JP3810840B2 - アークイオンプレーティング装置に用いる積層ターゲット及びその製造方法 - Google Patents

アークイオンプレーティング装置に用いる積層ターゲット及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ークイオンプレーティング装置に使用される積層ターゲット及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、スパッタリング法やアークイオンプレーティング法(AIP法)などの蒸着法に用いられる蒸発源(ターゲット)としては、例えば特公平3−2230号公報に開示されているように、クロムからなる蒸発材を熱間等方加圧成形(HIP)するクロムターゲットが知られている。このクロムターゲットの製造方法は、高純度金属クロム粉末からなる蒸発材を、鋼又はステンレス鋼製の金属カプセルに真空密封し、このカプセルをHIP法で成形した後、金属カプセルを除去し、適宜の熱間加工が施されて所望の形状を得るものである。
【0003】
ところが、このような製造方法では、蒸発材であるクロム粉末の粒度を小さくする必要があるため、蒸発材は高価であると共にその入手が困難である。又、基本的に加圧成形後の工程で加熱処理が必要であり、割れに対する配慮がなされていないため、成形後のクロムターゲットは脆いものとなる。
そこで、上記の蒸発材や割れを改善するため、例えば、図4に示すように、柱状或いは筒状の基体12の外周面に、Cr粉末からなる蒸発材13をHIPにより接合するスパッタリング用ターゲット11が特開平5−39566号公報に提案されている。このターゲット11では、蒸発材13を焼結して密度を高めているため、蒸発材13の粒度に関係なく使用でき、大幅なコストダウンが図られている。更に、蒸発材13の内部欠陥が少なくなり、基体12と蒸発材13との接合強度が向上し、その結果、割れが発生し難くなっている。
【0004】
又、同公報には、蒸発材と基体との接合方法として、ろう付け法が記載されている。この方法により、例えば筒状のターゲットを製造するときには、予め粉末成形法により製造された筒状の蒸発材の中空部に、ステンレス製のバッキングチューブ(基体)を挿入し、前記蒸発材と前記基体との間に、In−Sn,In−Pb,Sn−Agなどのろう材を充填してボンディング加工が施される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記HIP法により接合する従来のターゲットは、主にスパッタリング法に用いられるものであり、この種のターゲットをAIP法に用いた場合には次のことが考えられる。
1.AIP法において、アークスポットをターゲット上の限られた領域に集中させた場合、基体と蒸発材との界面で剥離が生じる。
2.この剥離の原因は、基体と蒸発材の線熱膨張係数の差に起因して界面に発生する引張応力、及び界面に生成される金属間化合物にあると推定される。
3.すなわち、アークスポットを集中させた領域では、部分的にターゲットが加熱され、基体と蒸発材との界面に大きな応力が発生すると考えられる。そして、鋼製の基体とクロム蒸発材とからなるターゲットの界面には、Fe−Crの組合せからなる母材より脆い金属間化合物が生成すると考えられる。
【0006】
以上のような理由から、蒸発材が基体に接してなるターゲットをAIP法に用いる場合、基体と蒸発材との剥離が生じ易いという問題を生じている。又、上記ろう付け法により接合する従来のターゲットをAIP法に用いる場合でも、上記と同様の理由で、界面に大きな引張応力が発生する。
【0007】
更に、上記HIP法による従来の筒状ターゲットでは、一旦界面に剥離が生じると、ターゲットの冷却能が大幅に低下し、所望の膜質が得られなくなる。そして、アークスポットがターゲット上に偏在し易くなり、膜厚分布の悪化が生じる。又、従来のろう付け法で接合する場合では、機械加工により焼結体である蒸発材を円筒形に加工するため、蒸発材の内面加工が極めて困難であり、材料のロスが非常に大きい。そして、蒸発材と基体との軸合わせが難しく、これらの径の寸法に高い精度が要求されるという問題がある。更に、蒸発材と基体とは、ろう材を介して接合しているために、接合強度が弱く、割れや剥離が一層生じ易いという欠点がある。
【0008】
一方、クロムは非常に脆い材料であり、これを主成分とする蒸発材より成るクロムターゲットも同様に割れ易いものである。よって、上記従来の製造方法による筒状のクロムターゲットをAIP装置に装備するときには、ターゲットの割れによる冷媒の噴出で真空容器内が汚染されるため、これを未然に防ぐ対策が必要であった。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、金属のイオン化エネルギーが大きく,ターゲットの局部加熱が避けられないAIP法においても、基体と蒸発材との拡散を抑制する中間層を形成することにより、基体と蒸発材との剥離を防止し得る積層ターゲット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の積層ターゲットは、体と、Crを主成分とする金属からなる蒸発材とを熱間等方圧加圧法により接合してなる積層ターゲットであって
前記基体を軟鋼製とし、この基体と前記蒸発材との間に、当該基体と前記蒸発材との拡散を抑制するNiを主成分とする金属製の中間層を設けており前記基体と前記中間層との間の界面付近にFe−Ni系金属間化合物を形成し、且つ、前記蒸発材と前記中間層との界面付近にCr−Ni系金属間化合物を形成することでFe−Cr系金属間化合物の形成を防止して、アークイオンプレーティング装置に用いる点を特徴とする。
【0010】
上記のように、基体と蒸発材との間に中間層を設けると、熱間等方圧加圧成形により、基体と中間層,中間層と蒸発材の間で拡散が生じる。すなわち、中間層は基体と蒸発材との拡散を抑制する材料により構成されているため、基体と蒸発材との拡散の進行が抑えられる。このため、基体と蒸発材との拡散による金属間化合物の生成量が減少し、例えばFe−Cr系金属間化合物など脆い金属間化合物の生成による接合強度の低下を抑制する。
そして、請求項2に記載しているように、前記基体を筒形状とし、この基体の外周面に設けられた中間層を介して蒸発材が接合されていることにより、積層ターゲット内に冷媒を通すことが可能となる。これにより、積層ターゲットの冷却効率が向上し、基体と蒸発材の剥離によるターゲットの冷却能低下がないため、蒸発材の粗悪化が防止され、所望の膜硬度が得られる。
【0011】
さらに、上記基体の内部に、上記蒸発材を冷却するための冷媒を流通させることが好ましい。
このような積層ターゲットの製造方法としては、例えば、金属製の基体に、この基体とは異なる金属からなる蒸発材を熱間等方圧加圧法により接合させる積層ターゲットの製造方法において、メッキ法により、前記基体と前記蒸発材との拡散を抑制する中間層を前記基体に形成しておくことができ(請求項5)、これによると、均一な厚さの中間層が形成され、膜質分布が一定になると共に、付着強度が高いため、剥離の防止効果に寄与する。
【0012】
そして、蒸発材がCrを主成分とする金属からなり、中間層がNiを主成分とする金属からなり、中間層の厚さを50μm以上とすることにより、蒸発材の拡散が防止されると共に、高強度なCr−Ni系金属間化合物が形成される。又、基体がFeを主成分とする金属からなり、中間層がNiを主成分とする金属からなり、中間層の厚さを100μm以上とすることにより、基体の拡散が防止されると共に、高強度なFe−Ni系金属間化合物が形成される。更に、基体がFeを主成分とする金属からなり、蒸発材がCrを主成分とする金属からなり、中間層がNiを主成分とする金属からなり、中間層の厚さを200μm以上とすることにより、蒸発材と基体との拡散が生じ難くなり、脆いFe−Cr系金属間化合物の形成が防止され、Cr−Ni系及びFe−Ni系金属間化合物が形成される。よって、中間層の接合強度が向上し、剥離の発生を防止し得る。
【0013】
又、前記積層ターゲットの製造方法において、基体と蒸発材との間に、基体と蒸発材との拡散を抑制する金属箔を介在させておき、金属箔の厚さを10〜50μmとすると、中間層を形成する工程が単純になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
初めに、図2を参照して本実施形態に係るクロムターゲット1の製造方法について説明する。同図は、クロムターゲット1の製造工程の概要を示したものである。まず、断面中実の棒体からなる軟鋼製の柱状基体2aの外周面には、メッキ法によりNiからなる中間層4が形成され、これをクロムターゲット素材1aとする。前記メッキ法としては、後述のHIP処理によるFe元素及びCr元素の拡散を防止するという意味から、最も緻密な金属膜が形成できるものとして、電気メッキ法を採用する。電気メッキ法の手順としては、従来と同様、例えばNiを含む電解液5の中に被メッキ体である柱状基体2aを浸漬しておき(図2(I )(II)))、この柱状基体2aを陰極として電解を行い、電解液5の中に存在するNiイオンを柱状基体2aの浸漬面に析出させ、柱状基体2aの外周面に中間層4を形成させるものである(図2(III ))。
【0015】
このように中間層4が形成された後、クロムターゲット素材1aの周囲には、Crからなるターゲット材(蒸発材)3が熱間等方加圧法(HIP法)により接合される。このHIP処理の手順としては、ステンレス製の円筒状カプセル6の中心付近にクロムターゲット素材1aを設置しておき(図2(IV))、クロムターゲット素材1aとカプセル6との隙間の円筒状空間に、ターゲット原料3aを充填した後(図2(V ))、このカプセル6を真空密封し、熱間等方加圧成形を施すものである。ここで、ターゲット原料3aとしては、粉体状のCr金属粉末を使用し、このCr粉末がHIP処理により焼結されてターゲット材3となる。その結果、クロムターゲット素材1aにおいて、柱状基体2aの外周面に形成された中間層4を取囲むようにターゲット材3が接合されることになる(図2(VI))。
【0016】
なお、クロムターゲット素材1aに対し、HIP処理後にカプセル6が除去され、中ぐり加工により柱状基体2aの中心部に冷却水路用の貫通穴7が形成され、両端と外周を所定の形状に仕上げ加工が施され、これにより、本実施形態に係るクロムターゲット1が得られる(図2(VII ))。
次に、上記製造方法により得られるクロムターゲット1について説明する。
図1は、本実施例に係るクロムターゲット1の断面図を示したものである。同図に示すように、クロムターゲット1は、円筒形状の基体2と、この基体2と同心円筒形状のターゲット材3とを有し、基体2の外周面とターゲット材3の内周面との間に中間層4が設けられている。又、ターゲット材3は、中間層4の外周面に所定厚みの層として接合されており、この接合方法としてHIP法を用いているため、高密度かつ欠陥が少なく、ターゲット材3を形成するときに、基体2とターゲット材3との軸合わせを行う必要がない。
【0017】
すなわち、前記クロムターゲット1において、軟鋼製の基体2とCrからなるターゲット材3とが、Fe元素,Cr元素の拡散を防止するNiからなる中間層4を介して、HIP処理により接合されているため、基体2と中間層4,ターゲット材3と中間層4の間での拡散、すなわちFe元素とNi元素,Cr元素とNi元素の間での拡散が生じる。これにより、基体2と中間層4との界面付近にFe−Ni系の金属間化合物が形成され、ターゲット材3と中間層4との界面付近にCr−Ni系の金属間化合物が形成される。これらの金属間化合物は、Fe−Cr系金属間化合物より高強度であり、通常のクロムターゲット1の使用条件下で発生する応力に対し、十分な強度を有している。このように、Fe元素或いはCr元素の相方への拡散が抑制され、Fe系材料とCr系材料との拡散接合により生じる脆いFe−Cr系金属間化合物の形成を防止し得る。
【0018】
よって、基体2と中間層4,ターゲット材3と基体2との接触面における接合強度が向上し、基体2とターゲット材3との剥離を防止し得る。なお、中間層4はメッキ処理により基体2の外周面に均一の厚さで形成されているため、Fe−Ni系及びCr−Ni系金属間化合物が中間層4の周方向及び長手方向に均一分散し、クロムターゲット1の全体にわたって剥離が発生し難くなっている。
このように、中間層4の外周面及び内周面において拡散が起こるため、中間層4の厚さが薄い場合、Fe元素及びCr元素のいずれか一方が他方にまで拡散が進行し、中間層4の中央部付近に脆いFe−Cr系金属間化合物が形成されると考えられる。よって、中間層4の厚さを厚くすることにより、Fe元素或いはNi元素の拡散が一層抑制される。又、これらは、HIP条件が一定であるときの傾向を示したものであり、Fe元素或いはNi元素の拡散の進行は加熱温度・保持時間などのHIP処理条件により変化するため、例えばHIP処理時間が短いときには、Fe元素,Cr元素の拡散を防止し得る中間層4の厚さは薄くなる。
【0019】
一方、Fe元素とNi元素とでは拡散速度が異なるため、それぞれの拡散を抑制し得る中間層4の厚さも異なることになる。よって、通常のHIP処理条件下では、中間層4の厚さを50μm以上に形成しておくと、Cr元素の拡散が中間層4によりほぼ100%抑制されるため、Cr−Ni系金属間化合物が形成され、ターゲット材3と中間層4との接触強度が向上する。そして、中間層4の厚さを100μm以上に形成しておくと、Fe元素の拡散が中間層4により約80%抑制されるため、Fe−Ni系金属間化合物が形成され、基体2と中間層4との接合強度が向上する。更に、中間層4の厚さを200μm以上に形成する場合、Cr元素及びFe元素の拡散が中間層4によりほぼ100%抑制されるため、Cr−Ni系及びFe−Ni系金属間化合物が形成されると共に、脆いFe−Cr系金属間化合物の形成が防止され、ターゲット材3と中間層4,基体2と中間層4の接触面における接合強度が向上し、剥離の発生を防止し得る。なお、中間層4の上限厚さは、製造コストを考慮すると250μm程度が望ましい。
【0020】
また、図1に示すように、上記クロムターゲット1の基体2は冷却水路用の貫通口7が形成された中空体である。この貫通口7によって基体2の内部に、ターゲット材3を冷却するための冷媒を流通させることが可能になる。そして、本実施形態のクロムターゲット1は、前記したように基体2とターゲット材3との反応による脆いFe−Cr系金属間化合物の形成が防止されているため、冷媒が基体2の内部を流通しても基体2とターゲット材3との剥離が抑制され、ターゲット材3の冷却能低下が防止されている。このようにターゲット材3の冷却能が確保されていることにより、膜質の粗悪化が防止され、所望の膜硬度が得られる。このとき、基体2は高強度な材料からなるため、冷媒の噴出が防止され、クロムターゲット1をアークイオンプレーティング装置のターゲットとして装備しても、真空容器の汚染が未然に防止される。
【0021】
そこで、上記製造方法によりアークイオンプレーティング装置用の円柱状のクロムターゲット1を作製した。このとき、中間層4の厚さは、後述のHIP処理温度でのFe元素及びCr元素の拡散速度を考慮して、200μmとした。又、HIP処理条件は、1280℃,1000kgf/cm2 の下で2時間保持とした。図3に、HIP処理後にクロムターゲット1の接合面を線分析した結果を示す。同図(a)(b)(c)は、それぞれFe元素,Ni元素,Cr元素の拡散状況を示しており、いずれの図も、最左端の層が基体2であり、中央の層が中間層4であり、最右端の層がターゲット材3を示す。同図(a)より、Fe元素の拡散が、100μm付近で約80%,200μm付近でほぼ100%抑制されていることがわかる。一方、同図(c)より、Cr元素の拡散が、50μm付近でほぼ100%抑制されていることがわかる。
【0022】
そして、得られたクロムターゲット1の基体2とターゲット材3との接合強度は、約20kgf/mm2 であった。この値は、クロムターゲット1の使用環境下での熱応力解析で得られた接合面の最大引張応力を超える値であった。実際、このクロムターゲット1を使用して、AIP法として特徴的なアークスポットを限られた領域に集中させる運転をしても、基体2とターゲット材3との剥離は一切認められなかった。
又、基体2とターゲット材3との間に、Niを主成分とする金属箔を介在させておくことにより中間層4を形成することもできる。すなわち、前記クロムターゲット1の製造方法において、電気Niメッキ処理の代わりに、例えばNiよりなる金属箔を柱状基体2の表面に貼付けて中間層4を形成しておくものである。これにより、中間層4を形成する工程が単純化される。この金属箔の厚さは、10〜50μmのものを用いると良い。なお、この金属箔をテープ状に形成しておき、基体2の外周面に巻き付けておくこともでき、これにより作業自体が容易になる。
【0023】
なお、本実施例では、中ぐり加工により柱状基体2aを円筒形状に形成したが、予め円筒形の基体2を用いることにより、基体2を円筒状に加工する工程が省ける
【0024】
【発明の効果】
以上のように、本発明の積層ターゲットは、アークイオンプレーティング装置に用いることができるもので、基体を軟鋼製とし、この基体と蒸発材との間に、基体と蒸発材との拡散を抑制するNiを主成分とする金属製の中間層を設けており基体と中間層との間の界面付近にFe−Ni系金属間化合物を形成し、且つ、蒸発材と中間層との界面付近にCr−Ni系金属間化合物を形成することでFe−Cr系金属間化合物の形成を防止している。また、脆い金属間化合物の生成による接合強度の低下を抑えることができる。さらに、高強度な金属間化合物が形成され、接合強度を向上することができる。
【0025】
そして、基体が筒形状であり、この基体の外周面に設けられた中間層を介して蒸発材が接合されているので、ターゲットの冷却能が確保され、所望の膜質を得ることができる。
又、本発明の積層ターゲットの製造方法によれば、メッキ法により、基体と蒸発材との拡散を抑制する中間層を基体に形成しておくので、均一な厚さの中間層を形成することができ、剥離の発生防止に寄与する。
そして、蒸発材がCrを主成分とする金属からなり、中間層がNiを主成分とする金属からなり、中間層の厚さが50μm以上であるので、蒸発材の拡散が防止できる。又、基体がFeを主成分とする金属からなり、中間層がNiを主成分とする金属からなり、中間層4の厚さが100μm以上であるので、基体の拡散が防止できる。更に、基体がFeを主成分とする金属からなり、蒸発材がCrを主成分とする金属からなり、中間層がNiを主成分とする金属からなり、中間層の厚さが200μm以上であるので、基体,蒸発材の拡散が防止され、脆いFe−Cr系金属間化合物の生成を防止することができる。
【0026】
前記積層ターゲットの製造方法において、基体と蒸発材との間に、基体と前記蒸発材との拡散を抑制する金属箔を介在させておき、金属箔の厚さが10〜50μmであるので、中間層の形成工程を簡単にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明の一実施形態におけるクロムターゲットの断面図、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図2】 上記クロムターゲットの製造方法の概要を示す説明図である。
【図3】 上記クロムターゲットの線分析の結果であり、(a)はFe元素の拡散状況を示すグラフ、(b)はNi元素の拡散状況を示すグラフ、(c)Cr元素の拡散状況を示すグラフである。
【図4】 (a)は従来の円筒形クロムターゲットを示す説明図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は従来の円柱形クロムターゲット示す説明図である。
【符号の説明】
1 クロムターゲット(積層ターゲット)
2 基体
3 ターゲット材(蒸発材)
4 中間層

Claims (8)

  1. 体と、Crを主成分とする金属からなる蒸発材とを熱間等方圧加圧法により接合してなる積層ターゲットであって
    前記基体を軟鋼製とし、この基体と前記蒸発材との間に、当該基体と前記蒸発材との拡散を抑制するNiを主成分とする金属製の中間層を設けており
    前記基体と前記中間層との間の界面付近にFe−Ni系金属間化合物を形成し、且つ、前記蒸発材と前記中間層との界面付近にCr−Ni系金属間化合物を形成することでFe−Cr系金属間化合物の形成を防止していることを特徴とするアークイオンプレーティング装置に用いる積層ターゲット。
  2. 上記基体は筒形状であり、この基体の外周面に設けられた上記中間層を介して上記蒸発材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアークイオンプレーティング装置に用いる積層ターゲット。
  3. 上記基体の内部に、上記蒸発材を冷却するための冷媒を流通させることを特徴とする請求項に記載のアークイオンプレーティング装置に用いる積層ターゲット。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の積層ターゲットを製造する製造方法において、メッキ法により、前記基体と前記蒸発材との拡散を抑制する中間層を前記基体に形成しておくことを特徴とするアークイオンプレーティング装置に用いる積層ターゲットの製造方法。
  5. 前記中間層の厚さは、50μm以上であることを特徴とする請求項4に記載のアークイオンプレーティング装置に用いる積層ターゲットの製造方法。
  6. 前記中間層の厚さは、100μm以上であることを特徴とする請求項4に記載のアークイオンプレーティング装置に用いる積層ターゲットの製造方法。
  7. 前記中間層の厚さは、200μm以上であることを特徴とする請求項4に記載のアークイオンプレーティング装置に用いる積層ターゲットの製造方法。
  8. 請求項1ないし3のいずれかに記載の積層ターゲットを製造する製造方法において、
    前記基体と前記蒸発材との間に、前記基体と前記蒸発材との拡散を抑制する金属箔を介在させておき、前記金属箔の厚さは10〜50μmであることを特徴とするアークイオンプレーティング装置に用いる積層ターゲットの製造方法。
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