JP3819152B2 - N置換βアラニン又はその塩の製造方法及びN置換βアラニン又はその塩を含有する界面活性剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、N置換βアラニン又はその塩の製造方法、N置換アラニン又はその塩を含有する界面活性剤組成物及びこれを含有する洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近マイルドな界面活性剤としてアミノ系界面活性剤が用いられるようになってきた。下記の一般式(I)で表されるN置換βアラニン又はその塩は、アミノ酸系の両性活性剤に分類され、米国特許第2787633号、特開平6−116596号公報や特開平9−3485号公報に特に記載がある。
【0003】
R1NHCH2CH2COOM (I)
(式中、R1 は置換基を含んでいても良い炭素数6〜24の炭化水素基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2〜3のアルカノール基を有するモノ、ジもしくはトリアルカノールアンモニウムイオン、炭素数1〜5のアルキル基置換アンモニウムイオン又は塩基性アミノ酸基を示す)
【0004】
米国特許第2787633号に記載されているように、N置換βアラニンは、脂肪族第一アミンにアクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリル等をマイケル付加させ、必要により得られた付加生成物を加水分解することにより製造できることが知られている。
【0005】
また、特開平6−116596号公報にはN置換βアラニン系活性剤とヒドロキシカルボン酸とを組み合わせた洗浄剤組成物、特開平9−3485号公報にはN置換βアラニン系活性剤とエーテルカルボン酸系活性剤とを組み合わせた洗浄剤組成物が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の方法で製造したN置換βアラニン系活性剤は洗浄剤や界面活性剤組成物として使用する場合、臭気が悪く、しかも経時的に着色を与えるという問題を有している。特に、台所用洗浄剤、毛髪用洗浄剤、皮膚用洗浄剤として使用する場合には異臭及び着色が問題となり、商品としての価値を著しく損なう。
【0007】
本発明は、臭気及び色相の良好なN置換βアラニンの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、脂肪族第一アミンとアクリル酸エステル又はアクリロニトリルとの反応で得られる付加生成物に低級アルコール又は水を添加して、その低級アルコール又は水を減圧、不活性ガス流通又は不活性ガス流通下で減圧することにより留去させ、かつ加水分解する方法が、本発明の目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の一般式(I)で表されるN置換βアラニン又はその塩の製造方法であって、脂肪族第一アミンとアクリル酸エステル又はアクリロニトリルとの反応で得られる付加生成物に低級アルコール又は水を添加して、その低級アルコール又は水を減圧、不活性ガス流通又は不活性ガス流通下で減圧することにより留去させた後に、加水分解することを特徴とする方法に関する。前記低級アルコール又は水の留去は、残存アクリル酸エステル又はアクリロニトリルの含有量が付加生成物に対して1重量%以下になるまで行われるのが好ましい。
【0010】
R1NHCH2CH2COOM (I)
(式中、R1 は置換基を含んでいても良い炭素数6〜24の炭化水素基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2〜3のアルカノール基を有するモノ、ジもしくはトリアルカノールアンモニウムイオン、炭素数1〜5のアルキル基置換アンモニウムイオン又は塩基性アミノ酸基を示す)
【0011】
また、本発明は、上記の一般式(I)で表されるN置換βアラニン又はその塩の製造方法であって、付加生成物に対し25〜100重量%の低級アルコール又は水の存在下で脂肪族第一アミンとアクリル酸エステル又はアクリロニトリルとを反応させ、その低級アルコール又は水を減圧、不活性ガス流通又は不活性ガス流通下で減圧することにより留去させた後に、加水分解することを特徴とする方法に関する。
【0012】
また、本発明は、上記の一般式(I)で表されるN置換βアラニン又はその塩の製造方法であって、低級アルコール又は水の存在下で脂肪族第一アミンとアクリル酸エステル又はアクリロニトリルとを反応させ、その低級アルコール又は水を減圧、不活性ガス流通又は不活性ガス流通下で減圧することにより、残存アクリル酸エステル又はアクリロニトリルの含有量が付加生成物に対して1重量%以下になるまで留去させた後に、加水分解することを特徴とする方法に関する。
R 1 NHCH 2 CH 2 COOM (I)
(式中、R 1 は置換基を含んでいても良い炭素数6〜24の炭化水素基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2〜3のアルカノール基を有するモノ、ジもしくはトリアルカノールアンモニウムイオン、炭素数1〜5のアルキル基置換アンモニウムイオン又は塩基性アミノ酸基を示す)
また、本発明は、上記の方法により製造したN置換βアラニン又はその塩を含有する界面活性剤組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、上記の界面活性剤組成物を含有する洗浄剤組成物に関する。
【0014】
さらに、本発明は、上記の界面活性剤組成物とアニオン性界面活性剤とを含有する洗浄剤組成物に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法で使用する脂肪族第一アミンは、下記の一般式(II)で表される。
R1NH2 (II)
(式中、R1 は置換基を含んでいても良い炭素数6〜24の炭化水素基を示す)
【0016】
上記の一般式(II)中のR1 において、炭化水素基としては、直鎖でも分岐鎖でもよく、飽和でも不飽和でもよく、ヒドロキシル基のような置換基を任意に含んでもよい。好ましくは、直鎖又は分岐鎖の炭素数6〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、さらに好ましくは、直鎖又は分岐鎖の炭素数10〜22のアルキル基又はアルケニル基である。具体的には、R1 としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸、エルカ酸、椰子脂肪酸、牛脂脂肪酸に由来する炭化水素基等が挙げられる。この脂肪族第一アミンは対応する脂肪酸又はアルコールを原料にして製造される。
【0017】
本発明の製造方法を式で具体的に示せば以下のようになる。
【化1】
(式中、R1 は置換基を含んでいても良い炭素数6〜24の炭化水素基を示し、XはCOOR2 で表されるエステル基又はシアノ基を示し、R2 は炭素数1〜8、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2〜3のアルカノール基を有するモノ、ジもしくはトリアルカノールアンモニウムイオン、炭素数1〜5のアルキル基置換アンモニウムイオン又は塩基性アミノ酸基を示す)
【0018】
本発明の製造方法においては、最初に、脂肪族第一アミンとアクリル酸エステル又はアクリロニトリルとを反応させ、一般式(III) で表されるN置換アミノプロピオン酸エステル又はN置換アミノプロピオニトリルとする。
【0019】
この付加反応は通常20〜100℃、望ましくは40〜90℃の温度で、アクリル酸エステル又はアクリロニトリルを脂肪族第一アミンに対してモル比1〜2で反応させる。温度が20℃より低いと反応が長時間かかり、100℃より高いとN置換βアラニンの臭い及び色相が悪くなる。アクリル酸エステル又はアクリロニトリルの脂肪族第一アミンに対するモル比は、多くなると、残存するアクリル酸エステル又はアクリロニトリルが多くなり、しかも2モル付加体が多くなり、好ましくない。また、モル比が少ないと未反応の脂肪族第一アミンが多くなり、好ましくない。反応時間は、アクリル酸エステル又はアクリロニトリルを0.1〜2時間かけて滴下し、1〜12時間熟成することが好ましい。
【0020】
次に、一般式(III) で表されるN置換アミノプロピオン酸エステル又はN置換アミノプロピオニトリル(以下、「付加生成物」と称する)に低級アルコール又は水を添加して、その低級アルコール又は水を減圧及び/又は不活性ガス流通することにより留去させる処理(IV)を行う。尚、低級アルコール又は水の添加は、付加反応後に添加するのではなく、反応前に予め仕込み低級アルコール又は水の存在下で反応を行なってもよい。
【0021】
低級アルコールとしてはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、メチルアルコール、エチルアルコールが好ましい。
【0022】
低級アルコール又は水を留去させる場合、減圧下及び/又は不活性ガス流通下、温度は20〜100℃、好ましくは40〜90℃で行うのが好ましい。温度が20℃より低いと長時間かかり、100℃より高いとN置換βアラニンの臭いが悪くなる。減圧する場合の圧力は100mmHg以下、好ましくは20mmHg以下で行なうことが好ましい。不活性ガスを流通する場合、流量は0.1L/L・分以上で行なうことが好ましく、さらに好ましくは1L/L・分以上である。圧力が高いか、又は流量が少ないと留去するために長時間を要する。
【0023】
低級アルコール又は水の量は付加生成物に対して1〜100重量%であり、好ましくは2〜50重量%である。また、残存する低級アルコール又は水は一括して添加してもよいし、数度に分けて添加してもよい。アクリル酸エステル又はアクリロニトリル量は、付加生成物に対して1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下になるまで低減する。
【0024】
さらに、低級アルコール又は水を留去させる処理を行った付加生成物をアルカリや酸で加水分解することによって、上記の一般式(I)で表されるN置換βアラニンが得られる。
【0025】
加水分解温度は通常50〜100℃、好ましくは60〜90℃である。加水分解の時間としては、アルカリや酸を0.5〜2時間かけて滴下し、1〜6時間熟成することが好ましい。また、加水分解を不活性ガス流通下で行なうと、さらに好ましい。
【0026】
加水分解後、必要に応じて生成物のpHを酸で7〜12に調整してもよい。使用する酸は一般的に使用される無機酸又は有機酸であり、塩酸、硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸等が挙げられる。温度は20〜90℃で行うのが好ましい。
【0027】
このようにして得られる一般式(I)で表されるN置換βアラニンは、異臭の原因となる成分を含有せず、しかも、保存しても着色のない、優れた化合物であるため、種々の用途に供される界面活性剤として極めて好適である。
【0028】
なかでも、身体用洗浄剤、台所用洗浄剤、硬表面用洗浄剤等、種々の洗浄剤としての利用は、N置換βアラニンの特性である高洗浄力、高マイルド性等の長所を積極的に活用できるので非常に好ましい。
【0029】
洗浄剤として使用する場合、本発明の製造方法によって得られるN置換βアラニンは、単独であっても、他の界面活性剤と混合してもどちらでも好適に使用できる。混合する場合は、アルキル硫酸エステル塩、アルキルエトキシ硫酸エステル塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石鹸、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアラニネートやアルキルタウレート等のアミノ酸誘導体等に代表されるアニオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルポリグルコシド、短鎖アルキルグルコシド長鎖脂肪酸エステル、アルキルメチルグルカミド、ショ糖脂肪酸エステル等に代表されるノニオン性界面活性剤や、アルキルアミンオキシド、アルキルカルボベタイン、アルキルアミドアルキルカルボベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルイミダゾリン又はその誘導体等に代表される両性及び双性界面活性剤等が好適である。これらの界面活性剤の中でも、特に高洗浄力、泡性能の点でアニオン性界面活性剤が好ましい。これら界面活性剤の配合割合はN置換βアラニン100重量部に対して10〜1000重量部が好ましい。
【0030】
また、洗浄剤として使用するに当たっては、一般の洗浄剤に通常用いられる界面活性剤以外の成分、即ち、低級アルコールやポリアルキレングリコール類等のアルコール系ハイドロトロープ剤や、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、キュメンスルホン酸、安息香酸、サリチル酸等のハイドロトロープ剤や抗菌剤として供される低分子芳香族化合物、クエン酸、リンゴ酸、EDTA等のキレート剤、色素、香料、粘度調整剤、無機化合物等の機能性物質等を好適に混合することができる。
【0031】
【実施例】
次に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。尚、以下の例における「%」は「重量%」である。
【0032】
実施例1〜5
(a)付加反応
1リットル容−四つ口フラスコに、表1に記載のアルキルアミン1.0モルを仕込んだ後、60℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸エステル1.5モルを滴下漏斗より1時間かけて滴下した後、同温度で7時間熟成を行った。
【0033】
(b)留去処理
上記(a)の付加生成物に表2に記載の溶媒を添加して溶解した。気相部を不活性ガスで置換後、過剰のアクリル酸エステルと加えた溶媒を60℃で、減圧下(20mmHg)留去して、N−アルキルアミノプロピオン酸エステルを得た。
【0034】
(c)加水分解反応
1リットル容−四つ口フラスコに、上記(b)の留去処理物100g、水200gを加えて、攪拌しながら、70℃へ昇温した。40%NaOH水溶液45gを同温度で1時間かけて滴下した後、2時間熟成を行った。反応終了後、塩酸によりpH10に調整し、Nアルキルβアラニンを得た。
【0035】
実施例6
留去処理を60℃、窒素流通下(0.1L/L・分)で5時間行う以外は、実施例1と同様の方法で付加反応、加水分解反応及びpH調整を行い、Nアルキルβアラニンを得た。
【0036】
実施例7
留去処理を60℃、圧力30mmHg、窒素流通下(0.1L/L・分)で3時間行う以外は、実施例1と同様の方法で付加反応、加水分解反応及びpH調整を行い、Nアルキルβアラニンを得た。
【0037】
実施例8
溶媒量を50%とする以外は、実施例1と同様の方法で付加反応、加水分解反応及びpH調整を行い、Nアルキルβアラニンを得た。
【0038】
実施例9
付加反応の前に予め溶媒を添加しておく以外は実施例1と同様の方法で付加反応、加水分解反応及びpH調整を行い、Nアルキルβアラニンを得た。
【0039】
実施例10
(a)付加反応
1リットル容−四つ口フラスコに、表1に記載のアルキルアミン1.0モルを仕込んだ後、60℃で加熱攪拌しながら、アクリロニトリル1.5モルを滴下漏斗より1時間かけて滴下した後、同温度で7時間熟成を行った。
【0040】
(b)留去処理
上記(a)の反応生成物に表2に記載の溶媒を添加して溶解し、過剰のアクリロニトリルと加えた溶媒を60℃、減圧下(20mmHg)留去してN−アルキルアミノプロピオニトリルを得た。
【0041】
(c)加水分解反応
上記(b)の留去処理物にエチルアルコール100g、水70gを加えて、攪拌しながら、70℃へ昇温した。40%NaOH水溶液45gを、同温度で1時間かけて滴下した後、窒素流通下(1L/L・分)、5時間熟成を行った。反応終了後、塩酸により所定pH10に調整し、Nアルキルβアラニンを得た。
【0042】
比較例1
溶媒添加、留去処理を行わない以外は、実施例1と同様に付加反応と加水分解反応、及びpH調整を行って、Nアルキルβアラニンを得た。
【0043】
比較例2
留去処理を行なわない以外は、実施例9と同様に付加反応と加水分解反応、及びpH調整を行って、Nアルキルβアラニンを得た。
【0044】
比較例3
溶媒添加、留去処理を行わない以外は、実施例10と同様に付加反応と加水分解反応、及びpH調整を行って、Nアルキルβアラニンを得た。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
評価実験
実施例1〜10及び比較例1〜3で製造したNアルキルβアラニンに残存するアクリル酸誘導体及びアミンの量を測定し、さらに、Nアルキルβアラニンの臭気及び一ケ月保存後の色相を次の評価基準に従って評価した。結果を表3に示す。
【0048】
(臭気評価)
官能検査を行い、以下の基準で臭気を評価した。
○:異臭がなく臭気がよい。
△:若干異臭があり臭気が悪い。
×:異臭が強く著しく臭気が悪い。
【0049】
(色相評価)
視覚により、以下の基準で色相を評価した。
○:色相の変化がわずかである。
△:色相の変化があり着色が認められる。
×:色相の変化が著しく明らかに着色が認められる。
【0050】
【表3】
【0051】
実施例11〜20及び比較例4〜6
表4〜6に示す液体洗浄剤組成物を調製し、組成物の臭気、皮膚刺激性、洗浄力及び一ケ月保存後の色相を評価した。その結果を表4〜6に示す。臭気及び色相については上記と同様の方法で評価し、皮膚刺激性及び洗浄力の評価方法については下記に示す。尚、表中の配合量はすべて重量%であり、組成物はpHを7.0に調製したものである。
【0052】
(皮膚の刺激性評価)
界面活性剤組成物1%水溶液(35℃)を用いてテスター10名の手による浸漬試験により評価を行った。即ち、1分毎の浸漬−乾燥操作を15回行い、24時間後の手の皮膚荒れの程度を以下の基準で視覚判定した。
○:皮膚荒れが殆どない。
△:皮膚の角質表面の一部に乾燥落屑性や赤斑変化等の手荒れ症状らしき兆候が認められる。
×:乾燥落屑性や赤斑変化等の手荒れ症状が明確に認められる。
【0053】
(洗浄力評価)
日本薬局方に規定された大豆油と牛脂各10gを60mlのクロロホルムに溶解した後、オイルレッド0.1gを加えて良く混合し、汚垢溶液を調製する。この溶液にガラスプレートを浸して汚染し、25℃の温度で30分以上風乾してクロロホルムを除去し、汚染片を作成する(汚染量20〜30mg/枚)。この汚染片6枚を25℃、700mlの0.15%の洗浄剤液中で20rpmの回転速度で3分間かき混ぜて洗浄した後、風乾して重量を測定し、洗浄後の油除去率を下記の数式(1)により算出して洗浄力とした。
【0054】
洗浄力(%)={1−(W2−W0)/(W1−W0)}×100 (1)
(上記数式(1)中、W0 はガラスプレートの重量を、W1 は汚染後のガラスプレートの重量を、W2 は洗浄風乾後のガラスプレートの重量を示す)
【0055】
【表4】
表4中、POEはポリオキシエチレンの略であり、nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す。
【0056】
【表5】
表5中、POEはポリオキシエチレンの略であり、nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す。
【0057】
【表6】
表6中、POEはポリオキシエチレンの略であり、nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す。
【0058】
表4〜6から明らかなように、調製した洗浄剤組成物はいずれも優れたマイルド性及び洗浄性能を示すが、本発明の洗浄剤組成物(実施例11〜20)は臭気及び一ケ月保存後の色相が良いのに対し、比較品の洗浄剤組成物(比較例4〜6)はいずれも臭気及び一ケ月保存後の色相が悪いという問題点を有している。
【0059】
【発明の効果】
本発明の製造方法によって得られるN置換βアラニンは、有臭成分などの不純物を含まないため、高起泡力、高洗浄力、低皮膚刺激性等の優れた特性を有する界面活性剤である。しかも、液体洗浄剤として製剤化した場合にも臭気が良好で保存した場合にも着色や異常な臭気の発生を起こさない優れた基材であり、特に、台所用洗浄剤、毛髪用洗浄剤、皮膚用洗浄剤として極めて好適である。
Claims (7)
- 下記の一般式(I)で表されるN置換βアラニン又はその塩の製造方法であって、脂肪族第一アミンとアクリル酸エステル又はアクリロニトリルとの反応で得られる付加生成物に低級アルコール又は水を添加して、その低級アルコール又は水を減圧、不活性ガス流通又は不活性ガス流通下で減圧することにより留去させた後に、加水分解することを特徴とする方法。
R1NHCH2CH2COOM (I)
(式中、R1は置換基を含んでいても良い炭素数6〜24の炭化水素基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2〜3のアルカノール基を有するモノ、ジもしくはトリアルカノールアンモニウムイオン、炭素数1〜5のアルキル基置換アンモニウムイオン又は塩基性アミノ酸基を示す) - 前記低級アルコール又は水の留去が、残存アクリル酸エステル又はアクリロニトリルの含有量が付加生成物に対して1重量%以下になるまで行われる請求項1に記載の方法。
- 下記の一般式(I)で表されるN置換βアラニン又はその塩の製造方法であって、付加生成物に対し25〜100重量%の低級アルコール又は水の存在下で脂肪族第一アミンとアクリル酸エステル又はアクリロニトリルとを反応させ、その低級アルコール又は水を減圧、不活性ガス流通又は不活性ガス流通下で減圧することにより留去させた後に、加水分解することを特徴とする方法。
R1NHCH2CH2COOM (I)
(式中、R1は置換基を含んでいても良い炭素数6〜24の炭化水素基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2〜3のアルカノール基を有するモノ、ジもしくはトリアルカノールアンモニウムイオン、炭素数1〜5のアルキル基置換アンモニウムイオン又は塩基性アミノ酸基を示す) - 下記の一般式(I)で表されるN置換βアラニン又はその塩の製造方法であって、低級アルコール又は水の存在下で脂肪族第一アミンとアクリル酸エステル又はアクリロニトリルとを反応させ、その低級アルコール又は水を減圧、不活性ガス流通又は不活性ガス流通下で減圧することにより、残存アクリル酸エステル又はアクリロニトリルの含有量が付加生成物に対して1重量%以下になるまで留去させた後に、加水分解することを特徴とする方法。
R1NHCH2CH2COOM (I)
(式中、R1は置換基を含んでいても良い炭素数6〜24の炭化水素基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2〜3のアルカノール基を有するモノ、ジもしくはトリアルカノールアンモニウムイオン、炭素数1〜5のアルキル基置換アンモニウムイオン又は塩基性アミノ酸基を示す) - 請求項1〜4のいずれかに記載の方法により製造したN置換βアラニン又はその塩を含有する界面活性剤組成物。
- 請求項5に記載の界面活性剤組成物を含有する洗浄剤組成物。
- 請求項5に記載の界面活性剤組成物とアニオン性界面活性剤とを含有する洗浄剤組成物。
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