JP3801998B2 - 加工品を研磨又は平坦化するための製品 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、半導体デバイス等の加工品の表面を研磨又は平坦化するための製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の加工品の研磨、平坦化(planarizing)の方法は、基質材料の選択に影響する様々な作業条件にさらされる高分子基材又は研磨パッド等の製品により行われていた。例えば、研磨されている加工品の性質、研磨速度ならびに圧力における変動、研磨作業の間に生ずる温度上昇、および作業に用いる研磨スラリーの性質が基材の選択に影響を与える。
【0003】
前記従来の製品は一般的にその厚さ全体を通して不均一な物理的性質を有する多重積層(multilayer laminations)又は複層基材(stratified substrates)から形成されている。半導体デバイスを研磨するため広く用いられる典型的な複層パッドの例は、ポリテックス スープリーム(Politex Supreme)パッドで、デラウェア州ニューアークのロデール社(Rodel Incorporated)から市販されている。典型的なポリテックス スープリーム パッドはポリエステルフェルトから成る1mmから2mm厚の堅固であるが弾力性のある多孔質底部層とポリウレタン結合材を含む数層から構成されている。約0.05mmから 0.3mm厚の海綿状で弾力性のある微小多孔質ウレタン層が底部層の上に積層されている。頂部層は垂直方向の、傾斜の付いた細孔を有し、細孔の傾斜がパッドの頂部に向かって狭くなっている垂直ウレタン構造(vertical urethane structures)から構成されている。頂部層は極めて柔らかく、多孔質で弾力性がある。典型的な研磨作業では、このような複層パッドの頂部層が急速に磨耗する。頂部層が磨耗して後続の層が露出するにつれ、パッドの研磨特性が変化して不均一な研磨率をもたらし、加工品表面における均質でない研磨特性を生ずる。
【0004】
従来の高分子研磨パッドは、多くの場合、重合と混合および最終パッド製品の切断と成形の不正確な制御に起因する、品質のばらつきを有する。従って、研磨されている加工品に与えられる表面品質、原料除去率および平坦化率のような研磨特性がパッドバッチ間で特に大きく変動する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、加工品を研磨又は平坦化するための製品を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、この発明は次のような技術的手段を講じている。
【0007】
この発明は、研磨スラリーと共に使用される、加工品を研磨又は平坦化するための製品であって、それ自体は実質的に加工品の表面を研磨しない高分子微小エレメントが複数、含浸された高分子マトリックスからなる製品(ただし、高分子微小エレメントが大気圧より大きい圧力のガスを含む空隙スペースを有するものを除く)である。高分子マトリックスに複数の空隙スペースを有する高分子微小エレメントを含浸して作業面および前記作業面に隣接する副表面を有するようにした製品を作業環境に接触させることにより、前記作業面に隣接して位置する高分子微小エレメントのシェルの少なくとも一部分が開口され、前記開口された高分子微小エレメントが前記副表面に埋め込まれた高分子微小エレメントよりも硬さが減じ、前記製品の作業面が再生するようにしている。
【0008】
前記高分子微小エレメントのシェルが、前記シェルの一部分の薄切り、研削、切断および孔明のいずれかにより開口されるものとすることができる。
【0009】
前記作業面の近傍に位置する高分子微小エレメントが、そのシェルの少なくとも一部分が作業環境により化学的に変化することにより、前記副表面に埋め込まれた高分子微小エレメントよりも硬さが減じるようにすることができる。
【0010】
前記作業面の一部分に溝を付け、作業環境と接触したときに剛性が減少するようにすることができる。
【0011】
また、前記加工品は、半導体デバイスとすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0013】
この発明の加工品の表面を平坦化する方法は、高分子マトリックスに複数の空隙スペースを有する高分子微小エレメントを含浸して作業面および前記作業面に隣接する副表面を有するようにした製品を作業環境に接触させることにより、前記作業面に隣接して位置する高分子微小エレメントのシェルの少なくとも一部分が開口され、前記開口された高分子微小エレメントが前記副表面に埋め込まれた高分子微小エレメントよりも硬さが減じ、前記製品の作業面が再生するようにしたものである。
【0014】
添付図面を参照すると、全体的に同様の参照数字が同様のエレメントを示しているが、図1〜3、5〜9および11に10、110、210、310 および410 の記号が付された、本発明に使用する製品の例が示されている。
【0015】
製品10は、ほぼ円形のシート又は研磨パッド12であることが好ましく、図5および7で最も良く示されている。当業者は、このパッド12は、必要に応じて例えばほぼ方形、長方形あるいは任意の適切な形状とすることができるとわかるであろう。
【0016】
製品10等はそれ自体研磨パッドとして使用できるし、あるいは、研磨スラリーが半導体デバイス、シリコンデバイス、クリスタル、ガラス、セラミック、高分子可塑材料、金属、石又は他の表面に所望の表面仕上げを施すために使用される研磨作業の基材として用いることもできる。製品10等から成る研磨パッド12は、当業者に周知で、市販で容易に入手できる潤滑油、冷却剤および種々の研磨スラリーと共に用いることができる。このようなスラリーの典型的な成分には、水やオイルのような液体媒体、酸化アルミニウム、炭化シリコン、二酸化シリコン、酸化セリウムおよびガーネットのような研磨剤、塩基、酸、塩、界面活性剤、または、加工品の性質による他の薬剤、あるいはこれらの組み合わせが含まれる。
【0017】
製品10等は、例えば、ラッピング(lapping)、平坦化、研磨又は成形のような研磨作業により加工品(図示せず)の表面(同じく図示せず)を変えるのに有用である。研磨される加工品は好ましくは、例えば水晶、シリコン、ガラス、電子および光学基板ならびに高密度多層電子デバイスのような裂けやすい物質から成るものとする。加工品は、ポリシリコン、熱酸化膜、および金属材料の多重層から成る半導体デバイス(図示せず)であり、各層は、その上にそれに続く層が付着される前に平坦化される。
【0018】
図1で最も良く示されているように、製品10は好ましくは研磨および平坦化作業で典型的に用いられる水性流体スラリーを通さない高分子マトリックス14から成る。高分子マトリックス 14 はウレタン、メラミン、ポリエステル、ポリスルフォン、ポリビニールアセテート、弗化炭化水素等、ならびにこれらの類似物、混合物、共重合体とグラフトから形成できる。当業者は研磨作業の間における研削磨耗に対して十分な靱性と剛性を備える他の任意の高分子も、本発明の精神と範囲に合致する形で使用可能であることを理解するものと思われる。現在のところ好ましい形として、高分子マトリックス14はウレタン重合体から成る。ウレタン重合体は好ましくはコネチカット州ミドルベリーのユニローヤル ケミカル社(Uniroyal Chemical Co.)から市販で入手できるアジプレン(Adiprene)種の生成物のようなポリエーテル系ウレタンプレポリマー(polyether-based liquidurethane)から形成される。好ましいウレタンプレポリマー(liquid urethane)は重量比で約9から9.3%のイソシアネート基(free isocyanate)を含有する。他のイソシアネートを帯びる生成物およびプリポリマーも本発明の精神と範囲に合致する形で使用可能である。
【0019】
ウレタンプレポリマーは好ましくは多官能アミン、ジアミン、トリアミン又はウレタン/尿素橋かけ網目中に存在するヒドロキシル/アミンのような多官能ヒドロキシル化合物又は混合官能性化合物と反応して尿素化学結合および硬化/橋かけ重合体網目の形成を可能にするものであるものとする。現在のところ好ましいものとして、ウレタンプレポリマーは、ミシガン州アドリアンのアンダーソンデベロップメント社(Anderson Development Co.)から生成物「Curene(R)442 」として市販で入手できる、4,4′−メチレン−ビス〔2−クロロアニリン(chloroaniline)〕(「MOCA」)と反応している。
【0020】
図1で最も良く示されるように、高分子マトリックス14には複数の高分子微小エレメント16が含浸されている。好ましくは、少なくとも一部の高分子微小エレメントが全体的に柔軟であるものとする。適切な高分子微小エレメントには無機塩、砂糖と水溶性ガムおよび樹脂が含まれる。このような高分子微小エレメントの例には、ポリビニールアルコール、ペクチン、ポリビニールピロリドン(polyvinyl pyrrolidone)、ハイドロキシエチルセルローズ(hydroxyethylcellulose)、メチルセルローズ、ハイドロプロピルメチルセルローズ(hydropropylmethylcellulose)、カーボキシメチルセルローズ(carboxymethylcellulose)、ハイドロキシプロピルセルローズ(hydroxypropylcellulose)、ポリアクリル酸(polyacrylic acids)、ポリアクリルアミド(polyacrylamides)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycols)、ポリハイドロキシエーテルアクリライト(polyhydroxyetheracrylites)、澱粉、マレイン酸共重合体(maleic acid copolymers)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、ポリウレタン(polyurethanes)、およびそれらの組み合わせが含まれる。微小エレメント16は化学的に例えば分岐、ブロッキング、および橋かけにより可溶性、膨張力および他の特性を変えるように変性できる。
【0021】
現在のところ好ましい形として、高分子微小エレメント16の各々は約150μm以下の平均直径を有し、さらに好ましくは、約10μmの平均直径を有するものとする。当業者は、微小エレメントの平均直径は変わる可能性があること、および同じ又は異なるサイズの微小エレメント16或いは異なる微小エレメント16の混合物を必要に応じて高分子マトリックス14に含浸できることを理解できよう。
【0022】
現在のところ好ましい形として、高分子微小エレメント16の各々は約1μmから約100μmの間隔を置くものとする。好ましくは、高分子微小エレメント16は実質的に高分子マトリックス14の全体にわたって高剪断混合により均等に配分されるものとする。その結果生じた複合混合物が反応ウレタン重合体の粘度が微小エレメントの高分子混合物との十分な調合を可能にするには大きくなり過ぎる前に従来のモールドに移される。当業者は、種々の熱硬化性プラスチック及び硬化剤により異なる温度で低粘度領域(window)が変化する可能性があることを理解できよう。この結果生じた混合物はモールド中で約15分にわたってゲル化される。ゲル化時間は温度、並びに高分子マトリックス及び微小エレメントの選択のような要因に基づき変化することがある。混合物は次いで約200〜225°Fで約4〜6時間にわたって硬化され、室温(約70°F)まで冷却される。硬化温度は要因の中で特に高分子マトリックスおよび用いられる微小エレメントのタイプによって変化し得る。
【0023】
この結果生じた製品10はモールドから取り出されて切断、薄切り等の作業で所望の厚さにされ、次いで整形されて研磨パッド12を形成する。当業者は、成形された混合物が切断、薄切りその他の作業で本発明に従い必要に応じて任意の厚さ又は形状に加工され得ることを理解できよう。
【0024】
目的とする用途又は作業により、少なくとも一部の高分子微小エレメント16の形状が図1で示されるように、全体的に球状となることがある。好ましくは、このような微小球体は中空で、各球体が約0.1μmの厚さを持つシェルを有するものとする。
【0025】
図1で最も良く示されるように、各高分子微小エレメント16はその中に空隙スペース22を有する。少なくともいくつかの高分子微小エレメント16は、好ましくは、図3で最も良く示されるように、その中に複数の空隙スペース22を有する。各空隙スペース22が全体的に大気圧より高い圧力のガスを含み、高分子マトリクッス14の作業面18および副表面24の双方で、微小エレメント 16′、16それぞれの構造的保全の維持を助けるようにしている。
【0026】
高分子微小エレメントは図11で最も良く示されるように、浸透可能又は孔明け可能のシェル20を有することができ、それにより微小エレメント16′内の空隙スペース22が作業環境に対して開口する。
【0027】
図1で最も良く示されるように、製品10の好ましい例は、作業面18に位置する少なくとも一部の高分子微小エレメント16′が作業環境(図示せず)又は研磨スラリーと接触すると軟化する。例えば、メチルセルローズのような水溶性セルローズエーテルは水性研磨スラリーの水分と接触するや否や溶解する。
【0028】
図1で最も良く示されるように、他の好ましい例において、作業面18に位置する少なくとも一部の高分子微小エレメント16′が作業環境と接触すると直ちに膨張する。例えば、長連鎖セルローズエーテルは水性研磨スラリーの水分と接触するや否や膨張する。
【0029】
製品10は図1〜3で最も良く示されるように、作業面18およびそれに隣接する副表面24を有する。好ましくは、作業面18は約5μmから約60μmの厚さとする。製品10の厚さは作業面18の主要平面(図示せず)に対して総体的に垂直な方向で好ましくは約300μmと約400μmの間にあるものとする。
【0030】
本発明の長所は、製品10が作業環境と接触した時、製品10の作業面18における高分子微小エレメント16′が開口して副表面24に埋め込まれた高分子微小エレメント16よりも硬さが減じることにある。さらに、硬さが減じた高分子微小エレメント16′は硬さが減じた微小エレメントを取り巻く高分子マトリックス14の一部分15に対する支持力が減り、それにより高分子マトリックスのその周囲部分15の有効硬度を減ずる。従って、作業面18が全体的に副表面24より柔らかい状態で、少なくとも2つのレベルの硬度が製品10で作られる。
【0031】
本発明の別の長所は、加工品の表面又は作業環境との接触によるような形で製品の作業面18が磨耗するにつれ、作業面18に直接隣接する副表面24が新しい作業面となり、2つの硬度レベルが継続的に再生され、このことが加工品のより均一で一貫した研磨およびパッド12のより均一な磨滅を可能にすることにある。
【0032】
以下、製品10の具体例について説明する。なお、この発明は、以下の例に限定されない。
【0033】
〔製品の具体例1〕
高分子マトリックスは、約150°Fで、2997gのユニローヤル アジプレンL−325 (Uniroyal Adiprene L-325)ポリエーテル系ウレタンプレポリマーを768gの「Curene(R)442 」(4,4′−メチレン−ビス〔2−クロロアニリン〕「MOCA」)と混合することで調整された。この温度で、ウレタン/多官能アミン混合物は約2.5分のポットライフ(pot life)(「低粘度領域」)を有する。
【0034】
この低粘度領域の間、大気圧より大きい圧力のガスを含む空隙スペースを有するエクスパンセル 551 DE(Expancel 551 DE)中空高分子微小球体69gが、高分子混合物とロデール社(Rodel Inc.)の高速剪断調合および混合装置を用いて微小球体を高分子混合物中に全体的に均一に配分するため3450rpmで調合され、混合物が低粘度領域の間に従来のモールドに移され、ゲル化のため15分間放置された。
【0035】
そのモールドが次いでコッホ オーブン社(Koch Oven Corporation)から市販で入手できるような、硬化オーブン内に置かれた。混合物はオーブンで約200°Fにおいて約5時間にわたり硬化された。硬化後にオーブンへの電力が遮断され、成形された製品10の温度が約70°F(室温)になるまで混合物がオーブンで約4〜6時間にわたって放冷された。成形製品は次いで研磨パッドを形成するため切断された。その結果生じた研磨パッド12の微小球体間の平均距離は約75μmと約300μmの間にあると思われる。
【0036】
図4に示されるように、約1mmの間隔の模様又はチップを有する典型的な半導体デバイスを平坦化するためパッドが用いられた時、平坦化率(μm-1)はエクスパンセル(Expancel)微小球体が埋め込まれた20ミル厚のウレタンパッド(四角の記号で示す)について、微小球体を持たない同様のウレタンパッド(丸の記号で示す)の4倍大きい。換言すれば、図4は本発明に従う微小エレメントが埋め込まれたウレタンパッドを用いると、微小エレメントを持たないウレタンパッドの4倍早くデバイスが平坦化されることを示す。
【0037】
図10に示されるように、成形された製品の比重は微小球体の流量が増加するにつれて減少する。一般的に、パッドの比重が約0.75から約0.8 であることが好ましいが、これはエクスパンセル(Expancel)微小球体の流量毎分約53g に相当する。
【0038】
〔製品の具体例2〕
高分子マトリックスが 2997gのユニローヤル アジプレン L−325 (Uniroyal Adiprene L-325)ウレタンを 768gの「Curene(R)442MOCA」と混合し、ウレタンポリマーをペンシルバニア州アレンタウンのエアー プロダクツ アンド ケミカルズ社(Air Products and Chemicals Corporation)から市販で入手できる、部分的にアセチレートされたポリビニールアルコール粉末87gと高速剪断調合することで調整された。低粘度領域の間(2.5分)、混合物が例1の製品のそれと同様の仕方でモールドに注入され、ゲル化の上でオーブン約225°Fで約6時間にわたり硬化され、室温になるまでさまされた。ウレタンのアミン基(MOCA amino groups)との遙に速い反応の故に、基本的にポリビニールアルコールのOH基とウレタンプレポリマーのイソシアネート基にいかなる反応も発生していないと思われる。
【0039】
〔製品の具体例3〕
高分子マトリックスが 3625gのアジプレン L−213 (Adiprene L-213)を930gの「Curene(R)442 MOCA」と混合することで例1のそれと同様の仕方で調製された。低粘度領域の間(約2.5分)、ニューヨーク州タッカホーのフリーマン インダストリー社(Freeman Industries Inc.)から市販で入手できる、ペクチン粉末58gがウレタンポリマーと高速剪断調合されてペクチン粉末をウレタン混合物全体に均一に配分した。低粘度領域の間(2.5 分)、この結果生じたウレタン/ペクチン混合物が例1で示されたものと同様の仕方でモールドに注入され、ゲル化の上で約225°Fで約6時間にわたり硬化され、さまされ、処理された。
【0040】
〔製品の具体例4〕
高分子マトリックスが 2997gのアジプレン L−325 (Adiprene L-325)をニュージャージー州パリシパニーのバスフ ケミカルズ社(BASF Chemicals Corp.)又はニュージャージー州ウエインのジーエーエフ ケミカルズ社(GAF Chemicals Corp.)から市販で入手できる、65gのポリビニールピロリドン粉末と約30 秒間混合して均質の調合物を作ることで調製された。「Curene(R)442MOCA」(768g)が約212〜228°Fの温度で溶かされ、ウレタン/ポリビニールピロリドン混合物と高速剪断調合され低粘度領域の間、すなわち、2.5分が経過する前にモールドに注入された。この結果生じた混合物が例1で示されたものと同様の仕方でゲル化の上、約225°Fで約6時間にわたり加熱されてさまされ、研磨パッドの形に切断された。
【0041】
〔製品の具体例5〕
高分子マトリックスが 3625gの「Adiprene L-213」を930gの「Curene(R)442 MOCA」と混合することで調製された。低粘度領域の間、65gの白色、自由流動性を持つハイドロキシエチルセルローズ(hydroxyethylcellulose)〔コネチカット州ダンベリーのユニオン カーバイド ケミカルズアンド プラスティック社(Union Carbide Chemicals and Plastics Corp.)から市販で入手できる〕がウレタン混合物と調合された。ハイドロキシエチルセルローズ(hydroxyethylcellulose)は有機溶剤中で不溶性であるが、温水又は冷水中で溶解する。複合混合物が次いで例1に示されたものと同様の仕方で処理された。
【0042】
図5〜9で最も良く示される別の例において、製品10の作業面18はさらに凹面および/又は凸面部分又は加工構造28を備えるミニ又はマクロサイズのパターン又は溝26を設けることができる。溝26は作業面18の少なくとも一部分に作業面18を機械加工、浮彫り、ターニング、研磨、模写およびレーザ加工のような機械的溝付け法により形成できる。当業者は、溝26が例えばエッチングのような種々の他の機械的又は化学的方法により形成できることを理解できよう。
【0043】
作業面18を溝付けすることにより、50%まで又はそれ以上の表面を露出して研磨の間における滓の除去を容易にすることができる。これに加えて、作業面18の溝付けは微小エレメント16′が作業環境に対して露出する数を増やすことで研磨作用を強化する。溝26は必要に応じて様々のパターン、輪郭、溝、渦巻き、半径、ドット、又は他の任意の形状で形成できる。パッド12の作業面18を溝付けすることは、微小規模で一連の硬度変化を付けることになる。例えば、加工構造28は、より硬い副表面24に加えて硬いコアと柔らかい外表面を持つ円錐又は穂先を形成するように成形できる。
【0044】
好ましくは、加工構造28は約0.1mmから約10mmの間の距離で間隔をあけ、約1mmと約10mmとの間の深さを有する。一般的に、加工構造28が第1の寸法(first dimension)で高分子微小エレメント16の平均直径の約1000倍よりも小さい長さを有することが好ましい。加工構造28が高分子微小エレメント16の平均直径の約2000倍よりも小さい深さを有することも好ましい。
【0045】
図5と6で最も良く示されるように、作業面18は約1000μmと5mmの間の幅を有する加工構造28を含むミニサイズの溝を備えることができる。図5と6で示されるミニサイズの溝は偏心円パターンであるものの、当業者はミニサイズの溝が上述したものを含む渦巻きその他のパターンとなり得ることを理解できよう。
【0046】
図7と8で最も良く示されるように、作業面18はその各々が約5mmより大きい幅を有する加工構造28を含むマクロサイズの溝を備えることができる。図7と8で示されるように、ミニサイズの溝は全体的に方形の格子であるものの、当業者はミニサイズの溝が必要に応じて上述したものを含む任意のパターンで形成できることを理解できよう。
【0047】
マクロサイズの溝およびミニサイズの溝は浮彫り、ターニング、研磨、模写およびレーザ加工のような典型的機械加工法および当業者に周知の様々な他の方法により形成できる。
【0048】
〔製品の具体例6〕
標準的旋盤および単一先端工具を用いて、円形および方形格子パターンそれぞれを、旋盤又はフライス盤の回転板に真空装着された作業面18の上に重ね合わせることにより、図5から8の示す作業面18が切削された。組合せ切削工具(ganged cutting tools)あるいはぎざぎさ歯(serrated teeths)が定間隔に付けられた特注切削コーム(combs)を有する従来のフライス盤が、作業面18を所望のパターンに加工するのに用いられた。
【0049】
図5に最も良く示されているように、環状のミニサイズの溝が研磨パッドに付けられて1.397mm(0.055″)のピッチを有する溝を形成し、それぞれの溝は0.356mm(0.014″)の深さを有する。溝の形状は図6に示されるように、パッドの内径に向かって60度の傾斜を持つのこ歯ねじ形状(buttress thread)である。
【0050】
図7と8に示されている方形格子マクロサイズの溝28は、水平フライス盤上で加工されて、幅0.813mm(0.032″)および深さ0.635mm(0.025″)の溝を持つ複数の方形を作り、この溝によって6.35 mm(0.025″)の加工構造28が定められる。
【0051】
図9で最も良く示されるように、作業面18は炭酸ガスレーザの使用により生じた、約1000μmと5mmの間にある幅を有する加工構造28を含むミニサイズの溝を備えることもできる。好ましくは、ミクロサイズの溝は作業面18上の砕片パターンの形状で作られるものとする。ここで定義する「砕片パターン(fractal Pattern)」とは、加工構造が相互に異なる反復加工構造を有する反復パターンを意味する。砕片パターンは、コッホ アイランド アンド レイク(Koch Island& Lake)砕片パターンのゴスパーアイランド(Gosper Island)変形(「Gosperpattern」)(図9に示される)のような確定的又は非確定的数学的式(mathematical formulas)により作ることができる。適切な砕片モデルには円形、球形およびスイスチーズ トレマス(tremas)がふくまれるものの、当業者は必要に応じて本発明に従い他の適切な砕片パターンが使用できることを理解できよう。好ましくは、砕片パターンは雑然とした(chaotic)又はランダムな形とする。
【0052】
〔製品の具体例7〕
図9で最も良く示されるように、溝又はミニサイズの溝は100ワットの連続波出力を有する典型的な炭酸ガスレーザを用いて研磨パッド12に加工された。電力定格、出力およびビーム焦点は約0.458mm(0.018″)の深さと約0.127mm(0.005″)以下の幅を持つ溝を切削するように選択された。ミニサイズの溝は上述したコッホアイランド アンド レイク(Koch Island & Lake)砕片パターンのゴスパー アイランド(Gosper Island)変形であった。砕片パターン像はレーザビームの動きを制御してパッド12の作業面18に砕片パターンを形成する従来のコンピューターの数値制御装置へ電子的に読み込まれ、プログラムされた。気体痕の蓄積を防ぐために、接着遮蔽物(adhesive mask)がパッド上に置かれた。この接着遮蔽物は同時に、溝の縁に溶着する付随マイナー(attendant minor)も減少させた。
【0053】
別の方法として、又は追加的に、ミニサイズの溝を形成するために、隔離「メサ(mesa)」パターンを作業面18に浮き彫りすることができる。例えば、従来の30 トンプレス機を用いて約25 トンの圧力を加え、パッド12の作業面18にミニサイズの溝を浮き彫りすることが出来る。浮き彫り効果を強化するため、熱を加えることができる。
【0054】
本発明に従う製品10以下を利用する、半導体デバイスの表面を平坦化する本発明に従う方法が一般的に以下で説明される。
【0055】
図1〜3において、本方法は一般的に高分子マトリックス14を備える製品10又は110 を設ける初期段階を具備する。高分子マトリックス14は複数の高分子微小エレメント16が含浸されている。高分子マトリックス14を設け、マトリックス14に微小エレメント16を含浸する段階の詳細は上述されており、そのこれ以上の論議は不必要であると考えられ、際限がないと思われる。好ましくは、製品10又は110 の作用面18は溝付けされ、加工構造28を形成して拡大された作業面を設け、作業面が全体的に平坦であれば通常は露出されない微小エレメントを作業環境に対して露出するものとする。
【0056】
本方法は製品10又は110 の作業面18の少なくとも一部分を、製品10又は110 の作業面18における高分子微小エレメント16′が隣接する副表面24に位置する高分子微小エレメント16よりも硬さが減じるように作業環境に接触させる段階をさらに具備する。例えば作業面18の近傍に位置する少なくとも一部の高分子微小エレメント16のシェル20の一部分がその一部分を薄切り、研削、切断および孔明けのうち少なくとも一つの方法により、或いは化学的にシェル20の一部分を変化又は軟化することにより開口され、作業面18の高分子微小エレメント16′の一部分を副表面24に位置する微小エレメント16より硬さが減ずるようにする。どのようにして作業面18における高分子エレメント16′の硬さが減らせ得るかに関する詳細は上述されており、そのこれ以上の論議は不必要であると考えられ、際限がないと思われる。
【0057】
本方法は半導体デバイス(図示せず)の表面(同様に図示せず)を製品の作業面18の少なくとも一部分に、半導体デバイスの表面が十分に平坦化されるように接触される段階をさらに具備する。製品10又は研磨パッド12は当業者に周知のような従来の研磨機に取り付けられる。好ましくは、作業面18は平坦化される半導体デバイスの表面に全体的に平行に向けられ、例えば、必要に応じて半導体デバイスの表面を平坦化又は研削するように直線又は円形の摺動接触で動かされるものとする。
【0058】
パッド12の作業面18が半導体デバイスの表面との摺動接触で研削されるにつれ、副表面24の一部分が露出され、副表面24の微小エレメント16が研削されるか又は化学的な変化を受けるか、或いは軟化されて前に研削された作業面に類似する物理的特性を有する新しい作業面18を形成する。従って、半導体デバイスの表面と接触する作業面18が実質的に連続して再生され、半導体デバイスの表面に終始一貫した平坦化又は研磨作用を及ぼす。
【0059】
本発明に従う製品の作業面18を再生する本発明に従う方法が一般的に以下で説明される。
【0060】
図11において、本方法は高分子マトリックス14を備える製品410又はパッド12を設け、マトリックス14に複数の高分子微小エレメント16を含浸する初期段階を具備する。製品10を形成する段階の詳細は上述されており、そのこれ以上の論議は不必要であると考えられ、際限がないと思われる。
【0061】
本方法は作業面18の近傍に位置する少なくとも一部の高分子微小エレメント16のシェル20の少なくとも一部分を、開口した微小エレメント16′が副表面24の微小エレメント16より硬さが減ずるように開口する段階をさらに具備する。高分子微小エレメントを開口する段階は微小エレメント16のシェル20各々の一部分を薄切り、研削、切断および孔明けのうち少なくとも一つを備えることができる。図11で最も良く示されるように、作業面18における微小エレメント16′のシェル20はその一部分が図11で断面で示されている組み合わせ(combined)ポメルゲーション(pommelgation)および孔明け装置30により孔明けできる。装置30は作業面18と微小エレメント16に孔明けするに十分な剛性を有する任意の材料、例えばステンレススチール、アルミニウムその他の金属から形成することができる。装置30は作業面18の近傍に位置する高分子微小エレメント16のシェル20の少なくとも一部分に孔を明ける複数の鋭い工具又は針32を備える。
【0062】
針32に加えて、装置30は針32が作業面18に深く孔明けし過ぎることを防ぐ、少なくとも一つの、好ましくは複数のパッド34を備える。好ましくは、針32は作業面18に約60μmの深さで孔を明けるものとするが、当業者は装置30の孔明け深さが必要に応じて60μmから増減する任意の深さをとり得ることが理解できよう。例えば、60μmより大きな深さに達する作業面18に孔を明けるため、長い針32を用いることができる。
【0063】
当業者は必要に応じて複数回数にわたって微小エレメント16が開口され、又はパッド12が孔明けされ得ることが理解できよう。
【0064】
別の例においては、作業面18の近傍に位置する高分子微小エレメント16のシェル20の少なくとも一部分が、作業面18における部分的に変化した高分子微小エレメント16が副表面24に埋め込まれた高分子微小エレメント16より硬さが減ずるように作業環境により化学的に変化又は軟化される。例えば、高分子微小エレメント16は水を含む作業環境に接触した時に少なくとも一部分が溶解するメチルセルローズ又は水酸化プロピルメチルセルローズを備える水溶性セルローズエーテルから形成できる。
【0065】
前述の説明から、本発明が半導体デバイスのような加工品の表面を変化する製品、およびこのような製品の作業面の一部分に位置する高分子微小エレンメントの有効剛性を減少し、このような製品の作業面を再生し、さらに半導体デバイスの表面をこのような製品を利用して平坦化する方法を具備することが理解できる。本製品は基板その他の加工品をより迅速かつ均一に研磨又は平坦化するため使用できる。
【0066】
上述例の広い発明的着想から逸脱することなく例に他の改変を加え得ることは当業者により認識されよう。従って、本発明が開示された例に限定されず、添付の特許請求範囲により定義される本発明の精神と範囲内にあるすべての変更を包含する意図のあることが理解される筈である。
【0067】
【発明の効果】
この発明の加工品を平坦化する方法は、上述のような構成を有しており、製品の作業面が再生し、作業面が加工品と接触するにつれて大きく変化しないため、加工品の表面を均質に平坦化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する製品の略断面図。
【図2】本発明で使用する製品の変更態様の略断面図。
【図3】本発明で使用する製品の変更態様の、製品作業面における微小エレメントが作業環境に接した時に膨張した状態を示す略断面図。
【図4】典型的な半導体デバイスの表面における模様間距離の関数としての平坦化率のグラフ。
【図5】本発明で使用するミニサイズの溝付きパッドの変更態様の概略線図。
【図6】図5の線6−6に沿う、パッドの拡大部分断面図。
【図7】本発明で使用するマクロサイズの溝付きパッドの変更態様の概略線図。
【図8】図7の線8−8に沿う、パッドの拡大部分断面図。
【図9】本発明で使用する砕片(fractal)パターンのミニサイズの溝付きパッドの変更態様。
【図10】本発明で使用する製品の微小球体の流量の関数としての比重を示す棒グラフ。
【図11】本発明で使用する製品の作業面における微小エレメントのシェルの一部をポメルゲート(pommelgate)して突き刺すデバイスの概略線図。
【符号の説明】
10 製品
18 作業面
16 高分子微小エレメント
20 シェル
24 副表面
22 空隙スペース
Claims (5)
- 研磨スラリーと共に使用される、加工品を研磨又は平坦化するための研磨パッドであって、
(1)それ自体は実質的に加工品の表面を研磨しない高分子微小エレメントが複数、含浸された高分子マトリックスからなり;
(2)作業面と、作業面に隣接する副表面を有し;
(3)加工品を研磨又は平坦化する作業において、作業面に位置する高分子微小エレメントが、作業環境に接すると、作業面に位置する高分子微小エレメントの硬さが、副表面に埋め込まれている高分子微小エレメントの硬さよりも減じる、
研磨パッド。 - 加工品を研磨又は平坦化する作業において、作業面に位置する高分子微小エレメントが、作業環境に接すると溶解、膨張又は開口し、それにより作業面に位置する高分子微小エレメントの硬さが、副表面に埋め込まれている高分子微小エレメントの硬さよりも減じる、請求項1記載の研磨パッド。
- 高分子微小エレメントが、150μm以下の平均直径を有する、請求項1又は2記載の研磨パッド。
- 作業面に溝を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の研磨パッド。
- 加工品が、半導体デバイスである、請求項1〜4のいずれか1項記載の研磨パッド。
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