JP3799244B2 - 気体ばね式除振装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば半導体製造装置や精密計測装置等の被支持体を床振動から略絶縁した状態で設置するために、それらの荷重を気体ばねを介して支持するようにした除振装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の除振装置として、例えば特開平11−132286号公報に開示されるように、平面視で略矩形状をなす筐体の中央部に精密機器等の荷重を支持するダイヤフラム形空気ばねを設けるとともに、その周囲に水平方向の荷重を受けるようにベローズ形空気ばね(以下、単にベローズという)を配設したものが知られてる。このものでは、水平方向の除振性能を高めるために、中央の空気ばねのダイヤフラムをローリング作動膜と呼ばれる極めて剛性の低い薄い弾性膜により形成し、水平方向の荷重に関しては別に設けたベローズによって支持するようにしている。
【0003】
また、一般的に、気体ばね式除振装置において、被支持体の実際の振動状態をセンサにより検出し、この検出値に応じて気体ばねの気体圧を変更することで、その振動を打ち消すような逆位相の制御振動を付加するという、いわゆるアクティブ制振機能を有するものがある(例えば、特開平3−219141号公報を参照)。そして、被支持体に水平方向の制御振動を付加するための水平方向のアクチュエータとしては、前記前者の従来例のようなベローズが使用されることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記両従来例のように、水平方向のばねないしアクチュエータとしてベローズを使用すると、そのことが除振装置の上下方向の除振性能を損なう虞れがある。すなわち、一般的に、ベローズの軸方向のばね特性は非常に柔らかなものであるが、軸に直交する方向(以下、軸直交方向ともいう)のばね特性は、主としてゴム膜の材質や形状によって大きく左右される。このため、ベローズを水平方向に配置した除振装置において上下方向のばね特性を十分に柔らかくしようとすれば、ベロースのゴム膜を剛性の低いものとせざるを得ない。
【0005】
しかし、そのようにベロースのゴム膜の剛性を低下させると、その軸直交方向の復元力が低下するから、ヒステリシスによる位置ずれの問題が大きくなる。一方、位置決め精度を確保するためにベローズのゴム膜の剛性を高くすると、そのことによって軸直交方向のばね特性が硬くなることが避けられず、その分、除振装置全体としても上下方向のばね特性が硬くなってしまい、このことが除振性能の低下を招くことになるのである。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上下及び水平方向の気体ばねを備えた気体ばね式除振装置において、それら気体ばねの構成に工夫を凝らし、上下及び水平方向の位置決め精度を確保しながら、尚かつ、気体ばねの特性はできるだけ柔らかなものとして、除振性能の向上を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の解決手段では、ダイヤフラム形気体ばねのピストンにジンバル機構を組み込むこと(以下、ジンバルピストンともいう)によって、その気体ばねのばね特性を軸方向だけでなく軸直交方向についても非常に柔らかなものとすることができることに着目し、除振装置における上下及び水平方向の気体ばねをいずれもジンバルピストンにより構成するものとした。
【0008】
具体的に、請求項1の発明では、固定基台に対して、被支持体を上下方向に支持する上下方向の気体ばねと該被支持体を水平方向に支持する水平方向の気体ばねとを設けた気体ばね式除振装置を前提とし、前記水平方向の気体ばねは、固定基台を挟む水平方向の両側部位において互いに中心軸が略一致するように対向配置するものとする。
【0009】
そして、前記上下及び水平方向の各気体ばねとしては、それぞれ、前記固定基台において外方に向かって開口するように設けられた凹部と、該凹部の開口近傍に配置されたピストンと、該ピストンと凹部の開口周縁との間を閉塞して気体室を区画するダイヤフラムとを備えるものとし、さらに、前記ピストンを、その中心軸の方向で相対的に凹部から遠くなる一側に配置された荷重受部材と、該荷重受部材から軸方向他側に離間しかつ中心軸に直交する任意の直交軸の周りに揺動可能に前記ダイヤフラムにより弾性的に保持された筒状のピストン本体部材とからなるものとし、その上で、前記荷重受部材からピストン本体部材の中心孔を貫通するように軸方向他側に向かって延びる支持柱を設ける一方、前記ピストン本体部材には前記支持柱を囲むように軸方向他側に向かって延びる有底筒状の延出部を設けて、この延出部の底部に前記支持柱の先端部を転動自在に当接させて枢支させる構成とする。
【0010】
前記の構成により、本発明に係る気体ばね式除振装置では、まず、被支持体が上下方向の気体ばねにより支持されていて、その気体ばねの本来の特性として軸方向、即ちこの場合は上下方向の固有振動数(系に固有の共振周波数)が極めて低くなることから、この気体ばねにおいて上下方向の振動に対して広い周波数領域に亘る優れた除振効果が得られる。
【0011】
また、前記上下方向の気体ばねにおいて、軸直交方向、即ち水平方向の振動に対してはピストン本体部材が水平面内の任意の軸の周りに揺動することで、該ピストン本体部材の延出部の底部に支持柱を介して枢支されている荷重受部材が水平方向に変位し、これにより振動の吸収がなされることになる。この際、前記支持柱のピストン本体部材による支持点が該ピストン本体部材のダイヤフラムによる保持位置よりも低い位置にあることで、荷重受部材の水平方向変位に対するダイヤフラムのばね特性が非常に柔らかなものとなり、このことによって、水平方向についても固有振動数を十分に低くすることができる。
【0012】
さらに、そのように揺動するピストン本体部材に対して、支持柱を介して作用する上下方向の荷重(気体ばねの軸方向荷重)が該ピストン本体部材の揺動を抑止して、中立の位置に戻そうとする復元力となり、これにより荷重受部材の位置決め精度が十分に得られる。
【0013】
そして、前記構成では、被支持体を水平方向に支持する水平方向の気体ばねが前記した上下方向の気体ばねと同様の構成を有するものなので、該水平方向の気体ばねの軸方向だけでなく、軸直交方向の1つである上下方向についてもばね特性を極めて柔らかなものとし、尚かつ十分な位置決め精度を得ることができる。
【0014】
つまり、この発明に係る除振装置によれば、上下方向及び水平方向の気体ばねとして、ジンバルピストンを備えたものを採用することで、ベローズのような弊害をなくして、除振装置の上下方向及び水平方向の両方について優れた除振性能と高い位置決め精度とを両立できる。
【0015】
加えて、前記の構成では、前記水平方向の気体ばねが、固定基台を挟む水平方向の両側部位において互いに中心軸が略一致するように対向配置されているので、上下方向気体ばねの荷重受部材が、水平方向の一対の気体ばねにより、水平方向に離れた複数箇所で支持されることになり、これにより、被支持体の荷重を安定的に支持することができる。
【0016】
請求項2の発明では、上下方向の気体ばをねとして、ピストンの荷重受部材の下面が支持柱の上端面に当接して支持されていて、該支持柱の上端面が球面により構成されているものとする。
【0017】
このことで、上下方向の気体ばねにおいては水平方向の振動に対し、ピストン本体部材の揺動運動のみならず、荷重受部材と支持柱とが相対的に転動することによっても、該荷重受部材が水平方向に変位することになり、これにより振動の吸収がなされることから、除振装置の水平方向のばね特性がより一層、柔らかなものとなる。また、前記上下方向の気体ばねにおける水平方向の復元力は低下することになるが、水平方向の気体ばねにより復元力を得ることができるので、除振装置全体では位置決め精度は十分なものとなる
【0018】
請求項の発明では、請求項1又は2のいずれかの発明において、水平方向に対向配置された一対の気体ばねの各気体室同士を連通する連通路を設けるものとする。
【0019】
このことで、水平方向に対向する一対の気体ばねの各気体室同士が連通路によって連通されていることで、該一対の気体ばねはいずれも軸方向のばね定数が極端に小さなものとなり、これにより、当該軸方向について除振装置全体としてのばね定数を極小化することができるから、除振性能の可及的な向上が可能となる。尚、その場合でも、水平方向の気体ばねにおいて軸直交方向の復元力は失われないから、これにより位置ずれを防止することが可能になる。
【0020】
請求項の発明では、請求項1又は2のいずれかの発明において、荷重受部材の上下ないし水平方向の加速度を検出する検出手段と、上下ないし水平方向の気体ばねの気体圧を調整する調整手段と、前記検出手段による検出結果に基づいて、前記荷重受部材の上下ないし水平方向の振動を抑制するように、前記調整手段により気体ばねの気体圧を変更調整させる制御手段とを設ける構成とする。
【0021】
この構成では、上下ないし水平方向の気体ばねの気体圧を調整手段の作動によって変更調整することにより、被支持体の振動を能動的に抑制することが可能になる(アクティブ制振制御)。一方、この場合には、上下方向だけでなく水平方向の気体ばねが必須の構成要素となるから、この水平方向の気体ばねとしてベローズ等を用いれば、そのベローズの軸直交方向のばね特性が硬くなって、除振性能の低下が免れ得ないところ、本願の請求項1、2の各発明のように水平方向にもジンバルピストンを備えた気体ばねを採用して、軸直交方向のばね特性を非常に柔らかなものにできるという作用効果が特に有効なものとなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0023】
(実施形態1)
図1は、本発明に係る気体ばね式除振装置を使用した精密除振台Aの一例を示し、この精密除振台Aは、例えば、図示しない半導体検査装置や電子顕微鏡、光学式計測装置等の精密機器を搭載して、それらの機器を床からの振動と略絶縁した状態で設置するためのものである。すなわち、前記精密除振台Aの概略構成は、図示の如く、床面に設置される下側構造部1と、その下側構造部1の上面の4隅にそれぞれ配設された空気ばね式のアイソレータ2,2,…(除振装置)と、該4つのアイソレータ2,2,…の上部に搭載された搭載盤3とからなる。
【0024】
前記下側構造部1は、鋼製角パイプの構造部材を概ね直方体形状となるように櫓組みしたものであり、それぞれ上下方向に延びる4本の脚部4,4,…と、その隣接する2本の脚部4,4同士を下端側で連結するように水平方向に延びる下梁部5,5,…と、それら4本の脚部4,4,…の上端側外周を囲んで平面視で略矩形の枠状となるように配置され、それぞれ内側面が脚部4,4,…の外側面に接合されるとともに、上面が該脚部4,4,…の上端面と同一平面上に位置付けられた上梁部6,6,…とからなる。そして、前記各脚部4の上端面からその外側を囲む上梁部6,6の上面に亘って、水平板7,7,…が配設されていて、この各水平板7上にそれぞれアイソレータ2が配設されている。また、下側構造部1の長手方向に延びる2つの下梁部5,5の下面には、移動用のキャスター8,8,…が2つずつ配設されるとともに、各脚部4の下端面にはそれぞれ高さ調整用のレベラー9,9,…が配設されている。
【0025】
(アイソレータの構成)
前記アイソレータ2は、図2及び図3に示すように、精密除振台Aの下側構造部1に固定される略直方体形状のインナケーシング10(固定基台)と、下方が開口する箱状に形成されて、前記インナケーシング10を上方から覆うように配置されたアウタケーシング20とからなり、このアウタケーシング20は、インナケーシング10の上部及び左右両側部にそれぞれ設けられたダイヤフラム形空気ばねS1,S2,S2により支持されている。尚、以下、この明細書では図示のX方向を左右方向と呼び、Y方向を前後方向と、また、Z方向を上下方向とそれぞれ呼ぶものとする。
【0026】
前記インナケーシング10は、前後左右の鋼製の側壁部材10a,10a,10b,10bの各下端部が同じく鋼製の底板部材10cの上面にそれぞれ接合されるとともに、隣接する側壁部材10a,10b同士の側縁部が接合されて、一体とされたものである。また、左右の両側壁部材10b,10bはそれぞれ厚みの大きなブロック状のものであり、上下方向の中間部分に外方に向かって開口するように断面円形の凹部11,11(図3にのみ示す)が形成されるとともに、上縁部には互いに向き合うように延出する半円弧形状の延出部が形成されていて、それら2つの延出部の間に、図4にも示すように円形の開口部12が形成されている。
【0027】
前記開口部12は、インナケーシング10の上面に開口するものであり、そこには空気ばねS1のピストンを構成するドーナツ状のピストン本体13が内挿されている。このピストン本体13はアルミニウム合金製であり、断面円形の中心孔13aが軸線Zに沿って上下方向に貫通する一方、外周の下側約半分には下端側に向かって僅かに縮径するテーパ面13bが形成されている。そして、該ピストン本体13の下端面13cから外周側のテーパ面13bを覆ってさらに外周側に延び、そこから開口部12の周縁までを閉塞するように、環状のダイヤフラム14が配設されている。すなわち、前記ダイヤフラム14及びピストン本体13によりインナケーシング10の上端開口部12が閉塞されて、その内部に空気室15が区画されており、そのピストン本体13の下端面13cが該空気室15に臨んで空気圧を受けることにより、上下方向の荷重を支持する上下方向の空気ばねS1が構成されている。
【0028】
前記ダイヤフラム14は、ポリエステル繊維の織物を補強材として埋設したゴム弾性膜からなり、図4に仮想線で示すように一旦、中心部分に丸穴が空いたハット状に形成した後に、そのハットの周壁部分を途中で湾曲させて下方に折り返すようにして、同図に実線で示す深皿形状としたものである。すなわち、ダイヤフラム14は、ハットの鍔の部分に相当する外周フランジ部14aの内周端縁に連続して、上方に凸に湾曲する環状ロール部14bが形成され、このロール部14bの内周端縁部が前記外周フランジ部14aよりも下方まで延びていて、そこからさらに内周側に向かって、前記の丸穴を囲むように内周フランジ部14cが形成されている。
【0029】
そして、同図に示すように、前記ダイヤフラム14の内周フランジ部14cがピストン本体13の下端面13cに接着されて、その下方からワッシャ16によりピストン本体13に対して強固に圧着されている。一方、ダイヤフラム14の外周フランジ部14aは、インナケーシング10の上面に接着されて、その上部に配設された締付けリング17が図示しないボルトにより該インナケーシング10の上面に締結されることにより、該締付けリング17の下面とインナケーシング10の上面との間に挟持されている。
【0030】
そうして、そのように配設されたダイヤフラム14は、環状ロール部14bがピストン本体13と締付けリング17との間で上下にうねるようにかつ全周に亘って略均等に大きく撓むことで、ピストン本体13の上下方向の変位に対して大きな可撓性を有する。また、該ダイヤフラム14がピストン本体13を挟む左右両側のロール部14bにおいて反対向きに撓むことによって、ピストン本体13は水平方向の任意の軸の周りに容易に揺動するようになっている(図7参照)。一方、ダイヤフラム14はピストン本体13の水平方向の変位に対しては可撓性が極めて小さく、このため、該ピストン13は水平方向には殆ど変位しないことになる。
【0031】
前記ピストン本体13の下端面13cには、その内周側から略鉛直下方に向かって延びるように、円筒状のピストンウエル18(延出部)が取付けられている。このピストンウエル18は、ピストン本体13と同じアルミ合金製であり、その上端部がやや縮径されて、ピストン本体13の中心孔13aに螺入される縮径部18aとされている。そして、この縮径部18aの外周に螺設された雄ネジが中心孔13bの内周に螺設された雌ねじと螺合することにより、ピストンウエル18の上端側がワッシャ16と共にピストン本体13に対して強固に締結されている。また、前記ピストンウエル18の縮径部18aの先端がピストン本体13の中心孔13a内に突出し、該ピストンウエル18の中空部18bの上端が中心孔13aに連通する一方、該中空部18bの下端は円盤状の鋼製キャップ19により閉止されており、このキャップ19の上面には、後述の如くサポートロッド24の下端部を支持するために、表面硬度を高める熱処理加工が施されたウエルスラグ19aが形成されている。
【0032】
一方、前記ピストン本体13の上方には、搭載盤3と接するトッププレート21(荷重受部材)がピストン本体13から離間して配置されている。このトッププレート21は略矩形板状に形成され、アイソレータ2のアウタケーシング20の天井部をなし、その外周縁にはそれぞれ下方に垂下するように4枚のサイドプレート22,22,…の上縁が結合されていて、その各サイドプレート22の下端縁がインナケーシング10の底板部材10cの上面付近まで延びている。
【0033】
また、前記トッププレート21の下面略中央部には、上下方向に延びるサポートロッド24(支持柱)の上端部が締結され、このサポートロッド24がピストン本体13の中心孔13a及びピストンウエル18の中空部18bを貫通して略鉛直下方に延びていて、その下端部に配設された鋼球25が前記ウエルスラグ19aに転動自在に当接している。さらに、該サポートロッド24の下端側には、芯体26aの埋設されたゴム弾性リング26が外挿されて、サポートロッド24の下端部を常に軸線Z上に位置付けるようになっている。つまり、前記トッププレート21は、サポートロッド24を介してピストンウエル19の底部に枢支され、ピストン本体13に対して水平方向の任意の軸の周りに回動自在になっている。
【0034】
そして、前記図2に示すように空気室15に適正な空気圧が供給されている状態では、前記トッププレート21の下面がその下方の締付けリング17の上面から離間して上下に対向した状態になる一方、例えば空気室15の空気が抜けて、空気圧が大幅に低下したときには、トッププレート21の下面が締付けリング17の上面に当接して、該締付けリング17を介してインナケーシング10により支持される状態となるのである。
【0035】
上述したように、この実施形態のアイソレータ2は、トッププレート21やピストン本体13が略一体として上下方向に変位するように、上下方向の空気ばねS1により支持されるとともに、そのトッププレート21がサポートロッド24によりピストン本体13に対し枢支され、かつ該ピストン本体13がダイヤフラム14により揺動自在に支持されていて、それらトッププレート21、サポートロッド24及びピストン本体13によっていわゆるジンバルピストンが構成されている。そして、まず、空気ばねの特性として、その軸方向である上下方向の振動に関しては、図4に一例を示すような振動伝達特性を有し、固有振動数が略0.7〜1.5Hzと極めて低い周波数域に現れるとともに、広い周波数領域に亘り優れた除振性能が得られる。
【0036】
また、水平方向の振動に対しては、図7に示すように、アウタケーシング20及びサポートロッド24が水平方向に変位すると、ピストン本体13がダイヤフラム14により保持されつつ、水平方向の任意の軸の周りに揺動し、これにより振動が吸収されることになる。この際、そのピストン本体13のダイヤフラム14による保持位置よりも、サポートロッド24の下端部がウエルスラグ19aに枢支されている位置の方が低いことから、ダイヤフラム14のばね特性は非常に柔らかなものとなり、このことで、図6に一例を示すように、アイソレータ2による水平方向の除振性能が上下方向と同様に優れたものとなる。
【0037】
さらに、前記図7のように揺動するピストン本体13に対して、サポートロッド24を介して作用する上下方向の荷重(軸方向荷重)は、該ピストン本体13の揺動を抑止して、中立の状態(図2に示す状態)に戻そうとする復元力となる。そして、その復元力によってピストン本体13が中立の状態に戻されて、サポートロッド24が鉛直方向に延びる状態になると、トッププレート21も水平方向に変位する以前の所定の原点位置に戻ることになる。つまり、このアイソレータ2は、上下方向の空気ばねS1のジンバルピストンが弾性部材等のばね力によるものとは異なる機構学的なセルフセンタリング作用を有し、このことで、所要の位置決め精度が得られるものである。
【0038】
さらにまた、この実施形態のアイソレータ2では、後述するアクティブ制振制御のためのアクチュエータとして、インナケーシング10の左右両側壁部10bとそれぞれ対向するアウタケーシング20のサイドプレート22,22との間に水平方向の空気ばねS2,S2が配設されいてる。そして、本発明の特徴は、その左右一対の空気ばねS2,S2をそれぞれ前記上下方向の空気ばねS1と同様にジンバルピストンを備えるものとしたことにある。
【0039】
すなわち、図示の如く、インナケーシング10における左右両方の側壁部材10b,10bには、それぞれ、その外面に開口する凹部11に内挿され、かつ、サイドプレート22(荷重受部材)から左右方向に離間するように、前記上下方向の空気ばねS1と同様の中心孔28aを有するピストン本体28が配置されている。この各ピストン本体28と凹部11の開口周縁との間には環状のダイヤフラム29が配設されて、該凹部11内に空気室30が区画されており、この空気室30に臨む前記ピストン本体28の受圧面28b(軸方向他側の面)が空気圧を受けることにより、左右方向の荷重を支持する左右方向の空気ばねS2が構成されている。
【0040】
前記ピストン本体28の受圧面28bにはワッシャ31によりダイヤフラム29の内周フランジ部が固着されている一方、該ダイヤフラム29の外周フランジ部はインナケーシング10の側壁部材11aと締付けリング32とにより挟持されていて、該ピストン28の外周と締付けリング32との中間に、ダイヤフラム32の環状ロール部が位置している。そして、その環状ロール部がうねるように撓み変形することによって、ピストン本体28は軸方向である左右方向に大きく変位し、かつその軸方向に直交する任意の軸の周りに揺動するようになっている。また、前記ピストン本体28には、左右方向に延びるように円筒状のピストンウエル33(延出部)が取り付けられていて、その中空部33aとピストン本体28の中心孔28aとが連通する一方、ピストンウエル33の先端側には中空部33aを閉止するように鋼製キャップ34が配設されていて、このキャップ34の内面、即ちピストンウエル33の底面にウエルスラグが形成されている。
【0041】
さらに、前記ピストンウエル33の中空部33aを貫通して該ピストンウエル33と同軸に左右方向に延びるサポートロッド35(支持柱)が配置され、このサポートロッド35の基端部がアウタケーシング20のサイドプレート22に締結される一方、サポートロッド35の先端には前記ウエルスラグに回動自在に当接されるように鋼球36が配設されるとともに、ゴム弾性リング37が外挿されている。
【0042】
以上、要するに、水平方向の空気ばねS2においては、アウタケーシング20のサイドプレート22がサポートロッド35を介してピストンウエル33の底部に枢支されていて、該ピストンウエル33と一体のピストン本体28がダイヤフラム29により揺動自在に保持されており、これらのサイドプレート22、サポートロッド35及びピストン本体28により、ジンバルピストンが構成されている。そして、前記図2に示すように、空気室30に適正な空気圧が供給されている状態では、サイドプレート22及びピストン本体28は略一体として空気ばねS2の軸方向である左右方向に支持されて、その軸方向に関して極めて柔らかなばね特性が得られるとともに、前記上下方向の空気ばねS1と同様に、ジンバルピストンの機能によって、軸直交方向である上下方向や前後方向にについても極めて柔らかなばね特性が得られ、これにより、優れた除振性能が得られるものである。
【0043】
さらに、前記水平方向の空気ばねS2において、揺動するピストン本体28に対しサポートロッド33から作用する軸方向(図の左右方向)の荷重は、該ピストン本体28の揺動を抑止して中立の状態に戻そうとする復元力となるから、この水平方向の空気ばねS2も前記した上下方向の空気ばねS1と同様に機構学的なセルフセンタリング作用を有し、これにより所要の位置決め精度を得られるものである。
【0044】
尚、図2に示す符号38,38,38は、それぞれ、前記インナケーシング10の底板部材10cにおいて空気室15,30,30に個別に連通するように設けられた空気通路である。また、符号39,39,39は、それぞれ、前記空気通路38,38,…に個別に連通するように配設された空気バルブであり、この各空気バルブ39には、図示しないホースを介して各空気室15,30,…への空気の給排流量を調整するサーボ弁45,45,…(図8参照)が個別に接続されている。
【0045】
(空気圧の制御)
この実施形態に係る精密除振台Aは、前記の如く4つのアイソレータ2,2,…によって床からの振動の伝達を防ぐだけでなく、その各アイソレータ2,2,…における空気ばねS1,S2の圧力をコントローラ40により制御して、搭載盤3に対し上下方向及び水平方向の制御振動を積極的に付加することにより、該搭載盤3上の機器から発生する振動を能動的に抑制できるようにした、いわゆるアクティブ制振機能を有するものである。
【0046】
すなわち、前記各アイソレータ2には、図8に模式的に示すように、トッププレート21の上下方向の変位及び加速度をそれぞれ検出する非接触式変位センサ41及び加速度センサ42と、同様にサイドプレート22の水平方向の変位及び加速度をそれぞれ検出する変位センサ43及び加速度センサ44とが配設されていて、該各センサ41〜44からの出力信号がそれぞれコントローラ40に入力される。一方、前記コントローラ40からの制御信号はアイソレータ2の各空気ばねS1,S2,…毎のサーボ弁45,45,…に出力され、この制御信号を受けた各サーボ弁45の作動により、各空気ばねの空気室15,30,…への空気の給排流量がそれぞれ調整されて、該各空気ばねの圧力が速やかに変更されるようになっている。尚、図示しないが、前記サーボ弁45は、圧搾空気を貯留するリザーバタンクに接続されており、同様に該リザーバタンクに接続された電動ポンプの作動により、リザーバタンク内の空気圧が所定値に維持されるようになっている。
【0047】
前記コントローラ40によるサーボ弁45の制御の内容は、例えば水平方向の制御について、各アイソレータ2毎に概ね図9のブロック図に示すようになっていて、コントローラ40は、予め設定した基準位置の情報と、水平方向の変位センサ43及び加速度センサ44からの信号とに基づいて、サーボ弁45のデューティ比を演算し、これを制御信号として出力する。この制御信号を受けたサーボ弁45によりアイソレータ2の水平方向の空気ばねS2の空気圧が調整されるとともに、床からの振動と搭載盤3上の機器が発生する振動とが外乱fとなって、該アイソレータ2のアウタケーシング20が振動する。このとき、図に仮想線で囲んだ制御対象であるトッププレート21の水平方向加速度(X″)が加速度センサ44により検出されて、コントローラ40にフィードバックされるとともに、この加速度(X″)の2乗に相当するトッププレート21の水平方向の変位(X−X0)が変位センサ43により検出されて、コントローラ40にフィードバックされる。
【0048】
そして、前記加速度センサ42からの信号に基づいて、トッププレート21水平方向振動をキャンセルするように、即ち、トッププレート21に対してその水平方向振動と略同じ振幅で逆位相の水平方向の制御振動を付与するような、水平方向の空気ばねS2,S2の圧力変化状態が求められるとともに、変位センサ43からの信号に基づいて、トッププレート21の基準位置からの偏差が小さくなるような空気圧が演算され、それら2つの条件をできるだけ満足する空気圧となるように、サーボ弁45のデューティ比が演算される。
【0049】
尚、そのような空気圧の制御は、空気ばねの応答性が限界となって、あまり高い周波数の振動には追従できないから、前記のアクティブ制振制御は概ね200Hz以下の周波数の振動に対応して行われることになる。また、前記サーボ弁45のデューティ比の演算については従来周知の種々の手法を用いればよく、ここでは具体的な記載は省略するが、例えばPID制御を適用することができる。或いは、トッププレート21の上下方向の加速度、速度及び位置の情報を状態変数とする状態フィードバック制御を適用することもでき、さらに、搭載盤3上の機器が発生する振動が既知のものであれば、これをリファレンス信号としてフィードフォワード制御を行うようにしてもよい。
【0050】
そうして、前記のアクティブ制振制御によって、この実施形態の精密除振台Aによれば、搭載盤3上の機器等から発生する振動を抑制することができるとともに、床からの振動の絶縁に関してアイソレータ2の共振現象をなくすことが可能になり、このことで、図10に一例を示すように除振性能を一層、向上することができる。すなわち、同図に破線で示すグラフ(P)は、アクティブ制振制御を行わないもの(以下、パッシブタイプという)の水平方向振動の伝達特性を対数目盛で表示したもので、前記図5に示すグラフと同様に、極めて低い周波数域において共振点R1が現れている。これに対し、この実施形態のようなアクティブ制振制御を行えば、図に実線で示すグラフ(A)のように共振点R1をなくすことができ、パッシブタイプのものと比較してより低い周波数域からさらに優れた除振性能が得られることが分かる。
【0051】
したがって、この実施形態1に係る精密除振台Aによれば、まず、搭載盤3を支持する各アイソレータ2の上下方向の空気ばねS1として、ジンバルピストンを備えるものを採用したことで、この空気ばねにより上下方向及び水平方向について広い周波数領域に亘る優れた除振効果が得られる。また、アイソレータ2の左右両側に水平方向の荷重を支持するように一対の空気ばねS2,S2を対向配置して、この各空気ばねS2の空気圧を前記上下方向の空気ばねS1と共に変更することにより、トッププレート21に対しその振動をキャンセルするような制御振動を能動的に付加するアクティブ制振機能が得られ、さらに、除振性能のさらなる向上が図られる。
【0052】
そして、本願発明の特徴として、この実施形態に係るアイソレータ2では、前記水平方向の空気ばねS2として、上下方向のものと同様にジンバルピストンを備えたものを採用することで、ベローズ等を用いた場合に発生する空気ばねの軸直交方向のばね特性の劣化や位置決め精度の低下といった不具合を招くことがなくなり、アイソレータ2全体として上下方向及び水平方向の両方で高い位置決め精度を確保しながら、尚かつ全ての方向に亘って非常に柔らかなばね特性を得て、除振性能を十全に向上させることができる。しかも、このことで、前記したアクティブ制振制御による作用効果も最大限に得ることができる。
【0053】
(変形例)
図11は、アイソレータ2における空気ばねとしていわゆるドームジンバルピストンを採用した変形例を示す。このドームジンバルピストンは、前記実施形態において説明したジンバルピストンに対し、さらに、トッププレート21又はサイドプレート22とサポートロッド24,33との間に転動子を介設して、空気ばねS1,S2の軸方向に対し直交する軸直交方向の荷重が入力したときに、該トッププレート21又はサイドプレート22と転動子とが相対的に転動することによって、振動を吸収できるようにしたものである。
【0054】
具体的に、上下方向の気体ばをねについて説明すると、図示のように、トッププレート21を支持するサポートロッド24の上端部には、厚肉の円盤状の転動子48が配設され、この転動子48の上面が球面状とされていて、そこにトッププレート21の下面が当接して転動自在に支持されている。このため、上下方向の空気ばねS1においては、水平方向の振動に対しピストン本体13の揺動運動のみならず、トッププレート21と転動子48との間の転動運動によっても振動が吸収されることになり、このことで、アイソレータ2の水平方向のばね特性がより一層、柔らかなものとなって、除振性能のさらなる向上が図られる。
【0055】
また、同様に左右一対の空気ばねS2,S2についてもドームジンバルピストンを用いることにより、上下方向や前後方向等、軸直交方向のばね特性をより一層、柔らかなものとすることができ、このことで、除振性能をさらに高めることができる。
【0056】
尚、前記したように、例えば上下方向の空気ばねS1にドームジンバルピストンを用いるようにすると、水平方向のばね定数が低下することによって、水平方向の復元力も低下することになるが、例えば左右方向については左右方向の空気ばねS2,S2により復元力を得ることができるので、位置決め精度は十分に高くなる。また、除振台Aの4つのアイソレータ2,2,…のうち、2つのアイソレータ2,2については左右方向に一対の空気ばねS2,S2を備えるものとし、また、残りの2つのアイソレータ2,2については前後方向に一対の空気ばねS2,S2を備えるものとすれば、除振台Aとしては水平方向全体に過不足のない位置決め精度を得ることができる。
【0057】
(実施形態2)
図12及び図13は、本願発明の実施形態2に係るアイソレータ50の構成を示し、このアイソレータ50は、図12から明らかなように前記実施形態1のものやその変形例と同様の構成を有するものであるから、それらと同じ部材については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0058】
そして、この実施形態2のアイソレータ50は、前記実施形態1のものとは異なり、アクティブ制振制御を行わないパッシブタイプのものであって、その特徴は、前記図13に示すように、水平方向の空気ばねS2をアイソレータ50の左右だけでなく、前後にも対向配置し、さらに、その前後ないし左右の気体ばねの各空気室30を互いに連通させたことにある。
【0059】
詳しくは、この実施形態2のアイソレータ50では、まず、前記変形例のものと同様に、上下方向の空気ばねS1としてドームジンバルピストンを採用している。そして、この上下方向の空気ばねS1においては転動子48上面の曲率の設定によって、ジンバル機構による機構学的な復元力を調整することができるから、該上下方向の空気ばねS1における水平方向のばね定数は略0とすることができる。
【0060】
また、図12に示すように、水平方向のの空気ばねS2,S2,…の空気室30,30,…は、互いにバルブ39,39,…の上流側に連通する連通路52によって連通されていて、さらに、その各連通路52の途中には空気の流通量を絞るオリフィス53が配設されている。このように各空気ばねS2の空気室30同士が連通されていることで、それらの空気ばねS2はいずれも軸方向のばね定数が極端に小さなものとなり、前記したように上下方向の空気ばねS1における水平方向のばね定数が小さくなることとも相俟って、アイソレータ50全体としても、水平方向のばね定数を可及的に低下させることができる。
【0061】
したがって、この実施形態2に係る精密除振台Aによれば、上下方向の空気ばねS1にドームジンバルピストンを用いるとともに、水平方向の空気ばねS2,S2,…の空気室30,30,…同士を連通することによって、アイソレータ50の水平方向のばね定数を可及的に低下させ、このことによって固有振動数を約0Hzとすることも可能になるから、パッシブタイプの除振装置でありながら、実質的に共振点のない理想的な除振性能を得ることができる。
【0062】
しかも、そのようにしたとしても、水平方向の空気ばねS2,S2,…における空気室30,30,…の圧力をある程度、高くしておけば、該各空気ばねS2においてそれぞれ軸方向の押圧力が得られ、また、該ピストン28の外周側に適当な形状のテーパ部を設けることにより、水平方向の変位に対して左右の空気ばねの押圧力に差を生じ、これにより軸直交方向の復元力が得られるから、アイソレータ50全体としては水平方向の位置決め精度を確保することができる。尚、連通路52,52,…にオリフィス53,53,…が配設されていることで、空気の流通抵抗による減衰力も得られるようになっているが、このオリフィス53については設けないことも可能である。
【0063】
(他の実施形態)
本願発明は、前記実施形態1,2等の構成に限定されるものではなく、その他の種々の構成を包含するものである。すなわち、本願発明に係る除振装置は、前記実施形態1のようなアクティブタイプのものであっても、また、実施形態2のようなパッシブタイプのものであってもよく、そのいずれについても、上下方向及び水平方向の空気ばねS1,S2としてジンバルピストン又はドームジンバルピストンのいずれかを備えるものとすればよい。
【0064】
また、水平方向の空気ばねS2としては、前記実施形態1のように互いに対向する一対の空気ばねS2,S2を備えるものとしても、また、実施形態2のように前後左右にそれぞれ対向させて互いに対をなす2組の空気ばねS2,S2,…を備えるようにしてもよい
【0065】
さらに、空気ばねS1,S2の代わりに、例えば窒素ガス等を充填した気体ばねを用いることも可能である。
【0066】
加えて、前記各実施形態では、4個のアイソレータ2,50を用いて除振台Aを構成するようにしているが、これに限らず、例えば、半導体製造装置等の防振支持のために、それらの装置に合わせて専用に設計した搭載盤を3〜4本のアイソレータ(除振装置)により支持する構成としたり、或いは、クリーンルームのグレーチング床へ埋め込む可動床を同様にアイソレータにより支持する構成とすることもできる。
【0067】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1の発明に係る気体ばね式除振装置によると、被支持体を固定基台に対して上下及び水平方向にそれぞれ支持する気体ばねとして、上下方向だけでなく水平方向についてもジンバルピストンを備えたものを採用することで、ベローズのように軸直交方向のばね特性を劣化させることなく、除振装置の上下方向及び水平方向の両方で優れた除振性能と高い位置決め精度とを両立できる。また、水平方向の気体ばねを互いに中心軸が略一致するように対向配置することで、被支持体の荷重をより安定的に支持できる。
【0068】
請求項2の発明によると、上下方向の気体ばをねとして、ピストンの荷重受部材の下面を支持柱の上端面に転動自在に当接支持する構成とすることで、水平方向のばね特性をより一層、柔らかなものとして、除振性能をさらに向上できる
【0069】
請求項の発明によると、水平方向に対向する気体ばねの各気体室同士を連通することで、該一対の気体ばねの軸方向のばね定数を極小化して、水平方向の除振性能を可及的に向上できる。
【0070】
請求項の発明によると、気体ばねの気体圧の制御により被支持体の振動を能動的に抑制できるとともに、この場合に必須の構成となる水平方向のアクチュエータとして、ジンバルピストンを備えた気体ばねを採用することの効果が特に有効なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る精密除振台Aの全体構成を示す斜視図である。
【図2】 アイソレータ(気体ばね式除振装置)の概略構成を、アウタケーシングを除いた状態で示す斜視図である。
【図3】 アイソレータの縦断面図である。
【図4】 ピストン本体及びダイヤフラムのケーシングに対する取付け構造を示す分解斜視図である。
【図5】 アイソレータによる上下方向の除振性能の一例を示すグラフ図である。
【図6】 アイソレータによる水平方向の除振性能の一例を示すグラフ図である。
【図7】 アウタケーシングが水平方向に変位した状態の図3相当である。
【図8】 アイソレータのアクティブ制振制御システムの概略構成図である。
【図9】 アクティブ制振制御のブロック図である。
【図10】 アクティブ制振制御による水平方向の除振性能をパッシブタイプと対比して示すグラフ図である。
【図11】 変形例に係るドームジンバルピストンを備えたアイソレータの構成を示す図3相当図である。
【図12】 実施形態2に係るパッシブタイプのアイソレータの構成を示す図3相当図である。
【図13】 実施形態2のアイソレータの構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
A 精密除振台
S1,2 空気ばね(気体ばね)
Z 鉛直方向の軸線
2 アイソレータ(除振装置)
3 搭載盤(被支持体)
10 インナケーシング(固定基台)
11 凹部
12 開口部
13,28 ピストン本体(ピストン本体部材)
14,29 ダイヤフラム
15,30 空気室(気体室)
18,33 ピストンウエル(延出部)
19 ウエルスラグ(延出部の底部)
18b,33a 中空部
20 アウタケーシング
21 トッププレート(荷重受部材)
22 サイドプレート(荷重受部材)
24,35 サポートロッド(支持柱)
40 コントローラ(制御手段)
42,44 加速度センサ(検出手段)
45 サーボ弁(調整手段)
48 転動子
52 連通路

Claims (4)

  1. 固定基台に対して、被支持体を上下方向に支持する上下方向の気体ばねと、該被支持体を水平方向に支持する水平方向の気体ばねとを設けた気体ばね式除振装置において、
    前記水平方向の気体ばねは、固定基台を挟む水平方向の両側部位において互いに中心軸が略一致するように対向配置されており、
    前記上下及び水平方向の各気体ばねは、それぞれ
    前記固定基台において外方に向かって開口するように設けられた凹部と、
    前記凹部の開口近傍に配置されたピストンと、
    前記ピストンと凹部の開口周縁との間を閉塞して気体室を区画するダイヤフラムとを備えてなり、
    前記ピストンが、
    その中心軸の方向で相対的に凹部から遠くなる一側に配置された荷重受部材と、
    前記荷重受部材から軸方向他側に離間し、かつ中心軸に直交する任意の直交軸の周りに揺動可能に前記ダイヤフラムにより弾性的に保持された筒状のピストン本体部材とからなり、
    前記荷重受部材からピストン本体部材の中心孔を貫通するように軸方向他側に向かって延びる支持柱が設けられる一方、
    前記ピストン本体部材には、前記支持柱を囲むように軸方向他側に向かって延びる有底筒状の延出部が設けられ、
    前記延出部の底部に前記支持柱の先端部が転動自在に当接して枢支されていることを特徴とする気体ばね式除振装置。
  2. 請求項1において、
    上下方向の気体ばねは、ピストンの荷重受部材の下面が支持柱の上端面に当接して支持されていて、該支持柱の上端面が球面により構成されていることを特徴とする気体ばね式除振装置。
  3. 請求項1又はのいずれかにおいて、
    水平方向に対向配置された一対の気体ばねの各気体室同士を連通する連通路が設けられていることを特徴とする気体ばね式除振装置。
  4. 請求項1又は2のいずれかにおいて、
    荷重受部材の上下ないし水平方向の加速度を検出する検出手段と、
    上下ないし水平方向の気体ばねの気体圧を調整する調整手段と、
    前記検出手段による検出結果に基づいて、前記荷重受部材の上下ないし水平方向の振動を抑制するように、前記調整手段により気体ばねの気体圧を変更調整させる制御手段とが設けられていることを特徴とする気体ばね式除振装置
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