JP3821002B2 - タッチパネル装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板の表面に導電膜を備えるタッチパネルを有するタッチパネル装置に関し、タッチパネル表面におけるタッチ位置の検出精度に優れた、ディスプレイ(CRT、液晶パネル等)表面上の項目の選択用、特に描画用および手書き入力用等に好適なタッチパネル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
タッチパネル入力装置は、入力可能なエリアが任意であること、画面表示を自由に設計できること、手書き入力が可能なこと等の長所がある。この装置に用いられるタッチパネルは、ガラスあるいはフィルム等の基板と、その表面に設けられた導電膜で構成されている。そして、タッチパネルの表面に、人の指、タッチペンなどが接触すると、導電膜に電流が流れ、検出された電流値を基に、タッチされた位置が判別できるように、電気回路が構成されている。タッチ位置の検出原理は、次のとおりである。
【0003】
図14は、従来のタッチパネル装置に採用されている回路図であり、タッチ位置の検出原理を説明するための図である。なお、タッチパネルの形状は四角形とし、タッチ位置はX座標とY座標で表示されるものとして説明する。図14において、Roは、タッチパネルが備える導電膜のX軸方向またはY軸方向における、電気抵抗値(以下、単に抵抗値と記す)を意味する。X軸、Y軸の各方向の導電膜の両端には、導電膜よりも抵抗値が低い電極が設けられている。また、RK、RKは電圧計測用抵抗器であり、それぞれの抵抗器の一端が電極に接続されている。一方、電圧計測用抵抗器の他端は、いずれも交流電源eに接続されており、交流電源eの他端は接地されている。Zは、導電膜上の任意の位置にタッチされる、指や導電性のペン等のインピーダンスを持つものを表しており、それらの他端は接地された状態にある。
【0004】
ここで、タッチ位置と、X軸またはY軸方向の一方の電極との間の導電膜の抵抗値をRL、他方の電極との間の導電膜の抵抗値をRH、導電膜の全抵抗は前述のようにRoとする。さらに、両側の電極に接続されている電圧計測用抵抗器の抵抗値を、それぞれ同じ抵抗値RKとし、タッチパネルに指等がタッチされた場合の抵抗器両端の電圧をそれぞれV1、V2とする。
【0005】
図14に示した回路構成および上記の条件の場合、オームの法則を基に、次の(1)式が導かれる。
【0006】
【数1】
【0007】
(1)式において、電圧VlおよびV2は計測により求められる値であり、また、(1)式中のRO/RKは(2)式において、V01およびV02を計測することによって求められる値である。
【0008】
したがって、電圧VlおよびV2を計測することにより、RL/RO、すなわち、電極間の幅(ROに相当)に対する一方の電極からの距離(RLに相当)の割合、換言すれば幅方向の位置を求めることができる。X軸とY軸の両方について、同様な計測を行うことにより、X−Y座標におけるタッチ位置(座標)を求めることができる。
【0009】
このような従来のタッチパネル装置は、例えば、特表昭56−500230号公報(「タッチパネルシステム及び方法」)、特開昭63−108423号公報に(「指タッチ式座標出力装置」)などに開示されている。
【0010】
タッチパネル装置は、前述のような長所がある反面、導電膜の特性(抵抗値)の経時的な変化、使用環境の変化等の影響を受け、タッチ位置の検出精度が低下するという欠点がある。このような問題を解決するための対策として、例えば、特開平5−80922号公報には、自動的にキャリブレーションを行う方法が開示されている。この方法では、タッチパネルの押下回数の累積値を記憶するようにして、押下回数に応じて自動的に位置補正を行う対策が採られている。この方法により、ある程度の位置補正は可能と考えられる。しかし、使用回数などに伴って変化した状態の導電膜の抵抗値そのものが求められていないので、間接的な位置補正となっている。また、位置補正に、使用環境の変化が反映できないという欠点がある。
【0011】
この他、タッチパネルには、製造の際に生じるタッチパネル面内における導電膜の抵抗値の不均一性に起因するタッチ位置の検出精度不良、導電膜の外周に設けられた抵抗値の低い導電性材料で構成された電極が抵抗を持っていることに起因するタッチ位置検出精度不良などの問題もある。
【0012】
なお、この後者の電極の抵抗に起因する誤差は、次の理由による。すなわち、X軸またはY軸の両端におけるRL/RO値は、コーナー部では0または1となり、コーナー部以外の辺部では、0または1からずれた値となる。コーナー部以外の辺部では、コーナー部から辺部までの電極の抵抗に比例した電圧降下が生じるからである。そのため、上記(1)式では検出精度が著しく低い。 また、タッチパネルのタッチ位置検出に対しては、タッチパネル装置の電源や周辺の機器から放射されるノイズによる検出精度の低下がある。このようなノイズや装置固有の誤差に起因するデータのばらつきを補正する方法として、特開平10−333835号公報には、複数のタッチデータを検出し、その内の最大値と最小値を除き、残りのデータの平均値を求める方法が開示されている。この場合には、測定時に発生するノイズに起因する誤差を補正することはある程度可能と考えられる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
タッチパネルに描画や手書き入力が行われる場合のように、タッチ位置が連続的に移動する場合には、一連の動きの中で、移動に従ってタッチ圧が低下する傾向がある。例えば、指がタッチパネル上を移動する場合、移動とともにタッチ圧が低下しタッチパネルに対する接触面積が小さくなる。このようにタッチ圧が低下するとタッチ電圧が低下するので、タッチ信号か否かの判定条件によっては、タッチとして認識されないことが起こる。したがって、タッチ位置が連続的に移動する場合には、タッチ位置の検出精度が低下しやすいことが分かった。
【0014】
この他、前述のように、ノイズの影響を防止するためには、前述の特開平10−333835号公報に開示されているような平均値を求める方法がある。しかし、連続的に移動するタッチ位置の検出に平均値を求める方法を応用する場合、平均値を求めるためのデータの母数を多くすると、タッチ位置の検出を時間的に追随させることが難しく、逆に母数が少ないと平均値を求める効果が得られないことが確認された。
【0015】
また、本発明者らは、タッチパネル装置の検出精度に及ぼす要因を検討した結果、上記の問題に加えて、個々のタッチパネル装置が持つ浮遊容量、すなわち、タッチパネル装置の導電膜、電極、引き回し線などと、大地(接地)またはタッチパネル装置を組み込んだ筐体との間に生じる浮遊容量が、タッチ位置の検出精度を低下させるという問題があることを見いだした。
【0016】
図1は、本発明者らによって確認された、タッチパネル装置表面の導電膜、電極、引き回し配線などと、大地(接地)またはタッチパネル装置を組み込んだ筐体との間に生じる浮遊容量(C1およびC2)により、人の指やタッチペンが導電膜にタッチされていない状態でも、電圧計測用抵抗器RK、RKの両端に、電圧(オフセット電圧)が発生することを説明するための回路図である。
【0017】
タッチパネル装置におけるタッチ位置検出には、導電膜に人の指やタッチペンがタッチされていない場合には、電圧計測用抵抗器RK、RKの両端に電圧が発生することがなく、タッチされた時にはじめて電圧が発生することが前提条件である。したがって、上記のようなオフセット電圧の存在は、検出精度の低下を引き起こす直接的な要因となる。
【0018】
図1(a)に示したように、上記の浮遊容量は、タッチパネル装置の基本回路においては、C1およびC2として表すことができる。このC1およびC2の存在により、電圧計測用抵抗器RK、RKの両端に、オフセット電圧(Vf1、Vf2)が発生することになる。導電膜に人の指やタッチペンがタッチされた場合にも、電圧計測用抵抗器RK、RKの両端の電圧には、このオフセット電圧が含まれる。したがって、オフセット電圧の影響を取り除くことができなければ、正確にタッチ位置を検出することができないと言える。
【0019】
上記の検討結果を考慮すると、前述の導電膜の経時的な変化、使用環境の変化等に起因するタッチ位置の検出精度低下および上記のタッチパネル装置固有の浮遊容量に起因するタッチ位置の検出精度低下の両者の問題を同時に解決しなければ、タッチパネル装置のタッチ位置の検出精度を向上させることができないことを確認した。
【0020】
本発明は、上記の問題を解決することができるタッチパネル装置、すなわち、タッチパネル装置の電源や周辺の機器から発生するノイズ、タッチ位置が連続的に移動する場合のタッチ圧の変動に起因するタッチ検出精度の低下の問題を解決することができる、製造コストが安いタッチパネル装置を提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記の問題の解決に加えて、タッチパネルに設けられた導電膜の特性の経時的な変化、タッチパネル装置の使用環境の変化などに起因するタッチ位置の検出精度低下およびタッチパネル装置固有の浮遊容量に起因するタッチ位置検出精度低下、等の問題をすべて解決することができる、タッチ位置検出精度に優れ、製造コストが安いタッチパネル装置を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るタッチパネル装置(請求項1に記載の装置)は、基板の表面に導電膜を備えるタッチパネルと、該タッチパネルの外周部に配置された第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極および第2の電極に交流電流を供給する交流電流発生手段と、前記第1の電極と前記交流電流発生手段との間および前記第2の電極と前記交流電流発生手段との間にそれぞれ配置され、第1の電極側の電圧および第2の電極側の電圧を計測する電圧計測手段とを備え、計測された前記第1の電極側の電圧および前記第2の電極側の電圧からタッチ位置を算出するタッチパネル装置において、前記電圧計測手段によって検知されたタッチ判定用信号と予め設定されているタッチ判定用しきい値との比較を基に、タッチ信号であるか否かを判定するタッチ信号判定手段と、該タッチ信号判定手段によってタッチ信号と判定された場合、前記タッチ信号を基に、前記タッチパネルにタッチされた状態が連続的か否かを判定するタッチ状態判定手段と、該タッチ状態判定手段によってタッチされた状態が連続的と判定された場合、前記タッチ位置が前回のタッチ位置に対して移動したか否かを判定するタッチ位置移動判定手段と、該タッチ位置移動判定手段によって前記タッチ位置が連続的に移動していると判定された場合、前記タッチ判定用しきい値を低く設定するしきい値設定手段と、前記タッチ位置移動判定手段による判定結果に応じて、最新のタッチ位置データを設定するタッチ位置データ設定手段と、該最新のタッチ位置データおよび前回までのタッチ位置判定結果を基に、今回のタッチ位置を判定するタッチ位置判定手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
上述の本発明に係るタッチパネル装置(請求項1に記載の装置)は、タッチ状態が連続的な場合には、今回のタッチ位置検出値と前回のタッチ位置判定値とを基に移動量を判定し、移動量に応じてタッチしきい値を決定するとともに、前回までのタッチ位置判定結果を利用して今回のタッチ位置を判定する手段を備えている。そのために、連続的にタッチされている状態でタッチ圧が変動し、タッチされているか否かの判定が難しいような場合でも、精度よくタッチ位置を判定することが可能である。それとともに、タッチ位置移動判定手段により、タッチ信号とノイズとを精度よく判別し、タッチ位置の判定からノイズを排除するようにしているので、タッチ位置の判定に対するノイズの影響を小さく抑えることができる。さらに、前回までのタッチ位置判定結果が、すでに平均化された精度の高い値であるので、平均値を求めるのに必要なデータの母数を少なくすることができるために、タッチ位置の判定結果を求めるのに要する時間が短い。したがって、タッチパネルに描画などが行われる場合であっても、精度よく、かつ追随性よくタッチ位置の判定を行うことができる。
【0023】
本発明に係る別のタッチパネル装置(請求項2に記載の装置)は、基板の表面に導電膜を備えるタッチパネルと、該タッチパネルの外周部に配置された第1の電極および第2の電極とからなる2つの電極と、前記第1の電極および第2の電極に交流電流を供給する交流電流発生手段と、前記第1の電極と前記交流電流発生手段との間および前記第2の電極と前記交流電流発生手段との間に配置され、第1の電極側の電圧または第2の電極側の電圧を計測する電圧計測手段とを備え、計測された前記第1の電極側の電圧および前記第2の電極側の電圧からタッチ位置を算出するタッチパネル装置において、前記電圧計測手段によって検知されたタッチ判定用信号と予め設定されているタッチ判定用しきい値との比較を基に、タッチ信号であるか否かを判定するタッチ信号判定手段と、前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも一方の電極と前記交流発生手段の一端との間に、スイッチを介した抵抗器を備え、前記第1の電極側と第2の電極側毎にオフセット電圧Vfを判定するVf値判定手段と、前記第1の電極側と第2の電極側毎に前記スイッチオンにおける前記電圧計測手段の両端の電圧V0を判定するV0値判定手段と、前記電圧VfおよびV0値を基に、タッチ位置検出値に対する自己補正値を求める自己補正値判定手段と、前記スイッチがオフで、タッチパネルにタッチされた状態における前記電圧計測手段の両端の電圧Vtを判定するVt値判定手段と、前記自己補正値およびVt値を基に、タッチパネル上のタッチ位置を判定する第1のタッチ位置判定手段と、前記タッチ信号判定手段によってタッチ信号と判定された場合、前記タッチ信号を基に、前記タッチパネルにタッチされた状態が連続的か否かを判定するタッチ状態判定手段と、該タッチ状態判定手段によってタッチされた状態が連続的と判定された場合、前記タッチ位置が前回のタッチ位置に対して移動したか否かを判定するタッチ位置移動判定手段と、該タッチ位置移動判定手段によって前記タッチ位置が連続的に移動していると判定された場合、前記タッチ判定用しきい値を低く設定するしきい値設定手段と、前記タッチ位置移動判定手段による判定結果に応じて、最新のタッチ位置データを設定するタッチ位置データ設定手段と、該最新のタッチ位置データおよび前回までのタッチ位置判定結果を基に、今回のタッチ位置を判定する第2のタッチ位置判定手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
また、上記のタッチパネル装置において、前記外周部に配置された電極の数が3以上であり、電極を結ぶ2以上の軸を座標軸とし、各座標軸方向毎に、前記タッチ位置を判定する前記第1のタッチ位置判定手段および前記第2のタッチ位置判定手段を有することが望ましい。
【0025】
さらに、前記各座標軸に対応する2つの電極に対して、前記電圧計測手段の接続を切り替えるための切り替え手段を備えることが望ましい。
【0026】
上記のタッチパネル装置においては、前記タッチパネル装置への電源投入時、またはタッチパネルにタッチ信号がない時に随時、自己補正値判定を実行する機能を有することが望ましい。
【0027】
また、上記のタッチパネル装置において、前記第1のタッチ位置判定手段または前記第2のタッチ位置判定手段によって求められたタッチ位置座標と、標準のタッチパネルで実測された座標との関係を基に予め作成された補正表とを備え、タッチ信号に基づいて、前記第1のタッチ位置判定手段または前記第2のタッチ位置判定手段によって計算されたタッチ位置座標と、補正表の該当する座標とを照合し、前記補正表により、前記タッチ位置座標の補正を行う機能を備えることが望ましい。
【0028】
上記の補正表による補正を行う装置に代えて、前記第1のタッチ位置判定手段または前記第2のタッチ位置判定手段によって求められたタッチ位置座標と、標準のタッチパネルで実測された座標との関係を基に、予め求められた補正演算手段を備え、前記第1のタッチ位置判定手段または前記第2のタッチ位置判定手段によって求められたタッチ位置座標に対して、前記補正演算手段を用いて補正を行う機能を備える装置としてもよい。
【0029】
本発明に係るタッチパネル装置においては、前記タッチパネルが四角形以上の多角形で、前記座標軸が2軸以上であることが望ましい。
【0030】
上述のように、本発明に係る別のタッチパネル装置は、上記の従来の装置構成に加えて、第1の電極および第2の電極のうちの少なくとも一方の電極と交流電流発生手段との一端間に、スイッチを介した抵抗器を備えており、このスイッチがオンの状態で、Vo値判定手段により、電圧計測手段の両端の電圧Voが判定できるようになっている。そのために、タッチパネルの導電膜の抵抗値の経時的な変化や使用環境に起因する変化を検出し、導電膜の抵抗値を補正することができる。さらに、Vf値判定手段により、第1の電極側と第2の電極側毎に、タッチパネル装置固有の浮遊容量に起因する電圧Vfを検出することができる。
【0031】
したがって、本発明に係る別のタッチパネル装置は、導電膜の抵抗値の経時的な変化および装置自体の持つ浮遊容量に起因するオフセット電圧を基に、タッチ位置の自己補正を行うことができるように構成されている。そして、この自己補正値の計算が、装置への電源投入時、特定の時間周期等、随時実行されるようになっている。さらに、前者の本発明に係るタッチパネル装置(請求項1に記載の装置)の持つ、前述の特性を合わせ備えているので、従来のタッチパネル装置に比べて、タッチ位置が連続的に移動するような場合でも、タッチ位置の検出精度に極めて優れている。なお、本発明に係る自己補正により、タッチ位置の検出精度が向上する理由については後述する。
【0032】
また、本発明に係る装置に用いられるタッチパネルの形状は、円形、楕円形、多角形等を含み、特に制限されるものではない。このタッチパネルの形状が三角形の場合には、第1の電極と第2の電極に該当する電極とは、隣り合う辺に設けられた電極を意味する。また、他の多角形の場合には、第1の電極と第2の電極は、必ずしも正対する辺に設けられた電極同士である必要はない。ただし、正対する辺同士を選ぶことが望ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、請求項2に記載した発明を基に、本発明に係る好ましい実施の形態を詳細に説明する。請求項1に記載した発明は、請求項2に記載した発明の構成の一部を省略したものであるので、以下の実施の形態の説明の後にその要旨を説明する。
【0034】
図2は、本発明に係るタッチパネル装置における、導電膜の抵抗値の経時的な変化、使用環境による変化の補正に関する原理を説明するための回路図である。なお、ここでは、浮遊容量に起因するオフセット電圧については、考慮しないことにする。導電膜(全幅の抵抗値RO)の両端の電極には、それぞれ電圧計測用抵抗器RK、RKの一端が接続されており、電圧計測用抵抗器RK、RKの他端は、共通接続点を介して、交流電源eに接続されている。この交流電源eの他端は接地されている。導電膜の一端(電極)とこの電極に接続された電圧計測用抵抗器RKの接続点に、スイッチSを介して抵抗器RZが接続されており、抵抗器RZの他端は接地されている。
【0035】
この回路において、タッチパネルに指等がタッチされた状態で、スイッチSがオフの場合と、スイッチSがオンの場合について、電圧計測用抵抗器RK、RKの両端の電圧が計測されたとする。スイッチSがオフの場合は、図14に示した場合と同じ状態である。この時の電圧計測用抵抗器RK、RKの両端の電圧を、それぞれV1、V2とする。また、図2に示したように、タッチパネルに指等がタッチされていない状態で、スイッチSがオンの場合については、電圧計測用抵抗器RK、RKの両端の電圧を、それぞれVO1、VO2とする。オームの法則により、図14の状態から前記の(1)式が導かれ、図2の状態から下記の(2)式が導かれる。
【0036】
【数2】
【0037】
この(2)式を前記の(1)式に代入すると、(3)式が得られる。
【0038】
【数3】
【0039】
(3)式において、VO1、VO2、V1、V2は、いずれも計測値であり、これらの値を(3)式に代入することにより、RLとROの比、RL/ROを求めることができる。すなわち、タッチ時における導電膜全幅(電極間の間隔)に対するタッチ位置(一方の電極からの距離)の割合が求められる。この操作を、X軸とY軸について行うことにより、タッチ位置の座標を求めることができる。
【0040】
このように、電圧計測用抵抗器RKの接続点に、スイッチSを介して抵抗器RZを設けることにより、タッチ時における導電膜の真の抵抗値を検出した場合とほぼ同等の精度を持つ、タッチ位置の検出が可能である。この方法、装置によれば、導電膜の抵抗値の経時的な変化や使用環境(温度、湿度等)による変化を補正することができる。ここで、前記の(2)式で表されるRK/ROは、この補正値(自己補正値)に相当する。
【0041】
図1(b)に、本発明に係るタッチパネル装置において、タッチパネル装置固有の浮遊容量に起因するオフセット電圧がタッチ位置に及ぼす影響と、オフセット電圧の影響を補正する方法を説明するための回路図を示した。
【0042】
タッチパネルに人の指等がタッチされていない状態における、電圧計測用抵抗器RK、RKの両端のオフセット電圧を、それぞれVf1、Vf2とする。タッチパネルに人の指等がタッチされた際に、電圧計測用抵抗器RK、RKの両端に発生する電圧を、それぞれV1’、V2’とし、タッチパネルにタッチされたことに起因する電圧をV1、V2とする。V1’、V2’には、それぞれ、導電膜へのタッチに起因する電圧V1、V2と、オフセット電圧Vf1、Vf2とが含まれるので、V1’、V2’は次の(7)式、V1、V2は次の(8)式のように表される。
【0043】
【数7】
【0044】
【数8】
【0045】
したがって、オフセット電圧を考慮した場合には、前出の(3)式は、下記の(4)式、すなわち下記の(5)式となる。
【0046】
【数4】
【0047】
【数5】
【0048】
同様に、前出の(2)式は、(6)式のように表される。本発明においては、(6)式で求められるRK/ROを自己補正値と呼ぶ。
【0049】
【数6】
【0050】
これらの(5)式および(6)式を用いることにより、タッチパネル装置固有のオフセット電圧のタッチ位置検出に及ぼす影響を補正することが可能で、オフセット電圧に起因するタッチ位置検出精度の低下を防止することができる。
【0051】
本発明においては、上述の経時的な変化等に起因するタッチ位置検出精度の低下およびオフセット電圧に起因するタッチ位置の検出精度の低下という2つの重要な問題を解決するために、上記の説明からも明らかなように、具体的には、次の2つの対策を講じる。
【0052】
その第1は、タッチパネルにタッチされていない状態で、オフセット電圧を計測し、タッチ位置の計算または装置に関する自己補正(自己補正値の計算)に反映させること、その第2は、導電膜の周囲の電極と交流発生手段との間に抵抗器を設け、抵抗器を利用することにより、導電膜の経時変化等の補正を可能にすることである。
【0053】
これらの2つの対策を実現することができる、本発明に係るタッチパネル装置について、以下に具体的に説明する。
【0054】
図3は、本発明の一実施の形態に係るタッチパネル装置の全体構成を示すブロック図である。また、図4は、図3に示したタッチパネル装置に用いられるタッチパネルの構成例を示す図である。
【0055】
図4に示したタッチパネルは、パネルの形状が四角形、すなわち、座標軸がXとYの2つであり、もっともよく用いられる形状の例である。
【0056】
タッチパネル1は、長方形のガラス、樹脂製のフィルム等の基板2と、その表面に形成された導電膜3と、導電膜3の外周部、すなわち4つの辺部に設けられた電極4a、4b、4cおよび4dを備えている。これらの電極のうち、X軸またはY軸方向で対向する電極が第1の電極と第2の電極の組み合わせとなる。なお、タッチパネル用の基板2は、透明である必要はなく、適用する装置により適宜選択すればよい。
【0057】
ここで、「タッチパネル面の相対する辺部」とは、図4に示したタッチパネルの例においては、X軸方向は左側の辺部と右側の辺部、Y軸方向は上側の辺部と下側の辺部を意味する。四角形を超える多角形の場合についても、同様に相互に相対する辺部に位置する関係を表す。
【0058】
導電膜の抵抗値は数百Ω〜数kΩ/方形が望ましい。また、電極4a、4b、4cおよび4dとしては、数Ω〜数100Ωが望ましく、導電膜よりも低い抵抗値でなければならない。実際のタッチパネルでは、電極は低い抵抗値ではあるが抵抗を有している。そのため、X軸またはY軸の両辺では、RL/ROの値は、コーナー部では0または1となり、コーナー部以外の辺部では0または1からずれた値となる。パネル辺部で起こる曲線現象は、導電膜の抵抗値および電極の抵抗値を上記抵抗値の範囲内において調整することにより、ある程度直線化することが可能である。また、導電膜の表面には、タッチパネルの耐久性を向上させるために、絶縁性保護コートまたは保護用フィルムを設けてもよい。
【0059】
なお、ここでは、おもに人の指で導電膜3がタッチされる場合を想定しているが、人の指以外の導電性リード線付きのタッチペン等を用いてもよいことは言うまでもない。この場合、リード線は大地に接続されていることが望ましいが、回路上の接地(GND)への接続でも差し支えない。
【0060】
タッチパネル表面の導電膜3の外周部の4辺に設けられている電極4a、4b、4cおよび4dには、それぞれ外部接続用のリード部5a、5b、5cおよび5dが接続されている。これらのリード部と交流電源への接続は、切り替え手段による電極の組み合わせの選択により、導電膜におけるX軸方向の計測とY軸方向の計測とを切り替えることができる。すなわち、リード部5bと5dとの組み合わせにより、X軸方向の電極4bと4dとの間の計測、リード部5aと5cとの組み合わせにより、Y軸方向の電極4aと4cとの間の計測を行うことができる。
【0061】
図3に示したように、本発明の実施の形態に係るタッチパネル装置は、タッチパネル1、X−Y切り替え回路12、交流電流発生手段である交流電源e、抵抗器RZ、そのオン、オフを行うためのスイッチAとB、交流電源とのオン、オフを行うためのスイッチC、電圧計測手段である2つの電圧計測用抵抗器RK、RK、差動装置回路15と16、バンドパスフィルタ17と18、全波整流回路19と20、A/Dコンバータ21、比較回路22、A/Dコンバータ21、制御手段であるマイコン13を備えている。
【0062】
この装置において、タッチパネル1の外部接続用リード部5a、5b、5cおよび5dは、X−Y切り替え回路12に接続されており、マイコン13からの切り替え信号XYCによって、X軸方向の計測と、Y軸方向の計測とが切り替えられるように構成されている。X−Y切り替え回路12の2つの出力端には、それぞれ電圧計測用抵抗器RK、RKの一端が接続されており、抵抗器RK、RKの他端は共通接続点を有し、スイッチCを介して、一端が接地された交流電源eに、電気的に接続されている。そして、マイコン13からのオン、オフ信号OSCによって、交流電源のオン、オフ(スイッチCのオン、オフ)が行われる。
【0063】
X−Y切り替え回路12の2つの出力端と電圧計測用抵抗器RKとの接続点には、それぞれスイッチA、Bの一端が接続され、スイッチA、Bの他端は共通接続点を有し、抵抗器RZが接続されており、RZの他端は接地されている。スイッチAおよびBは、それぞれマイコン13からのオン、オフ信号LG、HGによってオン、オフされる。
【0064】
2つの抵抗器RKの両端の電圧は、それぞれ差動増幅回路15、16に入力され、差動装置回路15、16の出力は、それぞれバンドパスフィルタ17、18に入力され、ノイズ成分が除去された後、全波整流回路19、20に出力される。ここで交流が直流に変換され、A/Dコンバータ21に入力されて、アナログ信号がディジタル信号に変換されて、比較回路22に出力される。A/Dコンバータ21でディジタル値に変換された出力値は、抵抗器RKの両端の電圧としてマイコン13に入力され、後述する演算法により、タッチ位置が計算される。比較回路22は、全波整流回路19、20からの入力に応じて、タッチ判定用信号VTをマイコン13に出力する。比較回路22は、V1、V2のどちらかの信号がある規定値を超えて検出された時、タッチ有りと認識して、マイコン13に信号を伝達する。
【0065】
このような構成を持つタッチパネル装置により、浮遊容量に起因するオフセット電圧:Vf値判定手段、各座標軸毎の導電膜の抵抗値の自己補正に用いられる電圧:Vo値判定手段、Vf値、VO値を基にした自己補正値判定手段、タッチパネルにタッチされた際の電圧:Vt値判定手段、これらのデータを基にした、タッチ位置判定手段等を実現することが可能である。
【0066】
次に、本発明に係るタッチパネル装置内で実行される動作について、フローチャートを用いて具体的に説明する。全体のフローを図5〜図11に分けて示す。図5は、オフセット電圧を取得する過程(Vf値判定手段に関する動作等)、図6は、X軸方向に関するオフセット電圧の補正を含めた自己補正値の計算と計算結果の記憶手段への格納の過程(Vo値判定手段、自己補正値判定手段に関する動作等)、図7は、Y軸方向に関するオフセット電圧の補正を含めた自己補正値の計算と計算結果の記憶手段への格納の過程(Vo値判定手段、自己補正値判定手段に関する動作等)、図8は、タッチ信号を検知した際に、タッチ位置を計算し出力する過程(Vt値判定手段、第1のタッチ位置判定手段などに関する動作等)を示すフローチャートである。
【0067】
また、図9は、図8に示したフローチャートの内のD−E部、すなわち、タッチ状態が連続的な場合におけるタッチ位置移動判定手段、第2のタッチ位置判定手段などに関する動作等を、図10は、図9に示したフローチャートの内のF−G部、すなわち、連続的に検出されるタッチ信号が定常的な平均値を計算するための信号数に満たない場合の動作を示すフローチャートである。
【0068】
さらに、図11は、図5に示されているデータ設定の初期化過程を詳細に示したフローチャートである。
【0069】
図5は、装置固有の浮遊容量に起因するオフセット電圧を取得する過程のフローチャートである。まず、マイコン内部のRAMのクリアおよびマイコン内部のデータ設定の初期化を行う(ステップS50)。
【0070】
次に、オフセット電圧を計測する。はじめに、X−Y切り替え回路12によりX軸方向の計測に切り替える(ステップS51)。その状態で、タッチ判定用信号VTに関する判断を行い(ステップS52)、タッチ信号ではない(VT:“L”)と確認した場合には、図3に示したブロック図におけるスイッチAおよびBをオフ、スイッチCをオンに設定する(ステップS53)。さらに、タッチパネルに何もタッチされていない状態で、2つの電圧計測用抵抗器RK、RKの両端の電圧(X軸方向のオフセット電圧)、それぞれVf1X、Vf2Xを計測し、取得する(ステップS54)。続いて、Y軸方向の計測に切り替え(ステップS55)、X軸方向の場合と同様の手順で、タッチ信号か否かの判断(ステップS56)を行い、タッチ信号ではない場合には、Y軸方向のオフセット電圧Vf1Y、Vf2Yを計測し、取得する(ステップS57)。
【0071】
なお、ステップS52、ステップS56で、タッチ信号である(VT:“H”)と判断した場合(符号:NO)には、それぞれステップS52、ステップS56を繰り返す。これらの計測により、装置固有の浮遊容量の補正に必要なオフセット電圧に関するデータが得られ、これらの取得されたオフセット電圧Vf1X、Vf2XおよびVf1Y、Vf2Yを、いずれもマイコン13内の記憶手段(RAM)に格納する。
【0072】
ここで、タッチ判定用信号VTとは、タッチ信号であるか否かを識別する信号である。この信号は、電圧計測用抵抗器RK、RKの両端の電圧V1、V2が、比較回路22に入力され、予め設定されているしきい値と比較され、しきい値より高ければ“H”、低ければ“L”と区別されて発信される信号である。すなわち、タッチ判定用信号が“H”であればタッチ信号、“L”であればタッチ信号ではないと識別できる信号である。タッチ信号であるかの判断は、上記のようなしきい値を用いてもよいが、信号の出力の立ち上がりを、時間で微分するような方法を採用することもできる。
【0073】
次に、図6に示したフローチャートに従って、X軸方向について、導電膜の経時変化等の補正に必要なデータを取得し、これらのデータおよびオフセット電圧のデータを用いて、自己補正値を計算し、求められた自己補正値をマイコン内の記憶手段(RAM)に格納する。
【0074】
まず、計測方向をX軸方向に切り替える(ステップS61)。その状態で、タッチ判定用信号VTに対する判断を行い(ステップS62)、タッチ信号ではない(VT:“L”)と判断した場合には、図3に示したブロック図におけるスイッチAまたはBがオン、スイッチCをオンに設定する(ステップS63)。人の指等がタッチパネルにタッチされていない状態で、電圧計測用抵抗器Rk、Rkの両端の電圧VO1X’、VO2X’(オフセット電圧を含む電圧)を計測し、オフセット電圧Vf1X、Vf2Xを差し引くことにより、オフセット電圧を含まないRk、Rkの両端の電圧VO1X、VO2Xを求める(ステップS64)。これらの得られた値を基に、(6)式により、X軸方向の自己補正値を計算する(ステップS65)。
【0075】
この段階で、スイッチAおよびBをオフ、スイッチCをオンに設定し(ステップS66)、タッチ判定用信号VTに対する判断を行い(ステップS67)、タッチ信号ではないこと(VT:“L”)を確認すれば、X軸方向の自己補正値RK/ROXとして、マイコン内の記憶手段(RAM)に格納し、保存する。なお、ステップS67で、タッチ信号と判断した場合には、今回求められた自己補正値を破棄し、ステップS61に戻って、同じ操作を繰り返す。また、ステップS62で、タッチ信号と判断した場合にも、ステップS61に戻る。
【0076】
図7は、Y軸方向について、導電膜の経時変化等の補正に必要なデータを取得し、これらのデータおよびオフセット電圧のデータを用いて、自己補正値を計算し、求められた自己補正値をマイコン内に保存する過程を示すフローチャートである。図7の場合には、上述のX軸方向について自己補正値を求める場合に比べて、計測方向がY軸方向という相違があるだけであるので、詳細な説明は省略する。
【0077】
図5〜図7に示した過程に従って、X軸方向の自己補正値RK/ROX、Y軸方向の自己補正値RK/ROYが求められる。これらの自己補正値には、タッチパネル装置固有の浮遊容量に起因するオフセット電圧、導電膜の抵抗値の経時変化、使用環境の変化等、タッチ位置以外の外的要因に起因する、タッチ位置の検出精度を低下させる要因の補正が含まれている。したがって、タッチ信号が検知された際には、(5)式における自己補正値として、上記の過程で求められ、マイコン内に格納されている自己補正値を用いて、タッチ位置を演算すればよい。
【0078】
上述の図5〜図7の過程に従って求められる、オフセット電圧Vf1X、Vf2XおよびVf1Y、Vf2Yならびに導電膜の経時変化とオフセット電圧の影響を含む電圧VO1X’、VO2X’は、タッチパネル装置が使用されていない任意の時間帯に計測することが可能である。したがって、自己補正値は、随時求めることができる。例えば、空き時間を利用して、一定の時間周期でこれらの計測を行い、自己補正値を計算し、常に最新の値を記憶手段に保存しておいてもよいし、タッチパネル装置の起動時に自己補正値を計算し記憶手段に保存しておいてもよく、これらを併用してもよい。この自己補正値を更新するための制御は、マイコン等を利用すればよい。
【0079】
図8は、タッチ信号が検知された際に、タッチ位置を計算し、出力する過程を示すフローチャートである。ステップS76の段階で、スイッチAおよびBがオフ、スイッチCがオンに設定されているので、タッチ信号を検知できる状態にある。
【0080】
タッチ位置の計測方向がX軸に切り替えられている状態で(ステップS80)、タッチ判定用信号VTが入力されるのを待つ。タッチ判定用信号VTを検知すると、タッチ信号判定手段により、タッチ信号であるか否かを判断する(ステップS81)。
【0081】
ここで、以後の説明では、タッチ信号であるか否かを判定するためのしきい値を操作し変更するので、しきい値をγVTで表示するものとし、ベースとするしきい値をγVT・0とする。先に記したVT:“H”はVT>γVT・0を意味し、VT:“L”はVT≦γVT・0を意味する。
【0082】
タッチ信号(VT>γVT・0)であれば、電圧計測用抵抗器RK、RKの両端の電圧、V1X’、V2X’を取得し、(8)式によりV1X、V2Xを計算する(ステップS82)。これらのデータおよびマイコン等に格納されているX軸方向の自己補正値RKX/ROXを基に、(5)式により、X軸方向のタッチ位置RLX/ROXを計算する(ステップS83)。
【0083】
次に、計測方向をY軸方向に切り替え(ステップS84)、X軸の場合と同様な手順を経て、(5)式により、Y軸方向のタッチ位置RLY/ROYを計算する(ステップS85、S86)。上記のステップS80〜86により、タッチ位置の座標(RLX/ROX、RLY/ROY)が求められたことになる。この段階で求められるのが、第1のタッチ位置判定手段によって決定される第1のタッチ位置判定値である。
【0084】
次に、タッチ状態が連続的か否か、タッチ状態の判断を行う(ステップS87)。タッチ状態が連続的か否かの判断は、前回のタッチ信号VTの検出から今回の検出までに、所定の時間間隔、例えば10μsec程度の時間があれば非連続と判定し、その時間に満たない場合には連続と判断する。この他、一定の時間間隔でクロックを発生させ、そのクロックに応じてタッチ信号が検出されれば連続、検出されなければ非連続と判断してもよい。
【0085】
タッチ状態が非連続と判断された場合には、ステップS88−1へ進み、第1のタッチ位置判定手段によるタッチ位置判定値RLX/ROX(=XP・C)、RLY/ROY(=YP・C)を、いったん記憶装置に格納する。次に、タッチ状態が非連続的な場合には、しきい値を変更する必要がないので、しきい値γVT・PをγVT・0に設定する(ステップS88−2)。
【0086】
その後、ステップS89において、タッチ信号であるか否かを再確認し、タッチ信号であれば、タッチ位置判定値を出力し(ステップS90−1)、タッチ信号でないと判断された場合には、今回の判定値を破棄する(ステップS90−2)。
【0087】
ステップS87において、タッチ状態を連続的と判断した場合には、図8に示されているDに進み、タッチ信号が連続的な場合について、第2のタッチ位置判定を行う。本発明に関する重要な特徴は、このD〜E間にあり、本発明では、このステップを経ることにより、タッチパネルで描画が行われる場合のようなタッチ圧低下などの変動が検出精度に及ぼす影響を抑制するとともにノイズ等の影響を排除することにより、検出精度の向上を図っている。
【0088】
図9は、図8に示したD〜E間における、第2のタッチ位置判定を行うための詳細な動作を示すフローチャートである。まず、前回までの連続するタッチ信号の検出数Pが、第2のタッチ位置判定手段による判定値を求める際に平均値を計算するのに必要な母数nに達しているか否かを判断し(ステップS91)、n未満の場合には後に説明するFへ進み、n以上の場合にはステップS92に進む。ここで、今回のタッチ位置(最新のタッチ位置)は、第1のタッチ位置判定手段によって決定された値とし、XP ・C、YP ・Cにより表示するものとする。なお、XP ・C、YP ・Cは、座標名XP、YPに格納されている座標値(計算値)とする。
【0089】
ステップS92では、前回のタッチ位置判定値(後述の第2のタッチ位置判定値)であるXAV ・ (p-1)、YAV ・ (p-1)と今回の計算で求められたXP ・C、YP ・Cとから、(9)式、(10)式により、移動量ΔXP ・C、ΔYP ・Cを計算する。
ΔXP ・C=XP ・C−XAV ・ (p-1) (9)式
ΔYP ・C=YP ・C−YAV ・ (p-1) (10)式
次に、X軸について、移動量ΔXP ・Cが所定の値αXを超えているか否かを判断し(ステップS93)、超えていない場合にはXP ・C値を前回のタッチ位置判定値XAV ・ (p-1)に設定する(ステップS94)。なお、移動量ΔXP ・Cが所定の値αXを超えている場合にはXP ・Cをそのままの値としておく。Y軸についても、X軸の場合と同様な処理を行う(ステップS95、S96)。
【0090】
ここで、αXとαYは、座標分解能程度の1%前後でよい。この方法では、タッチ位置座標は、厳密にはαxとαyを基準として段階状に変化することになるが、座標分解能程度の1%前後であれば、実用上十分な精度で、移動量ΔXP ・Cを採用すべきか否かの判断を行うことができる。なお、分解能1%とは、パネル面における長さの割合に相当し、例えば画面の幅が100mmの場合は1mmを意味する。
【0091】
上記の判断の結果、今回のX軸のタッチ位置計算値XP ・C(最新のタッチ位置データと記す)の値は、移動量ΔXP ・Cが所定の値αXを超えている場合にはXP ・C、ΔXP ・CがαX以下の場合にはXAV ・ (p-1)となる。Y軸の今回のタッチ位置計算値YP ・Cの値も同様である。
【0092】
このように、上記のステップS96までの動作により、タッチ位置XP ・C、およびYP ・Cを決定して最新のタッチ位置データとして設定する。
【0093】
ここで、タッチ判定用しきい値の設定を行う。ステップS93およびS95でYESの場合、すなわち、ΔXP ・C>αX、ΔYP ・C>αYの場合には、タッチ位置が連続的に移動していることが明らかであり、タッチ圧が低下していくことが予想されるので、タッチ判定用しきい値を低くする。この操作がステップS97であり、しきい値γVT・Pを、γVT・(P−1)×A(係数)に置き換える。すなわち、しきい値γVT・Pを、(11)式により設定する(ステップS97)。
γVT・P=γVT・(P−1)×A (11)式
一方、ΔXP ・C、ΔYP ・Cのうちのいずれかが、ΔXP ・C≦αX、ΔYP ・C≦αYの場合には、タッチ位置が移動していないと判断し、しきい値γVT・Pはそのままの値γVT・(P−1)とする(ステップS98)。
【0094】
なお、上記の係数Aについては、0.5〜0.9の範囲が望ましく、0.6〜0.7の範囲がさらに望ましい。
【0095】
次に、ステップS96までに求めた最新のタッチ位置データXP ・C、YP ・Cを、記憶手段に格納し(ステップS99)、その後ステップS100において、前回までのタッチ位置XAV ・( p −n)〜XAV ・( p −1)、YAV ・( p −n)〜YAV ・( p −1)および最新のタッチ位置データXP ・C、YP ・Cを用いて、下記の(12)式および(13)式により、今回のタッチ位置座標(XAV ・ p、YAV ・ p)を計算する。なお、このステップS100で求められるのが、第2のタッチ位置判定手段によって決定されるタッチ位置判定値であり、いったん記憶手段に格納する(ステップS101)。
【0096】
【数9】
【0097】
図12は、ステップS93〜S100の間における第2のタッチ位置判定手段による第2のタッチ位置判定値XAV ・ pの計算方法例を説明するための図である。図12に示した方法は、X軸に関する第2のタッチ位置判定値XAV ・ pを決定するのに、前回までのn個のXP値を基に移動平均を行う方法である。計算式は上記(12)式であり、図中にも示した。
【0098】
図12(a)に示されているように、読み取り回数Pに対応する座標名XPには、座標値として、Pが7、9、12の場合には、XAV ・7、XAV ・9、XAV ・12が格納されている。これは、上記のステップS93〜S96で説明したように、XP ・Cが所定の値αXを超えなかったからである。このような値を含むそれぞれの座標XPにおける座標値XP ・C値を用いて、図12(b)に示したような方法で移動平均値を求めて、第2のタッチ位置判定値XAV ・Pとする。Y軸に関する第2のタッチ位置判定方法も同様である。
【0099】
移動平均値を求めるための母数nについては、タッチパネル装置の特性、使用環境、時間に関する追随性等を考慮して決定するのがよい。通常、母数nは、5〜15程度の範囲が望ましく、8程度がもっとも実用的である。
【0100】
上記のようなステップを経て、第2のタッチ位置判定手段による判定結果が求められる。なお、RAMなどの記憶手段には、上記のXP・C、YP・C(最新のタッチ位置データ)および第2のタッチ位置判定値XAV ・P、YAV ・Pの両者を格納するのがよい。ただし、記憶手段には、少なくとも第2のタッチ位置判定値XAV ・P、YAV ・Pを格納する(ステップS101)。
【0101】
図10は、説明を後回しにした図9におけるF〜Gの間の動作を示すフローチャートである。F〜G間は、タッチ状態が連続的ではあるが初期の段階であり、移動平均値を求めるためのタッチ位置データの母数が、所定の数nに満たない場合である。図10に示した方法は、タッチ位置データの数Pがnに達するまでの間は、それまでに検出したXP・C、YP・Cを加重平均し、今回のタッチ位置データとする方法である。加重平均における加重のかけ方は、図10に示した(14)式、(15)式のように、今回のタッチ位置データに時間的に近いデータほど加重が大きくなるようにするのがよい。
【0102】
なお、加重のかけ方は、(14)、(15)式以外の方法でも差し支えない。ただし、今回のデータに近いほど、加重を大きくするのが望ましい。
【0103】
現実的には、タッチ信号の検出回数、すなわちタッチ位置データが、前述のステップS102〜S105における計算に必要な母数nに達するまでの時間は極めて短い。したがって、この間のタッチ位置データを無視したとしても、タッチ信号の検出条件によっては、視覚的にはほとんど見分けられない程度の場合がある。
【0104】
このために、上述のように、加重平均を取らずに、単にそれまでのデータの平均値を用いるようにすることもできる。さらに、タッチ信号の検出条件によっては、必要なn数に達した後に、前述のステップS92以降に進むように設定することも可能である。
【0105】
また、図9に示したフローチャートの場合には、連続するタッチ信号として、初回のタッチ信号から採用することになる。タッチ位置判定の精度を向上させる必要がある場合には、始めのいくつかのデータ、例えば2〜3個をステップS92以降の計算から除外するようにしてもよい。
【0106】
図8に戻り、ステップS88が終わった段階で、タッチ位置計算に用いられた信号がタッチ信号であること(VT>γVT・P)を再確認する(ステップS89)。タッチ信号であれば、タッチ状態が非連続的な場合にはタッチ位置の座標(RLX/ROX、RLY/ROY)、すなわち(XP・C、YP・C)を出力し、タッチ状態が連続的な場合にはタッチ位置の座標(XAV ・P、YAV ・P)を出力する(ステップS90−1)。タッチ信号ではない(VT≦γVT)場合には、タッチ位置計算が正しく行われていないことになるので、今回求められたタッチ位置座標を破棄する(ステップS90−2)。その後、ステップS80に戻り、待機状態(タッチ判定用信号VTがしきい値γVT・0を超えるのを待つ)となり、タッチ信号の検知に備える。
【0107】
なお、ステップS87でタッチ状態が非連続と判断された場合には、しきい値に変更がないため、γVT・PにはγVT・0をそのまま用いる(ステップS88−2)。
【0108】
また、上記の説明では、タッチ状態が非連続の場合には第1のタッチ位置判定結果を出力し、タッチ位置が移動することを想定した、タッチ状態が連続の場合には第2のタッチ位置判定を行い、前回までのタッチ位置判定値を利用して平均値を求め、その結果を出力する方法を説明した。しかし、タッチパネルが実用される際には、タッチ位置が移動しない場合でも、ある程度の時間同じ位置におけるタッチ信号が検出されるようなタッチのされ方がある。そのような場合には、タッチ位置が移動しない場合でも、タッチ状態が連続的であるとしてタッチ信号を処理することにより、タッチ位置の判定精度を向上させることが可能である。本発明に係る装置も、そのような設定にすることができる。
【0109】
図11は、図5におけるステップS50に示した、データ設定の初期化に関する手順を説明するためのフローチャートである。自己補正値の計算やタッチ位置の計算・出力に先立って、タッチパネル装置の調整を行っておく必要がある。ただし、この調整は、各タッチパネル装置について、一度だけ行なっておけばよい。
【0110】
先ず、初期化(ステップS111)を行った後、スイッチA、Bをオン(ステップS112)、スイッチCをオフ(ステップS113)に設定し、全波整流回路19および20のオフセットを0に調整する(ステップS114)。次に、スイッチCをオン(ステップS115)、スイッチAをオン、スイッチBをオフにして(ステップS116)、全波整流回路19の増幅率G1を調整し(ステップS117)、スイッチAをオフ、スイッチBをオンにして(ステップS118)、全波整流回路20の増幅率G2を調整し(ステップS119)、全波整流回路19、20の出力V1、V2が等しくなるようにする。最後にスイッチBをオフにする(ステップS120)。もちろん、増幅率の調整は、差動増幅回路15、16で行ってもよい。
【0111】
上述の本発明の好ましい実施の形態に係るタッチパネル装置においては、上記のような動作が行われるので、導電膜の抵抗値の経時的な変化、使用環境、装置固有の浮遊容量に起因するオフセット電圧等、タッチ位置検出に及ぼす外的要因の影響が補正されたタッチ位置が検出される。したがって、十分な検出精度を持っているが、次に述べる補正表に基づく補正または演算補正式に基づく補正を行うことにより、タッチ位置の検出精度をさらに向上させることができる。
【0112】
図13に、タッチパネル面におけるタッチ位置検出座標(X、Y)に対応する補正表を示す。補正表に示されているX0、X1、X2、……、Xn、Y0、Yl、Y2、……、Ynは、前述のタッチ位置の計算で求められたX軸、Y軸に対応する値RLX/ROX、RLY/ROYであり、この値に対する実際のタッチパネル上での位置座標を標準のタッチパネルで実測することにより、補正表は作成される。この補正表の情報をタッチパネル装置内の記憶手段(RAM)に格納しておく。そして、人の指等がタッチパネルにタッチされた際に、前述のタッチ位置の計算により、X=RLX/ROX及びY=RLY/ROY、またはX=XP・C及びYP・Cが求められると、そのX、Yに対応したタッチ座標(X、Y)を補正表から読み取り、タッチ位置座標として出力する。
【0113】
タッチパネル装置が大型で、タッチパネルの面積が大きい場合には、タッチ位置座標の数が多くなり、タッチパネル装置内の記憶手段の記憶容量を大きくする必要が生じる。そのような場合には、補正表のX軸、Y軸方向の分割間隔を大きくして座標数を減らし、記憶する容量を小さくしてもよい。その場合には、補正表にはないX、Y(Xn−lとXnとの間、Yn−lとYnとの間)については、補間法等によりXとYの値を計算するようにしてもよい。
【0114】
また、上記の補正表によらずに、標準のタッチパネルにおける実測による座標と、前述のタッチ位置の計算方法で求められたX=RLX/ROX及びY=RLY/ROYの値またはX=XP・C及びYP・Cとの関係から、演算補正手段である演算補正式(近似式)を求め、この式を用いてマイコン等で補正処理を行い、タッチ位置座標として出力するようにしてもよい。
【0115】
なお、以上具体的な例として、X軸とY軸の2軸の場合について説明したが、本発明に係るタッチパネル装置は、タッチパネル形状として、細長い形や多角形や曲線で囲まれた形状を含んでいる。したがって、軸数が1の場合、3軸以上の場合がある。軸数が1の場合には、前述の本発明に係る実施の形態で説明したX軸およびY軸のうちの一方のみの動作が実行されるように設定すればよい。軸数が多い場合には、それぞれの軸について、前述のX軸方向、Y軸方向の場合と同様な動作が実行されるように、装置を構成すればよい。
【0116】
以上、本発明に係る好ましい実施の形態について、請求項2に記載した発明について詳細に説明した。請求項1に記載した本発明は、タッチパネル装置に連続的にタッチされる場合のタッチ検出精度を向上させることができる発明であり、その場合には、タッチが連続的か否か、タッチ信号であるか否かを正確に判断できればよい。したがって、図5に示したステップS50〜S52、図6に示したステップS61、S62および図7に示したステップS71、72の後、(3)式により、タッチ位置を計算し、次に、図8に示したステップS80、S81、S87〜S90−2、図9に示したステップS91〜101により、タッチ位置を判定すればよい。
【0117】
また、本発明のタッチパネル装置は、上述のように、1枚のパネルで1軸以上の方向の電極間の抵抗値を検出する方式に対して適用可能である。したがって、複層式のタッチパネルであっても、そのうちの1枚で1軸以上の方向の検出を行うパネルを備えるタッチパネル装置においても、同様な効果を得ることができる。
【0118】
【発明の効果】
本発明に係るタッチパネル装着によれば、下記のような優れた効果が得られる。
(1)描画等の連続的なタッチが行われる場合にも、複数のデータを用いることにより、迅速かつ精度よくタッチ位置を検出することができるとともに、タッチ検出精度に対する装置の電源や周囲の装置から発生するノイズ等外的要因の影響を防止することができる。さらに、タッチ位置検出に及ぼす導電膜の抵抗値の経時的な変化の影響、使用環境の影響、装置固有の浮遊容量に起因するオフセット電圧の影響等、外的要因の影響が補正されたタッチ位置が検出されるので、タッチ位置の検出精度が極めて高い。したがって、信頼性の高いタッチパネル装置が得られる。また、従来の装置に比べて、特殊な機構等を必要としないので、タッチパネル装置が安価である。
(2)本発明に係るタッチパネル装置では、装置内で実行される自己補正値の計算を、装置が使用されていない空き時間帯、または装置の起動時等、随時行うことができる。したがって、常に自己補正値の更新が可能であり、最良の値が保持されるので、タッチ位置の検出精度を常に最良の状態に置いておくことができる。また、タッチ信号が入力された場合にも、遅滞なく、タッチ位置を計算し、出力することができる。
(3)本発明に係るタッチパネル装置は、タッチ位置の座標に関する計算値と実測値との関係から求められた補正表を備えることができ、タッチ位置の計算値に対して、この補正表による補正を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るタッチパネル装置において、タッチパネル装置固有の浮遊容量に起因するオフセット電圧がタッチ位置の検出に及ぼす影響を説明するための回路図である。
【図2】本発明に係るタッチパネル装置における、導電膜の経時的な変化、使用環境による変化等の補正に関する原理を説明するための回路図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るタッチパネル装置の全体構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係るタッチパネル装置に用いられるタッチパネルの構成例を示す図である。
【図5】タッチパネル装置固有の浮遊容量に起因するオフセット電圧を取得する過程を示すフローチャートである。
【図6】X軸方向に関するオフセット電圧の補正を含めた自己補正値の計算と計算結果の保存の過程を示すフローチャートである。
【図7】Y軸方向に関するオフセット電圧の補正を含めた自己補正値の計算と計算結果の保存の過程を示すフローチャートである。
【図8】タッチ信号を検出した際に、タッチ位置を計算し、出力する過程を示すフローチャートである。
【図9】図8に示したフローチャートの内のD−E部の動作を詳細に示すフローチャートである。
【図10】図9に示したフローチャートの内のF−G部の動作を示すフローチャートである。
【図11】タッチパネル装置におけるデータ設定の初期化に関する手順を示すフローチャートである。
【図12】ステップS95〜S98およびステップS99の第2のタッチ位置判定手段による今回のタッチ位置の計算方法を示す図である。
【図13】本発明に係るタッチパネル装置に適用することができる、補正表によるタッチ位置計算値の補正に用いられる(X、Y)タッチ位置検出座標補正表である。
【図14】従来のタッチパネル装置に採用されている回路図であり、タッチ位置の検出原理を説明するための図である。
【符号の説明】
RK、RK 電圧計測用抵抗器
RO 導電膜の抵抗値
RZ 抵抗器
S スイッチ
e 交流電源
1 タッチパネル
2 基板
3 導電膜
4a、4b、4c、4d 電極
5a、5b、5c、5d 外部接続用リード部
Claims (8)
- 基板の表面に導電膜を備えるタッチパネルと、該タッチパネルの外周部に配置された第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極および第2の電極に交流電流を供給する交流電流発生手段と、前記第1の電極と前記交流電流発生手段との間および前記第2の電極と前記交流電流発生手段との間にそれぞれ配置され、第1の電極側の電圧および第2の電極側の電圧を計測する電圧計測手段とを備え、計測された前記第1の電極側の電圧および前記第2の電極側の電圧からタッチ位置を算出するタッチパネル装置において、
前記電圧計測手段によって検知されたタッチ判定用信号と予め設定されているタッチ判定用しきい値との比較を基に、タッチ信号であるか否かを判定するタッチ信号判定手段と、
該タッチ信号判定手段によってタッチ信号と判定された場合、前記タッチ信号を基に、前記タッチパネルにタッチされた状態が連続的か否かを判定するタッチ状態判定手段と、
該タッチ状態判定手段によってタッチされた状態が連続的と判定された場合、前記タッチ位置が前回のタッチ位置に対して移動したか否かを判定するタッチ位置移動判定手段と、
該タッチ位置移動判定手段によって前記タッチ位置が連続的に移動していると判定された場合、前記タッチ判定用しきい値を低く設定するしきい値設定手段と、
前記タッチ位置移動判定手段による判定結果に応じて、最新のタッチ位置データを設定するタッチ位置データ設定手段と、
該最新のタッチ位置データおよび前回までのタッチ位置判定結果を基に、今回のタッチ位置を判定するタッチ位置判定手段と
を備えることを特徴とするタッチパネル装置。 - 基板の表面に導電膜を備えるタッチパネルと、該タッチパネルの外周部に配置された第1の電極および第2の電極と、前記第1の電極および第2の電極に交流電流を供給する交流電流発生手段と、前記第1の電極と前記交流電流発生手段との間および前記第2の電極と前記交流電流発生手段との間に配置され、第1の電極側の電圧または第2の電極側の電圧を計測する電圧計測手段とを備え、計測された前記第1の電極側の電圧および前記第2の電極側の電圧からタッチ位置を算出するタッチパネル装置において、
前記電圧計測手段によって検知されたタッチ判定用信号と予め設定されているタッチ判定用しきい値との比較を基に、タッチ信号であるか否かを判定するタッチ信号判定手段と、
前記第1の電極および前記第2の電極のうちの少なくとも一方の電極と前記交流発生手段の一端との間に、スイッチを介した抵抗器を備え、前記第1の電極側と第2の電極側毎にオフセット電圧Vfを判定するVf値判定手段と、
前記第1の電極側と第2の電極側毎に前記スイッチオンにおける前記電圧計測手段の両端の電圧V0を判定するV0値判定手段と、
前記電圧VfおよびV0値を基に、タッチ位置検出値に対する自己補正値を求める自己補正値判定手段と、
前記スイッチがオフで、タッチパネルにタッチされた状態における前記電圧計測手段の両端の電圧Vtを判定するVt値判定手段と、
前記自己補正値およびVt値を基に、タッチパネル上のタッチ位置を判定する第1のタッチ位置判定手段と、
前記タッチ信号判定手段によってタッチ信号と判定された場合、前記タッチ信号を基に、前記タッチパネルにタッチされた状態が連続的か否かを判定するタッチ状態判定手段と、
該タッチ状態判定手段によってタッチされた状態が連続的と判定された場合、前記タッチ位置が前回のタッチ位置に対して移動したか否かを判定するタッチ位置移動判定手段と、
該タッチ位置移動判定手段によって前記タッチ位置が連続的に移動していると判定された場合、前記タッチ判定用しきい値を低く設定するしきい値設定手段と、
前記タッチ位置移動判定手段による判定結果に応じて、最新のタッチ位置データを設定するタッチ位置データ設定手段と、
該最新のタッチ位置データおよび前回までのタッチ位置判定結果を基に、今回のタッチ位置を判定する第2のタッチ位置判定手段と
を備えることを特徴とするタッチパネル装置。 - 前記外周部に配置された電極の数が3以上であり、そのうちの2つの電極を結ぶ2以上の軸を座標軸とし、各座標軸方向毎に、前記タッチ位置を判定する前記第1のタッチ位置判定手段および前記第2のタッチ位置判定手段を有することを特徴とする請求項2に記載のタッチパネル装置。
- 前記各座標軸に対応する2つの電極に対して、前記電圧計測手段の接続を切り替えるための切り替え手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のタッチパネル装置。
- 前記タッチパネル装置への電源投入時、またはタッチパネルにタッチ信号がない時に随時、自己補正値判定を実行する機能を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかの項に記載のタッチパネル装置。
- 前記第1のタッチ位置判定手段または前記第2のタッチ位置判定手段によって求められたタッチ位置座標と、標準のタッチパネルで実測された座標との関係を基に予め作成された補正表とを備え、タッチ信号に基づいて、前記第1のタッチ位置判定手段または前記第2のタッチ位置判定手段によって計算されたタッチ位置座標と、補正表の該当する座標とを照合し、前記補正表により、前記タッチ位置座標の補正を行う機能を備えることを特徴とする請求項3〜5のいずれかの項に記載のタッチパネル装置。
- 前記第1のタッチ位置判定手段または前記第2のタッチ位置判定手段によって求められたタッチ位置座標と、標準のタッチパネルで実測された座標との関係を基に、予め求められた補正演算手段を備え、前記第1のタッチ位置判定手段または前記第2のタッチ位置判定手段によって求められた前記タッチ位置座標に対して、前記補正演算手段を用いて補正を行う機能を備えることを特徴とする請求項3〜5のいずれかの項に記載のタッチパネル装置。
- 前記タッチパネルが四角形以上の多角形で、前記座標軸が2軸以上であることを特徴とする請求項3〜7のいずれかの項に記載のタッチパネル装置。
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