JP3799020B2 - 紙幣入出金装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙幣を金種別に収納して収納された紙幣を払い出すようにした紙幣入出金装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ECR(Electronic Cash Register)やPOS(Point of Sales)ターミナル等の商品販売データ処理装置や、このような商品販売データ処理装置と一緒に用いられるドロワや釣り銭機は、一般的には、一顧客一台という態様で用いられることが多い。特に、近年著しい展開を遂げているコンビニエンスストアでは、一顧客一台という商品販売データ処理装置の使用態様が一般化している。
【0003】
これに対して、一人のキャッシャが複数台の商品販売データ処理装置及びこれに対応付けられたドロワや釣り銭機を扱うようなシステム(例えば特許文献1〜2)や、逆に、一台の商品販売データ処理装置及びこれに対応付けられたドロワや釣り銭機に複数人が対応付けられるいわゆる二人制と呼ばれる顧客応対方式も、従来から広く用いられたり実施されたりしている。
【0004】
一人のキャッシャが複数台の商品販売データ処理装置等を扱うようなシステムは、商品データの読み取りを顧客自らに行わせるセルフスキャン方式を採用し、キャッシャは専ら顧客との間での決済作業(金銭の授受等)や決済操作(売上登録操作等)に専念する。
【0005】
いわゆる二人制と呼ばれる顧客応対方式は、一台の商品販売データ処理装置等を二人で使用する方式である。この方式では、二人の者の役割をオペレータとキャッシャとに分担する。役割分担の一例として、オペレータは商品データの読み取りのためのスキャン動作に従事し、キャッシャは決済作業や決済動作に従事する。役割分担の別の一例としては、オペレータは購入商品の袋詰め作業に従事し、キャッシャは商品販売データ処理装置等での作業に従事する。
【0006】
【特許文献1】
特開平07−021463号公報
【特許文献2】
特開平07−210755号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術の項では、一顧客一台という商品販売データ処理装置及びこれに対応付けられたドロワや釣り銭機の一般的な使用態様の他に、一人のキャッシャが複数台の商品販売データ処理装置等を扱うようなシステムや、逆に、一台の商品販売データ処理装置等に複数人が対応付けられるいわゆる二人制と呼ばれる顧客応対方式についても紹介した。
【0008】
顧客を効率よく捌くという観点からすると、一人のキャッシャが複数台の商品販売データ処理装置等を扱うようなシステムも、いわゆる二人制と呼ばれる顧客応対方式も、一顧客一台という商品販売データ処理装置等の一般的な使用態様との比較において、ある程度の効率化が可能である。
【0009】
しかしながら、一人のキャッシャが複数台の商品販売データ処理装置等を扱うようなシステムでは、商品データをスキャニングするためのレーンが二本必要で商品販売データ処理装置及びこれに対応付けられたドロワや釣り銭機も二台必要であることから、どうしてもシステム規模が大きくなってしまう。そして、繁忙時には効率よく顧客を捌くことができる反面、繁忙時以外の時には一本分のレーンと一個の商品販売データ処理装置等とが使用されないため、スペース効率が高いとは言えない。
【0010】
また、いわゆる二人制と呼ばれる顧客応対方式では、オペレータとキャッシャとに役割分担することで顧客を効率よく捌いているだけであるので、例えば二人の顧客のための商品販売データ処理及びこれに対応付けられたドロワや釣り銭機を並列に実行するようなことはできない。このため、ある程度は効率的に顧客を捌くことはできるが、例えば効率性を二倍にするというような大きな効果は見込めない。
【0011】
さらに、例えばコンビニエンスストアでの使用態様を考慮すると、一人のキャッシャが複数台の商品販売データ処理装置及びこれに対応付けられたドロワや釣り銭機を扱うようなシステムも、いわゆる二人制と呼ばれる顧客応対方式も、いずれも適当な使用態様とは言えない。
【0012】
本発明の目的は、大規模な装置を用いることなく、効率よく顧客を捌くことができる紙幣入出金装置を得ることである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の紙幣払出装置の発明は、操作者に対面するパネルの中央部に紙幣投入口を配置し、この紙幣投入口の左右両側に一個ずつ紙幣払出口を配置し、紙幣投入口に挿入された紙幣を搬送して紙幣収納部に金種別に収納しておき、紙幣収納部に金種別に収納された紙幣を二つの紙幣払出口に選択的に払い出す紙幣払出構造を設けた。前記紙幣収納構造は、前記紙幣投入口に真直ぐ連絡する中央経路と、前記紙幣投入口に挿入された紙幣を前記中央経路に沿って搬送する収納搬送部と、前記中央搬送路に沿ってその下方に金種別に配置された前記紙幣収納部と、前記中央経路を搬送される紙幣を金種別に前記紙幣収納部に導入する紙幣収納機構と、を具備し、前記紙幣払出構造は、前記中央搬送路の左右両側に並列に配置されて二つの前記紙幣払出口にそれぞれ真直ぐに連絡する一対の紙幣払出経路と、前記紙幣収納部に金種別に収納された紙幣を一枚ずつ選択的に左右一方の前記紙幣払出経路に移送する左右移送機構と、前記紙幣払出経路に移送された紙幣をその紙幣払出経路に連絡する一方の前記紙幣払出口に向けて搬送しその紙幣払出口から払い出させる払出機構と、を具備する構造とする。これにより、例えば、右側の顧客との間の取引で発生したお釣りとして要求される紙幣は右側に位置する硬貨払出口から払い出し、左側の顧客との間の取引で発生したお釣りとして要求される紙幣は左側に位置する硬貨払出口から払い出す、というような使用態様を採用することができる。したがって、一台の硬貨入出金装置によって二人の顧客を捌くことが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1ないし図28に基づいて説明する。本実施の形態は、コンビニエンスストア等で使用されるPOS端末101、このPOS端末101が載置される硬貨入出金装置201及び紙幣入出金装置301を備えたシステムへの適用例である。そこで、POS端末101、硬貨入出金装置201及び紙幣入出金装置301についてそれぞれ別個に説明し、最後にシステム全体の使用形態について言及することとする。
【0015】
〔商品販売データ処理としてのPOS端末101〕
まず、POS端末101について図1ないし図16を参照して説明する。
【0016】
図1は、POS端末101、硬貨入出金装置201及び紙幣入出金装置301の外観を示す斜視図である。
【0017】
本実施の形態のPOS端末101は、一台で、一人のオペレータが一人の顧客に応対する使用態様と二人のオペレータが二人の顧客にそれぞれ応対する使用態様との二種類の使用態様を許容する。そこで、POS端末101は、商品販売データ処理に際して、データの入力、データの表示、その他のデータ処理について、一台二役としての機能を奏する。
【0018】
図1に示すように、このPOS端末101における本体ケース102の上面には、操作者側から見て左側に、プリンタとしてのサーマルプリンタ103(図5参照)を内部に収容するプリンタカバー104が設けられており、そのプリンタカバー104にはサーマルプリンタ103から印字発行されるレシート105(図16参照)を発行するレシート発行口106が形成されている。また、POS端末101における本体ケース102の上部には、LCD(Liquid Crystal Display)であってチルト自在なオペレータ用表示器107と図示しない鍵によって切り替え操作されるモードキー108とが設けられている。モードキー108は、図示しない鍵によって切り替えられてPOS端末101の動作モード(登録、点検、清算等)を切り替えるための入力部である。
【0019】
図2は、キーボードの平面図である。
【0020】
本実施の形態のPOS端末101では、データを入力する入力手段として、タッチパネル109、キーボード110及びバーコードスキャナ111を有する。
【0021】
タッチパネル109は、オペレータ用表示器107の表示面上に積層配置されている。タッチパネル109付きのオペレータ用表示器107は、オペレータ用表示器107に表示されるボタン等とタッチパネル109の座標との位置関係の同期をとることによって、キーボードと同様の機能を奏することになる。
【0022】
キーボード110は、図2に示すように、扁平円形筐体状のキーボードハウジング112の上面に、テンキー113、クリアキー114、エンターキー115、及び客層キー116が配列されて構成されている。客層キー116は、10種類の客層の入力が可能であり、締めキーを兼ねている。このようなキーボード110は、無線によってPOS端末101側に情報を送信する。
【0023】
バーコードスキャナ111は、図示しない商品に付されたバーコードを光学的に読み取り可能な構造のものであり、本実施の形態では、片手で操作可能なハンディタイプのバーコードスキャナ111が用いられている。このようなバーコードスキャナ111は、無線によってPOS端末101側に情報を送信する。
【0024】
ここで、前述したように、本実施の形態のPOS端末101は、一人のオペレータが一人の顧客に応対する使用態様と二人のオペレータが二人の顧客にそれぞれ応対する使用態様との二種類の使用態様を許容する。そこで、本実施の形態では、二人のオペレータが二人の顧客にそれぞれ応対する使用態様において、オペレータ用表示器107の表示が左右に二分割される。そして、オペレータ用表示器107の表示がそのような左右二分割される場合には、タッチパネル109の入力機能も右用と左用とに分離されることになる。このようなタッチパネル109の入力機能に関する左右の分離は、後述するソフトウェア制御によって実行される。また、キーボード110及びバーコードスキャナ111については、右用と左用とに同一のものが二つ設けられている。オペレータがPOS端末101に向かって右側に置かれるキーボード110及びバーコードスキャナ111は右用、オペレータがPOS端末101に向かって左側に置かれるキーボード110及びバーコードスキャナ111は左用である。
【0025】
こうして、タッチパネル109、キーボード110及びバーコードスキャナ111は、右用と左用とに役割分担されることになる。ここでは、便宜上、右に割り当てられてタッチパネル109の入力領域、右用のキーボード110及び右用のバーコードスキャナ111を第1の入力手段109a、110a、111aと呼び、左に割り当てられたタッチパネル109、左用のキーボード110及び左用のバーコードスキャナ111を第2の入力手段109b、110b、111bと呼ぶことにする。そして、便宜上、第1の入力手段を構成するキーボード110aが含んでいる締めキーとして機能する客層キー116を第1の締めキー116aと呼び、第2の入力手段を構成するキーボード110bが含んでいる締めキーとして機能する客層キー116を第2の締めキー116bと呼ぶことにする。
【0026】
図3は、POS端末101、硬貨入出金装置201及び紙幣入出金装置301の外観の一部を示す斜視図である。
【0027】
本実施の形態のPOS端末101は、キーボード110、バーコードスキャナ111、及びレシート発行口106から発行されるレシート105が右用なのか左用なのかを示すためのLEDからなる左右表示部117、118、119を備えている。つまり、キーボード110は左右表示部117を備え、この左右表示部117は、右用である第1のキーボード110aには右用である第1の左右表示部117a、左用である第2のキーボード110bには左用である第2の左右表示部117bが割り当てられている。また、バーコードスキャナ111は左右表示部118を備え、この左右表示部118は、右用である第1のバーコードスキャナ111aには右用である第1の左右表示部118aが割り当てられ、左用である第2のバーコードスキャナ111bには左用である第2の左右表示部118bが割り当てられている。そして、レシート発行口106の近傍には、レシート発行口106の右側に位置する第1の左右表示部119aと左側に位置する第2の左右表示部119bとから構成される左右表示部119が配設されている。ここで、一例として、第1の左右表示部117a、118a、119aは緑色に発光するLEDによって構成され、第2の左右表示部117b、118b、119bは橙色に発光するLEDによって構成されている。
【0028】
図4は、POS端末101の顧客側から見た背面図である。
【0029】
図4に示すように、POS端末101の背面には、LCD(Liquid Crystal Display)からなる顧客用表示器120が設けられている。また、POS端末101の背面には、顧客用表示器120の中央下部に、非接触カード用のスキャナパッド121も設けられている。
【0030】
ここで、前述したように、本実施の形態のPOS端末101は、一人のオペレータが一人の顧客に応対する使用態様と二人のオペレータが二人の顧客にそれぞれ応対する使用態様との二種類の使用態様を許容する。そこで、本実施の形態では、二人のオペレータが二人の顧客にそれぞれ応対する使用態様において、オペレータ用表示器107のみならず、顧客用表示器120の表示も左右に二分割される。
【0031】
続いて、このような構成のPOS端末101に内蔵される各部の電気的接続について図5を参照して説明する。図5は、POS端末101に内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【0032】
図5に示すように、本実施の形態のPOS端末101は、Microcomputer(以下、マイコンという。)151を内蔵し、このマイコン151が各部を駆動制御する。マイコン151は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)152に、アドレスバス、データバス等のバスライン153を介して、起動プログラム等の固定的データを予め格納するROM(Read Only Memory)154と、売上バッファや印字バッファ等の各種バッファやフラグ領域を構成して各種データを書き換え自在に格納するRAM(Random Access Memory)155と、日付や時刻を計時するタイマ156とが接続されて構成されている。なお、RAM155は、バッテリ(図示せず)によってバックアップされている。
【0033】
また、CPU152に接続されたバスライン153には記憶媒体であるHDD(HardDisk Drive)157が接続されており、このHDD157にはマイコン151を動作させる制御プログラムの他に、各種データファイルも格納されている。各種データファイルとしては、商品マスタファイル、売上ファイル、画面データファイル等が格納されている。特に図示しないが、商品マスタファイルは、商品の商品コード毎に商品名、単価、部門コード等を対応付けて記憶保持するファイル構造を備える。売上ファイルは、売上明細や売上金額等の商品売上履歴を記憶保持するファイル構造を備える。画面データファイルは、オペレータ用表示器107や顧客用表示器120にそれぞれ表示する各種の表示データをその表示画面の一画面である“ページ”単位で記憶保持するファイル構造を備える。
【0034】
HDD157に格納された制御プログラムは、POS端末101の起動時に商品マスタファイル等とともにRAM155に書き込まれ、これによってマイコン151による各部の駆動制御が可能な状態となる。次に、マイコン151によって駆動制御される各部を説明する。
【0035】
オペレータ用表示器107は、オペレータ用表示コントローラ158を介してバスライン153に接続され、マイコン151からの表示データがオペレータ用表示コントローラ158に入力されると、オペレータ用表示コントローラ158に駆動されて所定事項を表示する。
【0036】
タッチパネル109は、パネルコントローラ159を介してバスライン153に接続され、パネルコントローラ159の動作によって、操作者によりタッチされたパネル上のXY座標の位置を認識して座標データ取得し、この取得された座標データに応じた信号をマイコン151に出力する。マイコン151に信号が入力されると、マイコン151は信号に基づいた所定の処理を実行する。
【0037】
顧客用表示器120は、顧客用表示コントローラ160を介してバスライン153に接続され、マイコン151からの客側表示データが顧客用表示コントローラ160に入力されると、顧客用表示コントローラ160に駆動されて所定事項を表示する。
【0038】
ここで、二人のオペレータが二人の顧客にそれぞれ応対する使用態様においては、オペレータ用表示器107及び顧客用表示器120の表示が左右に二分割され、タッチパネル109の入力機能も右用と左用とに分離されることは前述した通りである。このような二分割処理は、情報を表示しようとするオペレータ用表示器107及び顧客用表示器120の座標位置を制御し、データを入力するタッチパネル109の座標位置を制御することによって容易に実現される。もっとも、特にオペレータ用表示器107及び顧客用表示器120に関しては、結果的に情報が二分割されて表示されれば良いため、そのような情報表示を実現させ得る技術、例えばポップアップ表示技術など、各種の技術を用いて二分割表示を行なうことが可能である。
【0039】
モードキー108は、モードキーコントローラ161を介してバスライン153に接続され、モードキーコントローラ161の動作によって切り替え位置に応じた信号をマイコン151に入力する。マイコン151は、モードキー108からの出力信号に応じて、POS端末101の動作モードを登録モード、設定モード、精算モード、点検モード等の各業務モードに設定する。
【0040】
POS端末101の背面側に設けられた非接触カード用のスキャナパッド121は、スキャナパッドコントローラ162を介してバスライン153に接続され、スキャナパッドコントローラ162の動作によってマイコン151に対して被接触型カードに記憶された情報を出力する。
【0041】
POS端末101に内蔵されたサーマルプリンタ103は、プリンタコントローラ163を介してバスライン153に接続され、マイコン151によって駆動制御される。さらに、このサーマルプリンタ103には、カッタ部(図示せず)が内蔵されており、このカッタ部もマイコン151によって駆動制御される。これにより、サーマルプリンタ103は、図示しない長尺紙であるレシート用紙にレシートとしての必要事項を印字し、これを切断してレシート発行口106よりレシートとして発行するレシートプリンタの機能を発揮する。
【0042】
サーマルプリンタ103におけるレシート発行口106の近傍に配置された第1の左右表示部119aと第2の左右表示部119bとから構成される左右表示部119(LED)は、LEDコントローラ164を介してバスライン153に接続され、マイコン151によって駆動制御される。
【0043】
次いで、キーボード110及びバーコードスキャナ111は、前述したように、POS端末101のマイコン151に無線を介してデータを送信する。そこで、本実施の形態では、マイコン151にバスライン153を介して無線通信インターフェース165が接続され、この無線通信インターフェース165に無線通信回路166が接続されている。無線通信回路166は、第1の入力手段を構成する第1のキーボード110a及び第1のバーコードスキャナ111aと、第2の入力手段を構成する第2のキーボード110b及び第2のバーコードスキャナ111bとの間での無線通信を可能とする。そこで、それらの第1のキーボード110a、第1のバーコードスキャナ111a、第2のキーボード110b及び第2のバーコードスキャナ111bも、それぞれ図示しない無線通信回路を内蔵しており、それぞれある特定の周波数帯を使用してPOS端末101側の無線通信回路166と無線通信可能となっている。なお、キーボード110及びバーコードスキャナ111とPOS端末101側との間の無線通信については、既存の技術なのでその詳細は省略する。
【0044】
また、バスライン153には通信インターフェース167も接続され、マイコン151によって制御される。この通信インターフェース167は、ホストコンピュータ等の外部機器が接続されてこの外部機器とLAN回線を介してマイコン151との間でのデータの送受信を実現可能としたり、前述した硬貨入出金装置201及び紙幣入出金装置301が接続されてこれらの機器とデータの送受信を可能としたりする。
【0045】
さらに、POS端末101には、ROM154及びRAM155とは別に、VRAM(Video Random Access Memory)168がバスライン153を介してマイコン151に接続されている。VRAM168は、一例として、HDD157の画面データファイルに記憶されている“ページ”単位の表示データに基づき、商品マスタファイルや商品画像ファイルから抽出されたその表示データに含まれる品名、単価、画像データ等を高速でビットマップ展開し、オペレータ用表示コントローラ158及び顧客用表示コントローラ160に対して出力する。そして、オペレータ用表示コントローラ158及び顧客用表示コントローラ160に対して出力された表示データは、オペレータ用表示器107及び顧客用表示器120において表示されることになる。
【0046】
次に、POS端末101のHDD157に格納された制御プログラムがマイコン151に実行させる機能について、図6ないし図8に示すフローチャートに基づいて説明する。この場合、図9及び図10に示すオペレータ用表示器107の表示領域に表示される表示画面の模式図、及び図11ないし図13に示す顧客用表示器120の表示領域に表示される表示画面の模式図を参照し、必要に応じて、図1ないし図4も適宜用いる。
【0047】
起動後のPOS端末101では、モードキー108の切り替え位置に応じて動作モードが選択される。つまり、モードキー108の切り替え位置によって発生する出力信号に応じ、マイコン151がPOS端末101の動作モードを登録モード、設定モード、精算モード、点検モード等に設定する。本実施の形態においては、登録モードを除く各モードの処理として、従来のPOS端末によって行なわれる処理と同様の処理についてはその説明を省略する。
【0048】
これに対して、本実施の形態では、登録モードにおいて、一人のオペレータが一人の顧客に応対する使用態様に対応する単独モードと、二人のオペレータが二人の顧客にそれぞれ応対する使用態様に対応するデュアルモードとの二種類の動作モードが許容される。
【0049】
図6は、登録モードにおける単独モードとデュアルモードとのモード選択処理を示すフローチャートである。
【0050】
モードキー108の切り替え操作によって、POS端末101の動作モードが登録モードに設定されている場合、オペレータ用表示器107に表示される初期画面表示には、単独使用とデュアル使用との二種類を選択可能とする選択画面が表示される(図示せず)。そこで、単独使用が選択されると(ステップS101のY)、マイコン151はPOS端末101を単独モードにモード設定し(ステップS102)、デュアルモードが選択されると(ステップS101のN)、マイコン151はPOS端末101をデュアルモードにモード設定する(ステップS103)。つまり、本実施の形態のPOS端末101では、単独モードとデュアルモードとが選択可能である。
【0051】
図7は、単独モードでの処理を示すフローチャートである。また、図10は、単独モードでのオペレータ用表示器107における画面表示例を示す模式図であり、図11は、単独モードでの顧客用表示器120における画面表示例を示す模式図である。
【0052】
単独モードでは、まず、マイコン151は、第1の入力手段を構成するキーボード101a及びバーコードスキャナ111aにそれらの第1の左右表示部117a、118aの点灯信号を送信し、それらの第1の左右表示部117a、118aのみ点灯させる(ステップS201)。これにより、第1の左右表示部117a、118aを構成するLEDが緑色に発光し、オペレータには、二つ設けられているキーボード101a及びバーコードスキャナ111aのうち、第1の入力手段を構成するキーボード101a及びバーコードスキャナ111aの方のみ使用可能であることが報知される。
【0053】
次いで、マイコン151は、オペレータ用表示器107及び顧客用表示器120を全画面表示に設定する(ステップS202)。全画面表示というのは、オペレータ用表示器107及び顧客用表示器120に、一人の顧客に対する取引情報のみを表示するような表示形態を意味する。このような単独モードでは、HDD157に格納された画像データファイルから呼び出した登録処理用の画面がオペレータ用表示器107及び顧客用表示器120に全画面表示される。
【0054】
図10は、オペレータ用表示器107における全画面表示の一例であり、図11は、単独モードでの顧客用表示器120における画面表示例を示す模式図である。
【0055】
図10に示すように、オペレータ用表示器107における全画面表示は、日付時刻や責任者等のような書誌情報を示す書誌情報欄107a、8種類のPLUグループをPLUグループタグAとして表示するPLUグループ欄107b、商品情報を表示する商品情報欄107c、購入合計金額と消費税と預かり金額と釣り銭金額とを表示する取引情報欄107d、及び割引入力欄107eを含む。
【0056】
マイコン151は、購入される商品の購入履歴を商品情報欄107cに表示し、その購入履歴によって決定される購入合計金額、消費税、預かり金額及び釣り銭金額を取引情報欄107dに表示する。また、マイコン151は、PLUグループタグAがタッチパネル109でタッチ選択された場合には、そのPLUグループが含む商品の商品情報をポップアップ表示する。ポップアップ表示された商品の商品情報がタッチパネル109でタッチ選択されると、その商品の商品コードが入力され、取引情報欄107dの表示が更新される。商品情報欄107cに表示される情報は、その商品情報欄107cに含まれているスクロールキーBによってスクロール可能である。
【0057】
また、割引入力欄107eは、ビール券、クーポン券及び商品券が割り当てられたタグCと、タグCで選択された種類のビール券、クーポン券又は商品券の金額、例えばタグCでビール券が選択された場合には500円ビール券、1000円ビール券、…というようなビール券の金額を示す6列3行の金額キーDとを有する。金額キーDは、割引入力欄107eに表示されるスクロールキーEによってスクロールされる。マイコン151は、タグCで選択されたビール券、クーポン券又は商品券の金額を金額キーDに表示し、金額キーDがタッチパネル109でタッチ選択されると、選択された金額を購入金額から減額し、取引情報欄107dの表示を更新する。
【0058】
図11に示すように、顧客用表示器120における全画面表示は、日付時刻を示す日付時刻欄120a、直近に取引された商品の商品名、数量及び単価を表示するカレント表示欄120b、購入する商品の履歴を表示する購入履歴欄120c、購入合計金額と消費税と預かり金額と釣り銭金額とを表示する取引情報欄120d、コマーシャル情報としてのコマーシャルメッセージを表示するコマーシャルメッセージ欄120e、及びその他のメッセージを表示するメッセージ欄120fを含む。
【0059】
次いで、マイコン151は、顧客用表示器120のコマーシャルメッセージ欄120eに、コマーシャルメッセージを表示出力する(ステップS203)。コマーシャルメッセージは、例えば通信インターフェース167を介して外部機器から取得したコマーシャルメッセージの静止画像又は動画像を顧客用表示器120のコマーシャルメッセージ欄120eに表示出力するようにしても、例えばHDD157に予め記憶保存しておいたコマーシャルメッセージの静止画像又は動画像を顧客用表示器120のコマーシャルメッセージ欄120eに表示出力するようにしても、いずれでも良い。
【0060】
次いで、マイコン151は、商品コード入力に待機する(ステップS204)。商品コード入力は、第1の入力手段を構成するバーコードスキャナ111aによる商品に付されたバーコードのスキャナ入力又はキーボード110aによる商品コードのキー入力によって実行される。その他、オペレータ用表示器107に表示される商品コードの入力を許容する項目に対応する位置でのタッチパネル109によるタッチ入力によっても商品コードの入力が可能である。
【0061】
商品コードの入力があったと判定された場合(ステップS204のY)、RAM155の売上バッファにおけるレジスト領域に入力された商品コードを一時的にレジストして商品データを蓄積する処理がマイコン151によって実行される(ステップS205)。そして、取引データ計算が実行され(ステップS206)、オペレータ用表示器107及び顧客用表示器120の画面表示が更新される(ステップS207)。より詳しくは、マイコン151は、オペレータ用表示器107の商品情報欄107c及び取引情報欄107dの表示内容を更新し、顧客用表示器120のカレント表示欄120b、購入履歴欄120c及び取引情報欄120dの表示内容を更新する。
【0062】
その後、マイコン151は、預かり金額の入力(ステップS208のY)があるまで商品コード入力(ステップS204)に待機する。預かり金額の入力は、実際の取引において、顧客から決済のための金額を預かったオペレータがキーボード110中のエンターキー115を押下し、キーボード110中のテンキー113によってその預かり金額を入力することによってなされる。単独モードでは、第1の入力手段を構成する第1のキーボード110aによって預かり金額が入力される。
【0063】
そして、このようなテンキー113による預かり金額の入力があった場合には(ステップS208のY)、マイコン151は入力金額をRAM155にレジストし(ステップS209)、締めキー116aの入力の有無を判定する(ステップS210)。締めキー116aは、商品情報の入力があった商品に関する取引の締めを宣言して決済を行うためのキーであり、具体的には客層キー116が締めキーとして機能する。単独モードでは、第1の入力手段を構成する第1のキーボード110aに含まれている第1の締めキー116aによって取引の締めが宣言される。
【0064】
次いで、締めキー116aの入力があった場合には(ステップS210のY)、マイコン151は、入出金データを計算し、硬貨入出金装置201と紙幣入出金装置301とのいずれか一方又は両方に、計算した入出金データを出力する(ステップS211)。入出金データというのは、硬貨入出金装置201又は紙幣入出金装置301に指示する出金すべき金額及び入金する金額についてのデータである。この入出金データは、払い出すべき硬貨又は紙幣の金種及び枚数からなるデータでも、払い出すべき金額のデータでも良い。この際、マイコン151は、硬貨入出金装置201又は紙幣入出金装置301に向けて送信出力する払出指示信号に入出金データと第1の締め信号とを伴わせる。
【0065】
その後、マイコン151は、RAM155のワークエリアを利用して販売データの仮登録を実行し(ステップS212)、サーマルプリンタ103を駆動制御してレシート105の印字発行を行なう(ステップS213)。レシート105は、レシート発行口106から発行される。
【0066】
図8はデュアルモードでの処理を示すフローチャート、図9はデュアルモードでの右側処理と左側処理とを示すフローチャートである。また、図12はデュアルモードでのオペレータ用表示器107における画面表示例を示す模式図、図13〜図15はデュアルモードでの顧客用表示器120における画面表示例をそれぞれ示す模式図である。
【0067】
デュアルモードでは、まず、図8のフローチャートに示す処理が実行される。つまり、マイコン151は、第1の入力手段を構成するキーボード101a及びバーコードスキャナ111aにそれらの第1の左右表示部117a、118aの点灯信号を送信し、また、第2の入力手段を構成するキーボード101a及びバーコードスキャナ111aにそれらの第2の左右表示部117b、118bの点灯信号を送信し、それらの第1の左右表示部117a、118aと第2の左右表示部117b、118bとの両者を点灯させる(ステップS301)。これにより、第1の左右表示部117a、118aを構成するLEDは緑色に発光し、第2の左右表示部117b、118bを構成するLEDは橙色に発光する。このため、オペレータには、二つ設けられているキーボード101a及びバーコードスキャナ111aのうち、第1の入力手段を構成するキーボード101a及びバーコードスキャナ111aがいずれで第2の入力手段を構成するキーボード101a及びバーコードスキャナ111aがいずれであるかが示される。
【0068】
次いで、マイコン151は、オペレータ用表示器107及び顧客用表示器120を分割画面表示に設定する(ステップS302)。分割画面表示というのは、オペレータ用表示器107及び顧客用表示器120に、二人のオペレータが二人の顧客にそれぞれ応対するデュアルモードでの表示形態を意味する。このようなデュアルモードでは、HDD157に格納された画像データファイルから呼び出した登録処理用の画面がオペレータ用表示器107及び顧客用表示器120に分割画面表示される。
【0069】
図12は、デュアルモードでのオペレータ用表示器107における分割画面表示の一例であり、図13ないし図15は、それぞれ、デュアルモードでの顧客用表示器120における画面表示例を示す模式図である。
【0070】
図12に示すように、オペレータ用表示器107における分割画面表示は、図10に例示したオペレータ用表示器107における全画面表示の内容が左右に分離されて別個に表示される。つまり、オペレータ用表示器107の表示内容が右側表示領域107Rと左側表示領域107Lとに二分割され、右側表示領域107Rと左側表示領域107Lとのそれぞれに図10に例示したオペレータ用表示器107における全画面表示の内容と同一の内容が表示される。もっとも、書誌情報欄107aにおける日付時刻だけは、右側処理と左側処理とに共通であるため、単一表示となる。
【0071】
具体的には、右側表示領域107Rと左側表示領域107Lとのそれぞれには、日付時刻や責任者等のような書誌情報を示す書誌情報欄107a、8種類のPLUグループをPLUグループタグAとして表示するPLUグループ欄107b、商品情報を表示する商品情報欄107c、購入合計金額と消費税と預かり金額と釣り銭金額とを表示する取引情報欄107d、及び割引入力欄107eが表示される。
【0072】
マイコン151は、購入される商品の購入履歴を商品情報欄107cに表示し、その購入履歴によって決定される購入合計金額、消費税、預かり金額及び釣り銭金額を取引情報欄107dに表示する。また、マイコン151は、PLUグループタグAがタッチパネル109でタッチ選択された場合には、そのPLUグループが含む商品の商品情報をポップアップ表示する。ポップアップ表示された商品の商品情報がタッチパネル109でタッチ選択されると、その商品の商品コードが入力され、取引情報欄107dの表示が更新される。商品情報欄107cに表示される情報は、その商品情報欄107cに含まれているスクロールキーBによってスクロール可能である。
【0073】
また、割引入力欄107eは、ビール券、クーポン券及び商品券が割り当てられたタグCと、タグCで選択された種類のビール券、クーポン券又は商品券の金額、例えばタグCでビール券が選択された場合には500円ビール券、1000円ビール券、…というようなビール券の金額を示す6列3行の金額キーDとを有する。金額キーDは、割引入力欄107eに表示されるスクロールキーEによってスクロールされる。マイコン151は、タグCで選択されたビール券、クーポン券又は商品券の金額を金額キーDに表示し、金額キーDがタッチパネル109でタッチ選択されると、選択された金額を購入金額から減額し、取引情報欄107dの表示を更新する。
【0074】
図13に示すように、顧客用表示器120における分割画面表示も、図11に例示した顧客用表示器120における全画面表示の内容が左右に分離されて別個に表示される。つまり、顧客用表示器120の表示内容が右側表示領域120Rと左側表示領域120Lとに二分割され、右側表示領域120Rと左側表示領域120Lとのそれぞれに図11に例示した顧客用表示器120における全画面表示の内容と同一の内容が表示される。もっとも、書誌情報欄107aにおける日付時刻、コマーシャルメッセージ欄120eに表示されるコマーシャルメッセージ、及びメッセージ欄120fに表示されるその他のメッセージについては、右側処理と左側処理とに共通であるため、単一表示となる。
【0075】
具体的には、右側表示領域107Rと左側表示領域107Lとのそれぞれには、直近に取引された商品の商品名、数量及び単価を表示するカレント表示欄120b、購入する商品の履歴を表示する購入履歴欄120c、及び購入合計金額と消費税と預かり金額と釣り銭金額とを表示する取引情報欄120dが表示される。そして、日付時刻を示す日付時刻欄120a及びコマーシャルメッセージを表示するコマーシャルメッセージ欄120eは、右側表示領域107Rと左側表示領域107Lとの間に配列され、メッセージ欄120fはそれらの右側表示領域107Rと左側表示領域107Lとコマーシャルメッセージ欄120eとの下方に表示される。
【0076】
顧客用表示器120における分割画面表示別の実施の形態として、図14に例示する分割画面表示や図15に例示する分割画面表示を採用しても良い。図14に例示する分割画面表示はコマーシャルメッセージ欄120eが設けられておらず、図15に例示する分割画面表示では右側表示領域107Rと左側表示領域107Lとが連続的に隣接してその下方にコマーシャルメッセージ欄120eが配置されている。
【0077】
そして、本実施の形態では、オペレータ用表示器107における右側表示領域107Rと左側表示領域107Lとの表示フレーム、及び顧客用表示器120における右側表示領域107Rと左側表示領域107Lとの表示フレームは、それぞれ別個の色で表示される。つまり、第1の左右表示部117a、118aを構成するLEDは緑色に発光し、第2の左右表示部117b、118bを構成するLEDは橙色に発光することは前述した通りであり、このような左右の色による識別に合わせ、オペレータ用表示器107における右側表示領域107Rの表示フレームは緑色に表示され、左側表示領域107Lの表示フレームは橙色に表示される。これに対して、オペレータから見た右側は顧客から見た左側であり、オペレータから見た左側は顧客から見た右側である。そこで、顧客用表示器120における右側表示領域120Rの表示フレームは橙色に表示され、左側表示領域120Lの表示フレームは緑色に表示される。このような表示色の色分けは、一例として、オペレータ用表示器107及び顧客用表示器120に分割画面表示されるHDD157に格納された画像データファイルから呼び出した登録処理用の画面を予め色分けすることによって実現する。
【0078】
ステップS302での分割画面表示に設定する処理では、マイコン151は、オペレータ用表示器107と顧客用表示器120とを前述したような分割画面表示に設定する。それに加えて、マイコン151は、商品販売データ処理の一部として、オペレータから見て右側用の第1の入力手段109a、110a、111aによって入力された商品データに基づく商品販売情報とオペレータから見て左側用の第2の入力手段109b、110b、111bによって入力された商品データに基づく商品販売情報とを右側表示と左側表示とに分けてオペレータ用表示器107と顧客用表示器120とに左右反対に表示する。ここに、表示手段の機能が実行される。
【0079】
また、ステップS301の処理によって、第1の左右表示部117a、118aを構成するLEDが緑色に発光し、第2の左右表示部117b、118bを構成するLEDが橙色に発光する。そして、ステップS301の処理によって、オペレータ用表示器107における右側表示領域107Rの表示フレームは緑色に表示され、左側表示領域107Lの表示フレームは橙色に表示され、顧客用表示器120における右側表示領域120Rの表示フレームは橙色に表示され、左側表示領域120Lの表示フレームは緑色に表示される。これにより、オペレータ及び顧客の双方に、右側処理と左側処理とを別個独立して行なう場合の左右の別が明確に示される。ここに、オペレータ用表示器107の右側表示領域107Rに第1の色(本実施の形態では緑色)を含ませて左側表示領域107Lに第1の色とは異なる第2の色(本実施の形態では橙色)を含ませ、第1の入力手段109a、110a、111aと第2の入力手段109b、110b、111bとのうち右側に配置する入力手段(本実施の形態では第1の入力手段109a、110a、111a)には第1の色の表示を行ない左側に配置する入力手段(本実施の形態では第2の入力手段109b、110b、111b)には第2の色の表示を行なう左右識別手段の機能が実行される。
【0080】
次いで、マイコン151は、顧客用表示器120のコマーシャルメッセージ欄120eに、コマーシャルメッセージを表示出力する(ステップS303)。コマーシャルメッセージは、例えば通信インターフェース167を介して外部機器から取得したコマーシャルメッセージの静止画像又は動画像を顧客用表示器120のコマーシャルメッセージ欄120eに表示出力するようにしても、例えばHDD157に予め記憶保存しておいたコマーシャルメッセージの静止画像又は動画像を顧客用表示器120のコマーシャルメッセージ欄120eに表示出力するようにしても、いずれでも良い。
【0081】
デュアルモードでは、図8に示すフローチャートの処理に続いて、図9のフローチャートに示す処理が実行される。図9のフローチャートに示す処理は、商品販売データ処理のうち、商品コードの入力から締め処理に至る一連の処理であり、右側処理(図9(a))と左側処理(図9(b))とが別個独立して実行される。このような右側処理と左側処理との別個独立した処理は、CPU152のマルチタスク機能を用いて実行しても、二系統のCPU152に処理を分担させて実行しても良い。右側処理と左側処理との基本的な流れは同一であるので、ここでは、図9中同一のステップ符号を付して説明し、右側処理と左側処理とが異なる場合にのみ両者を分けて説明する。
【0082】
まず、マイコン151は、商品コード入力に待機する(ステップS351)。商品コード入力は、バーコードスキャナ111による商品に付されたバーコードのスキャナ入力又はキーボード110による商品コードのキー入力によって実行される。その他、オペレータ用表示器107に右側表示領域107Rと左側表示領域107Lとに分けて表示される商品コードの入力を許容する項目に対応する位置でのタッチパネル109によるタッチ入力によっても商品コードの入力が可能である。
【0083】
商品コードの入力があったと判定された場合(ステップS351のY)、RAM155の売上バッファにおけるレジスト領域に入力された商品コードを一時的にレジストして商品データを蓄積する処理がマイコン151によって実行される(ステップS352)。この際、第1の入力手段109a、110a、111aにより入力された右側処理用の商品コードと第2の入力手段109b、110b、111bにより入力された左側処理用の商品コードとが区別されてRAM155の売上バッファにおけるレジスト領域に一時的にレジストされる。そして、右側処理用と左側処理用とに分けて取引データ計算が実行され(ステップS353)、オペレータ用表示器107及び顧客用表示器120の右側表示領域107R又は左側表示領域107Lの画面表示が更新される(ステップS354)。より詳しくは、マイコン151は、オペレータ用表示器107の商品情報欄107c及び取引情報欄107dの表示内容を更新し、顧客用表示器120のカレント表示欄120b、購入履歴欄120c及び取引情報欄120dの表示内容を更新する。
【0084】
その後、マイコン151は、第1のキーボード110a又は第2のキーボード110bからの預かり金額の入力(ステップS355のY)があるまで商品コード入力(ステップS351)に待機する。預かり金額の入力は、実際の取引において、顧客から決済のための金額を預かったオペレータがキーボード110中のエンターキー115を押下し、キーボード110中のテンキー113によってその預かり金額を入力することによってなされる。
【0085】
そして、このようなテンキー113による預かり金額の入力があった場合には(ステップS355のY)、マイコン151は入力金額をRAM155にレジストする(ステップS356)。この際、入力された金額は、第1のキーボード110aにより入力された金額と第2のキーボード110bにより入力された金額とを区別してRAM155にレジストする。その後、マイコン151は、第1の締めキー116a又は第2の締めキー116bの入力の有無を判定する(ステップS357)。第1の締めキー116a及び第2の締めキー116bは、商品情報の入力があった商品に関する取引の締めを宣言して決済を行うためのキーであり、具体的には客層キー116が締めキーとして機能する。
【0086】
次いで、第1の締めキー116a又は第2の締めキー116bの入力があった場合には(ステップS357のY)、マイコン151は、入出金データを計算し、硬貨入出金装置201と紙幣入出金装置301とのいずれか一方又は両方に、計算した入出金データを出力する(ステップS358)。入出金データというのは、硬貨入出金装置201又は紙幣入出金装置301に対して指示する出金すべき金額及び入金する金額についてのデータである。この入出金データは、払い出すべき硬貨又は紙幣の金種及び枚数からなるデータでも、払い出すべき金額のデータでも良い。マイコン151は、硬貨入出金装置201又は紙幣入出金装置301に対して送信出力する払出指示信号に入出金データを伴わせる。この際、第1の締めキー116aの入力があった場合には第1の入力手段109a、110a、111aにより入力されてRAM155の売上バッファにおけるレジスト領域に一時的にレジストされた右側処理用の商品コードに基づいて入出金データが計算され、第2の締めキー116bの入力があった場合には第2の入力手段109b、110b、111bにより入力されてRAM155の売上バッファにおけるレジスト領域に一時的にレジストされた左側処理用の商品コードに基づいて入出金データが計算される。そして、マイコン151は、第1の締めキー116aの入力に対応する右側処理用の商品コードに基づいて計算された入出金データには、払出指示信号及び第1の締め信号を伴わせて出力し、第2の締めキー116bの入力に対応する左側処理用の商品コードに基づいて計算された入出金データには、払出指示信号及び第2の締め信号を伴わせて出力する。
【0087】
その後、マイコン151は、RAM155のワークエリアを利用して右側処理と左側処理とを区別して販売データの仮登録を実行し(ステップS359)、レシート発行口106の近傍に配置された第1の左右表示部119aと第2の左右表示部119bとを選択的に点灯させ(ステップS360)、サーマルプリンタ103を駆動制御してレシート105の印字発行を行なう(ステップS361)。
【0088】
この際、マイコン151の制御によって、右側処理の場合にはレシート発行口106の近傍に配置された第1の左右表示部119aである緑色のLEDが点灯し、左側処理の場合にはレシート発行口106の近傍に配置された第2の左右表示部119bである橙色のLEDが点灯することになる。これにより、オペレータは、レシート発行口106が一つであるにも拘らず、緑色のLEDである第1の左右表示部119aが点灯した場合には右側処理でのレシート発行であり、橙色のLEDである第2の左右表示部119bが点灯した場合には左側処理でのレシート発行であることを知ることができる。ここに、これから発行されるレシート105が第1の入力手段109a、110a、111aによって入力された商品データに基づくレシート105であるか第2の入力手段109b、110b、111bによって入力された商品データに基づくレシート105であるかを区別して報知する報知手段の機能が実行される。
【0089】
図16は、デュアルモードで発行されたレシート105の一例を示す模式図である。この図16にレシート105は、その右側部に複数個の星印のマーク105aが印字されている。つまり、マイコン151は、第1の締めキー116aの入力によって実行される第1の入力手段109a、110a、111aにより入力された右側処理用の商品コードに基づくレシート105については、その右側部に複数個の星印のマーク105aを印字し、第2の締めキー116bの入力によって実行される第2の入力手段109b、110b、111bにより入力されて左側処理用の商品コードに基づくレシート105については、その左側部に複数個の星印のマーク105aを印字する。これにより、オペレータは、複数個の星印のマーク105aがどちら側に印字されているかを見るだけで、右側処理によって印字発行されたレシート105か左側処理によって発行されたレシート105かを一見して認識することが可能となる。この意味で、マーク105aの種類やその形態は、右側処理によって印字発行されたレシート105か左側処理によって発行されたレシート105かを区別し得るものであれば、どのようなものであっても良い。ここに、商品販売データ処理に際して、第1の入力手段109a、110a、111aによって入力された商品データに基づくレシート105であるか第2の入力手段109b、110b、111bによって入力された商品データに基づくレシート105であるかを区別してレシート105をサーマルプリンタ103に印字発行させるレシート発行手段の機能が実行される。
【0090】
こうして、ステップS351〜ステップS361のステップによって、第1の締めキー116aが押下された場合には第1の入力手段109a、110a、111aによって入力された商品データに基づく商品販売データ処理を実行し、第2の締めキー116bが押下された場合には第2の入力手段109b、110b、111bによって入力された商品データに基づく商品販売データ処理を実行する締め手段の機能が実行される。
【0091】
なお、本実施の形態においては、制御プログラムを記憶した記憶媒体としてHDD157を適用したが、これに限るものではなく、FD、光ディスク(CD−ROM,CD−R,CD−R/W,DVD−ROM,DVD−RAMなど)、光磁気ディスク(MO)、メモリカード等、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能であれば、その記憶形式は何れの形態であっても良い。また、記憶媒体には、コンピュータと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝送されたプログラムをダウンロードして記憶または一時記憶したものも含まれる。
【0092】
〔硬貨入出金装置201〕
次いで、硬貨入出金装置201について図17ないし図22を参照して説明する。
【0093】
図17は硬貨入出金装置201及び紙幣入出金装置301の斜視図である。
【0094】
図17に示すように、硬貨入出金装置201は、例えば紙幣入出金装置301の下段に配置されて使用される。このような硬貨入出金装置201は、扁平筐体状のハウジング202に各構成部品を収納保持する。このハウジング202は、オペレータに対面するパネルとなるフロントパネル203を有する。このフロントパネル203には、その中央部に硬貨投入口204が配列され、硬貨投入口204の両側にはそれぞれ一個ずつの硬貨払出口205が配列されている。便宜上、オペレータから見て右側を硬貨払出口205aとし、左側を硬貨払出口205bとして説明する。また、フロントパネル203中、硬貨投入口204の下方には操作表示部206が配設されている。
【0095】
図18は硬貨入出金装置201の概略的な横断平面図、図19はその概略的な縦断正面図、図20はその概略的な縦断側面図である。
【0096】
硬貨投入口204には、硬貨の有無を光電的に検出する3個で一組の投入口センサ207が設けられている。この投入口センサ207は、発光ダイオードからなる発光部LDとフォトトランジスタよりなる受光部PTとが対向配置されてなる透過型の光センサである。このような硬貨投入口204の底面は、図19に示すように、フロントパネル203から見て右下がりとなっており、投入された硬貨をその自重で右下方に向けて滑らすことができるように構成されている。このような硬貨投入口204の底面右端は、フロントパネル203から見て右下がりに配置されたスロープ208を介して硬貨搬送平ベルト209に連絡している。これにより、硬貨投入口204に投入されて右下方に向けて滑り落ちる硬貨はスロープ208をも滑り落ちて硬貨搬送平ベルト209上に落下する。
【0097】
硬貨搬送平ベルト209は、モータMを含む駆動機構210によって一方が転動駆動される一対のプーリ209aに巻き掛けられたベルト巻き掛け機構を構成する。そして、硬貨搬送平ベルト209は、硬貨投入口204に投入されて滑り落ちてきた硬貨を真直ぐに搬送する。その過程で、硬貨は、不規則に投入された硬貨を1枚ずつ送り出すための整列ローラ211によって整列される。
【0098】
硬貨搬送平ベルト209の終端部分には、硬貨選別部212が連絡している。この硬貨選別部212は、硬貨搬送平ベルト209による硬貨の搬送方向を直角に曲げる湾曲部213と、この湾曲部213によって進行方向を直角に曲げられた硬貨を案内する硬貨選別板214と、この硬貨選別板214に沿わせて硬貨を搬送する硬貨搬送丸ベルト215とを有する。硬貨搬送丸ベルト215は、モータMを含む駆動機構210によって一方が転動駆動される一対のプーリ215aに巻き掛けられたベルト巻き掛け機構を構成する。また、硬貨選別板214は、硬貨の搬送順に順次穴幅寸法が拡大する金種毎の選別穴216を有する。選別穴216は、1円・5円・10円・50円・100円・500円のそれぞれの金種に対応するように6個設けられている。そして、各選別穴216に対応させて、落下する硬貨の枚数を計数するための計数センサ217が設けられている。この計数センサ217は、発光ダイオードからなる発光部LDとフォトトランジスタよりなる受光部PTとが対向配置されてなる透過型の光センサである。
【0099】
硬貨選別部212の下方には、選別穴216のそれぞれに連通させて仕切板218で硬貨毎に仕切られた上方開口の硬貨収納部219が設けられている。この硬貨収納部219のそれぞれの金種毎の入り口、つまり選別穴216の近傍には、硬貨収納部219が満杯となっているかどうかを検出するための満杯センサ220が設けられている。この満杯センサ220は、発光ダイオードからなる発光部LDとフォトトランジスタよりなる受光部PTとが対向配置されてなる透過型の光センサである。また、硬貨収納部219のそれぞれの金種毎の底面部分には、搬送ベルト構造の払出ベルト221が設けられている。この払出ベルト221は、モータMを含む駆動機構210によって一方が転動駆動される一対のプーリ221aに巻き掛けられたベルト巻き掛け機構を構成する。そして、硬貨収納部219の出口には、硬貨を一枚毎に分離する分離ローラ222が配設されており、この分離ローラ222の下流側には所定枚数の硬貨を一列に整列させて待機させる硬貨待機部223が金種毎に設けられている。この硬貨待機部223には、払出ベルト221の上部に2枚以上の硬貨が重ならないように寸法を定めた図示しない押え板が設けられ、かつ、硬貨を一時的に停止させるとともに必要枚数の硬貨を送り出すように動作制御がなされる硬貨ストッパ224が設けられている。この硬貨ストッパ224は、払出ソレノイド225(図21参照)に駆動制御され、動作制御されることにより指定された硬貨とその枚数とを払い出す。さらに、硬貨ストッパ224の直後には、硬貨払出位置に払い出される硬貨の金種及び枚数をチェックするための払出センサ226が金種毎に設けられている。この払出センサ226は、発光ダイオードからなる発光部LDとフォトトランジスタよりなる受光部PTとが対向配置されてなる透過型の光センサである。
【0100】
また、本実施の形態の硬貨入出金装置201は、払出ベルト221によって払い出された各金種の硬貨を受け止める左右搬送機構としての払出方向選択ベルト227を備えている。この払出方向選択ベルト227は、金種毎の払出ベルト221の終端よりも下方の位置でそれらの払出ベルト221と直交するように配置されている。このような払出方向選択ベルト227は、モータMを含む駆動機構210によって一方が転動駆動される一対のプーリ227aに巻き掛けられたベルト巻き掛け機構を構成する。そして、払出方向選択ベルト227を転動駆動する駆動機構210は、払出方向選択ベルト227を正逆反対方向に転動させ得るように構成されている。
【0101】
さらに、払出方向選択ベルト227の両端部は、硬貨投入口204の両側にそれぞれ一個ずつ配列された硬貨払出口205に向けて下向きに傾斜する払出案内機構としての払出スロープ228に連絡している。これにより、払出方向選択ベルト227の転動によって搬送される硬貨は払出スロープ228を滑り落ちて硬貨払出口205に落下する。
【0102】
続いて、このような構成の硬貨入出金装置201に内蔵される各部の電気的接続について図21を参照して説明する。図21は、硬貨入出金装置201に内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【0103】
図21に示すように、本実施の形態の硬貨入出金装置201は、Microcomputer(以下、マイコンという。)251を内蔵し、このマイコン251が各部を駆動制御する。マイコン251は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)252に、アドレスバス、データバス等のバスライン253を介して、動作プログラム等の固定的データを予め格納するROM(Read Only Memory)254と、データを書き換え自在に格納するRAM(Random Access Memory)255と、通信インターフェース256とが接続されて構成されている。なお、RAM255は、バッテリ(図示せず)によってバックアップされている。
【0104】
ROM254に格納された制御プログラムは、マイコン251による各部の駆動制御を可能とする。こうしてマイコン251によって駆動制御される各部として、本実施の形態の硬貨入出金装置201は、バスライン253を介してマイコン251に接続された操作表示部206、モータMを駆動源とする駆動機構210、及び払出ソレノイド225を備える。そして、各種のセンサ類、つまり、投入口センサ207、計数センサ217、満杯センサ220及び払出センサ226も、バスライン253を介してマイコン251に接続され、それらのセンシング結果がマイコン251に伝達される。
【0105】
ここで、駆動機構210は、硬貨搬送平ベルト209、硬貨搬送丸ベルト215、払出ベルト221、払出方向選択ベルト227、整列ローラ211、及び分離ローラ222を駆動制御する。この場合、駆動機構210は、それらの硬貨搬送平ベルト209、硬貨搬送丸ベルト215、払出ベルト221及び払出方向選択ベルト227を独立的に駆動制御可能とする構造を備える。駆動対象物を独立的に駆動制御するための構造としては、例えば、駆動源であるモータMを複数個設けるとか、クラッチ機構を採用するとか、各種の公知の構造を採用し得る。
【0106】
次に、作用について説明する。
【0107】
硬貨が硬貨投入口204に投入されると、投入口センサ207がその硬貨を検出し、マイコン251は硬貨搬送ベルト平209を駆動する。これにより、硬貨は硬貨搬送ベルト平209に搬送され、湾曲部213で直角に方向転換された後に硬貨搬送丸ベルト215に搬送され、硬貨選別部212で金種毎の選別がなされる。すなわち、金種に応じて選別穴216に落され、硬貨収納部219に収納される。選別穴216から落下した硬貨は、計数センサ217によりその数がカウントされる。硬貨収納部219に落下した硬貨は、払出ベルト221に搬送されて硬貨待機部223で待機状態となっている。
【0108】
図22は、POS端末101から払出指示信号を受信した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【0109】
POS端末101から払出指示信号を受信した場合の処理を図22のフローチャートに基づいて説明する。まず、マイコン251は、POS端末101から払出指示信号を受信した場合、その払出指示信号に第1の締め信号が伴われているかどうかを判定する(ステップS401)。払出指示信号に第1の締め信号が伴われてない場合には、その払出指示信号に第2の締め信号が伴われているかどうかを判定する(ステップS402)。払出指示信号に第1の締め信号が伴われている場合というのは、POS端末101が単独モードにモード設定されている場合か、デュアルモードにモード設定されている場合であって第1の締めキー116aによって締め処理が宣言された場合かのいずれかである。デュアルモード時、第1の締めキー116aによって締め処理が宣言されたということは、POS端末101において右側処理が実行されていたことを意味する。また、払出指示信号に第2の締め信号が伴われている場合というのは、POS端末101がデュアルモードにモード設定されている場合であって第2の締めキー116bによって締め処理が宣言された場合である。デュアルモード時、第2の締めキー116bによって締め処理が宣言されたということは、POS端末101において左側処理が実行されていたことを意味する。
【0110】
ステップS401で払出指示信号に第1の締め信号が伴われているとの判定結果が出た場合、マイコン251は、駆動機構210を制御し、払出ベルト221及び払出ソレノイド225を動作させる(ステップS403、ステップS404)。この際、マイコン251は、払出指示信号に伴われている入出金データを参照し、駆動すべき金種の払出ベルト221及び払出ソレノイド225とその駆動時間とを求め、求めた金種の払出ベルト221及び払出ソレノイド225を求めた駆動時間だけ駆動する。これにより、POS端末101が指示した金額分の硬貨が払出ベルト221から払出方向選択ベルト227に払い出される。
【0111】
この際、マイコン251は、どの金種の硬貨が何枚払い出されたかを払出センサ226の出力に基づいて認識し、確認する(ステップS405)。
【0112】
そして、マイコン251は、駆動機構210を制御し、払出方向選択ベルト227を動作させる(ステップS406)。この際、ステップS401で払出指示信号に第1の締め信号が伴われていると判定されているので、オペレータから見て硬貨が右側に位置する硬貨払出口205aから払い出される方向に払出方向選択ベルト227が駆動される。これにより、デュアルモード時にPOS端末101において実行されていた右側処理に適合するよう、オペレータから見て右側に位置する硬貨払出口205aから釣り銭が払い出される。
【0113】
釣り銭の払い出しが終了した場合、マイコン251は停止処理をして処理を終了する(ステップS407)。
【0114】
これに対して、ステップS402で払出指示信号に第2の締め信号が伴われているとの判定結果が出た場合、マイコン251は、駆動機構210を制御し、払出ベルト221及び払出ソレノイド225を動作させる(ステップS408、ステップS409)。この際、マイコン251は、払出指示信号に伴われている入出金データを参照し、駆動すべき金種の払出ベルト221及び払出ソレノイド225とその駆動時間とを求め、求めた金種の払出ベルト221及び払出ソレノイド225を求めた駆動時間だけ駆動する。これにより、POS端末101が指示した金額分の硬貨が払出ベルト221から払出方向選択ベルト227に払い出される。
【0115】
この際、マイコン251は、どの金種の硬貨が何枚払い出されたかを払出センサ226の出力に基づいて認識し、確認する(ステップS410)。
【0116】
そして、マイコン251は、駆動機構210を制御し、払出方向選択ベルト227を動作させる(ステップS411)。この際、ステップS402で払出指示信号に第2の締め信号が伴われていると判定されているので、オペレータから見て硬貨が左側に位置する硬貨払出口205aから払い出される方向に払出方向選択ベルト227が駆動される。これにより、デュアルモード時にPOS端末101において実行されていた左側処理に適合するよう、オペレータから見て左側に位置する硬貨払出口205aから釣り銭が払い出される。
【0117】
釣り銭の払い出しが終了した場合、マイコン251は停止処理をして処理を終了する(ステップS412)。
【0118】
ここに、第1の締め信号の入力に応じて一方の硬貨払出口205aから硬貨を払い出す方向に左右搬送機構である払出方向選択ベルト227を駆動制御し、第2の締め信号の入力に応じてもう一方の硬貨払出口205bから硬貨を払い出す方向に左右搬送機構である払出方向選択ベルト227を駆動制御する駆動制御手段の機能が実行される。
【0119】
なお、本実施の形態では、POS端末101が単独モードの時に、右側の硬貨払出口205aから硬貨を払い出す例を示したが、実施に際しては、POS端末101が単独モードの時に、左側の硬貨払出口205bから硬貨を払い出すように構成しても良い。
【0120】
〔紙幣入出金装置301〕
次いで、紙幣入出金装置301について図17、図23ないし図28を参照して説明する。
【0121】
図17は硬貨入出金装置201及び紙幣入出金装置301の斜視図である。
【0122】
図17に示すように、紙幣入出金装置301は、例えば硬貨入出金装置201の上段に配置されて使用される。このような紙幣入出金装置301は、扁平筐体状のハウジング302に各構成部品を収納保持する。このハウジング302は、オペレータに対面するパネルとなるフロントパネル303を有する。このフロントパネル303には、その中央部に紙幣投入口304が配列され、紙幣投入口304の両側にはそれぞれ一個ずつの紙幣払出口305が配列されている。便宜上、オペレータから見て右側を紙幣払出口305aとし、左側を紙幣払出口305bとして説明する。
【0123】
図23は紙幣入出金装置301の概略的な横断平面図、図24はその概略的な縦断正面図、図25は図23におけるAA線断面図、図26は図23におけるBB線断面図である。
【0124】
本実施の形態の紙幣入出金装置301は、概略的には、紙幣投入口304から投入された紙幣Pを紙幣投入口304に真直ぐに連絡する中央経路306に案内し、この案内途中で紙幣を中央経路306の下方に順に配列された金種別の紙幣収納部307に金種別に収納する。そして、POS端末101からの排出指示信号を受けて、紙幣収納部307に金種別に収納された紙幣を二つの紙幣払出口305から選択的に払い出す、というものである。そこで、紙幣を中央経路306の下方に順に配列された金種別の紙幣収納部307に金種別に収納するための構造として紙幣収納構造308が設けられ、紙幣を二つの紙幣払出口305から選択的に払い出すための構造として紙幣払出構造309が設けられている。以下、このような紙幣入出金装置301について詳細に説明する。
【0125】
まず、紙幣投入口304には、紙幣の有無を光電的に検出する投入口センサ310が設けられている。この投入口センサ310は、発光ダイオードからなる発光部LDとフォトトランジスタよりなる受光部PTとが対向配置されてなる透過型の光センサである。
【0126】
紙幣投入口304の近傍には、投入口センサ310よりも奥側に一対のローディングローラ311が設けられている。このローディングローラ311は、モータMを駆動源とするローラ駆動機構312(図27参照)に駆動されて回転し、紙幣投入口304に投入された紙幣を中央経路306の内部にローディングする。
【0127】
そして、そのローディングローラ311よりもさらに奥側には、中央経路306にローディングされた紙幣Pの有無を検出する紙幣センサ313が設けられている。
【0128】
次いで、紙幣収納構造308について説明する。図25は、紙幣収納構造308について良く表している。そこで、図25を中心に説明する。
【0129】
紙幣投入口304に真直ぐに連絡する中央経路306は、紙幣投入口304に投入された紙幣Pを移動自在に保持する微小ギャップをもって相対向する一対の保持板SPによって形成されている。このような中央経路306の下方には、金種別の紙幣収納部307が順に配列されている。その配列順序は問わないが、例えば、紙幣投入口304から順に、1000円、5000円、10000円、2000円の順に配列されている。
【0130】
このような中央経路306には、モータMを駆動源とするローラ駆動機構312(図27参照)に駆動されて回転し、紙幣Pに搬送力を付与する複数個の収納搬送ローラ314が配設されている。収納搬送ローラ314は収納搬送部を構成する。そして、これらの収納搬送ローラ314の一部は、金種別に設けられた各紙幣収納部307の後端の上方に位置付けられている。これらの各紙幣収納部307の後端の上方に位置付けられている収納搬送ローラ314を、便宜上、方向転換ローラ314aと呼ぶ。
【0131】
方向転換ローラ314aの位置では、保持板SPが途切れている。そして、これらの途切れた部分から中央経路306に進退自在の複数個の切替板315が設けられている。これらの切替板315は、回動自在に支持され、収納ソレノイド316(図27参照)に駆動されて回動することで中央経路306に進退自在である。そして、切替板315が中央経路306に進入した場合、中央経路306を案内搬送されている紙幣Pは切替板315に真直ぐな進行を遮られ、切替板315に付されたカーブ形状に沿って中央経路306の下方に配置された紙幣収納部307に導かれる。したがって、紙幣Pを収納したい紙幣収納部307の後端上方に位置付けられている切替板315を中央経路306に進入させることで、中央経路306を進行中の紙幣Pが切替板315に案内されて所望の紙幣収納部307に収納されることになる。
【0132】
もっとも、紙幣投入口304から最も離れた紙幣収納部307については、そのような切替板315が設けられておらず、その紙幣収納部307の上方では保持板SPも設けられていない。したがって、紙幣投入口304から最も離れた紙幣収納部307には、専ら、中央経路306を進行する紙幣Pが自由落下によって収納されることになる。
【0133】
こうして、中央経路306を搬送される紙幣Pを金種別に紙幣収納部307に導入する紙幣収納機構が構成されている。
【0134】
さらに、図24に示すように、各紙幣収納部307には、紙幣収納部307に収納された紙幣Pを押えて固定的に保持するための一対の紙幣押え317が設けられている。これらの紙幣押え317は、紙幣Pを押える押え位置と紙幣収納部307に対する紙幣Pの導入を妨げない退避位置との間に回動自在に指示され、紙幣押えソレノイド318(図27参照)に駆動されて回動することで押え位置と退避位置とに選択的に位置付けられる。
【0135】
次いで、紙幣払出構造309について説明する。図24及び図26は、紙幣払出構造309について良く表している。そこで、図24及び図26を中心に説明する。
【0136】
紙幣収納部307は、紙幣Pを積層状態で収納保持する。このような紙幣収納部307において、最下位に位置する紙幣Pは、その両側部を、中央経路306での紙幣Pの進行方向と軸方向が同一方向である回転自在の一対のピックアップローラ319によって支持されている。これらのピックアップローラ319は、モータMを駆動源とするローラ駆動機構312(図27参照)に駆動されて回転し、紙幣収納部307において最下位に位置する紙幣Pに中央経路306と直交する方向への搬送力を付与する。これにより、紙幣収納部307において最下位に位置する紙幣Pはピックアップローラ319にピックアップされて中央経路306と直交する方向へ搬送され、この際、図示しない分離機構によって最下位の紙幣Pは他の積層された紙幣Pから分離給送される。この場合、最下位の紙幣Pは、一対のピックアップローラ319のうちのいずれのピックアップローラ319を駆動するかによって、左右いずれの方向にも分離給送可能である。
【0137】
ピックアップローラ319にピックアップ給送された紙幣Pの行き先には紙幣払出経路320が配設されている。つまり、中央経路306の両側には一対の紙幣払出経路320が並列に配置されている。これらの紙幣払出経路320は、紙幣収納部307に連絡する平板状部材によって構成されている。また、紙幣払出経路320には、ピックアップローラ319にピックアップ給送された紙幣Pを定位置まで搬送するための複数個の送りローラ321が設けられている。これらの送りローラ321は、ピックアップローラ319と平行な回転軸を有し、モータMを駆動源とするローラ駆動機構312(図27参照)に駆動されて回転する。
【0138】
こうして、紙幣収納部307に金種別に収納された紙幣Pを一枚ずつ選択的に左右一方の紙幣払出経路320に移送する左右移送機構が構成される。
【0139】
次いで、紙幣払出経路320上には、払出機構を構成する払出ローラ群322が設けられている。つまり、図26に示すように、払出ローラ群322は、棒状のリンク323に複数個の払出ローラ324が回転自在に取り付けられた払出構造体325がリンク323の両端において回動自在に支持されて構成されている。これにより、払出構造体325は、その回動動作に応じて紙幣払出経路320に接離する。このような払出構造体325の回動は、払出ソレノイド326(図27参照)の駆動によって実現し、複数個の払出ローラ324は、モータMを駆動源とするローラ駆動機構312(図27参照)に駆動されて回転する。これにより、紙幣払出経路320上に移送された紙幣Pは、払出構造体325を下降させて複数個の払出ローラ324を回転駆動することで紙幣払出口305に向けて払い出される。この際、紙幣払出経路320上の紙幣払出口305の近傍に設けられた払出最終ローラ327は、紙幣払出口305に対する紙幣Pの確実な払い出しを補助する。このような払出最終ローラ327も、モータMを駆動源とするローラ駆動機構312(図27参照)に駆動されて回転する。
【0140】
続いて、このような構成の紙幣入出金装置301に内蔵される各部の電気的接続について図27を参照して説明する。図27は、紙幣入出金装置301に内蔵される各部の電気的接続を示すブロック図である。
【0141】
図27に示すように、本実施の形態の紙幣入出金装置301は、Microcomputer(以下、マイコンという。)351を内蔵し、このマイコン351が各部を駆動制御する。マイコン351は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)352に、アドレスバス、データバス等のバスライン353を介して、動作プログラム等の固定的データを予め格納するROM(Read Only Memory)354と、データを書き換え自在に格納するRAM(Random Access Memory)355と、通信インターフェース356とが接続されて構成されている。なお、RAM355は、バッテリ(図示せず)によってバックアップされている。
【0142】
ROM354に格納された制御プログラムは、マイコン351による各部の駆動制御を可能とする。こうしてマイコン351によって駆動制御される各部として、本実施の形態の紙幣入出金装置301は、バスライン353を介してマイコン351に接続されたモータMを駆動源とするローラ駆動機構312、収納ソレノイド316、紙幣押えソレノイド318、及び払出ソレノイド326を備える。そして、各種のセンサ類、つまり、投入口センサ310及び紙幣センサ313も、バスライン353を介してマイコン351に接続され、それらのセンシング結果がマイコン351に伝達される。
【0143】
ここで、ローラ駆動機構312は、ローディングローラ311、収納搬送ローラ314、ピックアップローラ319、送りローラ321、払出ローラ324、及び払出最終ローラ327を駆動制御する。この場合、ローラ駆動機構312は、それらのローディングローラ311、収納搬送ローラ314、ピックアップローラ319、送りローラ321、払出ローラ324、及び払出最終ローラ327を独立的に駆動制御可能とする構造を備える。駆動対象物を独立的に駆動制御するための構造としては、例えば、駆動源であるモータMを複数個設けるとか、クラッチ機構を採用するとか、各種の公知の構造を採用し得る。
【0144】
次に、作用について説明する。
【0145】
紙幣投入口304に紙幣Pが投入されると、投入された紙幣Pが投入口センサ310に検出される。これに応じて、マイコン351は、ローラ駆動機構312によってローディングローラ311を駆動し、紙幣Pを内部にローディングする。ローディングされた紙幣Pは中央経路306に案内され、ローラ駆動機構312によって駆動される収納搬送ローラ314に搬送される。
【0146】
その過程で、紙幣センサ313の出力信号によって紙幣Pの金種が判別される。紙幣Pの金種判別は、例えば、紙幣Pの搬送速度から認識可能な紙幣Pの長さに基づいてなされる。もっとも、紙幣センサ313として、紙幣Pの特徴を採取可能なセンサを設ければ、紙幣Pの特徴に基づいて紙幣Pの金種を判別することも可能である。
【0147】
紙幣Pの金種が判別されたら、その金種が対応する紙幣収納部307に搬送中の紙幣Pを収納する。そのために、マイコン351は、紙幣Pを収納しようとする紙幣収納部307の上方に紙幣が到達する直前に収納ソレノイド316を駆動し、切替板315を回動させて中央経路306に進入させる。これにより、中央経路306を進行中の紙幣Pは切替板315に行く手を阻まれ、金種対応の紙幣収納部307に向けて方向転換される。この際、マイコン351は、紙幣押えソレノイド318を駆動して紙幣押え317を退避位置に位置付け、紙幣Pとの干渉を防止する。これにより、紙幣Pは、金種対応の紙幣収納部307に収納される。
【0148】
図28は、POS端末101から払出指示信号を受信した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【0149】
POS端末101から払出指示信号を受信した場合の処理を図22のフローチャートに基づいて説明する。まず、マイコン351は、POS端末101から払出指示信号を受信した場合、その払出指示信号に第1の締め信号が伴われているかどうかを判定する(ステップS501)。払出指示信号に第1の締め信号が伴われてない場合には、その払出指示信号に第2の締め信号が伴われているかどうかを判定する(ステップS502)。払出指示信号に第1の締め信号が伴われている場合というのは、POS端末101が単独モードにモード設定されている場合か、デュアルモードにモード設定されている場合であって第1の締めキー116aによって締め処理が宣言された場合かのいずれかである。デュアルモード時、第1の締めキー116aによって締め処理が宣言されたということは、POS端末101において右側処理が実行されていたことを意味する。また、払出指示信号に第2の締め信号が伴われている場合というのは、POS端末101がデュアルモードにモード設定されている場合であって第2の締めキー116bによって締め処理が宣言された場合である。デュアルモード時、第2の締めキー116bによって締め処理が宣言されたということは、POS端末101において左側処理が実行されていたことを意味する。
【0150】
ステップS501で払出指示信号に第1の締め信号が伴われているとの判定結果が出た場合、マイコン351は、払出指示信号に伴われている入出金データを参照し、駆動すべき金種に対応するオペレータから見て右側のピックアップローラ319を動作させ(ステップS503)、続いて右側の送りローラ321を動作させ(ステップS504)、紙幣収納部307から最下位に位置する紙幣Pを右側の紙幣払出経路320に向けてピックアップ給送する。ピックアップローラ319及び送りローラ321の駆動は、ローラ駆動機構312を制御することによって実行される。
【0151】
その後、マイコン351は、紙幣Pが右側の紙幣払出経路320に達したタイミングで、払出ソレノイド326を駆動して右側の払出構造体325を下降させる(ステップS505)。これにより、払出構造体325に設けられている複数個の払出ローラ324が紙幣Pに接触する。
【0152】
そこで、続くステップS506で、マイコン351は、ローラ駆動機構312を制御し、右側の払出ローラ324を駆動し(ステップS506)、続いて右側の払出最終ローラ327を駆動する(ステップS507)。これにより、デュアルモード時にPOS端末101において実行されていた右側処理に適合するようオペレータから見て右側に位置する硬貨払出口205aから釣り銭が払い出される。
【0153】
釣り銭の払い出しが終了した場合、マイコン251は停止処理をして処理を終了する(ステップS508)。
【0154】
これに対して、ステップS502で払出指示信号に第2の締め信号が伴われているとの判定結果が出た場合、マイコン351は、払出指示信号に伴われている入出金データを参照し、駆動すべき金種に対応するオペレータから見て左側のピックアップローラ319を動作させ(ステップS509)、続いて左側の送りローラ321を動作させ(ステップS510)、紙幣収納部307から最下位に位置する紙幣Pを左側の紙幣払出経路320に向けてピックアップ給送する。ピックアップローラ319及び送りローラ321の駆動は、ローラ駆動機構312を制御することによって実行される。
【0155】
その後、マイコン351は、紙幣Pが左側の紙幣払出経路320に達したタイミングで、払出ソレノイド326を駆動して左側の払出構造体325を下降させる(ステップS511)。これにより、払出構造体325に設けられている複数個の払出ローラ324が紙幣Pに接触する。
【0156】
そこで、続くステップS512で、マイコン351は、ローラ駆動機構312を制御し、左側の払出ローラ324を駆動し(ステップS512)、続いて左側の払出最終ローラ327を駆動する(ステップS513)。これにより、デュアルモード時にPOS端末101において実行されていた左側処理に適合するようオペレータから見て左側に位置する硬貨払出口205aから釣り銭が払い出される。
【0157】
釣り銭の払い出しが終了した場合、マイコン251は停止処理をして処理を終了する(ステップS514)。
【0158】
ここに、払い出そうとする金種を収納する紙幣収納部307に収納された紙幣Pを払い出そうとする紙幣払出口305に対応する紙幣払出経路320に移送し、紙幣払出経路320に移送された紙幣Pを紙幣払出口305に向けて搬送し、これによって、第1の締め信号の入力応じて一方の紙幣払出口305aから紙幣Pを払い出し、第2の締め信号の入力に応じてもう一方の紙幣払出口305bから紙幣Pを払い出すように紙幣払出構造309を駆動制御する駆動制御手段の機能が実行される。
【0159】
なお、本実施の形態では、POS端末101が単独モードの時に、右側の紙幣払出口305aから硬貨を払い出す例を示したが、実施に際しては、POS端末101が単独モードの時に、左側の紙幣払出口305bから紙幣Pを払い出すように構成しても良い。
【0160】
〔システム全体の使用形態〕
以上説明したように、本実施の形態のシステムでは、単独モードでの使用とデュアルモードでの使用との二通りの使用形態を選択することができる。そこで、通常は単独モードで使用し、繁忙時にはデュアルモードで使用するというようなことが可能となる。この場合、1台のPOS端末101、硬貨入出金装置201及び紙幣入出金装置301によって、単独モードでもデュアルモードでも使用可能であることから、大規模な装置を用いることなく、効率よく顧客を捌くことが可能となる。
【0161】
ここで、本実施の形態では、デュアルモードにおいて、オペレータから見て右側に並ぶ顧客が購入する商品の商品データについては、第1の入力手段(例えば、第1のキーボード110a、第1のスキャナ111a等)と第2の入力手段(例えば、第1のキーボード110b、第1のスキャナ111b等)とのうち右側に配置する入力手段、本実施の形態では第1の入力手段109a、110a、111aによってその商品情報を入力可能として、入力された商品データに基づく商品販売情報をオペレータ用表示器107に右側表示して顧客用表示器120に左側表示する。この際、オペレータ用表示器107の右側表示のフレームが緑色に表示され、第1のキーボード110a及び第1のスキャナ111aの左右表示部117a、118aが緑色に点灯することから、オペレータは自分が操作し見ようとする対象物の左右の別を容易に識別することができる。また、商品販売データ処理に際して、レシート105が発行される直前には、レシート発行口106近傍の右側に位置する左右表示部119aが緑色に点灯することから、左右どちらの顧客用のレシート105がこれから発行されるのかが容易に判別される。レシート105の判別は、レシート105に印字されるマーク105aによって、レシート105そのものからも容易である。さらに、硬貨入出金装置201及び紙幣入出金装置301では、硬貨又は紙幣の払出指示に応じて、右側の硬貨払出口205aから硬貨が払い出され、右側の紙幣払出口305aから紙幣が払い出される。
【0162】
また、オペレータから見て左側に並ぶ顧客が購入する商品の商品データについては、第1の入力手段(例えば、第1のキーボード110a、第1のスキャナ111a等)と第2の入力手段(例えば、第1のキーボード110b、第1のスキャナ111b等)とのうち左側に配置する入力手段109b、110b、111bによってその商品情報を入力可能として、入力された商品データに基づく商品販売情報をオペレータ用表示器107に左側表示し顧客用表示器120に右側表示する。この際、オペレータ用表示器107の左側表示のフレームが橙色に表示され、第2のキーボード110b及び第2のスキャナ111bの左右表示部117b、118bが橙色に点灯することから、オペレータは自分が操作し見ようとする対象物の左右の別を容易に識別することができる。また、商品販売データ処理に際して、レシート105が発行される直前には、レシート発行口106近傍の左側に位置する左右表示部119bが橙色に点灯することから、左右どちらの顧客用のレシート105がこれから発行されるのかが容易に判別される。レシート105の判別は、レシート105に印字されるマーク105aによって、レシート105そのものからも容易である。さらに、硬貨入出金装置201及び紙幣入出金装置301では、硬貨又は紙幣の払出指示に応じて、左側の硬貨払出口205bから硬貨が払い出され、左側の紙幣払出口305bから紙幣が払い出される。
【0163】
したがって、デュアルモードにおいては、オペレータから見て右側に並ぶ顧客については右を観念させる操作及び表示によって一連の商品販売作業を行なうことができ、オペレータから見て左側に並ぶ顧客については左を観念させる操作及び表示によって一連の商品販売作業を行なうことができる。
【0164】
【発明の効果】
本発明の紙幣払出装置の発明は、操作者に対面するパネルの中央部に紙幣投入口を配置し、この紙幣投入口の左右両側に一個ずつ紙幣払出口を配置し、紙幣投入口に挿入された紙幣を搬送して紙幣収納部に金種別に収納しておき、紙幣収納部に金種別に収納された紙幣を二つの紙幣払出口に選択的に払い出す紙幣払出構造を設けたので、一台の紙幣入出金装置によって二人の顧客を捌くことでき、したがって、大規模な装置を用いることなく、効率よく顧客を捌くことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態として、POS端末、硬貨入出金装置及び紙幣入出金装置の外観を示す斜視図である。
【図2】キーボードの平面図である。
【図3】POS端末、硬貨入出金装置及び紙幣入出金装置の外観の一部を示す斜視図である。
【図4】POS端末、硬貨入出金装置及び紙幣入出金装置の顧客側から見た背面図である。
【図5】POS端末における各部の電気的接続のブロック図である。
【図6】登録処理モードにおける単独モードとデュアルモードとのモード選択処理を示すフローチャートである。
【図7】単独モードでの処理を示すフローチャートである。
【図8】デュアルモードでの処理を示すフローチャートである。
【図9】デュアルモードでの右側処理と左側処理とを示すフローチャートである。
【図10】単独モードでのオペレータ用表示器における画面表示例を示す模式図である。
【図11】単独モードでの顧客用表示器における画面表示例を示す模式図である。
【図12】デュアルモードでのオペレータ用表示器における画面表示例を示す模式図である。
【図13】デュアルモードでの顧客用表示器における画面表示例を示す模式図である。
【図14】デュアルモードでの顧客用表示器における図13とは別の画面表示例を示す模式図である。
【図15】デュアルモードでの顧客用表示器における図13及び図14とは別の画面表示例を示す模式図である。
【図16】デュアルモードで発行されたレシートの一例を示す模式図である。
【図17】硬貨入出金装置及び紙幣入出金装置の斜視図である。
【図18】硬貨入出金装置の概略的な横断平面図である。
【図19】その概略的な縦断正面図である。
【図20】その概略的な縦断側面図である。
【図21】硬貨入出金装置における各部の電気的接続のブロック図である。
【図22】POS端末から払出指示信号を受信した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】紙幣入出金装置の概略的な横断平面図である。
【図24】その概略的な縦断正面図である。
【図25】図23におけるAA線断面図である。
【図26】図23におけるBB線断面図である。
【図27】紙幣入出金装置における各部の電気的接続のブロック図である。
【図28】POS端末から払出指示信号を受信した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
303 パネル(フロントパネル)
304 紙幣投入口
305(305a、305b) 紙幣払出口
306 中央経路
307 紙幣収納部
308 紙幣収納構造
309 紙幣払出構造
314 収納搬送部(収納搬送ローラ)
320 紙幣払出経路
322 払出機構(払出ローラ群)
Claims (1)
- 操作者に対面するパネルの中央部に配置された紙幣投入口と、
前記紙幣投入口の左右両側に一個ずつ配置された紙幣払出口と、
紙幣を金種別に収納する紙幣収納部と、
前記紙幣投入口に挿入された紙幣を搬送して前記紙幣収納部に金種別に収納する紙幣収納構造と、
前記紙幣収納部に金種別に収納された紙幣を二つの前記紙幣払出口に選択的に払い出す紙幣払出構造と、
を具備し、
前記紙幣収納構造は、
前記紙幣投入口に真直ぐ連絡する中央経路と、
前記紙幣投入口に挿入された紙幣を前記中央経路に沿って搬送する収納搬送部と、
前記中央搬送路に沿ってその下方に金種別に配置された前記紙幣収納部と、
前記中央経路を搬送される紙幣を金種別に前記紙幣収納部に導入する紙幣収納機構と、
を具備し、
前記紙幣払出構造は、
前記中央搬送路の左右両側に並列に配置されて二つの前記紙幣払出口にそれぞれ真直ぐに連絡する一対の紙幣払出経路と、
前記紙幣収納部に金種別に収納された紙幣を一枚ずつ選択的に左右一方の前記紙幣払出経路に移送する左右移送機構と、
前記紙幣払出経路に移送された紙幣をその紙幣払出経路に連絡する一方の前記紙幣払出口に向けて搬送しその紙幣払出口から払い出させる払出機構と、
を具備する、
紙幣入出金装置。
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