JP3810902B2 - アルミニウム合金フィン材およびアルミニウム合金フィン材の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金フィン材およびアルミニウム合金フィン材の製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調機のアルミニウムフィンに使用されるアルミニウム合金フィン材およびその製造方法に関し、特にドロータイプの成形加工により、薄肉でしかも高いフィンピッチのフィンへの成形が可能となるアルミニウム合金フィン材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱交換器用アルミニウムフィン材の成形加工においては、主として、張り出し、絞り、ピアスバーリング、アイアニング、およびフレアーの各加工の組み合わせによって行われている。この中で、一般的にドロータイプと呼ばれている加工方式(以下ドロー成形と言う)においては、図1(a)〜(f)に順次示す通り、アルミニウム合金フィン材(板)1のプレート部3を、張り出し(図1(a))、2〜3段階の絞り(図1(b)〜(d) )、ピアスバーリング(図1(e))、リフレア(図1(f))の、各加工工程によりアルミニウム合金フィン材が成形(カラー成形)加工され、所望高さ(フィンピッチ乃至カラーハイト)のカラー2が成形されていく。
【0003】
近年、空調機などの熱交換器用アルミニウムフィンも、フロン規制に沿った新冷媒への切り替えや空調機自身のコンパクト化や軽量化或いは高性能化などにより、益々薄肉化が図られ、この薄肉化でのフィンの成形性などの加工性向上が求められている。この薄肉化でのフィンの成形性は、例えば肉厚が0.12mm以下の場合に、フィンピッチ(前記図1(f)のカラー2の高さ)が2.3mm以上の高さのフィンが成形可能なことが要求されている。
【0004】
従来より、フィンへのドロー成形には、一般的に、JIS1050、1100、1200等のアルミニウム合金板で、質別H22の調質材が使用されている。しかし、これらのアルミニウム合金フィン材では、フィンピッチが最大2.2mm程度までしか成形加工できない。これらのアルミニウム合金フィン材では、フィンピッチが2.3mm以上の成形加工では成形性が不足し、前記ドロー成形のうち、特に張り出しまたは絞り工程において、成形中に材料が破断し、所定高さのカラー成形ができないことによる。
【0005】
このため、この薄肉(0.12mm以下)で、高いフィンピッチ(2.3mm以上)のフィンへのドロー成形において、従来から、ドロー成形の加工側の改良とともに、アルミニウム合金フィン材の素材側から成形性を向上させるための努力が種々なされている。
【0006】
例えば、特開平5 −271833号公報では、Si:0.10%以下、Fe:0.10〜1.0%、Mn:0.10〜0.50%、Ti:0.01〜0.15%を含み、残部Alおよび不可避的不純物からなる化学成分からなり、かつ、金属組織中に微細な(直径0.1μm以下)金属間化合物を多数(10個/μm3 以上)分布させたアルミニウム合金フィン材が開示されている。また、このアルミニウム合金フィン材の製造方法として、前記化学成分のアルミニウム合金鋳塊を430〜580℃で均質化熱処理し、その後この温度からの温度低下が50℃以内であるうちに熱間圧延を行った後に、80%以上の圧下率で冷間圧延し、更に250〜350℃の温度で調質焼鈍を行い、前記金属組織中に微細な金属間化合物を多数分布させることが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発明者が知見したところによれば、この特開平5 −271833号公報に開示されたアルミニウム合金フィン材は、特にMnおよびMnとAlの金属間化合物を含んでいるため、材料が加工硬化し易く、強度が高くなるとともに、成形性に必要な伸びやエリクセン値が低下するため、前記JIS規格のアルミニウム合金板と同様、フィンピッチが2.3mm以上の成形加工では、成形中に材料が破断し、フィンピッチが最大2.2mmまでしか成形加工できない。実際、同公報の発明の効果の欄にも、この発明ではフィンピッチが最大2.2mmまで成形加工できるとしている。因みに、このMn乃至MnとAlの金属間化合物を含んでいるアルミニウム合金フィン材自体は、前記強度が高いゆえに、しごき加工が入り、ある程度の材料強度を必要とするドローレスタイプの加工方式や、比較的低いフィンピッチのドロー成形に現に使用されている。
【0008】
このため、ドロー成形で、前記薄肉かつ高いピッチのフィンを得るためには、前記JIS規格のアルミニウム合金板を、より軟質化して成形性を向上させた質別O材を、フィン材として使用せざるを得なかった。しかし、このO材では材料強度が低くなり、フィンとしての強度(剛性)が不足するため、フィンピッチが2.3mm以上のフィンをドロー成形で得るためには、材料の肉厚を厚くせざるを得ない。このため、フィン材の薄肉化や軽量化あるいはコストダウン、更には、空調機自身のコンパクト化や軽量化或いは高性能化が図れないという問題点があった。
【0009】
したがって、これら従来技術の通り、空調機のコンパクト化や軽量化或いは高性能化に対応して、肉厚で0.12mm以下の薄肉で、フィンピッチが2.3mm以上のフィンをドロー成形で得るに適したアルミニウム合金フィン材は、これまで無かったのが実情である。
【0010】
本発明は、これら従来技術の問題点に鑑み、肉厚が0.12mm以下の薄肉であっても、フィンピッチが2.3mm以上のフィンをドロー成形で得ることができるアルミニウム合金フィン材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係るアルミニウム合金フィン材は、肉厚が0.12mm以下の薄肉であり、かつアルミニウム合金の化学成分・組成が、Si:0.10%以下、Fe:0.70〜1.0%を含み、かつFeとSiとの含有量の比率Fe/Siが8以上であり、残部Alおよび不可避的不純物からなるとともに、最大結晶粒径が30μm以下であることを要旨とする。
【0012】
肉厚で0.12mm以下、フィンピッチが2.3mm以上のフィンへのドロー成形において、特に前記張り出し、または絞りにおける成形性を確保し、成形中の材料の破断を防止するためには、アルミニウム合金フィン材の成形性、特に伸びとエリクセン値の向上が不可欠である。この点、本発明者らは、質別H22材において、アルミニウム合金フィン材の材料の加工硬化を抑制したまま、この伸びとエリクセン値を向上させる手法について鋭意検討の結果、特にアルミニウム合金フィン材の最大結晶粒径を一定値以下に細かくすればよいことを知見して、本発明をなしたものである。
【0013】
具体的には、冷間圧延および仕上げ焼鈍後の、より好ましくは質別H22の調質を施した後の、そして要はドロー成形前のアルミニウム合金フィン材(アルミニウム合金板)の最大結晶粒径を30μm以下とする。そして、このアルミニウム合金フィン材の最大結晶粒径は、化学成分と、製造条件、特に熱間圧延条件に大きな影響を受けるため、本発明では、アルミニウム合金フィン材の製造方法の改良も合わせてなしたものである。
【0014】
したがって、本発明に係るアルミニウム合金フィン材の製造方法は、Si:0.10%以下、Fe:0.70〜1.0%を含み、かつFeとSiとの含有量の比率Fe/Siが8以上であり、残部Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金鋳塊を450〜600℃で均質化熱処理し、その後圧延終了温度が250℃以下で熱間圧延を行った後に、0.12mm以下の板厚に80%以上の加工率で冷間圧延するとともに仕上げ焼鈍後の最大結晶粒径を30μm以下とすることを要旨とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の物の発明においては、アルミニウム合金フィン材の最大結晶粒度を30μm以下とするために、化学成分としてSiとFe量およびFeとSiとの比、Fe/Siを一定量に制御し、Al−Fe系化合物の核形成効果を利用する。また、方法の発明においては、アルミニウム合金フィン材の最大結晶粒径を30μm以下とするために、特に熱間圧延終了温度を出来るだけ低い温度とする。
【0016】
まず、本発明に係るアルミニウム合金フィン材の化学成分組成について説明する。Siは、結晶粒径の微細化に悪影響を及ぼす不純物である。したがって出来るだけ少ない方が好ましい。しかし、Siは、アルミニウム原料(地金)中に不純物として含まれ、必然的に鋳塊に含まれる。その含有量が0.10%を超えるて含まれると、Al−Fe系化合物の核形成効果を低減させ、結果として結晶粒径を大きくする。したがって、Siは0.10%を許容限界量とし、これ以上鋳塊に含まれる場合には、0.10%以下に低減する。
【0017】
Feは、本発明において重要な元素であり、本発明が対象とするJIS 1100相当の純アルミニウム系材料では、特に本発明アルミニウム合金フィン材の結晶粒径への影響が大きく、Fe含有量が増加するほど結晶粒径が小さくなる。一方、Fe含有量が0.70%未満では、結晶粒径の微細化効果が無くなり、最大結晶粒径を30μm以下にすることが困難となる。また、逆にFe含有量が1.0%を超えても、結晶粒径の細粒化効果は少なくなり、かつ材料の加工硬化が大きくなり、冷間圧延性を低下させるとともに、ドロー成形における伸びとエリクセン値も低下させる。したがって、Fe含有量は0.70〜1.0%の範囲とする。
【0018】
また、FeとSiとの含有量の比率Fe/Siは、本発明では重要な規定であり、例えFe含有量が0.70%以上あっても、また、Si含有量が0.10%以下であっても、Fe/Siが8未満では、前記Al−Fe系化合物が少なくなり、この化合物の核形成効果(Feの効果)が少なくなって、結晶粒径の細粒化効果が少なくなり、最大結晶粒径を30μm以下にすることが困難となる。したがって、FeとSi含有量の各々を規定するとともに、合わせてFe/Siを8以上とする。
【0019】
この他、Cu、Mn、Mg、Cr、Zn、Ti等の元素は、本発明では不純物である。これら不純物は、アルミニウム合金中に、アルミ地金やアルミスクラップ(屑)などの溶解原料中から、必然的に混入する。そしてこれら不純物元素は、概ね本発明のFeによる結晶粒径の細粒化効果に対して悪影響を与えたり、材料を加工硬化させ易く、成形性に必要な伸びやエリクセン値が低下し、ドロー成形性を低下させる可能性がある。したがって、本発明では、これら不純物量を規制することが好ましい。より具体的には、Cuは0.20%以下、Mn、Mg、Cr、Zn、Tiは各々0.05%以下、とすることが好ましい。また、これら以外の金属元素でも、前記成形性等への悪影響を与える点は同じであるので、アルミスクラップ(屑)などの溶解原料中から多量に含有する可能性がある場合は、それら不純物金属元素を各々0.05%以下、合計で0.15%に規制することが好ましい。
【0020】
本発明における結晶粒径の規定は、最大結晶粒径で行う。最大結晶粒径の特定は、アルミニウム合金フイン材(板)表面を研磨して光学顕微鏡により観察し、例えば観察視野の広さ5mm2 内での最も大きい結晶の粒径を測定して行う。結晶粒径の特定には、他に平均結晶粒径で行う方法もあるが、アルミニウム合金フイン材の結晶粒毎の大きさが均一ではないため、本発明におけるドロー成形性改善に直結する伸びとエリクセン値との関連性が弱く、ドロー成形性改善の明確な尺度とならない。この点、本発明者らが知見したところによれば、アルミニウム合金フイン材の最大結晶粒径は、ドロー成形性と密接な関連を持ち、最大結晶粒径が小さいほどドロー成形性が良くなり、高いフィンピッチのフィンが加工可能である。なお、アルミニウム合金フイン材の最大結晶粒径は、勿論伸びやエリクセン値とも相関するが、直接的にドロー成形性とより密接な関連を持つ。言い換えると、伸びやエリクセン値が同じレベルであったとしても、最大結晶粒径がより小さい方がドロー成形性に優れる。これに対し、アルミニウム合金フイン材の最大結晶粒径が大きいほどドロー成形性が大きく劣化し、特に最大結晶粒径が30μmを超えた場合には、肉厚で0.12mm以下、フィンピッチが2.3mm以上のフィンをドロー成形にて得られなくなる。したがって、アルミニウム合金フイン材の最大結晶粒径は30μm以下とする必要がある。また、更にフィンピッチが高い、具体的には肉厚で0.12mm以下、フィンピッチが3.0mm以上のフィンをドロー成形にて得る場合には、最大結晶粒径をより小さい20μm以下とすることが好ましい。
【0021】
次に、本発明に係るアルミニウム合金フイン材の製造方法について説明する。まず、前記本発明の成分範囲内に調整されたアルミニウム合金鋳塊を、例えば、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して製造する。
【0022】
次いで、アルミニウム合金鋳塊に常法により均質化熱処理を施す。但し、この均質化温度は、アルミニウム合金のフィン成形性等の加工性に影響を与える。即ち、この均質化温度が450℃未満では、鋳塊の均質化が不十分となり、アルミニウム合金の最大結晶粒径が30μmを超えて粗大化し、伸びやエリクセン値が低くなり、ドロー成形性を劣化させる。また、この均質化をより確実に行うためには500℃以上とすることが好ましい。一方、均質化処理温度をあまり高くする必要はなく、却って、570乃至600℃の温度を超えて均質化処理を施すと、バーニング等が発生し表面性状等の不具合を招く可能性もあり、また不経済である。したがって、均質化処理温度は450〜600℃、より好ましくは450〜570℃の範囲とする。
【0023】
この均質化処理を施したアルミニウム合金鋳塊を、終了温度250℃以下で熱間圧延を行う。この熱間圧延終了温度は、本発明において重要な製造条件であり、アルミニウム合金フィン材の最大結晶粒径を決定する要因となる。熱間圧延終了温度が250℃を超えると、結晶粒径が大きくなり過ぎ、本発明で規定する30μm以下の最大結晶粒径が得られない。但し、200℃未満の熱間圧延終了温度では、材料の圧延性が低下し、圧延自体が困難になるため、下限の温度は200℃とすることが好ましい。
【0024】
この熱間圧延後、常法により、冷間圧延を一回、あるいはそれ以上行って所定の最終板厚とし仕上げ焼鈍(調質焼鈍)を行う。なお、バッチ炉、連続焼鈍炉等で行う熱間圧延後の荒焼鈍や、冷間圧延と冷間圧延との間に行う中間焼鈍は、必要により入れてもよいが、特に中間焼鈍はアルミニウム合金の結晶粒径を粗大化し、ドロー成形性を劣化させるなど、材料特性に悪影響があるので、行わない方が好ましい。
【0025】
冷間圧延の加工率は、後述するドロー成形性の点で大きいほど好ましく、具体的には80%以上、より好ましくは90%以上とする。これは、仕上げ焼鈍前の冷間圧延の加工率が、仕上げ焼鈍による再結晶粒の安定化に影響するからである。冷間圧延の加工率が80%未満では、再結晶粒径の粗大化が顕著となり、アルミニウム合金フィン材の最大結晶粒径が30μmを超えて粗大化し、伸びやエリクセン値が低くなり、ドロー成形性を劣化させる。また、最大結晶粒径を20μm以下として、ドロー成形性をより向上させるためには、冷間圧延の加工率を90%以上とするのが好ましい。
【0026】
冷間圧延後の仕上げ焼鈍は、質別H22相当に調質するために必要である。より好ましい条件は、バッチ炉焼鈍などにより、220〜280℃の温度範囲で、1〜4時間保持した後、放冷ないし急冷する。保持時間が1時間未満では調質効果が不足し、保持時間は4時間以上でもよいが、生産性や経済性の点から4時間以内が好ましい。前記加熱温度は、280℃以上の加熱ではO材のように軟質となりすぎ、アルミニウム合金フィン材の最大結晶粒径を粗大化させてしまう。また前記220〜280℃未満の加熱では調質効果がない。
【0027】
【実施例】
表1に示す化学成分を有する、厚さ600mmのアルミニウム合金鋳塊をDC鋳造法にて鋳造し、面削後、540℃の温度で4時間均質化熱処理を行い、次いで熱間圧延により厚さ3.0mmのホットコイル(熱間圧延上がりコイル)とした。このホットコイルを0.110mmの板厚まで、熱間圧延後の荒焼鈍や、冷間圧延の間に行う中間焼鈍などを行わずに、冷間圧延(圧延率96%)したアルミニウム合金板に、240〜260℃で4時間の仕上げ焼鈍を行い、質別H22相当に調質した。なお、アルミニウム合金の不純物量について、表1の発明例、比較例ともCuは0.20%以下、Mn、Mg、Cr、Zn、Tiは各々0.05%以下の、分析限界以下の低いレベルとした。
【0028】
このように作成したアルミニウム合金フィン材について、JIS5号試験片での引張り試験およびJIS−Z2247(A法)によるエリクセン試験にて、機械的性質を求めた。また最大結晶粒径について、アルミニウム合金フィン材表面を研磨して光学顕微鏡により観察し、観察視野の広さ5mm2 内での最も大きい結晶粒径で測定した。これらのアルミニウム合金フィン材を、ドロータイプのフィン成形金型を用い、前記図1の工程および形状で、フィンピッチが1.8から3.0mmの各ピッチにフィン成形を行った。フィン成形の結果について各フィンピッチにおいて、成形したフィンを観察し、アルミニウム合金材料に亀裂または破断が生じずに、良好に成形できたものを○、材料に少しでも亀裂または破断が生じたものを×とした。これらの結果をまとめて表1に示す。
【0029】
表1において、No.1〜4は本発明例であり、最大結晶粒径が30μm以下であり、また成形性に必要な伸びやエリクセン値が高い。このため、0.110mmの薄肉材でも、2.3mm以上のフィンピッチである2.6mmまでドロー成形することが可能である。そして、最大結晶粒径が20μm以下の場合(No.1、2)では、3.0mmのフィンピッチまでドロー成形することが可能である。これに対し、比較例No.5はSi量が上限量を超えておりFe/Siが下限をはずれ、比較例No.6はFe量が下限量を下回り、比較例No.7はFe/Siが下限をはずれ、比較例No.8、9は熱間圧延終了温度が高すぎ、いずれも最大結晶粒径が30μmを超え、また成形性に必要な伸びやエリクセン値も低い。このため、これら比較例は、1.8乃至2.0mmのフィンピッチまでしかドロー成形することができない。
【0030】
また、発明例No.1と、化学成分が同じで、Cuを0.20%、Mn、Mg、Cr、Zn、Tiを各々0.05%程度含む(各不純物を各々の好ましい上限値含む)アルミニウム合金フィン材を、発明例No.1と同一の条件で製造し、ドロー成形した結果、最大結晶粒径は20μm以下であったにも拘らず、成形性に必要な伸びやエリクセン値が、前記比較例よりは優れるものの、他の本発明例よりも不足しており、2.3mmのフィンピッチまでしか良好にドロー成形することができなかった。したがって、2.3mmより更に高いフィンピッチまでドロー成形するためには、アルミニウム合金フィン材の前記不純物量を前記値以下にできるだけ低減する必要があることが分かる。
【0031】
【表1】
Figure 0003810902
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るドロー成形されるアルミニウム合金フィン材およびその製造方法によれば、肉厚で0.12mm以下の薄肉材料でも、フィンピッチが2.3mm以上のフィンをドロー成形で得ることができる。したがって、アルミニウム合金フィン材自身の薄肉化やコストダウン、熱交換器用アルミニウムフィンの薄肉化や高フィンピッチ化、ひいては、空調機自体の性能向上や軽量化、コンパクト化を達成できる点で工業的な意義は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ドロー成形の一般的な工程例を示す説明図である。
【符号の説明】
1;アルミニウム合金フィン材 2;カラー
3;プレート部

Claims (13)

  1. 板厚が0.12mm以下のアルミニウム合金フィン材であって、Si:0.10%以下、Fe:0.70〜1.0%を含み、かつFeとSiとの含有量の比率Fe/Siが8以上であり、残部Alおよび不可避的不純物からなるとともに、最大結晶粒径が30μm以下である、ドロー成形によるフィンへの加工性に優れたアルミニウム合金フィン材。
  2. 前記最大結晶粒径が20μm以下である請求項1に記載のアルミニウム合金フィン材。
  3. 前記不可避的不純物として、Cuが0.20%以下、Mn、Mg、Cr、Zn、Tiが各々0.05%以下である請求項1または2に記載のアルミニウム合金フィン材。
  4. 前記アルミニウム合金フィン材が、質別H22の調質を施したものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアルミニウム合金フィン材。
  5. 前記フィンのピッチが2.3mm以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金フィン材。
  6. Si:0.10%以下、Fe:0.70〜1.0%を含み、かつFeとSiとの含有量の比率Fe/Siが8以上であり、残部Alおよび不可避的不純物からなるアルミニウム合金鋳塊を450〜600℃で均質化熱処理し、その後圧延終了温度が250℃以下で熱間圧延を行った後に、0.12mm以下の板厚に80%以上の加工率で冷間圧延するとともに、仕上げ焼鈍後の最大結晶粒径を30μm以下とするドロー成形によるフィンへの加工性に優れたアルミニウム合金フィン材の製造方法。
  7. 前記最大結晶粒径が20μm以下である請求項6に記載のアルミニウム合金フィン材の製造方法。
  8. 前記不可避的不純物として、Cuが0.20%以下、Mn、Mg、Cr、Zn、Tiが各々0.05%以下である請求項6または7に記載のアルミニウム合金フィン材の製造方法。
  9. 前記熱間圧延後および冷間圧延途中で、焼鈍を行わない請求項6乃至8のいずれか1項に記載のアルミニウム合金フィン材の製造方法。
  10. 前記熱間圧延終了温度を200〜250℃の温度範囲とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載のアルミニウム合金フィン材の製造方法。
  11. 前記冷間圧延の加工率を90%以上とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載のアルミニウム合金フィン材の製造方法。
  12. 前記仕上げ焼鈍により、質別H22の調質を行う請求項6乃至11のいずれか1項に記載のアルミニウム合金フィン材の製造方法。
  13. 前記フィンのピッチが2.3mm以上である請求項6乃至12のいずれか1項に記載のアルミニウム合金フィン材の製造方法。
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