JP3821380B2 - ハイブリッド車両用内燃機関制御システム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド車両において走行用モータが内燃機関の始動も行う内燃機関制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のハイブリッド車両の内燃機関制御システムとして同出願人が先に出願した例(例えば、特許文献1参照)がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−303234号公報
【0004】
特許文献1には、「エンジンの出力軸に連結されたモータと変速機とを備えるエンジンの始動制御装置」が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
エンジンの出力軸にモータが連結された構成であるので、エンジン始動時に、モータの回転が直接エンジンの出力軸を回転させて始動させることになり、減速してトルクを増大することができないため、モータの容量およびモータを制御するパワードライブユニットの容量は大きなものが要求され大型化する。
【0006】
また、エンジンとモータを切り離すことができない構造なので、モータによる走行(EV走行)時に、モータは車両の駆動輪を回転させると同時にエンジンの出力軸を回転させエンジンを引き摺ることになり、余分な負荷を受け効率良く走行させることができない。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、内燃機関始動時にモータの回転を減速しトルクを増大して内燃機関を始動することでモータの容量を小さくでき、EV走行時に内燃機関を引き摺らないで車両を走行することができる簡単な構造のハイブリッド車両用内燃機関制御システムを供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記目的を達成するために、本請求項1記載の発明は、各々がヘリカルギアであるサンギア,プラネタリギア,リングギアの噛み合いにより構成され、内燃機関の出力を前記プラネタリギアを支承するキャリアに接続し、前記リングギアが駆動用モータのロータに接続し、前記サンギアが一方向クラッチを介して固定部材に連結されるプラネタリギアセットと、前記キャリアと前記リングギアの間をウエイトの遠心力の作用により係合し前記ヘリカルギアのスラスト力により離脱する遠心クラッチと、前記駆動用モータのロータの出力を駆動輪へ伝達する動力伝達機構と、前記動力伝達機構に設けられたクラッチ機構と、前記一方向クラッチと前記固定部材との間に介装されるブレーキ部材とを備え、前記内燃機関の始動時に前記ブレーキ部材を締結して前記駆動用モータを駆動し、前記ヘリカルギアのスラスト力で前記遠心クラッチが離脱状態に維持された前記プラネタリギアセットにより前記駆動用モータの回転を変速比の大きい第1の変速比で前記内燃機関に伝達し前記内燃機関を始動するハイブリッド車両用内燃機関制御システムとした。
【0009】
内燃機関の始動時にブレーキ部材を締結して駆動用モータを駆動することで、ヘリカルギアのスラスト力で遠心クラッチが離脱状態に維持されたプラネタリギアセットにより駆動用モータの回転を変速比の大きい第1の変速比でトルクを増大して内燃機関に伝達し内燃機関を始動することができ、モータの容量およびモータを制御するパワードライブユニットの容量を小さくし、小型化を図ることができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のハイブリッド車両用内燃機関制御システムにおいて、前記内燃機関の停止中に前記ブレーキ部材を解放し、前記駆動用モータによる駆動力を前記動力伝達機構に伝達することを特徴とする。
【0011】
内燃機関の停止で遠心クラッチが離脱状態にありブレーキ部材の解放によりサンギアが完全にフリーとなるので、モータの駆動力が内燃機関の出力軸に伝達されず動力伝達機構にのみ伝達され内燃機関を引き摺らずにモータによる効率の良い走行ができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のハイブリッド車両用内燃機関制御システムにおいて、前記内燃機関の作動中にウエイトの遠心力の作用により前記遠心クラッチが係合状態にある前記プラネタリギアセットにより前記内燃機関の出力を変速比の小さい第2の変速比で前記駆動用モータの前記ロータに接続するとともに前記駆動用モータによる駆動力をアシストして前記動力伝達機構に伝達することを特徴とする。
【0013】
内燃機関の作動で遠心クラッチが係合状態にあるプラネタリギアセットにより内燃機関の出力を変速比の小さい第2の変速比でロータを介して動力伝達機構に伝達して、駆動用モータの駆動力をアシストとして利用して、駆動力の大半を持つ内燃機関と駆動用モータの双方の駆動力で走行することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1記載のハイブリッド車両用内燃機関制御システムにおいて、前記内燃機関の作動中に前記駆動用モータを発電機として使用するとともに、ウエイトの遠心力の作用により前記遠心クラッチが係合状態にある前記プラネタリギアセットにより前記内燃機関の出力を変速比の小さい第2の変速比で前記駆動用モータの前記ロータを介して動力伝達機構に接続することを特徴とする。
【0015】
内燃機関の作動で遠心クラッチが係合状態にあるプラネタリギアセットにより内燃機関の出力を変速比の小さい第2の変速比でロータを回転して駆動用モータを発電機として容易に発電できるとともに動力伝達装置の駆動輪からの動力によっても発電することができ、効率良い発電が可能である。
【0016】
請求項5記載の発明は、各々がヘリカルギアであるサンギア,プラネタリギア,リングギアの噛み合いにより構成され、内燃機関の出力を前記プラネタリギアを支承するキャリアに接続し、前記リングギアが駆動用モータのロータに接続し、前記サンギアが第1の一方向クラッチを介して固定部材に連結されるプラネタリギアセットと、前記キャリアから前記リングギアへの一方向の動力伝達のみ可能な第2の一方向クラッチと、前記駆動用モータのロータの出力を駆動輪へ伝達する動力伝達機構と、前記動力伝達機構に設けられたクラッチ機構と、前記一方向クラッチと前記固定部材との間に介装されるブレーキ部材とを備え、前記内燃機関の始動時に前記ブレーキ部材を締結して前記駆動用モータを駆動し、第2の一方向クラッチが離脱状態にある前記プラネタリギアセットにより前記駆動用モータの回転を変速比の大きい第1の変速比で前記内燃機関に伝達し前記内燃機関を始動するハイブリッド車両用内燃機関制御システムである。
【0017】
内燃機関の始動時にブレーキ部材を締結して駆動用モータを駆動することで、第2の一方向クラッチが離脱状態でプラネタリギアセットにより駆動用モータの回転を変速比の大きい第1の変速比でトルクを増大して内燃機関に伝達し内燃機関を始動することができ、モータの容量およびモータを制御するパワードライブユニットの容量を小さくし、小型化を図ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る一実施の形態について図1および図2に基づき説明する。
本実施の形態に係るハイブリッド車両用内燃機関制御システムを図1に示す。
【0019】
同システムにおける内燃機関1は、フライホイール2の取り付けられたクランク軸3が、メカニカルモジュール10に入出力軸として挿入されている。
一方、モータ5は、アウタステータ6の内側をインナロータ7が回転するDCブラシレスモータであり、発電機としても作動することができる。
【0020】
本モータ5のインナロータ7は内径の大きな環状をなしており、このインナロータ7の内側の空間に前記メカニカルモジュール10の大部分が収容され、インナロータ7をメカニカルモジュール10への入出力要素としている。
【0021】
メカニカルモジュール10は、プラネタリギアセット11と遠心クラッチ18と一方向クラッチ20を介したバンドブレーキ21とを組合わせて構成されている。
プラネタリギアセット11と遠心クラッチ18が、主にインナロータ7の内側の空間に収容される。
【0022】
プラネタリギアセット11は、同軸のサンギア12とリングギア14との間に両者に噛合してプラネタリギア13が同軸回転するキャリア15に軸支されながら自転しながら公転可能に介装された構造をしている。
【0023】
プラネタリギアセット11のキャリア15が、その回転軸を前記内燃機関1のクランク軸3と一体に連結されており、リングギア14は前記モータ5のインナロータ7と軸方向に相対移動可能にスプライン嵌合されて一体に回転することができる。
【0024】
キャリア15には軸方向に相対移動可能にクラッチガイド16がスプライン嵌合され、このクラッチガイド16とリングギア14との間に遠心クラッチ18が介装されている。
【0025】
遠心クラッチ18は、キャリア15およびクラッチガイド16とともに回転する遠心ウエイト19の遠心力による揺動が押付荷重としてクラッチガイド16に作用して遠心クラッチ18を係合する方向に移動させる。
【0026】
サンギア12、プラネタリギア13、リングギア14の各歯状は、ヘリカルギアを形成して互いに噛み合っており、このヘリカルギアによるギアスラスト力がリングギア14に作用して遠心クラッチ18を離脱する方向に付勢している。
【0027】
したがって内燃機関1が停止しているとき、あるいはある回転速度以下の低速回転しているときには、遠心クラッチ18は離脱状態にあってギアスラスト力により離脱状態が維持されるが、内燃機関1がある回転速度を越えて駆動すると遠心ウエイト19の遠心力による押付荷重により遠心クラッチ18は係合する。
【0028】
遠心クラッチ18が係合すると、リングギア14とキャリア15が締結し、入力要素と出力要素が直結した小さい変速比1の状態となる。
遠心クラッチ18が離脱して本来のプラネタリギアとして作動するときは、リングギア14からキャリア15へ大きい変速比で伝達される。
【0029】
モータ5のインナロータ7が、駆動輪35に動力を伝達する動力伝達機構30と連結されている。
動力伝達機構30は、発進機構と変速機構とからなり、発進機構として発進クラッチ31、変速機構として自動変速機32が設けられている。
【0030】
なお上記のほか発進機構としてはトルクコンバータなどが使用でき、変速機構としては手動変速機やベルト制御変速機などが使用できる。
前記モータ5のインナロータ7は発進クラッチ31に連結されている。
【0031】
内燃機関1,モータ5,メカニカルモジュール10および動力伝達機構30は、コンピュータのECU40により制御され、特にメカニカルモジュール10のバンドブレーキ21は、ブレーキアクチュエータ41により係脱制御がなされる。
【0032】
ECU40には内燃機関1からの運転状態信号および操作系42からの操作信号が入力され信号処理される。
モータ5は、蓄電装置43の電力によりモータとして駆動するとともに、発電機として作動して発電電力を蓄電装置43に回生することができ、ECU40はモータ回転制御とともに発電機への切換制御を行っている。
【0033】
本ハイブリッド車両用内燃機関制御システムは、以上のように構成されており、各運転モードにおける動きを図2に基づき説明する。
【0034】
まず図2▲1▼に示す機関始動モードは、内燃機関1が停止したアイドル停車中に運転者の発進しようとする意思などをブレーキペダルやアクセルペダルなどの動きから検知し内燃機関1を再始動するようにECU40により判断された場合に、ECU40がブレーキアクチュエータ41にバンドブレーキ21を締結するよう指令し、モータ5を駆動するよう制御したときのモードである。
【0035】
バンドブレーキ21の締結で一方向クラッチ20が係合する方向に作動しサンギア12を固定し、モータ5のインナロータ7の回転がリングギア14に伝達され、プラネタリギアセット11のヘリカルギアによるスラスト力で遠心クラッチ18が離脱状態に維持される。
【0036】
したがってこのような状態にあるプラネタリギアセット11は減速機構として作動し、モータ5のインナロータ7の回転はリングギア14を介して大きい変速比でトルクを増大してキャリア15に伝達され、キャリア15と一体の内燃機関1のクランク軸3を回転して内燃機関1を始動する。
【0037】
クランク軸3が回り始めると、遠心力により遠心クラッチ18が押付荷重により係合しようとするが、モータ5の駆動力がリングギア14に伝えられている間は、ヘリカルギアのスラスト力により遠心クラッチ18は係合されず離脱状態が維持される。
【0038】
発進クラッチ31は当初解放した状態にあり、モータ5の駆動は動力伝達機構30以降には伝達されず、大きい変速比でトルクを増大して内燃機関1に伝達し内燃機関1を始動することができるので、モータの容量およびモータを制御するパワードライブユニットの容量を小さくし、小型化を図ることができる。
【0039】
一方、図2▲2▼に示すEV走行モードでは、内燃機関1は停止しバンドブレーキ21を解放し発進クラッチ31を係合してモータ5を駆動した状態である。
内燃機関1の停止で遠心クラッチ18は離脱状態にあり、バンドブレーキ21の解放でプラネタリギア13がフリー状態にあるので、プラネタリギアセット11はニュートラル状態にあって、モータ5の駆動力は内燃機関1側に伝達されず係合した発進クラッチ31を介して動力伝達機構30から駆動輪35にのみ伝達されてEV走行する。
【0040】
モータ5の駆動力が内燃機関1の出力軸に伝達されず動力伝達機構30にのみ伝達され内燃機関1を引き摺らずにモータ5による効率の良い走行ができる。
【0041】
次に図2▲3▼に示すアシストモードは、前記機関始動モード(図2▲1▼参照)において内燃機関1が始動された後、機関回転数が高くなり、遠心力による遠心クラッチ18の押付荷重がヘリカルギアのスラスト力を上回る所定の回転数になると、遠心力により遠心クラッチ18が係合しはじめ、円滑にキャリア15とリングギア14が締結して内燃機関1とモータ5が小さい変速比1の直結状態となり、インナロータ7の回転は係合された発進クラッチ31から動力伝達機構30を介して駆動輪35に伝達される。
【0042】
そのとき、サンギア12は一方向クラッチ20により空転するので、ECU40は機関回転数とモータ回転数が一致したことを判別してバンドブレーキ21を解放するよう制御してもよく、無駄な電力消費を避けることができる。
【0043】
このようにして内燃機関1の駆動力が動力伝達機構30に伝達され駆動用モータの駆動力がアシストして、内燃機関と駆動用モータの双方の駆動力で走行することができる。
【0044】
次に図2▲4▼に示す通常走行回生モードは、上記アシストモード(図2▲3▼参照)で内燃機関1とモータ5が直結状態にあるときに、ECU40がモータ5を発電機として作動させたときのモードである。
【0045】
内燃機関1の出力によりロータ7を回転するエネルギあるいは駆動輪35から動力伝達機構30を介してロータ7を回転するエネルギを電気エネルギに変換して効率良く蓄電装置43に回生することができる。
【0046】
ここで内燃機関1を停止すると、キャリア15が負荷になりヘリカルギアのスラスト力が働き遠心クラッチ18が離脱し、内燃機関1とモータ5の直結状態が解かれ図2▲5▼に示す機関停止回生モードになる。
【0047】
すなわち駆動輪35から動力伝達機構30を介してロータ7を回転するエネルギのみを電気エネルギに変換して蓄電装置43に回生することができる。
【0048】
本ハイブリッド車両用内燃機関制御システムは、以上のように作動し、いずれも遠心クラッチ18により制御システムがシンプルで簡便である。
【0049】
次に別の実施の形態に係るハイブリッド車両用内燃機関制御システムについて図3および図4に基づき説明する。
【0050】
本ハイブリッド車両用内燃機関制御システムは、前記実施の形態におけるハイブリッド車両用内燃機関制御システムと殆ど同じ構成をしており、唯一異なる点はメカニカルモジュール50のうち前記遠心クラッチ18の代わりに一方向クラッチ51が設けられている点である。
【0051】
したがって同じ部材については前記実施の形態における符号を用いることとする。
一方向クラッチ51は、モータ5のインナロータ7とキャリア15との間に介装され、キャリア15(内燃機関1)側からインナロータ7(動力伝達機構30)側への一方向の動力伝達のみ可能である機能を持つ。
【0052】
したがって各運転モードについて考察してみると、まず図4▲1▼に示す機関始動モードでは、内燃機関1が停止したアイドル停車中に内燃機関1を再始動するようにECU40により判断された場合に、ECU40の指令によりバンドブレーキ21を締結しモータ5を駆動すると、バンドブレーキ21の締結で一方向クラッチ20が係合する方向に作動しサンギア12を固定し、モータ5のインナロータ7の回転は一方向クラッチ51を介してキャリア15に伝達されずにリングギア14を介して大きい変速比でトルクを増大してキャリア15に伝達され、キャリア15と一体の内燃機関1のクランク軸3を回転して内燃機関1を始動する。
【0053】
発進クラッチ31は当初解放した状態にあり、モータ5の駆動は動力伝達機構30以降には伝達されず、大きい変速比でトルクを増大して内燃機関1に伝達し内燃機関1を始動することができるので、モータの容量およびモータを制御するパワードライブユニットの容量を小さくし、小型化を図ることができる。
【0054】
図4▲2▼に示すEV走行モードでは、内燃機関1は停止しバンドブレーキ21を解放し発進クラッチ31を係合してモータ5を駆動する。
内燃機関1の停止,バンドブレーキ21の解放で、プラネタリギアセット11はニュートラル状態にあって、モータ5の駆動力は内燃機関1側に伝達されず係合した発進クラッチ31を介して動力伝達機構30から駆動輪35にのみ伝達されてEV走行する。
【0055】
モータ5の駆動力が内燃機関1の出力軸に伝達されず動力伝達機構30にのみ伝達され内燃機関1を引き摺らずにモータ5による効率の良い走行ができる。
【0056】
図4▲3▼に示すアシストモードでは、内燃機関1の始動により機関回転数がモータ5の回転数を上回ると、一方向クラッチ51が係合して機関トルクが小さい変速比1でインナロータ7に伝達され、係合された発進クラッチ31から動力伝達機構30を介して駆動輪35に伝達される。
【0057】
このようにして内燃機関1の駆動力が動力伝達機構30に伝達され駆動用モータの駆動力がアシストして、内燃機関と駆動用モータの双方の駆動力で走行することができる。
なお内燃機関1が始動したことをECU40が判別したときは、必要に応じてバンドブレーキ21を解放し無駄な電力消費を避ける。
【0058】
図4▲4▼に示す通常走行回生モードは、上記バンドブレーキ21を解放したアシストモード(図4▲3▼参照)で、ECU40がモータ5を発電機として作動させたときのモードであり、駆動輪35から動力伝達機構30を介してロータ7を回転するエネルギを電気エネルギに変換して効率良く蓄電装置43に回生することができる。
【0059】
ここで内燃機関1を停止すると、図4▲5▼に示す機関停止回生モードになり、駆動輪35から動力伝達機構30を介してロータ7を回転するエネルギのみを電気エネルギに変換して蓄電装置43に回生することができる。
【0060】
なお通常走行回生モードでバンドブレーキ21が締結状態にあると、駆動輪35側からのインナロータ7の回転数がプラネタリギアセット11の大きい変速比で減速された減速回転数が機関アイドル回転数に達するまでは、エンジンブレーキが働いた状態で駆動輪35からのエネルギの回生が行われる。
【0061】
本ハイブリッド車両用内燃機関制御システムも、以上のように作動し、いずれも一方向クラッチ51により制御システムがシンプルで簡便である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るハイブリッド車両用内燃機関制御システムの構成図である。
【図2】同制御システムのメカニカルモジュールの各運転モードにおける作動状態を示す説明図である。
【図3】別の一実施の形態に係るハイブリッド車両用内燃機関制御システムの構成図である。
【図4】同制御システムのメカニカルモジュールの各運転モードにおける作動状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1…内燃機関、2…フライホイール、3…クランク軸、5…モータ、6…アウタステータ、7…インナロータ、
10…メカニカルモジュール、11…プラネタリギアセット、12…サンギア、13…プラネタリギア、14…リングギア、15…キャリア、16…クラッチガイド、18…遠心クラッチ、19…遠心ウエイト、20…一方向クラッチ、21…バンドブレーキ、
30…動力伝達機構、31…発進クラッチ、32…自動変速機、35…駆動輪、
40…ECU、41…ブレーキアクチュエータ、42…操作系、43…蓄電装置、
50…メカニカルモジュール、51…一方向クラッチ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド車両において走行用モータが内燃機関の始動も行う内燃機関制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のハイブリッド車両の内燃機関制御システムとして同出願人が先に出願した例(例えば、特許文献1参照)がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−303234号公報
【0004】
特許文献1には、「エンジンの出力軸に連結されたモータと変速機とを備えるエンジンの始動制御装置」が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
エンジンの出力軸にモータが連結された構成であるので、エンジン始動時に、モータの回転が直接エンジンの出力軸を回転させて始動させることになり、減速してトルクを増大することができないため、モータの容量およびモータを制御するパワードライブユニットの容量は大きなものが要求され大型化する。
【0006】
また、エンジンとモータを切り離すことができない構造なので、モータによる走行(EV走行)時に、モータは車両の駆動輪を回転させると同時にエンジンの出力軸を回転させエンジンを引き摺ることになり、余分な負荷を受け効率良く走行させることができない。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、内燃機関始動時にモータの回転を減速しトルクを増大して内燃機関を始動することでモータの容量を小さくでき、EV走行時に内燃機関を引き摺らないで車両を走行することができる簡単な構造のハイブリッド車両用内燃機関制御システムを供する点にある。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記目的を達成するために、本請求項1記載の発明は、各々がヘリカルギアであるサンギア,プラネタリギア,リングギアの噛み合いにより構成され、内燃機関の出力を前記プラネタリギアを支承するキャリアに接続し、前記リングギアが駆動用モータのロータに接続し、前記サンギアが一方向クラッチを介して固定部材に連結されるプラネタリギアセットと、前記キャリアと前記リングギアの間をウエイトの遠心力の作用により係合し前記ヘリカルギアのスラスト力により離脱する遠心クラッチと、前記駆動用モータのロータの出力を駆動輪へ伝達する動力伝達機構と、前記動力伝達機構に設けられたクラッチ機構と、前記一方向クラッチと前記固定部材との間に介装されるブレーキ部材とを備え、前記内燃機関の始動時に前記ブレーキ部材を締結して前記駆動用モータを駆動し、前記ヘリカルギアのスラスト力で前記遠心クラッチが離脱状態に維持された前記プラネタリギアセットにより前記駆動用モータの回転を変速比の大きい第1の変速比で前記内燃機関に伝達し前記内燃機関を始動するハイブリッド車両用内燃機関制御システムとした。
【0009】
内燃機関の始動時にブレーキ部材を締結して駆動用モータを駆動することで、ヘリカルギアのスラスト力で遠心クラッチが離脱状態に維持されたプラネタリギアセットにより駆動用モータの回転を変速比の大きい第1の変速比でトルクを増大して内燃機関に伝達し内燃機関を始動することができ、モータの容量およびモータを制御するパワードライブユニットの容量を小さくし、小型化を図ることができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のハイブリッド車両用内燃機関制御システムにおいて、前記内燃機関の停止中に前記ブレーキ部材を解放し、前記駆動用モータによる駆動力を前記動力伝達機構に伝達することを特徴とする。
【0011】
内燃機関の停止で遠心クラッチが離脱状態にありブレーキ部材の解放によりサンギアが完全にフリーとなるので、モータの駆動力が内燃機関の出力軸に伝達されず動力伝達機構にのみ伝達され内燃機関を引き摺らずにモータによる効率の良い走行ができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のハイブリッド車両用内燃機関制御システムにおいて、前記内燃機関の作動中にウエイトの遠心力の作用により前記遠心クラッチが係合状態にある前記プラネタリギアセットにより前記内燃機関の出力を変速比の小さい第2の変速比で前記駆動用モータの前記ロータに接続するとともに前記駆動用モータによる駆動力をアシストして前記動力伝達機構に伝達することを特徴とする。
【0013】
内燃機関の作動で遠心クラッチが係合状態にあるプラネタリギアセットにより内燃機関の出力を変速比の小さい第2の変速比でロータを介して動力伝達機構に伝達して、駆動用モータの駆動力をアシストとして利用して、駆動力の大半を持つ内燃機関と駆動用モータの双方の駆動力で走行することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1記載のハイブリッド車両用内燃機関制御システムにおいて、前記内燃機関の作動中に前記駆動用モータを発電機として使用するとともに、ウエイトの遠心力の作用により前記遠心クラッチが係合状態にある前記プラネタリギアセットにより前記内燃機関の出力を変速比の小さい第2の変速比で前記駆動用モータの前記ロータを介して動力伝達機構に接続することを特徴とする。
【0015】
内燃機関の作動で遠心クラッチが係合状態にあるプラネタリギアセットにより内燃機関の出力を変速比の小さい第2の変速比でロータを回転して駆動用モータを発電機として容易に発電できるとともに動力伝達装置の駆動輪からの動力によっても発電することができ、効率良い発電が可能である。
【0016】
請求項5記載の発明は、各々がヘリカルギアであるサンギア,プラネタリギア,リングギアの噛み合いにより構成され、内燃機関の出力を前記プラネタリギアを支承するキャリアに接続し、前記リングギアが駆動用モータのロータに接続し、前記サンギアが第1の一方向クラッチを介して固定部材に連結されるプラネタリギアセットと、前記キャリアから前記リングギアへの一方向の動力伝達のみ可能な第2の一方向クラッチと、前記駆動用モータのロータの出力を駆動輪へ伝達する動力伝達機構と、前記動力伝達機構に設けられたクラッチ機構と、前記一方向クラッチと前記固定部材との間に介装されるブレーキ部材とを備え、前記内燃機関の始動時に前記ブレーキ部材を締結して前記駆動用モータを駆動し、第2の一方向クラッチが離脱状態にある前記プラネタリギアセットにより前記駆動用モータの回転を変速比の大きい第1の変速比で前記内燃機関に伝達し前記内燃機関を始動するハイブリッド車両用内燃機関制御システムである。
【0017】
内燃機関の始動時にブレーキ部材を締結して駆動用モータを駆動することで、第2の一方向クラッチが離脱状態でプラネタリギアセットにより駆動用モータの回転を変速比の大きい第1の変速比でトルクを増大して内燃機関に伝達し内燃機関を始動することができ、モータの容量およびモータを制御するパワードライブユニットの容量を小さくし、小型化を図ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る一実施の形態について図1および図2に基づき説明する。
本実施の形態に係るハイブリッド車両用内燃機関制御システムを図1に示す。
【0019】
同システムにおける内燃機関1は、フライホイール2の取り付けられたクランク軸3が、メカニカルモジュール10に入出力軸として挿入されている。
一方、モータ5は、アウタステータ6の内側をインナロータ7が回転するDCブラシレスモータであり、発電機としても作動することができる。
【0020】
本モータ5のインナロータ7は内径の大きな環状をなしており、このインナロータ7の内側の空間に前記メカニカルモジュール10の大部分が収容され、インナロータ7をメカニカルモジュール10への入出力要素としている。
【0021】
メカニカルモジュール10は、プラネタリギアセット11と遠心クラッチ18と一方向クラッチ20を介したバンドブレーキ21とを組合わせて構成されている。
プラネタリギアセット11と遠心クラッチ18が、主にインナロータ7の内側の空間に収容される。
【0022】
プラネタリギアセット11は、同軸のサンギア12とリングギア14との間に両者に噛合してプラネタリギア13が同軸回転するキャリア15に軸支されながら自転しながら公転可能に介装された構造をしている。
【0023】
プラネタリギアセット11のキャリア15が、その回転軸を前記内燃機関1のクランク軸3と一体に連結されており、リングギア14は前記モータ5のインナロータ7と軸方向に相対移動可能にスプライン嵌合されて一体に回転することができる。
【0024】
キャリア15には軸方向に相対移動可能にクラッチガイド16がスプライン嵌合され、このクラッチガイド16とリングギア14との間に遠心クラッチ18が介装されている。
【0025】
遠心クラッチ18は、キャリア15およびクラッチガイド16とともに回転する遠心ウエイト19の遠心力による揺動が押付荷重としてクラッチガイド16に作用して遠心クラッチ18を係合する方向に移動させる。
【0026】
サンギア12、プラネタリギア13、リングギア14の各歯状は、ヘリカルギアを形成して互いに噛み合っており、このヘリカルギアによるギアスラスト力がリングギア14に作用して遠心クラッチ18を離脱する方向に付勢している。
【0027】
したがって内燃機関1が停止しているとき、あるいはある回転速度以下の低速回転しているときには、遠心クラッチ18は離脱状態にあってギアスラスト力により離脱状態が維持されるが、内燃機関1がある回転速度を越えて駆動すると遠心ウエイト19の遠心力による押付荷重により遠心クラッチ18は係合する。
【0028】
遠心クラッチ18が係合すると、リングギア14とキャリア15が締結し、入力要素と出力要素が直結した小さい変速比1の状態となる。
遠心クラッチ18が離脱して本来のプラネタリギアとして作動するときは、リングギア14からキャリア15へ大きい変速比で伝達される。
【0029】
モータ5のインナロータ7が、駆動輪35に動力を伝達する動力伝達機構30と連結されている。
動力伝達機構30は、発進機構と変速機構とからなり、発進機構として発進クラッチ31、変速機構として自動変速機32が設けられている。
【0030】
なお上記のほか発進機構としてはトルクコンバータなどが使用でき、変速機構としては手動変速機やベルト制御変速機などが使用できる。
前記モータ5のインナロータ7は発進クラッチ31に連結されている。
【0031】
内燃機関1,モータ5,メカニカルモジュール10および動力伝達機構30は、コンピュータのECU40により制御され、特にメカニカルモジュール10のバンドブレーキ21は、ブレーキアクチュエータ41により係脱制御がなされる。
【0032】
ECU40には内燃機関1からの運転状態信号および操作系42からの操作信号が入力され信号処理される。
モータ5は、蓄電装置43の電力によりモータとして駆動するとともに、発電機として作動して発電電力を蓄電装置43に回生することができ、ECU40はモータ回転制御とともに発電機への切換制御を行っている。
【0033】
本ハイブリッド車両用内燃機関制御システムは、以上のように構成されており、各運転モードにおける動きを図2に基づき説明する。
【0034】
まず図2▲1▼に示す機関始動モードは、内燃機関1が停止したアイドル停車中に運転者の発進しようとする意思などをブレーキペダルやアクセルペダルなどの動きから検知し内燃機関1を再始動するようにECU40により判断された場合に、ECU40がブレーキアクチュエータ41にバンドブレーキ21を締結するよう指令し、モータ5を駆動するよう制御したときのモードである。
【0035】
バンドブレーキ21の締結で一方向クラッチ20が係合する方向に作動しサンギア12を固定し、モータ5のインナロータ7の回転がリングギア14に伝達され、プラネタリギアセット11のヘリカルギアによるスラスト力で遠心クラッチ18が離脱状態に維持される。
【0036】
したがってこのような状態にあるプラネタリギアセット11は減速機構として作動し、モータ5のインナロータ7の回転はリングギア14を介して大きい変速比でトルクを増大してキャリア15に伝達され、キャリア15と一体の内燃機関1のクランク軸3を回転して内燃機関1を始動する。
【0037】
クランク軸3が回り始めると、遠心力により遠心クラッチ18が押付荷重により係合しようとするが、モータ5の駆動力がリングギア14に伝えられている間は、ヘリカルギアのスラスト力により遠心クラッチ18は係合されず離脱状態が維持される。
【0038】
発進クラッチ31は当初解放した状態にあり、モータ5の駆動は動力伝達機構30以降には伝達されず、大きい変速比でトルクを増大して内燃機関1に伝達し内燃機関1を始動することができるので、モータの容量およびモータを制御するパワードライブユニットの容量を小さくし、小型化を図ることができる。
【0039】
一方、図2▲2▼に示すEV走行モードでは、内燃機関1は停止しバンドブレーキ21を解放し発進クラッチ31を係合してモータ5を駆動した状態である。
内燃機関1の停止で遠心クラッチ18は離脱状態にあり、バンドブレーキ21の解放でプラネタリギア13がフリー状態にあるので、プラネタリギアセット11はニュートラル状態にあって、モータ5の駆動力は内燃機関1側に伝達されず係合した発進クラッチ31を介して動力伝達機構30から駆動輪35にのみ伝達されてEV走行する。
【0040】
モータ5の駆動力が内燃機関1の出力軸に伝達されず動力伝達機構30にのみ伝達され内燃機関1を引き摺らずにモータ5による効率の良い走行ができる。
【0041】
次に図2▲3▼に示すアシストモードは、前記機関始動モード(図2▲1▼参照)において内燃機関1が始動された後、機関回転数が高くなり、遠心力による遠心クラッチ18の押付荷重がヘリカルギアのスラスト力を上回る所定の回転数になると、遠心力により遠心クラッチ18が係合しはじめ、円滑にキャリア15とリングギア14が締結して内燃機関1とモータ5が小さい変速比1の直結状態となり、インナロータ7の回転は係合された発進クラッチ31から動力伝達機構30を介して駆動輪35に伝達される。
【0042】
そのとき、サンギア12は一方向クラッチ20により空転するので、ECU40は機関回転数とモータ回転数が一致したことを判別してバンドブレーキ21を解放するよう制御してもよく、無駄な電力消費を避けることができる。
【0043】
このようにして内燃機関1の駆動力が動力伝達機構30に伝達され駆動用モータの駆動力がアシストして、内燃機関と駆動用モータの双方の駆動力で走行することができる。
【0044】
次に図2▲4▼に示す通常走行回生モードは、上記アシストモード(図2▲3▼参照)で内燃機関1とモータ5が直結状態にあるときに、ECU40がモータ5を発電機として作動させたときのモードである。
【0045】
内燃機関1の出力によりロータ7を回転するエネルギあるいは駆動輪35から動力伝達機構30を介してロータ7を回転するエネルギを電気エネルギに変換して効率良く蓄電装置43に回生することができる。
【0046】
ここで内燃機関1を停止すると、キャリア15が負荷になりヘリカルギアのスラスト力が働き遠心クラッチ18が離脱し、内燃機関1とモータ5の直結状態が解かれ図2▲5▼に示す機関停止回生モードになる。
【0047】
すなわち駆動輪35から動力伝達機構30を介してロータ7を回転するエネルギのみを電気エネルギに変換して蓄電装置43に回生することができる。
【0048】
本ハイブリッド車両用内燃機関制御システムは、以上のように作動し、いずれも遠心クラッチ18により制御システムがシンプルで簡便である。
【0049】
次に別の実施の形態に係るハイブリッド車両用内燃機関制御システムについて図3および図4に基づき説明する。
【0050】
本ハイブリッド車両用内燃機関制御システムは、前記実施の形態におけるハイブリッド車両用内燃機関制御システムと殆ど同じ構成をしており、唯一異なる点はメカニカルモジュール50のうち前記遠心クラッチ18の代わりに一方向クラッチ51が設けられている点である。
【0051】
したがって同じ部材については前記実施の形態における符号を用いることとする。
一方向クラッチ51は、モータ5のインナロータ7とキャリア15との間に介装され、キャリア15(内燃機関1)側からインナロータ7(動力伝達機構30)側への一方向の動力伝達のみ可能である機能を持つ。
【0052】
したがって各運転モードについて考察してみると、まず図4▲1▼に示す機関始動モードでは、内燃機関1が停止したアイドル停車中に内燃機関1を再始動するようにECU40により判断された場合に、ECU40の指令によりバンドブレーキ21を締結しモータ5を駆動すると、バンドブレーキ21の締結で一方向クラッチ20が係合する方向に作動しサンギア12を固定し、モータ5のインナロータ7の回転は一方向クラッチ51を介してキャリア15に伝達されずにリングギア14を介して大きい変速比でトルクを増大してキャリア15に伝達され、キャリア15と一体の内燃機関1のクランク軸3を回転して内燃機関1を始動する。
【0053】
発進クラッチ31は当初解放した状態にあり、モータ5の駆動は動力伝達機構30以降には伝達されず、大きい変速比でトルクを増大して内燃機関1に伝達し内燃機関1を始動することができるので、モータの容量およびモータを制御するパワードライブユニットの容量を小さくし、小型化を図ることができる。
【0054】
図4▲2▼に示すEV走行モードでは、内燃機関1は停止しバンドブレーキ21を解放し発進クラッチ31を係合してモータ5を駆動する。
内燃機関1の停止,バンドブレーキ21の解放で、プラネタリギアセット11はニュートラル状態にあって、モータ5の駆動力は内燃機関1側に伝達されず係合した発進クラッチ31を介して動力伝達機構30から駆動輪35にのみ伝達されてEV走行する。
【0055】
モータ5の駆動力が内燃機関1の出力軸に伝達されず動力伝達機構30にのみ伝達され内燃機関1を引き摺らずにモータ5による効率の良い走行ができる。
【0056】
図4▲3▼に示すアシストモードでは、内燃機関1の始動により機関回転数がモータ5の回転数を上回ると、一方向クラッチ51が係合して機関トルクが小さい変速比1でインナロータ7に伝達され、係合された発進クラッチ31から動力伝達機構30を介して駆動輪35に伝達される。
【0057】
このようにして内燃機関1の駆動力が動力伝達機構30に伝達され駆動用モータの駆動力がアシストして、内燃機関と駆動用モータの双方の駆動力で走行することができる。
なお内燃機関1が始動したことをECU40が判別したときは、必要に応じてバンドブレーキ21を解放し無駄な電力消費を避ける。
【0058】
図4▲4▼に示す通常走行回生モードは、上記バンドブレーキ21を解放したアシストモード(図4▲3▼参照)で、ECU40がモータ5を発電機として作動させたときのモードであり、駆動輪35から動力伝達機構30を介してロータ7を回転するエネルギを電気エネルギに変換して効率良く蓄電装置43に回生することができる。
【0059】
ここで内燃機関1を停止すると、図4▲5▼に示す機関停止回生モードになり、駆動輪35から動力伝達機構30を介してロータ7を回転するエネルギのみを電気エネルギに変換して蓄電装置43に回生することができる。
【0060】
なお通常走行回生モードでバンドブレーキ21が締結状態にあると、駆動輪35側からのインナロータ7の回転数がプラネタリギアセット11の大きい変速比で減速された減速回転数が機関アイドル回転数に達するまでは、エンジンブレーキが働いた状態で駆動輪35からのエネルギの回生が行われる。
【0061】
本ハイブリッド車両用内燃機関制御システムも、以上のように作動し、いずれも一方向クラッチ51により制御システムがシンプルで簡便である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るハイブリッド車両用内燃機関制御システムの構成図である。
【図2】同制御システムのメカニカルモジュールの各運転モードにおける作動状態を示す説明図である。
【図3】別の一実施の形態に係るハイブリッド車両用内燃機関制御システムの構成図である。
【図4】同制御システムのメカニカルモジュールの各運転モードにおける作動状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1…内燃機関、2…フライホイール、3…クランク軸、5…モータ、6…アウタステータ、7…インナロータ、
10…メカニカルモジュール、11…プラネタリギアセット、12…サンギア、13…プラネタリギア、14…リングギア、15…キャリア、16…クラッチガイド、18…遠心クラッチ、19…遠心ウエイト、20…一方向クラッチ、21…バンドブレーキ、
30…動力伝達機構、31…発進クラッチ、32…自動変速機、35…駆動輪、
40…ECU、41…ブレーキアクチュエータ、42…操作系、43…蓄電装置、
50…メカニカルモジュール、51…一方向クラッチ。
Claims (5)
- 各々がヘリカルギアであるサンギア,プラネタリギア,リングギアの噛み合いにより構成され、内燃機関の出力を前記プラネタリギアを支承するキャリアに接続し、前記リングギアが駆動用モータのロータに接続し、前記サンギアが一方向クラッチを介して固定部材に連結されるプラネタリギアセットと、
前記キャリアと前記リングギアの間をウエイトの遠心力の作用により係合し前記ヘリカルギアのスラスト力により離脱する遠心クラッチと、
前記駆動用モータのロータの出力を駆動輪へ伝達する動力伝達機構と、
前記動力伝達機構に設けられたクラッチ機構と、
前記一方向クラッチと前記固定部材との間に介装されるブレーキ部材とを備え、
前記内燃機関の始動時に前記ブレーキ部材を締結して前記駆動用モータを駆動し、前記ヘリカルギアのスラスト力で前記遠心クラッチが離脱状態に維持された前記プラネタリギアセットにより前記駆動用モータの回転を変速比の大きい第1の変速比で前記内燃機関に伝達し前記内燃機関を始動することを特徴とするハイブリッド車両用内燃機関制御システム。 - 前記内燃機関の停止中に前記ブレーキ部材を解放し、前記駆動用モータによる駆動力を前記動力伝達機構に伝達することを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両用内燃機関制御システム。
- 前記内燃機関の作動中にウエイトの遠心力の作用により前記遠心クラッチが係合状態にある前記プラネタリギアセットにより前記内燃機関の出力を変速比の小さい第2の変速比で前記駆動用モータの前記ロータに接続するとともに前記駆動用モータによる駆動力をアシストして前記動力伝達機構に伝達することを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両用内燃機関制御システム。
- 前記内燃機関の作動中に前記駆動用モータを発電機として使用するとともに、ウエイトの遠心力の作用により前記遠心クラッチが係合状態にある前記プラネタリギアセットにより前記内燃機関の出力を変速比の小さい第2の変速比で前記駆動用モータの前記ロータを介して動力伝達機構に接続することを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両用内燃機関制御システム。
- 各々がヘリカルギアであるサンギア,プラネタリギア,リングギアの噛み合いにより構成され、内燃機関の出力を前記プラネタリギアを支承するキャリアに接続し、前記リングギアが駆動用モータのロータに接続し、前記サンギアが第1の一方向クラッチを介して固定部材に連結されるプラネタリギアセットと、
前記キャリアから前記リングギアへの一方向の動力伝達のみ可能な第2の一方向クラッチと、
前記駆動用モータのロータの出力を駆動輪へ伝達する動力伝達機構と、
前記動力伝達機構に設けられたクラッチ機構と、
前記一方向クラッチと前記固定部材との間に介装されるブレーキ部材とを備え、
前記内燃機関の始動時に前記ブレーキ部材を締結して前記駆動用モータを駆動し、第2の一方向クラッチが離脱状態にある前記プラネタリギアセットにより前記駆動用モータの回転を変速比の大きい第1の変速比で前記内燃機関に伝達し前記内燃機関を始動することを特徴とするハイブリッド車両用内燃機関制御システム。
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