JP3815410B2 - 熱延鋼帯の冷却制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱延鋼帯の冷却制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の鋼帯搬送路での熱延鋼帯の冷却制御は、冷却装置入側の予測または実績温度と、冷却装置出側の目標温度とから、冷却装置の各冷却バンクのオン/オフおよびその注水量を鋼帯の搬送にあわせて制御するものである。
【0003】
特開平5−277535号には所望の材質を実現するために、鋼板の加速による鋼板速度の変化がある場合や、仕上出口温度に変化がある場合でも、必要な冷却速度および巻取温度を容易に鋼板全長に亘って確保する方法として、鋼板の仕上圧延機と巻取機との間に鋼板に対する冷却水の注水のオン/オフおよびその注水量を個別に調節できる水冷バンクを搬送方向に間隔を置いて多数設けて冷却帯を構成し、かつ仕上圧延機の出側に鋼板の仕上出口温度計を、冷却帯の出側に巻取温度計をそれぞれ設け、ある時間間隔で仕上出口温度計により検出したサンプリング点を、当該鋼板の速度およびその速度変化を取り込みながらトラッキングし、各サンプリング点が鋼板の速度変化に影響されることなく一定の冷却速度とするように各冷却バンクの注水量の制御を行うとともに、水冷終了後空冷過程を経て当該サンプリング点が目標巻取温度となるように冷却バンクをオン/オフして水冷する全バンク長を制御する方法が示されている。
【0004】
また、特開平6−238312号には所望の材質を実現するために、鋼板の加速による鋼板速度の変化がある場合でも、γ→α変態完了までの温度履歴および巻取温度を一定に制御して、材料の機械的特性の均一化を図る方法として、冷却帯を前半の温度履歴制御ゾーンと後半の巻取温度制御ゾーンに分ける。温度履歴制御ゾーンにおいては、予測材料速度を用い、予め設定された水冷および空冷時間を確保するように各水冷装置の開閉パターンを制御する。巻取温度制御ゾーンにおいては、目標巻取温度となるための水冷および空冷パターンを計算し、これに基づいて各水冷装置を制御する方法が示されている。
【0005】
更に、特公平4−11608号には、熱間圧延に際し、圧延直後0.5秒以内に熱伝達係数が1000Kcal/m2hr℃以上の冷却応力で急冷して圧延歪を蓄積した状態から変態させることで、γ→α変態によるα細粒化による材質の向上が可能であることが開示されている。特公平4−11608号の第2図には、圧延後の急冷開始時間とフェライト粒径との関係が示され、この図から、冷却開始時間が0.5秒以内であることが必要との結論が示されている。また、これらの冷却を実現するための手段として、圧延機出側の直近急冷装置とその使用方法が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術には次のような問題がある。
【0007】
熱延鋼帯の通常の生産では、圧延速度を鋼帯の先端部から尾端部に向かって徐々に増速させる、加速圧延と呼ばれる方法が用いられる。加速圧延では仕上圧延温度の確保のほか、鋼帯先端部は通板性確保のために低速圧延が望ましいこと、鋼帯中央部は生産性確保のために高速圧延が望ましいという理由から広く一般的に行われている。
【0008】
これに対し、特公平4−11608号には、冷却開始時間を圧延終了後0.5秒以内にさせるための圧延機出側の直近急冷装置の配置および、その使用方法について示されているが、前述した加速圧延時の使用方法については具体的な記載がない。それは特公平4−11608号では、材質上、フェライト粒径は小さいほど望ましいし、第2図の圧延後の急冷開始時間の0〜0.4秒の間の時間差に対するフェライト粒径の差は材質上無視できる、という考えに基づいているからである。この考えによれば、特公平4−11608号記載の直近急冷装置は、少なくとも鋼帯の先端部搬送時に、冷却開始時間が圧延終了後0.5秒以内となるよう仕上圧延機最終段に近接して配置すれば、その後の加速圧延によって鋼帯搬送速度が増速されても、鋼帯長手全長にわたって冷却開始時間は0.5秒以内となり、組織を微細粒化することができる。また、もし特公平4−11608号の第2図から、冷却開始時間0.5秒の場合と、0.4秒の場合とでのフェライト粒径の差が材質上無視できない場合でも、鋼帯の先端部搬送時に冷却開始時間が圧延終了後0.4秒以内となるように直近冷却装置を配置すれば、その後の加速圧延によって鋼帯搬送速度が増速されても、鋼帯長手全長にわたって冷却開始時間は0.4秒以内とすることができ、その結果フェライト粒径が常に約4μmとなり鋼帯長手全長にわたって均質な材質を得ることができる。
【0009】
ところが、本発明者らは圧延後の急冷開始時間とフェライト粒径との関係が図3のような鋼種があることを見出した。この鋼種に対しては、冷却開始時間を一定に保つことをしない前記特公平4−11608号の方法によれば、加速圧延に伴って変化する鋼帯搬送速度に応じて冷却開始時間が変化し、フェライト粒径が鋼帯長手方向で変化し、その結果、鋼帯長手方向で均一な材質を得ることができない。
【0010】
一方、特開平5−277535号には、鋼板の加速による鋼板速度の変化がある場合でも、必要な冷却速度および巻取温度を容易に鋼板全長に亘って確保する方法が示されているが、冷却開始時刻を一定に保つ方法は何ら述べられていない。また、特開平6−238312号には、γ→α変態完了までの温度履歴および巻取温度を一定に制御して、材料の機械的特性の均一化を図る方法が示されており、圧延直後の急速冷却の効果についても述べられている。しかし、特開平6−238312号においても、冷却開始時刻を一定に保つことについては何ら述べられておらず、上述した図3の鋼種に対して特開平6−238312号の方法を適用すれば、冷却開始時刻が加速圧延に伴って変化し、その結果鋼帯長手方向で均一な材質を得ることはできない。
【0011】
したがって本発明の目的は、鋼帯の加速圧延に伴って鋼帯搬送速度が変化する際にも、鋼帯の長手方向に均質な材料となるような熱延鋼帯の冷却制御方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明の熱延鋼帯の冷却制御方法は以下のような特徴を有する。
【0013】
(1)熱延鋼帯の製造設備における仕上圧延機の後方に設けられ、所定間隔を有して配置され熱延鋼帯を搬送する複数の搬送ロールからなる鋼帯搬送路と、該鋼帯搬送路の上面側に配置され、熱延鋼帯上面に対して冷却水を噴射し冷却する上面冷却手段と、該上面冷却手段と対向して下面側に配置され、熱延鋼帯下面に対して冷却水を噴射し冷却する下面冷却手段との上下1対を一つの冷却バンクとした、複数の冷却バンクとから構成される熱延鋼帯の冷却装置を用いた熱延鋼帯の冷却制御方法であって、鋼帯長手方向で冷却開始時間が一定となるように、前記複数の冷却バンクのうち、吐出する最上流のバンクを熱延鋼帯の搬送速度に応じて変化させることを特徴とする熱延鋼帯の冷却制御方法。
【0014】
(2)熱延鋼帯の製造設備における仕上圧延機の後方に設けられ、所定間隔を有して配置され熱延鋼帯を搬送する複数の搬送ロールからなる鋼帯搬送路と、該鋼帯搬送路の上面側に配置され、熱延鋼帯上面に対して冷却水を噴射し冷却する上面冷却手段と、該上面冷却手段と対向して下面側に配置され、熱延鋼帯下面に対して冷却水を噴射し冷却する下面冷却手段との上下1対を一つの冷却バンクとした、複数の冷却バンクとから構成される熱延鋼帯の冷却装置を用いた熱延鋼帯の冷却制御方法であって、熱延鋼帯と上面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔および熱延鋼帯と下面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔を近接して配置するとともに、前記複数の冷却バンクのうち、吐出する最上流のバンクを熱延鋼帯の搬送速度に応じて変化させることを特徴とする熱延鋼帯の冷却制御方法。
【0015】
(3)熱延鋼帯の製造設備における仕上圧延機の後方に設けられ、所定間隔を有して配置され熱延鋼帯を搬送する複数の搬送ロールからなる鋼帯搬送路と、該鋼帯搬送路の上面側に配置され、熱延鋼帯上面に対して冷却水を噴射し冷却する上面冷却手段と、該上面冷却手段と対向して下面側に配置され、熱延鋼帯下面に対して冷却水を噴射し冷却する下面冷却手段との上下1対を一つの冷却バンクとした、複数の冷却バンクとから構成される熱延鋼帯の冷却装置を用いた熱延鋼帯の冷却制御方法であって、熱延鋼帯と上面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔および熱延鋼帯と下面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔を近接して配置するとともに、鋼帯長手方向で冷却開始時間が一定となるように、前記複数の冷却バンクのうち、吐出する最上流のバンクを熱延鋼帯の搬送速度に応じて変化させることを特徴とする熱延鋼帯の冷却制御方法。
【0016】
(4)前記熱延鋼帯の冷却装置に、前記複数の冷却バンクの冷却水が互いに干渉しないように配置した水切り手段を備えることを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却制御方法。
【0017】
(5)熱延鋼帯と上面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔および熱延鋼帯と下面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔を30〜100mmとすることを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却制御方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明の熱延鋼帯の冷却制御方法の一実施形態を示すもので、図1は本発明の実施に供される熱延鋼帯の冷却装置および本発明法の一実施形態を示す説明図、図2は本発明法における鋼帯搬送速度の増減と最上流冷却水吐出バンクとの関係を示す説明図である。
【0019】
図1に示す熱延鋼帯の冷却装置2は、仕上圧延機の最終段(F7)1下流に設置され、所定間隔を有して配置され熱延鋼帯を搬送する複数の搬送ロール(図示せず)からなる鋼帯搬送路と、1対の上面および下面冷却手段からなる複数の冷却バンク5と、前記冷却装置の入側および出側にそれぞれ設置された板温計3および4と、冷却バンク5の冷却水が互いに干渉しないように配置した水切り手段である水切りロール(図示せず)とから構成されている。
【0020】
本実施形態の冷却装置2は、15個の冷却バンクから構成され、各冷却バンクは水切りロールで区切られている。各冷却バンク毎且つ各バンクの上面および下面冷却手段毎に冷却水のオン/オフが可能となっている。
【0021】
図2の横軸は1本の熱延鋼帯が冷却装置を通過する間の時間経過を示している。この時間経過の間に熱延鋼帯の搬送速度は一度上昇して、その後減少する。鋼帯搬送速度の増減に伴って吐出する最上流の冷却バンクも変化する。
【0022】
あらかじめ決められた冷却開始時間を鋼帯長手方向で一定に保つために、複数の冷却バンクを備える冷却装置の中での最上流の冷却水吐出バンクの選択方法を以下に示す。冷却開始時間を鋼帯長手方向で一定に保つためには、
V :鋼帯搬送速度
s :冷却装置内の最上流の冷却水吐出バンクのインデックス、
Li :仕上圧延機最終段(F7)と冷却バンクiとの距離
(iは冷却バンクのインデックス)
T :あらかじめ決められた冷却開始時間
Ls :仕上圧延機最終段(F7)と冷却装置内の最上流の冷却水吐出バンクとの距離
を用いて、
Ls=V×T ・・(1)
を満たす冷却バンクsを選べばよい。鋼帯搬送速度Vは鋼帯長手方向で変化するので、その変化に応じて仕上圧延機最終段(F7)と冷却装置内の最上流の冷却水吐出バンクとの距離Lsが変化し、Lsを満たす冷却装置内の最上流の冷却水吐出バンクsも変化する。
【0023】
本実施形態は、板厚が3mmの熱延鋼帯の冷却では冷却速度が200℃/sec以上となるような急速冷却をする場合の鋼帯の温度制御として有効である。また、このような強冷却を可能とするため、熱延鋼帯と上面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔および熱延鋼帯と下面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔は30〜100mmとすることが好ましい。これは100mmを超えると冷却水量の勢いが弱まり強冷却が不可能になり、逆に30mm未満では、ノズル出口が鋼板に近づき過ぎて冷却水の行き場がなくなり良好な水流が得られなくなるからである。
【0024】
上述したように、吐出する最上流のバンクを、前記熱延鋼帯の搬送速度に応じて変化させることを特徴とする熱延鋼帯の冷却装置の好ましい形態としては、以下があげられる。
▲1▼上面冷却手段および水切り手段は昇降自在である。
▲2▼水切り手段は水切りロールを備えていること。
▲3▼上記▲2▼の水切りロールを上記冷却手段の入側または出側または出入側に配置し、上記水切りロールと搬送する熱延鋼帯に対して対向する搬送ロールと1対で、上記熱延鋼帯をピンチすること。
▲4▼上記▲2▼の水切りロールを上記冷却手段の入側または出側または出入側に配置し、上記水切りロールと搬送する熱延鋼帯との間に隙間を有して配置すること。
【0025】
▲5▼上記▲4▼の際は水切りロールおよび搬送ロールの周速と熱延鋼帯の搬送速度とは同じかわずかな周速差を設ける。
【0026】
上面冷却手段および水切り手段は上下に昇降自在とするのが好ましい。熱延鋼帯先端が通過する際は、水切り手段を上方に退避して、先端の通過後降下させることにより、熱延鋼帯先端と上面冷却手段および水切り手段の衝突による熱延鋼帯の疵発生や通板トラブルを回避できる。
【0027】
また、水切り手段は水切りロールであることが好ましい。熱延鋼帯の通板性や疵発生を押さえるのに有効である。
【0028】
更に、水切りロールは搬送する熱延鋼帯に対して対向する搬送ロールと1対で、上記熱延鋼帯をピンチするピンチロールの機能を併せ持たせることが好ましい。熱延鋼帯の通板性と水切りの確実性を高めるために有効である。
【0029】
また、水切りロールと搬送する熱延鋼帯との間に隙間を有して配置することも好ましい。水切りロールと熱延鋼帯の間に隙間を設ける形式は、上述した水切りロールと搬送ロールで熱延鋼帯をピンチする形態に対して、水切り確実性は劣るものの、熱延鋼帯に対する負荷荷重の調整や水切りロールおよび搬送ロールの回転と熱延鋼帯の搬送速度を同期させる調整が不要となり、複雑な制御が不要な点でコストに有利である。
【0030】
水切りロールの周速が鋼帯の搬送速度とほぼ一致するように水切りロールを回転させ、さらに水切りを確実にするために、水切りロールについて冷却装置の反対側に少なくとも1つ以上の流体噴射ノズルを設け、水切りロールと鋼帯の隙間から流出する冷却水を鋼帯上から速やかに排出させる。
【0031】
水切りロールと熱延鋼帯との隙間は狭ければ狭いほど水切り効果が高いが、実際の設備では搬送に伴う鋼帯の振動があるので、その隙間は望ましくは1〜10mmを保持するように設定するのがよい。1mm未満では水切りロールと熱延鋼帯が接触し、熱延鋼帯に疵が発生するためであり、10mm超えでは十分な水切り効果が得られないからである。
【0032】
また、水切りロールと熱延鋼帯の間に隙間を設ける場合、水切りロールと搬送ロールおよび熱延鋼帯の搬送速度はほぼ同じ速度とするが、熱延鋼帯の先端が冷却装置を通過する際は、熱延鋼帯の先端の通板性を高めるために、水切りロールと搬送ロールの回転速度を熱延鋼帯の搬送速度よりも速くするのが好ましい。0〜20%の速度差を設けるのが好ましい。熱延鋼帯先端に張力をかけ、通板しやすくするためで、5〜20%の速度差を設けるのが、更に好ましい。
【0033】
以下に水切りロールについて、より具体的に説明する。
【0034】
水切りロールは、熱延鋼帯の通板性や冷却水の水切り性を優先させる場合には、熱延鋼帯を介して対向する搬送ロールで熱延鋼帯をピンチするのが好ましい。ところが、熱延鋼帯をピンチすると、ピンチロールのスリップにより熱延鋼帯に疵を付ける恐れがあるし、水切りロールおよび搬送ロールの回転と熱延鋼帯の搬送速度を同期させる制御上の複雑さもある。
【0035】
また、熱延鋼帯への疵付きと制御上の複雑さを回避することを優先させる場合は、水切りロールと熱延鋼帯との間に水切りの機能を損なわない程度に隙間を設けることが好ましい。この場合、水切りロールの隙間から漏れ出る冷却水を鋼帯上から系外へ吹き飛ばす流体噴射ノズルを水切りロールの後段側に配置するのが好ましい。
【0036】
更に、冷却手段が冷却バンクを複数台配置した冷却バンク群で構成される場合、冷却バンク群の入口側、出口側、または、中間位置の少なくとも一カ所に前記水切りロールの一部に代えてピンチロールを配置するのが好ましい。水切りロールと鋼帯との間に隙間を設けた場合、冷却バンク群の入口側にループが発生し、通板不安定となる場合があるが、入口側に設けたピンチロールで熱延鋼帯を冷却装置内に素速く送り込み、冷却装置外へ送り出すためである。ピンチロールは出口側や中間位置に設けても良いが、動作を早くするためには、入口側と同時に出口側や中間位置にもピンチロールを配置するのが好ましい。
【0037】
このように、水切りロールと鋼帯との間に隙間を設けた場合、水切り確実性は劣るものの、熱延鋼帯の疵付きが減少し、熱延鋼帯の搬送速度に水切りロールおよび搬送ロールの回転速度を同期させる厳密な調整が不要となり、複雑な制御が不要な点でコストに有利である。
【0038】
図4は、冷却装置と水切り手段の配置の一例を示したものである。
【0039】
図4では、熱延鋼帯10の上面側に、下面側に設けられている搬送ロール11にほぼ対向する位置に水切りロール13を備えている。この水切りロール13は、水切りの特性上、搬送ロール11にほぼ対向する位置の全てに設けられるのが好ましい。図中5aおよび5bは、それぞれ下面冷却手段および上面冷却手段を示している。また、図中12aおよび12bは、熱延鋼帯10の通板安定化の役割と、各冷却バンクや冷却水吐出口を熱延鋼帯の衝突から保護する役割を有する下面防護板および上面防護板を示している。
【0040】
更に、図中14は冷却バンク群の入口側に配置されたピンチロールを示している。
【0041】
【実施例】
圧延後の板厚3mm、仕上温度860℃の鋼帯を複数の冷却バンクを具備した冷却装置で鋼帯上下から冷却して、500℃まで冷却した場合の本発明の実施例を図2で説明する。冷却装置には、15個(#1〜#15)の冷却バンク数が備えられており、その最上流の冷却バンク(#1バンク)は、仕上圧延機最終段(F7)からの距離が3mである。また冷却装置内の各冷却バンクの鋼板長手方向の長さは0.5mであり、冷却装置全体の長手長さは7.5mである。鋼帯搬送速度は加速圧延に伴って、鋼帯先端圧延時の600mpmから鋼帯長手中央部の900mpmまで増速する。また、冷却開始時間は、材質設計上0.5秒とあらかじめ決められている。
【0042】
このとき、実施例では冷却装置内の最上流冷却水吐出バンクは、(1)式から求める。具体的には、鋼帯先端圧延時は、搬送速度が600mpmであるから、Ls=5mで、これを満たす最上流冷却水吐出バンクsは#5バンクである。鋼帯搬送速度を900mpmまで増速させると、冷却開始時間0.5秒を満たす、最上流冷却水吐出バンクは、
660mpmのとき、 #6バンク
720mpmのとき、 #7バンク
780mpmのとき、 #8バンク
840mpmのとき、 #9バンク
900mpmのとき、 #10バンク
となり、鋼帯搬送速度の増加に伴って、最上流吐出バンクは下流側バンクへと移動する。図2に鋼帯搬送速度の変化に伴う冷却装置内の冷却水吐出バンクと、最上流冷却水吐出バンクの推移を示す。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、熱延鋼帯における冷却開始時間が鋼帯の長手方向各部で同じになるように冷却することができ、鋼帯長手方向で均質な材料の微細粒化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に供される熱延鋼帯の冷却装置および本発明法の一実施形態を示す説明図
【図2】本発明法における鋼帯搬送速度の増減と最上流冷却水吐出バンクとの関係を示す説明図
【図3】圧延後の冷却開始時間とフェライト粒径との関係を示す説明図
【図4】冷却装置と水切り手段の配置の一例を示した説明図
【符号の説明】
1 仕上圧延機の最終段
2 熱延鋼帯の冷却装置
3 冷却装置の入側板温計
4 冷却装置の出側板温計
5 冷却バンク
5a 下面冷却手段
5b 上面冷却手段
10 熱延鋼帯
11 搬送ロール
12a 下面防護板
12b 上面防護板
13 水切りロール
14 ピンチロール
Claims (5)
- 熱延鋼帯の製造設備における仕上圧延機の後方に設けられ、所定間隔を有して配置され熱延鋼帯を搬送する複数の搬送ロールからなる鋼帯搬送路と、
該鋼帯搬送路の上面側に配置され、熱延鋼帯上面に対して冷却水を噴射し冷却する上面冷却手段と、該上面冷却手段と対向して下面側に配置され、熱延鋼帯下面に対して冷却水を噴射し冷却する下面冷却手段との上下1対を一つの冷却バンクとした、複数の冷却バンクと
から構成される熱延鋼帯の冷却装置を用いた熱延鋼帯の冷却制御方法であって、
鋼帯長手方向で冷却開始時間が一定となるように、前記複数の冷却バンクのうち、吐出する最上流のバンクを熱延鋼帯の搬送速度に応じて変化させることを特徴とする熱延鋼帯の冷却制御方法。 - 熱延鋼帯の製造設備における仕上圧延機の後方に設けられ、所定間隔を有して配置され熱延鋼帯を搬送する複数の搬送ロールからなる鋼帯搬送路と、
該鋼帯搬送路の上面側に配置され、熱延鋼帯上面に対して冷却水を噴射し冷却する上面冷却手段と、該上面冷却手段と対向して下面側に配置され、熱延鋼帯下面に対して冷却水を噴射し冷却する下面冷却手段との上下1対を一つの冷却バンクとした、複数の冷却バンクと
から構成される熱延鋼帯の冷却装置を用いた熱延鋼帯の冷却制御方法であって、
熱延鋼帯と上面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔および熱延鋼帯と下面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔を近接して配置するとともに、
前記複数の冷却バンクのうち、吐出する最上流のバンクを熱延鋼帯の搬送速度に応じて変化させることを特徴とする熱延鋼帯の冷却制御方法。 - 熱延鋼帯の製造設備における仕上圧延機の後方に設けられ、所定間隔を有して配置され熱延鋼帯を搬送する複数の搬送ロールからなる鋼帯搬送路と、
該鋼帯搬送路の上面側に配置され、熱延鋼帯上面に対して冷却水を噴射し冷却する上面冷却手段と、該上面冷却手段と対向して下面側に配置され、熱延鋼帯下面に対して冷却水を噴射し冷却する下面冷却手段との上下1対を一つの冷却バンクとした、複数の冷却バンクと
から構成される熱延鋼帯の冷却装置を用いた熱延鋼帯の冷却制御方法であって、
熱延鋼帯と上面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔および熱延鋼帯と下面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔を近接して配置するとともに、
鋼帯長手方向で冷却開始時間が一定となるように、前記複数の冷却バンクのうち、吐出する最上流のバンクを熱延鋼帯の搬送速度に応じて変化させることを特徴とする熱延鋼帯の冷却制御方法。 - 前記熱延鋼帯の冷却装置に、前記複数の冷却バンクの冷却水が互いに干渉しないように配置した水切り手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却制御方法。
- 熱延鋼帯と上面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔および熱延鋼帯と下面冷却手段の冷却水の吐出口との間隔を30〜100mmとすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却制御方法。
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