JP3808985B2 - 液体原料の気化装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、特定のガスを得るために特定の液体原料を気化するようにした気化装置に係り、特に気化温度の高い液体原料に好適な気化装置に関する。この発明は、例えば、半導体製造装置で使用される反応ガスを得るために気化温度の高い液体原料を気化するようにした気化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、特定のガスを得るために特定の液体原料を加熱して気化するようにした気化装置がある。例えば、半導体の製造装置において、半導体基板はその上面に絶縁膜を形成する過程で反応ガスの供給を受ける。ここで、製造装置に対して反応ガスを供給する装置は、上記のような気化装置を含む。
【0003】
特開平6−291040号公報は上記のような気化装置の一例(以下、「第1の従来技術」という。)を開示する。この気化装置は、気化器、マスフローコントローラ及び液体用質量流量調節器を備える。気化器は外周にヒータを有する。気化器には、液体原料とキャリアガスとがそれぞれ供給される。気化器に供給される液体原料はヒータにより加熱されて気化され、その気化ガスがキャリアガスと共に気化器から外部へ排出され、反応炉へ送り込まれる。マスフローコントローラ等は気化器に供給されるキャリアガスを調節する。液体用質量流量制御器は気化器に供給される液体原料を制御する。つまり、この気化装置は、気化器に供給される液体原料の流量が所定値となるように制御することにより、気化器から排出されるガス流量を制御するものである。
【0004】
一方、特開平5−228361号公報は上記のような気化装置の別の一例(以下、「第2の従来技術」という。)を開示する。この気化装置は、ヒータブロック、質量流量コントローラ、液体流量制御器、質量流量計及びコンピュータを備える。ヒータブロックは内部に気化室を、外周にヒータをそれぞれ有する。気化室には、液体原料とキャリアガスとが供給される。気化室に供給された液体原料はヒータにより加熱されて気化され、その気化ガスがキャリアガスと共に気化室の外部へ排出され、反応炉等へ送り込まれる。質量流量コントローラは気化室に供給されるキャリアガスを調節する。液体流量制御器は気化室に供給される液体原料を調節する。質量流量計は気化室から排出されるガスの質量流量を計測する。コンピュータは質量流量計の出力、又は、質量流量計の出力と質量流量コントローラの出力との差に基づいて液体流量制御器を制御する。つまり、この気化装置は、気化室から排出されるガス流量を実際に計測し、その計測結果が所定値となるように気化室に供給される液体原料を制御するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記第1の従来技術の気化装置では、気化器に供給された液体原料が全て気化されればよいのであるが、気化器内で気液界面を一定に保つことが困難である。このため、気化器から排出されるガス流量が変動し、不安定になる場合がある。特に、この気化器では、その外周にヒータが設けられることから、ヒータの熱が気化室の中の液体原料に直接的に伝わり難く、開始時の気化の立ち上がりや、終了時の気化の立ち下がりの応答性があまりよくない傾向にある。
【0006】
これに対し、前記第2の従来技術の気化装置では、気化室から排出されるガス流量を質量流量計により計測し、その計測結果を気化室に供給される液体原料の供給量に即座に反映させている。このため、気化室から排出されるガス流量を安定的、かつ、応答性良く制御することが可能になる。ここで使用される流量計は、55℃程度の気化温度を有する有機シラン(TEOS)等を対象とするものであり、一般的な流量計の耐用温度を超えるものではない。しかしながら、流量計、例えばマスフローコントローラの耐用温度は90℃程度が上限であることから、それ以上、例えば100℃以上の高温下で流量計を使用することはできない。
【0007】
近時、半導体製造装置においては、半導体基板上にバリウム・ストロンチウム・チタン酸化膜を成形することがあり、このため、100℃以上の気化温度を有する液体原料としてバリウム、ストロンチウム、チタンをそれぞれ溶剤に溶かしたもの(以下、BSTOという)を使用することがある。例えば、このBSTOの場合、その気化温度は約250℃である。このような高温下で使用できる流量計は現在知られていない。このため、気化温度の高い液体原料につき、そのガス流量を制御するためには、前記第1の従来技術のようなタイプの気化装置を使わざるを得ず、ガス流量を安定的、かつ、応答性良く制御することが困難である。
【0008】
この発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、気化温度の高い液体原料を気化させると共に、その気化流量を、特別な流量計を使用することなく安定的に制御することを可能にした液体原料の気化装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、気化器に供給される液体原料を電気ヒータにより加熱し気化させて排出すると共に、その排出流量を制御するようにした気化装置であって、気化器に対する液体原料の供給量を調節するための原料調節手段と、気化器内の温度を検出するための温度検出手段と、その検出される温度が一定となるように電気ヒータに供給される電気量を制御するための電気量制御手段と、電気ヒータに供給される電気量を排出流量に相関する値とし、その相関値に基づいて原料調節手段を制御するための原料制御手段とを備えたことを趣旨とする。
【0010】
上記の構成によれば、気化器に供給される液体原料は、電気ヒータにより加熱され気化されて気化器から排出される。このとき、気化器内では液体原料の気化に伴い温度が変動しようとするが、温度検出手段による検出温度が一定となるように、電気ヒータに供給される電気量が電気量制御手段により制御されることから、気化器内の温度変動が抑えられる。ここで、原料制御手段は、電気ヒータに供給される電気量を、気化器からの排出流量に相関する値とし、その相関値に基づいて原料調節手段を制御する。即ち、気化器に対する液体原料の供給量と電気ヒータへ供給される電気量とが互いに相関し、この電気量と気化器からの排出流量とが互いに相関するものとして、原料制御手段が原料調節手段を制御する。従って、気化器への液体原料の供給量が気化器からの気体の排出流量に基づいて制御されることになり、その排出流量が所要の値に収束し易くなる。更に、気体の排出流量を得るのに特別の流量計を使用しないことから、気化温度の高い液体原料にも気化装置が適用可能である。
【0011】
上記の目的を達成するために請求項2に記載の発明は、請求項1の発明の構成において、電気ヒータ及び温度検出手段を互いに一体的に設け、それらを気化器の内部に配置したことを趣旨とする。
【0012】
上記の構成によれば、請求項1の発明の作用に加え、電気ヒータが気化器の内部に配置されることから、気化器に供給される液体原料が少ない熱損失で効率良く電気ヒータにより加熱され、気化される。更に、温度検出手段が気化器の内部に配置されることから、気化に伴い変動しようとする気化器内部の温度が少ない温度損失をもって温度検出手段により検出される。従って、温度検出手段により検出される温度変化が液体原料の気化量を良好に反映し、電気ヒータに供給される電気量が気化器からの気体の排出流量を良好に反映することになり、気化器に対する液体原料の供給量が精度良く制御されることになる。
【0013】
上記の目的を達成するために請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2の発明の構成において、気化器は液体原料を気化させるための気化室と、その気化室に液体原料を導入するための導入口とを有し、温度検出手段は気化室において導入口に接近して配置されることを趣旨とする。
【0014】
上記の構成によれば、請求項1又は請求項2の発明の作用に加え、導入口から気化室に液体原料が流れ始めると、温度検出手段が即座にその液体原料の温度を検出できる。このため、温度検出の精度が高まり、気体の排出流量の変化を応答性良く検出することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、請求項1〜請求項3の発明に係る液体原料の気化装置の一実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。この実施の形態では、半導体の製造装置に反応ガスを供給するためのガス供給装置に本発明の気化装置が具体化される。
【0016】
図1はガス供給装置の概略構成を示す。一般に、半導体の製造装置では、半導体基板の上に絶縁膜を気層成膜する過程で、特定の反応ガスを供給する必要がある。この実施の形態では、絶縁膜として、化学蒸着成膜法(CVD)により気相成膜されるバリウム・ストロンチウム・チタン酸化膜が適用される。この膜を得るための特定ガスとして、常温常圧の下で液状をなす液体原料としてのBSTOが使用される。このBSTOは約250℃という高い気化温度を有する。
【0017】
ガス供給装置はタンク1及び気化装置を備える。気化装置は気化器2、流量コントローラ3及び温度コントローラ4を含む。タンク1は液状のBSTOを液体原料として貯留するものである。液状のBSTOを気化するために、気化器2にはタンク1から液状のBSTOが供給される。気化器2により気化されたBSTOのガスは、高温対応分岐バルブ5を介して半導体製造装置のプロセスチャンバ6に導入され、更にポンプ7から吐出される。或いは、気化ガスは高温対応分岐バルブ5からベント8に分岐される。タンク1には、窒素ガスが所定の圧力をもって供給される。窒素ガスの圧力は、レギュレータ9により所定の値に調整される。
【0018】
気化器2は調節バルブ10及び熱電対付ヒータ11を有する。調節バルブ10は気化器2に供給される液状のBSTOの量を調節するものである。熱電対付ヒータ11は本発明の電気ヒータ12と、本発明の温度検出手段としての熱電対13とを併せ持つものである。熱電対付ヒータ11は気化器2の内部に配置される。電気ヒータ12は気化器2の内部に導入された液状のBSTOを直接的に加熱するものである。熱電対13は銅及びコンスタンタンより形成され、気化器2の内部温度、或いはその内部のBSTOの温度を検出するものである。調節バルブ10を作動させるために、このバルブ10には、電空レギュレータ14を介して圧縮空気が供給される。調節バルブ10及び電空レギュレータ14は本発明の原料調節手段を構成するものである。
【0019】
温度コントローラ4には、熱電対13による検出温度の値が入力される。このコントローラ4には、作業者により任意に設定される温度に係る信号(設定温度信号)が入力される。このコントローラ4は、熱電対13による検出温度が設定された温度となるように電気ヒータ12を制御するものである。
【0020】
温度コントローラ4は比較器15、パルス幅変換回路16、駆動回路17及び温度変換回路18を備える。温度変換回路18は熱電対13による検出値を入力し、温度に相当する値に変換して比較器15へ出力するものである。比較器15は温度変換回路18からの温度相当値と、作業者による設定温度信号とを比較し、設定温度からの温度相当値の偏差を算出するものである。パルス変換回路16は、上記算出された偏差を所定周期(200msec)を有するDC12Vのパルス信号として駆動回路17へ出力すると共に、そのパルス信号をフィルタ19を介して流量コントローラ3へ出力するものである。駆動回路17はパルス変換回路16から出力されるパルス信号を増幅し、AC100Vのパルス信号として電気ヒータ12へ出力するものである。
【0021】
即ち、温度コントローラ4は本発明の電気量制御手段に相当し、熱電対13により検出される温度が一定となるように電気ヒータ12に供給される電気量を制御するものである。このような温度一定制御において、図3に示すように、気化器2への液体原料の供給流量に比例して、パルス信号のON(オン)時間が増加する。ここで、図4に示すように、気化器2への液体原料の供給流量に対して、気化器2で気化されるガスの流量は比例する。このため、図5に示すように、パルス信号のオン時間に対してガス流量が比例することになる。
【0022】
フィルタ19は流量コントローラ3に入力されるパルス信号をなますものであり、このなましによって定電圧信号が得られる。図6はそのパルス信号のオン時間に対する定電圧信号の関係を示す。この定電圧信号は電気ヒータ12に供給される電気量を反映した信号であり、気化器2から排出されるBSTOのガス流量に相関するものである。流量コントローラ3は、入力される定電圧信号に応じたガス流量を算出する。図7はその算出のために参照される関数データを示し、定電圧信号に対するガス流量の関係を示す。一方、コントローラ3には、作業者により任意に設定されるガス流量に係る信号(流量設定信号)が入力される。コントローラ3は、上記算出されたガス流量を自身にフィードバックさせ、そのガス流量が所定の設定流量となるように電空レギュレータ14を制御し、もって調節バルブ10の開度を調節するのである。この流量コントローラ3は本発明の原料制御手段を構成する。
【0023】
図2は気化器2の構造を示す断面図である。調節バルブ10は気化器2に一体的に組み付けられる。気化器2は有底状のハウジング21と、そのハウジング21の一端を塞ぐ蓋体22とを有する。ハウジング21はその内部に気化室23を有する。気化室23は、そこに導入される液状のBSTOを気化するものである。蓋体22は供給ポート24を、ハウジング21は排出ポート25をそれぞれ有する。供給ポート24には、気化室23に供給される液状のBSTOが導入される。気化室23で気化されたBSTOのガスは排出ポート25を通じて外部へ排出される。気化室23には金属製の粉体の集合物よりなる焼結体26が設けられる。この粉体は、熱伝導性と耐食性を兼ね備えたステンレスよりなる。焼結体26はステンレス製粉体の集合物を所定の気孔率を有する状態で圧縮し、その上で焼結することにより得られる。焼結体26は柱状をなし、その一端に小径の突部26aを有する。焼結体26の外周面とハウジング21の内周面との間には、所定の隙間27が形成される。
【0024】
調節バルブ10はケーシング28を有する。ケーシング28は中心に孔29aを有する胴体29と、その胴体29の一端に配置されたキャップ30と、胴体29の他端に配置された蓋体22とから形成される。蓋体22はハウジング21とケーシング28とに兼用される。ケーシング28はその内部に、孔29aを境に区画された第1の室31と、第2の室32とを有する。孔29aには、弁ロッド33が摺動可能に設けられる。弁ロッド33の一端には、押え金34を介して第1のダイアフラム35が取り付けられる。第1の室31は、このダイアフラム35により大気室36と、加圧室37とに区画される。大気室36には、キャップ30に設けられた大気ポート38を通じて大気が導入される。加圧室37には、胴体29に設けられた加圧ポート39を通じて圧縮空気が供給される。加圧室37には、電空レギュレータ14により調節される圧縮空気が供給される。
【0025】
弁ロッド33の他端には、弁体40が取り付けられる。弁体40の外周には第2のダイアフラム41が取り付けられる。第2の室32は、このダイアフラム41により大気室42と、液室43とに区画される。このダイアフラム41の外周縁にはダイアフラム41と一体をなすテフロンリング44が設けられる。これを胴体29と蓋体22とで挟み込むことにより、両者29,22の間がシールされる。大気室42には、胴体29に設けられた大気ポート45を通じて大気が導入される。液室43には、蓋体22に設けられた供給ポート24を通じて液状のBSTOが供給される。
【0026】
調節バルブ10は弁体40の他に、蓋体22に設けられた弁座46を有する。弁座46はその中心に、本発明の導入口としての弁孔46aを有する。弁座46の部位に対応する蓋体22の肉厚は比較的小さい。このため、弁孔46aの軸線方向の長さは比較的短い。気化室23に配置された焼結体26の突部26aは弁孔46aに隣接して配置される。
【0027】
弁体40が弁座46に接することにより、弁孔46aが閉じられる。弁体40が弁座46から離れることにより、弁孔46aが開かれる。弁孔46aが開かれることにより、液室43に供給される液状のBSTOが、その弁孔46aを通じて気化室23に導入される。
【0028】
第1の室31の大気室36には、圧縮スプリング47が設けられる。このスプリング47は、弁体40が弁座46に圧接するように弁ロッド33を付勢するものである。従って、加圧室37に圧縮空気が供給されることにより、第1のダイアフラム35が弁ロッド33と共にスプリング47の付勢力に抗して大気室36の側へ変位する。この変位に伴い、弁体40が弁座46から離れ、弁孔46aが開かれる。この弁孔46aの開度は、加圧室37に供給される圧縮空気の量に応じて変えられる。弁孔46aの開度が変わることにより、液室43から気化室23に導入される液状のBSTOの量が調節される。
【0029】
熱電対付ヒータ11は焼結体26の中心に配置され組み付けられる。電気ヒータ12は熱線等を含むものである。このヒータ12が温度コントローラ4からのパルス信号に基づいて作動することにより、ハウジング21の内部、即ち焼結体26を流れるBSTOが加熱される。この実施の形態では、熱電対13が電気ヒータ12の非発熱部に配置され、弁孔46aに隣接して配置される。これにより、弁孔46aから気化室23に液状のBSTOが流れ始めると、熱電対13が即座にそのBSTOによって変化した焼結体26の温度を検出するようになっている。
【0030】
次に、上記のように構成したガス供給装置における気化装置の動作を説明する。
この実施の形態では、気化器2の弁孔46aを通じて気化室23に供給される液状のBSTOが粉体の焼結体26の中で毛管現象により拡散される。このとき、焼結体26を流れる液状のBSTOは、電気ヒータ12により直接的に加熱され、速やかに、かつ、安定的に気化される。
【0031】
気化されたBSTOガスは、隙間27を流れ、排出ポート25から気化室23の外へ排出される。排出されたBSTOガスは、高温対応分岐バルブ5を介してプロセスチャンバ6に供給され、半導体の成膜に共される。
【0032】
この実施の形態では、気化室23で液状のBSTOが気化されるに伴い、その気化室23の温度、焼結体26の温度が変動しようとする。このとき、熱電対13で検出される温度が一定となるように、電気ヒータ12に供給される電気量、即ちパルス信号が温度コントローラ4により制御されることから、気化室23或いは焼結体26の温度変動が抑えられる。ここで、流量コントローラ3は、電気ヒータ12に供給されるパルス信号のオン時間の長さを、気化器2で気化されて排出されるガス流量に相関する定電圧信号に置き換える。そして、コントローラ3は、その定電圧信号に基づいて電空レギュレータ14を制御し、調節バルブ10の開度を制御する。即ち、気化器2に対する液状のBSTOの供給量と、電気ヒータ12へ供給される電気量とが互いに相関し、この電気量と気化器2から排出されるガス流量とが互いに相関するものとして、流量コントローラ3は電空レギュレータ14を制御する。従って、気化器2へ供給される液状のBSTOの量が、気化器2から実際に排出されるガス流量に基づいて制御されることになり、そのガス流量が所要の設定流量に収束し易くなる。
【0033】
ここで、従来ならば、気化されたガス流量を特別な流量計を使用して計測し、そのガス流量の制御に反映させるところである。しかし、この実施の形態では、液体原料として使用されるBSTOの気化温度が極めて高いことから、従来の流量計では使用に耐えられない。これに対し、この実施の形態では、熱電対13による検出温度から得られるパルス信号、即ち電気ヒータ12に供給されるべき電気量を、気化されたガス流量に相関する値として利用している。このため、気化温度の極めて高い液状のBSTOを気化させる場合でも、その気化されたガス流量を、特別な流量計を使用することなく安定的に制御することができる。
【0034】
この実施の形態では、熱電対付ヒータ11が気化室23の焼結体26の中心に配置される。このため、気化室23に導入される液状のBSTOが少ない熱損失で効率良く電気ヒータ12により加熱され、気化される。更に、その気化に伴い変動しようとする気化室23、或いは焼結体26の温度が、少ない温度損失をもって熱電対13により検出される。従って、熱電対13により検出される温度変化が、液状のBSTOの気化量を良好に反映し、電気ヒータ12に供給される電気量、即ちパルス信号が気化器2で気化されて排出されるガス流量を良好に反映することになる。これにより、気化器2に対する液状のBSTOの供給量が精度良く調整されることになる。この意味で、BSTOのガス流量を安定的、かつ、応答性良く制御することができる。
【0035】
この実施の形態では、弁孔46aから気化室23に液状のBSTOが流れ始めると、熱電対13が即座にそのBSTOの温度を検出することができる。このため、熱電対13による温度検出の精度が高まり、気化されるガス流量の変化を応答性良く検出することが可能になる。この意味でも、この気化装置は、BSTOのガス流量を安定的、かつ、応答性良く制御することができる。
【0036】
図8は気化器2から排出されるBSTOのガス流量の変化と、気化器2の内部温度の変化とを示す。このグラフは、気化器2から排出されるガス流量が所定の設定流量TFとなるように、気化器2に液状のBSTOが供給されたときのガス流量の変化を示す。このグラフからも明らかなように、ガス流量は、時刻t1での立ち上がり、時刻t2での立ち下がりが共に速やかで、両時刻t1,t2の間では脈動がなく状態が安定していることが分かる。
【0037】
この実施の形態では、気化器2から排出されるBSTOのガス流量が安定的、かつ、応答性良く制御されることから、プロセスチャンバ6に対してBSTOガスを応答性良く、安定的に供給することができる。この意味で、半導体上の成膜の品質を確保することができる。
【0038】
この実施の形態では、調節バルブ10の加圧室37に対する圧縮空気の供給が停止されると、弁体40がスプリング52により直ちに弁座46に押し付けられ、弁孔46aが閉じられる。従って、気化室23に対する液状のBSTOの供給が速やかに遮断され、気化器2でのBSTOガスの生成が速やかに止められる。このため、気化器2からプロセスチャンバ6へのBSTOガスの供給を応答性良く、かつ速やかに停止させることができる。
【0039】
この実施の形態では、電気ヒータ12が作動すると、焼結体26が直に加熱され、BSTOが直接的に加熱されることから、ガス供給装置に別途にヒータを設けて気化器2を加熱する必要がない。又、気化器2を熱電対付ヒータ11と共に単独で取り扱うことができる。この意味で、気化器2の取り扱い上の自由度が増し、ガス供給装置の製造が容易になる。
【0040】
尚、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で以下のように実施することができる。
(1)前記実施の形態では、電空レギュレータ14で調節される圧縮空気により開度が調節される調節バルブ10を用いて、気化器2に供給される液状のBSTOを調節するようにした。これに対し、電気的に駆動される電磁バルブを調節バルブとして、気化器に供給される液体原料を調節するようにしてもよい。
【0041】
(2)前記実施の形態では、電気ヒータ12と、熱電対13とを互いに一体化した熱電対付ヒータ11を気化室23に設けたが、電気ヒータと、熱電対とを互いに分離させて気化室に設けてもよい。
【0042】
(3)前記実施の形態では、電気ヒータ12をAC100Vのパルス信号により駆動し、そのパルス信号のオン時間を変えることにより、電気ヒータ12に供給される電気量を調節するようにした。これに対し、電気ヒータに供給される電圧をリニアに変えることにより、電気ヒータに供給される電気量を調節するようにしてもよい。
【0043】
(4)前記実施の形態では、半導体製造装置のプロセスチャンバ6にBSTOガスを供給するために、液体原料として気化温度の極めて高い(約250℃)液状のBSTOを使用した。これに対し、別の目的に使用される気化ガスを発生させるために、液体原料としてBSTO以外の原料を使用しても良い。本発明の装置は、特に、気化温度の高い液体原料に好適ではあるが、これに限られるものではなく、気化温度の比較的低い(約55℃)液状のTEOSを液体原料として使用してもよい。
【0044】
【発明の効果】
上記請求項1に記載の発明では、気化器内の検出温度が一定となるように電気ヒータに供給される電気量を制御し、その電気量を、気化器からの気体の排出流量に相関する値とし、その相関値に基づいて気化器に供給される液体原料を制御するようにしている。従って、気化器からの気体の排出流量が所要の値に収束し易くなり、その排出流量を得るために特別な流量計の使用が不要となり、気化温度の高い液体原料にも適用可能となる。この結果、気化温度の高い液体原料を気化させることができ、その気化流量を安定的に制御することができるという効果を発揮する。
【0045】
上記請求項2に記載の発明では、第1の発明の構成において、電気ヒータ及び温度検出手段を互いに一体的に設け、それらを気化器の内部に配置している。従って、請求項1の発明の作用及び効果に加え、温度検出手段による検出温度の変化が気化量を良好に反映し、電気ヒータへの電気量が気体の排出流量を良好に反映することになり、気化器に対する液体原料の供給量が精度良く制御される。この結果、液体原料の気化流量を応答性良く制御することができるという効果を発揮する。
【0046】
上記請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2の発明の構成において、温度検出手段を気化室の導入口に接近して配置している。従って、請求項1又は請求項2の発明の作用及び効果に加え、導入口から気化室に導入される液体原料の温度が温度検出手段により即座に検出されることから、温度検出の精度が高まり、気体の排出流量の変化を応答性良く検出することが可能となる。この意味でも、液体原料の気化流量を安定的、かつ、応答性良く制御することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態に係り、液体原料の気化装置を含むガス供給装置の概略構成図である。
【図2】同実施の形態に係り、気化器の構造を示す断面図である。
【図3】同実施の形態に係り、液体供給流量とパルス信号オン時間との関係を示すグラフである。
【図4】同実施の形態に係り、液体供給流量とガス流量との関係を示すグラフである。
【図5】同実施の形態に係り、ガス流量とパルス信号オン時間との関係を示すグラフである。
【図6】同実施の形態に係り、パルス信号オン時間と定電圧信号との関係を示すグラフである。
【図7】同実施の形態に係り、定電圧信号とガス流量との関係を示すグラフである。
【図8】同実施の形態に係り、ガス流量と気化器推定温度との関係を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
2 気化器
3 流量コントローラ(原料制御手段を構成する。)
4 温度コントローラ(電気量制御手段を構成する。)
10 調節バルブ
12 電気ヒータ
13 熱電対(温度検出手段を構成する。)
14 電空レギュレータ(10,14は原料調節手段を構成する。)
23 気化室
46a 弁孔(導入口を構成する。)

Claims (3)

  1. 気化器に供給される液体原料を電気ヒータにより加熱し気化させて排出すると共に、その排出流量を制御するようにした気化装置であって、
    前記気化器に対する前記液体原料の供給量を調節するための原料調節手段と、
    前記気化器内の温度を検出するための温度検出手段と、
    前記気化器内に備えられ、前記電気ヒータと前記温度検出手段が内部に配置され、前記液体原料が内部に拡散される焼結体と、
    前記検出される温度が一定となるように前記電気ヒータに供給される電気量を制御するための電気量制御手段と、
    前記電気ヒータに供給される電気量を前記排出流量に相関する値とし、その相関値に基づいて前記原料調節手段を制御するための原料制御手段と、
    を備え
    前記焼結体に突部が形成され、前記突部が前記液体原料を導入するための導入口に隣接して配置されることを特徴とする液体原料の気化装置。
  2. 請求項1に記載の気化装置において、
    前記電気量制御手段が、設定温度信号と前記温度検出手段が検出した温度相当値を、比較して偏差を算出し、所定周期を有するパルス信号として前記偏差を出力し、前記電気量が前記パルス信号に相関することを特徴とする液体原料の気化装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の気化装置において、
    前記気化器は前記液体原料を気化させるための気化室と、その気化室に前記導入口とを有し、前記温度検出手段は前記気化室において前記導入口に接近して配置されることを特徴とする液体原料の気化装置。
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