JP3807106B2 - 炭素繊維強化樹脂 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は軽量かつ高剛性、高熱電導性を有し、特に負の熱膨張率の大きな炭素繊維強化樹脂に関するものであり、特に、精密機器、電子機器、宇宙・航空等の精密且つ高精度を要求される装置分野で好適に利用される。
【0002】
【従来の技術】
近年、精密機械、電子機器の高精度化、高密度化、小型化等が進み、その部品・部材の寸法安定性の重要性が高くなっている。従来、寸法安定性が良好な材料として熱膨張率が0に近い金属チタン、セラミック等が用いられているが、より精度が要求される場所での使用の際には、材料の寸法安定性を補助するために、温度制御のための付帯設備が必要となってきている。
【0003】
一方、最近では、従来の材料に比べて熱膨張率が0に近い炭素繊維強化樹脂(以下、「CFRP」という)が用いられるようになってきている。CFRPの熱膨張率は、用いる炭素繊維の種類、シート構成、積層構成をはじめ、一般的に知られているCFRP製造方法により、用途に応じたコントロールが可能である。CFRPの熱膨張率は、PAN系炭素繊維を用いる場合では−1.0 ×10-6〜−0.1 ×10-6/℃、ピッチ系炭素繊維を用いる場合では−1.2 ×10-6〜−0.1 ×10-6/℃である。
最近では、従来の材料に比べて0に近いCFRP並みの熱膨張率を示す合金材料も開発されているが、合金材料は重いため、他の部品の強度、剛性などを向上させなければならず、全体として、装置が大きくなったりコストがかかるという問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特に、精密機器、電子機器、宇宙・航空等の精密且つ高精度を要求される装置分野では、更に熱膨張率が0に近い材料が求められていた。熱膨張率が負の値をもつCFRPは、金属、樹脂、セラミック等の熱膨張率が正の値をもつ材料と複合して複合材として各種部品・部材に使用すると、複合材全体として熱膨張率をより0に近づけることができ、これにより、熱による寸法変化、変形を抑えられるので装置の精度向上に寄与し、また、通常精密機器等に付帯される温度制御機構を簡略化またはなくすことが可能となる。このために、より一層負に大きな熱膨張率を有する材料が求められている。
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、炭素繊維の中でも熱膨張率に優れたピッチ系高弾性炭素繊維を一定条件を満たす平織り織物としこれを黒鉛化した織物を用いることにより、黒鉛化時に90度方向の織り目が互いの炭素繊維の熱膨張率の変化を相乗効果として発揮し、従来には得られなかった負に大きな熱膨張率を有するCFRPを得ることを見い出し、本発明に到達した。
すなわち本発明の要旨は、炭素繊維織物25 mm 当たりの炭素繊維トウの打ち込み本数が5〜10本である平織りの織物を、2800℃以上で黒鉛化処理することにより単位断面積当たりの重さが400g/m以上とされた炭素繊維織物に、熱硬化性樹脂を含浸して得られ、引張弾性率が80 Ton/mm 2 以上の炭素繊維を用いることを特徴とする、熱膨張率が-1.5×10−6/℃以下であるCFRPおよび、炭素繊維織物25 mm 当たりの炭素繊維トウの打ち込み本数が5〜10本である平織りの織物を、2800℃以上で黒鉛化処理することにより単位断面積当たりの重さが400g/m以上とされた炭素繊維織物に、熱硬化性樹脂を含浸して得られ、引張弾性率が80 Ton/mm 2 以上の炭素繊維を用い、熱膨張率が-1.5×10−6/℃以下であることを特徴とする熱膨張率が正である材料と積層するためのCFRPに存する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のCFRPは、炭素質原料を処理することにより得られた紡糸ピッチを溶融紡糸し、ピッチ繊維とし、これを黒鉛化させ原料となる炭素繊維を得て、次いで原料となる炭素繊維を織り、原料となる炭素繊維織物とし、さらに黒鉛化することにより炭素繊維織物とする。この炭素繊維織物に樹脂を含浸させることにより、得られる。
【0007】
炭素質原料としては、特に限定されないが、石炭系のコールタール、コールタールピッチ、石炭液化物、石油系の重質油、タール、ピッチ等が挙げられる。これらのうち、石炭系のコールタール、コールタールピッチが、それらを構成する分子の芳香性が高く、黒鉛結晶の発達しやすい紡糸ピッチを得られるという点から好適に用いられる。
これらの炭素質原料中にはフリーカーボン、未溶解石炭、灰分、触媒等の不純物が含まれているが、これらの不純物は濾過、遠心分離、あるいは溶剤を使用する静置沈降分離等の周知の方法で予め除去しておくことが望ましい。また、炭素質原料を、例えば加熱処理後に特定溶剤で可溶分を抽出する方法、水素供与性溶媒、または水素ガスの存在下に水添処理する方法等により予備処理を行っておいてもよい。
【0008】
このようにして得られた紡糸ピッチは、通常光学的異方性ピッチであり、その光学的異方性割合は、通常70%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%である。光学的異方性割合が70%より低いと、黒鉛化した後の炭素繊維の黒鉛結晶性が低く、熱膨張率が負に大きいCFRPが得られにくい。
また、紡糸ピッチのメトラー法により求めた軟化点は、通常260〜340℃、好ましくは280〜320℃、更に好ましくは290〜310℃である。軟化点が260℃より低いと、紡糸後の不融化の際に繊維同士の融着が生じやすく、開繊性の悪い炭素繊維束となりやすい。また、340℃より高いと紡糸の際にピッチの熱分解が生じ、分解ガスによる紡糸ノズル内での気泡発生により紡糸性が著しく低下するおそれがある。
このような光学的異方性割合、メトラー軟化点の光学的異方性ピッチを得るためには、前述の炭素質原料、または予備処理を行った炭素質原料に、通常350〜500℃、好ましくは380〜450℃で、通常2分〜50時間、好ましくは5分〜5時間、窒素、アルゴン、水蒸気等の不活性ガス雰囲気下に加熱処理を行うことが好ましい。
【0009】
次に、この紡糸ピッチを溶融紡糸しピッチ繊維を得る。溶融紡糸においては、後述するように最終的に得られる炭素繊維の繊度が500g/km以上となるように、繊維径、本数を決定する必要があり、通常繊維径は6〜20μm、本数は1500〜40000本である。
得られたピッチ繊維に、まず不融化処理を施す。不融化処理は通常、空気、オゾン、二酸化窒素等の酸化性雰囲気下で、または硝酸等を用いての酸化性液中、好ましくは空気中で、通常300〜400℃で加熱することにより行い、これにより不融化繊維トウを得る。
【0010】
更にこの不融化繊維トウを窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中で800〜2800℃で加熱することにより炭化、および/または黒鉛化される。この際に張力を付与しても、しなくてもよい。
得られた繊維にはサイジング剤を添着し、本発明の炭素繊維織物の原料となる炭素繊維を得る。サイジング剤は繊維に対して0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%添着する。サイジング剤添着の前に、炭素繊維自身の表面処理を行ってもよく、また行わなくてもよい。サイジング剤が0.2%よりも少ないと、製織の際に”毛羽”が発生し、また、10%よりも多いと後工程の黒鉛化後に繊維自身が、サイジング剤の炭化物に覆われてしまい、織物としてのしなやかさが無くなってしまうために好ましくない。
【0011】
サイジング剤としては、通常用いられる任意なものが使用でき、具体的にはエポキシ化合物、水溶性ポリアミド化合物、飽和または不飽和ポリエステル、酢酸ビニル、水またはアルコール、グリコール単独または混合物が挙げられる。
このようにして得られた原料となる炭素繊維の引張弾性率は、80ton/mm2 以下、好ましくは40〜80ton/mm2 、更に好ましくは50〜80ton/mm2 であることが重要である。引張弾性率が80ton/mm2 を超えると、炭素繊維の織物を製造するための製織の際に、炭素繊維の折損が多発し織物とすることが出来ない。また、引張弾性率が低すぎると、炭素繊維織物にした後の2800℃以上の温度での黒鉛化の際に、炭素繊維自身が寸法変化を起こし、製品の炭素繊維織物にひずみが入ることがあり、好ましくない。
【0012】
また、本発明においては原料となる炭素繊維の繊度(繊維束の単位長さ当たりの重さ)は通常500g/km以上、好ましくは700〜5000g/km、更に好ましくは1000〜3000g/kmであることが重要である。繊度が500g/kmに満たないと、織物の単位断面積当たりの重さ(以下、「FAW」という)が400g/m2以上の炭素繊維織物を作ることが出来ないおそれがある。また、繊度が大きすぎると炭素繊維トウの束が太くなりすぎ、製織機内で引っかかり等が生じ、製織が困難となるために好ましくない。
【0013】
この繊度[g/km]は、一般に、炭素繊維の比重[g/cm3] と繊維の断面積[μm2]と炭素繊維トウを構成する炭素繊維の本数[本]により求められる。また繊維の断面積は、繊維径[μm]により求められる。
ここで、原料となる炭素繊維の比重は通常1.9〜2.3g/cm3 、好ましくは2.0〜2.2g/cm3 である。比重が1.9g/cm3 に満たないと、炭素繊維織物にした後の2800℃以上の温度での黒鉛化の際に、炭素繊維自身が寸法変化を起こし、製品の炭素繊維織物にひずみが入ることがあり、一方、2.3g/cm3 を超えると、必然的に炭素繊維の弾性率が高くなり、炭素繊維織物を製造するための製織の際に、炭素繊維の折損が多発し織物とすることが出来なくなるために好ましくない。
【0014】
また、原料となる炭素繊維の繊維径は通常6〜20μm、好ましくは7〜15μm、更に好ましくは8〜12μmである。繊維径が6μmに充たないと、必然的に炭素繊維の本数を増やす必要が出てきて、紡糸設備の巨大化が必要となる。また、20μmを超えると、工程通過中の屈曲部等で、単糸レベルでの糸折れが生じる為に好ましくない。 原料となる炭素繊維は複数本を束ねて、原料となる炭素繊維トウとする。
【0015】
原料となる炭素繊維トウを構成する原料となる炭素繊維の本数は、通常1500〜40000本、好ましくは3000〜30000本、更に好ましくは5000〜20000本である。本数が1500本に充たないと、必然的に炭素繊維の直径を大きくする必要性が生じ、前述のように工程内で糸折れを起こす。また、40000本を超えると、紡糸設備の巨大化、もしくは合糸設備の設置が必要となる為に好ましくない。
【0016】
次に、原料となる炭素繊維トウを用いて例えばシャトル織機やレピア織機を使用して製織し、あらかじめ、平織りの織物にして原料となる炭素繊維織物を得る。
この原料となる炭素繊維織物を次に黒鉛化し、炭素繊維織物を得る。黒鉛化の際に黒鉛性のルツボに入れ黒鉛化処理すると、外部からの物理的、化学的作用を遮断できるので好ましい。黒鉛製のルツボは上記の原料となる炭素繊維織物を、所望の量入れることが出来るものであるならば大きさ、形状に特に制約はないが、黒鉛化処理中、または冷却中に黒鉛化炉内の酸化性のガス、または炭素蒸気との反応による炭素繊維織物の損傷を防ぐために、フタ付きの気密性の高いものが好まれる。
【0017】
黒鉛化処理の温度は、通常2800℃以上、好ましくは2800〜3500℃、更に好ましくは2800〜3300℃である。2800℃より低いと炭素繊維の熱膨張率が目的とする値に達せず、また、黒鉛化温度が高すぎると、”炭素”の昇華が始まり、製品及び炉体に多大なダメージを与えるので好ましくない。
黒鉛化時間は2800℃以上の温度での保持時間が通常10分〜100日、好ましくは30分〜30日である。
また黒鉛化処理する設備は、2800℃以上の温度で処理することが出来るものであれば特に制約はないが、生産効率の面からアチソン抵抗加熱炉を用いることが好ましい。
【0018】
かくして、本発明で用いる炭素繊維織物を得ることが出来る。この時の織物の単位断面積当たりの重さ(以下、「FAW」という)は400g/m2以上、好ましくは500〜2000g/m2、更に好ましくは500〜1000g/m2にする必要がある。FAWが150g/m2に満たないと、CFRPを作る際に、多数枚積層させる必要性が出てきて、厚み方向の熱膨張率が悪くなる場合が生じ好ましくない。また、FAWが大きすぎると用途に応じては、CFRPが必要以上に厚くなりすぎるために好ましくない。また、炭素繊維織物の引張弾性率は通常80Ton/mm2 以上、好ましく90Ton/mm2 である。80Ton/mm2 以下では、金属、樹脂、セラミック等の熱膨張率が正の材料との複合材において、CFRPの剛性が不足することにより、熱膨張率を低減する効果が十分に発揮されないおそれが生ずる。
【0019】
このようにして得られた炭素繊維織物としては、炭素繊維織物25mm当たりの炭素繊維トウの打ち込み本数が5〜10本である織物が好ましく用いられる。炭素繊維トウの打ち込み本数が炭素繊維織物の繊維方向25mm当たり5本より少ないと黒鉛化時に織物の織り目が互いの熱膨張率の変化の相乗効果を十分に発現せず、一方、10本より多いと最終的に得られるCFRPの靱性が実用上不足する可能性がある。また、炭素繊維織物は、炭素繊維トウの打ち込み本数が、織物幅(mm)/炭素繊維トウの幅(mm)で求められる理論打ち込み本数の90%〜110%の範囲である織物が好ましく用いられる。炭素繊維トウの打ち込み本数が理論打ち込み本数の90%より小さいと黒鉛化時に織物の織り目が互いの熱膨張率の変化の相乗効果を十分に発現せず、一方、110%より多いと最終的に得られるCFRPの靱性が実用上不足する可能性がある。ここで、炭素繊維トウの幅とは、炭素繊維トウを炭素繊維の繊維方向に垂直な断面において、最も長い径を表す。
【0020】
炭素繊維織物に、定法に従ってマトリックス樹脂を含浸した後に、成形、硬化させることにより、CFRPが得られる。含浸するマトリックス樹脂として、例えばエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂好ましくはエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂が挙げられる。成形、硬化は、ハンド・レイ・アップやスプレー・アップによるオープン・モールド法、プレス法、オートクレーブ法、フィラメント・ワインディング法、プルトージョン法、エクストルージョン法、RTM法等が用いられる。
【0021】
このようにして得られたCFRPは、炭素繊維が、通常30〜75体積%、樹脂が25〜70体積%である。
また、CFRPの熱膨張率は、−1.5×10-6/℃以下、好ましくは−2×10-6〜−3×10-6/℃である。熱膨張率が−1.5×10-6/℃より大きいと、複合材料として用いる場合その熱膨張率のコントロール範囲が狭くなり、また、−3×10-6/℃より小さい場合は靱性が損なわれるおそれがある。なお、本発明において熱膨張率は、昇温速度2℃/分で30℃から150℃まで昇温し、50℃から100℃の温度範囲の熱膨張率をTMA法により測定したときの値をいう。
【0022】
本発明のCFRPは、通常シート状で、用途により適当な大きさに切断され使用される。またCFRPの厚さは、通常0.2〜50mmである。CFRPにおいて、織布は、通常シート平面と略平行になるよう配設される。CFRPに用いられる織布は一枚であっても二枚以上を積層するようにして用いてもよい。
【0023】
本発明のCFRPは、熱膨張率が正の材料と積層することにより、複合材料全体としての熱膨張率を0に近づけることができる。熱膨張率が正の材料としては、通常金属、樹脂、ガラス、セラミックなどが挙げられるが、好ましくは熱膨張率が0〜1×10-4/℃の材料、さらに好ましくは、金属、最も好ましくはアルミニウム、鋼などが用いられる。これらの熱膨張率が正の材料は好ましくは板状体である。
本発明のCFRPと熱膨張率が正の材料との積層は、接着剤を用いて接着することにより行われる。接着剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれでもよいが、好ましくは、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、特に好ましくはポリアミンを硬化剤として用いたエポキシ樹脂、ビスフェノールA型ビニルエステル樹脂が用いられる。
本発明のCFRPと熱膨張率が正の材料とは、接着剤を介して積層され、プレス等の装置を用いて、接着剤特性に応じた温度、圧力、時間で押さえつけることにより、複合化された材料を得ることができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
熱膨張率は、ULVAC真空理工(株)製TA−1500型により、昇温速度2℃/分で30℃から150℃まで昇温し、50℃から100℃の温度範囲の熱膨張率をTMA法により測定した。
【0025】
<実施例1>
コールタールピッチより、偏光顕微鏡下で観察した光学的異方性割合が100%で、メトラー法により求めた軟化点が302℃のメソフェーズピッチを調製した。
このメソフェーズピッチを、合計10000個のノズル数を有する紡糸口金に導入し、連続紡糸を行った。得られたピッチ繊維の繊維径は約12μm、トウを構成する繊維の本数は約10000本であった。
得られたピッチ繊維を、空気中、段階的に380℃まで昇温し不融化処理を行った後、最終的にアルゴンガス中2500℃まで、連続的に黒鉛化を行い、エポキシ系のサイジング剤を2%添着した。得られた原料となる炭素繊維は、繊維径約10μmであり、1420g/kmの繊度、64ton/mm2 の引張弾性率、300kg/mm2の引張強度を有していた。
次に、この原料となる炭素繊維トウを用いて、レピア織機により平織りし、縦糸、横糸共に、25mm当たり7本の炭素繊維トウをクロスに折り込み、FAW=790g/m2の原料となる炭素繊維織物を得た。
【0026】
次に得られた原料となる炭素繊維織物を黒鉛ルツボに入れ、アチソン抵抗加熱炉で3000℃で黒鉛化した。3000℃での滞留時間は5時間であった。
得られた炭素繊維織物のFAWは、794g/m2であった。また、引張強度は360kg/mm2、引張弾性率は92ton/mm2 であった。この織物の繊維方向25mm当たりの炭素繊維トウの打ち込み本数は7本、また、炭素繊維トウの幅は3.5mmであり、理論打ち込み本数は7本であり、実際の打ち込み本数は理論打ち込み本数の100%であった。
この炭素繊維織物に対し、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本色材工業(株):L−2626(LV))を30重量%の割合で含浸しプリプレグを作成した。このプリプレグを2枚重ね、温度100℃、圧力6kg/cm2 で1時間オートクレーブ成形を行いCFRP板を得た。炭素繊維含有率は55体積%であった。
熱膨張率を測定した結果、−2.5×10-6/℃であった。得られたCFRP板は、金属と接着剤が積層することにより、複合材とすることができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明により、寸法安定性に優れた部品・部材を提供する材料および複合材料を提供することができる。

Claims (5)

  1. 炭素繊維織物25 mm 当たりの炭素繊維トウの打ち込み本数が5〜10本である平織りの織物を、2800℃以上で黒鉛化処理することにより単位断面積当たりの重さが400g/m以上とされた炭素繊維織物に、熱硬化性樹脂を含浸して得られ
    引張弾性率が80 Ton/mm 2 以上の炭素繊維を用いる
    ことを特徴とする、熱膨張率が-1.5×10−6/℃以下である炭素繊維強化樹脂。
  2. 炭素繊維織物25 mm 当たりの炭素繊維トウの打ち込み本数が5〜10本である平織りの織物を、2800℃以上で黒鉛化処理することにより単位断面積当たりの重さが400g/m以上とされた炭素繊維織物に 熱硬化性樹脂を含浸して得られ
    引張弾性率が80 Ton/mm 2 以上の炭素繊維を用い
    熱膨張率が-1.5×10−6/℃以下である
    ことを特徴とする熱膨張率が正である材料と積層するための炭素繊維強化樹脂。
  3. 炭素繊維トウの打ち込み本数が、織物幅(mm)/炭素繊維トウの幅(mm)で求められる理論打ち込み本数の90〜110%の範囲である織物を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の炭素繊維強化樹脂。
  4. 樹脂が25〜70体積%、炭素繊維が30〜75体積%である請求項1ないしいずれか一項に記載の炭素繊維強化樹脂。
  5. 請求項1ないしいずれか一項に記載の炭素繊維強化樹脂と金属板との積層体。
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