JP3805673B2 - 窒化物半導体基板の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視発光ダイオード装置又は青紫色レーザ装置に用いる窒化物半導体基板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)及び窒化アルミニウム(AlN)等のIII-V族窒化物半導体は、青色又は緑色発光ダイオード(LED)装置、青色半導体レーザ装置又は高温動作が可能な高速トランジスタ装置等に用いる化合物半導体材料として好適である。
【0003】
ところで、従来から、窒化物半導体を成長させる基板には、サファイア(単結晶Al23、炭化ケイ素(SiC)、シリコン(Si)又はヒ化ガリウム(GaAs)からなる絶縁性基板が良く知られている。
【0004】
しかしながら、組成が窒化物半導体層とは異なるサファイア等からなる異種の基板上に窒化物半導体を成長させると、成長する窒化物半導体と該基板との間の熱膨張係数の差によって、基板が反ったり、クラックが発生したりして、窒化物半導体の結晶性が劣化することが知られている。
【0005】
そこで、近年、基板を窒化物半導体により形成し、窒化物半導体からなる基板上に、同種の窒化物半導体からなる素子構造を形成することにより、異種の基板に起因する問題を解決する試みがなされている。
【0006】
例えば、窒化物半導体基板の製造方法の一例として、母材となる基板(母材基板)の上に窒化物半導体層を比較的に厚く成長し、成長した窒化物半導体層と母材基板との界面にレーザ光を照射する。レーザ光を照射された窒化物半導体層が局所的に加熱されて昇華し、窒化物半導体層が母材基板から剥離することにより、窒化物半導体層から窒化物半導体基板を得るという方法が検討されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の窒化物半導体基板の製造方法は、レーザ光によって母材基板から窒化物半導体層を剥離する場合に、レーザ光の走査の途中、すなわち、窒化物半導体層と母材基板とにおけるレーザ光を照射されている界面のみが剥離し、他の部分が接合したままの状態となる。その際、窒化物半導体層と母材基板との接合部分に応力が集中して、窒化物半導体層中にクラックが発生するという問題がある。その結果、室温程度のレーザ光を照射することによって、窒化物半導体基板を歩留まり良く製造することが困難となる。
【0008】
また、母材基板上に窒化物半導体を成長する際に、窒化物半導体に対して格子不整合による貫通欠陥が導入されるため、得られる窒化物半導体基板における欠陥密度が大きいという問題もある。
【0009】
本発明は、前記従来の問題を解決し、クラック等を発生させることなく、さらに、欠陥密度が小さく且つ生産性に優れた窒化物半基板を確実に得られるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、本発明は、窒化物半導体層を成長させる母材基板の主面上に、窒化物からなる半導体層を選択的に成長させるマスク膜を形成する構成とする。
【0011】
具体的に、本発明に係る第1の窒化物半導体基板の製造方法は、母材基板の主面上に、窒化物半導体が実質的に成長しない材料からなり、複数の開口部を有するマスク膜を形成する第1の工程と、前記母材基板上に、マスク膜を介して窒化物からなる半導体層を選択的に成長する第2の工程と、半導体層における母材基板との界面にレーザ光を照射して、半導体層を母材基板から剥離することにより、半導体層から半導体基板を形成する第3の工程とを備えている。
【0012】
第1の窒化物半導体基板の製造方法によると、母材基板上にマスク膜を介して窒化物からなる半導体層を選択的に成長するため、該半導体層が成長する際に、マスク膜に応力を集中させることができるので、半導体層に生じる応力を低減することができる。このため、窒化物からなる半導体層に生じる割れやクラックを低減することができる。その上、マスク膜には窒化物半導体が実質的に成長しない材料を用いているため、半導体層がマスク膜の上に回り込むように成長するので、半導体層に導入される貫通欠陥を低減することができる。これにより、結晶品質及び生産性に優れた窒化物半導体基板を得ることができる。
【0013】
第1の窒化物半導体基板の製造方法において、母材基板は主面の面方位が{0001}面であるサファイアからなり、第1の工程が、各開口部を、母材基板における晶帯軸の<1−100>方向とほぼ一致したストライプ状に形成することが好ましい。このようにすると、母材基板を構成する{0001}面を主面に持つサファイアに対し、その上に成長する窒化物半導体の晶帯軸方向が30°ずれる。このため、ストライプの長手方向が母材基板の晶帯軸の<1−100>方向に沿うようにマスク膜の開口部を形成すると、マスク膜の上にせり出して成長する半導体層の成長面を良好な{1−101}面とすることができる。
【0014】
第1の窒化物半導体基板の製造方法において、母材基板は主面の面方位が{0001}面である炭化ケイ素又は窒化アルミニウムからなり、第1の工程が、各開口部を、母材基板における晶帯軸の<11−20>方向とほぼ一致したストライプ状に形成することが好ましい。このようにすると、母材基板を構成する{0001}面を主面に持つ炭化ケイ素又は窒化アルミニウムの晶帯軸と、その上に成長する窒化物半導体の晶帯軸とが一致する。このため、ストライプの長手方向が母材基板の晶帯軸の<11−20>方向に沿うようにマスク膜の開口部を形成すると、マスク膜の上に張り出して成長する半導体層の成長面を良好な{1−101}面とすることができる。
【0015】
第1の窒化物半導体基板の製造方法は、第1の工程よりも前に、母材基板の主面に凹凸状領域を形成する工程をさらに備え、第1の工程が、凹凸状領域の凸部の頂面が開口部から露出するように形成する工程を含むことが好ましい。
【0016】
このようにすると、母材基板上にマスク膜を介して半導体層を成長する際に、母材基板の主面に形成した凹凸状領域の凸部に応力が集中するため、成長する半導体層に生じる応力がより一層低減する。このため、成長時に半導体層に生じる割れやクラックがさらに減少する。
【0017】
この場合に、母材基板は主面の面方位が{0001}面であるサファイアからなり、凹凸状領域を形成する工程は、母材基板の主面に互いに並行に延びる複数の凹状溝を、母材基板における晶帯軸の<1−100>方向とほぼ一致するように形成する工程を含むこことが好ましい。
【0018】
また、この場合に、母材基板は主面の面方位が{0001}面である炭化ケイ素又は窒化アルミニウムからなり、凹凸状領域を形成する工程は、母材基板の主面に互いに並行に延びる複数の凹状溝を、母材基板における晶帯軸の<11−20>方向とほぼ一致するように形成する工程を含むことが好ましい。
【0019】
また、この場合に、第1の工程が、母材基板における凹凸状領域の上に全面にわたってマスク形成膜を形成する工程と、マスク形成膜を覆うようにレジスト膜を塗布する工程と、レジスト膜に対してエッチングを行なって、レジスト膜を凹凸状領域の凹部に残すことにより、マスク形成膜における凹凸状領域の凸部の上側部分を露出する工程と、凹部に残されたレジスト膜をマスクとして、マスク形成膜に対してエッチングを行なう工程とを含むことが好ましい。
【0020】
さらに、この場合のレジスト膜をエッチングする工程が、酸素プラズマを用いることが好ましい。
【0021】
この場合のマスク形成膜は酸化物からなることが好ましい。
【0022】
母材基板の主面に凹凸状領域を形成する場合の第2の工程において、母材基板と半導体層との間には空隙が形成されることが好ましい。このようにすると、形成された空隙により、レーザ光を照射した際に発生する熱が半導体層と母材基板との界面に集中するため熱効率が向上する。その結果、レーザ光の光密度を低減しても、半導体層を十分に剥離できるようになるため、レーザ照射装置に高出力な光源が不要となり、結果的に製造コストを低減することができる。その上、レーザ照射時の熱分解により発生する半導体層からの高圧の窒素ガスを空隙に効率良く発散できるため、剥離時の半導体層にクラック等が導入される虞が一層低減する。
【0023】
また、第1の窒化物半導体基板の製造方法において、第3の工程が、レーザ光を、少なくとも半導体層におけるマスク膜の開口部からの露出部分に照射することが好ましい。このようにすると、レーザ光の照射時間を短縮することができるため、レーザ照射工程のスループットが向上して、生産性に優れる。
【0024】
第1の窒化物半導体基板の製造方法において、第1の工程が複数の開口部を島状に形成し、第3の工程が、レーザ光を、半導体層におけるマスク膜の各開口部からの露出部分と同期するように走査しながら照射することが好ましい。このようにすると、レーザ光の光源としてパルス状の光源を用いることができるため、レーザ光の出力値を高めることができるので、レーザ光の照射時間を短縮できる。その上、母材基板と半導体層との剥離を確実に行なえるようになる。
【0025】
さらに、第1の窒化物半導体基板の製造方法において、第1の工程が複数の開口部を島状に形成し、第3の工程が、レーザ光を、半導体層におけるマスク膜の開口部からの露出部分を走査しながら、露出部分の複数を同時に照射することが好ましい。このように、半導体層におけるマスク膜の開口部からの露出部分の複数を同時に照射するため、レーザ光の照射時間をさらに短縮することができる。
【0026】
第1の窒化物半導体基板の製造方法において、マスク膜が酸化シリコン、窒化シリコン又はタングステンからなることが好ましい。
【0027】
第1の窒化物半導体基板の製造方法において、マスク膜における互いに隣接する開口部の開口端同士の間隔が半導体層の厚さとほぼ等しいかそれ以下であることが好ましい。
【0028】
第1の窒化物半導体基板の製造方法において、マスク膜の開口部の開口幅が、互いに隣接する開口部の開口端同士の間隔の約10倍以下であることが好ましい。
【0029】
本発明に係る第2の窒化物半導体基板の製造方法は、母材基板の主面に対して選択的にエッチングを行なって、母材基板の主面に凹凸状領域を形成する第1の工程と、母材基板における凹凸状領域の上に該凹凸状領域の凹部との間に空隙が形成され且つその上面が平坦となるように、窒化物からなる半導体層を成長する第2の工程と、半導体層における母材基板との界面にレーザ光を照射して、半導体層を母材基板から剥離することにより、半導体層から半導体基板を形成する第3の工程とを備えている。
【0030】
第2の窒化物半導体基板の製造方法によると、窒化物からなる半導体層を、母材基板における凹凸状領域の上に該凹凸状領域の凹部との間に空隙が形成されるように選択的に成長するため、該半導体層が成長する際に、母材基板における凹凸状領域の凸部部分に応力を集中させることができるので、半導体層に生じる応力を低減することができる。このため、成長時に窒化物からなる半導体層に生じる割れやクラックを防止することができる。その上、半導体層が母材基板の凹部上に空隙を形成しながら張り出すように成長するため、半導体層に導入される貫通欠陥を低減することができる。このように、結晶品質及び生産性に優れた窒化物半導体基板を得ることができる上に、母材基板にマスク膜を設ける必要がないため、製造プロセスが簡略化される。
【0031】
なお、本願明細書では、便宜上、ミラー指数の上にバーを付す代わりに、該指数の前に負符号「−」を付してその反転を表わしている。
【0032】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0033】
図1(a)〜図1(d)乃至図3(a)〜図3(d)は本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0034】
まず、図1(a)に示すように、径が約5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファイア(酸化アルミニウムの単結晶)からなる母材基板11を用意する。母材基板11の主面の面方位は(0001)面であり、主面とその反対側の面(裏面)とは共に鏡面仕上げがされている。
【0035】
サファイアは、そのバンドギャップが8.7eVであるため、該バンドギャップに相当するエネルギーの波長である142.5nmよりも長い波長の光を透過する。そのため、波長が248nmのKrFエキシマレーザ光又は波長が355nmのNd:YAGレーザの3次高調波光はサファイアを透過する。
【0036】
(マスク膜形成工程)
次に、図1(b)に示すように、アルゴン(Ar)をスパッタガスとするRFスパッタ法により、母材基板11の主面上に、厚さが約0.1μmの酸化ケイ素(SiO2 )からなるマスク形成膜12Aを堆積する。
【0037】
次に、図1(c)に示すように、フォトリソグラフィ法及びフッ酸を含む溶液によるエッチング法により、マスク形成膜12Aから複数の開口部12aを有するマスク膜12Bを形成する。
【0038】
ここで、図2を用いてマスク膜12Bの詳細な構成を説明する。
【0039】
図2(a)及び図2(b)に示すように、マスク膜12Bの開口部12aは、サファイアの晶帯軸の<1−100>方向に沿ってストライプ状に延び、開口部12aの幅は約10μmで、互いに隣接する開口部12aの開口端同士の間隔は約30μmである。
【0040】
なお、本願明細書においては、晶帯軸の<1−100>方向とは、晶帯軸の[1−100]方向と等価な方向のいずれか1つを指し、特定の一方向を表わさない。例えば、<1−100>方向と等価な方向は、[1−100]、[−1100]、[01−10]、[0−110]、[10−10]及び[−1010]である。同様に、面方位の{1−100}面とは、面方位の(1−100)面と等価な方向のいずれか1つの面を指す。
【0041】
(窒化物半導体成長工程)
III 族源である塩化ガリウム(GaCl)とV族源であるアンモニア(NH3 )とを原料とするハイドライド気相成長(HVPE)法により、母材基板11のの上にマスク膜12Bを介して、窒化ガリウム(GaN)からなる半導体層13を成長する。III 族源の塩化ガリウムは、金属ガリウム(Ga)と塩化水素(HCl)とを、900℃程度の大気圧下で反応させて生成する。
【0042】
また、母材基板11の主面上で窒化ガリウムの核形成密度を増大させるため、半導体層13を成長するよりも前に、基板温度を約1000℃に保ち、塩化ガリウムのみを15分間程度供給する処理を行なう(以下、このプロセスをGaCl処理と呼ぶ)。なお、核形成密度を増大させるには、GaCl処理に代えて、母材基板11上に、窒化ガリウムからなり、400℃〜800℃程度の比較的に低温で成長させる、いわゆる低温バッファ層を設けても良く、また、母材基板11の主面に対してアンモニアによる窒化処理を行なっても良い。さらには、低温バッファ層と窒化処理とを組み合わせても良い。
【0043】
以下、半導体層13の成長の詳細を説明する。
【0044】
図1(d)に示すように、GaCl処理を行なった後、母材基板11の上に塩化ガリウム及びアンモニアを導入して、窒化ガリウムからなる半導体層13の成長を始める。半導体層13は、酸化ケイ素からなるマスク膜12B上には成長しないため、母材基板11の開口部12aからの露出部分から成長する。さらに成長を続けると、半導体層13は、マスク膜12Bの開口部12aから該マスク膜12Bの上へ張り出すように成長する。このとき、半導体層13における開口部12aからの張り出し部分の側面は、窒化ガリウム結晶の面方位の{1−101}面となる。
【0045】
これは、母材基板11を構成するサファイアの面方位に対して窒化ガリウム結晶の面方位が30°ずれて成長するという現象に加え、マスク膜12Bの開口部12aが延びる方向(ストライプ方向)をサファイアの晶帯軸の<1−100>方向に合わせているためである。また、窒化ガリウム結晶の{1−101}面は成長速度が比較的に小さいため出現し易いことにもよる。
【0046】
このように、第1の実施形態においては、半導体層13の出現し易い面方位を考慮して、マスク膜12Bの開口部12aのストライプ方向を設定しているため、半導体層13にピット等の欠陥を生じずに埋め込み成長を行なうことが、より容易となる。半導体層13は厚さが約200μmとなるまで成長を行なう。これにより、マスク膜12Bは埋め込まれて、平坦な表面を持つ半導体層13を得ることができる。
【0047】
次に、図3(a)に示すように、室温付近にまで基板温度を降下させると、半導体層13と母材基板11との熱膨張係数の差によって、母材基板11に反りが生じる。
【0048】
第1の実施形態においては、母材基板11の主面上にマスク膜12Bを設けているため、母材基板11と半導体層13とが界面の全面で接合している場合と比べて、母材基板11に生じる反りが小さくなる。例えば、ストライプ方向の曲率半径が80cm程度となり、該ストライプ方向と基板面内で垂直な方向の曲率半径が1m程度となることを確認している。なお、比較のために、母材基板11の主面上にマスク膜12Bを設けないで半導体層13を成長し、その後の母材基板11の曲率半径を調べると60cm程度であった。
【0049】
(レーザ照射工程)
半導体層13に対するレーザ照射は、図4に示すようなレーザ照射装置を用いる。
【0050】
図4に示すように、レーザ出射部1から出射されたレーザ光10は、スキャンレンズ2によって2次元に走査されて、半導体層13に照射される。ここでは、半導体層13に対して、レーザ光10を母材基板11の主面と反対側の面から照射している。レーザ光10は光路上に置かれた複数の集光レンズ3A、3Bによって、半導体層13上におけるレーザ光10のビーム径を調節することができる。なお、集光レンズ3A、3Bに代えて、適当な開口パターンを有するスリットを集光手段として用いても良い。
【0051】
さらに、レーザ照射装置は、レーザ光10の透過率が高く且つ可視光の反射率が高いミラー4と、該ミラー4を介して入力される可視光10aを受ける画像認識部5とを備えている。画像認識部5は、入力される可視光10aにより、半導体層13におけるレーザ照射位置を認識して、スキャンレンズ2の回転位置を制御する。
【0052】
ところで、レーザ照射時に、半導体層13に対する冷却又は加熱は行なわないでもよい。しかしながら、半導体層13の反りを修復するために、レーザ照射装置に半導体層13を800℃程度以下に加熱する加熱手段を設けてもよい。また、熱膨張係数差による剥離を促進するため、半導体層13を冷却する冷却手段を設けてもよい。
【0053】
レーザ光源には、波長355nmのNd:YAGの3次高調波を用いている。パルス幅は約30nsで、パルス周期は約50kHzとしている。レーザ光10を集光して約20μm径の円形状ビームとすることにより、1.0J/cm2 程度の光密度を得ている。サファイアはレーザ光10に対して透明であるため、前述したように、母材基板11の裏面側から該母材基板11を通して半導体層13にレーザ光10を照射している。
【0054】
レーザ光10を照射する際には、前述したように、母材基板11と共に半導体層13が反っているため、集光レンズ3A、3Bを調整してレーザ光10のスポット径が一定となるように制御を行なうことが好ましい。
【0055】
第1の実施形態においては、レーザ光10を半導体層13と母材基板11との界面に沿って選択的に照射する。すなわち、母材基板11におけるマスク膜12Bの開口部12aからの露出部分と半導体層13とにおける界面に沿ってレーザ光10が連続的に照射されるように、レーザ光10の走査速度を50cm/sとする。このとき、ストライプ状の開口部12aにおいて走査方向に隣り合う照射位置の中心間隔は約10μmとしている。従って、照射位置の中心間隔がレーザ光10のビーム径の約20μmよりも小さいため、パルス状の照射であっても半導体層13と母材基板11との界面を連続的に照射することができる。その上、パルス照射時に走査を止めることなく、すなわち光軸を走査したままで照射を行なったとしても、レーザ光10を半導体層13に対して連続的に照射することができる。
【0056】
図3(b)はレーザ照射工程の途中段階における母材基板11の断面構成を示している。
【0057】
半導体層13はレーザ光を吸収して加熱される。レーザ光のパルス幅が30nsと短く且つ光密度が大きいため、半導体層13は、レーザ光が照射された部分において、パルス幅の時間内ではほとんど拡散せずに、母材基板11との界面が局所的に加熱される。この局所的な加熱により、窒化ガリウムからなる半導体層13におけるレーザ光の照射部分が熱分解されて、ガリウム層13aと窒素ガスとを生じる。
【0058】
ガリウム層13aは25℃以上の温度では液体であり、それ以下の温度でも非常に軟らかい材料であるため、ガリウム層13aを介した母材基板11と半導体層13との結合力は極めて小さくなる。その結果、熱膨張係数差による応力が、母材基板11と半導体層13との接合部分に集中する。
【0059】
また、半導体層13の熱分解によって窒素ガスが発生するため、半導体層13の熱分解した領域及びその近傍は、窒素ガスにより極めて圧力が高い状態となる。
【0060】
第1の実施形態においては、半導体層13におけるレーザ照射部分の周囲にマスク膜12Bが形成されている。マスク膜12Bの上には窒化ガリウムからなる半導体層13が直接には成長しない。このため、半導体層13のマスク膜12Bの上側部分は、マスク膜12Bの開口部12aから基板面に平行に張り出すように成長している。その結果、マスク膜12Bと半導体層13とは、原子同士の結合手ではなく、いわゆる分子間力のみで結合している。そのため、マスク膜12Bと半導体層13との接合力は小さい。
【0061】
従って、レーザ光の照射によって、半導体層13と母材基板11との直接の接合部分が分解されると、半導体層13に生じている応力は、接合力が小さいマスク膜12Bと半導体層13とが適当な形状で分離することにより解放される。また、このとき、高圧の窒素ガスは、マスク膜12Bと半導体層13との分離により発散される。
【0062】
このような剥離のメカニズムにより、レーザ光の照射中の半導体層13には、母材基板11の主面に垂直な方向に伸展するクラックが生じないことを確認している。
【0063】
従って、図3(c)に示すように、半導体層13と母材基板11との接合部分のすべてにレーザ光を照射することにより、半導体層13は母材基板11から剥離する。
【0064】
次に、図3(d)に示すように、塩化水素によってガリウム層13aを除去し、その後、半導体層13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を研磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半導体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このときの窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2インチ)で、その厚さは約180μmであり、クラックや周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在する。
【0065】
以上説明したように、第1の実施形態によると、半導体層13における母材基板11の主面上に設けたマスク膜12Bの開口部12aにのみ選択的にレーザ照射を行なうため、従来のように半導体層13の全面に対して照射する場合と比べて、レーザの照射時間を削減できるので、レーザ照射工程のスループットを向上することができる。
【0066】
第1の実施形態においては、マスク膜12Bの開口部12aの面積の和はマスク膜12Bの面積の4分の1であるため、レーザ光の照射時間は少なくとも4分の1とすることができる。実際には、基板の全面を照射する場合は、レーザ照射位置が前回に照射した部分に対してもその一部が重なるように照射するため、結果的に、第1の実施形態に係るレーザ光の照射時間は4分の1以下となる。
【0067】
具体的には、ビーム径が20μmのレーザ光で、照射位置が互いに10μmずつ重なるように照射した場合、第1の実施形態においては、径が約5.1cmの半導体層13に対して約4分でレーザ光の照射が終了する。一方、従来のように半導体層13の全面に10μmずつ重なるように照射すると、レーザ光の照射工程に、およそ30分もの時間が必要となる。
【0068】
また、第1の実施形態においては、マスク膜12Bの開口部12aがストライプ状に延びているため、レーザ光の光軸の走査が単純化されるので、効率的に照射を行なうことができる。
【0069】
また、第1の実施形態においては、ストライプ状の開口部12aを有するマスク膜12Bを介して、母材基板11の主面上に、窒化ガリウムからなる半導体層13を埋め込み成長しているため、半導体層13の表面における貫通欠陥の密度は約1×106 cm-2である。これに対し、従来のサファイアからなる基板上に成長した窒化ガリウムからなる半導体層における欠陥密度は、1×109 cm-2程度である。
【0070】
このように、第1の実施形態によると、レーザ光の照射時間を4分の1以下と著しく低減できる上に、欠陥密度をも低減された窒化物半導体基板13Aを確実に得ることができる。
【0071】
また、マスク膜12Bの厚さを0.1μm程度としたが、マスク膜12Bの厚さはこれに限定されず、母材基板11の主面を覆うことが可能な連続的な膜であればよい。このような連続的な膜を得るには、マスク膜12Bの厚さは、好ましくは、およそ0.001μm以上とするのが良い。
【0072】
なお、第1の実施形態においては、母材基板11上において、マスク膜12Bの開口部12aのストライプ方向をサファイアの晶帯軸の<1−100>方向としたが、母材基板11に用いる材料によっては、窒化ガリウムからなる半導体層13の結晶面の面方位が異なる場合がある。そのような場合は、半導体層13における晶帯軸の<11−20>方向にストライプ方向を一致させることが好ましい。
【0073】
例えば、母材基板11として、炭化ケイ素(SiC)又は窒化アルミニウム(AlN)を用いた場合には、母材基板11を構成するサファイアと半導体層13を構成する窒化ガリウムとの各面方位が一致するため、ストライプ方向を<11−20>とすることが好ましい。
【0074】
なお、マスク膜12Bの開口部12aの開口幅を約10μmとし、互いに隣接する開口部12aの開口端同士の間隔、すなわち1本のストライプの幅を約30μmとしたが、これらの寸法には好ましい範囲がある。
【0075】
まず、ストライプの幅の上限は、半導体層13によるマスク膜12Bの埋込み成長により規制される。すなわち、ストライプの幅が小さい方がマスク膜12Bを埋め込むのに必要な面積が小さくなるため、半導体層13の厚さが比較的に小さい場合でも埋め込むことができる。そこで、マスク膜12Bのストライプの幅は半導体層13の厚さとほぼ同程度かそれ以下とすることが好ましく、第1の実施形態では、200μm程度かそれ以下とするのが良い。
【0076】
これに対し、ストライプの幅の下限は、レーザ照射時に半導体層13に導入されるクラックと関係する。すなわち、ストライプの幅を極端に小さくすると、クラックが、マスク膜12Bの近傍、又は半導体層13と母材基板11との界面近傍に留まらず、半導体層13の内部にまで伸展する虞がある。従って、マスク膜12Bのストライプの幅は約1μm以上とすることが好ましい。
【0077】
また、マスク膜12Bの開口部12aの開口幅の上限も、クラックの発生と関係する。すなわち、ストライプの幅の10倍程度以下とすることが好ましい。一方、開口幅の下限については、特に限定されないが、前述したように第1の実施形態においては、レーザ照射の位置合わせに可視光を用いているため、視認性を確保する必要から1μm程度以上とすることが好ましい。
【0078】
なお、第1の実施形態においては、マスク膜12Bの開口パターン12aをストライプパターンとしたが、他のパターンでも、直線状に連続するパターンであれば、レーザ光の光軸の走査が単純化されて好ましい。さらに、渦巻状のような一筆書きパターンとすると、1回の走査で半導体層13の全体をレーザ照射できるため好ましい。なお、この場合においても、開口部12aのパターンの開口端面の面方位は、窒化ガリウムの{1−101}面と一致するように形成することが、より好ましい。
【0079】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0080】
図5(a)〜図5(c)乃至図7(a)〜図7(c)は本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0081】
第2の実施形態は、マスク膜における開口部の形状をストライプパターンに代えてドット(島状)パターンとしている。ここでは、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0082】
まず、図5(a)に示すように、径が約5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファイアからなる母材基板11を用意する。母材基板11の主面の面方位は(0001)面であり、主面とその反対側の面(裏面)とは共に鏡面仕上げがされている。
【0083】
(マスク膜形成工程)
次に、図5(b)に示すように、アルゴン(Ar)をスパッタガスとするRFスパッタ法により、母材基板11の主面上に、厚さが約0.1μmの酸化ケイ素(SiO2 )からなるマスク形成膜12Aを堆積する。
【0084】
次に、図5(c)に示すように、フォトリソグラフィ法及びフッ酸を含む溶液によるエッチング法により、マスク形成膜12Aから複数の開口部12aを有するマスク膜12Cを形成する。
【0085】
ここで、図6を用いてマスク膜12Cの詳細な構成を説明する。
【0086】
図6に示すように、マスク膜12Cの各開口部12aは、径がそれぞれ約10μmの円形状であって、一辺が30μmの正三角形を最密に並べたときの各正三角形の頂点の位置に配置されている。このときの正三角形の一辺がサファイアの面方位の{1−100}面と一致するようにパターニングされている。なお、母材基板11の周縁部において、ドットパターンが欠けていると、欠けた部分において半導体層13は良好に成長しない虞があるため、母材基板11の周縁部には開口部12aを設けないようにする。
【0087】
(窒化物半導体成長工程)
次に、図7(a)に示すように、GaCl処理を行なった後、アンモニアと塩化ガリウムとを原料とするHVPE法により、第1の実施形態と同等の条件により、母材基板11の主面上に、マスク膜12Cを介して窒化ガリウムからなる半導体層13を成長する。このとき、マスク膜12Cの上には窒化ガリウムからなる結晶核が付着せず、従って半導体層13が成長しない。その結果、母材基板11におけるマスク膜12Cの開口部12aの露出部分から半導体層13が成長し始め、さらに成長し続けると、半導体層13は開口部12aから該開口部12a同士の間の領域上に張り出すように成長する。
【0088】
マスク膜12Cの各開口部12aの平面形状は円形(ドット)状ではあるが、各開口部12aを図6のように配置していることから、窒化ガリウムの{1−101}面の成長速度は比較的に小さい。このため、厚さが1μm程度の半導体層13を成長した段階のマスク膜12C上には、半導体層13における互いに隣接する3つの開口部12aからの張り出し部分によって6つの{1−101}面に囲まれた空隙が生じる。さらに、成長し続けると、各開口部12aから周囲に張り出す窒化ガリウムが{1−101}面で合体して、その結果、マスク膜12Cは埋め込まれる。マスク膜12Cが半導体層13により埋め込まれた後も、該半導体層13の厚さが約200μmとなるまで成長させると、半導体層13の表面は平坦となる。その後、室温付近にまで基板温度を降下させると、半導体層13と母材基板11との熱膨張係数の差によって、図7(a)に示すように母材基板11に反りが生じる。このときに生じた反りは、基板面上の方向にはほとんど依存せず、その曲率半径は1m程度となる。
【0089】
(レーザ照射工程)
第2の実施形態においても、図4に示したレーザ照射装置を用いる。照射条件も同等としている。例えば、レーザ光のビーム径は約20μmであり、レーザ光の出射のパルス周期は約50kHzである。このとき、マスク膜12Cの開口部12aの径は約10μmであり、ビーム径の約20μmよりも小さいため、1回のパルス照射で、半導体層13におけるマスク膜12Cの1つの開口部12a上に位置する部分を照射することができる。
【0090】
第2の実施形態の特徴として、レーザ光の出射周期を開口部12aの形成位置に同期して照射している。具体的には、前述したように隣接する開口部12a同士の中心位置の距離は約30μmであり、パルス周波数が50kHzであることから、走査速度を150cm/sとすることにより、ドット状で且つ列状に配置された開口部12aの位置に同期してパルス照射を行なうことができる。このとき、図4に示した画像認識部5からの位置情報をスキャンレンズ2にフィードバックして、照射位置を微調整しながらレーザ光の照射を行なうことが好ましい。
【0091】
前述したように、半導体層13は、照射されたレーザ光を吸収して加熱される。レーザ光のパルス幅が約30nsと短く且つ光密度が大きいため、半導体層13はレーザ光が照射された部分が局所的に加熱される。この加熱により、半導体層13におけるレーザ光の照射部分が熱分解されて、ガリウム層13aと窒素ガスとを生じる。
【0092】
第2の実施形態においては、母材基板11のレーザ照射位置である開口部12aの周囲には、マスク膜12Cが形成されているため、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、レーザ光の照射によって、半導体層13と母材基板11との開口部12aにおける接合部分が熱分解されると、半導体層13に生じている応力は、互いの結合力が小さいマスク膜12Cと半導体層13とが適当な形状で分離することにより解放される。また、熱分解により生じた高圧の窒素ガスは、マスク膜12Cと半導体層13とが適当な形状で分離することにより発散される。
【0093】
このような剥離のメカニズムにより、第2の実施形態においては、レーザ照射中に半導体層13に対して、母材基板11の主面に垂直な方向に伸展するクラックが生じない。
【0094】
従って、図7(b)に示すように、半導体層13と母材基板11とのマスク膜12Cの複数の開口部12aにおける接合界面のすべてにレーザ光を照射することにより、半導体層13は母材基板11から剥離する。
【0095】
次に、図7(c)に示すように、塩化水素によってガリウム層13aを除去し、その後、半導体層13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を研磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半導体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このときの窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2インチ)で、その厚さは約180μmであり、クラックや周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在する。
【0096】
以上説明したように、第2の実施形態によると、半導体層13と母材基板11との界面にのみ選択的にレーザ照射を行なうため、従来のように半導体層13の全面に対して照射する場合と比べて、レーザの照射時間を削減できるので、レーザ照射工程のスループットを向上することができる。
【0097】
その上、ドット状の複数の開口部12aが分散して配置されているため、1つの開口部12aに対して1つのレーザパルスを照射することにより、半導体層13における開口部12aから露出する母材基板11との界面を局所的に加熱して剥離している。その結果、レーザの照射位置が互いに重なるように照射する必要がなくなるため、第1の実施形態と比べても、レーザ光の照射時間をさらに短縮することができる。
【0098】
具体的には、第2の実施形態においては、ビーム径が約20μmのレーザ光を用い、径が約5.1cmの半導体層13に対してわずか約1分30秒でレーザ光の照射を終了することができる。一方、従来の照射方法では、前述したように、レーザ光の照射工程に30分程度の時間を要しており、第2の実施形態に係る製造方法は、レーザ照射工程の著しい短縮を可能とする。
【0099】
また、第2の実施形態においては、マスク膜12Cに設ける複数の開口部12aを周期的なドットパターンとしているため、レーザ光の光軸の走査が単純化されるので、効率的にレーザ照射を行なうことができる。
【0100】
また、第2の実施形態においては、窒化ガリウムからなる半導体層13を、母材基板11の主面上に形成された複数の開口部12aを有するマスク膜12Cを介して埋め込み成長しているため、半導体層13の表面における貫通欠陥密度は約1×106 cm-2である。
【0101】
以上示したように、第2の実施形態によると、半導体層13に対するレーザ照射時間を約1分30秒と著しく低減できる上に、欠陥密度が著しく低減した領域を有する窒化物半導体基板13Aを得ることができる。
【0102】
なお、第2の実施形態においては、マスク膜12Cに形成する各開口部12aの平面形状を円形状としたが、レーザ光のビーム径に納まる形状であれば、その平面形状は問われない。
【0103】
また、開口部12aの配置パターンは、より好ましくは、図6に示したように、各開口部12aが配置される辺の方向が、窒化ガリウムの面方位の{1−101}面と一致するように構成するのが良い。
【0104】
また、第2の実施形態においては、各開口部12aの配置パターンを、正三角形が最密に並んだ場合の各正三角形の頂点の位置としたが、他の配置パターンであっても、レーザ照射される面積を少なくして、レーザ照射工程を短縮することができる。
【0105】
さらに、この場合において、前述したように、成長する窒化ガリウムの{1−101}面同士が合体するように開口部12aを配置することが好ましい。また、この場合においても、マスク膜12Cに開口部12aを周期的に配置することにより、レーザ光の光軸の走査を単純化することが、より好ましい。
【0106】
また、第2の実施形態においては、マスク膜12Cの開口部12aの開口径を約10μm、開口部12a同士の中心位置の距離を約30μmとしたが、開口部12aの配置及び寸法には、好ましい範囲がある。
【0107】
まず、開口部12a同士の中心位置の距離は、半導体層13の厚さ程度以下とすることが好ましく、第2の実施形態においては、約200μm以下とするのが良い。なお、開口部12a同士の中心位置の距離は、互いに隣接する開口部12aの開口端同士の間隔とみなしても、実質的に問題はない。
【0108】
さらに、開口部12a同士の中心位置の距離は、半導体層13にクラックが導入されない程度に大きくすることが好ましく、1μm以上とすることが好ましい。
【0109】
一方、開口部12aの開口径においても、クラックが伸展しない程度以下とすることが好ましく、開口部12a同士の中心位置の距離の10倍以下とすることが好ましい。なお、開口径の下限は、特に限定されないが、第2の実施形態においては、レーザ照射の位置合わせに可視光を用いているため、視認性を確保する必要から、1μm以上とすることが好ましい。
【0110】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0111】
図8(a)〜図8(c)及び図9(a)〜図9(c)は本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0112】
第3の実施形態は、マスク膜における開口部に対するレーザの照射方法を変えている。ここでは、第2の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0113】
まず、図8(a)に示すように、径が約5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファイアからなる母材基板11を用意する。母材基板11の主面の面方位は(0001)面であり、主面とその反対側の面(裏面)とは共に鏡面仕上げがされている。
【0114】
(マスク膜形成工程)
次に、図8(b)に示すように、アルゴン(Ar)をスパッタガスとするRFスパッタ法により、母材基板11の主面上に、厚さが約0.1μmの酸化ケイ素(SiO2 )からなるマスク形成膜12Aを堆積する。
【0115】
次に、図8(c)に示すように、フォトリソグラフィ法及びフッ酸を含む溶液によるエッチング法により、マスク形成膜12Aから複数の開口部12aを有するマスク膜12Cを形成する。この場合の開口部12aのパターンも図6に示したパターンと同様の、正三角形の最密配置である。
【0116】
(窒化物半導体成長工程)
次に、図9(a)に示すように、GaCl処理を行なった後、アンモニアと塩化ガリウムとを原料とするHVPE法により、第1の実施形態と同等の条件により、母材基板11の主面上に、マスク膜12Cを介して窒化ガリウムからなる半導体層13を成長する。このとき、母材基板11におけるマスク膜12Cの開口部12aの露出部分から半導体層13が成長し始める。続いて、半導体層13は開口部12aから該開口部12a同士の間の領域上に張り出し、さらにその表面が平坦化するまで成長させる。その後、室温付近にまで基板温度を降下させると、半導体層13と母材基板11との熱膨張係数の差によって、図9(a)に示すように母材基板11に反りが生じる。このときに生じた反りは、基板面上の方向にはほとんど依存せず、その曲率半径は1m程度となる。
【0117】
(レーザ照射工程)
第3の実施形態においては、図4に示したレーザ照射装置におけるレーザ出射部1の出力値を大きくしている。レーザ光には、波長が355nmのNd:YAGレーザの3次高調波を用いる。レーザ光が高出力であるため、レーザ光のビーム径を5mm程度にまで大きくしても、約1.0J/cm2 の光密度を得ることができる。但し、パルス周期は高出力であるために小さく、約10Hzである。パルス幅は約10nsとしており、母材基板11と半導体層13との界面を局所的に加熱するのに十分なパルス幅である。
【0118】
ここでも、サファイアはレーザ光に対して透明であるため、母材基板11の裏面側から該母材基板11を通して半導体層13にレーザ光を照射する。
【0119】
レーザ光の半導体層13に対する照射は、少なくとも半導体層13と母材基板11との界面をすべて照射する必要があるため、ここでは、半導体層13の全面にわたって照射する。具体的には、照射部分が2mmずつ重なるように、母材基板11の周縁部から内側に向かって順次照射する。なお、レーザ光の走査時の線速度を約30cm/sとすることにより、2mmずつ照射位置を重ねることができる。すなわち、母材基板11の外縁部に沿ってレーザ照射を行ない、1周分のレーザ照射を終えると照射位置を3mmだけ母材基板11の内側にずらすことにより、半径方向の照射位置を2mmずつ重ねることができる。
【0120】
前述したように、半導体層13は、照射されたレーザ光を吸収して加熱される。レーザ光のパルス幅が約10nsと短く且つ光密度が大きいため、半導体層13は、レーザ光が照射された部分が局所的に加熱される。この加熱により、半導体層13におけるレーザ光の照射部分が熱分解されて、ガリウム層13aと窒素ガスとを生じる。
【0121】
第3の実施形態においては、母材基板11のレーザ照射位置である開口部12aの周囲には、マスク膜12Cが形成されているため、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、レーザ光の照射によって、半導体層13と母材基板11との開口部12aにおける接合部分が熱分解されると、半導体層13に生じている応力は、互いの結合力が小さいマスク膜12Cと半導体層13とが適当な形状で分離することにより解放される。また、熱分解により生じた高圧の窒素ガスは、マスク膜12Cと半導体層13とが適当な形状で分離することにより発散される。
【0122】
従って、図9(b)に示すように、半導体層13と母材基板11との接合部分のすべてに対してレーザ光を照射することにより、半導体層13を母材基板11から剥離することができる。
【0123】
次に、図9(c)に示すように、塩化水素によってガリウム層13aを除去し、その後、半導体層13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を研磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半導体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このときの窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2インチ)で、その厚さは約180μmであり、クラックや周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在する。
【0124】
以上説明したように、第3の実施形態によると、母材基板11の主面上に設けたマスク膜12Cの開口部12aは約30μmの間隔で分散して形成されているが、照射するレーザ光のビーム径が5mmと大きいため、一度に約1万個以上の開口部12aに対して照射できるので、照射時間を著しく低減することができる。具体的には、第3の実施形態においては、径が約5.1cmの半導体層13に対してわずか1分程度でレーザ照射を終えることができる。
【0125】
また、レーザ光の照射径を大きくしても、レーザ光による熱応力によって、半導体層13にクラックが導入されたり、割れたりすることはない。その上、母材基板11の主面上にマスク膜12Cを介して、窒化ガリウムからなる半導体層13を埋め込み成長しているため、半導体層13の表面における欠陥密度は約1×106 cm-2である。
【0126】
このように、第3の実施形態によると、レーザ光の照射径を大きくすることにより、レーザ光の照射時間を著しく低減できる上に、成長する半導体層13にクラックや割れが導入されず、欠陥密度が著しく減少した窒化物半導体基板を得ることができる。
【0127】
なお、第3の実施形態においては、半導体層13の全面に対してレーザ光の照射を行なっているが、半導体層13におけるマスク膜12Cの開口部12aからの露出部分のみを照射すれば良い。その場合には、半導体層13の全面を照射する場合と比べて、レーザ光の照射時間を短くすることができる。
【0128】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0129】
図10(a)〜図10(d)乃至図14(a)〜図14(c)は本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0130】
第4の実施形態は、母材基板の主面に凹凸状領域を形成し、形成した凹凸状領域のうち凸部領域の頂面を開口する開口部を持つようにマスク膜を形成する構成とする。ここでは、第1の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0131】
まず、図10(a)に示すように、径が約5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファイアからなる母材基板11を用意する。母材基板11の主面の面方位は(0001)面であり、主面とその反対側の面(裏面)とは共に鏡面仕上げがされている。
【0132】
(母材基板加工工程)
次に、図10(b)に示すように、フォトリソグラフィ法により、母材基板11の主面上に、厚さが約2μm、幅が約10μm及び間隔が約30μmのストライプ状の第1のレジストパターン31を形成する。このときのストライプの方向は、サファイアの晶帯軸の<1−100>方向である。
【0133】
次に、図10(c)に示すように、例えば反応性イオンエッチング(RIE)法により、第1のレジストパターン31をマスクとして母材基板11に対してエッチングを行なう。エッチングガスには塩素(Cl2 )ガスを用い、約5Paの圧力で出力値が約200Wのプラズマを発生し、1時間程度のエッチングを行なって、母材基板11の主面に、深さが約1μmのストライプ状の凹状溝11aを形成する。
【0134】
なお、本工程においては、200W程度の出力のプラズマを用いているため、第1のレジストパターン31の両側部はエッチングされて、それぞれ丸みが生じている。
【0135】
次に、図10(d)に示すように、第1のレジストパターン31を除去すると、主面が凹凸状の凹凸状領域20を有する母材基板11を得ることができる。
【0136】
ここで、図11(a)及び図11(b)を用いて凹凸状領域20の詳細を説明する。図11(a)は凹凸状領域20の平面構成を示し、図11(b)は図11(a)のXIb−XIb線における断面構成を示している。
【0137】
図11(b)に示すように、凹状溝11aの幅は底部において約30μmであり、該凹状溝11a同士に挟まれてなる凸部領域11bの幅は下部において約10μmである。ここで、凸部領域11bにおける両側面はその上部が下部に対して約0.5μmずつ小さくなるようにサイドエッチングされている。
【0138】
また、図11(a)に示すように、凹状溝11a、すなわち凸部領域11bが延びる方向は、サファイアの晶帯軸の<1−100>方向である。以下、凸部領域11bが延びる方向をストライプ方向と呼ぶ。
【0139】
(マスク膜形成工程)
次に、図12(a)に示すように、アルゴン(Ar)をスパッタガスとするRFスパッタ法により、母材基板11の凹凸状領域20の上に、厚さが約0.1μmの酸化ケイ素(SiO2 )からなるマスク形成膜12Aを堆積する。ここで、前述したように、第1のレジストパターン31をRIE用のマスクとしたため、母材基板11の凸部領域11bの両側面はサイドエッチングされて傾斜している。このため、マスク形成膜12Aは凸部領域11bの頂部の各角部において段切れを起こさずに堆積することができる。
【0140】
次に、図12(b)に示すように、母材基板11のマスク形成膜12Aの上の全面にレジスト膜32Aをスピンコートする。具体的には、レジスト膜32Aには、粘性が約20cp以下のレジスト材を用いると共に、凹凸状領域20が埋まる程度の回転数でスピンコートを行なう。このように、レジスト膜32Aの粘性が比較的に小さいため、レジスト膜32Aの表面はほぼ平坦となる。その後、該レジスト膜32Aを100℃程度の温度でベーキングして乾燥させる。
【0141】
次に、図12(c)に示すように、出力値が約50Wの酸素プラズマを用いたRIEにより、レジスト膜32Aに対して、マスク形成膜12Aにおける凸部領域11bの頂面上に位置する部分が露出するまでエッチングを行なう。これにより、エッチングされたレジスト膜32Aから、凹状溝11aを埋めると共にマスク形成膜12Aを覆う第2のレジストパターン32Bが形成される。マスク形成膜12Aは酸化ケイ素からなるため、レジスト膜32Aのマスク形成膜12Aに対するエッチング選択比の値は大きい。従って、酸素プラズマによってマスク形成膜12Aはほとんどエッチングされることがない。
【0142】
次に、図12(d)に示すように、第2のレジストパターン32Bをマスクとして、フッ酸を含む溶液によりマスク形成膜12Aに対してエッチングを行なうことにより、マスク形成膜12Aから、母材基板11における凸部領域11bの頂面を開口するストライプ状の開口部12aを有するマスク膜12Bが形成される。その後、第2のレジストパターン32Bを有機溶剤等により除去する。
【0143】
このように、第4の実施形態に係るマスク膜形成工程によると、フォトリソグラフィ法を用いることなく、マスク膜12Bの開口部12aを自己整合的に形成するため、開口部12aにマスクずれ等が生じることがない。従って、母材基板11の主面に形成した凹凸状領域20の各凸部領域11bの頂面のみを露出するマスク膜12Bを確実に形成することができる。
【0144】
(窒化物半導体成長工程)
次に、図13(a)に示すように、GaCl処理を行なった後、アンモニアと塩化ガリウムとを原料とするHVPE法により、第1の実施形態と同等の条件により、母材基板11の主面上に、マスク膜12Bを介して窒化ガリウムからなる半導体層13を成長する。このとき、半導体層13は、酸化ケイ素からなるマスク膜12B上には成長しないため、母材基板11におけるマスク膜12Bの開口部12aからの露出部分、すなわち凸部領域11bの頂面から成長する。さらに成長を続けると、半導体層13は、凸部領域11bの頂面から基板面に平行な方向(横方向)に、マスク膜12Bと接することなく成長する。このとき、半導体層13の凸部領域11bの頂面から横方向に成長した部分の側面は、窒化ガリウム結晶の面方位の{1−101}面となる。
【0145】
次に、図13(b)に示すように、半導体層13をさらに、厚さが200μm程度になるまで成長させる。これにより、表面が平坦な半導体層13を得ると共に、成長した半導体層13とマスク膜12Bとの間には空隙21が形成される。
【0146】
このように、第4の実施形態においては、半導体層13の出現し易い面方位を考慮して、母材基板11における凸部領域11bのストライプ方向を設定しているため、半導体層13にピット等の欠陥を生じずに選択成長を行なうことが、一層容易となる。
【0147】
次に、図13(c)に示すように、室温付近にまで基板温度を降下させると、半導体層13と母材基板11との熱膨張係数の差によって、母材基板11に反りが生じる。
【0148】
第4の実施形態においては、母材基板11と半導体層13とが界面の全面で接合している場合と比べて、母材基板11の主面上にマスク膜12Bを設けているため、生じる反りが小さくなる。例えば、ストライプ方向の曲率半径が80cm程度となり、該ストライプ方向と基板面内で垂直な方向の曲率半径が1m程度となる。なお、前述したように、母材基板11の主面上にマスク膜12Bを設けないで半導体層13を成長し、その後の母材基板11の曲率半径を調べると60cm程度であった。
【0149】
(レーザ照射工程)
第4の実施形態においても、図4に示したレーザ照射装置を用いる。照射条件も第1の実施形態と同等としている。例えば、レーザ光のビーム径は約20μmであり、レーザ光の出射のパルス周期は約50kHzである。
【0150】
図14(b)はレーザ照射工程の途中段階における母材基板11の断面構成を示している。
【0151】
半導体層13はレーザ光を吸収して加熱される。レーザ光のパルス幅が30nsと短く且つ光密度が大きいため、半導体層13は、レーザ光が照射された部分において、パルス幅の時間内ではほとんど拡散せずに、母材基板11との界面が局所的に加熱される。この局所的な加熱により、窒化ガリウムからなる半導体層13におけるレーザ光の照射部分が熱分解されて、ガリウム層13aと窒素ガスとを生じる。
【0152】
前述したように、ガリウム層13aは25℃以上の温度では液体であり、それ以下の温度でも非常に軟らかい材料であるため、ガリウム層13aを介した母材基板11と半導体層13との結合力は極めて小さくなる。その結果、熱膨張係数差による応力が、母材基板11の各凸部領域11bと半導体層13との接合部分に集中する。
【0153】
また、半導体層13の熱分解によって窒素ガスが発生するため、半導体層13の熱分解した領域及びその近傍は、窒素ガスにより極めて圧力が高い状態となる。しかしながら、第4の実施形態においては、レーザ光の照射位置である凸部領域11bの周囲に空隙21が形成されているため、レーザ光の照射によって、半導体層13と母材基板11との接合部分が分解されると、半導体層13に生じた応力は空隙21が広がることにより解放される。その上、発生した高圧の窒素ガスは、空隙21に発散される。
【0154】
さらに、第4の実施形態においては、成長した半導体層13とマスク膜12Bとの間に空隙21を設けることにより、レーザ光を照射した際に発生する熱を、半導体層13と母材基板11との界面に集中させることができる。これにより、半導体層13を熱分解させる際に必要なレーザ光の光密度を低減できるため、より低コストな低出力のレーザ光源を用いたとしても、半導体層13を母材基板から確実に剥離することができるようになる。このとき、レーザ照射中の半導体層13には、母材基板11の主面に垂直な方向に伸展するクラックが生じることがない。
【0155】
従って、図14(b)に示すように、半導体層13と母材基板11との接合部分のすべてにレーザ光を照射することにより、半導体層13は母材基板11から剥離する。
【0156】
次に、図14(c)に示すように、塩化水素によってガリウム層13aを除去し、その後、半導体層13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を研磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半導体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このときの窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2インチ)で、その厚さは約180μmであり、クラックや周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在する。
【0157】
以上説明したように、第4の実施形態によると、半導体層13における母材基板11の主面上に設けたマスク膜12Bの開口部12aから露出する凸部領域11bにのみ選択的にレーザ照射を行なうため、従来のように半導体層13の全面に対して照射する場合と比べて、レーザの照射時間を削減できるので、レーザ照射工程のスループットを向上することができる。
【0158】
第4の実施形態においては、母材基板11の凸部領域11bの面積の和は母材基板11の面積の4分の1であるため、レーザ光の照射時間は少なくとも4分の1とすることができる。
【0159】
実際に、母材基板11の主面の全面に対してレーザ光を照射する場合には、母材基板11の主面をxy平面とすると、x方向とy方向との双方でレーザ光の照射位置が重なるように照射する。具体的には、ビーム径が20μmのレーザ光を用いて、照射位置が互いに10μm程度重なるようにした場合に、主面の全面を10μm程度重なるように照射すると、レーザ光の照射工程に、30分程度もの時間が必要となる。
【0160】
これに対し、第4の実施形態においては、x方向にのみレーザ光の照射位置が重なるように照射すれば良い。従って、レーザ光を10μm程度重なるように照射した場合には、径が約5.1cmの母材基板11に対して4分程度で照射し終える。このように、従来と比べて、レーザ光の照射時間は4分の1以下にまで短縮することができる。
【0161】
また、マスク膜12Bの開口部12aから露出する、母材基板11の凸部領域11bがストライプ状に延びているため、レーザ光の光軸の走査が単純化されるので、効率的に照射を行なうことができる。
【0162】
また、ストライプ状の開口部12aを有するマスク膜12Bを介して、母材基板11の主面上に、窒化ガリウムからなる半導体層13を埋め込み成長しているため、半導体層13の表面における貫通欠陥の密度は約1×106 cm-2である。
【0163】
このように、第4の実施形態によると、レーザ光の照射時間を4分の1以下と著しく低減できる上に、欠陥密度をも低減された窒化物半導体基板13Aを確実に得ることができる。
【0164】
なお、第4の実施形態においては、母材基板11の凹凸状領域20をRIE法により形成したが、該凹凸状領域20の形成条件及び形成方法は、これに限定されない。例えば、イオンミリング法又は電子サイクロトロン共鳴(ECR)エッチング法等の用いることができる。
【0165】
また、第1のレジストパターン31をレジスト材により形成する代わりに、金若しくはニッケル等の金属、又は酸化ケイ素若しくは窒化ケイ素等の誘電体等からなり、エッチング雰囲気で著しく腐食しない材料を用いることができる。
【0166】
また、母材基板11上に設けた凹凸状領域20の凹状溝11aの深さを約1μmとしたが、浅くし過ぎると、成長する半導体層13とマスク膜12Bとが接触する場合がある。但し、半導体層13とマスク膜12Bとが接触する部分が生じたとしても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。一方、凹状溝11aの深さを大きくすると、マスク形成膜12Aの上にレジスト膜32Aを塗布しても、マスク形成膜12A上の凹凸状領域20がレジスト膜32Aによって平坦に埋め込まれない虞がある。但し、このような場合には、レジスト膜32Aの塗布及びベーキングを、該レジスト膜32Aの表面が平坦となるまで繰り返せば良い。従って、半導体層13とマスク膜12Bとが接触しないためには、凹状溝11aの深さは大きい方が好ましく、約0.05μm以上とするのが好ましい。
【0167】
また、第4の実施形態においては、マスク膜12Bの厚さを約0.1μmとしたが、マスク膜12Bの厚さはこれに限定されず、母材基板11の主面を覆うことが可能な連続的な膜であればよい。但し、母材基板11の凹凸状領域20の凸状領域11bの側面がサイドエッチングされたような、好ましい斜面形状であれば、マスク膜12Bの厚さは、0.001μm以上でよい。従って、凸部領域11bの側面が基板面に対してほぼ垂直である場合には、マスク形成膜12Bが段切れを起こさない程度に厚くする必要があることはいうまでもない。但し、マスク膜12Bの厚さを凹状溝11aの深さよりも大きくすると、空隙21が形成されなくなる。
【0168】
なお、第4の実施形態においては、母材基板11上において、凸部領域11bのストライプ方向をサファイアの晶帯軸の<1−100>方向としたが、母材基板11の材料によっては、窒化ガリウムからなる半導体層13の結晶面の面方位が異なる場合がある。そのような場合は、半導体層13における晶帯軸の<11−20>方向にストライプ方向を一致させることが好ましい。
【0169】
例えば、母材基板11として、炭化ケイ素(SiC)又は窒化アルミニウム(AlN)を用いた場合には、母材基板11を構成するサファイアと半導体層13を構成する窒化ガリウムとの各面方位が一致するため、ストライプ方向を<11−20>とすることが好ましい。
【0170】
なお、第4の実施形態においては、凹状溝11aの幅を約30μmとし、凸部領域11bの幅を約10μmとしたが、これらの寸法には好ましい範囲がある。
【0171】
まず、凹状溝11aの幅の上限は、半導体層13による凹状溝11aの被覆成長により規制される。すなわち、凹状溝11aの幅が小さい方が被覆成長するのに必要な面積が小さくなるため、半導体層13の厚さが比較的に小さい場合でもマスク膜12Bを覆うことができる。従って、凹状溝11aの幅は半導体層13厚さとほぼ同程度かそれ以下とすることが好ましく、第4の実施形態では、200μm程度かそれ以下とするのが良い。
【0172】
これに対し、凹状溝11aの幅の下限は、レーザ照射時に半導体層13に導入されるクラックと関係する。すなわち、凹状溝11aの幅を極端に小さくすると、空隙21が変形することによる応力の緩和が生じにくくなる虞がある。従って、凹状溝11aの幅は約1μm以上とすることが好ましい。
【0173】
また、凸部領域11bの幅の上限も、クラックの発生と関係する。すなわち、凸部領域11bの幅の10倍以下とすることが好ましい。一方、凸部領域11bの幅の下限については、特に限定されないが、第4の実施形態においては、レーザ照射の位置合わせに可視光を用いることから、視認性を確保するため約1μm以上とすることが好ましい。
【0174】
なお、第4の実施形態においては、母材基板11の主面に設けた凸部領域11bをストライプパターンとしたが、他のパターンでも、直線状に連続するパターンであれば、レーザ光の光軸の走査が単純化されて好ましい。さらに、渦巻状のような一筆書きパターンとすると、1回の走査で半導体層13の全体をレーザ照射できるため好ましい。なお、この場合においても、凸部領域11bの側面の面方位は、窒化ガリウムの{1−101}面と一致するように形成することが、より好ましい。
【0175】
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0176】
図15(a)〜図15(e)乃至図17(a)〜図17(d)は本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0177】
第5の実施形態は、母材基板の主面に設ける凹凸状領域の凸部の形状をストライプパターンに代えてドットパターンとしている。ここでは、第4の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0178】
まず、図15(a)に示すように、径が約5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファイアからなる母材基板11を用意する。母材基板11の主面の面方位は(0001)面であり、主面とその反対側の面(裏面)とは共に鏡面仕上げがされている。
【0179】
(母材基板加工工程)
次に、図15(b)に示すように、フォトリソグラフィ法により、母材基板11の主面上に、1つの径が約10μmで、隣接同士の中心位置の距離が約30μmのドットパターンを有するレジストパターン33を形成する。
【0180】
レジストパターン33は、図16の平面図に示すように、一辺が30μmの正三角形を最密に並べたときの各正三角形の頂点の位置に配置されている。このときの正三角形の一辺がサファイアの面方位の{1−100}面と一致するようにパターニングされている。なお、母材基板11の周縁部において、ドットパターンが欠けていると、欠けた部分において半導体層13は良好に成長しない虞があるため、母材基板11の周縁部にはドットパターンを配置しないようにしている。
【0181】
次に、図15(c)に示すように、第4の実施形態と同等の条件のRIE法により、レジストパターン33をマスクとして母材基板11に対してエッチングを行なって、母材基板11の主面が1μm程度の深さに掘り下げられてなる低部11dを形成する。
【0182】
次に、図15(d)に示すように、レジストパターン33を除去することにより、該レジストパターン33が転写されてなり、それぞれがドット状を有する複数の凸部11eを形成する。凸部11eの断面形状は図11(b)とほぼ同等であり、凸部11eの幅は約10μmである。凸部11eの側面は上部の径が下部の径よりも約0.5μm小さくなるサイドエッチングがなされている。また、隣接する凸部11e同士の中心位置の距離は約30μmである。これにより、母材基板11の主面には、凹部に相当する低部11dと凸部11eとからなる凹凸状領域20を形成する
(マスク膜形成工程)
次に、図15(e)に示すように、アルゴン(Ar)をスパッタガスとするRFスパッタ法により、母材基板11の凹凸状領域20の上に、厚さが約0.1μmの酸化ケイ素(SiO2 )からなるマスク形成膜12Aを堆積する。
【0183】
次に、図17(a)に示すように、マスク形成膜12Aに対して選択的にエッチングを行なって、マスク形成膜12Aから、母材基板11の凸部11eの頂面を露出する複数の開口部12aを有するマスク膜12Cを形成する。開口部12aの形成方法は、図示はしないが第4の実施形態と同様である。すなわち、レジスト膜をマスク形成膜12A上に平坦化されるようにスピンコートし、その後、酸素プラズマによるRIEによるエッチバックを行なって、レジスト膜を低部11d上にのみ残す。その後、残されたレジスト膜をマスクとして、フッ酸を含む溶液によりマスク形成膜12Aに対してエッチングを行なうことにより、マスク形成膜12Aから、母材基板11の凸部11eの頂面を開口するドット状の開口部12aを有するマスク膜12Cが形成される。残されたレジスト膜を除去すると、図17(a)に示す状態を得る。
【0184】
(窒化物半導体成長工程)
次に、図17(b)に示すように、アンモニアと塩化ガリウムとを原料とするHVPE法により、第1の実施形態と同等の条件により、母材基板11の凹凸状領域20の上に、窒化ガリウムからなる半導体層13を成長する。
【0185】
マスク膜12Cの各開口部12aから露出する凸部11eの頂面の平面形状は円形(ドット)状であるが、各開口部12aを図16のように配置しており、窒化ガリウムの{1−101}面の成長速度は比較的に小さい。このため、厚さが1μm程度の半導体層13を成長した段階のマスク膜12C上には、半導体層13における互いに隣接する3つの開口部12aからの張り出し部分によって6つの{1−101}面に囲まれた空隙が生じる。さらに、成長し続けると、各開口部12aから周囲に張り出す窒化ガリウムが{1−101}面で合体して、その結果、マスク膜12Cは空隙21が形成されるように覆われる。マスク膜12Cが半導体層13により覆われた後も、該半導体層13の厚さが約200μmとなるまで成長させると、半導体層13の表面は平坦となる。その後、室温付近にまで基板温度を降下させると、半導体層13と母材基板11との熱膨張係数の差によって、図17(b)に示すように母材基板11に反りが生じる。このときに生じた反りは、基板面上の方向にはほとんど依存せず、その曲率半径は1m程度となる。
【0186】
(レーザ照射工程)
第5の実施形態においても、図4に示したレーザ照射装置を用いる。照射条件も同等としている。例えば、レーザ光のビーム径は約20μmであり、レーザ光の出射のパルス周期は約50kHzである。このとき、母材基板11の凸部11eの頂面の径は約10μmであり、ビーム径の約20μmよりも小さいため、1回のパルス照射で、半導体層13における1つの凸部11eとの界面を照射することができる。
【0187】
第5の実施形態の特徴として、レーザ光の出射周期を凸部11eの形成位置に同期して照射している。具体的には、前述したように隣接する凸部11e同士の中心位置の距離は約30μmであり、パルス周波数が50kHzであることから、走査速度を150cm/sとすることにより、列状に配置された凸部11eの位置に同期してパルス照射を行なうことができる。このとき、図4に示した画像認識部5からの位置情報をスキャンレンズ2にフィードバックして、照射位置を微調整しながらレーザ光の照射を行なうことが好ましい。
【0188】
前述したように、半導体層13は、照射されたレーザ光を吸収して加熱される。レーザ光のパルス幅が約30nsと短く且つ光密度が大きいため、半導体層13はレーザ光が照射された部分が局所的に加熱される。この加熱により、半導体層13におけるレーザ光の照射部分が熱分解されて、ガリウム層13aと窒素ガスとを生じる。
【0189】
第5の実施形態においては、母材基板11のレーザ照射位置である母材基板11の凸部11eの周囲には、マスク膜12Cが形成されているため、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、レーザ光の照射によって、半導体層13と母材基板11の凸部11eとの接合部分が熱分解されると、半導体層13に生じている応力は、空隙21が適当な形状で分離することにより解放される。また、熱分解により生じた高圧の窒素ガスは、空隙21に発散される。
【0190】
このような剥離のメカニズムにより、第5の実施形態においては、レーザ照射中に半導体層13に対して、母材基板11の主面に垂直な方向に伸展するクラックが生じない。
【0191】
従って、図17(c)に示すように、半導体層13と母材基板11の凸部11eとの接合界面のすべてにレーザ光を照射することにより、半導体層13は母材基板11から剥離する。
【0192】
次に、図17(d)に示すように、塩化水素によってガリウム層13aを除去し、その後、半導体層13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を研磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半導体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このときの窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2インチ)で、その厚さは約180μmであり、クラックや周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在する。
【0193】
以上説明したように、第5の実施形態によると、半導体層13と母材基板11との界面にのみ選択的にレーザ照射を行なうため、従来のように半導体層13の全面に対して照射する場合と比べて、レーザの照射時間を削減できるので、レーザ照射工程のスループットを向上することができる。
【0194】
その上、母材基板11の主面にドット状の複数の凸部11eが分散して配置されているため、1つの凸部11eに対して1つのレーザパルスを照射することにより、半導体層13と母材基板11の凸部11eとの界面を局所的に加熱して剥離している。その結果、レーザの照射位置が互いに重なるように照射する必要がなくなるため、第4の実施形態と比べても、レーザ光の照射時間をさらに短縮することができる。
【0195】
具体的には、第5の実施形態においては、ビーム径が約20μmのレーザ光を用い、径が約5.1cmの半導体層13に対してわずか約1分30秒でレーザ光の照射を終了することができる。一方、従来の照射方法では、前述したように、レーザ光の照射工程に30分程度の時間を要しており、第5の実施形態に係る製造方法は、レーザ照射工程の著しい短縮を可能とする。
【0196】
また、母材基板11の複数の凸部11eを周期的なドットパターンとしているため、レーザ光の光軸の走査が単純化されるので、効率的にレーザ照射を行なうことができる。
【0197】
また、第5の実施形態においては、窒化ガリウムからなる半導体層13を、母材基板11の主面上に形成された開口部12aを有するマスク膜12Cを介して埋め込み成長しているため、半導体層13の表面における貫通欠陥密度は約1×106 cm-2である。
【0198】
以上示したように、第5の実施形態によると、半導体層13に対するレーザ照射時間を約1分30秒と著しく低減できる上に、欠陥密度が著しく低減した領域を有する窒化物半導体基板13Aを得ることができる。
【0199】
なお、母材基板11の凸部11eの凸部の頂面の形状を円形状としたが、レーザ光のビーム径に納まる形状であれば、その平面形状は問われない。
【0200】
また、凸部11eの配置パターンは、より好ましくは、図16に示したように、各凸部11eが配置される辺の方向が、窒化ガリウムの面方位の{1−101}面と一致するように構成するのが良い。
【0201】
また、第5の実施形態においては、各凸部11eの配置パターンを、正三角形が最密に並んだ場合の各正三角形の頂点の位置としたが、他の配置パターンであっても、レーザ照射される面積を少なくして、レーザ照射工程を短縮することができる。
【0202】
さらに、この場合において、前述したように、成長する窒化ガリウムの{1−101}面同士が合体するように凸部11eを配置することが好ましい。また、この場合においても、母材基板11の主面に凸部11eを周期的に配置することにより、レーザ光の光軸の走査を単純化することが、より好ましい。
【0203】
また、第5の実施形態においては、凹凸状領域20における凸部11eの径を約10μm、凸部11e同士の中心位置の距離を約30μmとしたが、凸部11eの配置及び寸法には、それぞれ好ましい範囲がある。
【0204】
まず、開口部12a同士の中心位置の距離は、半導体層13の厚さ程度以下とすることが好ましく、第5の実施形態においては、約200μm以下とするのが良い。なお、凸部11e同士の中心位置の距離は、互いに隣接する凸部11e同士の側面同士の間隔とみなしても、実質的に問題はない。
【0205】
さらに、凸部11e同士の中心位置の距離は、半導体層13にクラックが導入されない程度に大きくすることが好ましく、1μm以上とすることが好ましい。
【0206】
一方、凸部11eの径の上限は、クラックが半導体層13に伸展しない程度以下とすることが好ましく、凸部11e同士の中心位置の距離の10倍以下とすることが好ましい。なお、凸部11eの径の下限は、特に限定されないが、第5の実施形態においては、レーザ照射の位置合わせに可視光を用いているため、視認性を確保する必要から、1μm以上とすることが好ましい。
【0207】
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0208】
図18(a)〜図18(e)及び図19(a)〜図19(d)は本発明の第6の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0209】
第6の実施形態は、母材基板の主面に形成した凹凸状領域の凸部に対するレーザの照射方法を変えている。ここでは、第5の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0210】
まず、図18(a)に示すように、径が約5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファイアからなる母材基板11を用意する。母材基板11の主面の面方位は(0001)面であり、主面とその反対側の面(裏面)とは共に鏡面仕上げがされている。
【0211】
(母材基板加工工程)
次に、図18(b)に示すように、フォトリソグラフィ法により、母材基板11の主面上に、1つの径が約10μmで隣接間の中心位置の距離が約30μmのドットパターンを有するレジストパターン33を形成する。
【0212】
レジストパターン33は、図16の平面図に示すように、一辺が30μmの正三角形を最密に並べたときの各正三角形の頂点の位置に配置されている。このときの正三角形の一辺がサファイアの面方位の{1−101}面と一致するようにパターニングされている。
【0213】
次に、図18(c)に示すように、第4の実施形態と同等の条件のRIE法により、レジストパターン33をマスクとして母材基板11に対してエッチングを行なって、母材基板11の主面が1μm程度の深さに掘り下げられてなる低部11dを形成する。
【0214】
次に、図18(d)に示すように、レジストパターン33を除去することにより、該レジストパターン33が転写されてなり、それぞれがドット状を有する複数の凸部11eを形成する。凸部11eの断面形状は図11(b)とほぼ同等であり、凸部11eの幅は約10μmである。凸部11eの側面は上部の径が下部の径よりも約0.5μm小さくなるサイドエッチングがなされている。また、隣接する凸部11e同士の中心位置の距離は約30μmである。これにより、母材基板11の主面には、凹部に相当する低部11dと凸部11eとからなる凹凸状領域20を形成する。
【0215】
(マスク膜形成工程)
次に、図18(e)に示すように、アルゴン(Ar)をスパッタガスとするRFスパッタ法により、母材基板11の凹凸状領域20の上に、厚さが約0.1μmの酸化ケイ素(SiO2 )からなるマスク形成膜12Aを堆積する。
【0216】
次に、図19(a)に示すように、第4の実施形態と同様の方法により、マスク形成膜12Aに対して選択的にエッチングを行なって、マスク形成膜12Aから、母材基板11の凸部11eの頂面を露出する複数の開口部12aを有するマスク膜12Cを形成する。
【0217】
(窒化物半導体成長工程)
次に、図19(b)に示すように、アンモニアと塩化ガリウムとを原料とするHVPE法により、第1の実施形態と同等の条件により、母材基板11の凹凸状領域20の上に、窒化ガリウムからなる半導体層13を成長する。第5の実施形態と同様に、半導体層13の厚さが約200μmとなるまで成長させると、半導体層13の表面は平坦となる。その後、室温付近にまで基板温度を降下させると、半導体層13と母材基板11との熱膨張係数の差によって、図19(b)に示すように母材基板11に反りが生じる。このときに生じた反りは、基板面上の方向にはほとんど依存せず、その曲率半径は1m程度となる。
【0218】
(レーザ照射工程)
第6の実施形態においては、図4に示したレーザ照射装置におけるレーザ出射部1の出力値を大きくしている。レーザ光には、波長が355nmのNd:YAGレーザの3次高調波を用いる。レーザ光が高出力であるため、レーザ光のビーム径を5mm程度にまで大きくしても、約1.0J/cm2 の光密度を得ることができる。但し、パルス周期は高出力であるために小さく、約10Hzである。パルス幅は約10nsとしており、母材基板11と半導体層13との界面を局所的に加熱するのに十分なパルス幅である。
【0219】
ここでも、サファイアはレーザ光に対して透明であるため、母材基板11の裏面側から該母材基板11を通して半導体層13にレーザ光を照射する。
【0220】
レーザ光の半導体層13に対する照射は、少なくとも半導体層13と母材基板11との界面をすべて照射する必要があるため、ここでは、半導体層13の全面にわたって照射する。具体的には、照射部分が2mmずつ重なるように、母材基板11の周縁部から内側に向かって順次照射する。なお、レーザ光の走査時の線速度を約30cm/sとすることにより、2mmずつ照射位置を重ねることができる。すなわち、母材基板11の外縁部に沿ってレーザ照射を行ない、1周分のレーザ照射を終えると照射位置を3mmだけ母材基板11の内側にずらすことにより、半径方向の照射位置を2mmずつ重ねることができる。
【0221】
前述したように、半導体層13は、照射されたレーザ光を吸収して加熱される。レーザ光のパルス幅が約10nsと短く且つ光密度が大きいため、半導体層13は、レーザ光が照射された部分が局所的に加熱される。この加熱により、半導体層13におけるレーザ光の照射部分が熱分解されて、ガリウム層13aと窒素ガスとを生じる。このように、レーザ光の照射によって、半導体層13と母材基板11の凸部11eとの接合部分が熱分解されると、半導体層13に生じている応力は、空隙21が適当な形状で分離することにより解放される。また、熱分解により生じた高圧の窒素ガスは、空隙21に発散される。第6の実施形態においては、母材基板11のレーザ照射位置である母材基板11の凸部11eの周囲には、マスク膜12Cが形成されているため、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、レーザ光の照射によって、半導体層13と母材基板11の凸部11eとの接合部分が熱分解されると、半導体層13に生じている応力は、空隙21が適当な形状で分離することにより解放される。また、熱分解により生じた高圧の窒素ガスは、空隙21に発散される。
【0222】
従って、図19(c)に示すように、半導体層13と母材基板11との接合部分のすべてに対してレーザ光を照射することにより、半導体層13を母材基板11から剥離することができる。
【0223】
次に、図19(d)に示すように、塩化水素によってガリウム層13aを除去し、その後、半導体層13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を研磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半導体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このときの窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2インチ)で、その厚さは約180μmであり、クラックや周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在する。
【0224】
以上説明したように、第6の実施形態によると、母材基板11の主面上に設けた各凸部11eは約30μmの間隔で分散して形成されているが、照射するレーザ光のビーム径が5mmと大きいため、一度に約1万個以上の凸部11eに対して照射できるので、照射時間を著しく低減することができる。具体的には、第6の実施形態においては、径が約5.1cmの半導体層13に対してわずか1分程度でレーザ照射を終えることができる。
【0225】
また、レーザ光の照射径を大きくしても、レーザ光による熱応力によって、半導体層13にクラックが導入されたり、割れたりすることはない。その上、母材基板11の主面上にマスク膜12Cを介して、窒化ガリウムからなる半導体層13を埋め込み成長しているため、半導体層13の表面における欠陥密度は約1×106 cm-2である。
【0226】
このように、第6の実施形態によると、レーザ光の照射径を大きくすることにより、レーザ光の照射時間を著しく低減できる上に、成長する半導体層13にクラックや割れが導入されず、欠陥密度が著しく減少した窒化物半導体基板を得ることができる。
【0227】
なお、第6の実施形態においては、半導体層13の全面に対してレーザ光の照射を行なっているが、半導体層13と母材基板11の凸部11eとの界面のみを照射すれば良い。その場合には、半導体層13の全面を照射する場合と比べて、レーザ光の照射時間を短くすることができる。
【0228】
(第7の実施形態)
図20(a)〜図20(e)及び図21(a)〜図21(e)は本発明の第7の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0229】
第7の実施形態は、母材基板の凹凸状領域にマスク膜を形成することなく、凸部に頂面に半導体層を選択成長する構成とする。ここでは、第4の実施形態と同一の構成部材には同一の符号を付している。
【0230】
まず、図20(a)に示すように、径が約5.1cm(2インチ)で厚さが約700μmのサファイアからなる母材基板11を用意する。母材基板11の主面の面方位は(0001)面であり、主面とその反対側の面(裏面)とは共に鏡面仕上げがされている。
【0231】
(母材基板加工工程)
次に、図20(b)に示すように、フォトリソグラフィ法により、母材基板11の主面上に、厚さが約2μm、幅が約10μm及び間隔が約30μmのストライプ状の第1のレジストパターン31を形成する。このときのストライプの方向は、サファイアの晶帯軸の<1−100>方向である。
【0232】
次に、図20(c)に示すように、例えば反応性イオンエッチング(RIE)法により、第1のレジストパターン31をマスクとして母材基板11に対してエッチングを行なう。エッチングガスには塩素(Cl2 )ガスを用い、約5Paの圧力で出力値が約200Wのプラズマを発生し、1時間程度のエッチングを行なって、母材基板11の主面に、深さが約1μmのストライプ状の凹状溝11aを形成する。
【0233】
次に、図20(d)に示すように、第1のレジストパターン31を除去すると、主面が凹凸状の凹凸状領域20を有する母材基板11を得ることができる。
【0234】
(窒化物半導体成長工程)
次に、図20(e)に示すように、GaCl処理を行なった後、アンモニアと塩化ガリウムとを原料とするHVPE法により、第4の実施形態と同等の条件により、母材基板11の凹凸状領域20の上に、窒化ガリウムからなる半導体層13を直接に成長する。ここで、半導体層13は、母材基板11の主面の面方位が(0001)面であるため、半導体層13においてもその(0001)面を主面として成長する。1000℃程度の成長温度とすると、(0001)面上における成長速度と比べて、他の面、すなわち凸部領域11bの側面方向(横方向)における成長速度の方が大きい。従って、母材基板11の凸部領域11bのほぼ頂面から横方向に成長する。さらに成長を続けると、半導体層13は、凹状溝11aの底面と接することなく、該凹状溝12aの上方を横方向に成長する。このとき、半導体層13における凸部領域11bの頂面から横方向に成長した部分の側面は、窒化ガリウム結晶の面方位の{1−101}面となる。
【0235】
次に、図21(a)に示すように、半導体層13をさらに、厚さが200μm程度になるまで成長させる。これにより、表面が平坦な半導体層13を得ると共に、成長した半導体層13と母材基板11の凹状溝11aとの間には空隙21が形成される。
【0236】
このように、第7の実施形態においては、半導体層13の出現し易い面方位を考慮して、母材基板11における凸部領域11bのストライプ方向を設定しているため、半導体層13にピット等の欠陥を生じずに選択成長を行なうことが、一層容易となる。
【0237】
次に、図21(b)に示すように、室温付近にまで基板温度を降下させると、半導体層13と母材基板11との熱膨張係数の差によって、母材基板11に反りが生じる。
【0238】
第7の実施形態においては、母材基板11と半導体層13とが界面の全面で接合している場合と比べて、母材基板11の主面上にマスク膜12Bを設けているため、生じる反りが小さくなる。例えば、ストライプ方向の曲率半径が80cm程度となり、該ストライプ方向と基板面内で垂直な方向の曲率半径が1m程度となる。
【0239】
(レーザ照射工程)
第7の実施形態においても、図4に示したレーザ照射装置を用いる。照射条件も第1の実施形態と同等としている。例えば、レーザ光のビーム径は約20μmであり、レーザ光の出射のパルス周期は約50kHzである。
【0240】
図21(c)はレーザ照射工程の途中段階における母材基板11の断面構成を示している。
【0241】
半導体層13はレーザ光を吸収して加熱される。レーザ光のパルス幅が30nsと短く且つ光密度が大きいため、半導体層13は、レーザ光が照射された部分において、パルス幅の時間内ではほとんど拡散せずに、母材基板11との界面が局所的に加熱される。この局所的な加熱により、窒化ガリウムからなる半導体層13におけるレーザ光の照射部分が熱分解されて、ガリウム層13aと窒素ガスとを生じる。
【0242】
前述したように、熱膨張係数差による応力が、母材基板11の各凸部領域11bと半導体層13との接合部分に集中する。
【0243】
また、半導体層13の熱分解によって窒素ガスが発生するため、半導体層13の熱分解した領域及びその近傍は、窒素ガスにより極めて圧力が高い状態となる。しかしながら、第7の実施形態においては、レーザ光の照射位置である凸部領域11bの周囲に空隙21が形成されているため、レーザ光の照射によって、半導体層13と母材基板11との接合部分が分解されると、半導体層13に生じた応力は空隙21が広がることにより解放される。その上、発生した高圧の窒素ガスは、空隙21に発散される。
【0244】
さらに、第7の実施形態においては、成長した半導体層13と母材基板11との間に空隙21を設けることにより、レーザ光を照射した際に発生する熱を、半導体層13と母材基板11との界面に集中させることができる。これにより、半導体層13を熱分解させる際に必要なレーザ光の光密度を低減できるため、より低コストな低出力のレーザ光源を用いたとしても、半導体層13を母材基板から剥離することができるようになる。このとき、レーザ照射中の半導体層13には、母材基板11の主面に垂直な方向に伸展するクラックが生じることがない。
【0245】
従って、図21(d)に示すように、半導体層13と母材基板11との接合部分のすべてにレーザ光を照射することにより、半導体層13は母材基板11から剥離する。
【0246】
次に、図21(c)に示すように、半導体層13における母材基板11からの剥離面の凹凸部分を研磨して除去することにより、窒化ガリウムからなる半導体層13から窒化物半導体基板13Aを得る。このときの窒化物半導体基板13Aは、径が約5.1cm(2インチ)で、その厚さは約180μmであり、クラックや周縁部に欠けた部分がなく、バルクの状態で存在する。
【0247】
以上説明したように、第7の実施形態によると、半導体層13における母材基板11の主面上に設けた凹凸状領域20の凸部領域11bにのみ選択的にレーザ照射を行なうため、従来のように半導体層13の全面に対して照射する場合と比べて、レーザの照射時間を削減できるので、レーザ照射工程のスループットを向上することができる。
【0248】
また、ストライプ状の凸部領域11bにマスク膜を形成することなく、窒化ガリウムからなる半導体層13を母材基板11上に直接に選択成長しているため、半導体層13の表面における貫通欠陥の密度は約1×106 cm-2である。
【0249】
このように、第7の実施形態においては、凹状領域20の凹状溝11aを覆うマスク膜を設けていないため、製造工程が簡単化される。
【0250】
従って、第7の実施形態によると、レーザ光の照射時間を著しく低減できる上に、欠陥密度をも低減された窒化物半導体基板13Aを比較的容易に且つ確実に得ることができる。
【0251】
なお、半導体層13と母材基板11とが接触しないためには、凹状溝11aの深さは大きい方が好ましく、約0.05μm以上とするのが好ましい。
【0252】
また、母材基板11上において、凸部領域11bのストライプ方向をサファイアの晶帯軸の<1−100>方向としたが、母材基板11の材料によっては、窒化ガリウムからなる半導体層13の結晶面の面方位が異なる場合がある。そのような場合は、半導体層13における晶帯軸の<11−20>方向にストライプ方向を一致させることが好ましい。
【0253】
例えば、母材基板11として、炭化ケイ素(SiC)又は窒化アルミニウム(AlN)を用いた場合には、母材基板11を構成するサファイアと半導体層13を構成する窒化ガリウムとの各面方位が一致するため、ストライプ方向を<11−20>とすることが好ましい。
【0254】
また、母材基板11の主面に設けた凸部領域11bをストライプパターンとしたが、第2の実施形態又は第5の実施形態のように、ドット状の凸部としてもよい。
【0255】
ところで、以上に説明した第1〜第7の各実施形態においては、半導体層13を窒化ガリウムとしたが、窒化ガリウムに代えて、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)、窒化アルミニウムインジウム(AlInN)、又は窒化アルミニウムインジウムガリウム(AlInGaN)を用いても、同様の効果を得ることができ、それぞれの組成を有する窒化物半導体基板13Aを得られることはいうまでもない。
【0256】
また、各実施形態においては、母材基板11にサファイアを用いたが、これに限られず、サファイアに代えてスピネル基板等のレーザ光に対して透明な材料からなる母材基板を用いても同様の効果を得ることができる。
【0257】
また、各実施形態で用いたNd:YAGの3次高調波レーザに代えて、母材基板11に対して透明で且つ半導体層13に吸収される波長で発振し、パルス幅が数ms以下の短いパルス状のレーザ光を用いても同様の効果を得ることができる。このようなレーザ光には、例えば、ArFレーザ、KrFレーザ、XeClレーザ又は窒素レーザ等がある。
【0258】
また、各実施形態においては、レーザ光の光密度を約1.0J/cm2 としたが、レーザ光の光密度には下限があり、半導体層13を分解できる以上の光密度が必要である。窒化ガリウムを分解するために必要な光密度は、半導体層13に直射した場合では、約0.1mJ/cm2 以上である。レーザ光が半導体層13に到達した時点では、母材基板11の表面における反射及び散乱、及び母材基板11と半導体層13との界面における反射及び散乱等により、入射されるレーザ光のうちの十数%は低減されていると考えられる。
【0259】
また、第1〜第6の実施形態において、酸化ケイ素からなるマスク形成膜12Aの堆積にRFスパッタ法を用いたが、酸化ケイ素の堆積条件及び堆積方法は、特に限定されず、CVD法又は蒸着法でもよい。堆積したケイ素(Si)を熱酸化する方法等を用いてもよい。
【0260】
また、マスク形成膜12Aは酸化ケイ素に限られず、窒化物からなる半導体層13が直接に成長しにくい材料であればよい。そのような材料として、例えば、窒化ケイ素(SiN)又はタングステン(W)が挙げられる。
【0261】
また、各実施形態において、窒化物半導体成長工程におけるGaCl処理を15分間程度としたが、GaCl処理には好ましい処理時間がある。GaCl処理を極端に短くすると、サファイアからなる母材基板11上の主面上に窒化ガリウムが成長しにくくなる。このため、母材基板11上には、サファイアの面方位に規制されずに、多結晶の窒化ガリウムが成長してしまうことがある。
【0262】
これに対し、GaCl処理を極端に長くすると、マスク膜12Bの上にも窒化ガリウムの結晶核が形成されてしまい、マスク膜12Bを構成する酸化ケイ素はアモルファスであるため、ここでも、窒化ガリウムが単結晶でなくなることがある。従って、GaCl処理は、母材基板11に窒化ガリウムのエピタキシャル成長が実現され、且つ、窒化ガリウムのマスク膜12B上への成長が抑制される時間内で行なうことが好ましい。例えば、第1の実施形態における条件下では、約30秒から3時間である。
【0263】
また、各実施形態において、半導体層13の成長温度を約1000℃としたが、半導体層13がマスク膜12Bを平坦に埋め込むことができる温度範囲があり、例えば900℃以上とすることが好ましい。ここで、成長温度を高くする程、マスク膜12Bが埋め込まれ易くなる。これに対し、成長温度を極端に高くすると、半導体層13の成長よりも昇華が支配的となり、半導体層13が成長しなくなるため、各実施形態の条件下では、成長温度の上限を約1500℃とすることが好ましい。
【0264】
【発明の効果】
本発明に係る窒化物半導体基板の製造方法によると、半導体層が成長する際に、マスク膜に応力が集中するため、半導体層に生じる応力を低減することができる。その結果、窒化物からなる半導体層に生じる割れやクラックを低減することができる。その上、マスク膜に窒化物半導体が実質的に成長しない材料を用いているため、半導体層がマスク膜の上に回り込むように成長するので、半導体層に導入される貫通欠陥を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図2】(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示し、(a)はマスク膜の平面図であり、(b)は(a)のIIb−IIb線における断面図である。
【図3】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法に用いるレーザ出射装置の模式的な構成図である。
【図5】(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法におけるマスク膜を示す平面図である。
【図7】(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図8】(a)〜(c)は本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図9】(a)〜(c)は本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図10】(a)〜(d)は本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図11】(a)及び(b)は本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示し、(a)は母材基板の凹凸状領域の平面図であり、(b)は(a)のXIb−XIb線における断面図である。
【図12】(a)〜(d)は本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図13】(a)〜(c)は本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図14】(a)〜(c)は本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図15】(a)〜(e)は本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図16】本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法におけるドットパターン形成用のレジストパターンを示す平面図である。
【図17】(a)〜(d)は本発明の第5の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図18】(a)〜(e)は本発明の第6の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図19】(a)〜(d)は本発明の第6の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図20】(a)〜(e)は本発明の第7の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図21】(a)〜(e)は本発明の第7の実施形態に係る窒化物半導体基板の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【符号の説明】
1 レーザ出射部
2 スキャンレンズ
3A 集光レンズ
3B 集光レンズ
4 ミラー
5 画像認識部
10 レーザ光
10a 可視光
11 母材基板
11a 凹状溝
11b 凸部領域
11d 低部
11e 凸部
12A マスク形成膜
12B マスク膜
12C マスク膜
12a 開口部
13 半導体層
13a ガリウム層
13A 窒化物半導体基板
20 凹凸状領域
21 空隙
31 第1のレジストパターン
32A レジスト膜
32B 第2のレジストパターン
33 レジストパターン

Claims (10)

  1. 母材基板の主面上に、窒化物半導体が実質的に成長しない材料からなり、複数の開口部を有するマスク膜を形成する第1の工程と、
    前記母材基板上に、前記マスク膜を介して窒化物からなる半導体層を選択的に成長する第2の工程と、
    前記半導体層における前記母材基板との界面にレーザ光を照射して、前記半導体層を前記母材基板から剥離することにより、前記半導体層から半導体基板を形成する第3の工程とを備え
    前記第1の工程よりも前に、前記母材基板の主面に凹凸状領域を形成する工程をさらに備え、
    前記第1の工程は、前記マスク膜を、前記凹凸状領域の凸部の頂面が前記開口部から露出するように形成する工程を含むことを特徴とする窒化物半導体基板の製造方法。
  2. 前記母材基板は、主面の面方位が{0001}面であるサファイアからなり、
    前記凹凸状領域を形成する工程は、前記母材基板の主面に互いに並行に延びる複数の凹状溝を、前記母材基板における晶帯軸の<1−100>方向とほぼ一致するように形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  3. 前記母材基板は、主面の面方位が{0001}面である炭化ケイ素又は窒化アルミニウムからなり、
    前記凹凸状領域を形成する工程は、前記母材基板の主面に互いに並行に延びる複数の凹状溝を、前記母材基板における晶帯軸の<11−20>方向とほぼ一致するように形成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  4. 前記第1の工程は、
    前記母材基板における前記凹凸状領域の上に全面にわたってマスク形成膜を形成する工程と、
    前記マスク形成膜を覆うようにレジスト膜を塗布する工程と、
    前記レジスト膜に対してエッチングを行なって、前記レジスト膜を前記凹凸状領域の凹部に残すことにより、前記マスク形成膜における前記凹凸状領域の凸部の上側部分を露出する工程と、
    前記凹部に残されたレジスト膜をマスクとして、前記マスク形成膜に対してエッチングを行なう工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  5. 前記レジスト膜をエッチングする工程は、酸素プラズマを用いることを特徴とする請求項4に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  6. 前記マスク形成膜は酸化物からなることを特徴とする請求項5に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  7. 前記第2の工程において、前記母材基板と前記半導体層との間には空隙が形成されることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  8. 前記第3の工程は、レーザ光を、少なくとも前記半導体層における前記マスク膜の開口部からの露出部分に照射することを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  9. 前記第1の工程は、前記複数の開口部を島状に形成し、
    前記第3の工程は、レーザ光を、前記半導体層における前記マスク膜の各開口部からの露出部分と同期するように走査しながら照射することを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
  10. 前記第1の工程は、前記複数の開口部を島状に形成し、
    前記第3の工程は、レーザ光を、前記半導体層における前記マスク膜の開口部からの露出部分を走査しながら、前記露出部分の複数を同時に照射することを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体基板の製造方法。
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