JP3808304B2 - 自動変速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車の無段変速機に適用される自動変速機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は従来の自動車の無段変速機の説明図であり、無段変速機は、往復動するロッド16を有するステッピングモータ1と、ロッド16と接続された第1のリンク100と、この第1のリンク100に連結された第2のリンク101と、この第2のリンク101の中心部で接続された変速制御弁102と、第2のリンク101の端部に接続されているとともにエンジンシャフト106を介してエンジン107に接続された第1のプーリ103と、この第1のプーリ103と金属ベルト104を介して接続されているとともにドライブシャフト108を介して車輪109に接続された第2のプーリ105と、変速制御弁102の作動を制御する油圧サーボ機構とを備えている。
油圧サーボ機構は、油ポンプ110と、油受け皿111と、ドライブシャフト108とエンジンシャフト106とが所定の回転比で動作するように変速制御弁102等に指令を出すコントローラ112と、第1のプーリ103及び第2のプーリ105の回転数を検出する速度センサ113とを備えている。
【0003】
ここで、ドライブシャフト108とエンジンシャフト106との回転比を調節する変速機構は、第1のプーリ103、第2のプーリ105及び金属プレーと104で構成されている。
【0004】
この無段変速機では、ステッピングモータ1の回転によりロッド16が往復動し、第1のリンク100、第2のリンク101を介して変速制御弁102が開閉されて、変速制御弁102では第1のプーリ103の作動油が給排される。なお、第2のリンク101は支点Aを中心に回動する。
第1のプーリ103では変速制御弁102からの作動油により、ドラム103aが移動して、金属ベルト104に連結された第1のプーリ103と第2のプーリ105との直径比が変わり、ドライブシャフト108とエンジンシャフト106との回転比が調節される。
【0005】
図5は図4のステッピングモータ1の平面図、図6は図5のVI−VI線に沿った断面図、図7は図6のVII−VII線に沿った断面図、図8は図6のVIII−VIII線に沿った断面図、図9は図4のステッピングモータ1の要部斜視図である。
図において、PM形のステッピングモータ1は、樹脂製の外装材2と、この外装材2に連結された樹脂製で筒状のハウジング12と、外装材2内に設けられたモータ本体3と、このモータ本体3により回転されるシャフト4と、シャフト4の回転を直線運動に変換する変換機構31とを備えている。なお、外装材2とハウジング12とにより覆体を構成する。
【0006】
モータ本体3は、外装材2に固定されたステータ5と、シャフト4に固定されたロータ6とを備えている。ステータ5は、銅線表面に絶縁層が形成された導線を複数回巻回して構成されたコイル7と、このコイル7から引き出されたコイルターミナル8と、このコイルターミナル8に接続されたコネクタターミナル9と、このコネクタターミナル9に接続された外部コネクタ25とを有している。ロータ6は、シャフト4に固定されたブッシュ10と、このブッシュ10に固定された中空円柱形状の永久磁石11とを有している。
【0007】
ハウジング12は、シャフト4と平行に延びる複数本のねじ12Aにより外装材2に締結されている。外装材2には、円形の嵌合穴2aが形成されており、ハウジング12には、嵌合穴2aに挿入される嵌合部12aが形成されている。図7に示すように、嵌合部12aの外周面には、径方向へ突出し嵌合穴2aの内周面に当接する3つの位置決め突起12bが形成されている。また、ハウジング12の外装材2との結合面には、環状の溝12cが形成されている。
【0008】
ハウジング12の側面部には、ハウジング12の内外を連通するハウジング連通孔12dが設けられている。このハウジング連通孔12dには、油中のコンタミネーションを捕獲するフィルタ13が設けられている。シャフト4は、ベアリング14,15により回転自在に保持されている。ハウジング12内に固定されたベアリング15は、ゴムシールタイプのものである。
【0009】
ハウジング12の先端部には、シャフト4の回転によりシャフト4の軸線方向へ往復動されるロッド16が設けられている。ロッド16の基端部は、ハウジング12内に挿入され、ロッド16の先端部は、ハウジング12の先端部から突出している。ロッド16には、ハウジング12内とロッド16内とを連通するロッド連通孔16aが形成されている。ハウジング12の先端部の内周面には、ロッド16の直線運動を案内するスリーブ17、ロッド16の外周部からのコンタミネーションの侵入を阻止するオイルシール18、及びロッド16の前進を規制するリング状のストッパ19がそれぞれ固定されている。
【0010】
変換機構31は、ねじ部4aと、ロッド16の基端部にねじ部4aに螺合した樹脂製のガイド部材20と、シャフト4に固定されロッド16の後退を規制する金属製のストッパ21とを備えている。ガイド部材20及びストッパ21には、シャフト4の回転方向に直角なストッパ面20b,21aがそれぞれ形成されている。ガイド部材20の外周部には、図8に示すように、径方向へ突出してロッド16の回転を規制する回転規制突起部20aが形成されている。従って、ガイド部材20は、シャフト4の回転によりシャフト4の軸線方向へ移動される。ロッド16の先端部には、第1のリンク100に係合する樹脂製の操作部材22が取り付けられている。
【0011】
上記構成のステッピングモータ1では、外部コネクタ25を通じてコイル7に電流が流されると、コイル7には回転磁界が生じ、ロータ6及びシャフト4が一体に回転する。シャフト4のねじ部4aには、ガイド部材20が螺合されており、ガイド部材20は回転が規制されているため、シャフト4の回転は、ガイド部材20及びロッド16の直線運動に変換される。
このロッド16の往復動により、第1のリンク100、第2のリンク101を介して変速制御弁102が開閉され、最終的には、前述したようにドライブシャフト108とエンジンシャフト106との回転比が変わることになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の無段変速機では、ステッピングモータ1の全体がイオウ及び有機イオウ化合物を含有する油中に浸せきされている。そのため、コイル7ではイオウ等が導線の絶縁層を透過して、銅線と化学反応が生じ、銅線と絶縁層との間にイオウ化合物が生成され、絶縁層の銅線に対する密着力が低下した状態が生じる。この状態のときに、導線自体の熱履歴による熱膨張、熱収縮の繰り返しで隣接した導線同士の干渉により絶縁層が破れ、導線間の電位差で銅が溶出して導線間でショートし、時には断線してしまうという問題点があった。また、熱膨張係数の異なる導線とボビンとが当接する箇所では導線の絶縁層がより破れ易くなり、よりショートし、また断線してしまうという問題点があった。
【0013】
また、コイル7からの発熱で油の温度が揮発成分が気化する気化温度以上になりと、イオウ等が導線の絶縁層をより透過し易くなり、導線間のショートがより生じやすいという問題点があった。
【0014】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであり、導線の耐ショート性、耐断線性が向上したモータを有する自動変速機を得ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る自動変速機は、油の入ったトランスミッションケースと、このトランスミッションケース内に収納され、車輪に接続されるドライブシャフトとエンジンに接続されるエンジンシャフトとの回転比を調節する変速機構と、前記トランスミッションケース内に収納され前記変速機構の動作を制御する変速制御弁と、この変速制御弁の駆動源となるモータとを備え、前記モータは、覆体と、この覆体内に設けられ導線を巻回して構成されたコイルを有するモータ本体と、前記コイルに流れる電流により回転されるシャフトと、このシャフトの回転を直線運動に変換する変換機構とを有する自動変速機であって、前記トランスミッションケースの内側に設けられ、前記覆体で覆われた前記モータ本体を収納するとともにトランスミッションケースの外側の空気と連通した小ケースを備えている。
【0018】
この発明に係る自動変速機では、覆体は、モータ本体を収納した外装材と、この外装材に結合されたハウジングとから構成され、ハウジングの肩部が小ケースの結合孔の周縁部に密接している。
【0022】
この発明に係る自動変速機では、モータはステッピングモータである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図について説明するが、従来のものと同一または相当部分は同一符号を付し、その説明は省略する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による無段変速機の要部断面図である。この無段変速機のステッピングモータ1は、油201が入ったトランスミッションケース200の結合孔200aの周縁部にハウジング12の肩部12aが密接して取り付けられており、モータ本体3は外部に露出している。肩部12aの溝部には弾性のリング210が設けられており、トランスミッションケース200内の油201が外部に漏れないようになっている。
【0024】
この実施の形態1では、ステッピングモータ1のモータ本体3が外部に露出しており、コイル7がイオウ及び有機イオウ化合物を含有する油201中に浸せきされていない。そのため、コイル7が油201に浸せきされたことに起因して導線間でショートし、または断線してしまうといったことは防止され、導線の耐ショート性、耐断線性が向上する。
【0025】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2による無段変速機の要部断面図である。この無段変速機のステッピングモータ1は、油201が入ったトランスミッションケース200内の小ケース202の結合孔202aの周縁部にハウジング12の肩部12aが密接して取り付けられている。小ケース202は外部と連通しており、モータ本体3の周囲は外気で覆われている。肩部12aの溝部には弾性のリング210が設けられており、トランスミッションケース200内の油201が外部に漏れないようになっている。
【0026】
この実施の形態2でも、小ケース202内には油201が浸入していないので、コイル7が油201に浸せきされてなく、導線間でショートし、または断線してしまうといったことは防止され、導線の耐ショート性、耐断線性が向上する。また、ステッピングモータ1はトランスミッションケース200の内側に設けられているので、トランスミッションケース200の外側では、ステッピングモータ1に干渉されることなく、各種の部品を取り付けることができる。
【0027】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3による無段変速機の要部断面図である。この無段変速機のステッピングモータ1は、全体がトランスミッションケース200内の油201に浸せきされている。外装材2の反ハウジング12側には周縁部がロータ6に当接した放熱板203が固定されている。アルミニウム製の放熱板203の外表面には凹凸部203aが形成されている。
【0028】
この実施の形態3では、放熱板203の外表面に凹凸部203aが形成されたので、放熱板203と接触する油の接触面積が増大し、コイル7からの熱は放熱板203を介してより外部に放出される。そのため、コイル7内で局部的に油の温度が揮発成分が気化する気化温度以下により抑制し易くなり、気化成分に起因して導線間でショートし、または断線してしまうといったことは防止され、導線の耐ショート性、耐断線性が向上する。
なお、油の温度を気化温度以下に抑制する手段として、コイル7に流れる電流値を低くし、コイル7で生じる発熱量を低減させるようにしてもよい。この場合、シャフト4の往復力を維持するために、導線の巻回数を増加させることが必要である。
【0029】
なお、上記各実施の形態1〜3ではステッピングモータ1について説明したが、この発明はステッピングモータに限定されないのは勿論である。また、変速機は無段変速機に限定されないのも勿論である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る自動変速機によれば、油の入ったトランスミッションケースと、このトランスミッションケース内に収納され、車輪に接続されるドライブシャフトとエンジンに接続されるエンジンシャフトとの回転比を調節する変速機構と、前記トランスミッションケース内に収納され前記変速機構の動作を制御する変速制御弁と、この変速制御弁の駆動源となるモータとを備え、前記モータは、覆体と、この覆体内に設けられ導線を巻回して構成されたコイルを有するモータ本体と、前記コイルに流れる電流により回転されるシャフトと、このシャフトの回転を直線運動に変換する変換機構とを有するものであって、前記モータは、前記モータ本体の周囲が外気であるように、前記トランスミッションケースに固定されており、コイルがイオウ及び有機イオウ化合物を含有する油中に浸せきされていないので、コイルが油に浸せきされたことに起因して導線間でショートし、または断線してしまうといったことは防止され、導線の耐ショート性、耐断線性が向上する。
また、トランスミッションケース内に、外気と連通しているとともにモータ本体を収納した小ケースが設けれているので、トランスミッションケースの外側では、モータに干渉されることなく、各種の部品を取り付けることができる。
【0033】
また、この発明に係る自動変速機によれば、覆体は、モータ本体を収納した外装材と、この外装材に結合されたハウジングとから構成され、ハウジングの肩部が小ケースの結合孔の周縁部に密接しているので、モータを小ケースに簡単、確実に取り付けることができる。
【0037】
また、この発明に係る自動変速機によれば、モータはステッピングモータであるので、往復動するシャフトの位置制御が簡単であり、より確実な変速を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の無段変速機の要部断面図である。
【図2】 この発明の実施の形態2の無段変速機の要部断面図である。
【図3】 この発明の実施の形態3の無段変速機のステッピングモータの要部断面図である。
【図4】 無段変速機の説明図である。
【図5】 従来のステッピングモータを示す平面図である。
【図6】 図5のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】 図6のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】 図6のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】 図6のステッピングモータの要部斜視図である。
【符号の説明】
1 ステッピングモータ、2 外装材、3 モータ本体、4 シャフト、4aねじ部、7 コイル、12 ハウジング、12a 肩部、200 トランスミッションケース、200a 結合孔、201 油、202 小ケース、202a結合孔、203 放熱板、203a 凹凸部、210 リング。
Claims (3)
- 油の入ったトランスミッションケースと、
このトランスミッションケース内に収納され、車輪に接続されるドライブシャフトとエンジンに接続されるエンジンシャフトとの回転比を調節する変速機構と、
前記トランスミッションケース内に収納され前記変速機構の動作を制御する変速制御弁と、
この変速制御弁の駆動源となるモータとを備え、
前記モータは、覆体と、この覆体内に設けられ導線を巻回して構成されたコイルを有するモータ本体と、前記コイルに流れる電流により回転されるシャフトと、このシャフトの回転を直線運動に変換する変換機構とを有する自動変速機であって、
前記トランスミッションケースの内側に設けられ、前記覆体で覆われた前記モータ本体を収納するとともにトランスミッションケースの外側の空気と連通した小ケースを備えている自動変速機。 - 覆体は、モータ本体を収納した外装材と、この外装材に結合されたハウジングとから構成され、ハウジングの肩部が小ケースの結合孔の周縁部に密接している請求項1に記載の自動変速機。
- モータはステッピングモータである請求項1または請求項2に記載の自動変速機。
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