本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
図1は、本発明によるコンテンツ配信サーバの第1実施形態を示す概略構成図である。本実施形態にかかるコンテンツ配信サーバ1は、移動体通信ネットワーク301を介して携帯電話機201と、インターネット302を介してPDA(Personal Digital Assistants)端末202と、専用線ネットワーク303を介してタグリーダ装置40と、それぞれデータの送受信が可能なように構成されている。なお、タグリーダ装置40は、PHS(Personal Handyphone System)端末203に内蔵されたRFID(Radio Frequency Identification)タグ204との間でデータの読み書きを行わせるためのものである。以下、各構成要素について詳細に説明する。
携帯電話機201は、コンテンツの配信を受けるユーザの端末であり、移動体通信ネットワーク301の構成要素の1つである基地局(図示せず)と無線で接続されることにより、その移動体通信ネットワーク301に接続された他設備との間で、音声通話とともにパケットデータ通信による電子メールの送受信も可能な情報通信端末である。
PDA端末202は、携帯電話機201を所持するユーザと同一のユーザが使用する端末であり、いわゆる可搬型の小型パーソナルコンピュータである。PDA端末202は、赤外線通信によるLANアクセス機能及び無線LANアクセス機能を有しており、これにより無線LAN親機を介してインターネット302と接続され、インターネット302に接続された他設備との間でIP(Internet Protocol)によるパケットデータ通信を行う。また、PDA端末202は、パケットデータの送受を行うことにより、VoIPを利用した音声通話及び電子メールの送受信も可能なように構成されている。
さらに、携帯電話機201及びPDA端末202には、それぞれWEBブラウザが搭載されており、パケットデータ通信を利用したHTTPによるデータ通信が可能である。この場合、携帯電話機201及びPDA端末202は、コンテンツ配信サーバ1からの擬似的なプッシュ方式のコンテンツ配信を実現するために、コンテンツ配信サーバ1に対して、定期的にコンテンツ配信の要求データ(詳細は、後述する。)を自動送信する機能も有する。
PHS端末203は、同様に、携帯電話機201を所持するユーザと同一のユーザが使用する端末であり、内部にRFIDタグ204が内蔵されている。このRFIDタグ204には、PHS端末203を特定するためのID情報が記録されている。このID情報は、近距離での非接触型無線通信を利用して、タグリーダ装置40により読み取りが可能とされている。また、PHS端末203は、タグリーダ装置40からデータが書き込まれた場合は、そのデータの示す情報をディスプレイに表示するように動作する。
タグリーダ装置40は、非接触型無線通信によりRFIDタグ204からのデータの読み取り、及びRFIDタグ204へのデータの書き込みを行うための装置である。タグリーダ装置40は、PHS端末203が近づけられることによりRFIDタグ204からID情報を読み取ると、タグリーダ装置40を特定するリーダID情報を付加してコンテンツ配信サーバ1に送信する機能を有する。また、タグリーダ装置40は、コンテンツ配信サーバ1の通信I/F103(詳細は、後述する。)からデータを受信すると、RFIDタグ204にそのデータを書き込むように動作する。
無線LAN親機50は、いわゆるアクセスポイントと呼ばれる無線送受信機であり、PDA端末202と無線を送受することにより、PDA端末202をインターネット302に接続させるためのものである。
コンテンツ配信サーバ1は、ネットワークを介してユーザの端末にコンテンツを配信するサーバシステムである。コンテンツ配信サーバは、物理的には、CPU(中央処理装置)、メモリ、マウスやキーボードなどの入力装置、ディスプレイなどの表示装置、ハードディスクなどの格納装置などを備えたコンピュータシステムとして構成されている。
コンテンツ配信サーバ1の機能的構成要素としては、通信I/F101,102,103と、通信情報収集部104(通信情報収集手段)と、通信特性算出部105(通信特性算出手段)と、要求受信部106と、配信管理部107と、予測位置決定部108(予測位置決定手段)と、通信手段決定部109(通信手段決定手段)と、コンテンツ種別決定部110(コンテンツ種別決定手段)と、コンテンツ選択部111(コンテンツ選択手段)と、データ変換部112と、データ配信手段113と、プロトコル変換部114と、ユーザ情報格納部121と、配信履歴格納部122(配信履歴格納手段)と、通信履歴格納部123と、通信特性格納部124と、スケジュール情報格納部125と、通信手段情報格納部126と、コンテンツ格納部127とを含んで構成されている。以下、これらの構成要素について詳細に説明する。
通信I/F101,102,103は、それぞれ、移動体通信ネットワーク301、インターネット302、及び専用線ネットワーク303との間で、直接データを送受信する部分である。通信I/F101,102,103は、それぞれのネットワークにおいて扱われるデジタル信号とコンテンツ配信サーバ1内で扱われるデジタル信号との間の変換を行う。
通信情報収集部104は、移動体通信ネットワーク301及びインターネット302から、ユーザの端末によって通信が行われた時刻を特定する時刻情報と、その時刻におけるその端末の位置を特定する通信位置情報と、通信時にユーザによって使用された通信手段を特定する通信手段情報とを含む通信情報を収集する部分である。ここでの、「使用」とは、ユーザが携帯電話機201あるいはPDA端末202により、移動体通信ネットワーク301又はインターネット302に接続された他設備とデータの送受信を行うことを意味する。通信情報収集部104は、移動体通信ネットワーク301から、通信I/F101を介して、携帯電話機201によって行われた通信に関する通信情報を収集する。この場合の通信情報には、さらに、携帯電話機201を特定する電話番号が含まれている。なお、この通信情報に含まれる通信位置情報としては、携帯電話機201と無線通信を行う基地局を特定する情報が収集され、通信情報収集部104が基地局の設置場所に関する通信位置IDに変換する。携帯電話機201が、通信中に複数の基地局の通信エリアを跨いだ場合は、それぞれの基地局との通信部分に分離されて通信情報が収集される。
また、通信情報収集部104は、インターネット302から、通信I/F102を介して、PDA端末202によって行われた通信に関する通信情報を収集する。この場合の通信情報には、さらに、PDA端末202を特定するためのIP電話番号あるいは製造装置番号が含まれている。なお、この通信情報に含まれる通信位置情報としては、PDA端末202を収容する無線LAN親機50、あるいはPDA端末202を収容する無線LANのゲートウェイ設備(図示せず)を特定する情報等が収集され、通信情報収集部104がそれらの設置場所に関する通信位置IDに変換する。PDA端末202が、通信中に複数の無線LAN親機の通信エリアを跨いだ場合は、それぞれの無線LAN親機との通信部分に分離されて通信情報が収集される。
通信情報収集部104が収集する通信手段情報における「通信手段」とは、ユーザが携帯電話機201又はPDA端末202を利用して通信を行う際に使用する、ネットワークの種類と端末アプリケーションとの組み合わせを意味する。例えば、ユーザによって使用される通信手段の例としては、「移動体通信ネットワーク+WEBブラウザ」、「移動体通信ネットワーク+電子メール送受信機能」、「移動体通信ネットワーク+音声通話機能」、「インターネット+WEBブラウザ」、「インターネット+電子メール送受信機能」、「インターネット+VoIP音声通話機能」等が挙げられる。以下、「移動体通信ネットワーク+WEBブラウザ」を「携帯WEB」、「移動体通信ネットワーク+電子メール送受信機能」を「携帯メール」、「移動体通信ネットワーク+音声通話機能」を「携帯音声」、「インターネット+WEBブラウザ」を「インターネットWEB」、「インターネット+電子メール送受信機能」を「インターネットメール」、「インターネット+VoIP音声通話機能」を「インターネット音声」として説明する。
なお、これらの通信情報は、通信情報収集部104が、携帯電話機201及びPDA端末202から操作ログを受信したり、移動体通信ネットワーク301及びインターネット302内の交換機、ゲートウェイ等の設備から通信ログを受信したりすることにより収集される。
さらに、通信情報収集部104は、通信I/F103を介して、タグリーダ装置40がRFIDタグ204から読み取ったID情報と、読み取った時刻を特定する読取時刻情報と、タグリーダ装置40を特定するリーダID情報とを含むRFID情報を収集する。通信情報収集部104は、このリーダID情報からタグリーダ装置40の設置場所に関する通信位置IDに変換する。そして、通信情報収集部104は、収集した携帯電話機201及びPDA端末202に関する通信情報と、タグリーダ装置40によって読み取られたRFID情報とを通信履歴格納部123に格納する。
図2には、このようにして通信履歴格納部123に格納されたデータの構成図の一例を示す。図2の例によれば、ユーザID「12345」で特定される携帯電話機201のユーザの通信情報として、時刻情報である通信開始時刻「2003/5/30 20:11:40」及び通信終了時刻「2003/5/30 20:12:50」と、通信手段情報であるイベント「携帯WEB」と、通信位置情報である通信位置ID「10000001」とを含むデータが格納されている。このようなデータにより、コンテンツ配信サーバ1は、ユーザの過去の通信利用状況を把握する。同時に、ユーザID「12345」で特定されるPHS端末203のユーザのRFID情報として、読取時刻情報である通信開始時刻「2003/5/29 10:12:20」と、RFID情報であることを示すイベント「RFIDタグ検知」と、通信位置情報である通信位置ID「10000002」とを含むデータが格納されている。このようなデータにより、コンテンツ配信サーバ1は、ユーザの移動履歴を把握する。
なお、通信情報収集部104は、通信情報に含まれる携帯電話機201の電話番号からユーザIDを特定するために、コンテンツ配信サーバ1の利用ユーザの情報を格納するユーザ情報格納部121を参照する。図3に、ユーザ情報格納部121に格納されたデータの構成図の一例を示す。図3に示すように、ユーザ情報格納部121には、コンテンツ配信サーバ1を利用するユーザの情報として、携帯電話機201の携帯電話番号「090-XXXX-XXXX」と、PDA端末202のIP電話番号「050-XXXX-XXXX」と、RFIDタグ204のID情報としてのRFIDタグID「XXXXXXXX」と、PHS端末203の電話番号「070-XXXX-XXXX」と、携帯電話機201のメールアドレス「
[email protected]」と、PDA端末202のメールアドレス「
[email protected]」とが、ユーザID「12345」に関連づけて格納されている。例えば、通信情報収集部104は、電話番号「090-XXXX-XXXX」を含む通信情報を受信後、ユーザ情報格納部121のデータを参照して、この通信情報をユーザID「12345」で特定されるユーザのものと判定し、その通信情報をユーザIDとともに通信履歴格納部123に格納する。同様に、通信情報収集部104は、RFID情報がどのユーザのものであるかを判定する。
通信特性算出部105は、通信履歴格納部123に格納されたユーザの時刻情報及び通信位置情報とに基づいて、時間帯毎にそのユーザがそれぞれの位置に存在する確率を算出する部分である。より詳細には、通信特性算出部105は、時間帯毎に、通信履歴格納部123に格納された通信情報を抽出し、合計通信時間T1
totを計算する。その後、抽出した通信情報を、通信位置情報である通信位置IDの特定のグループ(通信位置グループ)毎にグルーピングする。そして、グルーピングした通信情報毎に、通信開始時刻と通信終了時刻から計算される通信時間T1を用いて、下記式(1)によりその通信位置グループにおける該当時間帯での存在確率P1を算出する。このようにして、特定のユーザについて、全ての時間帯及び通信位置グループ毎に存在確率P1を算出する。ここで、存在確率P1の算出は、ユーザ情報格納部121に格納されたデータが示す全ユーザについて行っても良いし、コンテンツを配信しようとするユーザについてのみ行っても良い。
また、通信特性算出部105は、配信履歴格納部122に格納されたユーザのコンテンツ配信履歴に含まれるコンテンツ種別と、コンテンツが配信された時刻に関する配信時刻情報である配信開始時刻及び配信終了時刻とに基づいて、時間帯毎にそのユーザの端末に対して配信されたコンテンツが属するコンテンツ種別毎の配信確率を算出する。図4は、配信履歴格納部122に格納されたデータの構成図の一例を示す。図4の例によれば、ユーザID「12345」で特定されるユーザからの通信手段「携帯WEB」を利用したコンテンツ配信の要求に対して、そのユーザの端末に対して、配信開始時刻「2003/5/30 20:11:40」から配信終了時刻「2003/5/30 20:12:50」の間にコンテンツ種別「ゲーム情報」に属するコンテンツが、通信手段「携帯音声」を利用して配信されたことを意味している。通信特性算出部105は、時間帯毎に、配信履歴格納部122に格納されたコンテンツ配信履歴を抽出し、合計配信時間T2
totを計算する。その後、抽出したコンテンツ配信履歴を、コンテンツ種別毎にグルーピングする。そして、グルーピングしたコンテンツ配信履歴毎に、配信開始時刻と配信終了時刻から計算される通信時間T2を用いて、下記式(2)によりそのコンテンツ種別の配信確率P2を算出する。このようにして、特定のユーザについて、全ての時間帯、及びコンテンツ種別毎に配信確率P2を算出する。ここで、存在確率P2の算出は、ユーザ情報格納部121に格納されたデータが示す全ユーザについて行っても良いし、コンテンツを配信しようとするユーザについてのみ行っても良い。
通信特性算出部105は、ユーザ及び時間帯毎に、存在確率P1が最大である通信位置グループ、及び配信確率P2が最大であるコンテンツ種別を、予測位置情報、及び候補コンテンツ種別として通信特性格納部124に格納する。図5には、このようにして通信特性格納部124に格納されたデータの構成図の一例を示す。図5の例によれば、存在確率「30%」の通信位置グループ「A町」と、配信確率「10%」の候補コンテンツ種別「株価情報」とが、ユーザID「12345」及び時間帯「6:00〜7:00」に関連づけて格納されている。これらのデータにより、コンテンツ配信サーバ1は、特定の時間帯において、ユーザの位置する確率の高い場所、及び配信頻度の高いコンテンツの種類が何であるかを判断する。なお、通信情報、又はコンテンツ配信履歴のデータが存在しない時間帯に関しては、存在確率と予測位置情報のデータ、又は配信確率と候補コンテンツ種別のデータがNULLに設定される。
要求受信部106は、プロトコル変換部114を介して携帯電話機201及びPDA端末202から、コンテンツ配信の要求データを受信する部分である。この要求データは、通信手段「携帯音声」を使用した移動体通信による音声データ、通信手段「インターネット音声」を使用したVoIPによる音声データ、通信手段「インターネットWEB」又は「携帯WEB」を使用したHTTPによるテキストデータとして、いったんプロトコル変換部114により受信される。要求受信部106は、プロトコル変換部114により読み取り可能なプロトコルに変換された要求データを受信して、その要求データからコンテンツ配信を要求したユーザを識別する。要求受信部106は、要求データを受信後、ユーザを識別するユーザIDを予測位置決定部108に出力する。
配信管理部107は、いわゆるプッシュ方式でコンテンツ配信サーバ1が能動的にコンテンツを配信するスケジュールを管理する部分である。そのために、配信管理部107は、継続的にスケジュール情報格納部125を参照する。図6には、スケジュール情報格納部125に格納されたデータの構成図の一例を示す。図6に示すように、スケジュール情報格納部125には、ユーザID「12345」に対する配信時刻「6:30」のデータが格納されている。配信管理部107は、このようなデータを継続的に参照して、現在時刻が配信時刻である場合、予測位置決定部108に対して、ユーザIDを出力する。
ここで、コンテンツ配信サーバ1が、携帯電話機201あるいはPDA端末202に対して、通信手段「携帯WEB」又は「インターネットWEB」を使用して擬似的なプッシュ方式のコンテンツ配信を行う場合には、以下のように動作する。まず、要求受信部106が、携帯電話機201あるいはPDA端末202のWEBブラウザから自動送信される定期的な要求データを受信する。その受信タイミングで、配信管理部107が、スケジュール情報格納部125を参照して、上述した方法で配信スケジュールを管理する。これにより、携帯電話機201あるいはPDA端末202のユーザの操作を必要とせずに、コンテンツ配信サーバ1から端末に対して能動的にコンテンツが配信されることになる。
予測位置決定部108は、通信情報収集部104によって収集された時刻情報及び通信位置情報に基づいて、配信時刻の属する時間帯におけるユーザの端末における通信時間の最も長い位置を、配信時刻におけるユーザの端末に関する予測位置として決定する部分である。ここでの配信時刻は、要求受信部106又は配信管理部107からユーザIDが出力された時刻であるとして判断する。より詳細には、予測位置決定部108は、要求受信部106又は配信管理部107からユーザIDが出力されると、そのユーザIDに基づいて通信特性格納部124を検索して、配信時刻を時間帯に含むそのユーザに関する予測位置情報を取得する。そして、予測位置決定部108は、その予測位置情報の示す位置を、配信時刻における予測位置として決定して、ユーザIDとともに通信手段決定部109に出力する。なお、該当時間帯における予測位置情報がNULLの場合は、処理を中止し、次回のコンテンツ配信の処理まで待機する。
通信手段決定部109は、予測位置決定部108によって決定された予測位置に基づいて、配信時刻の属する時間帯においてユーザの端末にコンテンツを配信するための通信手段を決定する部分である。より具体的には、通信手段決定部109は、予測位置決定部108からユーザID及び予測位置情報が出力されると、そのユーザID及び予測位置情報に基づいて通信手段情報格納部126を検索して、そのユーザに関する予測位置に適した候補通信手段及び次候補通信手段を取得する。図7は、通信手段情報格納部126に格納されたデータの構成図の一例である。図7の例によれば、位置情報「A町」に関する候補通信手段「携帯WEB」及び次候補通信手段「インターネットWEB」が、ユーザID「12345」に関連づけて格納されている。例えば、通信手段決定部109は、予測位置決定部108から、ユーザID「12345」及び予測位置情報「A町」が出力されると、通信手段情報格納部126を参照して、候補通信手段「携帯WEB」及び次候補通信手段「インターネットWEB」を取得するように動作する。そして、通信手段決定部109は、取得した候補通信手段を配信用通信手段として、ユーザID、次候補通信手段、及び予測位置情報とともにコンテンツ種別決定部110に出力する。
また、通信手段決定部109は、決定した配信用通信手段の情報を通信I/F103を介してタグリーダ装置40に送信することも行う。その後、タグリーダ装置40が、非接触型無線通信を用いて、この配信用通信手段の情報をRFIDタグ204に書き込んで、PHS端末203のディスプレイに表示されることにより、ユーザが適時にコンテンツの配信される通信手段を知ることが可能となる。
コンテンツ種別決定部110は、配信履歴格納部122に格納されたコンテンツ種別及び配信時刻情報に基づいて、配信時刻の属する時間帯におけるユーザの端末に対する配信時間の最も長いコンテンツ種別を、配信時刻におけるユーザに関する配信コンテンツ種別として決定する部分である。より具体的には、コンテンツ種別決定部110は、通信手段決定部109からユーザIDが出力されると、そのユーザIDに基づいて通信特性格納部124を検索して、配信時刻を時間帯に含むそのユーザに関する候補コンテンツ種別を取得する。そして、コンテンツ種別決定部110は、取得した候補コンテンツ種別を、ユーザIDで特定されるユーザに関する配信時刻における配信コンテンツ種別として決定して、予測位置情報、配信用通信手段、次候補通信手段及びユーザIDとともにコンテンツ選択部111に出力する。なお、該当時間帯における候補コンテンツ種別がNULLの場合は、該当ユーザに関して予め設定されたデフォルトのコンテンツ種別を配信コンテンツ種別として取得する。
コンテンツ選択部111は、予測位置決定部108によって決定された予測位置、通信手段決定部109によって決定された配信用通信手段、及びコンテンツ種別決定部110によって決定された配信コンテンツ種別に応じて、ユーザの端末に配信するコンテンツを選択する部分である。コンテンツ選択部111は、まずコンテンツ格納部127に格納されたコンテンツの内容を示すインデックスデータを参照する。図8には、コンテンツ格納部127に格納されたインデックスデータの構成図の一例を示す。図8に示す例によれば、コンテンツの種別を示すコンテンツ種別「株価情報」と、そのコンテンツを配信する場所を表す配信位置情報「A町」と、コンテンツのデータ形式を示す「テキスト」と、コンテンツのデータサイズ「20MB」とが、コンテンツのファイル名「コンテンツA」に関連づけて格納されている。コンテンツ選択部111は、このようなデータの中から、配信位置情報が予測位置情報と一致し、かつ、コンテンツ種別が配信コンテンツ種別に一致するインデックスデータを抽出する。例えば、配信コンテンツ種別が「株価情報」であり、予測位置情報が「A町」の場合は、コンテンツ種別が「株価情報」であり、かつ、配信位置情報が「A町」であるインデックスデータを抽出する。そして、コンテンツ選択部111は、通信履歴格納部123を参照して、配信時刻を時間帯に含む該当ユーザのデータから配信用通信手段をイベントとして含むデータを検索して、そのデータから平均配信時間を算出する。さらに、コンテンツ選択部111は、その平均配信時間に収まるようなデータサイズのインデックスデータを抽出する。データサイズから配信時間を算出する際の配信ビットレートは、配信用通信手段から適切な値を予測する。コンテンツ選択部111は、抽出されたインデックスデータのファイル名のコンテンツをコンテンツ格納部127から取得して、配信用通信手段、次候補通信手段及びユーザIDとともにデータ変換部112に出力する。
データ変換部112は、コンテンツ選択部111から出力されたコンテンツを、配信用通信手段に応じたデータ形式に変換する部分である。例えば、配信用通信手段が「携帯メール」であり、コンテンツのデータ形式が「音声」である場合には、そのコンテンツを「テキスト」のデータ形式に変換する。具体的には、データ変換部112は、コンテンツのデータ形式を、配信用通信手段が「携帯メール」又は「インターネットメール」であれば「テキスト」に、配信用通信手段が「携帯WEB」又は「インターネットWEB」であれば「WEBページ形式」に、配信用通信手段が「携帯音声」又は「インターネット音声」であれば「音声」に、それぞれ変換する。データ変換部112は、変換したコンテンツを、配信用通信手段、次候補通信手段及びユーザIDとともにデータ配信手段113に出力する。
データ配信手段113は、データ変換部112からユーザIDが出力された時刻を配信時刻として、通信手段決定部109によって決定された配信用通信手段を用いて、コンテンツ選択部111によって選択されたコンテンツをユーザの端末に配信する部分である。データ配信手段113は、音声応答部113aと、メール応答部113bと、WEBサーバ部113cとから成る。音声応答部113aは、配信用通信手段が、「携帯音声」、「インターネット音声」等の音声データによる通信手段である場合に、ユーザの端末である携帯電話機201又はPDA端末202に対して、音声データ形式のコンテンツを送信する。メール応答部113bは、配信用通信手段が、「携帯メール」、「インターネットメール」等の電子メールによる通信手段である場合に、ユーザの端末である携帯電話機201又はPDA端末202に対して、テキストデータ形式のコンテンツを電子メールとして送信する。WEBサーバ部113cは、配信用通信手段が、「携帯WEB」、「インターネットWEB」等のHTTPによる通信手段である場合に、ユーザの端末である携帯電話機201又はPDA端末202に対して、テキストデータ、画像データ、又はこれらの複合データであるWEBページ形式のコンテンツを送信する。なお、コンテンツの送信先は、データ変換部112から出力されたユーザIDに基づいてユーザ情報格納部121を参照して取得する。また、データ配信手段113は、配信用通信手段が電子メール以外であって、コンテンツの送信後の一定時間内に携帯電話機201又はPDA端末202から受信応答が返信されない場合には、次候補通信手段について、コンテンツの選択及び配信の処理を再度繰り返す機能も有する。データ配信手段113は、コンテンツの配信後に受信応答を受け取ると、コンテンツの配信履歴を配信履歴格納部122に格納する。
プロトコル変換部114は、データ配信手段113から送信されたコンテンツを、配信用通信手段に適合するプロトコルに変換して通信I/F101,102を介して移動体通信ネットワーク301及びインターネット302側に送信する部分である。また、プロトコル変換部114は、携帯電話機201及びPDA端末202から送信されたコンテンツ配信の要求データを受信して、コンテンツ配信サーバ1において読み取り可能なプロトコルに変換して要求受信部106に出力することも行う。
続いて、本実施形態にかかるコンテンツ配信サーバ1の動作について説明し、併せて、本発明の実施形態にかかるコンテンツ配信方法について説明する。図9は、本実施形態にかかるコンテンツ配信サーバ1の通信特性算出時の動作を示すシーケンス図、図10は、本実施形態にかかるコンテンツ配信サーバ1が能動的にコンテンツ配信を行う際の動作を示すシーケンス図、図11は、本実施形態にかかるコンテンツ配信サーバ1が端末からの要求に応じてコンテンツ配信を行う際の動作を示すシーケンス図である。
まず、図9を用いてコンテンツ配信サーバの通信特性算出時の動作について説明する。
まず、定期的に、移動体通信ネットワーク301及びインターネット302からコンテンツ配信サーバ1に対して、ユーザに関する通信情報が送信される。また、タグリーダ装置40によりID情報が読み取られた場合には、タグリーダ装置40からコンテンツ配信サーバ1に対して、RFID情報が送信される(ステップS01)。
通信情報収集部104は、送信された通信情報及びRFID情報を収集する(ステップS02)。そして、これらのデータにユーザIDを付加して通信履歴格納部123に格納する(ステップS03)。
その後、以下のようにして、通信特性算出部105がユーザの通信位置グループ毎の存在確率及びコンテンツ種別毎の配信確率を算出する(ステップS04〜S10)。まず、通信特性算出部105は、通信履歴格納部123に格納されたそのユーザに関する通信情報を抽出して、時間帯毎の通信時間を集計する(ステップS04)。そして、抽出した通信情報から、通信位置情報である通信位置IDの特定のグループ毎、時間帯毎の通信時間を集計する(ステップS05)。上記の集計結果から、そのユーザの通信位置グループ及び時間帯毎の存在確率を算出する(ステップS06)。
さらに、通信特性算出部105は、配信履歴格納部122に格納されたそのユーザに関する配信履歴を抽出して、時間帯毎の配信時間を集計する(ステップS07)。そして、抽出した配信履歴から、コンテンツの種別に関する情報であるコンテンツ種別毎、時間帯毎の配信時間を集計する(ステップS08)。上記の集計結果から、そのユーザのコンテンツ種別及び時間帯毎の配信確率を算出する(ステップS09)。
そして、通信特性算出部105は、存在確率及び配信確率の算出が全てのユーザについて行われたか否かを判定し(ステップS10)、全てのユーザについて行われていない場合には(ステップS10;NO)、ステップS04〜ステップS09の動作を繰り返す。上記判定の結果、全てのユーザについて算出が行われた場合には(ステップS10;YES)、算出した存在確率及び配信確率に基づいて、ユーザIDと時間帯毎に、予測位置情報及び候補コンテンツ種別を特定して、通信特性格納部124に格納する(ステップS11)。
次に、図10を用いて、コンテンツ配信サーバ1が能動的にコンテンツ配信を行う際の動作について説明する。
まず、コンテンツ配信サーバ1の配信管理部107が、定期的にスケジュール情報格納部125を参照してユーザに関するコンテンツ配信スケジュールを取得する(ステップS21)。そして、配信管理部107は、現在時刻が、そのスケジュールにおける配信時刻であるか否かを判定する(ステップS22)。その結果、現在時刻が配信時刻でない場合には(ステップS22;NO)、処理を終了し、次のタイミングの処理まで処理を中断する。一方、現在時刻が配信時刻である場合には(ステップS22;YES)、そのユーザのユーザIDが予測位置決定部108に出力され、予測位置決定部108は、そのユーザIDに基づいて、通信特性格納部124を参照する(ステップS23)。
そして、予測位置決定部108は、配信時刻を時間帯に含む予測位置情報の示す位置を予測位置として決定する(ステップS24)。その後、通信手段決定部109が、その予測位置に基づいて、通信手段情報格納部126を参照して、配信用通信手段を決定する(ステップS25)。通信手段決定部109は、決定した配信用通信手段の情報を、タグリーダ装置40を介してRFIDタグ204に送信することによりPHS端末203のユーザに通知する(ステップS26)。次に、コンテンツ種別決定部110が、ユーザIDに基づいて通信特性格納部124を参照して配信時刻を時間帯に含む配信コンテンツ種別を取得して、それを配信するコンテンツに関する配信コンテンツ種別として決定する(ステップS27)。そして、コンテンツ選択部111が、予測位置、配信用通信手段、及び配信コンテンツ種別に応じて、配信位置情報が予測位置情報であり、かつ、コンテンツ種別が配信コンテンツ種別であり、かつ、データサイズが平均配信時間に収まるようなコンテンツを選択して、取得する(ステップS28)。そして、データ変換部112は、取得されたコンテンツのデータ形式を、配信用通信手段に応じたデータ形式に変換する(ステップS29)。
次に、データ配信手段113は、変換されたコンテンツを、配信用通信手段を用いて携帯電話機201又はPDA端末202に送信する(ステップS30)。これに対して、コンテンツが正常に送信された場合には、携帯電話機201又はPDA端末202により、コンテンツの受信応答が返信される(ステップS31)。データ配信手段113は、受信応答を受信した後、配信履歴格納部122に、送信したコンテンツの配信履歴を格納する(ステップS32)。
ここで、データ配信手段113は、携帯電話機201又はPDA端末202から一定時間内に受信応答が返信されているかを判定し(ステップS33)、返信されていない場合には(ステップS33;NO)、上述したステップS28〜S32の処理を、次候補通信手段に関して繰り返す。一方、受信応答が返信されている場合には(ステップS33;YES)、処理を終了し、次回の配信時刻まで処理を中断する。
次に、図11を用いて、コンテンツ配信サーバ1が端末からの要求に応じてコンテンツ配信を行う際の動作について説明する。
まず、携帯電話機201又はPDA202から、コンテンツの配信を要求する要求データが、コンテンツ配信サーバ1に対して送信される(ステップS41)。コンテンツ配信サーバ1の要求受信部106が、要求データを受信して、ユーザを特定するユーザIDを予測位置決定部108に出力する(ステップS42)。以下、図10におけるステップS23〜S33における動作と全く同様にしてコンテンツが配信される(ステップS43〜ステップS53)。
次に、本発明の実施形態にかかるコンテンツ配信プログラムおよび、当該コンテンツ配信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(以下、単に記録媒体という)について説明する。ここで、記録媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読み取り装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読み取り装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。かかる記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、光ディスク、CD−ROM、コンピュータに内蔵されるメモリなどが該当する。 図12は、本発明の実施形態にかかる記録媒体の構成図である。記録媒体9は、図12に示すように、プログラムを記録するプログラム領域91を備えている。このプログラム領域91には、コンテンツ配信プログラム90が記録されている。このコンテンツ配信プログラム90は、処理を統括するメインモジュール901と、通信I/Fモジュール902と、通信情報収集モジュール903と、通信特性算出モジュール904と、要求受信モジュール905と、配信管理モジュール906と、予測位置決定モジュール907と、通信手段決定モジュール908と、コンテンツ種別決定モジュール909と、コンテンツ選択モジュール910と、データ変換モジュール911と、データ配信モジュール912と、プロトコル変換モジュール913とを備えて構成される。ここで、通信I/Fモジュール902、通信情報収集モジュール903、通信特性算出モジュール904、要求受信モジュール905、配信管理モジュール906、予測位置決定モジュール907、通信手段決定モジュール908、コンテンツ種別決定モジュール909、コンテンツ選択モジュール910、データ変換モジュール911、データ配信モジュール912、プロトコル変換モジュール913のそれぞれを動作させることによって実現する機能は、上記コンテンツ配信サーバ1の通信I/F101,102,103、通信情報収集部104、通信特性算出部105、要求受信部106、配信管理部107、予測位置決定部108、通信手段決定部109、コンテンツ種別決定部110、コンテンツ選択部111、データ変換部112、データ配信手段113、プロトコル変換部114それぞれの機能と同様である。尚、この場合、上記コンテンツ配信サーバ1のユーザ情報格納部121、配信履歴格納部122、通信履歴格納部123、通信特性格納部124、スケジュール情報格納部125、通信手段情報格納部126及びコンテンツ格納部127のそれぞれは、記録媒体9のデータ領域92にユーザ情報格納部921、配信履歴格納部922、通信履歴格納部923、通信特性格納部924、スケジュール情報格納部925、通信手段情報格納部926及びコンテンツ格納部926として格納されていても良いし、別の記録媒体に格納されていても良い。
続いて、本実施形態にかかるコンテンツ配信サーバの作用効果について説明する。このように構成されたコンテンツ配信サーバ1によれば、通信情報収集部104がユーザの端末によって通信が行われた時刻と、その通信時の端末の位置に関する情報を収集し、予測位置決定部108が特定の配信時刻の属する時間帯における通信時間が最も長い位置を予測位置として決定し、コンテンツ選択部111が決定された予測位置に基づいてコンテンツを選択して、データ配信手段113がそのコンテンツを配信する。これにより、通信時にユーザが存在する確度の高い場所に応じたコンテンツの配信が行われる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図13は、本発明によるコンテンツ配信サーバの第2実施形態を示す概略構成図である。本実施形態におけるコンテンツ配信サーバ2の構成は、第1実施形態におけるコンテンツ配信サーバ1の構成と比較して、配信履歴格納部122とコンテンツ種別決定部110とを備えていない点、及び位置情報取得部153とコンテンツ情報格納部162とを新たに備える点が異なる。それ以外の基本的構成は、コンテンツ配信サーバ1と同様であるので、同一機能の各構成要素には同一の符合を付しその説明は省略すると共に、以下において第1実施形態との相違点について詳述する。
通信特性算出部151は、通信履歴格納部123に格納されたユーザの時刻情報及び通信位置情報とに基づいて、時間帯毎にそのユーザがそれぞれの位置に存在する確率を算出する部分である。より詳細には、通信特性算出部105は、時間帯毎に、通信履歴格納部123に格納された通信情報を抽出し、合計通信時間T1totを計算する。その後、抽出した通信情報を、通信位置情報である通信位置IDの特定のグループ(通信位置グループ)毎にグルーピングする。そして、グルーピングした通信情報毎に、通信開始時刻と通信終了時刻から計算される通信時間T1を用いて、式(1)によりその通信位置グループにおける該当時間帯での存在確率P1を算出する。このようにして、全てのユーザ、時間帯、通信位置グループ毎に存在確率P1を算出する。
その後、通信特性算出部151は、ユーザ及び時間帯毎に、存在確率P1が最大である通信位置グループを、予測位置情報として通信特性格納部161に格納する。図14には、このようにして通信特性格納部161に格納されたデータの構成図の一例を示す。図14の例によれば、存在確率「30%」の予測位置情報「A市住宅街」が、ユーザID「12345」及び時間帯「9:00〜10:00」に関連づけて格納されている。これらのデータにより、コンテンツ配信サーバ2は、特定の時間帯においてユーザの位置する確率の高い場所がどこであるかを判断する。
要求受信部152は、プロトコル変換部114を介して携帯電話機201及びPDA端末202から、コンテンツ配信の要求データを受信する部分である。この要求データは、通信手段「携帯音声」を使用した移動体通信による音声データ、通信手段「インターネット音声」を使用したVoIPによる音声データ、通信手段「インターネットWEB」又は「携帯WEB」を使用したHTTPによるテキストデータとして、いったんプロトコル変換部114により受信される。要求受信部106は、プロトコル変換部114により読み取り可能なプロトコルに変換された要求データを受信して、その要求データからコンテンツ配信を要求したユーザを識別する。さらに、この要求データには、ユーザが配信を希望するコンテンツのグループを特定するコンテンツ群情報と、ユーザの嗜好を示す嗜好情報とを含んでいる。要求受信部106は、要求データを受信後、ユーザを識別するユーザIDとコンテンツ群情報と嗜好情報とを位置情報取得部153に出力する。
位置情報取得部153は、コンテンツ配信時におけるユーザの端末の位置を示す端末位置情報を取得する部分である。より詳細には、位置情報取得部153は、要求受信部106又は配信管理部107からユーザIDが出力されると、ユーザ情報格納部121を参照して、RFIDタグIDを取得する。そして、通信I/F103を介してタグリーダ装置40から、そのRFIDタグIDを含むRFID情報を受信する。これにより、コンテンツ配信サーバ2は、ユーザの配信時における端末位置情報を取得する。位置情報取得部153は、そのRFID情報に含まれるリーダID情報を端末位置情報として、ユーザID、コンテンツ群情報、及び嗜好情報とともに予測位置決定部108に出力する。なお、タグリーダ装置40から該当のRFIDタグIDを含むRFID情報が受信できない場合には、位置情報取得部153は、ユーザID、コンテンツ群情報、及び嗜好情報のみを予測位置決定部108に出力する。
予測位置決定部154は、通信情報収集部104によって収集された時刻情報及び通信位置情報に基づいて、配信時刻の属する時間帯におけるユーザの端末における通信時間の最も長い位置を、配信時刻におけるユーザの端末に関する予測位置として決定する部分である。ここでの配信時刻は、要求受信部152又は配信管理部107からユーザIDが出力された時刻であるとして判断する。より具体的には、予測位置決定部154は、位置情報取得部153からユーザIDが出力されると、そのユーザIDに基づいて通信特性格納部161を検索して、配信時刻を時間帯に含むそのユーザに関する予測位置情報を取得する。そして、予測位置決定部154は、その予測位置情報の示す位置を配信時刻における予測位置として決定して、位置情報IDに変換して、ユーザID、コンテンツ群情報、及び嗜好情報とともに通信手段決定部109に出力する。なお、位置情報取得部153からリーダID情報が出力された場合には、予測位置情報の代わりに、リーダID情報を位置情報IDに変換して、通信手段決定部109に出力する。
通信手段決定部109は、既に説明した機能の他に、予測位置決定部154から出力されたコンテンツ群情報及び嗜好情報を、コンテンツ選択部155に出力することも行う。
コンテンツ選択部155は、予測位置決定部154によって決定された予測位置又は位置情報取得部153によって取得されたリーダID情報と、要求受信部152によって受信されたコンテンツ群情報及び嗜好情報に基づいて、ユーザの端末に配信するコンテンツを選択する部分である。なお、コンテンツ選択部155は、プッシュ方式でコンテンツを配信する場合には、コンテンツ群情報及び嗜好情報として、予めユーザ毎に設定された情報を用いる。コンテンツ選択部155は、まず、コンテンツ情報格納部162を参照して、コンテンツ群毎の配信計画に関する情報を取得する。図15には、コンテンツ情報格納部162に格納されたデータの構成図の一例を示す。図15の例によれば、配信位置ID「10000001」で示される位置に存在する端末に配信するコンテンツ群情報「東京娯楽情報」のグループに属するコンテンツの配信計画に関するデータが格納されている。このデータの例によれば、配信時刻が配信時間帯「9:00〜10:00」に含まれる場合に配信するコンテンツを特定するための情報として、コンテンツインデックスID「1−1」が格納されている。コンテンツ選択部155は、このようなデータを参照することにより、コンテンツ群情報が一致し、かつ、配信時刻が時間帯に含まれ、かつ、予測位置決定部154から出力された位置情報IDが配信位置IDに一致するデータを抽出して、そのデータからコンテンツインデックスIDを特定する。
さらに、コンテンツ選択部155は、コンテンツ格納部163に格納されたコンテンツの見出しに関するインデックスデータを参照する。図16には、コンテンツ格納部163に格納されたインデックスデータの構成図の一例を示す。図16に示す例によれば、コンテンツを特定するコンテンツインデックスID「1−1」と嗜好情報「映画」とが、そのコンテンツが格納されたファイルを特定するコンテンツファイル名「FILE1-1A」に関連づけて格納されている。コンテンツ選択部155は、このようなデータの中から、コンテンツインデックスIDが一致し、かつ、嗜好情報が一致するインデックスデータを抽出して、配信するコンテンツファイル名を取得する。例えば、コンテンツインデックスIDが「1−1」であり、嗜好情報が「ゲーム」の場合は、コンテンツファイル名「FILE1-1B」を取得する。
以上のような動作により、コンテンツ選択部155は、ユーザに配信すべきコンテンツを、ユーザの配信時における位置又は予測位置と、ユーザの希望するコンテンツ群情報及び嗜好情報と、配信時刻とに基づいて特定する。コンテンツ選択部155は、コンテンツファイル名を、ユーザID、配信用通信手段、次候補通信手段とともに、データ変換部112に出力する。
続いて、第2実施形態にかかるコンテンツ配信サーバの動作について説明し、併せて、本発明の実施形態にかかるコンテンツ配信方法について説明する。
図17は、本実施形態にかかるコンテンツ配信サーバ2の通信特性算出時の動作を示すシーケンス図である。図17に示すステップS101〜S106、及びステップS107〜S108の各処理は、第1実施形態において詳述したステップS01〜S06、及びステップS10〜S11の各処理(図9参照)と、それぞれ同一であるので、ここでの説明は省略する。
また、図18は、本実施形態にかかるコンテンツ配信サーバ2が能動的にコンテンツ配信を行う際の動作を示すシーケンス図である。図18に示すステップS121〜S122、ステップS129〜S131、及びステップS132の各処理は、第1実施形態において詳述したステップS21〜S22、ステップS29〜S31、及びステップS33の各処理(図10参照)と、それぞれ同一であるので、以下、上記以外のステップS123〜S128の処理について説明する。
配信管理部107がユーザIDを位置情報取得部153に出力すると、位置情報取得部153は、タグリーダ装置40が読み取ったPHS端末203に関するRFID情報を取得する(ステップS123)。その後、予測位置決定部154は、配信時刻を時間帯に含む予測位置情報の示す位置を予測位置として決定するステップS125)。そして、通信手段決定部109が、その予測位置に基づいて、通信手段情報格納部126を参照して配信用通信手段を決定する(ステップS126)。通信手段決定部109は、決定した配信用通信手段の情報を、タグリーダ装置40を介してRFIDタグ204に送信することによりPHS端末203のユーザに通知する(ステップS127)。
次に、コンテンツ選択部155は、予測位置又は配信時刻におけるユーザの端末位置情報とそのユーザに関して予め設定されたコンテンツ群情報及び嗜好情報とに基づいて、コンテンツ情報格納部162及びコンテンツ格納部163を参照して、ユーザの端末に配信すべきコンテンツに関するコンテンツファイル名を選択する(ステップS128)。
また、図19は、本実施形態にかかるコンテンツ配信サーバ2が端末からの要求に応じてコンテンツ配信を行う際の動作を示すシーケンス図である。以下、コンテンツ配信サーバ2が端末からの要求に応じてコンテンツ配信を行う際の動作について説明する。
まず、携帯電話機201又はPDA202から、コンテンツの配信を要求する要求データが、配信を希望するコンテンツに関するコンテンツ群情報と嗜好情報とともに、コンテンツ配信サーバ2に対して送信される(ステップS141)。コンテンツ配信サーバ2の要求受信部152が、要求データを受信して、ユーザを特定するユーザIDとコンテンツ群情報と嗜好情報とを位置情報取得部153に出力する(ステップS142)。以下、図18におけるステップS123〜S132における動作と全く同様にしてコンテンツが配信される(ステップS143〜ステップS152)。ここで、ステップS148において、コンテンツ選択部155がコンテンツファイル名の選択時に用いるコンテンツ群情報及び嗜好情報は、要求受信部152によって受信されたものが用いられる。
次に、本発明の実施形態にかかるコンテンツ配信プログラムおよび、当該コンテンツ配信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体について説明する。 図20は、本発明の実施形態にかかる記録媒体の構成図である。記録媒体95は、図20に示すように、プログラムを記録するプログラム領域97を備えている。このプログラム領域97には、コンテンツ配信プログラム96が記録されている。このコンテンツ配信プログラム96は、処理を統括するメインモジュール961と、通信I/Fモジュール962と、通信情報収集モジュール963と、通信特性算出モジュール964と、要求受信モジュール965と、配信管理モジュール966と、位置情報取得モジュール967と、予測位置決定モジュール968と、通信手段決定モジュール969と、コンテンツ選択モジュール970と、データ変換モジュール971と、データ配信モジュール972と、プロトコル変換モジュール973とを備えて構成される。ここで、通信I/Fモジュール962、通信情報収集モジュール963、通信特性算出モジュール964、要求受信モジュール965、配信管理モジュール966、位置情報取得モジュール967、予測位置決定モジュール968、通信手段決定モジュール969、コンテンツ選択モジュール970、データ変換モジュール971、データ配信モジュール972、プロトコル変換モジュール973のそれぞれを動作させることによって実現する機能は、上記コンテンツ配信サーバ2の通信I/F101,102,103、通信情報収集部104、通信特性算出部151、要求受信部152、配信管理部107、位置情報取得部153、予測位置決定部154、通信手段決定部109、コンテンツ選択部155、データ変換部112、データ配信手段113、プロトコル変換部114それぞれの機能と同様である。尚、第1実施形態同様、この場合の記録媒体95のデータ領域98に格納されたデータは、別の記録媒体に格納されていても良い。
これにより、上記の第2実施形態においても、通信情報収集部104がユーザの端末によって通信が行われた時刻と、その通信時の端末の位置に関する情報を収集し、予測位置決定部154が特定の配信時刻の属する時間帯における通信時間が最も長い位置を予測位置として決定し、コンテンツ選択部155が決定された予測位置に基づいてコンテンツを選択して、データ配信手段113がそのコンテンツを配信する。これにより、ユーザの端末位置情報が取得されなかった場合であっても、通信時にユーザが存在する確度の高い場所に応じたコンテンツの配信が行われる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、本実施形態にかかるコンテンツ配信サーバ1,2は、コンテンツ格納部163に格納されたコンテンツファイルをユーザの端末に送信するように動作していたが、これは、コンテンツ配信サーバ1,2が、ユーザの端末に他のコンテンツ配信装置の電話番号、IPアドレス等のアドレスを送信した後、ユーザの端末が、コンテンツ配信装置にアクセスしてコンテンツを取得するようにしても良い。
また、本実施形態におけるPHS端末203には、ユーザの位置捕捉手段として、RFIDタグ204が内蔵されていたが、PHS端末203を特定可能なものであればこれに限られるものではなく、例えば、バーコードを付したり、赤外線通信機器等を内蔵したりして、コンテンツ配信サーバ1,2によって、そこからID情報が受信されるように構成しても良い。
1,2…コンテンツ配信サーバ、101,102,103…通信I/F、104…通信情報収集部、105,151…通信特性算出部、106,152…要求受信部、107…配信管理部、108,154…予測位置決定部、109…通信手段決定部、110…コンテンツ種別決定部、111,155…コンテンツ選択部、112…データ変換部、113…データ配信手段、113a…音声応答部、113b…メール応答部、113c…WEBサーバ部、114…プロトコル変換部、121…ユーザ情報格納部、122…配信履歴格納部、123…通信履歴格納部、124,161…通信特性格納部、125…スケジュール情報格納部、126…通信手段情報格納部、127,163…コンテンツ格納部、153…位置情報取得部、162…コンテンツ情報格納部、201…携帯電話機、202…PDA端末、203…PHS端末、204…RFIDタグ、301…移動体通信ネットワーク、302…インターネット、303…専用線ネットワーク、40…タグリーダ装置、50…無線LAN親機。