JP3802183B2 - バックゲージ装置の突当て位置決め方法及びこの突当て位置決め方法を用いたバックゲージ装置並びに金型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、バックゲージ装置の突当て位置決め方法及びこの突当て位置決め方法を用いたバックゲージ装置並びに金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4を参照するに、従来よりパンチPとダイDとの協働により板材Wを曲げ加工する際に板材Wの位置決めを行うためのバックゲージ装置101では、下部テーブル103に回転自在に支持されるボールネジ105をモータ107により回転駆動して、このボールネジ105に螺合するボールナット109を装着したベース111をサポータ113の上で前後方向(図4中左右方向)へ移動・位置決めする。なお、サポータ113は前記下部テーブル103に片持ちで取付けられている。
【0003】
前記ベース111の上にはポスト115が立設され、このポスト115の前部にはストレッチ117を介して突当て119が設けられているので、ベース111の位置が決定すると突当て119の先端(図4中左端部)の位置が決定される。この時の突当て119の位置は、前記モータ107に設けられているエンコーダ121によりモータ107の回転を検出して、この回転を制御することによりベース111の位置決めを行うことにより決定される。
【0004】
従って、板材Wを前記突当て119の先端に突当てることにより板材W位置の制御を行うことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、曲げ位置から突当て位置までの距離Aは、ストレッチ117の曲り等の変形やボールネジ105の精度誤差により誤差が生じるため、曲げ位置の精度が悪くなる。
【0006】
また、曲げ位置から突当て位置までの距離Aが正確な場合でも、突当て119を移動させるベース111をガイドするサポータ113が下部テーブル103に取付けられているので、バックゲージ装置101の重さにより下部テーブル103に倒れを生じた時には曲げ位置から突当て位置までの距離Aにずれが生じたり、あるいは図5を参照するに、サポータ113自身のたわみにより誤差dが生じたりする。
【0007】
また、作業者が板材Wを突当て119に押付ける時にストレッチ117等に変形を生じたり、押付け力のばらつきにより曲げ位置から突当て位置までの距離Aに誤差を生じる。
【0008】
さらに、パンチPを交換した場合にパンチPの先端位置が多少ずれるため、曲げ位置から突当て位置までの距離Aがずれるという問題がある。
【0009】
この発明の目的は、以上のような従来の技術に着目してなされたものであり、パンチの先端と突当ての先端までの距離の精度を上げることにより加工精度を向上させるようなバックゲージ装置の突当て位置決め方法及びこの突当て位置決め方法を用いたバックゲージ装置並びに金型を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1による発明のバックゲージ装置の突当て位置決め方法は、上型と下型との協働により板材に加工を行うプレスブレーキにおいて、上型と下型を相対的に接近させて板材を挟む直前にバックゲージ装置の突当てに設けられたレーザ測長器により上型の先端付近の背面において該先端からの距離が既知である平坦な測定面と、前記突当て先端との間の距離を測長し、この測長した距離から前記突当ての先端と上型の先端との実際の距離を算出し、算出された距離と目標値との誤差を求め、この誤差が許容値よりも大きな場合にはこの誤差の分だけ突当て位置を補正することを特徴とするものである。
【0011】
従って、上型と下型との協働により板材に加工を行う直前に、板材の位置決めをしているバックゲージ装置の突当てと、上型先端の加工位置との距離をセンサにより直接測長して、測長した距離から求めた実際の距離と目標値とを比較して誤差が所定値よりも大きな場合には、誤差を補正した後に加工を行う。
【0012】
請求項2による発明のバックゲージ装置装置は、突当て移動手段により前後へ移動位置決めされる突当てに板材を突当てて位置決めし、上型と下型との協働により前記位置決めされた板材に加工を行うプレスブレーキにおいて、前記上型の先端付近の背面に設けた測長用の平坦な測定面と前記突当て先端との間の距離を測長するレーザ測長器を前記突当ての上面に設け、該レーザ測長器により測長された距離を目標値と比較する比較演算部と、前記レーザ測長器により測長された距離と目標値との誤差が所定値以上の場合に突当て移動手段を制御して前記誤差分を補正する補正指示部とを備えてなることを特徴とするものである。
【0013】
従って、上型と下型を相対的に接近させて板材を挟む直前にバックゲージ装置の突当てに設けられたセンサにより上型までの距離を測長し、比較演算部が測長された前記突当ての先端と上型の先端との距離を目標値と比較して誤差を求め、この誤差が許容値よりも大きな場合には補正指示部が突当て移動手段により前記誤差の分だけ突当て位置を補正する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態の例を図面に基づいて説明する。
【0019】
図3には板材加工機としての例えばプレスブレーキ1の全体が示されている。このプレスブレーキ1では、左右両側に側板3が立設されており、この側板3間における下部前面には下部テーブル5が固定されている。また、側板3間における上部前面には一対のシリンダ7が設けられている。
【0020】
前記下部テーブル5の上端部には下型としてのダイDが着脱自在に取付けられている。また、前記シリンダ7には昇降自在のラム9が取付けられ、このラム9の下端部にはダイDに対向して上型としてのパンチPが着脱自在に装着されている。また、プレスブレーキ1に隣接して制御装置としてのNC装置11が設けられている。
【0021】
従って、ダイDとパンチPとの間に板材Wを挿入・位置決めし、NC装置11の制御により前記シリンダ7を駆動してラム9を昇降させ、ダイDとパンチPとの協働により板材Wの曲げ加工を行う。
【0022】
図1を併せて参照するに、下部テーブル5の上部後側(図1中右側)にはこの発明に係るバックゲージ装置13が示されている。すなわち、下部テーブル5の上部後面(図1中右側面)にはサポータ15が水平に片持ちで取付けられており、このサポータ15に沿ってボールねじ17が回転自在に設けられている。このボールねじ17は前記サポータ15に設けられた突当移動手段であるモータ19により回転駆動されると共に、モータ19に装着されているエンコーダ21により回転位置が検出されるようになっている。
【0023】
前記ボールねじ17に螺合するボールナット23を備えると共に前記サポータ15に沿って往復動自在のベース25が設けられており、このベース25にはポスト27が上方へ立設されている。このポスト27の前部には、ストレッチ29を介して突当て31が設けられており、この突当て31の先端側(図1中左端部)上面にはセンサとしての例えばレーザ測長器33が設けられている。
【0024】
一方、パンチPの先端部背面(図1中右側面)には、パンチPの最先端である曲げ位置から既知の距離Bの位置に測長用の平面部である測定面35が設けられており、前記レーザ測長器33により距離Sを測定する。曲げ位置から測定面35までの距離Bは、略1/100mmの精度で製作可能である。
【0025】
前記レーザ測長器33は、パンチPとダイDにより板材Wを挟む直前におけるパンチPの前記測定面35に対応した高さとなるようにセットされており、この時の測定面35までの距離Sを測定する。
【0026】
図1を参照するに、前記NC装置11には、中央処理装置であるCPU37に入出力手段39、メモリ41、比較演算部43、補正指示部45等が接続されている。
【0027】
前記入出力手段39は、種々のデータを入力したり、図示省略の出力画面にデータを出力したりする。メモリ41は、加工する板材Wの幅の目標値や種々のデータや加工プログラム等を記憶する。比較演算部43では、前記レーザ測長器33により側長された距離Sに基づいて加工位置から突当て31の先端までの実際の距離Lを算出すると共に、この実際の距離Lを目標値と比較する。また、補正指示部45は、モータ19を制御して突当て31の位置を補正する。
【0028】
次に、図2を参照して、バックゲージ装置13の突当て位置決め方法について説明する。
【0029】
スタートすると(ステップSS)、NC装置11は、まず従来通りエンコーダ21により突当て31の位置を検出しながらモータ19を制御して目標位置に突当て31を移動させる(ステップS1)。
【0030】
次に、シリンダ7を作動させてパンチPとダイDとの協働で板材Wを挟む直前までラム9を下降させ(ステップS2)、レーザ測長器33によりパンチPの測定面35までの距離Sを測定する(ステップS3)。
【0031】
比較演算部43は測定された距離Sに基づいて加工位置であるパンチPの先端から突当て31の先端までの実際の距離Lを算出すると共に、この実際の距離Lと目標値とを比較して(ステップS4)、誤差が所定値よりも小さい場合にはシリンダ7により曲げ加工を行う(ステップS6)。
【0032】
誤差が所定値よりも大きい場合には、補正指示部45がエンコーダ21により計測しながらモータ19を制御して誤差分だけモータ19により突当て31を移動させて補正(ステップS5)した後、曲げ加工を行い(ステップS6)、加工を終了する(ステップSE)。
【0033】
以上の結果から、板材Wの加工直前に板材Wと加工位置との位置関係を決定するパンチPの先端と突当て31先端の実際の距離を直接測定するので、板材加工機械間のばらつきや加工機械自体の変形に左右されることなく突当て位置を常に高精度に制御することができる。
【0034】
このとき、パンチPの先端部背面に加工位置であるパンチPの先端との距離が既知である平坦な測定面35を設けてあるので、正確に距離の測定を行うことができる。
【0035】
なお、この発明は前述の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行なうことにより、その他の態様で実施し得るものである。すなわち、前述の実施の形態におけるプレスブレーキ1では、固定された下部テーブル5に設けられたダイDに対してシリンダ7によりパンチPを下降させて曲げ加工を行ったが、パンチPを固定してダイDを上昇させることにより曲げ加工を行うようにしてもよい。また、板材加工機としてのシャーリングを用いてもよい。この場合には上型が上刃で、下型が下刃となって板材Wに剪断加工が行われるものである。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によるバックゲージ装置の突当て位置決め方法では、上型と下型との協働により板材に加工を行う直前に、板材の位置決めをしているバックゲージ装置の突当てと、上型先端の加工位置との距離をセンサにより直接測長して、測長した距離から実際の距離を求め、この実際の距離と目標値とを比較して誤差が所定値よりも大きな場合には、誤差を修正した後に加工を行うので、加工直前の上型と突当てとの距離を正確に設定することができる。これにより、高精度の加工が可能になる。
【0037】
請求項2の発明によるバックゲージ装置では、上型と下型を相対的に接近させて板材を挟む直前にバックゲージ装置の突当てに設けられたセンサにより上型までの距離を測長し、比較演算部が測長された前記突当ての先端と上型の先端との距離を目標値と比較して誤差を求め、この誤差が許容値よりも大きな場合には補正指示部が突当て移動手段により前記誤差の分だけ突当て位置を補正するので、加工直前の上型と突当てとの距離を正確に設定することができる。これにより、高精度の加工が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るバックゲージ装置の構成を示すブロック図等である。
【図2】この発明に係るバックゲージ装置の突当て位置決め方法を示すフローチャートである。
【図3】この発明に係るバックゲージ装置の突当て位置決め方法及びこの突当て位置決め方法を用いたバックゲージ装置並びにこのバックゲージ装置用の金型を適用するプレスブレーキを示す断面図である。
【図4】従来のバックゲージ装置を示す断面図である。
【図5】従来のバックゲージ装置における問題点の一つを示す説明図である。
【符号の説明】
1 プレスブレーキ(板材加工機)
13 バックゲージ装置
19 モータ(突当て移動手段)
31 突当て
33 レーザ測長器(センサ)
35 測定面(平面部)
43 比較演算部
45 修正指示部
W 板材
P パンチ(金型)
D ダイ
Claims (2)
- 上型と下型との協働により板材に加工を行うプレスブレーキにおいて、上型と下型を相対的に接近させて板材を挟む直前にバックゲージ装置の突当てに設けられたレーザ測長器により上型の先端付近の背面において該先端からの距離が既知である平坦な測定面と、前記突当て先端との間の距離を測長し、この測長した距離から前記突当ての先端と上型の先端との実際の距離を算出し、算出された距離と目標値との誤差を求め、この誤差が許容値よりも大きな場合にはこの誤差の分だけ突当て位置を補正することを特徴とするバックゲージ装置の突当て位置決め方法。
- 突当て移動手段により前後へ移動位置決めされる突当てに板材を突当てて位置決めし、上型と下型との協働により前記位置決めされた板材に加工を行うプレスブレーキにおいて、前記上型の先端付近の背面に設けた測長用の平坦な測定面と前記突当て先端との間の距離を測長するレーザ測長器を前記突当ての上面に設け、該レーザ測長器により測長された距離を目標値と比較する比較演算部と、前記レーザ測長器により測長された距離と目標値との誤差が所定値以上の場合に突当て移動手段を制御して前記誤差分を補正する補正指示部とを備えてなることを特徴とするバックゲージ装置。
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