JP3805822B2 - ボールペンレフィル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキ収容筒に剪断減粘性を有するインキと該インキの後部にグリース状のインキフォロアーを収蔵し、先端孔にボールペンチップを後端に通気手段を設けた尾栓を嵌着させたボールペンレフィルに関する。
【0002】
【従来の技術】
ボールペン用の高粘度油性インキを直接インキ収容筒に収蔵し、該インキの後部にインキの逆流防止剤としてグリース状のインキフォロアーが装填され更に、インキ収容筒の後端に通気手段を有する尾栓を止着すると共に、インキ収容筒の先端孔にボールペンチップを嵌着させて成るボールペンレフィルは、インキ収容筒の内径が大きい部類のボールペンレフィルとして又、軸筒先端開口部よりその筆端部を出し入れする出没機構を備えた軸筒内に装着されたノック式ボールペン用レフィルとしても良く知られている。
【0003】
上記の類のボールペンレフィルにあっては、収蔵するボールペン用インキが粘度の低い水性インキを用いたものに実開平6−53185号が又、本発明と同様の静的には高い粘度を有し筆記時のボールの回転で粘度が低下してインキが流出される剪断減粘性を有するインキを用いたものに実開平6−83378号が開示される等、書き味の良さや機能性,経済性を追求した改良が種々加えられてきている。
【0004】
又、本発明で用いるインキ収容筒は、チップを保持する先部部材とインキを収蔵するインキ収容部材が別体で存在し、これを一体化してインキ収容筒にして用いるものであるが、これ等はチップ嵌合部周辺に特殊な細工をする例えば実開平6−83379号のような場合や、簡便にしかも廉価に大容積のインキ収容部を持つインキ収容筒を得る手段として、従来例を示した図5のレフィルのようにその用途に応じ一般的に用いられている技術である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
剪断減粘性を有するインキを収蔵して成るボールペンは、静的な状態ではインキが高い粘度に保たれるが、ボールが回転するとボールとの接触面でズリ作用が生じ瞬時に粘度が低下し流動性があるインキに変化するものであるから、衝撃がレフィルに加わった状態を想定すると、従来例で示した図5のレフィルではインキ収容筒とインキの接触面でズリ作用が生じ、インキの自重がチップを上向きの状態ではインキフォロアーに又、チップを下向きの状態ではボールに衝撃力となって加圧されることになる。インキフォロアーの場合は、その粘稠度とインキ収容筒内壁面との濡れ性等物理的性能で補えるが、ボールへの衝撃荷重を支えるものはボールを抱持するチップ先端縁のかしめ加工による抱持力のみである。チップ先端縁の肉厚はボール径が小さくなるにつれ薄くなり、ボールの露出量も小さくなることから筆記に際し先端縁が紙面に接触し易くなる。従って、先端縁の磨耗と共にボール抱持力が低下し支え切れなくなった時ボールが脱落することになる。本発明は衝撃によるボール脱落の危惧を払拭し特に、チップが下向き状態で携行されるノック式ボールペン用途を主に、キャップ式ボールペン用途にも共用可能とするボールペンレフィルの改良を意図するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段と実施の形態】
本発明はかかる状態に鑑みてなされたものであって、ボールペンチップが取付けられるチップ嵌着孔を設けた小径部と、必要に応じレフィルを軸筒後端部方向に弾発するコイルスプリングの受部をなす小径部より一段径大の中径部を設けて先部を形成する先部部材或いは、中径部の無い小径部のみを先部とする先部部材を、インキ収容部材と別体で設けて成るインキ収容筒に、剪断減粘性を有するインキと該インキの後部にグリース状のインキフォロアーを収蔵し、先端のチップ嵌着孔にボールペンチップを、後端に通気手段を設けた尾栓を嵌着させ構成したボールペンレフィルを前提とし、レフィル収容筒の先部部材の外周上にインキ収容部材の先端面に当接する突当鍔部を設け、該突当鍔部より後部をインキ収容部材との嵌合部に形成し更に、該嵌合部にはチップ嵌着孔に通ずる径方向に穿設した横溝と、該横溝とインキに面する後端面に連通して、インキ流通路となる軸方向に延びる縦溝をその外周に穿設することをもって、衝撃によるボール脱落を防止する課題解決の手段とするものである。
【0007】
かくのごとく構成したことにより、チップ下向き状態において、衝撃が加わりインキが挙動しても、先部部材の後端面でインキ収容筒内のインキ圧力を受け止めることになるので、ボールにインキ全量の衝撃を含む圧力が及ばずボールに加わる圧力は極く微圧に保たれ衝撃によるボール脱落が完全に防止できることになる。従って、ボールの脱落によってインキが流出し衣服を汚す心配が解消され、チップを下向き状態で携行するノック式に適した書き味の良いボールペンレフィルを得ることができたものである。
【0008】
しかるに以上の実施形態によるレフィルは、後部に止着した尾栓に外気との通気手段を設けたものであるから、図6に示す、レフィルの先端部側に通気手段を設けた中綿式水性ボールペンレフィルを収容していたキャップ式ボールペンの軸筒内に収納されると、先部部材の突当鍔部と軸筒内段部の接触で軸筒内の外気流通が阻害され、インキ使用量に見合ってレフィル内に外気が補充されず筆記不能となる問題があった。そこで本発明は更に、インキ収容筒の先部部材の突当鍔部に軸心方向に延びる切込溝を設ける簡便な手段により、軸筒の先端部より導入した外気を尾栓の空気孔に導通せんとするもので、これによりノック式にもキャップ式にも安心して共用できる書き味の良いボールペンレフィルが得られたものである。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施の形態を実施例を示した図面を基に説明する。なお、実施例を示す各図の説明において同目的で使用される部材及び部位を示す符号は同符号を用いて説明する。
【0010】
図1はチップが下向き状態で携行されるノック式に適した本発明のボールペンレフィルの実施例であって、インキ収容筒Cが先部部材2とインキ収容部材3を結合して形成され、内部には剪断減粘性を有するインキ4を収蔵し、該インキの後部に逆流防止剤のグリース状のインキフォロアー5を装填し、先端のチップ嵌着孔2aにボールペンチップ1が、後端に通気手段を設けた尾栓6が嵌着して構成されている。
【0011】
インキ収容筒Cは、チップ嵌着孔2aを有する小径部2bと、必要に応じレフィルを軸筒後端部方向に弾発するコイルスプリング(図示せず)の受部2cをなす、小径部より一段径大の中径部2dを設けて先部を形成し、該中径部の外周上にインキ収容部材3の先端面3aに当接する突当鍔部2eを設け、該突当鍔部より後部をインキ収容部材との嵌合部2fに形成し更に、該嵌合部には先部のチップ嵌着孔に通ずる径方向に穿設した横溝2gと、該横溝とインキ収容部材に収蔵されたインキ4に面する後端面2jに連通して、インキ流通路となる軸方向に延びる縦溝2hをその外周に穿設して成る先部部材2或いは、中径部2dの無い小径部2bのみを先部とし該小径部の外周上に先記の先部部材と同様に突当鍔部2eを設け、該突当鍔部より後部をインキ収容部材との嵌合部2fに形成した外観形状の異なる先部部材2(図2参照)が、インキ収容部材3にその嵌合部2fを圧入し突当鍔部2eを当該インキ収容部材の先端面3aに当接し一体に形成されている。
【0012】
先部部材2はプラスチック材料により成形加工されたものであるが、インキ収容部材3の材質は用途,目的に応じ設定ができる利点がある。インキ収蔵量を変えずに細径にしたい場合は金属材料が良く、インキ4の残量を目視したい場合或いは廉価に加工したい場合は樹脂材料を設定すれば良い。又、インキ収容部材はパイプ状で両端を同寸法にしておけば組立の際の方向性も無く、長物を切断して用いることができるなど工業生産的に有効である。
【0013】
図3は本発明のもう一つの実施例を示す先端部の拡大縦断面図であって、先端部側に外気との通気手段を設けた中綿式水性ボールペンレフィル(図6参照)を収容していたキャップ式ボールペン(図示せず)に、先記した本発明のレフィルを収納可能にするために、先記の先部部材2に付加した構造を示すものである。すなわち、小径部2bと中径部2dで先部を形成した先部部材2の外周上に設けた突当鍔部2eに、軸心方向に延びる切込溝2kを設けた構造を示すものであって、突当鍔部によって軸筒内の外気流通が阻害され(図示せず)、インキの使用量に見合ってレフィル内に空気が補充されずに筆記不能なる問題を未然に防ごうとするものである。従って、切込溝は軸心方向に充分な長さで形成され、該切込溝によって軸筒の先端部より導入した外気をレフィルの尾栓6の空気孔に導通するものでなければならない。なお、切込溝2kは突当鍔部2eを貫通して設けることには問題がある。なぜならば、インキ収容部材3と先部部材2の嵌合部2fからインキ4が滲み出るようなことがあると、軸筒と先部部材の中径部2dの接触があればインキの滲み出しが止まらない結果を生む心配が生じるからで、インキ収容部材3の先端面3aと先部部材2の突当鍔部2eは全面接触していることが好ましい。
【0014】
図4は先部部材2におけるインキ4の流通路を図2のA−A横断面図で示したものであるが、インキ収容筒C内に収蔵された剪断減粘性を有するインキ4は先部部材の嵌合部2fの外周に穿設された縦溝2hを通り、横溝2gを経てチップ嵌着孔2aへと流通する。縦溝内に侵入する以外のインキは、先部部材2の後端面2jに面しており、チップ1が下向き状態の時にレフィルに衝撃が加えられても後端面2jでインキ圧力を受け止めるように構成してあるので、ボールにインキ全量の衝撃を含む圧力が及ばず、ボールに加わる圧力は極く微圧に保たれ、衝撃によってボールが抱持部を破かいして脱落することが防止される。
【0015】
【発明の効果】
本発明は以上の構成により、チップが下向き状態で携行されるノック式ボールペンに用いるレフィルに、従来の水性ボールペンと同様の滑らかな筆記感触で鮮明な筆跡が得られる、静的には高い粘度を有するが筆記時にはボールの回転により粘度が低下する剪断減粘性を有するボールペンインキを用いることができるように又、すでにキャップ式ボールペンで使用中の外装に互換性を持つレフィルとするように改善されたものである。これにより書き味の良いノック式ボールペンが得られる効果を奏するばかりでなく、キャップ式ボールペンにも共通化が図れたので、レフィルの種類が増大することによって生産や販売面で又、使用者にとってもそれなりの対応が求められるであろう煩わしさが、回避された効果も大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例であるボールペンレフィルの縦断面図である。
【図2】インキ収容筒の先部形状について他の実施例を示したレフィル先端部のみの一部拡大縦断面図である。
【図3】本発明の他の実施例であるノック式及びキャップ式共通のボールペンレフィルの先端部を示す一部拡大縦断面図である。
【図4】先部部材のインキ流通路を示す図2のA−A矢視横断面図である。
【図5】従来例を示すボールペンレフィルの縦断面図である。
【図6】先端部側に外気との通気手段を設けた中綿式水性ボールペンレフィルを示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 ボールペンチップ
2 先部部材
2a チップ嵌着孔
2b 小径部
2c 受部
2d 中径部
2e 突当鍔部
2f 嵌合部
2g 横溝
2h 縦溝
2j 後端面
2k 切込溝
3 インキ収容部材
3a 先端面
4 インキ
5 インキフォロアー
6 尾栓
C インキ収容筒
Claims (2)
- チップ嵌着孔を設けた小径部と、必要に応じレフィルを軸筒後端部方向に弾発するコイルスプリングの受部をなす小径部より一段径大の中径部を設けて先部を形成する先部部材或いは、中径部の無い小径部のみを先部とする先部部材を、インキ収容部材と別体で設けて成るインキ収容筒に、剪断減粘性を有するインキと該インキの後部にグリース状のインキフォロアーを収蔵し、先端のチップ嵌着孔にボールペンチップを、後端に通気手段を設けた尾栓を嵌着させたボールペンレフィルにおいて、前記インキ収容筒(C)の先部部材(2)の外周上にインキ収容部材(3)の先端面(3a)に当接する突当鍔部(2e)を設け、該突当鍔部より後部をインキ収容部材との嵌合部(2f)に形成し更に、該嵌合部にはチップ嵌着孔(2a)に通ずる径方向に穿設した横溝(2g)と、該横溝とインキ(4)に面する後端面(2j)に連通して、インキ流通路となる軸方向に延びる縦溝(2h)をその外周に穿設したことを特徴とするボールペンレフィル。
- 前記先部部材(2)の突当鍔部(2e)に、軸心方向に延びる切込溝(2k)を設けた請求項1に記載のボールペンレフィル。
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