JP3799878B2 - 電磁鋼板およびその製造方法電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧延方向と圧延直角方向の磁気特性のバランスに優れた電磁鋼板およびその製造方法に関する。とりわけ分割型ステータ鉄心を用いる小型モータに好適な電磁鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境問題やエネルギー問題がクローズアップされ、エネルギー変換機器であるモータの効率改善が求められている。例えば自動車においても化石燃料を消費しない電気自動車や、2種類以上の動力源を備えて燃料消費効率を改善したハイブリッド自動車が注目されているが、これらにはいずれも効率の良いモータの適用が望まれている。
【0003】
モータ効率にはステータ鉄心の性能が大きく影響する。図1はモータのステータ鉄心(以下、単に「鉄心」と記す)を構成する鉄心片であって、電磁鋼板から一体として打ち抜かれた鉄心片(以下、単に「一体型」とも記す)の形状例を示す概念図である。図1で符号3はヨーク部、符号4はティース部(歯部)である。なお、符号1はロータ、符号2はティース部に巻かれる巻線、符号5は鉄心内部の磁束の流れを模式的に示すもので、磁束はティース部4とヨーク部3を経てロータ1に至る。
【0004】
小型モータの鉄心は従来、一体型が使用されてきたが、最近では、モータ製造効率の向上や性能向上を目的として、以下に示すような種々の形態の分割鉄心片からなる鉄心(以下、単に「分割鉄心」とも記す)が提案され、実用化が進んでいる。
【0005】
図2はヨーク部とティース部をT型に配置した鉄心片6(T型分割鉄心片)の例を示す概念図である。図3はリング状のヨーク部7とI形状のティース部8で構成される分割型鉄心片(I型分割鉄心片)の例を示す概念図である。図4(a)は複数のT型鉄心片6のヨーク部9を直線状に連ねて打ち抜き加工した鉄心片(展開型分割鉄心片)の例を示す概念図である。図4(b)は前記展開型分割鉄心片のティース部10に巻線2を施し、全体を円環状に折り曲げて得た鉄心の概念図である。
【0006】
従来の一体型鉄心では、隣接するティース部間の間隔が小さく、巻線施工時に空間的な制約があるために、巻線の密度が低くなりモータの効率が制限されると共に巻線施工時の生産性も低かった。
【0007】
これに対して分割鉄心では上記のような巻線施工時の空間的な制約が少なく、隣接するティースの干渉されないで巻線施工できるため、一体型鉄心に比較して巻線密度を高めることが可能で、モータ効率向上に有効であると共に、巻線施工が容易であるので生産性も改善できるという利点がある。
【0008】
モータ、特に小型モータの鉄心用素材としては、従来、一方向性電磁鋼板に比較して安価であり、打ち抜き加工もし易い無方向性電磁鋼板が使用されているが、その性能改善のために電磁鋼板の磁気特性改善方法が開示されている。
【0009】
特開平5−70833号公報には、重量%でC:0.010〜0.10%、Si:4.0%以下、Seおよび/またはS:0.005〜0.030%を含有する鋼を熱間圧延し冷間圧延した後、脱炭焼鈍し、さらに900〜1200℃で連続焼鈍する、無方向性珪素鋼板よりも磁気特性が優れた電磁鋼板の製造方法が開示されている。
【0010】
特開平7−18334号公報には、重量%でC:0.010%以下、Si:1.5〜4.0%、Mn:1.0〜4.0%、S:0.010%以下、sol.Al:0.003〜0.030%、N:0.001〜0.010%を含む鋼スラブを、熱間圧延してそのまま冷間圧延、あるいは熱間圧延後に焼鈍を施してから冷間圧延し、その後一次再結晶のための連続焼鈍および100%水素雰囲気中での二次再結晶焼鈍を施す、磁気特性の異方性のバランスが優れた電磁鋼板の製造方法が開示されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
鉄心のティース部では長手方向に磁束が集中する。分割鉄心では、全てのティース部の磁化方向を磁気特性に優れた鋼板の圧延方向(以下、単に「L方向」とも記す)に揃えることができるので、分割鉄心を有するモータのモータ効率改善にはL方向の磁気特性が優れていることが重要である。また、鉄心のヨーク部の磁化方向が磁気特性がよくない圧延直角方向(以下、単に「T方向」とも記す)に揃えられる場合には、T方向の磁気特性が悪くないことも重要である。
【0012】
また、小型モータではモータ効率に対する鉄心の占積率の影響度が大きく、鉄心の占積率を高めることも重要である。さらに鉄心片の加工に際しては、発電機や大型モータの場合に比べて鉄心打ち抜き回数が多いこと、およびトランス用鉄心に比較して打ち抜き加工される鉄心形状が複雑であることから、鉄心素材の打ち抜き加工性が優れていることも必要である。
【0013】
一方向性電磁鋼板はL方向の磁気特性は優れる。しかしながらT方向の磁化力5000A/mにおける磁束密度(B50)が1.55T前後と極めて劣るうえ、Si含有量が高く鋼が硬質であり、また鋼板素地と絶縁皮膜の間にフォルステライトを主とする厚さが3μm〜10μmもある硬質な酸化皮膜があるため、打ち抜き性が良くないうえ、占積率も低いという問題がある。またその製造時には脱炭焼鈍や1000℃を超える高温での二次再結晶焼鈍が必要となり、製造コストも高い。従って一方向性電磁鋼板は、分割鉄心を有する小型モータ用素材としては好ましくない。
【0014】
特開平5−70833号公報に開示されている方法で得られる製品はSi含有量が高く、小型モータ用鉄心素材としては打ち抜き性がよくない。また、その製造に際しては短時間の連続焼鈍で二次再結晶させるため磁気特性変動が大きくなりやすいうえ、脱炭焼鈍を必須工程として含むために必ずしも低コストとはならないという問題もある。また、短時間の連続焼鈍ではインヒビターとする微細なMnSおよび/またはMnSe析出物が製品に残存して磁気特性を損なうおそれもある。
【0015】
特開平7−18334号公報に開示されている方法で得られる製品はSiおよびMn含有量が高く、小型モータ用鉄心素材としては打ち抜き性が十分ではないうえ、高価なMn源を大量に含有させるために製造コストが高いという問題もある。
【0016】
以上述べたように、モータ効率の向上、特に分割鉄心を有する小型モータのモータ効率改善に好適な、L方向とT方向の望ましい磁気特性バランスと、鉄心片の打ち抜き加工時の生産効率を阻害しないような適度な硬さとを同時に満足する電磁鋼板は未だ開示されていない。
【0017】
本発明の目的はこれらの問題点を解決し、従来の無方向性電磁鋼板に比較してL方向の磁気特性が大幅に良好で、一方向性電磁鋼板に比べてT方向の磁気特性が良好であり、さらに打ち抜き性にも優れた、特に分割鉄心を有する小型モータの効率改善に好適な電磁鋼板およびその製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはティース部の磁化方向を電磁鋼板のL方向に揃えて打ち抜いた分割鉄心を用いた小型モータのエネルギー変換効率に対する電磁鋼板の磁気特性、その他の望ましい鋼板性状との関係について鋭意研究を進めた。さらにそのような鋼板の製造方法について研究を重ねた。その結果以下に述べるような新たな知見を得た。なお、本発明でいうエネルギー変換効率は、モータの出力エネルギーの入力エネルギーに対する比([出力エネルギー]/[入力エネルギー])を意味し、単に「モータ効率」とも記す。
【0019】
a.モータの作動時には、鉄心のティース部に高磁場の磁界が作用するため、モータ効率には鉄心素材となる電磁鋼板の高磁場での磁気特性が大きく影響する。上記のような分割鉄心を用いたモータの場合、電磁鋼板のL方向のB50が1.85T以上である場合にモータ効率が著しく改善された。また、鉄心素材のT方向のB50が1.58Tに満たない場合にはモータ効率の改善効果は得られなかった。
【0020】
さらに、複雑な形状での打ち抜き加工時の生産効率を高めるには、鋼素材の硬さを適正範囲にすることが重要であり、また、電磁鋼板製造時に発生し易い硬質な酸化皮膜の抑制と絶縁皮膜の最適化も有効であった。
【0021】
b.電磁鋼板の磁気特性は、二次再結晶焼鈍時に、インヒビターと称される析出物により多くの方位の結晶粒成長が抑制される中で、ミラー指数の{110}<001>で表示されるゴス方位の結晶粒が選択的に成長することにより形成される集合組織により大きく影響される。
【0022】
従来の一方向性電磁鋼板では、インヒビターによる結晶粒成長抑制効果が極めて強く、ゴス方位への集積度が極めて高い二次再結晶が生じるため、L方向の磁気特性は著しく良好になるがT方向の磁気特性が極端に劣化する。
【0023】
これに対し、極低炭素でSi、Al、Nなどの含有量を特定範囲に限定した化学組成を有する熱延鋼板を冷間圧延した後、特定の条件で焼鈍を施すことにより、従来の方向性電磁鋼板の場合よりもインヒビター効果を弱くした二次再結晶焼鈍が可能となり、これによりゴス方位の集積度を適正化してL方向とT方向の磁気特性バランスを改善し上記したような所望の電磁鋼板を容易に製造できる。この方法によれば、Si、Mnなどの合金含有量が少なく、好ましい硬さを有する電磁鋼板の製造ができる。
【0024】
本発明はこれらの知見を基にして完成されたものであり、その要旨は下記(1)および(2)に記載の電磁鋼板ならびに(3)に記載のその製造方法にある。
【0025】
(1)化学組成が重量%で、C:0.010%以下、Si:1.0%以上、3.0%未満、Mn:0.80%以下、P:0.10%以下、S:0.030%以下、sol.Al:0.020%以下、N:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、厚さが0.1μm以上0.5μm以下である樹脂を含有した絶縁皮膜を両面に備えた電磁鋼板であって、圧延方向の磁束密度B50が1.85T以上、ビッカース硬さが100以上、180未満であることを特徴とする電磁鋼板。
【0026】
(2)鋼板素地と絶縁皮膜との間の酸化皮膜の厚さが1μm以下であることを特徴とする上記(1)に記載の電磁鋼板。
【0027】
(3)化学組成が重量%で、C:0.010%以下、Si:1.0以上、3.0%未満、Mn:0.80%以下、P:0.10%以下、S:0.030%以下、sol.Al:0.003〜0.020%、N:0.001〜0.010%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼のスラブを熱間圧延し、冷間圧延し、860〜980℃に加熱して一次再結晶焼鈍を施し、窒素含有量が5体積%以下、残部が水素ガスおよび/または窒素を除く不活性ガスからなる雰囲気中で750℃以上、Ac1変態点以下に加熱して二次再結晶焼鈍した後、樹脂を含有する絶縁皮膜を施すことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の電磁鋼板の製造方法。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下に記す化学組成の%表示は重量%を意味する。
【0029】
鋼の化学組成:
C:製品中に残存すると鉄損に悪影響を及ぼすので少ないほど好ましい。C含有量が0.010%以下であれば磁気特性への悪影響は小さいのでC含有量は0.010%を上限とする。好ましくは0.005%以下である。
【0030】
Si:鋼の電気抵抗を高め、渦電流損が低下し鉄損を減少させる効果がある。Si含有量が1.0%に満たない場合には本発明が目的とする低鉄損が得られないため、Siは1.0%以上含有させる。好ましくは1.1%以上である。
【0031】
他方、Siを過度に含有させると飽和磁束密度の低下が著しくなり、鉄心を小型化するのが困難になる。また、鋼板が過度に硬くなり、打ち抜き性が損なわれる。このためSi含有量は3.0%未満とする。好ましくは2.8%以下、さらに好ましくは2.0%以下、なお好ましくは1.8%以下である。
【0032】
Mn:本発明の鋼の二次再結晶挙動にはさほど影響せず磁気特性の異方性に対する影響は小さい。従ってMnは必須元素ではないが、Mnには鋼の電気抵抗を高め鉄損を減少させ、鋼を硬くして打ち抜き性を改善するなどの作用があり、これらの効果を得るために含有させてもよい。これらの効果を得るにはMnを0.05%以上、より好ましくは0.10%を超えて含有させるのがよい。Mn含有量が0.8%を超えると飽和磁束密度が小さくなるうえ、鋼素材の硬さが増し打ち抜き性が劣化し製造コストも高くなる。従ってMnを含有させる場合でもその上限は0.80%とするのがよい。より好ましくは0.70%以下がよい。
【0033】
P:磁気特性への影響が少ないので必須元素ではないが、鋼を硬くして打ち抜き性を向上させる作用があるので、0.10%以下の範囲で含有させてもよい。P含有量が0.10%を超えると鋼が脆くなり、冷間圧延時に破断しやすくなるのでPを含有させる場合でもその上限は0.10%とするのがよい。
【0034】
S:Mnと結合してMnSとなり鋼の磁気特性を損なうのでSは少ないほどよく、0.030%以下、より好ましくは0.015%以下、なおさらに好ましくは0.005%未満とするのがよい。
【0035】
sol.Al:製品としての電磁鋼板では必須元素ではないので、製品としての電磁鋼板には含有させなくてもよい。しかしながらsol.Alはその製造過程で良好な二次再結晶を生じさせるのに重要なインヒビターであるAlNや、(Al、Si)Nを形成する元素であるので、圧延前の鋼においてはsol.Alを0.003%以上含有させるのがよい。好ましくは0.005%以上含有させるのがよい。
【0036】
sol.Al含有量が0.020%を超えるとインヒビターが過剰になると共にその分散状態が不適切になり、二次再結晶が不安定になる。従って圧延前の鋼ではsol.Al含有量を0.020%以下とするのがよい。好ましくは0.018%以下がよい。上記圧延前の鋼に含有されるsol.Alは焼鈍時に減少することもあるが、そのまま鋼中に残留することもある。従って製品としての電磁鋼板のsol.Al含有量は0.020%以下である。
【0037】
N:製品としての電磁鋼板では必須元素ではないので、製品としての電磁鋼板には含有させなくても構わない。しかしながらNはインヒビターとなる窒化物を形成するのに必要な元素であるので、圧延前の鋼においてはNを0.001%以上含有させるのがよい。好ましくは0.002%以上がよい。また、N含有量が0.010%を超えるとインヒビター効果が飽和するので、圧延前の鋼におけるN含有量は0.010%以下とするのがよい。好ましくは0.008%以下がよい。上記圧延前の鋼に含有されるNは焼鈍時に減少することもあるがそのまま鋼中に残留することもある。従って製品としての電磁鋼板のN含有量は0.010%以下である。
残部はFeおよび不可避的不純物である。
【0038】
磁気特性:
本発明の電磁鋼板は、モータ効率を改善するために、JIS−C−2550の規定に従って測定したL方向の磁束密度がB50で1.85T以上のものとする。好ましくは1.88T以上である。T方向のB50は1.59T以上が好ましい。より好ましくはT方向のB50を1.60T以上とするのがよい。
【0039】
ここでいうモータ効率とはモータの出力エネルギーの入力エネルギーに対する比([出力エネルギー]/[入力エネルギー])を意味する。入力エネルギーは、モータに加えられる電圧と電流から算出され、出力エネルギーはトルクと回転数から計算される。
【0040】
絶縁皮膜:
本発明の電磁鋼板は、電磁鋼板の打ち抜き性を良好に保ち、かつ、積層された鉄心片間の絶縁性を確保するために、電磁鋼板の少なくとも片面に、一般に無方向性電磁鋼板に使用されている公知の樹脂と無機成分が含有された絶縁皮膜を備える。この絶縁皮膜としては、例えば、重クロム酸塩−ホウ酸−樹脂からなる皮膜、リン酸塩−樹脂からなる皮膜、シリカ−樹脂からなる皮膜等がある。
【0041】
樹脂としてはアクリル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂などが使用できる。塗工性(ロールコート性)をよくするためにエマルジョンタイプの樹脂が好ましい。
【0042】
絶縁皮膜の構成内容は乾燥後の皮膜重量に対する比で、無機成分:50〜99%、樹脂:1〜50%であればよい。絶縁皮膜の上記以外の構成物質として、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の顔料を含有させてもよい。
【0043】
絶縁皮膜が薄すぎると絶縁性が不足し鉄損が大きくなるので、その厚さは0.1μm以上とする。絶縁皮膜の厚さが0.5μmを超えると占積率が低下し有効な断面積当たりの磁束密度が低下してモータの効率が低下する。これを防ぐために絶縁皮膜の厚さは0.5μm以下とする。好ましくは0.4μm以下である。絶縁皮膜は鋼板の両面に備えるのがよいが、片面のみでも構わない。
【0044】
酸化皮膜:
本発明の電磁鋼板のL方向の磁束密度を向上させるには、焼鈍前の鋼板のL方向に<001>軸を有する核(ゴス核)を源にして、十分な二次再結晶をおこなわせる必要があるため、二次再結晶焼鈍は、無方向性電磁鋼板の製造に一般的に用いられている焼鈍時間が短い連続焼鈍法ではなく、鋼板を高温で長時間焼鈍できる箱焼鈍法でおこなうのがよい。箱焼鈍前には焼付防止用の焼鈍分離剤を鋼板に塗布し、焼鈍後にこれを除去するが、除去困難な酸化皮膜が鋼板表面に残存することがある。
【0045】
酸化皮膜が過度に厚くなると連続打ち抜き性が損なわれるうえ、占積率が低下し、特に小型モータの効率を大きく損なう。従って酸化膜の厚さは1μm以下、さらに好ましくは0.4μm以下とするのがよい。
【0046】
硬さ:
鋼板が硬すぎると鉄心を打ち抜き加工する際に金型の摩耗が著しく生産性が損なわれるうえ、製品の破面性状や平坦形状が悪くなる。また、展開型鉄心を環状に成形する際にはヨーク部外周には引張変形が加えられるので、電磁鋼板にはこれに耐えるだけの延性が必要とされる。このため本発明の電磁鋼板は、試験荷重1kgでのビッカース硬さ(以下、単に「HV」と記す)で180未満とする必要がある。好ましくはHVが175以下がよい。
【0047】
鋼板が軟らかすぎると打ち抜き破面性状が悪くなるうえダレも大きくなる。これを避けるためには鋼板の硬さ(HV)を100以上とする必要がある。好ましくは110以上である。
【0048】
焼きなまし状態である電磁鋼板の硬さと化学組成とは一定の関係がある。例えば、Si:3.3%、Al:0.6%、Mn:0.15%を含有した一般の無方向性電磁鋼板は、HV:200程度、Siを3%含有する一般の一方向性電磁鋼板のHVは190程度である。
【0049】
電磁鋼板の厚さ:
電磁鋼板の厚さは特に限定するものではないが、打ち抜き加工時や組み立て時の生産性を確保するために0.20mm以上とするのが良い。さらに好ましくは0.35mm以上とするのがよい。厚さを過度に厚くすると鉄損が大きくなりモータ効率が低下するので厚さは1.0mm以下、より好ましくは0.65mm以下とするのがよい。
【0050】
製造方法:
本発明の鋼板は以下の方法で製造するのが好適である。
上記の化学組成を有する鋼(但し、sol.Alを0.003%以上、およびNを0.001%以上含有する鋼)は、転炉、電気炉などで溶製し、必要があれば真空脱ガスなどの処理を施した溶鋼を連続鋳造するか、または鋼塊にしてから分塊圧延することでスラブとされ、熱間圧延される。
【0051】
熱間圧延の条件は特に限定されるものではないが、熱間圧延に先立ってスラブ加熱を施す場合にはその温度は1050〜1270℃とするのがよい。連続鋳造後や分塊圧延後のスラブの温度が十分高い場合にはスラブ加熱を施さないで直接熱間圧延しても構わない。熱間圧延での仕上温度は700〜950℃、巻取温度は450〜800℃の範囲とするのがよい。
【0052】
熱間圧延後は、常法に従って酸洗し、そのまま冷間圧延するのが経済性に優れるので好ましいが、酸洗の前または後に熱延板焼鈍を施しても構わない。熱延板焼鈍を施す場合の焼鈍温度は、箱焼鈍方式であれば600℃以上、800℃未満、連続焼鈍方式であれば800℃以上、950℃未満とするのが好ましい。
【0053】
冷間圧延は1回の冷間圧延で製品の厚さまで冷間圧延する方法(1回冷間圧延法)が経済性に優れるので好ましいが、中間焼鈍を挟んだ2回の冷間圧延でおこなう方法(2回冷間圧延法)でも構わない。
【0054】
冷間圧延の圧下率は特に限定するものではないが、65%に満たない場合には二次再結晶が不安定となる場合があるので、65%以上とするのが好ましい。65%に満たない場合には、二次再結晶時にゴス方位の結晶粒が成長するのに好適な{111}方位の強い一次再結晶集合組織が形成できないからである。より好ましくは70%以上である。
【0055】
冷間圧延圧下率が85%を超えると一次再結晶集合組織のゴス方位が少なくなり、二次再結晶が不安定となる場合があるので圧下率は85%以下とするのが好ましい。より好ましくは83%以下である。2回冷間圧延法の場合の圧下率は、熱延板から最終製品の厚さまでの総圧下率を上記の範囲とするのがよい。
【0056】
一次再結晶焼鈍温度は860〜980℃の範囲とする。焼鈍温度が860℃に満たない場合には一次再結晶粒径が小さく、ゴス方位に集積した二次再結晶が生じない。好ましくは880℃以上である。焼鈍温度が980℃を超える場合には、一次再結晶粒径が大きくなりすぎて、次工程の二次再結晶焼鈍時に二次再結晶が生じにくい。好ましくは960℃以下である。
【0057】
焼鈍時間(均熱時間)は5秒以上、10分以下とするのがよい。焼鈍時間が5秒に満たない場合には鋼板内での一次再結晶粒径がばらついて安定した二次再結晶が生じにくい。また、10分を超える場合には一次再結晶粒径のばらつき抑制の効果が飽和するために経済的に無意味である。
【0058】
一次再結晶焼鈍温度への加熱速度は、後述する二次再結晶焼鈍で安定した二次再結晶を生じさせるために、1℃/秒以上の急速加熱とするのがよい。このためには、連続焼鈍方法で焼鈍するのが好適である。
【0059】
二次再結晶焼鈍温度は750℃以上、Ac1変態点以下とする。二次再結晶焼鈍の目的は適度のゴス方位集積度を持つ結晶組織を得ることにある。従って二次再結晶が生じる温度域でインヒビター強度を適切に制御することが重要である。
【0060】
二次再結晶焼鈍温度が750℃に満たない場合には、インヒビター効果が強すぎて二次再結晶が生じない。好ましくは800℃以上である。二次再結晶焼鈍温度がAc1変態点を超えるとオーステナイト変態が生じるうえ、インヒビター効果も弱くなるためにゴス方位に集積した二次再結晶が生じないのでよくない。好ましくは950℃以下、さらに好ましくは900℃以下がよい。
【0061】
二次再結晶焼鈍の焼鈍時間は4〜100時間とするのがよい。焼鈍時間が4時間に満たない場合には、二次再結晶がコイル全長全幅で均一かつ十分に発達できないことがある。より好ましくは8時間以上がよい。100時間以内の保持で二次再結晶は十分に完了する。より好ましくは80時間以下である。
【0062】
二次再結晶焼鈍の雰囲気は、窒素含有量が5体積%以下、残部が水素ガスおよび/または窒素を除く不活性ガスからなる雰囲気とする。窒素含有量が5体積%を超える場合には、雰囲気ガスから鋼板への窒化が生じてインヒビター効果が強くなり、ゴス方位への集積度が過度に大きい二次再結晶が生じる。この場合には、L方向の磁気特性は良好であるが、T方向のそれは劣化し、所望の磁気特性のバランスが得られない。好ましくは窒素含有量は3体積%以下とするのがよい。
【0063】
窒素以外の雰囲気ガス組成は水素ガスがよい。100%水素ガス(工業的な意味での純水素雰囲気)を用いても構わない。これは、二次再結晶が生じる750〜950℃の温度域でインヒビターとなる析出物が焼鈍の進行にしたがって徐々に粗大化するとともに、脱窒反応も生じるため、比較的弱いインヒビター効果が生じて、適度なゴス方位への集積度を持つ二次再結晶が生じるからである。なおこの場合でも、経済性の観点から窒化が生じにくい700℃未満の温度域を100%窒素ガスあるいは水素と窒素の混合ガスとしても構わない。
【0064】
二次再結晶焼鈍の前に、鋼板間での焼付を防止するために、公知の焼鈍分離剤を鋼板の両面または片面に塗布してもよい。塗布方法は、スラリー状にして塗布する方法や、粉体を静電塗布する方法などがあるがいずれでも構わない。また、無機系の絶縁コーティングを鋼板の片面あるいは両面に塗布して、焼鈍分離剤の機能を持たせてもよい。
【0065】
二次再結晶焼鈍後の工程としては通常の方向性電磁鋼板と同様に、焼鈍分離剤を除去し、必要により公知の方法で平坦化焼鈍をおこなった後、少なくとも一方の面に上述の無機成分と樹脂を含有する絶縁皮膜組成物を乾燥膜厚が0.1〜0.5μmとなるようにスプレー法、浸漬法など公知の方法で塗布し、公知の方法で乾燥させるのがよい。
【0066】
本発明の電磁鋼板は優れた磁気特性と打ち抜き性を兼ね備えているので、分割鉄心を備えたモータのみならず、EI鉄心などトランス用素材としても好適である。
【0067】
【実施例】
(実施例1)
表1に示す種々の化学組成を有する鋼を転炉で溶製し、真空脱ガス処理して成分調整した後、連続鋳造してスラブとした。
【0068】
【表1】
【0069】
これらのスラブを熱間圧延して厚さ:2.3mmの熱延板とし、酸洗して脱スケールした後、厚さ:0.50mmに冷間圧延した。次いで、加熱速度15℃/秒で900℃に加熱して30秒間保持した後冷却する一次再結晶焼鈍を施した後、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、水素100体積%の雰囲気で加熱速度:40℃/時で850℃に加熱し24時間保持して炉冷する二次再結晶焼鈍を施した。
【0070】
その後焼鈍分離剤を除去し、820℃で30秒間保持する平坦化のための連続焼鈍をおこなった。連続焼鈍後の鋼板表面には酸化皮膜は観察されなかった。平坦化焼鈍後、重クロム酸マグネシウムとホウ酸を乾燥後の皮膜に対して80重量%、アクリルエマルジョン樹脂を20重量%含む絶縁皮膜組成物を乾燥膜厚が0.4μmになるように両面に塗布して乾燥し、種々の磁気特性を有する電磁鋼板を得た。
【0071】
これらの電磁鋼板の硬度を測定すると共に、L方向とT方向のB50をJIS−C2550の規定に従って測定した。エプスタイン試験片には一般のフルプロセス無方向性電磁鋼板と同様に応力除去焼きなましを施さなかった。
【0072】
鋼板の打ち抜き性を、打ち抜き片の寸法が15mmの正方形であり、ポンチとダイのクリアランスを鋼板厚さの5%としたSKD11製の打ち抜き工具と市販の打ち抜き油を使用し、打ち抜き速度が350ストローク/分である連続打ち抜きをおこない、打ち抜き片のカエリ高さが50μmに達するまでの打ち抜き回数を求めて以下の基準で評価し、打ち抜き回数が100万回以上である場合を良好と判断した。
【0073】
◎:200万回以上、
○:100万回以上、200万回未満、
×:100万回未満。
【0074】
得られた電磁鋼板の性能を表1に示す。
表1に示された結果からわかるように、化学組成が本発明の規定する条件を満足する鋼は良好な磁気特性と優れた打ち抜き性を備えていた。
【0075】
(実施例2)
表1に記載の鋼の内で、Si:1.8%、Mn:0.6%前後を含有する鋼a、gおよびiのスラブを実施例1に記載したのと同様の条件で、熱間圧延し、酸洗し、冷間圧延し、一次再結晶焼鈍を施し、アルミナを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶焼鈍を施した。一部のコイルは酸洗前に熱延板焼鈍を施した。その後焼鈍分離剤を除去し、実施例1に記載したのと同様の条件で平坦化焼鈍をおこない、同様の絶縁皮膜組成物を種々の乾燥膜厚になるように塗布し、乾燥して種々の電磁鋼板を得た。得られた電磁鋼板の硬さ(HV)はいずれも145程度であった。これらの電磁鋼板の磁束密度を実施例1に記載したのと同様の条件で測定した。
【0076】
占積率をJIS−C2550に規定される方法に従って測定し、98.5%以上を◎、98.5未満、98.0%以上を○、98%未満を×として評価した。
【0077】
得られた種々の電磁鋼板から図3に示す形状のI型分割鉄心片を打ち抜いた。ティースは、その磁化方向が電磁鋼板のL方向に平行になるようにして打ち抜いた。ティースに巻線を施し、リング状のヨークと組み合わせてI型分割鉄心を作製し、これを用いて出力が750wである3相4極の、回転子表面に永久磁石を配置したモータである表面磁石型モータを作製した。これらのモータのモータ効率として、3600rpmにおける入力エネルギーに対する出力エネルギーの比を調査し、この比が84%以上であった場合を極めて良好(◎)、84%未満、83%以上を良好(○)、83%未満を不良(×)として評価した。入力エネルギーをモータに加えられる電圧と電流から、出力エネルギーをトルクと回転数から計算した。
得られた結果を表2に示す。
【0078】
【表2】
【0079】
表2に示された結果からわかるように、L方向のB50と占積率が優れた電磁鋼板を使用したモータは優れたモータ効率を有していた。また、試験番号1と6のモータについて、半径10mmのプーリーに糸を巻き付けて摩擦ブレーキとする方法で駆動トルクを測定した結果、本発明の規定する条件を満たす電磁鋼板を使用した試験番号1は試験番号6と比較して3%のトルク増加が認められた。
【0080】
(実施例3)
表1に記載のSiを1.4%、Mnを0.17%含有する鋼hのスラブを熱間圧延して厚さが2.5mmの熱延コイルを得た。これを酸洗し、冷間圧延して0.5mm厚とし、水素75体積%、窒素25体積%、露点50℃の雰囲気で90秒保持する一次再結晶焼鈍をし、MgOを乾燥固形分換算で80重量%含有するスラリーを乾燥固形分換算で5g/m2 となるように両面に塗布、乾燥させて焼鈍分離剤とした後、水素雰囲気中で880℃で48時間保持する二次再結晶焼鈍をおこなった。その後50℃、10%塩酸で酸洗して、表面に浮いていた焼鈍分離剤を除去した。この時点で鋼板表面には、フォルステライトを主成分とする酸化膜が約3.2μm残存していた。この後、40℃、10%のフッ化水素酸に鋼板を浸漬し、浸漬時間を種々変更して酸化皮膜を溶解し、種々の厚さの酸化皮膜を有する電磁鋼板を得た。その後平坦化を目的とした焼鈍をおこない、実施例1に記載したのと同様の組成で乾燥膜厚が0.2μmである絶縁皮膜を施した。
【0081】
また、従来例として、Si:3.2%、Mn:0.10%含有し、両面に厚さ:3.0μmの燐酸とコロイダルシリカからなる無機皮膜を有する厚さ0.35mmの市販の一方向性電磁鋼板と、Si:2.0%、Mn:0.20%含有し、両面に厚さ:0.35μmの重クロム酸マグネシウム−ほう酸−アクリル樹脂からなる絶縁皮膜を有する厚さ:0.50mmの市販の無方向性電磁鋼板も供試材として使用した。
【0082】
これらの電磁鋼板を用いて実施例2に記載したのと同様のI型分割鉄心を有する3相4極の表面磁石型モータを作製し、実施例2に記載したのと同様の条件でモータ効率を調査した。また、打ち抜き性を実施例1に記載したのと同様の方法で調査した。
得られた結果を表3に示した。
【0083】
【表3】
【0084】
表3に示された結果からわかるように、酸化皮膜の厚さが1.0μm以下の場合に打ち抜き性とモータ効率が良好であった。市販の一方向性電磁鋼板は打ち抜き性が良くなく、市販の無方向性電磁鋼板はモータ効率が良くなかった。
【0085】
(実施例4)
実施例1に記載の鋼gのスラブを1180℃に加熱して仕上温度860℃で熱間圧延し、厚さが2.3mmの熱延鋼板を得た。また鋼hのスラブを1150℃に加熱して仕上温度840℃、巻取温度530℃で熱間圧延し、厚さ:2.3mmの熱延板を得た。Ac1変態点は、鋼g、鋼hとも1000℃程度であった。これらの熱延鋼板を酸洗し、厚さ:0.50mmに冷間圧延し、種々の温度で連続焼鈍する一次再結晶焼鈍を施した。焼鈍温度への加熱速度は、鋼gは加熱速度10℃/秒、鋼hは加熱速度15℃/秒とした。その後、アルミナを主体とする焼鈍分離剤を塗布した後、水素雰囲気または水素−窒素混合雰囲気中で種々の温度に加熱し、箱焼鈍法による二次再結晶焼鈍を施した。その後焼鈍分離剤を除去し、820℃で30秒間保持する平坦化のための連続焼鈍をおこない、絶縁コーティングを施した。これらの鋼板の硬さ(HV)は、鋼gでは145前後、鋼hでは124前後であった。これらの鋼板のL方向とT方向の磁気特性を実施例1に記載したのと同様の方法で測定した。表4に焼鈍条件と得られた鋼板の磁気特性を示した。
【0086】
【表4】
【0087】
表4に示されているように、焼鈍条件が好ましい範囲内であった試験番号32、35、36、37および39では良好な磁気特性のものが得られた。これに対し一次再結晶焼鈍または二次再結晶焼鈍の条件が好ましい範囲でなかったものは、安定した二次再結晶が生じなかったためにL方向の特性が良くなかった。二次再結晶焼鈍雰囲気のN濃度が高かった試験番号40では、L方向のB50は優れていたがT方向のB50が良くなかった。
【0088】
【発明の効果】
本発明の電磁鋼板は、従来の無方向性電磁鋼板に比べてL方向の磁気特性が大幅に良好であるので、モータやトランスのエネルギー変換効率の改善に有効な鋼板である。本発明の電磁鋼板は打ち抜き性も優れているので、特に分割型鉄心を備えた小型モータの効率改善を生産性良く実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータのステータ鉄心であって、電磁鋼板から一体として打ち抜かれた鉄心片の例を示す概念図である。
【図2】ヨーク部とティース部がT型に配置された鉄心片を組み合わせて構成される分割型鉄心片の例を示す概念図である。
【図3】リング状のヨーク部とI形状のティース部で構成される分割型鉄心片の例を示す概念図である。
【図4】(a)は複数のT型鉄心片のヨーク部を直線状に連ねて打ち抜き加工した鉄心片の例を示す概念図である。
(b)は前記展開型分割鉄心片のティース部に巻線を施し、全体を円環状に折り曲げて得た鉄心の概念図である。
【符号の説明】
1:ロータ、2:巻線、3:ヨーク部、4:ティース部、5:磁束、6:T型鉄心片、7:リング状のヨーク部品、8:I型のティース部品、9:T型鉄心片、10:T型鉄心片のヨーク部、11:T型鉄心片のティース部。
【符号の説明】
Claims (3)
- 化学組成が重量%で、C:0.010%以下、Si:1.0%以上、3.0%未満、Mn:0.80%以下、P:0.10%以下、S:0.030%以下、sol.Al:0.020%以下、N:0.010%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、厚さが0.1μm以上0.5μm以下である樹脂を含有した絶縁皮膜を両面に備えた電磁鋼板であって、圧延方向の磁束密度B50が1.85T以上、ビッカース硬さが100以上、180未満であることを特徴とする電磁鋼板。
- 鋼板素地と絶縁皮膜との間の酸化皮膜の厚さが1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板。
- 化学組成が重量%で、C:0.010%以下、Si:1.0以上、3.0%未満、Mn:0.80%以下、P:0.10%以下、S:0.030%以下、sol.Al:0.003〜0.020%、N:0.001〜0.010%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼のスラブを熱間圧延し、冷間圧延し、860〜980℃に加熱して一次再結晶焼鈍を施し、窒素含有量が5体積%以下、残部が水素ガスおよび/または窒素を除く不活性ガスからなる雰囲気中で750℃以上、Ac1変態点以下に加熱して二次再結晶焼鈍した後、樹脂を含有する絶縁皮膜を施すことを特徴とする請求項1または2に記載の電磁鋼板の製造方法。
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