JP3816780B2 - 機器監視システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は工場やプラントなどにおける配備機器(例えば、蒸気トラップに代表される弁類やポンプに代表される流体機器など)を監視する機器監視システムに関し、
詳しくは、監視対象機器に機器状態検出用のセンサを装備し、このセンサの検出情報を無線通信により中央管理装置に送る端末器を設けるとともに、端末器と中央管理装置との間での無線通信を中継する中継器を付加配備した機器監視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の機器監視システムでは(図1参照)、監視対象機器1が正常か否かにかかわらず、端末器4は周期的に又は定時的にセンサ検出情報の信号を送信し、また、中継器6は端末器4が送信したセンサ検出情報信号をそのまま中継していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この種の機器監視システムでは、センサ検出情報の信号がかなりの長信号(データ量の大きな信号)になることが多い為、端末器4からのセンサ検出情報信号の送信や中継器6でのセンサ検出情報信号の中継に長時間を要し、この為、それら送信や中継に要する電力が嵩んで端末器4や中継器6の消費電力が大きくなる問題があり、そして特に、端末器4や中継器6を電池電源式にする場合では、その大きな電力消費のために電池交換の必要頻度が高くなって保守管理作業の負担が大きくなる問題があった。
【0004】
また、上記の如くセンサ検出情報信号の送信や中継に長時間を要することで、端末器4を複数配備する場合では、それら端末器4の夫々と中央管理装置3との間での通信において、互いの通信時期が重複する通信衝突が起こり易くて通信待ちの状態(既に通信状態にある先行端末器4が通信を完了するまで自身の実質通信の開始を待つ状態)になる端末器4が多く生じる通信渋滞を生じ易く、このことで、システムの機器監視機能の低下を招くとともに、通信待ちによる消費電力の一層の増大を招く問題もあった。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な通信形態の採用により上記の如き問題を効果的に解消する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔1〕請求項1に係る発明は機器監視システムに係り、その特徴は、
監視対象機器に機器状態検出用のセンサを装備し、このセンサの検出情報を無線通信により中央管理装置に送る端末器を設けるとともに、前記端末器と前記中央管理装置との間での無線通信を中継する中継器を設ける構成において、
前記端末器が、前記センサの検出情報に基づき監視対象機器が正常か否かを判定して、その判定結果に応じ、監視対象機器が正常なときにはセンサ検出情報信号の送信を行わずに前記判定の結果を示す所定の短信号を送信し、かつ、監視対象機器が異常なときにはセンサ検出情報信号を送信する構成にし、
前記中継器が、監視対象機器の正常を示す前記短信号を受信したときには、その短信号の中継を行わずにその短信号の受信記録を自身の記憶部に記録し、かつ、センサ検出情報信号を受信したときには、そのセンサ検出情報信号の中継を行う構成にし、
前記中央管理装置が、監視対象機器の正常を示す前記短信号についての受信記録情報を無線通信により前記中継器から受け取る構成にしてある点にある。
【0007】
つまり、この構成によれば、監視対象機器が異常なときには従来と同様に端末器がセンサ検出情報信号を送信することで、中央管理装置の側では受信するセンサ検出情報信号に基づいて、監視対象機器で発生した異常の種別や程度の判定、異常原因の分析、機器異常データの記録収集などの所要の処理を従来と同様に適切に行うことができる。
【0008】
一方、監視対象機器が正常なとき(すなわち、センサ検出情報を中央管理装置に送らなくても特に問題がないとき)には、端末器は長信号となるセンサ検出情報信号の送信を行わずに、監視対象機器が正常か否かの判定結果を示す所定の短信号(データ量の小さな信号)を送信するから、先述の従来システムの如く監視対象機器が正常か否かにかかわらず長信号のセンサ検出情報信号を端末器から送信する形式に比べ、端末器における累積の送信処理時間を効果的に短くすることができ、また、中継器における累積の中継処理時間も効果的に短くすることができ、これにより、送信や中継に要する電力を低減して端末器や中継器の消費電力を低減することができる。
【0009】
また、端末器を複数配備する場合では、上記の如く監視対象機器が正常なとき端末器がセンサ検出情報信号を送信せずに短信号を送信することで、監視対象機器が正常か否かにかかわらず長信号のセンサ検出情報信号を端末器から送信する形式に比べ、端末器の夫々と中央管理装置との間での通信における通信衝突の発生確率を効果的に低減して先述の如き通信渋滞の発生を効果的に防止することができ、これにより、監視対象機器が異常であるときの中央管理装置へのセンサ検出情報信号の伝送を円滑にしてシステムの機器監視機能を効果的に高めることができ、また、通信待ちによる送信処理時間の長時間化も防止して端末器の消費電力を一層効果的に低減することができる。
【0010】
そしてまた、監視対象機器が正常なときには、判定結果を示す上記短信号を端末器が送信することで、監視対象機器の正常な状態が続いて端末器からのセンサ検出情報信号の送信が無い状態が続く状況においても、中央管理装置の側では、その短信号をもって監視対象機器が正常であることの確認とともに中央管理装置と端末器との間の通信機能が適切に保たれていることの確認を行うことができ、この点、監視対象機器が正常なときの端末器からの送信を単純に全て無くしてしまうことで消費電力の低減や通信渋滞の防止を図るのに比べ、システムの管理面でも一層優れたものにすることができる。
【0011】
ちなみに、消費電力の低減や通信渋滞の防止を図り、また、監視対象機器が正常であることの確認とともに通信機能が適切に保たれていることの確認もできるようにするのに、別の形式としては、端末器がセンサ検出情報に基づき監視対象機器が正常か否かを判定して、その判定結果に応じ、監視対象機器が正常なときには監視対象機器が異常なときよりも送信頻度を低くしてセンサ検出情報信号を送信するようにする構成も考えられるが、この構成では、監視対象機器が正常なときの端末器の送信信号が長信号のセンサ検出情報信号である点で先述の従来システムと変わりがなくて、監視対象機器が正常なときに端末器から送信されるセンサ検出情報信号そのものが通信衝突を起こし易く、この為に通信渋滞の発生を防止する効果が低く制限される。
【0012】
これに対し、請求項1に係る発明の上記構成によれば、監視対象機器が正常なときの端末器の送信信号が上記の如き短信号であって、その送信信号自体がセンサ検出情報信号に比べ通信衝突を起こし難い信号(すなわち、センサ検出情報信号に比べデータ量の小さい信号)であることから、上記の如き別形式に比べ、通信渋滞の発生をより効果的に防止することができ、そのことで、通信渋滞の発生防止による機器監視機能の向上及び消費電力の低減を一層効果的に達成することができる。
【0013】
なお、請求項1に係る発明を実施するのに、監視対象機器が正常なときの上記短信号の送信頻度を監視対象機器が異常なときのセンサ検出情報信号の送信頻度よりも低くし、そのことで通信渋滞の発生をさらに効果的に防止するようにしてもよい。
【0014】
また、請求項1に係る発明では、端末器が送信する上記短信号及びセンサ検出情報信号を中継器を介して中央管理装置に送る形式を採る。
【0015】
そして、請求項1に係る発明では、
前記端末器と前記中央管理装置との間での無線通信を中継する中継器を設ける構成において、
この中継器が、監視対象機器の正常を示す前記短信号を受信したときには、その短信号の中継を行わずにその短信号の受信記録を自身の記憶部に記録し、かつ、センサ検出情報信号を受信したときには、そのセンサ検出情報信号の中継を行う構成にし、
前記中央管理装置が、監視対象機器の正常を示す前記短信号についての受信記録情報を無線通信により前記中継器から受け取る構成にする。
【0016】
つまり、この構成によれば、監視対象機器が異常で端末器がセンサ検出情報信号を送信したときには、従来と同様にそのセンサ検出情報信号が中継器により中継されるから、中央管理装置の側では、そのセンサ検出情報信号を従来と同様に適切に受信することができて、その受信したセンサ検出情報信号に基づき所要の処理を適切に行うことができる。
【0017】
一方、監視対象機器が正常で端末器が判定結果を示す短信号として監視対象機器の正常を示す短信号を送信したときには、中継器はその短信号の中継を行わずに、その短信号の受信記録を自身の記憶部に記録するから、監視対象機器が正常なときに端末器が送信する上記短信号を中継器において中継する形式を採るに比べ、中継器における累積の中継処理時間を効果的に短くすることができ、これにより、中継に要する電力を低減して中継器の消費電力を低減することができる。
【0018】
また、端末器を複数配備する場合では、上記の如く中継器が監視対象機器の正常を示す短信号の中継を行わないことで、その短信号を中継器において中継する形式に比べ、端末器の夫々と中央管理装置との間での通信における通信衝突の発生確率を一層効果的に低減することができ、これにより、先述の如き通信渋滞の発生をより一層効果的に防止することができる。
【0019】
そしてまた、中央管理装置は監視対象機器の正常を示す上記短信号についての受信記録情報を無線通信により中継器から受け取ることができるから、中継器において監視対象機器の正常を示す短信号の中継を行わない構成にしながらも、中央管理装置の側では、上記受信記録情報の受け取りをもって監視対象機器が正常であることの確認とともに中央管理装置と端末器との間の通信機能が適切に保たれていることの確認を行うことができる。
【0020】
なお、受信記録情報の信号は複数の上記短信号を集約した信号でよくて、中央管理装置がその信号を受け取る頻度は低いもので済み、また、その信号のデータ量も小さいもので済むことから、中央管理装置と中継器との間での無線通信による上記受信記録情報の受け渡しによって上記の各効果が大きく損なわれることはない。
【0021】
〔2〕請求項2に係る発明は機器監視システムに係り、その特徴は、
監視対象機器に機器状態検出用のセンサを装備し、このセンサの検出情報を無線通信により中央管理装置に送る端末器を設けるとともに、前記端末器と前記中央管理装置との間での無線通信を中継する中継器を設ける構成において、
前記端末器が、前記センサの検出情報に基づき監視対象機器が正常か否かを判定して、その判定結果を示す所定の短信号をセンサ検出情報信号とともに送信する構成にし、
前記中継器が、監視対象機器の正常を示す前記短信号を受信したときには、その短信号に付随するセンサ検出情報信号の中継を行わずにその短信号の中継を行い、かつ、監視対象機器の異常を示す前記短信号を受信したときには、その短信号に付随するセンサ検出情報信号の中継を行う構成にしてある点にある。
【0022】
つまり、この構成によれば、監視対象機器が異常で端末器が監視対象機器の異常を示す短信号をセンサ検出情報信号とともに送信したときには、従来と同様にそのセンサ検出情報信号が中継器により中継されるから、中央管理装置の側では、そのセンサ検出情報信号を従来と同様に適切に受信することができて、その受信したセンサ検出情報信号に基づき、監視対象機器で発生した異常の種別や程度の判定、異常原因の分析、機器異常データの記録収集などの所要の処理を適切に行うことができる。
【0023】
一方、監視対象機器が正常で端末器が監視対象機器の正常を示す短信号をセンサ検出情報信号とともに送信したときには、中継器はその短信号に付随するセンサ検出情報信号の中継を行わずに、その短信号の中継(すなわち、長信号となるセンサ検出情報信号に比べデータ量の小さな信号の中継)を行うから、先述の従来システムの如く監視対象機器が正常か否かにかかわらず端末器からのセンサ検出情報信号を中継器において中継する形式に比べ、中継器における累積の中継処理時間を効果的に短くすることができ、これにより、中継に要する電力を低減して中継器の消費電力を低減することができる。
【0024】
また、端末器を複数配備する場合では、上記の如く監視対象機器が正常なとき中継器がセンサ検出情報信号の中継を行わずに短信号の中継を行うことで、監視対象機器が正常か否かにかかわらず端末器からのセンサ検出情報信号を中継器において中継する形式に比べ、端末器の夫々と中央管理装置との間での通信における通信衝突の発生確率を効果的に低減して先述の如き通信渋滞の発生を効果的に防止することができ、これにより、監視対象機器が異常であるときの中央管理装置へのセンサ検出情報信号の伝送を円滑にしてシステムの機器監視機能を効果的に高めることができ、また、通信待ちによる送信処理時間の長時間化も防止して端末器の消費電力も効果的に低減することができる。
【0025】
そしてまた、監視対象機器が正常なときには、監視対象機器の正常を示す上記短信号が中継器において中継されることにより、監視対象機器の正常な状態が続いてセンサ検出情報信号の中継が行われない状態が続く状況においても、中央管理装置の側では、その中継短信号の受信により、監視対象機器が正常であることの確認とともに中央管理装置と端末器との間の通信機能が適切に保たれていることの確認を行なうことができ、この点でシステムの管理面においても一層優れたものにすることができる。
【0026】
〔3〕請求項3に係る発明は機器監視システムに係り、その特徴は、
監視対象機器に機器状態検出用のセンサを装備し、このセンサの検出情報を無線通信により中央管理装置に送る端末器を設けるとともに、前記端末器と前記中央管理装置との間での無線通信を中継する中継器を設ける構成において、
前記端末器が、前記センサの検出情報に基づき監視対象機器が正常か否かを判定して、その判定結果を示す所定の短信号をセンサ検出情報信号とともに送信する構成にし、
前記中継器が、監視対象機器の正常を示す前記短信号を受信したときには、その短信号及びそれに付随するセンサ検出情報信号の中継を行わずにその短信号の受信記録を自身の記憶部に記録し、かつ、監視対象機器の異常を示す前記短信号を受信したときには、その短信号に付随するセンサ検出情報信号の中継を行う構成にし、
前記中央管理装置が、監視対象機器の正常を示す前記短信号についての受信記録情報を無線通信により前記中継器から受け取る構成にしてある点にある。
【0027】
つまり、この構成によれば、監視対象機器が異常で端末器が監視対象機器の異常を示す短信号をセンサ検出情報信号とともに送信したときには、従来と同様にそのセンサ検出情報信号が中継器により中継されるから、中央管理装置の側では、そのセンサ検出情報信号を従来と同様に適切に受信することができて、その受信したセンサ検出情報信号に基づき、監視対象機器で発生した異常の種別や程度の判定、異常原因の分析、機器異常データの記録収集などの所要の処理を適切に行うことができる。
【0028】
一方、監視対象機器が正常で端末器が監視対象機器の正常を示す短信号をセンサ検出情報信号とともに送信したときには、中継器はその短信号及びそれに付随するセンサ検出情報信号の中継を行わずに、その短信号の受信記録を自身の記憶部に記憶するから、先述の従来システムの如く監視対象機器が正常か否かにかかわらず端末器からのセンサ検出情報信号を中継器において中継する形式に比べ、中継器における累積の中継処理時間を効果的に短くすることができ、これにより、中継に要する電力を低減して中継器の消費電力を低減することができる。
【0029】
また、端末器を複数配備する場合では、上記の如く監視対象機器が正常なとき中継器が上記短信号及びそれに付随するセンサ検出情報信号の中継を行わないことで、監視対象機器が正常か否かにかかわらず端末器からのセンサ検出情報信号を中継器において中継する形式に比べ、端末器の夫々と中央管理装置との間での通信における通信衝突の発生確率を効果的に低減して先述の如き通信渋滞の発生を効果的に防止することができ、これにより、監視対象機器が異常であるときの中央管理装置へのセンサ検出情報信号の伝送を円滑にしてシステムの機器監視機能を効果的に高めることができ、また、通信待ちによる送信処理時間の長時間化も防止して端末器の消費電力も効果的に低減することができる。
【0030】
そしてまた、中央管理装置は監視対象機器の正常を示す上記短信号についての受信記録情報を無線通信により中継器から受け取ることができるから、中継器において監視対象機器の正常を示す短信号の中継を行わない構成にしながらも、中央管理装置の側では、上記受信記録情報の受け取りをもって監視対象機器が正常であることの確認とともに中央管理装置と端末器との間の通信機能が適切に保たれていることの確認を行うことができ、この点でシステムの管理面においても一層優れたものにすることができる。
【0031】
なお、前述と同様、受信記録情報の信号は複数の上記短信号を集約した信号でよくて、中央管理装置がその信号を受け取る頻度は低いもので済み、また、その信号のデータ量も小さいもので済むことから、中央管理装置と中継器との間での無線通信による上記受信記録情報の受け渡しによって上記の各効果が大きく損なわれることはない。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は工場やプラント等に分散配備された多数の蒸気トラップ1の状態を無線通信を用いて監視する監視システムを示し、監視対象機器である蒸気トラップ1の夫々に状態検出用のセンサ2を装備するとともに、無線通信により中央管理装置3と情報交換するセンサ管理用の複数の端末器4を各々の担当トラップ1の近傍に位置させて配備し、これら端末器4に各々の担当トラップ1の装備センサ2をリード線5を介して接続してある。
【0033】
また、複数の中継器6を分散配備し、これら中継器6により端末器4の夫々と中央管理装置3との間での無線通信(本例ではスペクトル拡散方式の無線通信)を中継する。
【0034】
端末器4には、図2に示す如く、1つのセンサ2の接続のみが可能なシングル用端末器4Sと、複数のセンサ2の並列接続が可能なマルチ用端末器4Mとの二種があり、いずれの端末器4(4S,4M)も、図3に示す如く、マイクロプロセッサを用いたデジタル回路部7、センサ2を接続するアナログ回路部8、アンテナ9aを用いて情報の送受信を行う通信部9、アナログ回路部8及び通信部9への供給電力を制御する電源制御部10、電源電池11、設定情報などを記憶する記憶部12、LEDを用いた警報灯13を備えており、マルチ用端末器4Mのアナログ回路部8には、複数の接続センサ2の検出情報を順次に入力するための入力切換用スイッチ回路8aを設けてある。
【0035】
各端末器4のデジタル回路部7は、中央管理装置3から無線通信により付与された設定情報に従い設定時間(例えば1分間〜24時間の間の範囲から選択した時間)ごとに周期的に、あるいは設定時刻において定時的に、アナログ回路部8を電源制御部10による供給電力制御により休眠状態から覚醒状態にして、接続センサ2の検出情報を入力(マルチ用端末器4Mでは、デジタル回路部7による入力切換用スイッチ回路8aの操作により複数の接続センサ2の検出情報を順次に入力)し、この入力処理の後、電源制御部10による供給電力制御によりアナログ回路部8を再び休眠状態に戻す。また、入力したセンサ検出情報はデジタル回路部7で処理する。
【0036】
そして、各端末器4のデジタル回路部7は、センサ検出情報の入力処理に続き、通信部9を同じく電源制御部10による供給電力制御により休眠状態から覚醒状態にして、中央管理装置3への情報送信と中央管理装置3からの情報受信を行い、この通信処理の後、電源制御部10による供給電力制御により通信部9を再び休眠状態に戻す。
【0037】
つまり、このようにアナログ回路部8及び通信部9を供給電力制御により必要時にのみ覚醒状態にすることで消費電力を節減し、これにより電源電池11の交換を長期間にわたって不要にする。
【0038】
なお、各端末器4のデジタル回路部7は、通信部9が休眠状態下において自身宛ての中央管理装置3からの信号を受信したときには、それに対する対応のために通信部9を一時的に覚醒状態にする。
【0039】
各端末器4のデジタル回路部7は、上記の通信処理を行うのに、その具体的処理手順として、先ず中央管理装置3に接続要求信号を送信し、この接続要求信号に対する中央管理装置3からの接続許諾信号を受信すると、それに続き実質通信としての中央管理装置3への情報送信及び中央管理装置3からの情報受信を行い、一方、接続要求信号の送信に対し中央管理装置3が他の端末器4との通信状態にあって中央管理装置3からの接続許諾信号が無い場合(すなわち、通信衝突が生じた場合)には、その先行端末器4の通信処理が完了するまで、通信待ち状態として、通信部覚醒状態の下で中央管理装置3への接続要求信号の送信を繰り返す。
【0040】
また、各端末器4のデジタル回路部7は、記憶部12に格納してある診断プログラムに従って、各回の入力処理ごとに、入力したセンサ検出情報に基づき担当トラップ1が正常か否かの判定を行い、そして、その判定結果に応じ、担当トラップ1が異常なときには入力処理に続く通信処理において、図7の(イ)に示す如く、判定結果を示す所定の短信号Sx(すなわち、担当トラップ1の異常を示す短信号)とともに、デジタル回路部7で処理したセンサ検出情報の信号SSを送信し、一方、担当トラップ1が正常なときには入力処理に続く通信処理において、同図7の(ロ)に示す如く、センサ検出情報の信号SSは送信せずに判定結果を示す所定の短信号Sy(すなわち、担当トラップ1の正常を示す短信号)を送信する。
【0041】
すなわち、センサ検出情報の信号SSがデータ量の大きい長信号であることに対し、上記の如く、担当トラップ1が正常なときにはセンサ検出情報信号SSの送信を行わないことで、通信待ち状態の端末器4が生じる通信渋滞を防止して、システムのトラップ監視機能を高く維持するとともに、通信待ちによる消費電力の増大を防止する。
【0042】
一方、各端末器4のデジタル回路部7は、電源電池11の出力電圧及び通信部9で受信する信号の信号強度を監視するとともに、中央管理装置3からの指示に従って接続センサ2の機能チェック及び端末器各部の機能チェックを行い、電源電池11の出力電圧が設定値未満に低下したときや、受信信号の信号強度が設定値未満になったとき、あるいはまた、接続センサ2及び端末器各部の機能チェックで異常が検出されたときには、異常信号を中央管理装置3に送信するとともに警報灯13を点滅して、それらの事態をシステムの管理者に報知する。
【0043】
センサ2には振動温度用センサ2Aと振動用センサ2Bと温度用センサ2Cとの三種があり、振動温度用センサ2Aはトラップ1の超音波レベルの振動dとトラップ1の温度tsとトラップ1の周囲温度toとの三者を検出し、振動用センサ2Bはトラップ1の超音波レベルの振動dのみを検出し、温度用センサ2Cはトラップ1の温度tsとトラップ1の周囲温度toとの二者のみを検出するものであり、各トラップ1の形式や監視項目に応じて、これら三種のセンサ2A〜2Cのうちのいずれかを各トラップ1に装備する。
【0044】
また、各端末器4のアナログ回路部8へは上記センサ2A〜2Cに限らず、図2に示す如く、各トラップ1を装備した蒸気系への蒸気供給管14に介装された弁15の開閉状態osを検出する開閉センサ16(あるいは、それら蒸気供給管14の管内圧力pや各トラップ1に接続された復水流入管17の管内圧力pを検出する圧力センサ18)をリード線5を介して接続することができる。
【0045】
各端末器4のデジタル回路部7は、センサ検出情報を入力する各回の入力処理において各接続センサ2A,2B,2C,16(18)につき、センサ種別に関係なく、トラップ振動dの検出情報、トラップ温度tsの検出情報、トラップ周囲温度toの検出情報、弁開閉状態os(ないし管内圧力p)の検出情報の夫々を設定周期ΔTs(例えば40ms)で設定回数nだけサンプリングする構成にしてあり、この構成に対し、各検出情報d,ts,to,os(p)のサンプリング回数nを中央管理装置3からの指示により接続センサ2A,2B,2C,16(18)ごとに設定することで、接続センサ2A,2B,2C,16(18)の種別に対応する。
【0046】
すなわち、振動温度用センサ2Aについては弁開閉状態os(ないし管内圧力p)の検出情報についてのサンプリング回数nを0に設定し、振動用センサ2Bについてはトラップ温度tsの検出情報、トラップ周囲温度toの検出情報、弁開閉状態os(ないし管内圧力p)の検出情報の夫々についてのサンプリング回数nを0に設定し、温度用センサ2Cについてはトラップ振動dの検出情報、弁開閉状態os(ないし管内圧力p)の検出情報の夫々についてのサンプリング回数nを0に設定し、弁開閉状態を検出する開閉センサ16(ないし管内圧力を検出する圧力センサ18)についてはトラップ振動dの検出情報、トラップ温度tsの検出情報、トラップ周囲温度toの検出情報の夫々についてのサンプリング回数nを0に設定することで、各センサ2A,2B,2C,16(18)につき不要なサンプリングを行わないようにして、それらセンサ2A,2B,2C,16(18)の種別に対応する。
【0047】
つまり、この方式を採ることで、端末器4の共通仕様化を図ってシステムコストの低減を可能にしながら、中央管理装置3からの通信による設定情報の付与だけで容易に接続センサ2A,2B,2C,16(18)の種別に対応できるようにする。なお、センサ非接続の入力ポートについては、全てのセンサ検出情報d,ts,to,os(p)についてのサンプリング回数nを0に設定することで対応する。
【0048】
そしてまた、各端末器4のデジタル回路部7は、センサ検出情報を入力する各回の入力処理、及び、それに続く各回の通信処理において、各接続センサ2A,2B,2C,16(18)から入力した検出情報d,ts,to,os(p)の夫々につき、各々n個のサンプリングデータを平均化して、その平均化データを中央管理装置3へ送る各々のセンサ検出情報とし、これにより、センサ検出情報として全てのサンプリングデータを中央管理装置3に送るに比べ、中央管理装置3へ送信するセンサ検出情報信号SSをデータ量の極力小さな信号にして、通信渋滞の防止効果及び消費電力を低減効果を高める。
【0049】
また、各端末器4のデジタル回路部7は、振動温度用センサ2A又は振動用センサ2Bから入力したトラップ振動dの検出情報に基づき、その振動検出情報についてのn回のサンプリングの期間中における対象トラップ1(特にディスク式トラップ)の作動回数mを検出し、端末器4において担当トラップ1が正常か否かを判定する際には他のセンサ検出情報とともにこの作動回数mの検出情報を用いて判定を行い、また、中央管理装置3へセンサ検出情報を送る際には他のセンサ検出情報とともにこの作動回数mの検出情報も中央管理装置3へ送る。
【0050】
なお、各端末器4は電源電池11に限らず、一般商用電源や自家用電源あるいは太陽電池などの補助電源も使用できる。
【0051】
各中継器6は、図4に示す如く、マイクロプロセッサを用いたデジタル回路部19、アンテナ20aを用いて情報の送受信を行う通信部20、一般商用電源ないし自家用電源からの供給電力を受ける受電部21、設定情報などを記憶する記憶部22、LEDを用いた警報灯23、停電時用のバックアップ電池24を備えており、各中継器6のデジタル回路部19は、通信部20が信号を受信すると、その受信信号に付されている識別符号と記憶部22に記憶している各中継器6ごとの通信経路情報とに基づき、その受信信号が自身の担当信号か否かを判定し、そして、その受信信号が自身の担当信号であったときには、その受信信号を送信信号に変換して通信部20から送信する中継処理を行う。
【0052】
各中継器6が自身の記憶部22に記憶している通信経路情報は(図6参照)、自身と同一の通信経路を担う連係中継器6、自身を含む連係中継器6の上位下位の関係、及び、自身を含む連係中継器6夫々の管轄端末器4を示すもの(略言すれば通信上の道標)であり、各中継器6のデジタル回路部19は、上記の判定に基づく中継処理として、中央管理装置3を宛先とする上り信号については、直轄の下位連係中継器6及び直轄の管轄端末器4からの受信信号のみを中継処理し、また、中央管理装置3からの下り信号については、直属の上位連係中継器6又は直属の中央管理装置3からの受信信号であって直轄の管轄端末器4又は下位連係中継器6の管轄端末器4又は下位連係中継器6を宛先とする受信信号のみを中継処理し、これにより、複数の端末器4と中央管理装置3との間での無線通信を端末器4の夫々について単一の通信経路で行う。
【0053】
つまり、この中継方式を採用して端末器4と中央管理装置3との間での無線通信を端末器4の夫々について単一の通信経路で行うことにより、複数の端末器4及び複数の中継器6を配備する形態を採りながらも通信混乱を効果的に防止した状態で、その無線通信を円滑かつ効率的に行えるようする。
【0054】
なお、中央管理装置3との位置関係によっては中継器6による中継を介さずに中央管理装置3と直接に無線通信を行う非中継の端末器4もある。
【0055】
また、各中継器6のデジタル回路部19は、直轄の管轄端末器4からの送信信号であってその管轄端末器4の担当トラップ1が異常であることを示す前述の短信号Sx及びそれに付随するセンサ検出情報信号SSを受信したときには、図7の(イ)に示す如く、それら短信号Sx及びセンサ検出情報信号SSの中継処理を行い、一方、直轄の管轄端末器4からの送信信号であってその管轄端末器4の担当トラップ1が正常であることを示す前述の短信号Syを受信したときには、同図7の(ロ)に示す如く、その短信号Syの中継処理を行わずにその短信号Syの受信記録を自身の中継器6の記憶部22に記録する。
【0056】
そしてまた、各中継器6のデジタル回路部19は、各端末器4によるセンサ検出情報の入力処理とそれに続く通信処理との一連の処理の時間間隔よりも充分に大きな時間間隔で周期的にあるいは定時的に、同図7の(ハ)に示す如く、トラップ1の正常を示す上記短信号Syについての集約化した受信記録情報の信号Sy′を中央管理装置3に送信する。
【0057】
すなわち、トラップ1の正常を示す短信号Syの中継処理も行わないことで、前述の通信渋滞を一層効果的に防止する。また、このように中継器6においてトラップ1の正常を示す短信号Syの中継を行わない構成にしながらも、中央管理装置3の側では、トラップ1の正常を示す短信号Syについての集約化された受信記録情報の信号Sy′を周期的ないし定時的に受信することで、監視対象のトラップ1が正常な状態が続く状況下においても監視対象のトラップ1が正常であることの確認とともに中央管理装置3と各端末器4との間の通信機能が適切に保たれていることの確認を行えるようにする。
【0058】
一方、各中継器6のデジタル回路部19は、端末器4と同様、通信部20で受信する信号の信号強度を監視するとともに、中央管理装置3からの指示に従って中継器各部の機能チェックを行い、受信信号の信号強度が設定値未満になったときや中継器各部の機能チェックで異常が検出されたときには、異常信号を中央管理装置3に送信するととも警報灯23を点滅して、それらの事態をシステムの管理者に報知する。
【0059】
中央管理装置3は、図5に示す如く、マイクロプロセッサを用いた演算制御部25及びハードディスク等を用いた記憶部26を備えるパーソナル型のコンピュータ本体27に、ディスプレイ装置28、キーボード29などの周辺装置とともに無線モデム30を接続して構成してあり、この無線モデム30を用いて中継器6や端末器4との無線通信を行う。
【0060】
中央管理装置3の演算制御部25(コンピュータ本体27の演算制御部)は、担当トラップ1が異常なときにセンサ検出情報信号SSとして各端末器4から送られる前述のセンサ検出情報d,ts,to,os(p)や作動回数検出情報mに基づき、各蒸気トラップ1が正常、蒸気漏れ異常、詰まり異常、温度異常のいずれの状態にあるかを記憶部26に格納の診断プログラムに従い詳細に診断して、異常の種別の判定とともに異常の程度の判定や異常原因の分析などを行い、そして、異常トラップ1の識別符号、発生異常の種別、発生異常の程度、異常原因、異常トラップの設置場所などの情報をディスプレイ装置28に表示するとともに、異常トラップ1を担当する端末器4に対し警報灯13の点滅を通信により指示する。
【0061】
また、中央管理装置3の演算制御部25は、端末器4から送られるセンサ検出情報や作動回数検出情報とともに、それら検出情報に基づく上記診断の結果を記憶部26内のトラップ監視用データベースに記録し、さらに、前述した受信記録情報の信号Sy′を受信すると、その受信記録情報を記憶部26内のトラップ監視用データベースに記録する。
【0062】
なお、蒸気漏れ異常とは、蒸気トラップの本来機能として蒸気の流出を阻止しながら復水のみを排出することが要求されるのに対し蒸気が許容限度を超えて流出する異常であり、また、詰まり異常とは復水の排出が円滑に行われない異常であり、温度異常とはトラップ温度tsないしトラップ周囲温度toが適正範囲を低下側ないし上昇側に逸脱する異常である。
【0063】
また、詰まり異常は一般にトラップ内部における滞留復水の温度低下に伴う検出トラップ温度tsの低下に基づいて検知するが、本システムでは、詰まり異常の検知精度が特に高く要求される蒸気トラップ1については、振動温度用センサ2Aや温度用センサ2Cによるトラップ温度tsの検出情報と、開閉センサ16による弁開閉状態osの検出情報(ないしは、圧力センサ18による管内圧力pの検出情報)との二者に基づいて詰まり異常を検知(診断)するようにしてあり、具体的には、蒸気供給管14における介装弁15が開き状態にある状況(ないしは、蒸気供給管14や復水流入管17の管内圧力pが設定値以上の状況)で検出トラップ温度tsが設定値以下に低下したとき詰まり異常と判定する。
【0064】
一方、中央管理装置3の演算制御部25は、中継器6や端末器4から前述の機能チェックや信号強度低下などについて異常信号を受信したとき、それら異常中継器6や異常端末器4の識別符号、発生異常種、異常中継器6や異常端末器4の設置場所などの情報をディスプレイ装置28に表示するとともに、それら中継器6や端末器4での異常発生を記憶部26内のシステム管理用データベースに記録する。
【0065】
また、複数の端末器4と中央管理装置3との間での通信を端末器4の夫々について単一の通信経路で行うのに、その通信経路の決定は中央管理装置3が経路決定プログラムに従って次の如く自動的に行う。
【0066】
すなわち、中央管理装置3の演算制御部25は、経路決定処理の実行を指示されると、記憶部26内のシステム管理用データベースに予め入力されている各中継器6の登録情報に基づき、全ての中継器6に対して順次に非中継の呼掛通信を行い、この呼掛通信に対し中央管理装置3への応答通信のあった中継器6を中継段位の最も高い中継器6(すなわち、他の中継器6を介さずに中央管理装置3と直接に無線通信する最上位の中継器)として決定する初期工程を実行する。
【0067】
また、この初期工程に続き、中央管理装置3の演算制御部25は、前工程で段位決定した中継器6を順次に呼掛側中継器6にして、その呼掛側中継器6による中継の下で、呼掛側中継器6から段位未決定の中継器6(すなわち、未だ応答通信の無い中継器)の夫々に対し順次に非中継の呼掛通信を行い、この呼掛通信に対し呼掛側中継器6への応答通信のあった中継器6を、そのときの呼掛側中継器6の直轄の下位中継器6として決定する後続工程を繰り返し、これにより、各中継器6について直属の上位中継器6を1つに限った状態の樹枝状の中継経路網を自動的に決定する。
【0068】
さらに、中央管理装置3の演算部25は、この中継経路網の決定の後、記憶部26内のシステム管理用データベースに予め入力されている各端末器4の登録情報に基づき、各中継器6を順次に呼掛側中継器6にして、その呼掛側中継器6による中継の下で、呼掛側中継器6から管轄未決定の端末器4(すなわち、未だ応答通信の無い端末器)の夫々に対し順次に非中継の呼掛通信を行い、この呼掛通信に対し呼掛側中継器6への応答通信のあった端末器4を、そのときの呼掛側中継器6の管轄端末器4として決定する最終工程を実行する。
【0069】
つまり、中央管理装置3の演算制御部25は、上記の初期工程及び後続工程による中継経路網の自動決定と、上記の最終工程による管轄端末器の自動決定とにより、中央管理装置3との間での無線通信を端末器4の夫々について単一の通信経路で行うための図6に示す如き通信経路網を中央管理装置3と各端末器4との間の全行程について自動的に決定し、そして、この決定した通信経路網をシステム管理及び通信処理のための情報として記憶部26内のシステム管理用データベースに登録する。
【0070】
なお、中央管理装置3の演算制御部25は、前記初期工程に先立ち各端末器4に非中継の呼掛通信を行い、この呼掛通信に対し中央管理装置3への応答通信のあった端末器4を非中継端末器4として決定する形態で、中継器6を介さずに中央管理装置3と直接に無線通信を行う非中継端末器4の決定も自動的に行う。
【0071】
通信経路の決定において、中央管理装置3の演算制御部25は、上記の初期工程及び後続工程で最終的に応答通信の無かった中継器6があった場合、また、上記の最終工程で最終的に応答通信の無かった端末器4があった場合、それら最終的に応答通信の無かった中継器6や端末器4をディスプレイ装置28での識別符号の表示及び設置場所の表示により報知する構成にしてあり、システムの構築者ないし管理者は、後続工程の終了段階で最終的に応答通信の無かった中継器6の報知があった際には、その中継器6の設置場所を調整する等の処置を行った上で、中央管理装置3の演算制御部25に初期工程及びそれに続く後続工程を再実行させ、また、最終工程の終了段階で最終的に応答通信の無かった端末器4の報知があった際には、その端末器4や近傍中継器6の設置場所を調整する等の処置を行った上で、中央管理装置3の演算制御部25に最終工程を再実行させる。
【0072】
また、中央管理装置3の演算制御部25は、上記の初期工程、後続工程、最終工程の夫々において、中継器6や端末器4からの応答通信の信号強度が設定値以上のときのみ、その応答通信があったと判定して各段位の中継器6の決定や管轄端末器4の決定を行い、これにより、上述の如き通信経路の自動決定を極力良好な無線通信機能を確保する上で一層的確かつ効果的なものにする。
【0073】
さらにまた、各中継器6はデジタル回路部19による処理により、前記後続工程の繰り返しごとに自身と同一の通信経路を担うものとなる中継器6を連係中継器6として上位下位の関係とともに自身の記憶部22に追加登録することで、また、前記最終工程において自身を含む連係中継器6夫々の管轄端末器4を自身の記憶部22に登録することで、中央管理装置3による通信経路の自動決定に並行して前述の如き各中継器6ごとの通信経路情報(通信上の道標)を自身の記憶部22内に構築する。
【0074】
そして、上記の如き通信経路網の自動決定後、中央管理装置3の演算制御部25は、システムの構築者ないし管理者の指示にしたがって、各端末器4や各中継器6に対する種々の必要な設定処理を決定通信経路網を用いた無線通信により実行する。
【0075】
以上要するに、本実施形態では、センサ検出情報を中央管理装置3に送ることについて(図7参照)、各端末器4は、センサ2の検出情報に基づき監視対象機器1(蒸気トラップ)が正常か否かを判定して、その判定結果に応じ、監視対象機器1が正常なときにはセンサ検出情報信号SSの送信を行わずに上記判定の結果を示す所定の短信号Sy(監視対象機器1の正常を示す短信号)を送信し、かつ、監視対象機器1が異常なときにはセンサ検出情報信号SSを送信する構成にしてある。
これに対し、各中継器6は、監視対象機器1の正常を示す短信号Syを受信したときには、その短信号Syの中継を行わずにその短信号Syの受信記録を自身の記憶部22に記録し、かつ、センサ検出情報信号SSを受信したときには、そのセンサ検出情報信号SSの中継を行う構成にしてある。
そして、中央管理装置3は、監視対象機器1の正常を示す短信号Syについての受信記録情報を無線通信により受信記録情報信号Sy′として各中継器6から受け取る構成にしてある。
【0076】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を列記する。
【0077】
センサ検出情報を中央管理装置3に送ることについて、前述の実施形態で示した構成に代え、次の(a)や(b)のシステム構成を採用してもよい。
【0078】
(a)図8の(イ),(ロ)に示す如く、端末器4は、センサ2の検出情報に基づき監視対象機器1が正常か否かを判定して、その判定結果を示す所定の短信号Sx,Syをセンサ検出情報信号SSとともに送信する構成にする。
これに対し、中継器6は、監視対象機器1の正常を示す短信号Syを受信したときには、図8の(ロ)に示す如く、その短信号Syに付随するセンサ検出情報信号SSの中継を行わずにその短信号Syの中継を行い、かつ、監視対象機器1の異常を示す短信号Sxを受信したときには、図8の(イ)に示す如く、その短信号Sxに付随するセンサ検出情報信号SSの中継を行う構成にする。
【0079】
(b)図9の(イ),(ロ)に示す如く、端末器4は、センサ2の検出情報に基づき監視対象機器1が正常か否かを判定して、その判定結果を示す所定の短信号Sx,Syをセンサ検出情報信号SSとともに送信する構成にする。
これに対し、中継器6は、監視対象機器1の正常を示す短信号Syを受信したときには、図9の(ロ)に示す如く、その短信号Sy及びそれに付随するセンサ検出情報信号SSの中継を行わずにその短信号Syの受信記録を自身の記憶部22に記録し、かつ、監視対象機器1の異常を示す短信号Sxを受信したときには、図9の(イ)に示す如く、その短信号Sxに付随するセンサ検出情報信号SSの中継を行う構成にする。
そして、中央管理装置3は、図9の(ハ)に示す如く、監視対象機器1の正常を示す短信号Syについての受信記録情報を無線通信により受信記録情報信号Sy′として中継器6から受け取る構成にする。
【0080】
請求項1〜3に係る発明は端末器4が1つのみのシステムにも適用でき、さらに、請求項1〜3に係る発明は端末器4から中央管理装置3の側への一方通行的な通信のみを行うシステムにも適用できる。
【0081】
中央管理装置3が、監視対象機器1の正常を示す短信号Syについての受信記録情報を受信記録情報信号Sy′として中継器6から受け取るようにする場合、中央管理装置3からの要求無しに中継器6から周期的ないし定時的に受信記録情報信号Sy′を送信するのに代えて、中央管理装置3の側から中継器6に対し適時に受信記録情報信号Sy′の送信を要求するようにしてもよい。
【0082】
端末器4はシングル用端末器4Sあるいはマルチ用端末器4Mのいずれか一方のみにしてもよく、また、センサ接続数の異なる複数種のマルチ用端末器4Mを用いるようにしてもよい。
【0083】
また、前述の実施形態では、監視対象機器1の近傍に配置した端末器4に対しリード線5を介してセンサ2を接続する例を示したが、これに代え、センサ2を組み付けた端末器4を監視対象機器1に対し取り付けて、その組み付けセンサ2により監視対象機器1の状態を検出するようにしてもよく、端末器4の具体的構造、及び、端末器4に対するセンサ2の具体的接続構造は夫々、種々の構成変更が可能である。
【0084】
端末器4と中央管理装置3の間での無線通信にはスペクトラム拡散方式に限らず、種々の方式を採用できる。
【0085】
監視対象機器は蒸気トラップに限られるものではなく、弁、ポンプ、ファン、タンク、熱交換器、工作機器などであってもよく、本発明は種々の機器の監視に適用できる。
【0086】
また、監視対象機器に装備するセンサも振動センサや温度センサに限られるものではなく、監視対象機器や監視目的に応じて種々のセンサを採用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 監視システムの全体を示す概略平面図
【図2】 端末器を示す斜視図
【図3】 端末器の構成を示すブロック図
【図4】 中継器の構成を示すブロック図
【図5】 中央管理装置の構成を示す斜視図
【図6】 通信経路網を示す図
【図7】 信号送信形態の説明図
【図8】 別実施形態を示す信号送信形態の説明図
【図9】 他の別実施形態を示す信号送信形態の説明図
【符号の説明】
1 監視対象機器(蒸気トラップ)
2 センサ
3 中央管理装置
4 端末器
6 中継器
22 中継器の記憶部
SS センサ検出情報信号
Sx,Sy 判定結果を示す短信号
Sy′ 受信記録情報の信号
Claims (3)
- 監視対象機器に機器状態検出用のセンサを装備し、このセンサの検出情報を無線通信により中央管理装置に送る端末器を設けるとともに、前記端末器と前記中央管理装置との間での無線通信を中継する中継器を設ける機器監視システムであって、
前記端末器が、前記センサの検出情報に基づき監視対象機器が正常か否かを判定して、その判定結果に応じ、監視対象機器が正常なときにはセンサ検出情報信号の送信を行わずに前記判定の結果を示す所定の短信号を送信し、かつ、監視対象機器が異常なときにはセンサ検出情報信号を送信する構成にし、
前記中継器が、監視対象機器の正常を示す前記短信号を受信したときには、その短信号の中継を行わずにその短信号の受信記録を自身の記憶部に記録し、かつ、センサ検出情報信号を受信したときには、そのセンサ検出情報信号の中継を行う構成にし、
前記中央管理装置が、監視対象機器の正常を示す前記短信号についての受信記録情報を無線通信により前記中継器から受け取る構成にしてある機器監視システム。 - 監視対象機器に機器状態検出用のセンサを装備し、このセンサの検出情報を無線通信により中央管理装置に送る端末器を設けるとともに、前記端末器と前記中央管理装置との間での無線通信を中継する中継器を設ける機器監視システムであって、
前記端末器が、前記センサの検出情報に基づき監視対象機器が正常か否かを判定して、その判定結果を示す所定の短信号をセンサ検出情報信号とともに送信する構成にし、
前記中継器が、監視対象機器の正常を示す前記短信号を受信したときには、その短信号に付随するセンサ検出情報信号の中継を行わずにその短信号の中継を行い、かつ、監視対象機器の異常を示す前記短信号を受信したときには、その短信号に付随するセンサ検出情報信号の中継を行う構成にしてある機器監視システム。 - 監視対象機器に機器状態検出用のセンサを装備し、このセンサの検出情報を無線通信により中央管理装置に送る端末器を設けるとともに、前記端末器と前記中央管理装置との間での無線通信を中継する中継器を設ける機器監視システムであって、
前記端末器が、前記センサの検出情報に基づき監視対象機器が正常か否かを判定して、その判定結果を示す所定の短信号をセンサ検出情報信号とともに送信する構成にし、
前記中継器が、監視対象機器の正常を示す前記短信号を受信したときには、その短信号及びそれに付随するセンサ検出情報信号の中継を行わずにその短信号の受信記録を自身の記憶部に記録し、かつ、監視対象機器の異常を示す前記短信号を受信したときには、その短信号に付随するセンサ検出情報信号の中継を行う構成にし、
前記中央管理装置が、監視対象機器の正常を示す前記短信号についての受信記録情報を無線通信により前記中継器から受け取る構成にしてある機器監視システム。
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