JP3821201B2 - インクジェット記録装置用インクカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を吐出する記録ヘッドが取付けられたキャリッジに装着されて記録ヘッドにインクを供給するインクカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置は、比較的簡単な構造で写真品質で画像を印刷することができるため、パーソナルユースの記録装置としても広く使用されている。
このような記録装置は、通常、ブラックインク用の記録ヘッドと、カラーインク用の記録ヘッドとをキャリッジに搭載して、ブラックインク用カートリッジ、及びカラーインク用カートリッジを装着することにより各記録ヘッドにインク供給針を介してインクを供給するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
記録装置により印刷される印刷物の大半がテキストデータであるような場合には、カラーインクの使用量や頻度が低く、これにともなってカラーインク用カートリッジの交換頻度もブラックインク用カートリッジの交換頻度に比較して極めて低くなり、カラーインク用カートリッジのインクを消費し切る以前に有効期限が到来して交換を余儀なくされ、ランニングコストが上昇するという問題がある。
また、逆にカラー画像の印刷量が多いユーザにおいては、ブラックインクの使用頻度が低くなり、ブラックインク用カートリッジのインクを消費し切る以前に有効期限が到来し、やはりて交換を余儀なくされ、ランニングコストが上昇するという問題がある。
さらに、パーソナルユースにおいては、記録装置の使用頻度が比較的低いため、ブラックインク用、及びカラーインク用カートリッジにインクを残したまま、有効期限を迎えることがある。
このような問題を解消するため、特開平9-262988号公報に見られるように通常量のインクカートリッジを構成する容器に詰め物を装填して、インク吸収体の充填可能容積を減少させることが考えられているが、記録ヘッドへのインクの供給特性に最も大きな影響を与えるインク供給口近傍の形状や、圧縮特性等が大きく変化するため、印刷特性の低下を招くという問題がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、通常容量のインクカートリッジと同一のインク供給特性を備えた小容量用のインクカートリッジを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解消するために本発明においては、キャリッジに設けられた記録ヘッドのインク供給針とインク供給口を介して連通するインク収容室を備え、かつ前記キャリッジのホルダに収容されるほぼ直方体状の容器からなるインクカートリッジにおいて、
前記容器が仕切り部により複数のインク収容室に分割されて前記インク収容室のそれぞれに異なるカラーインクが収容され、前記インク供給口が一方の短辺側の側壁に偏して配置され、また他方の短辺側の側壁に前記インク収容室側に突出し、かつ前記仕切り部を跨ぐように凹部が形成されていて、前記凹部に長辺側の側壁に平行で、かつ前記インク供給口側に突出する少なくとも1本のリブが形成され、前記一方の短辺側の側壁と前記リブとにより押圧されるインク吸収体を収容して前記容器に収容する前記カラーインクのインク量を減少させるようにした。
【0005】
【作用】
インク供給口側は、リブを設けていない標準容量のインクカートリッジと同一の圧縮を受けていて、インク供給口の反対側には、収容すべきインク量に応じてインク収容室の容積を加減するリブが延びている。インク吸収体は、インク収容室の長さに応じて調製されていて、インク充填量に関わりなく、インクカートリッジの、静的、及び動的な特性を一定に維持することができる。また、インク供給口側へのリブの長さを変えることにより、インク収容可能な実質的な容量を加減でき、容器本体の外側の金型を共通化することができ、また容器本体の外側の形状で位置決め基準を設定する場合には製造ラインを共通化することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1乃至図5は、それぞれブラックインク等、1種類のインクを収容するカートリッジの一実施例を示すものであって、インクカートリッジを構成する容器本体1は、キャリッジのカートリッジホルダに着脱可能で、かつホルダー内でのガタ付きを生じない程度の直方体状(なお、この実施例において、直方体状とは、上面側が若干拡開したものをも含む形状を指す。)に形成されており、上面に開口2を備え、また底面3には容器本体の一方の短辺の側壁4の側に記録ヘッドと連通してインクを供給するインク供給口5が形成されている。容器本体1の底部6にはインク供給口5に連通するインク流出孔7を備えた凸部8が形成され、その上面にフィルタ9が設けられている。
【0007】
容器本体1の他方の短辺側の側壁10は、容器本体の下半から底部6に延び、かつ短辺の幅W1よりも狭い幅W2の凹部11が形成されている。この凹部11は、製造工程で使用されるパレットとの位置決めや、またカートリッジホルダに対するガイド部材や、誤挿入防止等の機能を果たすものである。
【0008】
そして、この実施例のように小容量向けのインクカートリッジを構成する場合には、この凹部11の容器本体1の内部に突出している面11aに長辺側の側壁12に平行な同形の2つのリブ13、14が形成されている。
【0009】
このように構成された容器本体1の空間、つまりインク収容室15には、開口2から弾性多孔質材からなる直方体状のインク吸収体16が圧入され、インク注入口17、及び大気連通口18が形成された蓋体19により封止された上で、インク注入口17からインク吸収体16にインクを圧入してインクカートリッジ20に仕上げられる。なお、上述の実施例においては2本のリブ13、14が平行に形成されているため、インク吸収体16の圧入時に無用にずれることがない。
【0010】
ところで、図5(イ)に示したようにインク吸収体16は、容器本体1の開口2の幅W1よりも若干大きく、またインク供給口5が位置する短辺の側壁4からリブ13、14の先端までの長さL1よりも若干大きい長さL2のサイズに成形されている。これにより、図5(ロ)に示したように容器本体1と蓋体19により封止された状態では、凸部8によりインク流出口7の先端、つまりフィルタ9が当接している領域が、他の領域をよりも強く圧縮され、強い毛細管力が作用している。
【0011】
また、インク吸収体16は、そのインク供給口5側がリブが存在しない後述する標準容量のインクカートリッジ(図6)と同一の形態で圧縮を受け、またインク流出に関わりのない他端側がリブ13、14により押圧されているから、インク吸収体16のインク吸収可能量が少ないのにもかかわらず通常容量のものの供給特性と同一となる。
【0012】
ところで、これら容器本体1は、通常、高分子材料の射出成形により製造するため、金型が用意されている。したがって、外側の金型については通常容量の容器本体1と共通化が可能となり、内側の金型にはリブ13、14となる樹脂注入用凹部を付加する程度の若干の設計変更を行うことにより、小容量向けインクカートリッジ用の容器本体を製造することができ、また小容量化に関わらず外形形状に変化をきたさないから、通常容量のインクカートリッジの製造ラインを流用することができ、設備コストを下げることが出来る。
【0013】
すなわち、通常容量のカートリッジは、図6(イ)に示したように幅は、小容量のカートリッジと同程度であるものの、インク収容体16’の長さがインク供給口5が位置する短辺の側壁4から他方の短辺側の側壁4までの長さL3より大きな長さL4となるように成形されている。これにより、図6(ロ)に示したように容器本体1と蓋体19により封止された状態では、インク供給口5側は、リブ13、14を設けた小容量のインクカートリッジと同一の形態で圧縮を受けている。
【0014】
なお、このような外形が同一な標準容量と小容量の容器の構造は、カラーインク用のカートリッジ等、複数種類のインクを収容するインクカートリッジにも適用することができる。
【0015】
すなわち、図7乃至図9は、複数種類のインクを1つのカートリッジに収容する場合の実施例を示すものであって、容器本体31は、キャリッジのカートリッジホルダに着脱可能で、かつホルダー内でのガタつきを生じない程度の直方体状に形成され、複数、この実施例では3つのインク収容室32、33、34を区画するように仕切り部35、36が形成されている。
【0016】
容器本体31の上面には開口37を備え、また底面38には各インク収容室32、33、34の一方の短辺の側壁39、40、41の側に記録ヘッドと連通してインクを供給するインク供給口42、43、44が形成されている。各インク収容室32、33、34の底部45、46、47にはインク供給口42、43、44に連通するインク流出孔48、49、50を備えた凸部51、52、53が形成され、その上面にフィルタ54、55、56が設けられている。
【0017】
各インク収容室32、33、34の他方の短辺側の側壁57、58、59には、仕切り部35、36を対称線とするように容器本体31の下半から底部に延びる凹部60、61が形成されている。この凹部60、61は、製造工程で使用されるパレットとの位置決めや、またカートリッジホルダに対するガイド部材や、誤挿入防止等の機能を果たすものである。
【0018】
そして、この実施例のように小容量用のインクカートリッジを構成する場合には、この凹部60、61の容器本体に突出している面60a、61aに長辺側の側壁62に平行で、かつ同形の2つのリブ63、64、65、66がそれぞれ各インク収容室32、33、34に位置するように形成されている。
【0019】
また長辺側の側壁を区画部材とする2つのインク収容室32、及び34は、短辺の側壁から直接延び、かつ凹部60、61に形成されたリブ63〜66の先端と同一の位置に先端が位置するリブ67、68が、リブ63〜66と平行に形成されている。
【0020】
この実施例においても小容量のカートリッジを構成する場合には、前述の実施例と同様にリブ63〜68の先端から対向する側の壁面までの距離L5よりも大きい長さを備えたインク吸収体69を装填し(図10(イ))、また通常容量のものとして構成する場合には、凹部60、61の面60a、61aからインク供給口側の対向する壁面までの距離よりも大きい長さのインク吸収体69’を収容すればよい(図10(ロ))。なお、図中符号70は、インク注入口71、大気連通口72が形成された蓋体を示す。
【0021】
これらの小容量、及び通常容量のインクカートリッジにおいても、前述の実施例と同様にインク供給口42、43、44に連通する凸部51〜53でのインク吸収体69、69’の圧縮形態は同一となるから、インクの収容量に関わりなく同一の供給特性を維持する。
【0022】
なお、上述の実施例においては、インク収容室に2つのリブが形成されているが、中央線に位置する場合には1本、または3本以上形成して、インク吸収体に無用に大きなずれが生じない程度に形成すれば同様の作用を奏することは明らかである。
また、上述の実施例におけるカラーインク用カートリッジにおいては、3色のインクを収容するものについて説明したが、4種類以上のインクを収容するものに適用しても同様の作用を奏することは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェット記録ヘッド用インクカートリッジを構成する容器本体の一実施例を、蓋を開放して示す図である。
【図2】同上インクカートリッジの凹部より下部領域の構造を示す上面図である。
【図3】図(イ)、(ロ)は、それぞれ図2におけるA−A線、及びB−B線での断面構造を示す図である。
【図4】図(イ)乃至(ハ)は、それぞれ側面図、図2におけるC−C線、及びD−D線での断面構造を示す図である。
【図5】図(イ)、(ロ)は、それぞれ本発明のインクカートリッジの組立工程を示す図である。
【図6】図(イ)、(ロ)は、本発明のインクカートリッジを通常容量のインクカートリッジとして使用する場合の組立工程を示す図である。
【図7】本発明のインクジェット記録ヘッド用インクカートリッジの他の実施例をなす容器本体を、蓋を開放して示す図である。
【図8】図(イ)、(ロ)は、それぞれ複数種のインクを収容することができる本発明のインクカートッジの他の実施例の下部領域の構造を示す上面図、及び側面図である。
【図9】図(イ)乃至(ハ)は、図8のE−E線、F−F線、及びG−G線での断面構造を示す図である。
【図10】図(イ)、(ロ)は、それぞれ同上複数種のインクを収容できるインクカートリッジの小容量向けのものと、通常容量向けとの実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 容器本体
5 インク供給口
7 インク流出孔
11 凹部1
13、14 リブ
15 インク収容室
16 インク吸収体
Claims (5)
- キャリッジに設けられた記録ヘッドのインク供給針とインク供給口を介して連通するインク収容室を備え、かつ前記キャリッジのホルダに収容されるほぼ直方体状の容器からなるインクカートリッジにおいて、
前記容器が仕切り部により複数のインク収容室に分割されて前記インク収容室のそれぞれに異なるカラーインクが収容され、
前記インク供給口が一方の短辺側の側壁に偏して配置され、また他方の短辺側の側壁に前記インク収容室側に突出し、かつ前記仕切り部を跨ぐように凹部が形成されていて、前記凹部に長辺側の側壁に平行で、かつ前記インク供給口側に突出する少なくとも1本のリブが形成され、前記一方の短辺側の側壁と前記リブとにより押圧されるインク吸収体を収容して前記容器に収容する前記カラーインクのインク量を減少させたインクジェット記録装置用インクカートリッジ。 - 前記複数のインク収容室のうち、前記容器の側壁により区画されるインク収容室には短辺側の側壁から突出したリブが形成されている請求項1に記載のインクジェット記録装置用インクカートリッジ。
- 前記インク収容室を区画する壁が、前記ホルダに接触する側部よりも内側に位置して形成されている請求項1に記載のインクジェット記録装置用インクカートリッジ。
- 前記容器の分割された領域で、かつ前記インク供給口が設けられていない領域を前記容器の外部に開放するとともに、遮気性の密封袋に収容されて大気圧よりも低い圧力に維持されている請求項1に記載のインクジェット記録装置用インクカートリッジ。
- 前記キャリッジのインク供給針の配列方向に垂直な第1の壁により、各インク供給針に対向する空間を形成するように分割され、前記空間が第1の壁に直交する第2の壁により分割されている請求項1に記載のインクジェット記録装置用インクカートリッジ。
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