JP3803100B2 - 走行路の曲線区間構造 - Google Patents
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Description
なお、設定カント量Cm(m)とは、円曲線区間に実際に敷設されているカント量(m)のことを云う。
・・・式(ロ)
このようなサイン半波長緩和曲線においては、その緩和曲線長を一定とした場合、最大カント勾配が、直線逓減緩和曲線の最大カント勾配に対してπ/2倍(約1.57倍)となる。このことにより、例えばサイン半波長緩和曲線の最大カント勾配と直線逓減緩和曲線の最大カント勾配を同一にした場合には、サイン半波長緩和曲線の緩和曲線長が、直線逓減緩和曲線の緩和曲線長のπ/2倍(約1.57倍)となる(非特許文献1参照。)。
・・・式(ハ)
また、5次逓減方式による、緩和曲線部における直線部との接続部分から円曲線部へ向かう方向へ距離X(m)の箇所における、直線部の中心線から緩和曲線部の中心線が乖離する乖離量Y2(X)(m)については、緩和曲線部の長さLt(m)、設定カント量Cm(m)、および円曲線部の曲率半径R(m)を用いて例えば次の関係式で表される。
このような5次逓減方式によって算出された緩和曲線においては、その緩和曲線長を一定とした場合、最大カント勾配が、直線逓減緩和曲線の最大カント勾配に対して1.875倍となる。このことにより、例えば5次逓減方式によって算出された緩和曲線の最大カント勾配と直線逓減緩和曲線の最大カント勾配を同一にした場合には、5次逓減方式によって算出された緩和曲線の緩和曲線長が、直線逓減緩和曲線の緩和曲線長の1.875倍となる。
国土交通省鉄道局監修「解説 鉄道に関する技術基準(土木編)P154〜166 松原健太郎著 (社)日本鉄道施設協会「新幹線の軌道」P158〜166 神谷進著 交友社 「鉄道曲線」P91〜112
なお、設定カント量Cm(m)とは、円曲線部に実際に敷設されているカント量(m)のことを云う。
なお、上述の関係式については、後述する「発明を実施するための最良の形態」欄において詳細に説明するのでここでは詳細な説明は省略する。
図1に示すように、有道床軌道100は、路盤1上に砕石等のバラスト2を敷設し、台形等の所定断面形状の床状構造となるように締固め、有道床軌道100の延長方向に延設することにより形成された道床3と、その長手方向が道床3の延長方向に直交するよう道床3上に並べて設置された複数のまくらぎ4(図1では一つのまくらぎ4のみを図示している。)と、複数のまくらぎ4の上面に道床3の延長方向に沿って締結された一対のレール5と、から構成されている。また、有道床軌道100における直線部においてはレール5の左右は水平であり、曲線区間においては、まくらぎ4を傾斜させてレール5の左右に高低差を設けている。なお、以降、この有道床軌道100において、まくらぎ4の中央部に対してその両端部がそれぞれ位置する場所の一方を「右側」とし、他方を「左側」とする。
次に、曲線区間102における入口緩和曲線部102aの形状について説明する。
図2(b)に示すように、入口緩和曲線部102aにおける直線部101との接続部分から円曲線部102bへ向かう方向へ距離X(m)の箇所におけるカント量C(X)(m)(図2(c)参照)については、入口緩和曲線部102aの長さLt(m)(図2(a)参照)、設定カント量Cm(m)、および直線逓減方式におけるカント勾配α0に対する、入口緩和曲線部102aの中央部の最大カント勾配の比αを用いて次の関係式(A)を満たすよう構成されている。なお、カント量C(X)は、入口緩和曲線部102aにおける直線部101との接続部分から円曲線部102bへ向かう方向へ距離X(m)の箇所における、入口緩和曲線部102aの内側(図1の右側)の最も低い箇所と入口緩和曲線部102aの外側(図1の左側)の最も高い箇所との間の高低差である。
・・・式(A)
なお、設定カント量Cm(m)とは、円曲線部102bに実際に敷設されているカント量(m)のことを云う。
また、直線逓減方式におけるカント勾配α0は次の式(B)にて表される。
ここで、上述の関係式(A)において、図3(a)に例示するように、「α=1.25」とした場合のカント量C(X)(m)、および「α=1.40」とした場合のカント量C(X)(m)を、直線逓減方式によって算出したカント量、およびサイン半波長逓減方式によって算出したカント量と比較すると、本実施例の関係式(A)によって算出したカント形状の方が、直線逓減方式によって算出したカント形状に比べて直線部101に滑らかに接続することができる。また、サイン半波長逓減方式によって算出したカント形状に比べて、入口緩和曲線部102a中央部の最大カント勾配を任意に緩やかにすることができる。
ここで、上述の関係式(C)において、図3(b)に例示するように、「α=1.25」とした場合の乖離量Y(X)(m)、および「α=1.40」とした場合の乖離量Y(X)(m)を、直線逓減方式によって算出した乖離量、およびサイン半波長逓減方式によって算出した乖離量と比較すると、本実施例の関係式(C)によって算出した乖離量の方が、直線逓減方式によって算出した乖離量、およびサイン半波長逓減方式によって算出した乖離量の間の値となる。なお、「サイン半波長逓減方式」とは、曲率およびカントの逓減形状をsin(−π/2〜π/2)の曲線としたものである。このことにより、本実施例の関係式(C)によって算出した緩和曲線の方が、直線逓減方式による緩和曲線に比べて直線部101に滑らかに接続することができる。但し、本実施例の関係式(C)によって算出した緩和曲線によりも、サイン半波長逓減方式によって算出した緩和曲線の方が直線部101に滑らかに接続することができる。
このように実施例の有道床軌道100によれば、次のような効果を奏する。すなわち、従来のサイン半波長逓減方式は、軌道の曲線区間における緩和曲線部において最大カント勾配が大きく且つ固定値となっていたので、乗り心地の良さを維持するためには、カントの時間的変化割合が基準値75mm/s以下となるように、直線逓減方式によって算出された緩和曲線部に比べて、その緩和曲線長が長くなる問題があった。これに対して本実施例の有道床軌道100によれば、最大カント勾配が可変となるので、比αに小さい値を選択すれば、カントの時間的変化割合が小さくなる。つまり、緩和曲線長Ltを短縮することができる。また、入口緩和曲線部102aと直線部101とを接続する部分、および入口緩和曲線部102aと円曲線部102cとを接続する部分を、従来のサイン半波長逓減方式の緩和曲線部と同様に連続的に接続することができ、その曲線区間上を、車両を走行させた際の乗り心地がよい。したがって、乗り心地を損ねることなく、緩和曲線長を短縮することができる。
(1)上記実施例では有道床軌道に本発明を適用した例を説明したが、軌道としては有道床軌道に限らず、例えば道床を有さない他の形態の軌道に本発明を適用してもよい。なお、道床を有さない軌道に本発明を適用する場合には、上述のカント量C(X)および乖離量Y(X)を、レールの上面を基準にして算出することも考えられる。
Claims (2)
- 円曲線部および緩和曲線部から構成される走行路の曲線区間構造であって、
前記円曲線部は、当該走行路のうち一定の曲率半径にて円弧を描くように曲がっている部分であり、
前記緩和曲線部は、当該走行路のうち直線部から前記円曲線部の一端に至るまでの間において徐々に曲率半径が小さくなり、最終的に前記円曲線部の一端の曲率半径に至る部分であり、
前記緩和曲線部における前記直線部との接続部分から前記円曲線部へ向かう方向へ距離X(m)の箇所におけるカント量C(X)(m)については、前記緩和曲線部の長さLt(m)、設定カント量Cm(m)、および直線逓減方式におけるカント勾配に対する前記緩和曲線部中央部の最大カント勾配の比αを用いて次の関係式(1)を満たすよう構成するとともに、
前記緩和曲線部における前記直線部との接続部分から前記円曲線部へ向かう方向へ距離X(m)の箇所における、前記直線部の中心線から前記緩和曲線部の中心線が乖離する乖離量Y(X)(m)については、前記緩和曲線部の長さLt(m)、前記設定カント量Cm(m)、前記円曲線部の曲率半径R(m)、および前記直線逓減方式におけるカント勾配に対する前記緩和曲線部中央部の最大カント勾配の比αを用いて次の関係式(2)を満たすよう構成したことを特徴とする走行路の曲線区間構造。
関係式(1):C(X)={−8(3−2α)・(X/Lt)5+20(3−2α)・(X/Lt)4−2(25−16α)・(X/Lt)3+(15−8α)・(X/Lt)2}・Cm
関係式(2):Y(X)={−(4/21)(3−2α)・(X/Lt)7+(2/3)(3−2α)・(X/Lt)6−(1/10)(25−16α)・(X/Lt)5+(1/12)(15−8α)・(x/Lt)4}・(Lt2/R) - 請求項1に記載の走行路の曲線区間構造において、
前記走行路とは、鉄道車両を走行させるために施設される軌道であることを特徴とする走行路の曲線区間構造。
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