JP3799198B2 - セラミックヒータの抗折強度測定方法 - Google Patents

セラミックヒータの抗折強度測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばグロープラグに用いられるセラミックヒータの抗折強度測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば図11(a)に示すように、金属製の外筒101の先端にセラミックヒータ102を保持させたグロープラグ100が知られており、ディーゼルエンジン等の始動促進に使用されている。セラミックヒータ102は、例えば棒状の絶縁性セラミック基体103の先端部に、導電性セラミックスにより形成されたU字形のセラミック発熱体104(抵抗発熱体)を埋設し、その両端に接続されたリード線105を介して通電することによりこれを抵抗発熱させるものとして構成される。ここで、リード線105は、その先端部をセラミック発熱体104の各端部内に埋設することによりこれに接続される。この他にも導電性セラミックの代りに、タングステン線等の高融点金属を用いた抵抗発熱体を埋設した形式のセラミックヒータも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなセラミックヒータ102において、発熱用ヒータやディーゼルエンジン等の始動促進用グロープラグ100等の製造工程中、若しくは使用中に、セラミック発熱体104にクラックKが発生したり、リード線105に断線Sを生じたりする場合がある(図11(b))。即ち、ホットプレス焼成後のセラミックヒータ102(セラミック基体103)表面研磨作業の際やグロープラグ100の製造工程における外筒101のろう付け作業の際の機械的な外力を受けたり、又は使用中におけるセラミック発熱体104の冷熱サイクルに伴う熱応力を受けることによって、クラックKや断線Sの発生を見る場合がある。
【0004】
このようなクラックKや断線Sが発生するのは、セラミックヒータ102の製造工程中におけるホットプレス焼結時に、脱脂工程で除去されなかった有機バインダに含まれる残炭素分がリード線105の表面において反応層Tを形成し、この反応層Tが機械強度的に弱い領域となっているのが一因と考えられる。即ち、このような反応層は焼結していないため、緻密化していないがさがさの状態の領域がセラミックヒータ102内に存在することになる。セラミックヒータ102内の限られた断面積内にこのような緻密化していない領域が存在することにより、セラミックヒータ102の機械的強度が不足することになるものと考えられる。また、リード線105とセラミック発熱体104との材質上の差異に伴い、両者の熱膨張率の差が、クラックKや断線Sの発生に関与していることも充分に予測される。
【0005】
リード線105として多くの場合W(タングステン)又はW合金が使用されている。リード線105をPt(白金)等の他の高融点金属で構成することも考えられるが、これらの金属を用いても反応層Tの形成が常になくなるとは限らないこと、及びリード線105とセラミック発熱体104との材質上の差異に伴う両者の熱膨張率の差は依然として存在することから、クラックKや断線Sの発生を抑制ないし防止し得る他の効果的な手段が望まれている。
【0006】
本発明の課題は、高融点金属又は導電性セラミックスからなる抵抗発熱体におけるクラックの発生、及びリード線における断線の発生を抑制ないし防止し得るセラミックヒータの抗折強度測定方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記課題を解決するために、本発明に係るセラミックヒータの抗折強度測定方法は、
軸直交断面で外径2Rを有する軸状の絶縁性セラミック基体と、
そのセラミック基体に埋設されるとともに、方向変換部を介して繋がれた両端部を有する抵抗発熱体と、
前記セラミック基体に埋設されるとともに、自身の一端部が前記抵抗発熱体の両端部にそれぞれ挿入・埋設される一対のリード線とを備えるセラミックヒータの抗折強度測定方法であって、
間隔lを隔てて配置された2つの支点上に、任意の前記リード線の表面と前記セラミック基体の表面との最短距離を形成する方向を下に向けて載置し、
前記両支点間の中央であって、前記抵抗発熱体に対する前記リード線軸線方向における挿入深さの中点において、上方から荷重を印加したとき、
破断時の最大荷重から導かれる最大曲げ応力である抗折強度σが、
σ=(P・l)/(π・R
で求められることを特徴とする。
【0008】
上記本発明によれば、抵抗発熱体におけるクラックの発生及びリード線における断線の発生を抑制し又は防止するのに充分な機械的強度である抗折強度(最大曲げ応力)σが400MPa以上のセラミックヒータが、確実に得られる。したがって、製造工程を大幅に変更したりすることなく、クラックや断線の発生を抑制し又は防止できる。
【0009】
しかも本発明のリード線は、W又はW合金により形成することができるので、既存のセラミックヒータと同様の加熱性能を維持しつつ、製造段階や使用段階でのリード線における断線の発生を抑制又は防止して、歩留まりや品質の向上も図ることができる。
【0010】
さらに本発明の抵抗発熱体は、導電性セラミックスにより形成されたセラミック発熱体としてもよい。耐久性に優れた特性を有する(繰り返し使用に耐える)導電性セラミックスを用いることにより、セラミックヒータの寿命を向上させることができる。一方、機械的強度を増すためにリード線をセラミックヒータの中心軸線に近づけて配置するとき、リード線の接続重なり(埋設)部分の抵抗発熱体もセラミックヒータの中心軸線に近づけて、すなわちセラミックヒータの表面からは遠ざけて配置される場合がある。この場合には発熱特性(短時間でのヒータ表面の昇温)からみると不利となる。しかし、発熱特性に優れた導電性セラミックスの採用により、これらの不利は解消可能となる。
【0011】
ここで、上記導電性セラミックスは、導電性を担う成分としてW,Mo,Ti,Ta,Nb,Crから選ばれた少なくとも1種の炭化物、窒化物又は珪化物を含有することができる。これらの導電性セラミックスの採用により、一層発熱特性に優れたセラミックヒータが得られる。
【0012】
さらに本発明のリード線の端部は、セラミック発熱体に埋設され、セラミック発熱体に対するリード線の軸線方向の挿入深さHを、0.3≦H≦7mmに設定できる。0.3mm未満の場合には、リード線のセラミック発熱体からの脱落やリード線とセラミック発熱体との間の導通不良の可能性が高まる。また、7mmを超える場合には、リード線の接触面積が増大するため反応層の領域が増える。反応層の領域が増加すると、この部分の機械的強度が低下する恐れが大きくなる。したがって、リード線を上記の範囲でセラミック発熱体に埋設することにより、セラミックヒータの機械的強度を確保できるとともに、セラミックヒータの製造工程中に、リード線とセラミック発熱体との間に導通不良を生じたり、リード線が折れたりする不良数を減らすことができるため、製品歩留まりが向上する。
【0013】
さらに本発明のリード線の線径φDは、0.2≦φD≦0.8mmに設定できる。0.2mmよりも小さい場合には、リード線の電気抵抗値が上昇するため、発熱体に十分な電力を供給することが困難になり、また断線を生じやすくなる。また、0.8mmを超える場合には、リード線の接触面積が大きくなるため、反応層の形成される面積が増大する。セラミックヒータ内の限られた断面積内にこのような緻密化していない反応層の面積が増大すると、セラミックヒータの機械的強度が不足することになる。したがって、リード線径をこの範囲内に収めることにより、発熱体に十分な電力を供給することができるとともに、セラミックヒータの強度を確保することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係るセラミックヒータを用いたグロープラグを、その内部構造とともに示すものである。すなわち、グロープラグ50は、その一端側に設けられたセラミックヒータ1と、セラミックヒータ1の先端部2が突出するようにその外周面を覆う金属製の外筒3、さらにその外筒3を外側から覆う筒状の金属ハウジング4等を備えている。そして、セラミックヒータ1と外筒3との間及び外筒3と金属ハウジング4との間は、それぞれろう付けにより接合されている。また、セラミックヒータ1の後端部には、金属線により両端が弦巻ばね状に形成された結合部材5の一端が外側から嵌合されるとともに、その他端側は、金属ハウジング4内に挿通された金属軸6の一方の端部に嵌着されている。そして、金属軸6の他方の端部側は金属ハウジング4の外側へ延びるとともに、その外周面に形成されたねじ部6aにナット7が螺合される。このナット7を金属ハウジング4に向けて締めつけることにより、金属軸6が金属ハウジング4に対して固定されている。また、ナット7と金属ハウジング4との間には絶縁ブッシュ8が嵌め込まれている。そして、金属ハウジング4の外周面には、図示しないエンジンブロックにグロープラグ50を固定するためのねじ部5aが形成されている。
【0015】
セラミックヒータ1は、図2に示すように、ほぼ円形の断面を有する軸状の絶縁性セラミック基体13中に、一方の基端部から延びた後、方向変換して他方の基端部へ至る方向変換部10aと、その方向変換部10aの各基端部から同方向に延びる2本の直線部10bとを有するU字状のセラミック発熱体10(抵抗発熱体)を備えている。さらに、セラミック発熱体10の両端部には、線状又はロッド状の一対のリード線11及び12の先端部が埋設される。そのセラミック発熱体10は、セラミックヒータ1の先端部2において、その方向変換部10aがセラミックヒータ1の先端側を向くように埋設されている。
【0016】
また、各リード線11及び12は、セラミック基体13中においてセラミック発熱体10から離間する方向に延びている。そして、その一方のもの(12)は外筒3内において、他方のもの(11)はセラミック基体13の他方の端部近傍において、それぞれその後端部がセラミック基体13の表面に露出して、露出部12a及び11aを形成している。
【0017】
セラミック発熱体10は、導電性を有するセラミックス、例えば導電性を担う成分としてW,Mo,Ti,Ta,Nb,Crから選ばれた少なくとも1種の炭化物、窒化物又は珪化物を含有するセラミックスにより形成することができる。具体的には、炭化タングステン(WC)、珪化モリブデン(MoSi)、炭化タングステンと窒化珪素(Si)との複合物等により構成されるが、炭化珪素(SiC)など半導体セラミックスを使用することもできる。また、リード線11及び12はタングステン(W)あるいはタングステン−レニウム(Re)合金等の高融点金属材料で構成される。一方、セラミック基体13は、主に絶縁性のセラミックス、例えばアルミナ(Al)、シリカ(SiO)、ジルコニア(ZrO)、チタニア(TiO)、マグネシア(MgO)、ムライト(3Al3・2SiO)、ジルコン(ZrO・SiO)、コージェライト(2MgO・2Al・5SiO)、窒化珪素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)等により構成される。
【0018】
図2において、セラミック基体13の表面には、そのリード線12の露出部12aを含む領域に、ニッケル等の金属薄層(図示せず)が所定の方法(例えばメッキや気相製膜法など)により形成されている。そして、該金属薄層を介してセラミック基体13と外筒3とがろう付けにより接合されるとともに、リード線12がその露出部12aを介して外筒3と導通している。また、リード線11の露出部11aを含む領域にも同様に金属薄層が形成されており、ここに結合部材5がろう付けされている。このように構成することで、図示しない電源から、金属軸6(図1)、結合部材5及びリード線11を介してセラミック発熱体10に対して通電され、さらにリード線12、外筒3、金属ハウジング4(図1)、及び図示しないエンジンブロックを介して接地される。この通電により、セラミック発熱体10は抵抗発熱することとなる。
【0019】
[実施例]
以下、本発明に係るセラミックヒータ1について、具体的実施例をその製造方法とともに説明する。まず、図3(a)に示すように、セラミック発熱体10に対応したU字形状のキャビティ32を有した金型31に対しリード線材30を、その端部が該キャビティ32内に入り込むように配置する。そして、その状態で、WC−Si系導電性セラミック粉末とバインダとを含有するコンパウンド33を射出することにより、同図(b)に示すように、リード線材30とU字状の導電性セラミック粉末成形部34とが一体化された一体射出成形体35を作成する。
【0020】
一方これとは別に、セラミック基体13を形成するセラミック粉末を予め金型プレス成形することにより、図4(a)に示すような、上下別体に形成された予備成形体36及び37を用意しておく。ここで、セラミック基体13を形成するセラミック粉末は、例えば平均粒子径0.5〜1.5μmのSi粉末75〜95重量%と、平均粒子径0.5〜1.5μmのEr粉末1〜15重量%と、平均粒子径0.5〜1.5μmのSiO粉末0.5〜10重量%と、平均粒子径0.5〜1.5μmのMoSi粉末0.5〜10重量%とを混合して調製する。なお、Erの代わりに、Y、Yb等の希土類元素酸化物を用いてもよい。また、SiOの代わりに、SiOとAlとの混合物を用いたり、Alのみを用いたりしてもよい。これら予備成形体36及び37は、セラミック基体13を、その軸線とほぼ平行な断面により2分割したと仮定した場合の、その各分割部に対応する形状に形成されており、各々その分割面に相当する部分に、上記一体射出成形体35に対応した形状の凹部38が形成されている。そして、この凹部38に一体射出成形体35を収容し、上下の予備成形体36及び37を型合わせするとともに、その状態でこれら予備成形体36、37及び一体射出成形体35をさらに金型を用いてプレス・一体化することにより、図4(b)に示すような、複合成形体39を作成する。
【0021】
こうして得られた複合成形体39は、まず射出成形による導電性セラミック粉末成形部34あるいは予備成形体36及び37からバインダ成分等を除去するために、Si系セラミック粉末に埋設した状態で、N雰囲気中で仮焼され脱脂が行われる。続いて、図5(a)に示すように、離型剤を塗布した脱脂後の複合成形体39を上下金型(カーボン型)40の間にセットし、300kgf/cmで加圧しながら1800℃で90分間ホットプレス焼成を行うことにより、同図(b)に示すような焼成体41となる。このとき、図4(b)に示す導電性セラミック粉末成形部34がセラミック発熱体10を、予備成形体36及び37がセラミック基体13を、リード線材30がリード線11及び12をそれぞれ形成することとなる。その後、焼成体41の外面にセンタレス研磨加工を施すことにより、図6に示すようなセラミック基体外径2Rが例えば2R=3.5mmのセラミックヒータ1が得られる。
【0022】
図6は、射出成形によって製造されるセラミックヒータ1の代表的な断面構造例を示す。図6において、セラミックヒータ1のセラミック発熱体10は、軸直交断面において、中心軸線を挟んで両側に疑似楕円形の形態を有する。一方、軸断面においては、その直線部10bが、方向変換部10aと断面積が略等しい(図では幅が略等しい)先端側直線部10b1と、方向変換部10aよりも断面積が大きい(図では先端側直線部10b1から中心軸側のみ拡幅し、方向変換部10aよりも幅が大きい)基端側直線部10b2とから形成されている。
【0023】
[試験例1]
図3(a)において、キャビティ32に対するリード線材30の相対的な位置を変更して、第1の試験品を作成した。具体的には、図6に示すセラミックヒータ1完成時のリード線11,12の埋設部における軸直交断面において、セラミック基体13の半径をRとし、最短距離をLとして、L/Rを、0.2〜0.6まで変化させた。なお、試験品はL/Rごとに3個ずつ作成した。
【0024】
次にホットプレス焼成及び表面研磨を行って得られた試験品(各L/Rごとに3個)に対し、次のような耐久試験を実施した。すなわち、セラミックヒータ1のリード線11,12に60秒間通電後60秒間通電停止を1サイクルとして、連続20,000サイクルの繰り返し耐久試験を行った。その後、図6に表される3点曲げ抗折試験を実施し、抗折強度σを求めた。その試験手順は次のように行う。▲1▼まず、3点曲げ抗折試験装置20の2つの支点21,22は、略水平方向にスパンl=12mmの間隔を隔てて配置され、支点21,22の上面はそれぞれ半径r=1.5mmの半円柱面21a,22aに形成されている。表面粗さが0.8μmRmax(最大高さ)以下に表面研磨されたセラミックヒータ1の先端部2が、最短距離Lを形成する方向を下に向けた状態で、両支点21,21の半円柱面21a,22a上に跨るように載置される。▲2▼次に、下面に半径r=1.5mmの半円柱面23aが形成される荷重点23が、両支点21,22間の中央上方であって、セラミック発熱体10(抵抗発熱体)に対するリード線11,12の軸線方向の挿入深さH(接続重なり長さ)の中点において、セラミックヒータ1に上方から当接する。▲3▼そして、セラミックヒータ1に、クロスヘッド速度0.5mm/minの荷重を印加し、セラミックヒータ1の破断時の最大荷重Pから導かれる最大曲げ応力を抗折強度σとして測定する(若しくは計算して求める)。
【0025】
すなわち、破断時の最大荷重をP、支点21,22間距離をl、セラミック基体13の半径をRとしたとき、抗折強度σは、次式で求められる。
σ=(P・l)/(π・R) (1)
図6に示す通り、3点曲げ抗折試験装置20に対するセラミックヒータ1のセット位置に関して、最も破壊が起こりやすい最短距離Lを形成する方向を下に向け、かつ荷重Pの印加方向と一致させて、垂直方向に置くことにより、ここで求められたセラミックヒータ1の抗折強度σは、曲げに対する設計上の許容応力として意味付けられる。すなわち、セラミック焼成体は一般的に圧縮には強いが引張りには弱い。3点曲げ試験の場合、セラミックヒータ1の軸直交断面において、断面の下方側で引張応力が生じ、上方側で圧縮応力が生じているから、下端側から破壊が発生する。したがって、最短距離Lを形成する方向を下に向けることによって、前記反応層が最も下方に位置することになるので、最短距離Lを形成する部分から破壊が起こるようになる。なお、例えば抗折強度σ≧400MPaに設定すれば、セラミック発熱体10(抵抗発熱体)におけるクラックの発生及びリード線11,12における断線の発生を抑制し又は防止するのに充分な機械的強度(最大曲げ応力)を有するセラミックヒータ1か否かを、上記した3点曲げ抗折試験により確実にかつ容易に検査できる。
【0026】
上記[試験例1]の3点曲げ抗折試験に用いた試験装置20は、AG−5000型 オートグラフ(島津製作所製、500kgfロードセル装着)である。なお、セラミックヒータ1の先端から荷重点23までの水平方向距離Mは、図6の実施例の場合M=7.5mmであり、また、図6において、+側のリード線12が上方側(荷重点23の位置する側)にセットされている。また、支点21,22及び荷重点23の形態について、図6に示すトンネル形状以外に、円柱状や半円柱状などでもよく、半円柱面21a,22a,23aを有していればよい。さらに、その他の測定条件は、JIS R1601(ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法)に準拠する。
【0027】
以上の抗折強度の測定結果を図7に示す。抵抗強度σが400MPaに達しない場合は不良品とし、不良品の有(×)無(○)により、耐久試験の結果判定を行った。図7で見る通り、L/Rが0.3以上では、抗折強度σが400MPa以上の充分な機械的強度を確保している。なお、L/Rが0.3未満では、セラミック発熱体10に対するリード線11,12の軸線方向の挿入部がセラミック基体13の表面に近づいていくので、充分な抗折強度σが得られなくなる可能性が高くなる。
【0028】
[試験例2]
再び、図3(a)において、キャビティ32に対するリード線材30の相対的な位置を変更して、第2の試験品を作成した。具体的には、図3(b)において、導電性セラミック粉末成形部34(セラミック発熱体10)に対するリード線材30,30(リード線11,12)の軸線方向の挿入深さHを、0.2〜8mmまで変化させた。なお、試験品は挿入深さHごとに10個ずつ作成した。
【0029】
次にこのようにして得られた試験品(各挿入深さHごとに10個)に対し、リード線材30,30(リード線11,12)と導電性セラミック粉末成形部34(セラミック発熱体10)との間の導通試験を実施し、導通不良の個数を数えた。一方、個々の試験品についてホットプレス焼成を行い、図6に示すセラミックヒータ1を作成した。そして、図6に表される3点曲げ抗折試験を実施し、抗折強度σを求め、抗折強度σが400MPa未満である個数を数えた。なお、3点曲げ抗折試験の実施方法は、[試験例1]に準拠する。
【0030】
ここで、抗折強度σのしきい値を400MPaに設定したのは、[試験例1]において充分な機械的強度(曲げ強さ)を確保できることが確認されたからである。なお、試験品10個のうち、不良品(抗折強度σが400MPa未満又は導通不良の個数が0のときは優(○)、1〜2個のときは可(△)、3個以上のときは不可(×)と評価する。
【0031】
以上の抗折強度と、導通状態の測定結果を図8に示す。図8で見る通り、図3の射出成形によって製造されたセラミックヒータ1の場合、挿入深さHが7mm以下では、抗折強度σが400MPa以上の機械的強度をほぼ確保しており、一方、挿入深さHが0.3mm以上では、導通が良好な状態がほぼ保たれている。なお、挿入深さHが0.3mm未満では、リード線11,12のセラミック発熱体10(あるいは射出成形体)からの脱落や導通不良の可能性が高まり、また、挿入深さHが7mmを超えると、リード線11,12とセラミック発熱体10との接触面積の増大につれて反応層が増え、機械強度的に弱くなる恐れが増す。ところで、後述の図10(b)の厚膜印刷によって製造されたセラミックヒータ1Bの場合、射出成形よりも精密な処理ができるため、挿入深さHの下限値を0.3mm以下にまで広げることが可能である。
【0032】
[試験例3]
再び、図3(a)において、キャビティ32に対するリード線材30の線径φDを変更して、第3の試験品を作成した。具体的には、リード線材30(リード線11,12)の線径φDを、0.1〜0.9mmまで変化させた。なお、試験品は線径φDごとに10個ずつ作成した。
【0033】
次にホットプレス焼成及び表面研磨を行って得られた試験品(各線径φDごとに10個)に対し、図6に表される3点曲げ抗折試験を実施し、抗折強度σを求め、抗折強度σが400MPa未満である個数を数えた。一方、個々の試験品について、リード線11,12間の通電試験を実施し、断線した個数を数えた。なお、3点曲げ抗折試験の実施方法は、[試験例1]及び[試験例2]に準拠する。
【0034】
試験品10個のうち、不良品(抗折強度σが400MPa未満又は断線状態)の個数が0のときは優(○)、1〜2個のときは可(△)、3個以上のときは不可(×)と評価する。
【0035】
以上の抗折強度と、断線チェックの測定結果を図9に示す。図9で見る通り、リード線径φDが0.8mm以下では、抗折強度σが400MPa以上の機械的強度をほぼ確保しており、一方、リード線径φDが0.2mm以上では、リード線の断線がほとんどない状態が保たれている。なお、リード線径φDが0.2mm未満では、リード線11,12が細すぎて断線の恐れが高まり、また、リード線径φDが0.8mmを超えると、リード線11,12とセラミック発熱体10との接触面積の増大につれて反応層が増え、機械強度的に弱くなる恐れが増す。
【0036】
図10には、本発明に係るセラミックヒータの別実施例を示し、図10(a)は図6の第一実施例に代わる第二実施例の正面断面図及びB−B横断面図、図10(b)はさらに別の第三実施例のC2−C2縦断面図及びC1−C1横断面図である。図10(a)は、射出成形によって製造されるセラミックヒータの図6に代わる断面構造例を示す。図10(a)において、セラミックヒータ1’のセラミック発熱体10’は、軸直交断面において、中心軸線を挟んで両側に疑似半月形の形態を有する。一方、軸断面においては、その直線部10b’が、方向変換部10a’と断面積が略等しい(図では幅が略等しい)先端側直線部10b1’と、方向変換部10a’よりも断面積が基端側へ向かうに従い徐々に小さくなる(図では先端側直線部10b1’から表面側のみ幅縮小し、方向変換部10a’よりも基端側へ向かうに従い徐々に狭くなる)基端側直線部10b2’とから形成されている。また、3点曲げ抗折試験装置20に対するセラミックヒータ1’のセットは、図6と同様、最短距離Lを形成する方向を下に向け、かつ荷重Pの印加方向と一致させて行われる。
【0037】
図10(b)は、厚膜印刷によって製造されるセラミックヒータ1”(ヒータ本体)の断面構造例を示す。例えばWC等の導電性セラミックスペーストを用いてスクリーン印刷等によりパターン形成されたセラミック発熱体10”を絶縁性のセラミック基体13”中に埋設するとともに、セラミック発熱体10”に4本のリード線11”、11”、12”、12”を埋設し、これらを焼成することにより、セラミックヒータ1”が得られる。図10(b)において、セラミックヒータ1”のセラミック発熱体10”は、軸直交断面において、4本のリード線11”、11”、12”、12”の接線状の形態を有する。一方、軸断面においては、その直線部10b”が、方向変換部10a”と断面積が略等しい(図では幅が略等しい)先端側直線部10b1”と、方向変換部10a”よりも断面積が大きい(図では先端側直線部10b1”から両側において拡幅し、方向変換部10a”よりも幅が大きい)基端側直線部10b2”とから形成されている。なお、図10(b)に示すセラミックヒータ1”は、1個のセラミック発熱体10”と一対のリード線11”、12”を組として、2組のヒータを備えた4極構造で構成されている。また、3点曲げ抗折試験装置20に対するセラミックヒータ1”のセットは、図6と同様、最短距離Lを形成する方向を下に向け、かつ荷重Pの印加方向と一致させて行われるが、図示の都合上一部省略した。
【0038】
本発明の抵抗発熱体として、導電性セラミックスにより形成されたセラミック発熱体の他に、WあるいはW−Re合金等の金属製発熱線又は発熱コイル等であってもよい。なお、図6、図10等で示されるような、本発明の主要部をなすセラミックヒータ1,1’、1”の内部構造については、切断等の破壊手段によらなくても、X線等の透過装置により可視化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセラミックヒータを用いたグロープラグの一例を示す正面部分断面図。
【図2】図1のセラミックヒータの正面断面図。
【図3】セラミックヒータの製造工程説明図。
【図4】図3に続く工程説明図。
【図5】図4に続く工程説明図。
【図6】本発明に係るセラミックヒータの第一実施例を示す正面断面図及びA−A横断面図。
【図7】試験例1の測定結果を示す表。
【図8】試験例2の測定結果を示す表。
【図9】試験例3の測定結果を示す表。
【図10】本発明に係るセラミックヒータの別実施例を示し、図10(a)は第二実施例の正面断面図及びB−B横断面図、図10(b)は第三実施例のC2−C2縦断面図及びC1−C1横断面図。
【図11】従来のグロープラグのセラミックヒータの構造を示す模式図。
【符号の説明】
1 セラミックヒータ
2 先端部
10 セラミック発熱体(抵抗発熱体)
11,12 リード線
13 セラミック基体
21,22 支点
23 荷重点
φD リード線の線径
H セラミック発熱体に対するリード線の軸線方向の挿入深さ(接続重なり長さ)
L 任意のリード線の表面とセラミック基体の表面との最短距離
R セラミック基体の半径
σ 抗折強度

Claims (2)

  1. 軸直交断面で外径2Rを有する軸状の絶縁性セラミック基体と、
    そのセラミック基体に埋設されるとともに、方向変換部を介して繋がれた両端部を有する抵抗発熱体と、
    前記セラミック基体に埋設されるとともに、自身の一端部が前記抵抗発熱体の両端部にそれぞれ挿入・埋設される一対のリード線とを備えるセラミックヒータの抗折強度測定方法であって、
    間隔lを隔てて配置された2つの支点上に、任意の前記リード線の表面と前記セラミック基体の表面との最短距離を形成する方向を下に向けて載置し、
    前記両支点間の中央であって、前記抵抗発熱体に対する前記リード線軸線方向における挿入深さの中点において、上方から荷重を印加したとき、
    破断時の最大荷重から導かれる最大曲げ応力である抗折強度σが、
    σ=(P・l)/(π・R
    で求められることを特徴とするセラミックヒータの抗折強度測定方法
  2. 軸直交断面で外径2Rを有する軸状の絶縁性セラミック基体と、
    そのセラミック基体に埋設されるとともに、両端部がその両端部を繋ぐ方向変換部よりも拡幅して拡がり部を構成する抵抗発熱体と、
    前記セラミック基体に埋設されるとともに、自身の一端部が前記抵抗発熱体の拡がり部の幅中心よりも前記セラミック基体の中心軸線側に位置して当該拡がり部にそれぞれ挿入・埋設される一対のリード線とを備えるセラミックヒータの抗折強度測定方法であって、
    間隔lを隔てて配置された2つの支点上に、任意の前記リード線の表面と前記セラミック基体の表面との最短距離を形成する方向を下に向けて載置し、
    前記両支点間の中央であって、前記抵抗発熱体に対する前記リード線の軸線方向における挿入深さの中点において、上方から荷重を印加したとき、
    破断時の最大荷重Pから導かれる最大曲げ応力である抗折強度σが、
    σ=(P・l)/(π・R
    で求められることを特徴とするセラミックヒータの抗折強度測定方法
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