JP3817892B2 - 車両用走行制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、先行車両との車間距離を保ちつつ先行車両に追従して速度制御するようにした車両用走行制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用走行制御装置としては、例えば特開平5−274036号公報に記載されたものがある。
【0003】
この従来例には、目標車速を予め装置内で設定された値又はドライバーが任意に設定した値に設定し、検出した車間距離Dと目標車間距離Dtとに基づいて、D>Dtであるときには車速Vを目標車速Vtに一致するように加速制御し、D≦Dtであるときには車間距離Dを目標車間距離Dtに一致させるように車間距離Dと目標車間距離Dtとの偏差に基づいて算出される制動力を作用させて減速制御するようにした車両の速度制御装置が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の車両の速度制御装置にあっては、車両の車間距離が目標車間距離より小さいときに制動力を作用させて減速制御するようにしているので、先行車両が制動力を作用させた、制動状態を継続して停止したときに、後続車両は車間距離に応じた制動力を作用させて大きな減速度を維持したまま停止状態となるため、車両の停止時に前輪側が沈み込む所謂ノーズダイブ状態からの大きな揺り戻しを生じて、乗り心地が悪化するという未解決の課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、先行車両が走行状態から制動力を発生して停止状態となったときに、この先行車両に追従走行している車両で停止時に発生するノーズダイブ状態からの揺り戻しを抑制して乗り心地を向上させるようにした車両用走行制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る車両用走行制御装置は、先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する速度制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、該車間距離検出手段で検出した車間距離と目標車間距離とに基づいて目標加減速度を算出し、算出された目標加減速度が正であるときに加速制御を行い、当該目標加減速度が負であるときに目標制動圧を算出し、算出した目標制動圧に基づいて制動用シリンダの制動圧を制御する減速制御を行う走行制御手段と、該走行制御手段で目標制動圧に基づく減速制御を継続している状態で停止近傍車速となったときに、車両の停止状態で、当該停止状態に維持するための停止維持制動圧となるように前記目標制動圧を減少制御して、減速度を緩減速度に補正する減速度補正手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
この請求項1に係る発明においては、停止近傍の車速となったときに車両の停止状態で、当該停止状態に維持するための停止維持制動圧となるように目標制動圧を減少制御して、減速度を緩減速度に補正することにより、車両に発生するノーズダイブ量を抑制して、停止時の揺り戻しによる車両の姿勢変化を抑制することができる。
【0008】
また、請求項2に係る車両走行制御装置は、請求項1に係る発明において、前記減速度補正手段は、前記走行制御手段で設定された目標制動圧を、車両の停止時に前記停止維持制動圧に一致するように車速の減少に応じて徐々に減少する停止時減圧指令値に設定するように構成されていることを特徴としている。
【0009】
この請求項2に係る発明においては、停止近傍車速以下で、走行制御手段で設定された目標制動圧を、停止時減圧指令値に設定するので、目標制動圧が車速の減少に応じて徐々に減少し、停止時に停止維持制動圧に一致させることができる。
【0010】
さらに、請求項3に係る車両用走行制御装置は、請求項2に係る発明において、前記減速度補正手段は、前記停止時減圧指令値が走行制御手段で設定された目標制動圧以下となったときに、当該停止時減圧指令値を前記目標制動圧として設定するように構成されていることを特徴としている。
【0011】
この請求項3に係る発明においては、停止時減圧指令値が走行制御手段で設定された目標制動圧以下となったときに、停止時減圧指令値を目標制動圧として設定するので、車両の停止時に確実に停止維持制動圧に一致させることができる。
【0012】
さらに、請求項4に係る車両用走行制御装置は、請求項1乃至3の何れか1つの発明において、前記減速度補正手段は、車間距離検出手段で検出した車間距離が安全停止車間距離以上であるときに緩減速度への変更を行うように構成されていることを特徴としている。
【0013】
この請求項4に係る発明においては、減速度の緩減速度への変更を、安全停止車間距離以上の車間距離であるときに行うようにしているので、非常停止等の急制動状態では、乗心地より車間距離確保を優先させることができる。
【0014】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、先行車両に追従走行する追従制御中に、先行車両が減速して停止した場合に、停止近傍車速となったときに、車両の停止状態で、当該停止状態に維持するための停止維持制動圧となるように前記目標制動圧を減少制御して、減速度を緩減速度に補正するようにしたので、停止時の減速度を小さいに抑制して、停止時のノーズダイブ量を抑制して、揺り戻しの発生を抑制することができ、乗心地を向上させることができると共に、停止時の制動圧を小さい値に維持することができるという効果が得られる。
【0015】
また、請求項2に係る発明によれば、停止近傍車速以下で、走行制御手段で設定された目標制動圧を、停止時減圧指令値に設定するので、目標制動圧が車速の減少に応じて徐々に減少し、停止時に停止維持制動圧に一致させることができるので、制動しながら停車する際に停止近傍では目標制動圧を車速に応じて減少させることができ、停止時のノーズダイブ量を確実に減少させて、その揺り戻しを確実に抑制することができるという効果が得られる。
【0016】
さらに、請求項3に係る発明によれば、停止時減圧指令値が走行制御手段で設定された目標制動圧以下となったときに、停止時減圧指令値を目標制動圧として設定するので、車両の停止時に確実に停止維持制動圧に一致させることができるという効果が得られる。
【0017】
さらにまた、請求項4に係る発明によれば、減速度補正手段は、車間距離検出手段で検出した車間距離が安全停止車間距離以上であるときに緩減速度への変更を行うように構成されているので、常に安全停止車間距離を確保しながら緩減速度への変更を行うことができ、車間距離を維持した減速度制御を行うことができるという効果が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を後輪駆動車に適用した場合の一実施形態を示す概略構成図であり、図中、1FL,1FRは従動輪としての前輪、1RL,1RRは駆動輪としての後輪であって、後輪1RL,1RRは、エンジン2の駆動力が自動変速機3、プロペラシャフト4、最終減速装置5及び車軸6を介して伝達されて回転駆動される。
【0019】
前輪1FL,1FR及び後輪1RL,1RRには、夫々制動力を発生するディスクブレーキ7が設けられていると共に、これらディスクブレーキ7の制動油圧が制動制御装置8によって制御される。
【0020】
ここで、制動制御装置8は、図示しないブレーキペダルの踏込みに応じて制動油圧を発生すると共に、走行制御用コントローラ20からの減圧指令値に応じて減圧することにより制動油圧を発生するように構成されている。
【0021】
また、エンジン2には、その出力を制御するエンジン出力制御装置9が設けられている。このエンジン出力制御装置9は、エンジン出力の制御方法として、スロットルバルブの開度を調整してエンジン回転数を制御する方法と、アイドルコントロールバルブの開度を調整してエンジン2のアイドル回転数を制御する方法とが考えられるが、本実施形態では、スロットルバルブの開度を調整する方法が採用されている。
【0022】
さらに、自動変速機3には、その変速位置を制御する変速機制御装置10が設けられている。この変速機制御装置10は、後述する走行制御用コントローラ20からのアップ/ダウンシフト指令値TSが入力されると、これに応じて自動変速機3の変速位置をアップシフト又はダウンシフト制御するように構成されている。
【0023】
一方、車両の前方側の車体下部には、先行車両との間の車間距離を検出する車間距離検出手段としてのレーダ装置で構成される車間距離センサ12が設けられていると共に、後輪1RL,1RRの車輪速度を検出する車輪速度センサ13L,13Rが配設されている。
【0024】
そして、車間距離センサ12及び車輪速度センサ13L,13Rの各出力信号が走行制御用コントローラ20に入力され、この走行制御用コントローラ20によって、車間距離センサ12で検出した車間距離L、車輪速度センサ13L,13Rで検出した車輪速度VwL,VwR に基づいて、制動制御装置8、エンジン出力制御装置9及び変速機制御装置10を制御することにより、先行車両との間に適正な車間距離を維持しながら追従走行する追従走行制御を行うと共に、追従走行制御中に、先行車両が減速状態に移行すると、これに応じて制動力制御を行い、車間距離に基づいて算出される目標制動圧P* が車速の関数として算出される減圧指令値PST以上となると目標制動圧P* に代えて減圧指令値PSTに基づいて減圧制御され、緩減速状態に制御される。
【0025】
次に、上記実施形態の動作を走行制御用コントローラ20で実行する図2に示す走行制御処理を伴って説明する。
この走行制御処理は、先ず、ステップS1で車間距離センサ12で検出した実際の先行車両との間の車間距離Dを読込み、次いでステップS2に移行して、車輪速度センサ13L,13Rで検出した車輪速度VwL,VwR を読込み、これらの平均値を求めることにより、自車速V(n) を算出する。
【0026】
次いで、ステップS3に移行して、自車速V(n) と自車両が現在の先行車両の後方L0 [m]の位置に到達するまでの時間T0 (車間時間)とから下記(1)式に従って先行車両と自車両との間の目標車間距離D* を算出する。
【0027】
D* (n) =V(n) ×T0 +D0 …………(1)
ここで、D0 は停止時車間距離である。
この(1)式で、車間時間という概念を取り入れることにより、車速が速くなるほど、車間距離が大きくなるように設定される。
【0028】
次いで、ステップS4に移行して、車間距離D(n) が目標車間距離D* (n) 以下であるか否かを判定し、D(n) >D* (n) であるときには車間距離D(n) が目標車間距離D* (n) を越えており、加速状態として車間距離をつめることが可能であると判断してステップS5に移行し、予め設定された目標車速V* をもとに下記(2)式に従って目標加減速度G* を算出し、これをメモリの加減速度記憶領域に更新記憶してからステップS7に移行する。
【0029】
G* =KA ×(V* −V(n) )+LA …………(2)
ここで、KA 及びLA は定数である。
一方、ステップS4の判定結果が、D(n) ≦D* (n) であるときには車間距離D(n) が目標車間距離D* (n) より短く、減速状態として車間距離を開ける必要があると判断して、ステップS6に移行し、下記(3)式に基づいて目標加減速度G* を算出し、これをメモリの加減速度記憶領域に更新記憶してからステップS7に移行する。
【0030】
G* =KB ×(D(n) −D* (n) )+LB …………(3)
ここで、KB 及びLB は定数である。
ステップS7では、加減速度記憶領域に記憶されている目標加減速度G* に基づいてエンジン制御装置9に対するスロットル開度指令値θ及び変速機制御装置10に対するアップ/ダウンシフト指令値TSを算出し、これらを出力するエンジン制御処理を実行してからステップS8に移行する。
【0031】
ここで、スロットル開度指令値θは、目標加減速度G* が正である加速状態では、目標加減速度G* の増加に応じて正方向に増加するスロットル開度変化量Δθを算出すると共に、目標加減速度G* が負であるときには“0”から所定値−GS に達するまでの間は目標加減速度G* の負方向への増加に応じて負方向に増加するスロットル開度変化量Δθを算出し、算出されたスロットル開度変化量Δθを現在のスロットル開度指令値θに加算して、新たなスロットル開度指令値θを算出し、目標加減速度G* が所定値−GS を越えたときにはスロットル開度指令値θを“0”またはその近傍の値に設定する。
【0032】
また、アップ/ダウンシフト指令値TSは、算出されたスロットル開度指令値θと車速V(n) とに基づいて通常の自動変速機における変速制御と同様の変速制御マップを参照して自動変速機3のアップ/ダウンシフト指令値TSを算出する。
【0033】
ステップS8では、加減速度記憶領域に記憶されている目標加減速度G* に基づいてエンジン制御装置9に対するスロットル開度指令値θ及び変速機制御装置10に対するアップ/ダウンシフト指令値TSを算出し、これらを出力する制動制御処理を行ってから前記ステップS1に戻る。
【0034】
この制動制御処理の具体例は、図3に示すように、先ず、ステップS8aで目標加減速度G* を読込み、次いでステップS8bに移行して、目標加減速度G* をもとにメモリに予め格納された図4に示す制動圧算出マップを参照して目標制動圧PB * を算出する。この図4の傾きは、後述する減速度を制動圧に変換する変換ゲインKP を表している。
【0035】
ここで、制動圧算出マップは、図4に示すように、横軸に目標加減速度G* を縦軸に目標制動圧PB * をとり、目標加減速度G* が正であるとき及び負であって所定値−GS を越えるまでの間では目標制動圧PB * が“0”を維持し、目標加減速度G* が所定値−GS 以上を越えると、目標加減速度G* の負方向への増加に比例して目標制動圧PB * が直線的に増加するように設定されている。
【0036】
なお、図4は数式で表現できるので、メモリマップを用いることなく、数式による演算を行うようにしてもよい。
次いで、ステップS8cに移行して、車速V(n) をもとに下記(4)式の演算を行って、減圧指令値PSTを算出する。
【0037】
PST=αV+P0 …………(4)
ここで、αは定数、P0 は車両を停止状態に維持するために必要な最低制動圧である。
【0038】
次いで、ステップS8dに移行して、車間距離D(n) が安全停止車間距離DST(n) を越えているか否かを判定する。
この安全停止車間距離DSTは、以下のようにして算出される。
【0039】
すなわち、減速度を制動圧に変換する変換ゲインをKP とすると、減速度G(t) は、
G(t) =(αV(t) +P0 )/KP …………(5)
となる。
【0040】
また、自車速Vは、減圧開始時の車速をV0 とすると、
V(t) =∫G(t) dt=∫{(αV(t) +P0 )/KP }dt …………(6)
V(0) =V0
である。停止までに要する時間Tは、tについての方程式
V(t) =∫{(αV(t) +P0 )/KP }dt=0 …………(7)
の解Tであるから、自車速Vを積分して、停止までに要する車間距離DSTは下記のようになる。
【0041】
【数1】
【0042】
そして、ステップS8dの判定結果がD≦DSTであるときには、現在の車間距離Dが安全車間距離DSTより短く制動圧を減圧すること好ましくないものと判断して直接ステップS8fに移行し、D>DSTであるときには、現在の車間距離Dが安全車間距離DSTを越えており、制動圧の減圧が可能であると判断してステップS8eに移行する。
【0043】
このステップS8eでは、目標制動圧PB * が減圧指令値PST未満であるか否かを判定し、PB * <PSTであるときには、車間距離に基づく制動圧が必要であると判断してステップS8fに移行し、制動圧P* として目標制動圧PB * を設定してからステップS8hに移行し、PB * ≧PSTであるときには、停止直前であって減圧制御が必要であると判断してステップS8gに移行し、制動圧P* として、減圧指令値PSTを設定してからステップS8hに移行する。
【0044】
ステップS8hでは、実際の制動圧Pを読込み、次いでステップS8iに移行して、実際の制動圧を制動圧P* に一致させるように制動圧フィードバック制御処理を行ってから制動圧制御処理を終了して図2のステップS1に戻る。
【0045】
この図2の処理において、ステップS1〜S8の処理が走行制御手段に対応し、図3の処理において、ステップS8c〜S8e及びS8gの処理が減速度補正手段に対応している。
【0046】
したがって、今、図5に示すように、時点t1 で先行車両が例えば自車両で設定した目標車速V* より低い車速で略定速走行しているものとすると、この状態では、図2の処理におけるステップS3で算出される目標車間距離D* (n) に対して実際の車間距離Dが長くなると、車間距離が開き過ぎであると判断して、ステップS5に移行して、設定車速V* と自車速V(n) との偏差に応じた正の目標加減速度G* が算出される。
【0047】
このため、ステップS7のエンジン制御処理において、正の目標加減速度G* に応じた正のスロットル開度変化量Δθが算出され、これが現在のスロットル開度指令値θに加算されて新たなスロットル開度指令値θが算出され、スロットル開度指令値θが増加することにより、エンジン出力制御装置9によってエンジン2の出力が増加制御されると共に、そのときの自車速V(n) とスロットル開度指令値θとに基づいて変速位置指令値TSが設定され、変速機制御装置10によって自動変速機3の変速位置が制御されて、加速状態に制御され、車間距離Dが短くなる。
【0048】
一方、ステップS8の制動制御処理においては、目標加減速度G* が正であることにより、ステップS8bで算出される目標制動圧PB * が“0”となるため、ディスクブレーキ7の制動圧が“0”となって制動力を発生しない非制動状態に制御される。
【0049】
逆に、車間距離Dが目標車間距離D* 以下となったときには、ステップS6に移行して、負の目標加減速度G* が算出されるが、この目標加減速度G* が所定値−GS を越えていないときには、負のスロットル開度変化量Δθが算出されることにより、スロットル開度指令値θが減少し、これによってエンジン出力が低下するが、制動制御処理においては、目標制動圧PB * が“0”を維持することから非制動状態を継続し、エンジン出力の低下分のみによる制動制御が行われる。
【0050】
このエンジン出力の低下のみによる制動制御を行っても、車間距離Dが短くなる場合には、ステップS6で算出される目標加減速度G* がさらに負方向に増加して所定値−GS を越えることになることから、ステップS7のエンジン制御処理において、スロットル開度指令値θが“0”に設定されると共に、制動制御処理におけるステップS8bで算出される目標制動圧PB * が正方向に増加することにより、ディスクブレーキ7の制動圧が上昇されて制動力を発生し、自車両が減速状態となって車間距離Dが長くなる。
【0051】
この状態から、時点t2 で先行車両が停止するために比較的大きな減速度となる減速状態に移行すると、これに応じて、車間距離Dが短くなることにより、制動制御処理において、制動制御が開始される。
【0052】
このとき、ステップS8bで算出される目標制動圧PB * は、時点t2 〜t3 間で先行車両が減速度を徐々に増加させ、その後時点t3 〜t4 間で先行車両が一定減速度で減速したため、自車両の制動圧も一定圧に維持されるが、ステップS8cで算出される減圧指令値PSTは図5(b)で破線図示のように、制動開始時には自車速V(n) が高いことにより、目標制動圧PB * に比較して非常に高い値となっている。
【0053】
そして、非常停止時のような急制動状態以外の通常制動状態では車間距離Dが安全停止車間距離DSTを越えることがないので、ステップS8dからステップS8eに移行し、上記したようにPB * <PSTであるので、ステップS8fに移行して、目標制動圧PB * が制動圧P* として設定されることにより、ディスクブレーキ7の制動圧が図5(b)に示すように、目標制動圧PB * に応じて上昇され、これに応じて自車速V(n) が図5(a)に示すように急激に減少される減速制御状態となる。
【0054】
そして、この減速制御状態が継続されて、停止直前の車速となって、時点t4 でステップS8cで算出される減圧指令値PSTがステップS8bで算出される目標制動圧PB * 以下となると、ステップS8eからステップS8gに移行して、減圧指令値PSTが制動圧P* として設定される。
【0055】
このため、以後、減圧指令値PSTに従ってディスクブレーキ7の制動圧が制御されることにより、図5(b)に示すように、制動圧が一定勾配で減少し、これに応じて図5(a)に示すように自車速V(n) の減少量が少なくなり、緩減速状態となる。
【0056】
その後、時点t5 で自車速V(n) が“0”となると、ステップS8cで算出される減圧指令値PSTが停止状態を維持するために必要な圧力P0 のみとなり、停止状態を継続することができる。
【0057】
このように、停止直前となると、それまでの急減速状態から緩減速状態に移行するので、車両停止時のノーズダイブ現象を抑制することができ、車両停止時の揺り戻しによる車両姿勢変化を確実に防止して良好な乗心地を確保することができる。
【0058】
しかも、緩減速状態を自車速V(n) の関数である式(4)に基づいて算出された減圧指令値PSTを使用して制御するようにしているので、自車速V(n) の低下に伴って減速度も低下することになり、車両停止時のノーズダイブ現象を確実に防止して、乗心地をより向上させることができる。
【0059】
この停止状態から、再度先行車両が走行を開始すると、これに応じて車間距離Dが長くなり、車両停止時の目標車間距離D* がD0 であることから、D>D* となり、ステップS4からステップS5に移行して、正の目標加減速度G* が算出され、これに応じてエンジン制御処理でスロットル開度変化量Δθが正となり、スロットル開度指令値θが大きな値となると共に、制動制御処理における目標制動圧PB * が“0”に設定され、これが制動圧P* として設定されることにより、ディスクブレーキ7の制動圧が“0”となって非制動状態での加速状態となり、先行車両に追従走行する追従走行制御が再開される。
【0060】
一方、先行車両が緩制動状態で停止状態に移行する場合には、車間距離Dの減少が緩やかに行われることにより、ステップS8bで算出される目標制動圧PB * も小さい値となり、この目標制動圧PB * が減圧指令値PST未満であるときには、目標制動圧PB * を維持した停止状態となる。
【0061】
また、先行車両が非常停止等の急制動を行って、車間距離Dが急激に短くなることにより、車間距離Dが安全停止車間距離DST未満となったときには、ステップS8dから直接ステップS8fに移行して、目標制動圧PB * が制動圧P* として設定されるので、緩減速状態に移行することなく、目標車間距離D* を維持した急減速状態を維持することができ、確実な停止制御を行うことができる。
【0062】
しかも、安全停止車間距離DSTを、自車速を積分して停止までに要する車間距離として(8)式に基づいて算出するので、減圧による緩減速状態に移行するか否かを正確に判断することができる。
【0063】
なお、上記実施形態においては、目標車間距離D* を算出し、この目標車間距離D* と実際の車間距離Dとを比較することにより、目標加減速度G* を算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車間距離D(n) に基づいて自車両が先行車両のL0 (m)後方に到達するまでの時間(車間時間)T0 が一定になるように目標車速V* (n) を決定し、これと実際の車速V(n) との偏差ΔV(n) に基づいてエンジン出力指令値αを算出し、これが正であるときには、算出したエンジン出力指令値αに基づいてエンジンを制御して加速状態とし、負であるときには速度偏差ΔV(n) に基づいてPD制御又はPID制御によって目標制動圧を設定するようにしてもよい。
【0064】
また、上記実施形態においては、減圧指令値PSTを(4)式に基づいて算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、(4)式に対応する制御マップを予めメモリに格納しておき、この制御マップを参照して減圧指令値PSTを算出するようにしてもよく、さらには減圧指令値PSTを連続的に変化させる場合に限らず、段階的に変化させるようにしてもよく、なおさらに(4)式では車速の1次関数とした場合について説明したが、これに限らず車速の2次関数とすることもでき、要は停止近傍車速において減速度を緩めることが可能で有ればよい。
【0065】
さらに、上記各実施形態においては、(2)式の車速フィードバック式及び(3)式の車間距離フィードバック式をP制御とした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、PD制御やPID制御を適用するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0066】
さらにまた、上記各実施形態においては、自車速V(n) を従動輪の車輪速の平均値で算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、自動変速機3の出力側の回転数を検出して車速を算出したり、アンチロックブレーキ制御装置に使用される車体速度演算手段を適用することもできる。
【0067】
なおさらに、上記実施形態においては、エンジン2の出力側に自動変速機3を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、無段変速機を適用することもできる。
【0068】
また、上記実施形態においては、後輪駆動車に本発明を適用した場合について説明したが、前輪駆動車や四輪駆動車にも本発明を適用することができ、さらにはエンジン2に代え電動モータを適用した電気自動車や、エンジン2及び電動モータを併用するハイブリッド車両にも本発明を適用し得るものである。この場合にはエンジン出力制御装置に代えて電動モータ制御装置を適用すればよいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】走行制御用コントローラの走行制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図2の走行制御処理における制動制御処理の具体例を示すフローチャートである。
【図4】目標加減速度と目標制動圧との関係を示す目標制動圧算出マップの一例を示す説明図である。
【図5】実施形態の動作の説明に供するタイムチャートである。
【符号の説明】
1FL,1FR 前輪
1RL,1RR 後輪
2 エンジン
3 自動変速機
7 ディスクブレーキ装置
8 制動制御装置
9 エンジン出力制御装置
10 変速機制御装置
12 車間距離センサ
13L,13R 車輪速度センサ
20 走行制御用コントローラ
Claims (4)
- 先行車両との車間距離を所定値に保ちつつ先行車両に追従する速度制御を行うようにした車両用走行制御装置において、先行車両との車間距離を検出する車間距離検出手段と、該車間距離検出手段で検出した車間距離と目標車間距離とに基づいて目標加減速度を算出し、算出された目標加減速度が正であるときに加速制御を行い、当該目標加減速度が負であるときに目標制動圧を算出し、算出した目標制動圧に基づいて制動用シリンダの制動圧を制御する減速制御を行う走行制御手段と、該走行制御手段で目標制動圧に基づく減速制御を継続している状態で停止近傍車速となったときに、車両の停止状態で、当該停止状態に維持するための停止維持制動圧となるように前記目標制動圧を減少制御して、減速度を緩減速度に補正する減速度補正手段とを備えたことを特徴とする車両用走行制御装置。
- 前記減速度補正手段は、前記走行制御手段で設定された目標制動圧を、車両の停止時に前記停止維持制動圧に一致するように車速の減少に応じて徐々に減少する停止時減圧指令値に設定するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用走行制御装置。
- 前記減速度補正手段は、前記停止時減圧指令値が走行制御手段で設定された目標制動圧以下となったときに、当該停止時減圧指令値を前記目標制動圧として設定するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用走行制御装置。
- 前記減速度補正手段は、車間距離検出手段で検出した車間距離が安全停止車間距離以上であるときに緩減速度への変更を行うように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両用走行制御装置。
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