AlR8 2基であり、nは1〜2であり、R2、R3、R4およびR8はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、R5は水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、R6 およびR7 はメチル基、エチル基などである。)
具体的には、下記のような化合物が挙げられる。
(1) R1 nAl(OR2)3-n で示される化合物、たとえば
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど、
(2) R1 nAl(OSiR3 3)3-n で示される化合物、たとえば
Et2Al(OSi Me3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2 Al(OSiEt3)など、
(3) R1 nAl(OAlR4 2)3-n で示される化合物、たとえば、
Et2AlOAlEt2 、(iso-Bu)2AlOAl(iso-Bu)2 など、
(4) R1 nAl(NR5 2)3-n で示される化合物、たとえば、
Me2AlNEt2 、Et2AlNHMe 、Me2AlNHEt 、Et2AlN(SiMe3)2、(iso-Bu)2AlN(SiMe3)2 など、
(5) R1 nAl(SiR6 3)3-n で示される化合物、たとえば、
(iso-Bu)2AlSi Me3 など、
(6) R1 nAl(N(R7)AlR8 2)3-n で示される化合物、たとえば、
Et2AlN(Me)AlEt2 、
(iso-Bu)2AlN(Et)Al(iso-Bu)2 など。
【0060】
これらのうちでは、トリアルキルアルミニウムが好ましく、トリイソブチルアルミニウムが特に好ましい。有機アルミニウム化合物(B-2) を2種以上組合わせて用いることもできる。
【0061】
本発明で用いられる前記メタロセン化合物[A]と反応してイオン対を形成する化合物(B-3)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、US−547718号公報などに記載されたルイス酸、イオン性化合物およびカルボラン化合物を挙げることができる。
【0062】
ルイス酸としては、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、MgCl2、Al2O3、SiO2-Al2O3 などを挙げることができる。
【0063】
イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリn-ブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができる。
【0064】
カルボラン化合物としては、ドデカボラン、1-カルバウンデカボラン、ビスn-ブチルアンモニウム(1-カルベドデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(7,8-ジカルバウンデカ)ボレート、トリn-ブチルアンモニウム(トリデカハイドライド-7-カルバウンデカ)ボレートなどを挙げることができる。
【0065】
これらは、2種以上組合わせて用いることもできる。
本発明では、共触媒成分[B]として、上記のような成分(B-1)、(B-2)および(B-3)から選ばれる少なくとも1種の化合物が用いられ、これらを適宜組合わせて用いることもできる。これらのうちでも共触媒成分[B]として少なくとも(B-2)または(B-3)を用いることが望ましい。
【0066】
本発明では、上記のようなメタロセン触媒成分および共触媒成分を含む触媒を用いることが好ましいが、通常これら触媒成分を粒子状担体化合物と接触させて、担体担持型触媒(固体触媒)として用いることが好ましい。
【0067】
担体化合物としては、粒径10〜300μm好ましくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状固体が用いられる。この担体の比表面積は通常50〜1000m2/gであり、細孔容積は0.3〜2.5cm3/gであることが望ましい。
【0068】
このような担体としては、多孔質無機酸化物が好ましく用いられ、具体的にはSiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2などまたはこれらの混合物、たとえばSiO2-MgO、SiO2-Al2O3、SiO2-TiO2、SiO2-V2O5、SiO2-Cr2O3、SiO2-TiO2-MgOなどが用いられる。これらの中では、SiO2および/またはAl2O3を主成分とするものが好ましい。
【0069】
上記無機酸化物には少量のNa2CO3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4、Al2(SO4)3、BaSO4、KNO3、Mg(NO3)2、Al(NO3)3、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分が含有されていてもよい。
【0070】
また担体として有機化合物を用いることもでき、たとえば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素数2〜14のα-オレフィンを主成分として生成される(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体あるいは共重合体を用いることができる。
【0071】
担体と上記各成分の接触は、通常−50〜150℃好ましくは−20〜120℃の温度で、1分〜50時間好ましくは10分〜25時間行なうことが望ましい。
【0072】
上記のようにして調製される固体触媒は、担体1g当り、メタロセン化合物[A]が遷移金属原子として5×10-6〜5×10-4グラム原子、好ましくは10-5〜2×10-4グラム原子の量で、成分[B]は、担体1g当りアルミニウム原子またはホウ素原子として10-3〜5×10-2グラム原子好ましくは2×10-3〜2×10-2グラム原子の量で担持されていることが望まししい。
【0073】
さらに本発明では、上記のような固体触媒をそのままで重合に用いることができが、この固体触媒にオレフィンを予備重合させて予備重合触媒を形成してから用いることもできる。
【0074】
本発明では、固体触媒または予備重合触媒は、遷移金属/リットル(重合容積)で、通常10-8〜10-3グラム原子/リットルさらには10-7〜10-4グラム原子/リットルとなる量で用いられることが望ましい。
【0075】
また予備重合触媒を用いるときには成分[B]を用いても用いなくてもよいが、重合系中の遷移金属に対する成分[B]中のアルミニウムまたはホウ素の原子比(AlまたはB/遷移金属)で、5〜300好ましくは10〜200さらに好ましくは15〜150となる量で必要に応じて用いることができる。
【0076】
本発明では、上記のような気相重合により、直鎖状低密度ポリエチレンを顆粒状粒子で得ることができる。この粒子の平均粒径は、250〜3000μm程度好ましくは400〜1500μm程度であることが望ましい。
【0077】
上記のようにして得られる直鎖状低密度ポリエチレンの密度(ASTM D 150 E)は、0.865〜0.925g/cm3好ましくは0.880〜0.920g/cm3であることが望ましい。
【0078】
この直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンから導かれる単位を87.0〜97.6モル%好ましくは90.0〜96.8モル%の量で、
炭素数4〜10のオレフィンから導かれる単位を13.0〜2.4モル%好ましく10.0〜3.2モル%の量で含有していることが望ましい。
【0079】
なお直鎖状低密度ポリエチレンは、本発明の目的を損なわない範囲であればポリエン類などから導かれる単位を10重量%以下好ましくは5重量%以下特に好ましくは3重量%以下の量で含んでいてもよい。
【0080】
上記のような本発明によれば、組成分布の狭い直鎖状低密度ポリエチレンが得られる。したがって本発明で得られる直鎖状低密度ポリエチレンは、ほぼ単一融点に近い融点を有しており、また同一組成の従来の直鎖状低密度ポリエチレンに比べると融点が低いという特性を示す。特に本発明では、たとえば1000μm以上の大粒径を有する直鎖状低密度ポリエチレン粒子を製造したときにも上記のような組成分布および分子量分布が狭いという効果を発現することができる。
【0081】
また本発明で得られる直鎖状低密度ポリエチレンは、分子量分布が狭く、このためフィルムを形成したときにベタツキの少ないフィルムを得ることができる。
【0082】
【発明の効果】
本発明によれば、流動層反応器を用いるエチレンとオレフィンとの共重合を、優れた除熱効率で行うことができ、また分子量分布および組成分布が狭い直鎖状低密度ポリエチレンを得ることができる。このような直鎖状低密度ポリエチレンは、フィルム形成材料として好適である。
【0083】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0084】
なおポリマーの23℃n-デカン可溶成分量(C10sol.)は、以下のようにして求めた。1リットルのフラスコに、3gの試料(ポリオレフィン)、20mgの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、500mlのn-デカンを入れ、145℃で加熱して溶解させた。溶解後8時間かけて23℃まで冷却し、23℃で8時間維持し、析出した固体と、溶解した重合体を含むn-デカン溶液とをグラスフィルターで濾過分離した。液相を減圧下150℃で恒量になるまで乾燥し、その重量を測定し、得られた重合体溶解量を、試料の重量に対する百分率として算出して、ポリマーの23℃デカン可溶成分量(C10sol.)とした。
【0085】
ポリマーのメルトインデックス(MI)は、ASTM D1238に準拠して190℃、2.16kg荷重下で測定した。
【0086】
【実施例1】
[固体触媒成分の調製]
250℃で10時間乾燥したシリカ(SiO2)10kgを、154リットルのトルエンに懸濁した後、0℃まで冷却した。
【0087】
この懸濁液にメチルアルミノオキサンのトルエン溶液(Al=1.52モル/リットル)50.5リットルを1時間かけて懸濁液の温度を0〜5℃に保持しながら滴下し、引続き0℃で30分間保持した後、1.5時間かけて95℃まで昇温して95℃で4時間保持した。
【0088】
その後60℃まで降温し、上澄み液をデカンテーションにより除去した。
このようにして得られた固体触媒成分をトルエンで2回洗浄した後、トルエン100リットルで再懸濁して全量160リットルとした。
【0089】
得られた懸濁液に、ビス(1,3-n-ブチルメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液(Zr=25.7ミリモル/リットル)22.0リットルを80℃で30分かけて滴下し、さらに80℃に2時間保持した。
【0090】
その後上澄み液を除去し、ヘキサンで2回洗浄することにより、シリカ1g当り、3.2mgのジルコニウムを含有する固体触媒成分を得た。
[固体触媒成分の予備重合]
充分に窒素置換した350リットルの反応器に、上記固体触媒成分7.0kgを装入し、ヘキサンを装入して全容積285リットルのヘキサン懸濁液とした。系内を10℃まで冷却した後、エチレンを流量8Nm3/hrで5分間、固体触媒成分のヘキサン懸濁液中に吹き込んだ。この間、系内の温度は10〜15℃に保持した。
【0091】
エチレンの供給を一旦停止した後、トリイソブチルアルミニウムを2.4モルおよび1-ヘキセン1.2kgを供給し、系内を密封系にした後、エチレンの供給を再開し、流量8Nm3/hrで15分間供給した後、流量を2Nm3/hrに下げて、系内の圧力を0.8kg/cm2G にした。この間に系内温度は35℃まで上昇した。
【0092】
その後、系内の温度を32〜35℃にコントロールしながらエチレンを4Nm3/hrの流量で3.5時間供給した。この間、系内の圧力は0.7〜0.8kg/cm2Gに保持した。次いで系内を窒素置換し、上澄み液を除去した後、ヘキサンで2回洗浄した。予備重合後の上澄み液は無色透明であった。
【0093】
上記のようにして固体触媒成分1g当り3gの予備重合体を含む予備重合触媒を得た。この予備重合触媒(予備重合体)の極限粘度[η]は2.1dl/gであり、1-ヘキセン単位含量は4.8重量%であった。予備重合触媒の形状は良好であり、嵩密度は0.4g/cm3 であった。
【0094】
[気相重合]
連続式流動床反応器を用いて気相重合を行った。
上記で得られた予備重合触媒を150g/hrの量で連続的に供給して、エチレンと1-ヘキセンとを連続的に共重合させ、密度0.920g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンを製造した。
【0095】
重合の間、反応器上部から排出されるガスが表1に示すような一定組成となるように、表1に示すような組成の流動化ガス(液分率1.7重量%)を反応器に供給した。
【0096】
この流動化ガス中の飽和炭化水素についての反応器入口での気液分配を表1に示すが、エタンのvapor fractionは0.9964(ガス状=第1の飽和脂肪族炭化水素)であり、i-ペンタンのvapor fractionは0.9554(気−液混合状態=第2の飽和脂肪族炭化水素)であった。
【0097】
重合は、重合温度=70℃、重合圧力=20kg/cm2G 、ガス線速u=70cm/sec.、滞留時間2時間、重合速度=152kg/hrの条件下に行なった。
重合条件および得られたエチレン・1-ヘキセン共重合体の物性を表1に示す。
【0098】
【比較例1】
エタンおよびi-ペンタンを含まず、かつ液分を含まない流動化ガスを反応器に供給し、表1に示す重合条件に変えた以外は、実施例1と同様にしてエチレンと1-ヘキセンと気相重合を行ない、密度0.922g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンを製造した。
【0099】
重合条件および得られたエチレン・1-ヘキセン共重合体の物性を表1に示す。
【0100】
【実施例2】
表1に示すような重合条件に変えた以外は実施例1と同様にして、エチレンと1-ヘキセンとの気相重合を行ない、密度0.905g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンを製造した。
【0101】
重合条件および得られたエチレン・1-ヘキセン共重合体の物性を表1に示す。
【0102】
【比較例2】
エタンおよびi-ペンタンを含まず、かつ液分を含まない流動化ガスを反応器に供給し、表1に示す重合条件に変えた以外は、実施例1と同様にしてエチレンと1-ヘキセンと気相重合を行ない、密度0.904g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンを製造した。
【0103】
重合条件および得られたエチレン・1-ヘキセン共重合体の物性を表1に示す。
【0104】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法による重合プロセスの概略説明図を示す。
Claims (5)
- 流動層反応器内を流通する重合モノマーを含むガス流によって触媒を含む固体粒子が流動状態に保持された流動層において、
[A]周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物、および
[B] (B-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、
(B-2) 有機アルミニウム化合物、および
(B-3) 該メタロセン化合物[A]と反応してイオン対を形成しうる化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む触媒の存在下に重合モノマーとしてのエチレンと炭素数4〜10のオレフィンとを気相で共重合させるに際して、重合モノマーとともに、エタン、プロパン、 n- ブタン、 i- ブタンから選ばれるガス状の第1飽和脂肪族炭化水素と、i- ペンタン、 n- ペンタン、ヘキサン、ヘプタンから選ばれる気−液混合状態の第2飽和脂肪族炭化水素とを、流動層反応器の底部から導入して上記共重合反応を行なうことを特徴とする直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法。 - 上記反応器から排出されるガスは、飽和脂肪族炭化水素を合計で0.8〜80モル%の
量で含有していることを特徴とする請求項1に記載の直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法。 - 上記反応器から排出されるガス中の、前記第1飽和脂肪族炭化水素と、第2飽和脂肪族炭化水素とのモル比(第1飽和脂肪族炭化水素/第2飽和脂肪族炭化水素)が1/9〜8/2であることを特徴とする請求項1に記載の直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法。
- 上記反応器から排出されるガスを冷却して、該ガス中に含まれる第1飽和脂肪族炭化水素はガス状で、かつ第2飽和脂肪族炭化水素は気−液混合相で流動層反応器に循環させることを特徴とする請求項1に記載の直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法。
- 密度0.865〜0.925g/cm3 の直鎖状低密度ポリエチレンを得ることを特徴とする請求項1に記載の直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法。
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