JP3811915B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、インバ−タ回路からの高周波電力によって放電灯を点灯させる放電灯の点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5に、従来の放電灯点灯装置の回路図を示す。図において、1は商用電源から得られる直流電源、2及び3は、インバ−タ回路を構成するnチャネルMOSFETからなるスイッチング素子、4は放電灯の電流を制限するための2つの副巻線ab、cdを有するチョ−クコイル、5は放電灯、6は放電灯に並列に接続されたコンデンサ、7は結合コンデンサ、10及び11は抵抗及びコンデンサからなるMOSFET 2の起動回路、チョ−クコイル4の2つの副巻線ab、cdはそれぞれ抵抗8及び9を介してnチャネルMOSFET 2、3が交互にON、OFFするように各々のゲ−ト、ソ−ス間に接続する。20及び21は抵抗及びコンデンサからなるタイマ−回路、22及び27はツェナ−ダイオ−ド、23、24及び29は抵抗、25及び26はトランジスタ、28及び30はダイオ−ドである。
【0003】
なお、商用電源から直流電源を得る場合の直流電源1の構成例を図6に示す。
図に示すように、商用電源1aから出力された交流電源は、ダイオ−ドブリッジ1bで全波整流された後、平滑コンデンサ1cで平滑化され、直流電源として負荷回路出力されるように構成される。
【0004】
以下、この図5に示した従来例の放電灯点灯装置回路の動作を説明する。
まず、直流電源1が投入されると、抵抗10及びコンデンサ11からの起動電流によってnチャネルMOSFETは交互に高周波数で駆動され放電灯5は点灯に至る。その際、放電灯5が未放電の場合は、チョ−クコイル4、コンデンサ6、コンデンサ7で構成されるLC直列共振回路の共振の鋭さ(以降Qと呼ぶ)が大きいため、コンデンサ6の両端には大きな電圧が発生する。しかし、放電灯5のフィラメントが充分予熱されない期間に大きな電圧が印加されると、いわゆるコ−ルドスタ−ト状態になり、ランプが短寿命になる。
【0005】
これを防ぐため、電源1に直列に接続された抵抗20とコンデンサ21からなるタイマ−部、カソ−ドが電源1の正極に接続され、抵抗20と並列接続されたダイオ−ド30、カソ−ドがダイオ−ド30のアノ−ドに接続されたツェナ−ダイオ−ド22、ツェナ−ダイオ−ド22のアノ−ドと電源1の負極との間に直列に接続された抵抗23および抵抗24、抵抗23と抵抗24の接続点にベ−スが、電源1の負極にエミッタが、コレクタから抵抗29を介して電源1の正極に接続されたトランジスタ25、トランジスタ25のコレクタにベ−スが、電源1の負極にエミッタが、コレクタからツェナ−ダイオ−ド27のアノ−ド、ツェナ−ダイオ−ド27のカソ−ドにカソ−ドが接続されたダイオ−ド28を介してnチャネルMOSFET 3のゲ−トに接続されたトランジスタ26とから構成された予熱タイマ回路41を設けている。
【0006】
そして、コンデンサ21の電圧がツェナ−ダイオ−ド22、抵抗23及び24等で定められる期間は電源1から抵抗29を介してトランジスタ26のベ−スに電圧が印加され、トランジスタ26をONにし、nチャネルMOSFETのゲ−ト電流をダイオ−ド28、ツェナ−ダイオ−ド27、トランジスタ26の経路でバイパスすることにより、ゲ−ト電圧が低くなり、nチャネルMOSFET 3のON期間が短くなり、nチャネルMOSFET 2、3の発振周波数を高くする。(この期間を以降、予熱タイマ期間と呼ぶ。)これにより、チョ−クコイル4、コンデンサ6及び7からなるLC共振回路のQが小さくなり放電灯5はコ−ルドスタ−トとならない。その後、コンデンサ21の電圧が上昇すると、トランジスタ25がON、トランジスタ26がOFFとなりコンデンサ6には大きな電圧が発生し、放電灯5は点灯状態に至る。 放電灯5が点灯することにより、コンデンサ6に並列に放電灯5の等価抵抗が接続されることになり、放電灯5を含むLC共振回路のQは小さくなり、以降、安定点灯状態を維持するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の放電灯点灯装置では、予熱タイマ期間にトランジスタ26を電源1の投入と同時に連続的にONすることは以下の問題点があった。
図5に示した放電灯点灯装置において、トランジスタ26がON時に発振を継続させるためには以下の(1)式を満足する必要がある。
VD28+VD27+VCE26>VGS3 (1)
ここで
VD28 :ダイオ−ド28の順方向降下電圧
VD27 :ツェナ−ダイオ−ド27のツェナ−電圧
VCE26:トランジスタ26のON時コレクタ・エミッタ間電圧
VGS3:nチャネルMOSFET 3のゲ−ト・ソ−ス間しきい値電圧
である。
【0008】
ツェナ−ダイオ−ド27はnチャネルMOSFET 3のゲ−ト・ソ−ス間しきい値電圧との 関係で実用的には3.5V程度以下の比較的小さいツェナ−電圧値に選定される。この程度のツェナ−電圧を持つツェナ−ダイオ−ドの一例として図7にNEC製RD3.3ES(ツェナ−電圧3.3V)の特性を図示する。
また、図8に従来例の放電灯点灯装置回路の各部の波形図を示す。同図(A1)、(A2)は、各々、予熱タイマ期間と点灯期間の巻線cd間の電圧を示し、同図(B1)、(B2)は各々、予熱タイマ期間と点灯期間のトランジスタ25のVce電圧を示し、同図(C1)、(C2)は各々、予熱タイマ期間と点灯期間のトランジスタ26のVce電圧を示し、同図(D1)、(D2)は各々、予熱タイマ期間と点灯期間のMOSFET 3のゲート・ソース間電圧を示す。
【0009】
図7から明らかなように、ツェナ−電流が5mA(本品のツェナ−電圧規定電流)の場合のツェナ−電圧が3、3Vでこれよりツェナ−電流が増加するとツェナ−電圧は増加し、また、これよりツェナ−電流が減少するとツェナ−電圧は減少し、1mAのツェナ−電流ではツェナ−電圧が3V以下、0.1mAのツェナ−電流ではツェナ−電圧が2.5V以下となる。以上のことから明らかなように、チョ−クコイル4の副巻線cd間に、大きい電圧が発生し、ツェナ−ダイオ−ド27の電流が大きい条件で(1)式を満足するようにツェナ−電圧を選定すると、チョ−クコイル4の副巻線cd間に、小さい電圧しか発生しない発振開始直後の条件ではツェナ−ダイオ−ド27の電流が小さくなり、その条件ではツェナ−電圧も小さくなるので(1)式を満足できなくなり、発振が継続的に持続できなくなる問題点があった。
【0010】
この問題を避けるため、チョ−クコイル4の副巻線cd間に、小さい電圧が発生した条件で上記(1)式を満足するようにするとチョ−クコイル4の副巻線cd間に、大きい電圧が発生する条件ではツェナ−ダイオ−ド27の電流が大きくなり、従ってツェナ−電圧も大きくなり、ダイオ−ド28のアノ−ド電圧が上昇してトランジスタ26を介してnチャネルMOSFET 3のゲ−ト電流を充分バイパスできず、発振周波数をコ−ルドスタ−トをしない大きい周波数までシフトできない問題点があった。
【0011】
上記のように従来の実施例では、チョ−クコイル4の副巻線cdに発生する電圧の大きさや発生電圧の有無(図8(A1))に関係なく、電源1の投入に同期してトランジスタ26を無条件にONさせるため(図8(D1))、ツェナ−ダイオ−ド27の電流が非常に小さい領域から大きい領域までの動作に使用することになりツェナ−電圧を選定する場合には、ツェナ−電流のバラツキによってツェナ−電圧が大きくバラツクことを勘案して、予めツェナ−ダイオ−ド27のツェナ−電圧値の範囲を狭い範囲に限定する必要があった。そのため、ツェナ−ダイオ−ドの入手が困難になりまた価格が高い等の問題点があった。
【0012】
また、上記(1)式において、nチャネルMOSFETのゲ−ト・ソ−ス間しきい値電圧は温度が低下すると大きくなる特性を持ち、例えば三菱電機製FS10VS−12で約7.5mV/℃の温度係数であり、ダイオ−ド28の順方向降下電圧の温度係数は温度が低下すると大きくなりシリコンダイオ−ドの場合約2.3mV/℃で、nチャネルMOSFET 3とツェナ−ダイオ−ド27の上記温度特性の比は約3:1である。即ち、上記(1)式は周囲温度の影響を受けることを示しており、低温時の始動において(1)式の右辺が大きくなり発振が継続できない問題点があった。
【0013】
この発明に係る放電灯点灯装置は、上記の問題点を解決するためになされたもので、予熱タイマ期間に発振が継続的に維持することができるとともに、予熱タイマ回路でスイッチング素子のゲート電流のバイパスに用いられるツェナ−ダイオ−ドにバラツキ範囲の大きい部品が採用でき、かつ、周囲温度の変動に対しても確実に発振が継続できる放電灯点灯装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る放電灯点灯装置は、直流電源と、この直流電源から供給される直流を高周波電流に変換するインバ−タ回路と、このインバ−タ回路に接続されたチョ−クコイル、放電灯及び結合コンデンサからなる放電灯負荷回路と、この放電灯負荷回路に設けられた上記チョークコイルの副巻線で上記インバ−タ回路のスイッチング素子を駆動する放電灯点灯装置において、上記直流電源を投入後、予め定めたタイマ期間中に、上記インバ−タ回路のスイッチング素子を駆動する上記コイルの副巻線に発生する電圧を、発振周波数の各駆動サイクル毎に予め定めた期間の後バイパスして上記スイッチング素子に印加し、上記スイッチング素子の発振周波数を大きくする予熱タイマ回路を設けたものである。
【0015】
また、予熱タイマ回路を、インバ−タ回路のスイッチング素子の低電位側スイッチング素子のゲート・ソース間に接続したものである。
【0016】
また、予熱タイマ回路を、インバ−タ回路のスイッチング素子の高電位側スイッチング素子のゲート・ソース間に接続したものである。
【0017】
また、インバ−タ回路のスイッチング素子をnチャネルMOSFET及びpチャネルMOSFETから構成し、副巻線を上記nチャネルMOSFET及び上記pチャネルMOSFET各々の共用のものとしたものである。
【0018】
また、バイパスするまでの予め定めた期間を少なくても発振周波数の1/4周期以内としたものである。
【0019】
また、予熱タイマ回路の電源をコイルの副巻線から得るものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1である放電灯点灯装置の構成を示す回路図、図2((A1)乃至(D2))は回路の主要部の動作を示す波形図である。
図1において、1は商用電源から得られる直流電源、2及び3は、インバ−タ回路を構成するnチャネルMOSFETからなるスイッチング素子、4は放電灯の電流を制限するための2つの副巻線ab、cdを有するチョ−クコイル、5は放電灯、6は放電灯に並列に接続されたコンデンサ、7は結合コンデンサ、10及び11は抵抗及びコンデンサからなるMOSFET 2の起動回路、チョ−クコイル4の2つの副巻線ab、cdはそれぞれ抵抗8及び9を介してnチャネルMOSFET 2、3が交互にON、OFFするように各々のゲ−ト、ソ−ス間に接続する。41は放電灯負荷回路に流れる高周波電流を予め定められた期間制御するタイマ回路、31はチョークコイル4の副巻線cdのd側と電源1の負極間に直列に接続され、副巻線cd間に発生する電圧を整流するダイオ−ド、32は整流電圧を平滑し、タイマ回路41の動作電源を得るためのコンデンサである。
【0021】
予熱タイマ回路41は、ダイオード31とコンデンサ32との接続点と電源1の負極間に直列に接続された抵抗20とコンデンサ21からなるタイマ−部、カソ−ドが抵抗20とコンデンサ21の接続点に接続されたツェナ−ダイオ−ド22、ツェナ−ダイオ−ド22のアノ−ドと電源1の負極との間に直列に接続された抵抗23および抵抗24、抵抗23と抵抗24の接続点にベ−スが、電源1の負極にエミッタが、nチャネルMOSFET 3のゲ−ト抵抗9に接続された端子dに抵抗29を介してコレクタが接続されたトランジスタ25、トランジスタ25のコレクタにベ−スが、電源1の負極にエミッタが、コレクタからツェナ−ダイオ−ド27のアノ−ド、ツェナ−ダイオ−ド27のカソ−ドにカソ−ドが接続されたダイオ−ド28を介してnチャネルMOSFET 3のゲ−トに接続されたトランジスタ26、アノ−ドがトランジスタ25のエミッタに、カソ−ドがトランジスタ25のコレクタに接続されたダイオ−ド33、ダイオ−ド33と並列に接続されたコンデンサ34から構成される。
【0022】
上記の構成で従来例と異なるのは、ダイオ−ド33が設けられ、抵抗29がチョ−クコイル4の副巻線cdの内、nチャネルMOSFET 3のゲ−ト抵抗9に接続される端子dに接続されている点である。
【0023】
次に、図1、図2により、動作を説明する。図2(A1)、(A2)は、各々、予熱タイマ期間と点灯期間の巻線cd間の電圧を示し、同図(B1)、(B2)は各々、予熱タイマ期間と点灯期間のトランジスタ25のVce電圧を示し、同図(C1)、(C2)は各々、予熱タイマ期間と点灯期間のトランジスタ26のVce電圧を示し、同図(D1)、(D2)は各々、予熱タイマ期間と点灯期間のMOSFET 3のゲート・ソース間電圧を示す。なお、図2は従来の例で示した図8(A1)乃至(D2)に対応している。
【0024】
図1において、電源1が投入されると抵抗10及びコンデンサ11からの起動電流によってnチャネルMOSFETは交互に高周波で駆動される。この時コンデンサ21の充電電圧がトランジスタ25のベ−スを駆動できる電圧まで上昇するまではトランジスタ25はOFFを継続する(図2(B1))。
従来例は、トランジスタ25のカソードが抵抗29を介して直流電源1の正極に接続されていたが、本実施の形態では、副巻線cdの内nチャネルMOSFET 3のゲ−ト抵抗9に接続される端子dに接続されているので、波形が図2(A1)の波形に対応している。
【0025】
この時、チョ−クコイル4の副巻線cdのd端子が負の半サイクル(図2(A1))には、コンデンサ34が抵抗29を介してトランジスタ26のベ−スが負になる極性で充電される。この場合の充電電圧値はダイオ−ド33の順方向降下電圧で規制され約0.6Vになる。即ち、副巻線のd端子が負のサイクルではトランジスタ26はOFFとなる(図2(C1))。次に、副巻線の電圧が反転し、d端子が正の半サイクルになるとコンデンサ34は抵抗29を介して負の半サイクルとは逆の極性で充電される。ここで、抵抗29及びコンデンサ34の値を適当に選定し、図2(C1)に示すように副巻線のd端子が正のピ−ク値に至るまでの時間t1でコンデンサ34の電圧をトランジスタ26のベ−スしきい値電圧よりも大きくなるようにする。
即ち、nチャネルMOSFET 3のゲ−ト・ソ−ス間電圧がそのしきい値電圧を越えるとき(図2(D1))を時間t1とする。
【0026】
時間t1経過後、コンデンサ34の電圧がトランジスタ26のベ−スしきい値電圧に達すれば、トランジスタ26は時間t2の間ONになり(図2(C1))、ダイオ−ド28、ツェナ−ダイオ−ド27を介してnチャネルMOSFET 3のゲ−ト電流をバイパスすることにより、ゲ−ト電圧が低くなりnチャネルMOSFET 3のON期間が短くなりnチャネルMOSFET 2、3の発振周波数が高くなり、放電灯5のコールドスタ−トを防止できる。ここで、時間t1における副巻線のd端子の電圧がnチャネルMOSFET 3のゲ−ト・ソ−ス間しきい値電圧より大きく、かつ、ツェナ−ダイオ−ド27の電流がツェナ−電圧規程電流より大幅に下回らない値になるように抵抗9、ツェナ−ダイオ−ド27の電圧を選定する。また、再び副巻線のd端子が負のサイクルになるとコンデンサ34は抵抗29を介してトランジスタ26のベ−ス電圧を負電位にするように充電されるので、トランジスタ26はOFFになる(図2(C1))。以降、この繰り返しは、コンデンサ21の充電電圧が上昇し、トランジスタ25がON(図2(B2)の状態)になるまで継続される。
【0027】
予熱タイマ期間が過ぎトランジスタ25のベ−ス電圧がON状態にバイアスされると(図2(B2))、副巻線のd端子が正の場合はトランジスタ25はONになり、トランジスタ26はOFF、また、副巻線のd端子が負の場合はトランジスタ25のコレクタ電圧はダイオ−ド33の順方向電圧に等しい負電位になりトランジスタ26はOFFとなる(図2(C2))。
即ち、予熱タイマ期間以降はトランジスタ26は常時OFFを継続する。
【0028】
このように、nチャネルMOSFET 3のゲ−ト・ソ−ス間電圧がそのしきい値電圧を越えた時間t1後にトランジスタ26をONするように、発振周波数の各1サイクル毎に制御している。
【0029】
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、nチャネルMOSFET 3のゲ−ト・ソ−ス間電圧がそのしきい値電圧を越えた時間t1後にトランジスタ26をONするように、発振周波数の各1サイクル毎に制御しているので予熱タイマ期間に放電灯5をコ−ルドスタ−トに至らない発振周波数で確実に発振継続できる。
【0030】
また、上記予熱タイマ期間中にMOSFETスイッチング素子のゲ−ト電流をバイパスする回路に使用するツェナ−ダイオ−ド27はツェナ−電流の非常に小さい領域での使用が避けられるのでツェナ−電圧値のバラツキの範囲を広く選定でき、その入手性が困難、価格が高いなどの問題を解決することができる。
【0031】
また、トランジスタ26がONする時間t1における副巻線のd端子の電圧をnチャネルMOSFET 3のゲ−ト・ソ−ス間しきい値電圧に比べて充分大きく選定すればnチャネルMOSFET 3やダイオ−ド28などの温度特性の影響を避けることができ低温時の始動などにおいて発振が継続できない問題点を解決できる。
【0032】
なお、副巻線cd間の予熱タイマ期間における電圧は、発振周波数の周期の1/4で最大となり(図2(A1))、それ以降は減少に転じ、その後t1が大きくなるに従ってトランジスタ26がON時のnチャネルMOSFETのゲ−ト・ソ−ス間電圧が減少する(図2(D1))。従って、予熱タイマ期間にトランジスタ26をONするまでの時間t1は、この期間における発振周波数の周期の1/4以下になるように選定すれば、nチャネルMOSFETのゲ−ト・ソ−ス間電圧が減少しないので、その後に副巻線のd端子の電圧の減少し過ぎや発振が停止することを防止でき、ツェナ−ダイオ−ド27のツェナ−電圧のバラツキを大きく選定でき、また、回路の周囲温度の変動などの影響を受け難くすることができる。
【0033】
実施の形態2.
図3はこの発明の別の実施の形態2を示す放電灯点灯装置の回路図である。
実施の形態1では図1における予熱タイマー回路41をnチャンネルMOSFET 3のゲ−ト・ソース間に接続したが、予熱タイマ回路41を電源1の高電位側に接続されるnチャネルMOSFET 2のゲ−ト・ソ−ス間に接続し、予熱タイマ期間にnチャネルMOSFET 2のゲ−ト電流をバイパスするように構成したもので、他の構成、及び動作は実施の形態1と同じであり、説明を省略するが、実施の形態1の場合と同様の効果が得られる。
【0034】
実施の形態3.
図4は、この発明の実施の形態3を示す放電灯点灯装置の回路図である。
本実施の形態は、実施の形態2の図3におけるnチャネルMOSFET 3を、pチャネルMOSFETで置換し、チョ−クコイル4の副巻線4bを、nチャネルMOSFET 2及びpチャネルMOSFET 3の共通に接続されたゲ−ト・ソ−ス間に抵抗8を介して接続した構成のもので、他の構成、及び動作は実施の形態1と同じであり、説明を省略するが、回路構成を簡単にすることができ、実施の形態1の場合と同様の効果が得られれる。
【0035】
なお、実施の形態1〜3において、予熱タイマ期間を定める予熱タイマ回路41の抵抗20及びコンデンサ21の駆動電源を従来例と異なり、電源1とは直流的に結合しないチョ−クコイル4の副巻線に発生した高周波電圧をダイオ−ド31、コンデンサ32で整流・平滑して得ているので、特別な回路を付加すること無く、スイッチング素子MOSFET 2及びMOSFET 3の何れのゲ−ト・ソ−ス間にも接続でき、回路を簡単にすることができるる。
【0036】
【発明の効果】
この発明は、以上説明したように構成されているので、以下に示すような効果を奏する。
【0037】
この発明に係る放電灯点灯装置は、直流電源と、この直流電源から供給される直流を高周波電流に変換するインバ−タ回路と、このインバ−タ回路に接続されたチョ−クコイル、放電灯及び結合コンデンサからなる放電灯負荷回路と、この放電灯負荷回路に設けられた上記チョークコイルの副巻線で上記インバ−タ回路のスイッチング素子を駆動する放電灯点灯装置において、上記直流電源を投入後、予め定めたタイマ期間中に、上記インバ−タ回路のスイッチング素子を駆動する上記コイルの副巻線に発生する電圧を、発振周波数の各駆動サイクル毎に予め定めた期間の後バイパスして上記スイッチング素子に印加し、上記スイッチング素子の発振周波数を大きくする予熱タイマ回路を設けたので、予熱タイマ期間に放電灯をコ−ルドスタ−トに至らない発振周波数で確実に発振継続することができる。
また、予熱タイマ回路において、スイッチング素子のゲート電流をバイパスする回路に使用するツェナ−ダイオードに、バラツキ範囲の大きい部品が採用でき、かつ、周囲温度の変動に対しても確実に発振が継続することができる。
【0038】
また、予熱タイマ回路を、インバ−タ回路のスイッチング素子の低電位側スイッチング素子のゲート・ソース間に接続したので、予熱タイマ期間に放電灯をコ−ルドスタ−トに至らない発振周波数で確実に発振継続することができる。
また、予熱タイマ回路において、スイッチング素子のゲート電流をバイパスする回路に使用するツェナ−ダイオードに、バラツキ範囲の大きい部品が採用でき、かつ、周囲温度の変動に対しても確実に発振が継続することができる。
【0039】
また、予熱タイマ回路を、インバ−タ回路のスイッチング素子の高電位側スイッチング素子のゲート・ソース間に接続したので、予熱タイマ期間に放電灯をコ−ルドスタ−トに至らない発振周波数で確実に発振継続することができる。
また、予熱タイマ回路において、スイッチング素子のゲート電流をバイパスする回路に使用するツェナ−ダイオ−ドに、バラツキ範囲の大きい部品が採用でき、かつ、周囲温度の変動に対しても確実に発振が継続することができる。
【0040】
また、インバ−タ回路のスイッチング素子をnチャネルMOSFET及びpチャネルMOSFETから構成し、副巻線を上記nチャネルMOSFET及び上記pチャネルMOSFET各々の共用のものとしので、回路構成を簡単にすることができる。
【0041】
また、バイパスするまでの予め定めた期間を少なくても発振周波数の1/4周期以内としたので、その後に副巻線のd端子が減少し過ぎ発振が停止することを防止でき、ツェナ−ダイオ−ドのツェナ−電圧のバラツキを大きく選定でき、また、回路の周囲温度の変動などの影響を受け難くすることができる。
【0042】
また、予熱タイマ回路の電源をコイルの副巻線から得るので、特別な回路を付加すること無く、スイッチング素子MOSFET 2及びMOSFET 3の何れのゲ−ト・ソ−ス間にも接続でき、回路を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す放電灯点灯装置の回路図である。
【図2】 この発明の実施の形態1を示す放電灯点灯装置の回路の各部の波形を示す波形図である。
【図3】 この発明の実施の形態2を示す放電灯点灯装置の回路図である。
【図4】 この発明の実施の形態3を示す放電灯点灯装置の回路図である。
【図5】 従来の放電灯点灯装置の回路図である。
【図6】 従来の放電灯点灯装置の直流電源の回路図である。
【図7】 ツェナ−ダイオ−ド特性例を示す特性図である。
【図8】 従来の放電灯点灯装置の回路の各部の波形を示す波形図である。
【符号の説明】
1 直流電源、1a 交流電源、1b ダイオ−ドブリッジ、1c 電解コンデンサ、2 MOSFET、3 MOSFET、4 チョ−クコイル、ab チョ−クコイル4の副巻線、cd チョ−クコイル4の副巻線、a チョ−クコイル4の主巻線、b チョ−クコイル4の副巻線、5 放電灯、6 コンデンサ、7 結合コンデンサ、8、9、10 抵抗、11 コンデンサ、20、23、24 抵抗、21 コンデンサ、22、27 ツェナ−ダイオ−ド、25、26 トランシタ、28 ダイオ−ド、29 抵抗、31 ダイオ−ド、32 コンデンサ、41 予熱タイマ回路。
Claims (6)
- 直流電源と、この直流電源から供給される直流を高周波電流に変換するインバ−タ回路と、このインバ−タ回路に接続されたチョ−クコイル、放電灯及び結合コンデンサからなる放電灯負荷回路と、この放電灯負荷回路に設けられた上記チョークコイルの副巻線で上記インバ−タ回路のスイッチング素子を駆動する放電灯点灯装置において、
上記直流電源を投入後、予め定めたタイマ期間中に、上記インバ−タ回路のスイッチング素子を駆動する上記コイルの副巻線に発生する電圧を、発振周波数の各駆動サイクル毎に予め定めた期間の後バイパスして上記スイッチング素子に印加し、上記スイッチング素子の発振周波数を大きくする予熱タイマ回路を設けたことを特徴とする放電灯点灯装置。 - 予熱タイマ回路を、インバ−タ回路のスイッチング素子の低電位側スイッチング素子のゲート・ソース間に接続したことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
- 予熱タイマ回路を、インバ−タ回路のスイッチング素子の高電位側スイッチング素子のゲート・ソース間に接続したことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
- インバ−タ回路のスイッチング素子をnチャネルMOSFET及びpチャネルMOSFETから構成し、副巻線を上記nチャネルMOSFET及び上記pチャネルMOSFET各々の共用のものとしたことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
- バイパスするまでの予め定めた期間を少なくても発振周波数の1/4周期以内としたことを特徴とする許請求項1乃至4のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
- 予熱タイマ回路の電源をコイルの副巻線から得ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
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