JP3820794B2 - インクジェットプリントヘッド。 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱核気泡の圧力でインク滴を吐出する際の熱エネルギー効率の良いルーフシュータ型のインクジェットプリントヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット方式のプリンタが広く用いられている。このインクジェット方式によるプリンタは、インクを加圧して吐出するための加圧部を備えている。この加圧部の構成には、気泡の発生する力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式や、ピエゾ抵抗素子(圧電素子)の変形によってインク滴を飛ばすピエゾ方式等がある。
【0003】
これらの構成による印字方式は、色材たるインクをインク滴にして直接記録紙に向かって吐出するという工程により、粉末状の印材であるトナーを用いる電子写真方式と比較した場合、印字エネルギーが低くて済み、インクの混合によってカラー化が容易であり、印字ドットを小さくできるので高画質であり、印字に使用されるインクの量に無駄が無くコストパフォーマンスに優れており、このため特にパーソナル用プリンタとして広く用いられている印字方式である。
【0004】
そして、上記のサーマルジェット方式には、インク滴の吐出方向により二通りの構成がある。すなわち、加圧部としての発熱部の発熱面に平行な方向へインクを吐出する構成のものと、発熱部の発熱面に垂直な方向にインクを吐出する構成のものとがある。
【0005】
図8(a),(b),(c) は、発熱部の発熱面に平行な方向へ吐出する構成のものであり、同図(d),(e),(f) は、発熱部の発熱面に垂直な方向に吐出する構成のものをそれぞれ模式的に示している。同図(a) 又は(d) に示すように、シリコン基板1上には発熱部(発熱素子)2が形成されており、シリコン基板1に対向してオリフィス板3が形成されている。そして、同図(a) では発熱素子2の側方に、同図(d) では発熱素子2に対向して、オリフィス4が形成されている。上記の発熱素子2は不図示の電極に接続されており、発熱素子2が設けられているインク流路にはインク5が常時供給されている。
【0006】
このオリフィス4からインク滴を吐出させるには、先ず、同図(b) 又は(e) に示すように、画像情報に応じた通電により、▲1▼発熱素子2を熱してこの発熱素子2上に核気泡を発生させ、▲2▼この核気泡が合体して膜気泡6が発生し、▲3▼この膜気泡6が断熱膨脹して成長し周囲のインクを押し遣り、これによりオリフィス4からインク5′が押し出され、この押し出されたインク5′は、同図(c) 又は(f) に示すように、インク滴7となってオリフィス4から紙面に向けて吐出される。この後、▲4▼上記の成長した膜気泡が周囲のインクに熱を取られて収縮し、▲5▼ついには膜気泡が消滅し、次の発熱素子の加熱を待機する。この一連の工程▲1▼〜▲5▼は、瞬時に行われる。
【0007】
上記の発熱素子の発熱面に垂直な方向にインク滴を吐出する構成のものは、ルーフシュータ型サーマルインクジェットヘッドと呼称されており、消費電力が極めて小さくて済むことが知られている。また、このルーフシュータ型のサーマルインクジェットヘッドの製法としては、シリコンウエハ上に区画された多数(例えば6インチ以上の直径のウエハで90個以上)のチップ基板の上に、シリコンLSI形成技術と薄膜形成技術を利用して、複数の発熱素子、これらを個々に駆動する駆動回路、及びこれに対応するオリフィスを、一括してモノリシックに形成する方法がある。
【0008】
図9(a) は、そのようにして作成されたルーフシュータ型サーマルインクジェットヘッド(以下、単にインク吐出ヘッドという)の概略の構成を示す側断面図であり、同図(b) は、同図(a) のA−A′断面矢視図、同図(c) はその一部を取り除いて示す縮小平面図である。
【0009】
図10は、上記従来のインクジェットプリンタヘッドの内部構造を分かりやすく示すためオリフィス板を上に切り離して示す拡大斜視図である。
これら図9(a),(b),(c) 及び図10に示すように、インク吐出ヘッド10は、チップ基板11上に形成されたLSIからなる駆動回路12(図9(a) 参照)と、薄膜からなる発熱抵抗体13、その発熱抵抗体13と上記駆動回路12を接続する個別配線電極14及び接地用共通配線である共通電極15、並びにこれらの上に積層された隔壁16、17(17a、17b)と、更にこれらの上に積層されたオリフィス板18を備えている。このオリフィス板18には吐出ノズル(オリフィス)19が形成されている。
【0010】
上記の各発熱抵抗体13は、個別配線電極14側に形成された櫛状の隔壁17の櫛の胴部に当る隔壁17aとこれから伸び出す幅wの櫛の歯部に当る隔壁17bにより区画形成された小房21内に配置されて、隣接する他の発熱抵抗体13から隔離されている。そして、発熱抵抗体13の並設方向に平行し、上記の小房21の開口部側に、インク流路22が形成され、このインク流路22に連通してインク供給溝23が穿設され、更に、このインク供給溝23に連通し基板下面に貫通するインク供給孔24が穿設されている。
【0011】
上記のように夫々隔離された小房21内の発熱抵抗体13に、基板裏面のインク供給孔24に連結される不図示のインクカートリッジ等から、インク供給孔24、インク供給溝23及びインク流路22を介してインクが供給される。発熱抵抗体13は、駆動回路12により個別配線電極14を介し選択的に駆動されて発熱し、膜気泡を発生して、その圧力によりインクを吐出ノズル19から不図示の用紙面に向けて吐出する。
【0012】
ところで、近年の如くプリンタのカラー化が進んで来ると、これに対応して、プリンタには720dpiあるいは800dpi以上の高解像度が要求されるようになる。このような高い印字ドット密度を実現するには、加圧部(発熱抵抗体13)の並設密度をより密にする必要がある。そのためには、隔壁17bの幅wを(小さく)狭くして小房21間の間隔を詰め、抵抗発熱部13の並設密度を上げなければならない。つまり、隔壁17bの幅wと高さtとのアスペクト比t/wを大きくしなければならない。
【0013】
しかし、アスペクト比t/wを「t/w=1.0」以上に設定すると、製造工程中の特にフォトリソグラフィーの現像工程で、隔壁17bが強度不足となって、潰れたり倒れたりして所望の形状の隔壁が形成されず、小房21内へのインクの流通に障害を引き起こしてしまう。つまり、アスペクト比t/wが「t/w=1.0」以上になるように隔壁17bを形成することは、隔壁の素材である感光性樹脂の強度の上から見て困難であった。
【0014】
したがって、発熱抵抗体13の配置密度を高くし且つ隔壁17bのアスペクト比t/wを1.0より小さくするには、隔壁17bの幅wを変更せずに従来通り維持したままその隔壁17bで区画する小房21の方を狭くすることによって発熱抵抗体13の配置密度をより密にする方法以外には、高解像度化に対応する方法がないと考えられていた。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように発熱抵抗体13の配置密度を上げるために隔壁17bで区画する小房21の寸法を狭くすると、その小房21内に配置される発熱抵抗体13の寸法も狭くなってしまう。そうすると、適正にインク滴を吐出するために必要な発熱抵抗体13の面積を確保することが困難になるという問題が新たに発生した。
【0016】
また、他方では、図9(c) に示すように、小房21は、インク流路22側に隔壁が無く、四方のうちこのインク流路22側一方向を全面開放しているため、発熱抵抗体13の加熱による熱核気泡発生時にその加熱初期から、インク吐出用の気泡の圧力が、垂直のインク吐出方向とは異なる水平方向の上記全面開放部からインク給送用のインク流路22を逆流するように一部分散してしまう。このため、インクを吐出するエネルギー効率が低下するという問題を有していた。この問題を解決する為の方策として、インク流入口部に圧力の逸散を防止する隔壁を設けることが提案されているが、このような隔壁は、上述した隔壁と同様或いは単独立設であるために隔壁以上に製造工程で倒壊し易いという問題を備えている。
【0017】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、エネルギー効率良くインク滴を吐出できると共に、隔壁等を高アスペクト比で正確且つ容易に立設でき高印字密度化に有利なルーフシュータ型のインクジェットプリントヘッドを提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
以下に、本発明のインクジェットプリントヘッドの構成を述べる。
本発明のインクジェットプリントヘッドは、基板上の所定位置に配設されたインクを吐出するための熱エネルギーを発生する複数の発熱素子と、縦断面が矩形を呈し、該複数の発熱素子を個々にその水平方向全周囲に亙って連続して囲繞すると共に少なくとも1箇所に開口を備え、各発熱素子により気泡を発生させてインクに圧力を加える加圧室を夫々区画形成する隔壁と、該隔壁を介し前記基板に対向させて設けられ前記発熱素子に対応する位置にインク吐出ノズルを穿設されたオリフィス板と、上記加圧室の夫々に上記開口を通じて連通され該加圧室に供給すべきインクを給送する共通流路とを有し、前記隔壁は前記発熱素子を矩形状に囲繞し、前記開口は前記隔壁の前記共通流路とは反対側の一辺を除く3辺に亙って、その縁端面が平坦且つ水平方向の同一面となるように設けられているものである。
【0019】
上記開口は、例えば請求項2記載のように、上記隔壁における上記オリフィス板側の端部を除去して形成され、また、例えば請求項3記載のように、上記隔壁における上記基板側の端部を除去して形成されている。この基板側端部を除去する場合は、上記隔壁の上記開口が設けられている部分は、例えば請求項4記載のように、上記オリフィス板に設置される。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1(a),(b),(c) は、第1の実施の形態におけるサーマルインクジェットヘッドの製造方法を工程順に示す図であり、それぞれ一連の工程においてシリコンチップの基板上に形成されていく状態の概略の平面図と断面図を模式的に示している。尚、これらの図には、説明の便宜上、いずれもフルカラー用のサーマルインクジェットヘッドの1個の印字ヘッド(モノクロ用インクジェットヘッドの構成と同じ)のみを示しているが、実際には後述するように、このような印字ヘッドが複数個(通常は4個)連なった形状のものが、1個の基板(シリコンチップ)上に形成される。また、同図(c) には36個のインク吐出ノズル(オリフィス)44を示しているが、実際には128個又は256個が一列に形成されているものである。
【0022】
図2(a),(b),(c) は、上段に図1(a),(b),(c) の平面図をそれぞれ拡大して詳細に示しており、図2(a),(b),(c) の中段は上段のA−A′断面矢視図(同図(a) 参照)、下段は上段のB−B′断面矢視図(同図(a) 参照)である。また、同図(a),(b),(c) の中段に示す断面図は、それぞれ図1(a),(b),(c) の下に示す断面図と同一のものである。尚、図2(a),(b),(c) には、図示する上での便宜上、128個又は256個のオリフィスを、5個のオリフィスで代表させて示している。
【0023】
このサーマルインクジェットヘッドの製造方法は、先ず、工程1として、4インチ以上のシリコン基板にLSI形成処理により駆動回路とその端子を形成すると共に、厚さ1〜2μmの酸化膜を形成し、次に、工程2として、薄膜形成技術を用いて、Ta(タンタル)−Si(シリコン)−O(酸素)からなる抵抗膜と、Ti/Wによる電極膜を形成し、ホトリソ技術によって電極膜には配線部分のパターンを形成し、抵抗膜には微細な発熱抵抗体(加圧部)のパターンを形成する。この工程で発熱抵抗体の位置が決められる。
【0024】
図1(a) 及び図2(a) は、上記の工程1及び工程2が終了した直後の状態を示している。すなわち、チップ基板31上には共通電極32、共通電極給電端子33(図1(a) 参照)、個別配線電極34、多数の発熱抵抗体35、駆動回路36及び駆動回路端子37(図1(a) 参照)が形成されている。
【0025】
続いて、工程3として、個々の発熱素子35に対応するインク溜り(小房)を形成すべく感光性ポリイミドなどの有機材料からなる隔壁部材をコーティングにより高さ20μm程度に形成し、これを2枚ののマスクを用いて2段階にエッチングしてパターン化した後に、300℃〜400℃の熱を30分〜60分加えるキュア(乾燥硬化、焼成)を行い、高さ10μmの上記感光性ポリイミドによるシール隔壁とこれよりも高さの低い区画用の隔壁をチップ基板上に形成・固着させる。尚、このパターン化は、レーザー加工によっても可能である。
【0026】
更に、工程4として、ウェットエッチングまたはサンドブラスト法などにより上記チップ基板の面に溝状のインク供給路を形成し、更にこのインク供給路に連通し下面に開口するインク給送孔を形成する。
【0027】
図1(b) 及び図2(b) は、上述の工程3及び工程4が終了した直後の状態を示している。すなわち、溝状のインク供給路38及びインク給送孔39が形成され、インク供給路38の左側に位置する共通電極32部分と、右方の個別配線電極34が配設されている部分にインクを内部に封止するためのシール隔壁40が形成され、これよりも1/3だけ低い形状で各発熱抵抗体35と発熱抵抗体35を区画するための区画隔壁40−2及びその区画をインク流路から隔てる流路側隔壁40−1が連設されている。
【0028】
図3は、上記図1(b) 及び図2(b) に示す工程3及び工程4が終了した直後の状態を分かりやすく示すための拡大斜視図である。図2(b) 及びこの図3に示すように、上記各発熱抵抗体35間に伸び出して積層される区画隔壁40−2は、流路側隔壁40−1を櫛の胴とすれば、櫛の歯に相当する形状をなし、櫛の歯の先端はシール隔壁40に当接して一体化している。
【0029】
これにより、櫛の歯を仕切り壁として、その歯と歯の間に発熱抵抗体35が位置する微細な区画(小房)41が発熱抵抗体35の数だけ形成される。上記のシール隔壁40は、小房41を形成する隔壁の一辺を兼ねている。
【0030】
この後、工程5として、ポリイミドからなる厚さ10〜30μmのフィルムのオリフィス板を、その片面に接着剤としての熱可塑性ポリイミドを極薄に例えば厚さ2〜5μmにコーテングし、上記積層構造の最上層に張り付けて、390〜300℃で加熱しながら加圧してオリフィス板を固着させる。続いて、Ni、Cu又はAlなどの厚さ0.5〜1μm程度の金属膜を形成する。
【0031】
更に、工程6として、オリフィス板の上の金属膜をパターン化して、ポリイミドを選択的にエッチングするマスクを形成し、続いて、オリフィス板をECRなどのドライエッチングなどにより上記の金属膜マスクに従って40μmφ〜39μmφの孔空けをして多数のノズル孔(オリフィス)を一括形成する。尚、孔空けはエキシマレーザなどを用いて行ってもよい。
【0032】
図1(c) 及び図2(c) は、上述した工程5と工程6が終了した直後の状態を示している。すなわち、オリフィス板43が給電端子33及び37の部分を除く全領域を覆っており、シール隔壁40、区画隔壁40−2、及び流路側40−1によって形成されている小房41も上を覆われて、シール隔壁40の厚さ(高さ)10μmに対応する高さの微細な個別房を形成し、流路側隔壁40−1及び区画隔壁40−2が、上から下までの隔壁のオリフィス板43側の端部を除去された形状になって配置され、その除去部分が小房41の開口部を形成している。
【0033】
そして、小房41の開口部とインク供給路38とを連通させる高さ10μmのインク流路42が形成されている。また、オリフィス板43には、発熱抵抗体35に対応する部分にインク吐出ノズル(オリフィス)44がドライエッチングによって形成されている。
【0034】
これにより、128個又は256個のインク吐出ノズル44を1列に備えた多数のモノカラーヘッド45がシリコンウエハ上に完成する。
尚、ドライエッチングのマスクはNi、Cu、又はAlなどの金属膜を使うことで樹脂と金属膜との選択比が概略100程度得られる。したがって、39〜40μmのポリイミドフィルムのエッチングには1μm以下の金属膜でマスクを形成することで十分である。
【0035】
ここまでが、ウエハの状態で処理される。そして、最後に、工程7として、ダイシングソーなどを用いてシリコンウエハをカッテングして、チップ基板単位毎に個別に分割し、実装基板にダイスボンデングし、端子接続して、実用単位のインクジェットヘッドが完成する。
【0036】
上記のように1列のインク吐出ノズル44を備えたモノカラーヘッド45はモノクロ用インクジェットヘッドの構成であるが、通常フルカラー印字においては、減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の3色に、文字や画像の黒部分に専用されるブラック(Bk)を加えて合計4色のインクを必要とする。したがって最低でも4列のノズル列が必要である。そして上述した製造方法によれば4列のモノカラーヘッド45をモノリシックに4個連設してフルカラーヘッドを構成することは可能であり、各列の位置関係も今日の半導体の製造技術により正確に配置することが可能である。
【0037】
上記の図3に示すように、このインクジェットプリントヘッドは、その小房41が、三辺の上方に開口部分を持ち、且つ水平方向の周囲を連続する隔壁で囲まれているので、発熱抵抗体35の加熱による熱核気泡発生時には、インク吐出用の気泡の圧力が垂直方向に誘導されてオリフィス44方向に集中する。したがって、気泡発生の熱エネルギーを無駄なくインクの吐出に使用することが出来、エネルギー効率が向上する。
【0038】
また、小房41を形成する流路側隔壁40−1と区画隔壁40−2は、高さが低いので(隔壁の高さは上から下までの2/3)アスペクト比t/wが小さくなり、これにより、焼成・硬化の過程で欠落や倒壊が発生せず歩留りが向上する。
【0039】
また、区画隔壁40−2は、水平方向の両端をシール隔壁40及び流路側隔壁40−1によって支持されて補強されているので、アスペクト比t/wが「1」を或る程度まで超えても焼成・硬化の過程で欠落や倒壊が発生しない。つまり、区画隔壁の幅を狭くして、その分だけ小房41の間隔を詰めることができる。これにより、発熱抵抗体35の発熱機能を現状と同等に維持したまま間隔を詰めて高解像度の印字ヘッドを作成することができる。
【0040】
なお、例えばシール隔壁40と流路側隔壁10−1及び区画隔壁40−2とで高さが異なる上述の隔壁のように、部分的に高さが違う隔壁は、マスクを違えて2段階にエッチングすることにより容易に形成することができる。
【0041】
図4(a),(b) は、それぞれ上記のように三辺に開口部を持ち且つ水平方向の周囲を連続する隔壁で囲まれた小房41の構成の他の例を示す図である。同図(a) は、流路側隔壁47−1及び区画隔壁47−2を、上から下までの隔壁のチップ基板31側を除去した形状にして配置し、開口部46を下方に設けた例を示している。実際にこの形状の流路側隔壁47−1及び区画隔壁47−2を作成するには、流路側隔壁47−1及び区画隔壁47−2を、同図には図示を省略したオリフィス板43の裏面に予め形成して、そのオリフィス板43を基板上に位置合わせして積層する。
【0042】
また、同図(b) は、流路側隔壁及び区画隔壁を、上から下までの隔壁の中間を除去した形状にして配置し、開口部48を中央部に設けた例を示している。結果として同図(b) のように上下に分かれて配置される流路側隔壁49−1、50−1及び区画隔壁49−2、50−2の作成では、上方の流路側隔壁49−1と区画隔壁49−2をオリフィス板側に配設し、下方の流路側隔壁50−1と区画隔壁50−2を基板31側に配設する。
【0043】
図5(a),(b),(c) は、それぞれ流路側隔壁に開口部を持ち且つ全体として水平方向の周囲を連続する隔壁で囲まれた小房41の構成の例を示す図である。同図(a),(b),(c) に示すように、区画隔壁51−2は共通した形状であり上から下まで連続した形状で配設される。そして、同図(a) では流路側隔壁51−1が上端部を除去されて上開口部52を形成し、同図(b) では流路側隔壁51−1′が下端部を除去されて下開口部53を形成し、同図(c) では、流路側隔壁51−1″が中間部を除去されて中開口部54を形成している。
【0044】
この構成も、水平方向の周囲を連続する隔壁で囲まれているので、発熱抵抗体35の加熱による熱核気泡発生時には、インク吐出用の気泡の圧力が垂直方向に誘導されてオリフィス44方向に集中し気泡発生の熱エネルギーを無駄なくインクの吐出に使用することが出来てエネルギー効率が向上する。
【0045】
図6(a) は、小房41を1個だけ示す平面図、同図(b) は上述した流路側隔壁及び区画隔壁が採り得る形状の側面図、同図(c) は区画隔壁が更に採り得る形状の側面図、同図(d) は流路側隔壁及び区画隔壁のいずれにも不適は形状の側面図である。ここで、図6(a) に示す小房41の隔壁の位置を、流路側隔壁40−1(又は47−1、49−1、50−1、51−1、51−1′、51−1″)の部分を位置A、区画隔壁40−2(又は47−2、49−2、50−2、51−2)の部分を位置Bとする。
【0046】
図7(a),(b),(c) は、流路側隔壁部の位置A及び区画隔壁部の位置Bが採り得る隔壁の形状の組み合わせを破線で結んで示す図である。以下、これについて説明する。図6(a) に示す小房41の流路側の位置Aには開口部が必要である。ここに開口部が無いと隣接する小房間で吐出状態が影響され合うクロストークが発生する虞がある。
【0047】
したがって、位置Aには、図6(c) に示す形状k4は採り得ないが、図6(b) に示す形状k1、k2又はk3のいずれも採り得るものである。図7(a),(b),(c) はこのことを示している。
【0048】
また、位置Bは開口部が有ってもよく又無くても良いから、図6(b) に示す形状k1、k2又はk3の他に同図(c) に示す形状k4も採り得るものである。上記同様に図7(a),(b),(c) はこのことを示している。
【0049】
そして、図6(d) に示す形状k5は、位置A又は位置Bのいずれにおいても、小房41を囲む隔壁が水平方向に連続しない、つまり、位置Aでも又は位置Bでも、隣の隔壁から切り離された形状となる。この形状は、オリフィス板が設置される前の段階では基板上に単独で立った状態となるから、隔壁のアスペクト比t/wが或る程度小さくても、焼成・硬化の過程で隔壁の欠落や倒壊が発生するので採用できない。図7(a),(b),(c) で形状k5に破線の結び付けが無いのはこのことを示している。
【0050】
図7の破線組合せ図で分かるように、流路側隔壁と区画隔壁の採り得る形状は、図3に示した位置AとB共に形状k1の場合、図4(a) に示した位置AとB共に形状k2の場合、図4(b) に示した位置AとB共に形状k3の場合、図5(a),(b),(c) に示した位置Aが形状k1、k2又はk3で位置Bが形状k4の場合、と限るわけではない。位置Aと位置Bで、形状k1、k2又はk3のうちの互いに異なる形状を組み合わせた構成であってもよい。
【0051】
なお、隔壁k2またはk3のオリフィス側の壁は、オリフィス板と一体に形成することもできる。
【0052】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、加圧室(小房)を、一部に開口を有し且つ水平方向に連続する隔壁で囲んで形成するので、加圧室(小房)への円滑なインクの供給を維持したまま吐出エネルギーをノズルの在る垂直方向へ集約させることができ、これにより、吐出エネルギーを無駄なくインクの吐出に使用することが出来てエネルギー効率が向上する。
【0053】
また、加圧室を囲む隔壁が水平方向に連続して孤立した部分がなく各部が支え合っているので、アスペクト比t/wが「1」を或る程度まで超えても焼成・硬化の過程で欠落や倒壊が発生せず、したがって隔壁幅を狭くしてその分だけ加圧室の間隔を密にすることができ、これにより、加圧室の機能を維持したまま間隔を詰めて高解像度の印字ヘッドを正確且つ容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a),(b),(c) は第1の実施の形態におけるサーマルインクジェットヘッドの製造方法を工程順に模式的に示す概略の平面図と断面図である。
【図2】 (a),(b),(c) は夫々上段は図1(a),(b),(c) の平面図を拡大した図、中段は上段のA−A′断面矢視図、下段は上段のB−B′断面矢視図である。
【図3】製造工程3及び4が終了した直後の状態を分かりやすく示すための拡大斜視図である。
【図4】 (a),(b) は三辺に開口部を持ち且つ水平方向の周囲を連続する隔壁で囲まれた小房の構成の他の例を示す図である。
【図5】 (a),(b),(c) は流路側隔壁に開口部を持ち且つ全体として水平方向の周囲を連続する隔壁で囲まれた小房の構成の例を示す図である。
【図6】 (a) は小房を1個だけ示す平面図、(b) は流路側隔壁及び区画隔壁が採り得る形状の側面図、(c) は区画隔壁が更に採り得る形状の側面図、(d) は流路側隔壁及び区画隔壁のいずれにも不適は形状の側面図である。
【図7】 (a),(b),(c) は流路側隔壁及び区画隔壁が採り得る形状の組み合わせを示す組み合わせ結線図である。
【図8】 (a),(b),(c) は発熱部の発熱面に平行な方向へインクを吐出する構成を示す図、(d),(e),(f) は発熱部の発熱面に垂直な方向にインクを吐出する構成を示す図である。
【図9】 (a) は従来のルーフシュータ型サーマルインクジェットヘッドの概略の構成を示す側断面図、(b) は(a) のA−A′断面矢視図、(c) はその一部を取り除いて示す縮小平面図である。
【図10】従来構成のルーフシュータ型サーマルインクジェットヘッドの本発明が工夫の対象とする内部構造を分かりやすく示すためオリフィス板を上に切り離して示す拡大斜視図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板
2 発熱部(発熱素子)
3 オリフィス板
4 オリフィス(インク吐出孔)
5、5′ インク
6 膜気泡
7 インク滴
10 インク吐出ヘッド
11 チップ基板
12 駆動回路
13 抵抗発熱部
14 個別配線電極
15 共通電極
16、17(17a、17b) 隔壁
18 オリフィス板
19 吐出ノズル(オリフィス)
21 小房
22 インク流路
23 インク供給溝
24 インク供給孔
31 チップ基板
32 共通電極
33 共通電極給電端子
34 個別配線電極
35 発熱抵抗体
36 駆動回路
37 駆動回路端子
38(38a、38b、38c、38d) インク供給路
39 インク給送孔
40 シール隔壁
40−1 流路側隔壁
40−2 区画隔壁
41 区画(小房)
42 インク流路
43 オリフィス板
44 インク吐出ノズル(オリフィス)
45 モノカラー印字ヘッド
46 開口部
47−1、49−1、50−1、51−1、51−1′、51−1″ 流路側隔壁
47−2、49−2、50−2、51−2 区画隔壁
A、B 隔壁位置
k1、k2、k3、k4、k5 隔壁の形状

Claims (4)

  1. 基板上の所定位置に配設されたインクを吐出するための熱エネルギーを発生する複数の発熱素子と、縦断面が矩形を呈し、該複数の発熱素子を個々にその水平方向全周囲に亙って連続して囲繞すると共に少なくとも1箇所に開口を備え、各発熱素子により気泡を発生させてインクに圧力を加える加圧室を夫々区画形成する隔壁と、該隔壁を介し前記基板に対向させて設けられ前記発熱素子に対応する位置にインク吐出ノズルを穿設されたオリフィス板と、前記加圧室の夫々に前記開口を通じて連通され該加圧室に供給すべきインクを給送する共通流路とを有し、前記隔壁は前記発熱素子を矩形状に囲繞し、前記開口は前記隔壁の前記共通流路とは反対側の一辺を除く3辺に亙って、その縁端面が平坦且つ水平方向の同一面となるように設けられていることを特徴とするインクジェットプリントヘッド。
  2. 前記開口は、前記隔壁における前記オリフィス板側の端部を除去して形成されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリントヘッド。
  3. 前記開口は、前記隔壁における前記基板側の端部を除去して形成されていることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリントヘッド。
  4. 前記隔壁の前記開口が設けられている部分は、前記オリフィス板に設置されていることを特徴とする請求項3記載のインクジェットプリントヘッド。
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