JP3803774B2 - コラーゲンの抽出方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コラーゲンの抽出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コラーゲンは、水分子の保持が可能、生体親和性が高い、生体吸収性が高いなどの性質を持つことから、保湿効果を期待する化粧品、しわや傷痕などに注入し皮膚の形をもとにもどす皮下充填剤、火傷などの治療に用いられる人工皮膚、人工血管、人工臓器の原料等として有用である。また、コラーゲンに特有のアミノ酸であるヒドロキシプロリンは、医薬品やバイオ素材の原料としての利用が期待されている。
コラーゲンの生産方法として、動物の廃棄骨、皮などの材料を酵素処理する方法、例えば、これらの材料に希薄酢酸溶液中でペプシンを作用させる方法が知られている。また、上記動物の骨・皮等の材料を酸・アルカリ処理することによりコラーゲンを生産する方法も知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記酵素処理による方法は、良質のコラーゲンが得られるものの、生産性が低いという問題がある。従って、該方法により得られたコラーゲンは良質ではあるが非常に高価なものとなる。
また、酸・アルカリ処理による方法は、生産性が高く、安価なコラーゲンを大量生産できるものの、処理中にコラーゲン繊維が分解及び変性するという問題がある。コラーゲンを化粧品や医薬品の原料として使用する場合、その効果を十分に得るには、変性はできるだけ少なくする必要がある。
従って、本発明は、良質のコラーゲンを安価且つ簡便な方法で生産する方法を提供することを目的とする。
【0004】
一方、骨には、コラーゲンの他、リン酸カルシウム等の成分が含まれている。従って、コラーゲンの抽出と同時に、リン酸イオン及びカルシウムイオンを効率良く抽出することができれば、資源の有効利用の観点から望ましい。特に、リン鉱石の枯渇は深刻な問題となっており、現在は廃棄されている食肉を取り去った後の骨からリン酸イオンを回収できれば、リン源の確保という点で好ましい。従って、本発明は、骨からコラーゲンと同時にカルシウムイオン、リン酸イオン等の成分を回収し、資源の有効利用を図る方法を提供することも目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明者は、骨を粉砕して水に懸濁してなる懸濁液を、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂で処理した後、濾過することにより、コラーゲンを抽出する方法を見出した。この方法は非常に簡便で、コラーゲンの大量生産を可能とするものであり、しかも、得られたコラーゲンは変質が極めて少ない良質のものであった。
【0006】
従って、本発明は、下記のコラーゲンの抽出方法に関する。
(1)粉砕した骨を水中に懸濁し、得られた骨粉懸濁液を陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂と各々一定時間接触させた後、得られた溶液中のコラーゲンを濾取することを含むコラーゲンの抽出方法。
(2)粉砕した骨を水中に懸濁し、得られた骨粉懸濁液を陽イオン交換樹脂と1〜24時間接触させた後、陰イオン交換樹脂と0.1〜24時間接触させ、その後、得られた溶液中のコラーゲンを濾取することを含むコラーゲンの抽出方法。
(3)粉砕した骨を水中に懸濁し、得られた骨粉懸濁液を陰イオン交換樹脂と0.1〜3時間接触させた後、陽イオン交換樹脂と1〜8時間接触させ、その後得られた溶液中のコラーゲンを濾取することを含むコラーゲンの抽出方法。
(4)粉砕した骨を水中に懸濁してなる骨粉懸濁液を、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂と各々一定時間接触させた後、得られた溶液中のコラーゲンを濾取し、上記で骨粉懸濁液を接触させた後の陽イオン交換樹脂からカルシウムイオンを回収し、上記で骨粉懸濁液と接触させた後の陰イオン交換樹脂からリン酸イオンを回収することを含む、骨からコラーゲン、カルシウムイオン及びリン酸イオンを抽出する方法。
(5)前記コラーゲンの濾取を、メンブランフィルターにより行うことを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)上記各工程が室温以下の温度で行われる(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)上記粉砕した骨の粒径が10〜2000μmである(1)〜(6)のいずれかに記載の方法。
(8)上記骨粉懸濁液の濃度が骨/水重量比で5×10−3以下である(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)上記各工程のpHが3〜12の範囲に維持される(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
また、本発明は、上記コラーゲンの抽出方法により抽出されたコラーゲンに関する。
【0007】
また、本発明は、上記コラーゲンの抽出方法により抽出されたコラーゲンを含有する化粧料、特に皮膚の保湿効果を高める化粧料に関する。さらに、本発明は、上記コラーゲンの抽出方法により抽出されたコラーゲンを含有する医薬、例えば皺や傷痕などに注入し皮膚の形をもとにもどす皮下充填剤に関する。また、本発明は、上記コラーゲンの抽出方法により抽出されたコラーゲンを含有する、人工皮膚、人工血管、人工臓器の原料等の生体材料またはその原料に関する。
【0008】
また、本発明は、上記コラーゲンの抽出方法を実施するための装置であって、少なくとも、陽イオン交換樹脂を充填した第一の容器と、陰イオン交換樹脂を充填した第二の容器と、コラーゲンを濾取するための濾過手段を含む、コラーゲンの抽出装置に関する。
また、本発明は、上記コラーゲンの抽出方法を実施するための装置であって、少なくとも、陽イオン交換樹脂を充填した第一の容器と、陰イオン交換樹脂を充填した第二の容器と、コラーゲンを濾取するための濾過手段と、原料の骨粉懸濁液を上記第一の容器に供給するための第一の供給手段、第一の容器で処理された溶液を第二の容器に供給するための第二の供給手段、及び上記第二の容器で処理された溶液を上記濾過手段に供給するための第三の供給手段を含むコラーゲンの抽出装置に関する。
上記装置において、前記濾過手段は好ましくはメンブランフィルターである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において原料として使用される骨は、ウシ、ブタ、ニワトリ等の食肉用の動物、または鳥類、魚類等を含む他の脊椎動物の骨であり得る。また、これらの動物の軟骨、皮も同様に使用し得る。骨は、付着した肉を取り除き、洗浄し、所望により加熱処理によりタンパク質をほぼ完全に除去した後、粉砕して使用される。粉砕した骨(以下、場合により骨粉と記す)の粒子は、小さい方がより効率の良い抽出が可能になるため、例えば10〜2000μm、好ましくは20〜1000μm、特に40〜850μmの粒径を有するものである。
上記骨粉懸濁液の濃度は、希薄な方がより効率の良い抽出が可能になるため、骨/水重量比で5×10−3以下、好ましくは3×10−3以下、特に0.5〜3×10−3である。
上記骨粉懸濁液は、pHを適当な範囲に調整するために、適当な緩衝剤を含有していてもよい。
陽イオン交換樹脂は、強酸性陽イオン交換樹脂でも、弱酸性陽イオン交換樹脂でもよく、例えば交換基として−SOM、−COOM、−N(CHCOO)M等を有するものであり得る。
陽イオン交換樹脂の使用量は、特に限定されないが、例えば粉砕した骨1gに対して例えば10〜100g、好ましくは20〜30gとなる量であり得る。
【0010】
陰イオン交換樹脂は、強塩基性陰イオン交換樹脂でも、弱塩基性陰イオン交換樹脂でもよく、例えば、交換基として−NX(CHまたは−NX(COH)(CH、−NXHR、−NXHR、−NXH等を有するものであり得る。
陰イオン交換樹脂の使用量は、特に限定されないが、例えば粉砕した骨1gに対して例えば10〜100g、好ましくは20〜30gとなる量であり得る。
上記粉砕した骨を陽イオン交換樹脂と接触させる処理(以下、陽イオン交換樹脂処理と記す)は、例えば1〜8時間、好ましくは2〜6時間行われる。
上記粉砕した骨を陰イオン交換樹脂と接触させる処理(以下、陰イオン交換樹脂処理と記す)は、例えば0.1〜3時間、好ましくは0.5〜2時間行われる。
上記陽イオン交換樹脂処理と陰イオン交換樹脂処理は、いずれを先に行ってもよく、また、同時に行ってもよい。
また、上記陽イオン交換樹脂処理及び陰イオン交換樹脂処理は、カラム式で行ってもバッチ式で行ってもよい。
【0011】
本発明の方法において使用され得るメンブランフィルターは、例えば孔径0.01μm〜10μm、好ましくは孔径0.1〜0.5μmの、ニトロセルロース製、ポリ塩化ビニル製、ポリテトラフルオロエチレン製等のメンブランフィルターであり得る。
上記方法において濾取されたコラーゲンは、水洗し、所望により当該分野で周知の方法により精製された後、化粧品原料、医薬品原料等として使用することができる。さらに、本発明のコラーゲンの抽出方法により得られたコラーゲンから、ヒドロキシプロリンを抽出することができる。このヒドロキシプロリンは、医薬品製剤の原料等として有用な物質である。
なお、本発明のコラーゲンの抽出方法においては、副生成物としてカルシウムイオン及びリン酸イオンが得られる。即ち、本発明の方法によりコラーゲンの抽出に使用された陽イオン交換樹脂を、HCl等の酸で洗浄することによりカルシウムイオンを回収することができ、また、本発明の方法によりコラーゲンの抽出に使用された陰イオン交換樹脂を、NaOH等の塩基で洗浄することによりリン酸イオンを回収することができる。
【0012】
本発明の方法の実施態様の一つを、図1により説明する。図1に模式的に示した装置1において、粉砕した廃棄牛骨2を水中に懸濁してなる骨粉懸濁液3を、第一の容器4中で陽イオン交換樹脂5と一定時間接触させると、懸濁液は透明になり、溶液となる。その後、この溶液をポンプ6により配管7を通して第二の容器8に送り、ここで陰イオン交換樹脂9と一定時間接触させる。その後、溶液をポンプ10により配管11を通してメンブランフィルター12を備えた第三の容器13に送り、メンブランフィルター12で濾過することによりコラーゲン14を回収する。上記で骨粉懸濁液3を接触させた後の陽イオン交換樹脂5からカルシウムイオンを回収する。また、上記で骨粉懸濁液から生じた溶液と接触させた後の陰イオン交換樹脂9からリン酸イオンを回収する。これにより、廃棄牛骨等の骨からコラーゲン、カルシウムイオン及びリン酸イオンを抽出することができ、廃棄牛骨等の骨を資源として完全利用することが可能になる。
本発明の方法の全ての工程、または、骨粉懸濁液を陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂と接触させる工程、並びにコラーゲンを濾取する工程は、好ましくは10℃以下、特に5℃以下の温度で実施する。
【0013】
【実施例】
実施例1:
国産ホルスタイン牛の大腿骨(以下、牛骨と記す)の肉を削ぎ落とし、水洗し、乾燥した後、粒径が44〜125μmの範囲となるように粗粉砕した。
これを水に懸濁させて懸濁液を骨/水重量比が1.6×10−3となるように調製し、これに陽イオン交換樹脂(IR-120B,オルガノ(株)社製,イオン交換容量4.3meq/g)を6時間浸漬した。陽イオン交換樹脂は、牛骨(g)/陽イオン交換樹脂(g)の重量比が0.05となる量で使用した。その後、この陽イオン交換樹脂から溶液を分離し、これに陰イオン交換樹脂(IRA-400,オルガノ(株)社製,イオン交換容量1.4meq/g)を1時間浸漬した。その後、この陰イオン交換樹脂から分離した溶液を、メンブランフィルター(0.2μmメッシュ)で濾過すると、フィルター上にシート状のコラーゲンが残留した。このシート状のコラーゲンは保湿性の高い化粧品として利用することができる。なお、この時、液相中には水溶性タンパク質が存在する。また、上記の全ての工程は0℃の温度で行った。
得られたコラーゲンの走査型電子顕微鏡写真を図2に示す。これにより、シート状のコラーゲンが得られていることがわかる。
【0014】
試験例1:
実施例1で得られたコラーゲンの赤外線スペクトル分析(FT-IR)のデータを比較品としてのコラーゲン及びゼラチンのデータと共に図3に示す。
図3のチャートにおいて(a)は、比較品として用いた酵素処理後精製することにより製造されている市販のコラーゲン(ナカライテスク(Nacalai tesque)社製のコラーゲン(タイプI))のデータである。
(b)は上記実施例1で抽出されたコラーゲンのデータである。
(c)は、塩酸により牛骨を溶解させて得られたコラーゲンのデータである。
(d)コラーゲンが変性することにより得られるゼラチンのデータである。
これらのチャートにおいて、(a)において見られる2800〜2900cm−1における二つの吸収は、コラーゲンを構成する3本のポリペプチド鎖の間に存在する水素結合に起因する。この吸収は、本発明により得られたコラーゲンのチャート(b)でも同様に2844cm−1及び2905cm−1の付近に存在するが、化学処理による方法で得られたコラーゲン(c)、及びゼラチン(d)のチャートには見られない。このことは、化学処理による方法で得られたコラーゲンやゼラチンにおいては、上記3本のポリペプチド鎖がほどけて変性しているのに対し、本発明の方法により得られたコラーゲンにおいては、3本のポリペプチド鎖がほどけることなく、従って変性が殆どないことを意味する。
実施例1により得られた本発明のコラーゲンの分子量を電気泳動法により分析したところ、分子量は約33万であり、このことからもコラーゲンの分解及び変性は殆どないものと考えられる。
【0015】
試験例2:
実施例1の方法による牛骨からのコラーゲンの抽出における物質収支を、表1に示す。ここで、コラーゲンの定量は、コラーゲン中に約10%含まれるヒドロキシプロリンの量を自動アミノ酸分析装置L−8800型(株式会社日立製作所製)を用いて分析し、この値から換算した。また、水分含量は、TG-DTA分析により測定した。
【0016】
【表1】
Figure 0003803774
【0017】
表1に示すように、牛骨1kgから約160gのコラーゲンを回収することができた。表中の「その他の成分」は、骨中に含まれるアルブミンやグロブリン等の水溶性タンパク質及び一部のコラーゲンが変性することにより生成した水溶性のゼラチンであると推察される。
試験例3:
上記実施例1の方法における溶液のpHの変化を図4のグラフに示した。このグラフにより明らかなように、陽イオン交換樹脂を浸漬させた時点で、pHは8.5であり、その後処理時間の経過と共に徐々に下がり、6時間経過後にはpHは約3となった。ここで、溶液を陽イオン交換樹脂から分離し、これに陰イオン交換樹脂を浸漬させると、pHは上昇し、約2時間後に約12でほぼ一定となった。
【0018】
試験例4
本発明の方法による陽イオン交換及び陰イオン交換の効率を調べるため、下記の試験を行った。
粒径44〜125μmに粉砕した牛骨を骨/水重量比1.6×10−3で水に懸濁させた骨粉懸濁液に、実施例1と同じ骨粉/陽イオン交換樹脂の重量比となる量の実施例1で用いたのと同じ陽イオン交換樹脂を、0℃で0〜24時間浸漬した。処理後の陽イオン交換樹脂をHClにより洗浄し、カルシウムイオンの量を定量した。結果を図5のグラフに示す。グラフより明らかなように、カルシウムイオンの量は処理時間6時間の時、カルシウム含有量の理論値とほぼ同じ値になった。
上記処理後の溶液を陽イオン交換樹脂から分離し、実施例1と同じ重量比となる量の実施例1で用いたのと同じ陰イオン交換樹脂を0℃で0〜24時間浸漬した。処理後の陰イオン交換樹脂をNaOHで洗浄し、リン酸イオンの量を定量した。結果を図5のグラフに示す。グラフより明らかなように、リン酸イオンの量は処理時間1時間の時、リン酸イオン含有量の理論値とほぼ同じ値となった。
【0019】
試験例5
本発明の方法による陽イオン交換の効率を調べるため、下記の試験を行った。
粒径44〜125μmに粉砕した牛骨を骨/水重量比0.67×10−3〜6.7×10−3で水に懸濁させた骨粉懸濁液に、実施例1と同じ骨粉/陽イオン交換樹脂の重量比となる量の実施例1で用いたのと同じ陽イオン交換樹脂を、0℃で6時間浸漬した。処理後の陽イオン交換樹脂をHClにより洗浄し、カルシウムイオンの量を定量した。結果を図6のグラフに示す。グラフより明らかなように、カルシウムイオンの量は重量比で0.67×10−3〜2.67×10−3の濃度の時、カルシウムの理論回収量とほぼ同じ量のカルシウムがイオン交換される。
【0020】
試験例6:
本発明の方法による陽イオン交換の効率を調べるため、下記の試験を行った。
各々粒径が44〜125μm、125〜300μm、300〜850μm、850〜2000μm、2000〜10000μm、10000〜20000μmとなるように粉砕した牛骨を骨/水重量比1.6×10−3で水に懸濁させた骨粉懸濁液に、実施例1と同じ骨粉/陽イオン交換樹脂の重量比となる量の実施例1で用いたのと同じ陽イオン交換樹脂を、0℃で6時間浸漬した。処理後の陽イオン交換樹脂をHClにより洗浄し、カルシウムイオンの量を定量した。結果を図7のグラフに示す。グラフより明らかなように、粉砕牛骨の粒径が大きくなると、イオン交換効率が低下し、特に850μmを超えると、極端に低下する。
【0021】
【発明の効果】
本発明の方法により変性の少ない良質のコラーゲンを、簡便な方法により得ることができる。このため、良質のコラーゲンを大量生産することが可能になる。得られたコラーゲンは、化粧品原料、医薬品原料として利用することができる。
また、本発明の方法により、動物の骨を原料として、コラーゲン、カルシウム、リンを回収することができるため、現在は殆ど廃棄されている食肉を利用した後の動物の骨を資源として完全に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の方法により得られたコラーゲンの電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の方法により得られたコラーゲン及び比較のためのコラーゲンの赤外線スペクトル分析チャートである。
【図4】本発明の方法におけるpH変化を示すグラフである。
【図5】本発明の方法における処理時間とカルシウムの回収量の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の方法における骨粉懸濁液濃度とカルシウムの回収量の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の方法における骨粉の粒径とカルシウムの回収量の関係を示すグラフである。

Claims (12)

  1. 粉砕した骨を水中に懸濁し、得られた骨粉懸濁液を陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂と各々一定時間接触させた後、得られた溶液中のコラーゲンを濾取することを含むコラーゲンの抽出方法。
  2. 粉砕した骨を水中に懸濁し、得られた骨粉懸濁液を陽イオン交換樹脂と1〜24時間接触させた後、陰イオン交換樹脂と0.1〜24時間接触させ、その後、得られた溶液中のコラーゲンを濾取することを含むコラーゲンの抽出方法。
  3. 粉砕した骨を水中に懸濁し、得られた骨粉懸濁液を陰イオン交換樹脂と0.1〜24時間接触させた後、陽イオン交換樹脂と1〜24時間接触させ、その後得られた溶液中のコラーゲンを濾取することを含むコラーゲンの抽出方法。
  4. 粉砕した骨を水中に懸濁してなる骨粉懸濁液を、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂と各々一定時間接触させた後、得られた溶液中のコラーゲンを濾取し、上記で骨粉懸濁液を接触させた後の陽イオン交換樹脂からカルシウムイオンを回収し、上記で骨粉懸濁液と接触させた後の陰イオン交換樹脂からリン酸イオンを回収することを含む、骨からコラーゲン、カルシウムイオン及びリン酸イオンを抽出する方法。
  5. 前記コラーゲンの濾取を、メンブランフィルターにより行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 上記各工程が室温以下の温度で行われる請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 上記粉砕した骨の粒径が10〜2000μmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 上記骨粉懸濁液の骨/水重量比が5×10−3以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 上記各工程のpHが3〜12の範囲に維持される請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 少なくとも、陽イオン交換樹脂を充填した第一の容器と、陰イオン交換樹脂を充填した第二の容器と、コラーゲンを濾取するための濾過手段を含む、上記請求項1〜9記載の方法を実施するためのコラーゲンの抽出装置。
  11. 少なくとも、陽イオン交換樹脂を充填した第一の容器と、陰イオン交換樹脂を充填した第二の容器と、コラーゲンを濾取するための濾過手段と、原料の骨粉懸濁液を上記第一の容器に供給するための第一の供給手段、第一の容器で処理された溶液を第二の容器に供給するための第二の供給手段、及び上記第二の容器で処理された溶液を上記濾過手段に供給するための第三の供給手段を含む、請求項1〜9の方法を実施するためのコラーゲンの抽出装置。
  12. 前記濾過手段がメンブランフィルターである請求項10または11記載の抽出装置。
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