JP3813009B2 - 透明電極用基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子材料分野において有用な透明電極用基板に関し、さらに詳しくは、樹脂基板をベース基板として用いたタッチパネル用透明電極基板に関する。また、本発明は、該タッチパネル用透明電極基板を用いて得られるタッチパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、抵抗方式の透明タッチパネルには、電極の形成状態の違いにより、マトリックス方式と呼ばれるものと、アナログ方式と呼ばれるものがある。いずれの方式も、タッチ側および非タッチ側に用いられる透明絶縁性基材に、酸化錫膜やITO(Indium tin oxide)膜等の電極膜を真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ゾルゲル法等により製膜し、必要に応じてエッチングや絶縁塗料の被覆により所望の電極パターンを形成させた後、絶縁スペーサーを介して両電極膜面を対向配置し、製作されている。
現在汎用されている透明電極には、ガラス基板上に酸化錫膜やITO(Indium tin oxide)膜等を形成した透明導電性積層物(いわゆる、ネサガラス)が広く用いられている。しかしながら、ガラス基板は、耐熱性、寸法安定性等に優れる反面、可とう性、加工性、耐衝撃性が劣る為、用途面での制約を受け、さらには薄型化、量産化の期待にも応えることが困難であった。
そこで近年、軽量で耐衝撃性、加工性、生産性等に優れた透明樹脂基板が注目され、これらを無機ガラス代替として用いた電極基板が提案されている。
【0003】
例えば、特開昭59−204545号には、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、またはポリエチレンテレフタレート等の一般的な熱可塑性樹脂上に、SiOxアンダーコート膜、ITO膜の順序に有する電極基板が提案されているが、これらの樹脂では耐熱性に乏しく、リターデーションや表面精度の点でも問題があり、高精度な電極基板としては不適である。また、これらは、通常生産性の面からフィルムとして用いられるが、剛性がないため、大型化できないという問題もある。
一方、特開平5−323303号に開示されているようなマレイミド系の架橋樹脂を用いる技術では、リターデーションや表面精度の点では改善されるが、その耐熱性は200℃未満であり、カラー液晶表示等に必要な、低抵抗なITO膜を付けることは困難である。
【0004】
通常、タッチパネルに透明樹脂基板を用いる場合、上部電極には透明導電層をプラスチックフィルムまたはシート基板に直接設けた透明電極を使用し、下部電極には、上部電極と同様のものを使用する場合と、ガラスを基板として透明導電層を設けた透明電極を用いる場合がある。
上部電極と下部電極とは絶縁スペーサーを介して対向させ、上部電極から押圧された打点で強く接触するものであるため、これに耐えうる良好な持久特性が必要であり、特に上部電極としてプラスチックを使用する場合、ペンでなぞる工程を考えるとかなりの表面硬度が必要である。
下部電極としてプラスチックフィルムまたはシート基板を用いた場合には、ガラスが有しているような剛性をもたせるため、プラスチックフィルムまたはシート基板の他に支持板を用いる必要性があるが、工程が増える、透過率が落ちるなど問題も多い。
これらを改良するために、基板となるプラスチックフィルムまたはシートの厚みを増す、2枚のフィルムを貼り合わせる等の方法も考えられるが、従来の透明樹脂では表面精度、リターデーションの点から使用に耐えうるものはほとんどなく、これらを満たすアクリル板も、耐熱性の点から使用できなかった。
【0005】
また、透明樹脂基板上に種々のバリヤー層を設けて性能を付与する試みがなされているが、このような電極基板において、耐熱性、耐薬品性、密着性等の要求特性を十分に満足できるものは未だ知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、表面硬度、耐屈曲性および光学特性に優れたプラスチックフィルムまたはシートをベース基板として用いたタッチパネル用電極基板を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、鉛筆硬度、曲げ弾性率、リターデーション、可視領域の光線透過率の優れた三次元架橋構造の樹脂基板を用いることにより、優れたタッチパネル用透明電極基板が得られることを見出し、本発明を完成するに到ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は、▲1▼鉛筆硬度が4H以上で、曲げ弾性率が400kgf/mm2 以上の剛性を有し、リターデーションが1nm以下、可視領域の光線透過率が85%以上である三次元架橋構造の樹脂基板を用いたタッチパネル用透明電極基板に関するものである。
また、▲2▼三次元架橋構造の樹脂が、下記の(樹脂−a)または(樹脂−b)のいずれかである前記のタッチパネル用透明電極基板に関するものである。
・樹脂−a:1分子中に、下記一般式(1)(化3)で表される官能基と、下記一般式(2)または(3)(化3)で表される官能基とを兼備する単量体(A)を重合してなる樹脂。
【0009】
【化3】
Figure 0003813009
(式中、R1 は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子または硫黄原子を表す)
樹脂−b:単量体(A)と、下記式(4)、(5)および(6)(化4)で表される官能基群から選ばれる少なくとも1種の官能基をm個(mは1〜6の整数を表す)有する単量体(B)とを共重合してなる樹脂。
【0010】
【化4】
Figure 0003813009
更に、▲3▼前記のいずれかの基板を用いて得られる、アウター型タッチパネル、▲4▼前記のいずれかの基板を用いて得られる、インナー型タッチパネル、▲5▼前記のいずれかの基板を用いて得られる、タッチパネル部の基板と液晶表示部の基板とが一体型となった、一体型インナータッチパネルに関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のタッチパネル用透明電極基板は、鉛筆硬度、曲げ弾性率、リターデーション、可視領域の光線透過率に優れた三次元架橋構造の樹脂基板を用いてなるものである。
【0012】
本発明で用いる透明な三次元架橋構造の樹脂としては、任意の樹脂が使用できるが、表面硬度がある程度必要であり、鉛筆硬度が好ましくは4H以上、より好ましくは5H以上である。4Hよりも低い値では、ペンでなぞったときに傷がつきやすく、電極も傷みやすいので、あまり好ましくない。更に、耐屈曲性(剛性)もある程度必要であり、室温下において、曲げ弾性率が好ましくは400kgf/mm2 以上、より好ましくは420kgf/mm2 以上である。400kgf/mm2 よりも低い値では、大型な基板を作るときに十分な剛性が得られ難く、現在のガラス用製造ラインに流すことも困難であるので、あまり好ましくない。また、基板にリターデーションが存在すると、偏光が解消され、画像がにじむ等の問題が生じるため0であることが理想であり、特に、偏光板の内側に基板がくるインナータッチパネルや一体型インナータッチパネルでは、この影響が大きくなる。実際の使用上、可能な範囲としては、5nm以下が好ましく、1nm以下がより好ましい。
更に、樹脂の透明性は無着色時の可視領域の光線透過率を指標として表した場合、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。タッチパネルは、基板が何枚も重なっており、85%よりも透過率が低いと、画面全体が非常に暗くなってしまうという問題があるので、あまり好ましくない。
【0013】
本発明で用いる三次元架橋構造の樹脂としては、より好ましくは、前記の(樹脂−a)または(樹脂−b)である。(樹脂−a)は、一分子中に、前記一般式(1)で表される官能基と、前記一般式(2)または(3)で表される官能基とを兼備する単量体(A)と、前記式(4)、(5)および(6)で表される官能基群から選ばれた少なくとも一種の官能基をm個(mは1〜6の整数を表す)有する単量体(B)とを共重合してなる樹脂である。
これらの(樹脂−a)および(樹脂−b)は、特開平2−84406号公報、特開平3−14804号公報、特開平3−47817号公報、特開平3−72513号公報、特開平3−179015号公報、および特開平4−266927号公報等に記載の方法により製造することができる。
【0014】
1分子中に前記一般式(1)で表される官能基と、一般式(2)または(3)で表される官能基とを兼備する単量体(A)としては、例えば、イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートと、1分子中に少なくとも水酸基又はメルカプト基のいずれかの官能基と一般式(2)または(3)で表される官能基とを兼備する化合物(化合物P)との反応により得られるものである。
化合物Pとしては、
1.エポキシ基又はチイラン基をアクリル酸又はメタクリル酸で開環させて得られる化合物類、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、1,4−ブチレングリコールモノメタクリレート、グリセロール−1,2ジアクリレート、グリセロール−1,2ジメタクリレート、グリセロール−1,3ジアクリレート、グリセロール−1,3ジメタクリレート、グリセロール−1−アクリレート−3−メタクリレート、
2.フェニルグリシジルエーテル類のアクリル酸又はメタクリル酸の開環反応物、例えば、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,4−ジブロモフェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2,4−ジブロモフェノキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
3.ビスフェノールA−ジグリシジルエーテルのアクリル酸又はメタクリル酸の開環反応物、
4.ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、
5.ビニルベンジルアルコール、ビニルチオベンジルアルコール、
6.ビス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ビス(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、等が挙げられる。
【0015】
すなわち、単量体Aは、カルバミン酸エステル又はチオカルバミン酸エステルであり、例えば、イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートのイソシアネート基を、化合物Pの水酸基またはメルカプト基との反応によって得られる。この反応においては、合成反応が進み易いように、ジブチルスズジラウレートやジメチルスズジクロライド等のスズ化合物、又はモルフォリン、ジメチルアミノベンゼン等のアミン類を加えて行なっても良い。なお、後の重合の際のラジカル反応での着色を防ぐためには、スズ化合物を選択することが好ましい。又、反応の際に溶媒を用いた場合は、合成反応の後に溶媒を留去し、精製あるいは精製せずに単量体(A)を得る。
【0016】
単量体(A)としては、具体的には、N−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−2−アクリロイルオキシエチルカルバメート、N−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−2−メタクリロイルオキシエチルカルバメート、N−(4−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−2−アクリロイルオキシエチルカルバメート、N−(4−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−2−メタクリロイルオキシエチルカルバメート、N−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−1−アクリロイルオキシプロパン−2−イルカルバメート、N−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−1−メタクリロイルオキシプロパン−2−イルカルバメート、N−(4−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−1−アクリロイルオキシプロパン−2−イルカルバメート、N−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−1,3−ジアクリロイルオキシプロパン−2−イルカルバメート、N−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−1,3−ジメタクリロイルオキシプロパン−2−イルカルバメート、N−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン−2−イルカルバメート、N−(4−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−1,3−ジアクリロイルオキシプロパン−2−イルカルバメート、N−(3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−2,2−ジアクリロイルオキシメチル−3−アクリロイルオキシプロピルカルバメート、N−(4−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジル)−2,2−ジメタクリロイルオキシメチル−3−メタクリロイルオキシプロピルカルバメート等が挙げられる。また、イソシアネート化合物とメルカプト基との反応によるものとしては、上記のカルバメートがチオカルバメートになった化合物が挙げられる。
【0017】
単量体(B)は、前記の式(4)、(5)および(6)で表される官能基群から選ばれる少なくとも一種の官能基をm個(mは1〜6の整数を表す)有するものであり、アクリル酸、メタクリル酸のエステル、または、スチレンの誘導体である。
【0018】
m=1のものとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1,4−ブチレングリコールモノアクリレート、1,4−ブチレングリコールモノメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、メトキシスチレン等が挙げられる。
【0019】
m≧2のものとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、2,2−ビス(4−アクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アクリロイルオキシプロピロイルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロピロイルフェニル)プロパン、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、スピログリコールジアクリレート、スピログリコールジメタクリレート、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、2−プロペノイックアシッド〔2−(1,1−ジメチル−2−〔(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ)エチル〕−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル〕メチルエステル、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ビス(アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、トリス(メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、メチルトリ(アクリロイルオキシエトキシ)シラン、グリセロールジアクリレート、グリセロールジメタクリレート、ジブロムネオペンチルグリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ウレタンアクリレート類、ウレタンメタクリレート類、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(アクリロイルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(メタクリロイルオキシ)シクロトリホスファゼン、1,1,3,3,5,5−ヘキサ(アクリロイルエチレンジオキシ)シクロトリホスファゼン等が挙げられる。
【0020】
単量体(A)は、単独で重合可能な単量体であり、単独重合させることにより(樹脂−a)が得られる。また、単量体(A)と単量体(B)とを共重合させることにより(樹脂−b)が得られる。この共重合における単量体(A)と単量体(B)との単量体の比率は、各単量体の有する官能基の種類及び単量体の構造などにより一概には決められないが、単量体(A)中のイソプロペニルフェニル基1当量に対して、単量体(A)中の式(2)または(3)で表される官能基、および、単量体(B)中の式(4)、(5)または(6)で表される官能基群の総和が0.5当量〜10当量の範囲であることが好ましい。
【0021】
次に、本発明の電極用基板に用いる基板(以下、透明樹脂基板という)の製造法について述べる。
本発明の透明樹脂基板は、透明な三次元架橋構造の樹脂であり、好ましくは、前記の単量体(A)、または単量体(A)と(B)の混合物を、注型重合用鋳型の空間部に注入し、重合硬化させることによって得られる透明な三次元架橋構造の樹脂である。
本発明で用いる樹脂の重合はラジカル重合であり、熱重合のみならず、紫外線やγ線を用いた重合も可能であり、更にこれらを組み合わせて重合を行うこともできるが、熱重合法が簡便で特に好ましい。
熱重合を行う際のラジカル重合開始剤は特に限定されず、公知のベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が使用できる。その使用量は単量体の総量に対し、0.01重量%〜5重量%である。
熱重合における加熱温度は、50℃〜200℃であり、加熱時間は1時間〜8時間である。
【0022】
紫外線硬化による場合の光開始剤についても特に限定されず、公知のベンゾイン化合物、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾインプロパン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジルジメチルケタール、ジフェニルジスルフィド等が使用でき、その使用量は単量体の総量に対し、0.01重量%〜5重量%である。
γ線などの放射線を使用する場合は、一般的には重合開始剤などは必ずしも必要ではない。
【0023】
重合前のモノマー液には、本発明の透明樹脂基板が、経時的に着色したり、劣化することを防止するために、また、帯電を防止するために、予め酸化防止剤、または帯電防止剤などを加えることができる。更に必要に応じて、他の反応性モノマーを適宜加えてもよい。
このようにして調整したモノマー液は、必要に応じて、脱泡処理を施して重合に備える。
【0024】
本発明の透明樹脂基板の製造に際して使用する注型重合用鋳型とは、ガラス、金属、FRP等から選ばれた板材2枚と、軟質塩化ビニル、エラストマー、シリコーンゴムまたはテフロン等のシート状またはチューブ状のガスケット、及びそれらを固定するための固定具からなるものである。
表面精度に優れた樹脂板を得るためには、ガラス板やFRP板では表面研磨されたものが、また、金属板ではメッキ処理が施されたものが好適である。
尚、熱重合の場合には熱による変質や寸法安定性に欠けるものであってはならないから、この点にも留意して板材を選択する。
固定具は、どのような形態のものでも良いが、文具用バインダークリップなどが簡便に利用できる。
【0025】
本発明の透明樹脂基板の製造においては、必ずしも離型剤を必要とはしない。しかし、比較的薄く、かつ、大型の透明樹脂基板の製造の場合には、よりスムーズに、より良好に離型させるために、離型剤を用いることができる。この際、離型剤としては、外部離型剤、内部離型剤のいずれのものも使用できるが、成型工程の合理化の観点からは、内部離型剤であることが好ましい。
内部離型剤は、シリコン系、ワックス系、脂肪酸金属石鹸系、フッ素系、酸性リン酸エステル系等の通常用いられる内部離型剤から選択することができる。その使用量は、離型剤の種類や樹脂のモノマーの種類により、一概には決められないが、通常は、単量体の総量に対し、0.02重量%〜0.3重量%である。0.02重量%以下では、離型剤の効果は望めず、また0.3重量%以上を用いても離型性に変わりはない。過剰の使用は、モノマーのポットライフの低下、樹脂物性の変化等をもたらす傾向があり、好ましくはない。より好ましい内部離型剤は、離型性能が特に良く、安価で取扱い易い酸性リン酸エステル系である。
内部離型剤を用いる場合には、ラジカル開始剤や、その他の添加剤を加える時に同時に添加する。
【0026】
本発明に用いられる透明樹脂基板の厚みは、通常0.1〜2mm、好ましくは0.2〜1.5mmであり、更に好ましくは0.3〜1.1mmが適当である。基板が0.1mm未満である場合、また、2mmより厚い場合には、軽量性、成形性といったプラスチックの特性が活かされないため、透明電極基板にはさほど重要ではない。
【0027】
また、本発明の透明電極基板としては、前記のいずれかの透明樹脂基板の上に透明電極膜を設けて作られるものであるが、特に限定されるものではない。透明電極膜の材料としては、慣用の透明導電層の材料、例えば、金属酸化物を用いることができる。具体的には、SnO2 、CdO、ZnO、CTO系(CdSnO3 、Cd2 SnO4 、CdSnO4 )、In2 3 、CdIn2 4 等が挙げられる。好ましくは、上記の金属酸化物に、Sn、Sb、F及びAlから選ばれる1種または2種以上を添加した複合(ドープ)相である。その中でも好ましいのは、Snを添加したIn2 3 (ITO)、Sbを添加したSnO2 、Fを添加したSnO2 等であり、特にITOが好ましく用いられる。ITO中に含まれるSnの量は、特に限定されないが、インジウム100に対し0〜25重量部、好ましくは5〜18重量部が適当である。尚、これらの透明金属酸化物に微量の不純物が含まれていても構わない。
【0028】
これらの透明金属酸化物層の厚みは、目的や材質に応じて任意の厚みにすることができるが、100〜4000Å、好ましくは200〜3000Å、更に好ましくは300〜2000Åである。尚、透明金属酸化物層の厚みが100Å以下の場合は十分な導電性が得られず、さらに透明導電膜としての耐擦傷性が十分でない。また、4000Å以上の膜厚は、その必要がないばかりでなく製造コストのアップにつながり、更に光の干渉により透明性が低下したり、着色するなど好ましくない結果を引き起こす。
透明金属酸化物を形成する方法としては、公知の成膜法、例えばスプレー法、塗布法、真空処理法など公知の方法が利用できる。ここで真空処理法とは概ね真空下で金属などの薄膜を形成する方法であって、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、イオンクラスタービーム法、イオン蒸着薄膜形成法等の方法を用いることが出来る。さらにこれらの中で、スパッタリング法、イオンプレーティング法が好ましく用いられる。
【0029】
また、本発明の目的を損なわない限りにおいては、透明樹脂基板の両面または片面に、一層以上の層を設けても構わない。例えば、透明樹脂基板と透明導電膜との密着性の改善や、透明樹脂基板と透明導電膜との熱膨張率の差によって生じるクラックを防止する目的で、プライマー層を用いる場合もある。このような例としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系重合体、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂(例えばABS系樹脂)および塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂系重合体から選択される少なくとも1種の樹脂が挙げられ、この中でも、シリコーン樹脂が好ましく、樹脂と透明導電膜の中間的な熱膨張率を有するシリコーン系ハードコート材が特に好ましい。
シリコーン系ハードコート材は、通常、プラスチックに耐擦傷性を付与する目的で用いられるものであり、透明性を有するものならば何でもよく、一般に、下記一般式(7)で示される有機ケイ素化合物、およびその加水分解物、
n Si(OR’)4-n (7)
(R、R’は炭素数1〜10の有機基、nは1〜4の整数)
コロイド状に分散した金属酸化物微粒子、硬化触媒、および有機溶剤よりなる液を塗布、硬化することにより得られるものである。
また、これらのシリコーン系樹脂を主成分とする被膜形成成分には、その透明性を損なわない範囲であれば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、尿素樹脂、ポリカーボネート系樹脂などを添加することも可能である。
【0030】
シリコーン系ハードコートは、通常の塗布方法、すなわち、ディップコート、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、バーコート、フローコート、刷毛塗り等を用いて塗布する。このような方法でコーティングした後、通常50℃〜250℃、好ましくは100℃〜200℃の範囲で焼成される。
尚、塗布前に基板にアルカリ処理、プラズマ処理、ヤスリがけ等の表面処理をしておくと、基板との密着性が更に向上する。
【0031】
また、ガスバリヤー性を付与する目的で、ガスバリヤー層を設ける場合もある。ガスバリヤー層としては、特に限定されるものではないが、SiOx膜やSiNx膜が一般的である。形成方法としては、PVD(スパッタ法等)、CVD、ゾル−ゲル法、ポリシラザン系塗料の塗布−焼成等の方法で形成されるセラミックス系コーティングが知られており、PVDやセラミックス系コーティングが好ましく用いられている。
これらのような層は、必要に応じて、組み合わせて用いることも可能であり、また、面によって違う組み合わせにすることも可能である。
【0032】
以下、本発明の透明電極基板を用いて得られるタッチパネルについて、図面を参照しながら説明する。
本発明のタッチパネルは、それぞれタッチパネル部、液晶表示部、偏光板より構成され、その積層の順により、アウター型タッチパネル(図1)と、インナー型タッチパネル(図2)、一体型インナータッチパネル(図3)に分けられる。本発明の透明電極基板は、タッチパネル部上部基板1、タッチパネル部下部基板1’の両方に用いてもよいし、どちらかに用いてもよい。アウター型タッチパネルや、インナー型タッチパネルの場合は、タッチパネル部上部基板1に本発明の透明電極基板を用いた場合、タッチパネル部下部基板1’は、用途によって、他の樹脂基板でもガラス基板でも構わない。
【0033】
タッチパネル部は、タッチパネル部上部基板1、タッチパネル部下部基板1’のそれぞれ片面に、前記したインジウム、錫、アンチモンから選ばれた少なくとも一種以上の透明金属酸化物からなる透明導電膜2を形成し、それぞれを上部電極、下部電極として用い、絶縁スペーサー3を介して透明導電膜(電極)が対向するように設置する。それぞれの電極は、必要に応じてエッチング等により所望の電極パターンを形成し、そのどちらか一方の電極に、オフセット印刷あるいはスクリーン印刷等の印刷法により、透明な光硬化型樹脂を印刷して絶縁スペーサーが設けられる。
また、液晶表示部は、公知の方法を用いて製造することができる。例えば、単純マトリクス型液晶表示装置の場合、液晶表示部透明基板4に透明導電膜2を形成して、液晶表示部透明電極基板とし、該透明導電膜にエッチング等により所望の電極パターンを形成し、配向膜形成、ラビング処理、セルギャップ剤、シール剤印刷、基板貼り合わせ、液晶注入、注入口封止を経て製造される。
【0034】
図1は、本発明の透明電極基板を用いて得られるアウター型タッチパネルの構造の一例を示す断面図であり、片面に透明導電膜2が形成されたタッチパネル部上部基板1を、絶縁スペーサー3を介して、タッチパネル部下部基板1’と対向させたものである。下部基板1’の下に、偏光板5、液晶表示部として液晶表示部透明基板4、透明導電膜2、液晶層6、透明導電膜2、液晶表示部透明基板4、さらに、偏光板5が順次形成されている。
【0035】
図2は、本発明の透明電極基板を用いて得られるインナー型タッチパネルの構造の一例を示す断面図である。偏光板5、タッチパネル部として、タッチパネル部上部基板1、透明導電膜2、絶縁スペーサー3、透明導電膜2、タッチパネル部下部基板1’が、液晶表示部として、液晶表示部透明基板4、透明導電膜2、液晶層6、透明導電膜2、液晶表示部透明基板4、さらに、偏光板5が順次形成されている。偏光板5が、タッチパネルの一番外側にあるため、タッチパネル部の基板のリターデーションが小さいことが要求される。
【0036】
図3は、本発明の透明電極基板を用いて得られる一体型インナータッチパネルの構造の一例を示す断面図である。一体型インナータッチパネルは、インナー型タッチパネルのタッチパネル部下部基板1’と液晶表示部の上部基板4とが一体型となったものであり、基板枚数が少ないため、明るい、軽い等のメリットがあるが、インナー型タッチパネルと同様に、リターデーションが小さい基板が要求される。また、タッチパネル用基板に要求される曲げ弾性率、表面硬度の他、液晶表示部基板製造に必要な耐熱性、ガスバリヤー性を持つ樹脂基板が必要である。本発明の透明電極基板は、上記特性を持つので、一体型インナータッチパネルの製造に好適に用いることができる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明について更に具体的に実施例を示して詳しく述べるが、本発明はこれらによって特に限定されるものではない。
尚、実施例中の測定値は、次の方法によるものである。
〔樹脂版の測定法〕
・曲げ弾性率:JIS−K−7203法に則って測定した。
・可視光透過率:JIS−R−3106法に則って測定した。
・鉛筆硬度:JIS−K−5401の塗膜用鉛筆引っ掻き試験機を使用して測定した。
・リターデーション:アッベ屈折計〔(株)アタゴ製〕を用いてナトリウムスペクトルD線(波長589.3nm)で測定した。
【0038】
〔透明樹脂基板の測定法〕
・電気抵抗率:四探針法で測定し、換算してシート抵抗率を求めた。
・可視光透過率:JIS−R−3106法に則って測定した。
・外観:肉眼観察で、クラック、面荒れその他の塗膜の欠点のないものを(○)、その他のものを(×)とした。
・耐無機アルカリ性:5%NaOH水溶液に、室温下30分浸漬した時の外観をルーペにて観察し、面荒れその他の塗膜の欠点の無いものを(○)、そのたのものを(×)とした。
・耐有機アルカリ性:モノエタノールアミン35%ジエチレングリコールモノブチルエーテル溶液に、70℃下30分浸漬した時の外観をルーペにて観察し、面荒れその他の塗膜の欠点の無いものを(○)、その他のものを(×)とした。
・ペン摺動試験:2枚の透明電極基板を厚さ100μmのスペーサーを介して導電性薄膜同志が向かい合うように対向配置し、一方の基板側より、硬度40度のウレタンゴムからなるロッド(針先7R)を用いて加重100gで10万回こすった後、基板抵抗(Rd)を測定し、初期の抵抗(Ro)に対する変化率(Rd/Ro)を求め、1.01%未満のものを(○)、1.01%以上1.05%未満のものを(△)、1.05%以上のものを(×)とした。
・剛性:10cm角の基板の両端5mmづつを支え、基板のたわみが1mm未満のものを(○)、1mm以上のものを(×)とした。
【0039】
〔透明樹脂基板(三次元架橋構造の樹脂板)の製造〕
樹脂板1:3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート46.7重量部とトリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート32.7重量部を混合した後、ジブチルスズジラウレート0.03重量部を添加し、内温を60℃に保ち、これに2−ヒドロキシエチルアクリレート27.0重量部を徐々に加えてから、同温度で2時間反応を行った後、ネオペンチルグリコールジメタクリレート13.9重量部を混合した。得られたモノマーに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.16重量部を添加し、混合しながら脱泡を行った。
次いで、脱法したモノマー液を、200mm×300mm寸法のガラス板2枚を空間距離が0.4mmになるようにシリコンゴムのシート状ガスケットで調製した鋳型の空間部に注入し、その後、熱風炉に入れてから60℃から180℃までの昇温加熱で3時間重合を行って、厚さ0.4mmの透明樹脂板1を得た。
得られた樹脂のガラス転移温度は260℃であり、曲げ弾性率は440kgf/mm2 、可視光透過率は91.2%であった。また、鉛筆硬度は4H、リターデーションは1nm未満であった。
【0040】
樹脂板2:3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート45.6重量部とエチレングリコール4.7重量部に、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02重量部を添加し、内温を40℃に保ちながら、1時間反応を行い、次いで、この反応液に、2−ヒドロキシエチルメタクリレート9.8重量部を加え、内温を50℃に保ちながら2時間反応を行った。その後、この反応液にペンタエリスリトールテトラアクリレート39.9重量部を加えてよくかき混ぜ、さらに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.100重量部を添加してよくかき混ぜた後、脱泡を行った。
得られたモノマー液を、樹脂板1の場合と同様に重合し、厚さ0.4mmの透明樹脂板2を得た。
得られた樹脂のガラス転移温度は210℃であり、曲げ弾性率は463kgf/mm2 、可視光透過率は90.1%であった。また、鉛筆硬度は9H、リターデーションは1nm未満であった。
【0041】
樹脂板3:3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート30.2重量部に、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート42.3重量部を混合し、内温を50℃に保ちながら30分撹拌する。次に、ジブチルスズジラウレート0.02重量部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート19.5重量部を加え、内温を50℃に保ちながら5時間反応を行った。その後、反応液にジイソプロペニルベンゼン6.0重量部を加えて撹拌し、更にベンゾイルパーオキサイド1重量部、酸性リン酸エステル系内部離型剤(商品名:Zelec UN、デュ・ポン社製)0.2重量部を混合した後、脱泡し、樹脂板1の場合と同様に重合を行い、厚さ0.4mmの透明樹脂板3を得た。
得られた樹脂のガラス転移温度は265℃であり、曲げ弾性率は444kgf/mm2 、可視光透過率は91.1%であった。また、鉛筆硬度は5H、リターデーションは1nm未満であった。
【0042】
〔シリコーン系ハードコート液(プライマー層)の調整〕
・γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン106.2重量部を10℃に保ち、撹拌しながら、0.01%塩酸水溶液24.3重量部を徐々に滴下した。滴下終了後、冷却を中止してシラン加水分解物を得た。この溶液に、メタノール分散コロイド状シリカ(日産化学(株)製品”メタノールシリカゾル”固形分30%、平均粒子径13±1mμ)125.4重量部を撹拌しながら加えた後、メタノール43.5重量部、ジエチレングリコールジメチルエーテル12.5重量部、シリコーン系界面活性剤0.4重量部を加え、更にアルミニウムアセチルアセトネート3.8重量部を加え、充分撹拌してプライマー用組成物を調整した。
【0043】
(実施例1)
厚さ0.4mmの前記樹脂板1の片面に、厚み700ÅのITO(錫含有量:5%)膜をスパッタリング法により形成した。得られた透明電極基板の可視光透過率は、88%であり、電気抵抗は、約100Ω/□であった。この塗膜の外観、耐有機アルカリ性、耐無機アルカリ性、耐熱性、ペン摺動試験および剛性を、前述の検査方法に従って測定し、その結果を(表1)に示した。
【0044】
(実施例2)
厚さ0.4mmの前記樹脂板1の片面に、エポキシ系オーバーコート剤(AC5100、日産化学工業社製)を、スピンコーターを用いて塗布(1000rpm、20秒)し、150℃で30分加熱処理を行い、厚さ2μmのプライマー層を得た。このコートの上に、厚み700ÅのITO(錫含有量:5%)膜をスパッタリング法により形成した。得られた透明電極基板の可視光透過率は、86%であり、電気抵抗は、約100Ω/□であった。この基板について、実施例1と同様の検査を行った結果を(表1)に示す。
【0045】
(実施例3)
厚さ0.4mmの前記樹脂板2の両面に、前記シリコーン系ハードコート液をスピンコーターを用いて塗布(700rpm、15秒)し、室温にて30分風乾させた後、120℃で60分加熱処理を行い、厚さ3μmのプライマー層を得た。得られた基板の両面に、ペルヒドロポリシラザン(20%キシレン溶液:東燃社製)を、スピンコーターを用いて塗布(2000rpm、20秒)し、大気雰囲気下180℃で1時間加熱した後、1%HCl水溶液に浸漬し、厚さ2000ÅのSiO2 塗膜を得た。この基板の片面に、厚み700ÅのITO(錫含有量:5%)膜を、更に反対の面に、厚み1300ÅのITO膜を高周波イオンプレーティング法により形成した。得られた基板の可視光透過率は、85%であり、電気抵抗はそれぞれ約200Ω/□、30Ω/□であった。この基板について、実施例1と同様の検査を行った結果を(表1)に示す。
【0046】
(実施例4)
厚さ0.4mmの前記樹脂板3の両面に、スパッタリング法を用いて厚み500ÅのSiO2 膜を形成し、続いてこの基板の片面に、厚み600ÅのITO(錫含有量:16%)膜を、もう片面に、200℃下で、厚み2600ÅのITO膜をスパッタリング法により形成した。得られた基板の可視光透過率は、88%であり、電気抵抗は、それぞれ約200Ω/□、10Ω/□であった。この基板について、実施例1と同様の検査を行った結果を(表1)に示す。
【0047】
(比較例1)
厚み50μmのポリカーボネートフィルムに、厚み700ÅのITO(錫含有量:5%)膜をスパッタリング法により形成した。得られた透明導電性フィルムの可視光透過率は82%であり、電気抵抗は、約200Ω/□であった。この基板について、実施例1と同様の検査を行った結果を(表1)に示す。
【0048】
(比較例2)
厚さ0.2mmのPETフィルムに、エポキシ系オーバーコート剤(AC5100、日産化学工業社製)を塗布(1000rpm、20秒)し、110℃で30分加熱処理を行い、厚さ4μmのプライマー層を得た。得られた基板の片面に、スパッタリング法を用いて、厚さ500ÅのSiO2 膜を成膜し、更に、厚み600ÅのITO(錫含有量:5%)膜を形成した。得られた透明導電性フィルムの可視光透過率は82%であり、電気抵抗は、約200Ω/□であった。この基板について、実施例1と同様の検査を行った。その結果を(表1)に示した。
【0049】
(比較例3)
厚み50μmのポリエーテルスルホン製未延伸フィルムの片面に、酸化インジウム(400Å)/銀(100Å)/酸化インジウム(400Å)からなる多層膜をスパッタリングにより形成した。得られた該フィルムの片面にシリコン系接着剤を塗布し、その上にもう一枚の該フィルムを、一方のフィルムの透明金属酸化物層ともう一方のフィルムのプラスチック層とが接するように接着剤を介して貼り合わせた。得られた透明導電性フィルムの可視光透過率は、81%であり、電気抵抗は、約20Ω/□であった。この基板について、実施例1と同様の検査を行った結果を(表1)に示す。
【0050】
【表1】
Figure 0003813009
【0051】
(実施例5)
実施例3で得られた基板2枚のITO面に、ロールコーターにより2μmの厚さでフォトレジストをコーティングし、100℃にてプリベークを行った。その後、それぞれフォトマスクを使用して露光し、3%NaOH水溶液を用いて40℃下で現像した後、8.6N HBr水溶液を用いてITOのエッチングパターン化を行い、レジストを洗浄、除去し、電極パターンを形成した。この2枚の基板のうち、上部電極のITO面に、感光性アクリル樹脂を用いて直径40μm、高さ5μmのドットを2mmピッチで格子状にスクリーン印刷し、UV硬化させて絶縁スペーサーを形成した。この2枚の基板を、ITO面が対向するように貼り合わせて、タッチパネル部を得た。
【0052】
一方、厚み0.7mmのガラス基板を2枚用意し、これらの基板の片面にそれぞれITO膜を蒸着後、エッチングパターン化を行い、ITO電極を形成した。その後、上記基板に配向膜印刷、ラビング処理を行い、セルギャップ材を散布した後、シール印刷を行って、圧力1.2kgf/cm2 、温度140℃にてホットプレスを行い、2枚の基板のITO面が対向するように貼り合わせた。得られたセルに液晶を注入、UV硬化型エポキシ封止材によって封止して液晶表示セル部を作成した。
この液晶表示セル部の両面に、所定の角度を持った偏光板を貼り付け、更にその上部に、タッチパネル部を貼り合わせることにより、アウター型タッチパネルを得た。
上記方法によって得られたアウター型タッチパネルは、明るく、色にじみのない、鮮明な表示が可能であった。
【0053】
(実施例6)
実施例5と同様の方法によって得られたタッチパネル部と、液晶表示セル部を貼り合わせた後、その上下に所定の角度を持った偏光板を貼り合わせてインナー型タッチパネルを得た。
上記方法によって得られたインナー型タッチパネルは、明るく、色にじみのない、鮮明な表示が可能であった。
【0054】
(実施例7)
実施例4で得られた基板のうち、抵抗値が200Ω/□のITO面にフォトレジストをコーティングし、プリベーク、露光する。続いて、裏面をコーティング、プリベークし、フォトマスクを使用して露光し、現像、エッチングパターン化、レジスト洗浄除去を行う。この基板の抵抗値が10Ω/□のITO面側に、配向膜を塗布、ラビング処理を行い、セルギャップ材を散布した液晶表示部透明基板を貼り合わせ、液晶表示セル部を作成し、液晶を注入した後、封止する。
【0055】
一方、実施例3で得られた基板のITO面に、ロールコーターにより2μmの厚さでフォトレジストをコーティングし、プリベークを行う。その後、フォトマスクを使用して露光し、現像した後、ITOのエッチングパターン化を行い、さらに、このITO面に、感光性アクリル樹脂を用いてスクリーン印刷し、UV硬化させ、絶縁スペーサーを形成する。この基板を、上記液晶セル上部のITO面と相対し、貼り合わせる。
【0056】
更に、以上の基板の上下に、所定の角度を持った偏光板を、ローラーにより貼り付け、図3に示す構成を有する一体型インナータッチパネルを形成する。
上記方法によって得られる一体型インナータッチパネルは、薄く、軽量性に優れ、更に、明るく、色にじみのない、鮮明な表示が可能である。
【0057】
【発明の効果】
本発明のタッチパネル用基板は、鉛筆硬度が4H以上で、曲げ弾性率が400kgf/mm2 以上の剛性を有し、リターデーションが1nm以下、可視領域の光線透過率が85%以上である三次元架橋構造の樹脂基板を用いることにより、表面硬度、剛性、光学特性等に優れた基板が容易に製造でき、かつガラスに比べてかなりの軽量化が可能となり、各種のタッチパネル用電極として、更には液晶表示部と一体型になった、一体型インナータッチパネル用電極として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明電極基板を用いて得られるアウター型タッチパネルの構成の一例を示す断面図
【図2】本発明の透明電極基板を用いて得られるインナー型タッチパネルの構成の一例を示す断面図
【図3】本発明の透明電極基板を用いて得られる一体型インナー型タッチパネルの構成の一例を示す断面図
【符号の説明】
1 タッチパネル部上部基板
1’ タッチパネル部下部基板
2 透明導電膜
3 絶縁スペーサー
4 液晶表示部透明基板
5 偏光板
6 液晶層

Claims (4)

  1. 鉛筆硬度が4H以上で、曲げ弾性率が400kgf/mm2以上の剛性を有し、リターデーションが1nm以下、可視領域の光線透過率が85%以上である三次元架橋構造の樹脂基板を用いた、タッチパネル用透明電極基板であって、該三次元架橋構造の樹脂が、1分子中に、下記一般式(1)で表される官能基と、下記一般式(2)または(3)で表される官能基とを兼備する単量体(A)を重合してなる樹脂(樹脂−a)、
    Figure 0003813009
    (式中、R1 は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子または硫黄原子を表す)または、単量体(A)と、下記式(4)、(5)および(6)で表される官能基群から選ばれる少なくとも1種の官能基をm個(mは1〜6の整数を表す)有する単量体(B)とを共重合してなる樹脂(樹脂−b)である、前記タッチパネル用透明電極基板。
    Figure 0003813009
  2. 請求項1記載の基板を用いて得られる、アウター型タッチパネル。
  3. 請求項1記載の基板を用いて得られる、インナー型タッチパネル。
  4. 請求項1記載の基板を用いて得られる、タッチパネル部の基板と液晶表示部の基板とが一体型となった、一体型インナータッチパネル。
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