JP3798172B2 - 可変容量型ベーンポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両のパワーステアリング装置に用いられる、可変容量型ベーンポンプの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のパワーステアリング装置等に用いられる可変容量型ベーンポンプにおいて、ポンプ吐出流量に適切な特性を与えうるものが、本出願人による特願平10−248286号に提案がなされている。
【0003】
図4には、この特願平10−248286号の可変容量型ベーンポンプを示す。図示されるように、ベーンポンプは、アダプタリング103内にカムリング105を揺動自在に収容し、このカムリング105内に、複数のベーン111を備えたロータ106を回転自在に配設して構成される。カムリング105の両側には、第1の流体圧力室131と第2の流体圧力室132が画成され、これらの流体圧力室131、132の相反的な拡縮によりカムリング105の偏心量が決定される。
【0004】
ベーンポンプが作動すると、ベーン111により画成された吐出側圧力室の油圧は、可変オリフィス125を通って減圧されて、カムリング105の第2の流体圧力室132側に配設された制御プランジャ121内部に導入され、さらに吐出ポート118に導かれて、外部の油圧機器(例えばパワーステアリング装置)に供給される。また、この制御プランジャ121の先端部は、アダプタリング103の貫通穴103aを貫通して第2の流体圧力室132に達し、さらに制御プランジャ121内部に収容されたスプリング122によりカムリング105側面に押しつけられた状態となっている。
【0005】
ベーンポンプの回転数が上昇し、可変オリフィス125の上流圧と下流圧の差圧が大きくなると、この差圧により弁ポジションが変動する制御バルブ140が作動し、第1の流体圧力室131に、前記吐出側圧力室の油圧(可変オリフィス125の上流圧)が導入される。一方、第2の流体圧力室には、制御プランジャ121と貫通穴103aの間の隙間からなる絞り129Aまたは制御プランジャ121先端に設けられた絞り129Bを介して、可変オリフィス125の下流圧が導入されている。このため、可変オリフィス125の上流と下流の差圧が大きくなると、カムリング105は第2の流体圧力室132側に押し戻されて偏心量が小さくなるので、ポンプ吐出流量が減少していく。
【0006】
さらに、このカムリング105の動作により、カムリング105側面に当接する制御プランジャ121は後退し、制御プランジャ121の基端側が、可変オリフィス125の開口面積を狭めていく。
【0007】
このように、ポンプの高速回転領域では、カムリング105の偏心量の減少と可変オリフィス125の開口面積の縮小の効果が相まって、ポンプ吐出流量が小さな値で安定するような流量特性が得られる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この特願平10−248286号の可変容量型ベーンポンプは、第2の流体圧力室132の圧力に可変オリフィス125下流の油圧のみに依存するようになっているので、負荷圧(吐出ポート118の圧力)が変動すると、この圧力変動が第2の流体圧力室132の圧力に大きく影響してしまう。このため、カムリング105の動作が不安定となり、結果としてポンプの流量特性が安定しない問題点があった。
【0009】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、負荷圧が変動した場合でも安定した流量特性を得ることができる可変容量型ベーンポンプを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
第1の発明では、駆動軸に対して偏心可能なカムリングと、このカムリングの内側に収容され前記駆動軸を中心に回転するロータと、このロータ外周に伸縮自在に備えられた複数のベーンと、これらのベーンの間に画成された吐出側ポンプ室からの作動流体を外部の油圧機器へ供給する吐出ポートと、前記カムリングの両側に形成された第1と第2の流体圧力室と、前記吐出側ポンプ室と前記吐出ポートとの間に設けられた可変オリフィスと、前記第1の流体圧力室に前記可変オリフィス上流圧を導入する第1の圧力導入手段と、前記第2の流体圧力室に前記ロータ回転数に応じた圧力を導入する第2の圧力導入手段と、前記カムリングの前記第2の流体圧力室側への動作に追従して収縮して前記可変オリフィスの開口面積を狭める制御プランジャと、この制御プランジャを前記カムリング側に付勢する付勢手段とを備えた可変容量型ベーンポンプにおいて、前記第2の圧力導入手段を、前記可変オリフィス上流圧を前記第2の流体圧力室に導入する第1の絞り手段と、前記可変オリフィス下流圧を前記第2の流体圧力室に導入する第2の絞り手段とから構成した。
【0011】
第2の発明では、前記第1と第2の流体圧力室は前記カムリング外周とアダプタリングとの間に画成され、前記制御プランジャと略同軸上にフィードバックピンを備え、このフィードバックピンを前記アダプタリングに形成した貫通穴に貫通させ、前記フィードバックピンの一端を前記制御プランジャに当接させ、他端を前記カムリングに前記第2の流体圧力室側から当接させるとともに、前記第の絞り手段を前記フィードバックピン外周と前記貫通穴の間に形成された環状隙間から構成した。
【0012】
【発明の作用および効果】
第1の発明では、第1の圧力導入手段により第1の流体圧力室に可変オリフィス上流圧が導入される一方、第2の流体圧力室には、第2の圧力導入手段を構成する第1と第2の絞り手段により、可変オリフィス上流圧と可変オリフィス下流圧が導入される。これにより、ポンプが高速回転領域に入って可変オリフィスの上流と下流の圧力差が大きくなると、第2の流体圧力室が縮小し、カムリングの偏心量が小さくなり、また可変オリフィスの開口面積が狭められるので、ポンプ高速化移転領域ではポンプ吐出流量が減少していく流量特性が得られる。この場合、第2の流体圧力室には、可変オリフィスの上流圧と下流圧の中間圧が導入されるようになっているので、第2の流体圧力室の圧力は、可変オリフィスの下流圧のみが導入される場合と比較して、負荷圧(吐出ポート)が変動した場合でも、この圧力変動の影響を受ける割合は少ない。したがって、カムリングの動作は安定したものとなり、安定したポンプ流量特性を得ることができる。
【0013】
また、第2の発明では、第2の流体圧力室へ可変オリフィス流圧を導入する環状隙間は、制御プランジャとは分離されたフィードバックピンと貫通穴の間に形成されるものであるので、環状隙間の開口面積は、制御プランジャの組み立て誤差による制約を受けることはなく設定できる。したがって、環状隙間によるダンピング効果を適切に設定でき、カムリングの動作を適切に安定化させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1、図2には、本実施の形態の可変容量型ベーンポンプを示す。
【0016】
図示されるように、ハウジング1の略円形の収容凹部1aには、その底面(最奥部の側面)側から、サイドプレート2、アダプタリング3が積層状態で収容される。アダプタリング3の内側には、円環状のカムリング5が、ピン4を回動支点として後述の駆動軸8の左右に揺動可能に支持されている。このカムリング5の内側には、ロータ6が収容される。また、収容凹部1aの開口端は、カバー7により封鎖され、アダプタリング3、カムリング5、ロータ6の側面(サイドプレート2と反対側の側面)は、カバー7に当接してシールされる。
【0017】
収容凹部1aの底面には貫通穴1bが形成され、この貫通穴1bには、駆動軸8がメタル軸受9を介して回転自在に支持される。また、この駆動軸8の先端側は、サイドプレート2、ロータ6を貫通して、カバー7に形成された支持穴7aに達し、この支持穴7aにメタル軸受10を介して回転自在に支持されている。また、ロータ6は、この駆動軸8とスプライン結合し、駆動軸8と一体に回転するようになっている。なお、駆動軸8は図示されない動力機関により回転駆動される。
【0018】
ロータ6の外周に形成された複数の切り欠きには、それぞれ、ベーン11がロータ6の半径方向に出没自在に収容される。これにより、駆動軸8の回転によりロータ6が回転すると、切り欠きから伸び出したベーン11の先端が、カムリング5の内周面に当接し、これらの各ベーン11の間に複数のポンプ室12が画成される。
【0019】
サイドプレート2には、キドニー型の高圧凹溝13Aと低圧凹溝14Aが形成される。高圧凹溝13Aと低圧凹溝14Aは、駆動軸8を挟んで対称な位置に形成され、それぞれ吐出側と吸込側のポンプ室12に臨むようになっている。また、カバー7には、ロータ6を挟んでサイドプレート2側の高圧凹溝13Aおよび低圧凹溝14Aと相対する位置に、キドニー型の高圧凹溝13Bと低圧凹溝14Bが形成され、それぞれ吐出側と吸込側のポンプ室12に臨んでいる。
【0020】
高圧凹溝13Aは、サイドプレート2を貫通する高圧通路15を介して、収容凹部1a底部(最奥部)に形成された高圧室16に連通する。この高圧室16は、後述するように可変オリフィス25を介して吐出ポート18と連通する。また、低圧凹溝14Bは、カバー7に形成された低圧通路17を介して、吸込ポート19(さらにはタンクT)と連通する。
【0021】
カムリング5は、前述したようにピン4を回動支点として駆動軸8の左右に揺動可能であり、図1に示すように駆動軸8に対して偏心した位置をとり得る。これにより、駆動軸8の回転とともにロータ6が図1の反時計回転方向に回転すると、この回転に伴って各ポンプ室12の容積が変わって行く。そして、この回転とともに拡大する吸込側(低圧凹溝14A、14B側)のポンプ室12には吸込ポート19からの作動油が吸い込まれる一方、この回転とともに縮小する吐出側(高圧凹溝13A、13B側)のポンプ室12からは吐出ポート18に向けて作動油が吐出される。
【0022】
ハウジング1の側部には、収容凹部1aに開口する(詳しくは、後述する第2の流体圧力室32に開口する)プラグ穴1cが形成される。このプラグ穴1cは、プラグ20が螺合状態で取り付けられることにより閉止される。
【0023】
このプラグ20の収容凹部1a側に延びる先端側にはシリンダ穴20aが開口し、このシリンダ穴20aには制御プランジャ21が摺動自在に収容される。この制御プランジャ21には、基端側に開口するプランジャ中空部21aが形成されている。このプランジャ中空部21a内にはスプリング22が収容される。このスプリング22は、シリンダ穴20aの底面とプランジャ中空部21aの底面との間に介装されており、制御プランジャ21をアダプタリング3側に付勢している。
【0024】
このように制御プランジャ21の中空部21a内にスプリング22を収容する構成を採ることにより、可変容量ポンプの小型化を図ることができる。なお、スプリング22をプランジャ中空部21aに収容できるほど小型化したとしても、後述するように、第1の流体圧力室31の反力F1には、スプリング22のバネ力FSとともに第2の流体圧力室32の反力F2が対抗するようになっているので、問題は生じない。
【0025】
制御プランジャ21の先端側(アダプタリング3側)には、フィードバックピン60が備えられ、制御プランジャ21と略同軸上に配設される。このフィードバックピン60は、基端が制御プランジャ21の先端に当接するとともに、アダプタリング3に形成された貫通穴3aを貫通して、先端がカムリング5の側面に当接する。
【0026】
このような構成により、制御プランジャ21の動作は、フィードバックピン60を介してカムリング5に伝達され、制御プランジャ21内のスプリング22のバネ力は、カムリング5をその最大吐出位置に付勢するように作用する。
【0027】
また、フィードバックピン60の外径と貫通穴3aの内径との間には、環状隙間61が形成され、第2の流体圧力室32は、流体室27(可変オリフィス25の下流側)と、この環状隙間61を介して連通する。この場合、制御プランジャ21をアダプタリング3の貫通穴3aに貫通させた場合と異なり、貫通穴3aに貫通するフィードバックピン60は制御プランジャ21と分離されているので、フィードバックピン60の外径と貫通穴3aの内径の設定には、制御プランジャ21をベーンポンプに組み込むときの組み立て誤差分を考慮する必要はない。したがって、環状隙間61の大きさは、第2の流体圧力室32と流体室27との間の絞り特性のみを考慮して設定することができ、第2の流体圧力室32の圧力制御の精度が高まる。
【0028】
プラグ20の外周の所定の位置には凹部20bが形成される。この凹部20bとプラグ穴1cの間に囲まれる領域に、環状の流体室23が形成される。また、凹部20bには、プラグ20の側面を貫通してプラグ20の外周側とシリンダ穴20aとを連通する可変オリフィス25が開口する。高圧室16からの作動油は、ハウジング1に形成された流体通路36を介して流体室23に導入され、さらに可変オリフィス25を介してシリンダ穴20aおよびプランジャ中空部21aに導入される。プラグ穴1cの開口端部にはOリング24が備えられ、流体室23のシールは確実になされるようになっている。
【0029】
可変オリフィス25の開口面積は、シリンダ穴20a内で摺動する制御プランジャ21の基端側エッジ21bにより調節される。すなわち、可変オリフィス25は、制御プランジャ21がシリンダ穴20a内に後退して来るにしたがって基端側エッジ21bと重なって、その開口面積が狭められるようになっている。
【0030】
制御プランジャ21の側面には、複数の貫通孔26が形成される。プランジャ中空部21aは、これらの貫通孔26を介して、ハウジング1の収容凹部1aとアダプタリング3の間に形成された流体室27に常時連通する。この流体室27は、連通路28を介して吐出ポート18に連通する。これにより、プランジャ中空部21aは、貫通穴26、流体室27および連通路28を介して、常時、吐出ポート18と連通している。
【0031】
アダプタリング3とカムリング5との間の隙間からなる空間は、ピン4およびアダプタリング3に固定されたシール30により、制御プランジャ21側の第2の流体圧力室32と、制御プランジャ21と反対側の第1の流体圧力室31とに画成される。これらの流体圧力室31、32は、ピン4を支点としたカムリング5の揺動により、相反的に拡大または縮小する。
【0032】
第2の流体圧力室32にはオリフィス62が開口し、第2の流体圧力室32はオリフィス62を介して高圧室16側(可変オリフィス25の上流側)と連通する。また、前述したように、第2の流体圧力室32は、フィードバックピン60と貫通穴3aの間に形成された環状隙間61(絞り)を介して、流体室27(可変オリフィス25の下流側)とも連通している。これにより、第2の流体圧力室32に導入される油圧は、可変オリフィス25の上流圧と下流圧の中間圧となる。
【0033】
可変容量型ベーンポンプには、制御バルブ40が一体に備えられる。
【0034】
この制御バルブ40のスプール41は、ハウジング1に形成されたシリンダ42に、基端側から摺動自在に収容される。シリンダ42の開口端はプラグ43により閉鎖される。スプール41の基端とシリンダ42の底部の間には、リターンスプリング44が介装され、スプール41はこのリターンスプリング44によりプラグ43側に付勢される。
【0035】
スプール41は、基端にランド部41aを備え、また軸方向の中央付近にランド部41bを備える。これらのランド部41a、41bにより、シリンダ42は、シリンダ42底面とランド部41a(スプール41基端)との間の低圧流体室45と、ランド部41a、41bの間のドレン流体室46と、ランド部41bとプラグ43との間の高圧流体室47とに画成される。
【0036】
低圧流体室45は、オリフィス48、流体圧力通路49を介して、可変オリフィス25下流の吐出ポート18と連通する。また、ドレン流体室46は、ドレンポート50からドレン通路57に接続され、タンクTに連通する。また、高圧流体室47は、流体圧力通路58に接続され、流体通路36から分岐する流体圧力通路59を介して高圧室16と連通する。
【0037】
さらに、ドレン流体室46および高圧流体室47は、スプール41の摺動位置にしたがって、ハウジング1に形成されシリンダ42に開口する流体圧力通路51およびアダプタリング3に形成されたオリフィス52を介して、第1の流体圧力室31に連通する。
【0038】
詳しく説明すると、図3に詳細に示すように、ランド部41bのスプール軸方向の略中央には、ランド部41b外周を1周する環状溝53が形成される。さらに、ランド部41bには、この環状溝53をドレン流体室46に連通させるように、スプール軸方向に沿ってスリット54が切り欠かれる。環状溝53と高圧流体室47とは、ランド部41bの切り欠かれていないシール部55でシールされる。このような構成により、ポンプ作動の初期においては、流体圧力通路51の開口は環状溝53およびスリット54を介してドレン流体室46にのみ連通しているが、ポンプ回転数(高圧流体室47に導入されるポンプ室圧)が上昇してスプール41(ランド部41b)が図の右方向に移動すると、流体圧力通路51は高圧流体室47と連通し始める。これにより、高圧流体室47から流体圧力通路51を介してドレン流体室46に向かう作動油の流れが生じ、流体圧力通路51と連通する第1の流体圧力室31の圧力は、高圧流体室47と流体圧力通路51との間の開度に応じて、メータイン制御されることになる。
【0039】
なお、このようなベーンポンプにおいて、ポンプ吐出流量特性は、制御バルブ40の形状、スプリング22のバネ特性、可変オリフィス25の形状や開口位置、環状隙間61の開口面積、オリフィス62の形状等により決まるので、制御バルブ40の変更、スプリング22の変更、および可変オリフィス25の形状や開口位置等の変更によって、自由に調整することができる。この場合、上述のようにスプリング22は制御プランジャ21のプランジャ中空部21a内部に収容され、スプリング22および可変オリフィス25はプラグ20のユニット(プラグ20、制御プランジャ21、スプリング22等からなるユニット)内に一体に含まれる構成となっているので、ポンプ回転数に対するポンプ吐出流量の特性変更は、このユニット交換によって、他のポンプ部品の変更を伴うことなく、極めて容易かつ低コストで行い得る。
【0040】
つぎに全体的な作用を説明する。
【0041】
可変容量型ベーンポンプの停止状態では、カムリング5は、図1に示すように、制御プランジャ21(スプリング22)に付勢されて、第1の流体圧力室31側に最大に偏心した位置にある。この状態からベーンポンプを作動させると、ロータ6の回転に伴い、ポンプ室12から高圧室16に作動油が吐出される。この高圧室16の作動油は、可変オリフィス25により減圧されて流体室27に導かれ、流体室27および連通路28を経て吐出ポート18から外部の油圧機器(例えばパワーステアリング装置)へと供給される。
【0042】
また、高圧室16の油圧は、流体圧力通路59を介して、制御バルブ40の高圧流体室47にも導入される。この場合、制御バルブ40のスプール41は、ポンプ作動の初期(ポンプ回転数が小さい低速回転領域)においては、リターンスプリング44のバネ力および低圧流体室45の油圧(高圧室16の油圧が可変オリフィス25および固定オリフィス61で減圧された圧力)に基づく反力により、プラグ43側に押し戻されている。このため、ランド部41bの環状溝53は、流体通路51の開口と重なる位置にあり、第1の流体圧力室31の圧力は流体通路51を介してドレンされており、カムリング5は第1の流体圧力室31側に最大に偏心した位置に保持されたままである。これにより、ポンプの低速回転領域においては、吐出ポート18からのポンプ吐出流量は、ポンプ回転数に比例して速やかに上昇していく。
【0043】
なお、このようなポンプ作動において、第2の流体圧力室32には、流体室27の圧力(可変オリフィス25の下流圧)は環状隙間61を介して導かれるとともに、高圧室16の油圧(可変オリフィスの上流圧)もオリフィス62を介して導入されている。
【0044】
このようにポンプ回転数が上昇して高速回転領域に至ると、可変オリフィス25を通過する流量が増大する。これにしたがって可変オリフィス25前後の差圧が増大し、制御バルブ40の高圧流体室47の圧力と低圧流体室45の圧力の差圧が大きくなって行く。この結果、制御バルブ40のスプール41は、リターンスプリング44のバネ力および低圧流体室45からの反力に抗して、高圧流体室47を拡大する方向(図1の右方向)に押し戻される。この結果、ランド部41bの環状溝53は、流体通路51の開口より図1の右側にまで移動し、流体通路51は高圧流体室47に連通する。
【0045】
この制御バルブ40の切り換えにより、それまでドレンされていた第1の流体圧力室31は、高圧流体室47に連通し、油圧が上昇する。これにより、カムリング5は、この第1の流体圧力室31の油圧(可変オリフィス25の上流圧)に基づく反力F1が、第2の流体圧力室32の油圧(可変オリフィス25の上流圧と下流圧の中間圧)に基づくF2と、スプリング22によるバネ力Fsとの和(F2+Fs)と釣り合うところまで、制御プランジャ21側に押し戻され、偏心量が小さくなって行く。
【0046】
カムリング5の偏心量が小さくなると、ポンプ回転に伴うポンプ室12の容積の変化量が小さくなり、これにしたがって、このポンプ室12の容積の変化量に比例する、ポンプの1回転に対するポンプ吐出流量(単位吐出流量)は小さくなる。さらに、このようにカムリング5の偏心量が小さくなると、カムリング5の動作に追従する制御プランジャ21の基端側エッジ21bにより、可変オリフィス25が次第に閉じられて行く。これにより、可変オリフィス25を介しての供給作動油流量が減少するとともに、この可変オリフィス25の開口面積の減少に伴って、可変オリフィス25による減圧が大きくなり、第2の流体圧力室32の油圧が下降するので、カムリング5の偏心量がさらに小さくなる。このようなカムリング5の偏心量の減少および可変オリフィス25の開口面積の減少の効果が相まって、ポンプの中速回転領域におけるポンプ吐出流量(単位吐出流量×ポンプ回転数)は、ポンプ回転数の上昇に対して減少して行く。
【0047】
このように本実施の形態の可変容量型ベーンポンプでは、ポンプの高速回転領域ではポンプ吐出流量が小さな値で安定するような特性を容易に得ることができるので、例えば可変容量型ベーンポンプをパワーステアリング装置に適用したときには、ポンプ回転数(エンジン回転数)が高くなる車両の高速走行時には、ポンプ吐出流量を減少させた状態で一定流量に(フラットに)安定させることができ、パワーステアリング装置からの油圧アシスト力を適切に制御できる。したがって、車両の高速走行時において、ステアリングが安定し、また不必要な作動油の供給によるエネルギーロスや作動油温度の上昇も併せて防止できる。
【0048】
そして、このようなポンプ流量制御において、カムリング5の偏心量は第1の流体圧力室31と第2の流体圧力室32の圧力バランスにより変動するが、本発明では特に特徴となる構成として、第2の流体圧力室32に可変オリフィス25の上流圧と下流圧の中間圧が導入されるようになっている。したがって、第2の流体圧力室32の圧力は、可変オリフィス25上流圧にも直接的に依存するので、第2の流体圧力室32に流体室27の圧力(可変オリフィス25の下流圧)のみを導入した場合と比較して、負荷圧変動による流体室27の圧力変動の影響を受ける割合は少ない。よって、カムリング5の動作は安定し、安定したポンプ流量特性を得ることができる。
【0049】
また、この場合、第2の流体圧力室32へ可変オリフィス25流の圧力を導入する環状隙間61は、制御プランジャ21とは分離されたフィードバックピン61と貫通穴3aの間に形成されるものであるので、環状隙間61の開口面積は、制御プランジャ21の組み立て誤差による制約を受けることはなく設定できる。したがって、環状隙間61によるダンピング効果を適切に設定でき、カムリング5の動作を適切に安定化させることができる。
【0050】
なお、上記の実施の形態では、可変オリフィス25を制御プランジャ21の基端側エッジ21bで開閉するようにしたが、本発明はこのような形態に限られるものではなく、例えば、制御プランジャ21の側面に可変オリフィス25と重なり得るように穿孔を形成し、可変オリフィス25がこの穿孔と重なる部分を、可変オリフィス25の開口面積とするような形態を採ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】同じく断面図である。
【図3】同じく制御バルブの一部を示す断面図である。
【図4】従来の可変容量型ベーンポンプを示す断面図である。
【符号の説明】
1 ハウジング
4 ピン
5 カムリング
6 ロータ
8 駆動軸
11 ベーン
12 ポンプ室
18 吐出ポート
19 吸込ポート
20 プラグ
20a シリンダ穴
21 制御プランジャ
21a プランジャ中空部
21b プランジャ基端側エッジ
22 スプリング
25 可変オリフィス
31 第1の流体圧力室
32 第2の流体圧力室
40 制御バルブ
41 スプール
42 シリンダ
44 リターンスプリング
45 低圧流体室
46 ドレン流体室
47 高圧流体室
60 フィードバックピン
61 環状隙間
62 オリフィス

Claims (2)

  1. 駆動軸に対して偏心可能なカムリングと、
    このカムリングの内側に収容され前記駆動軸を中心に回転するロータと、
    このロータ外周に伸縮自在に備えられた複数のベーンと、
    これらのベーンの間に画成された吐出側ポンプ室からの作動流体を外部の油圧機器へ供給する吐出ポートと、
    前記カムリングの両側に形成された第1と第2の流体圧力室と、
    前記吐出側ポンプ室と前記吐出ポートとの間に設けられた可変オリフィスと、
    前記第1の流体圧力室に前記可変オリフィス上流圧を導入する第1の圧力導入手段と、
    前記第2の流体圧力室に前記ロータ回転数に応じた圧力を導入する第2の圧力導入手段と、
    前記カムリングの前記第2の流体圧力室側への動作に追従して収縮して前記可変オリフィスの開口面積を狭める制御プランジャと、
    この制御プランジャを前記カムリング側に付勢する付勢手段と、
    を備えた可変容量型ベーンポンプにおいて、
    前記第2の圧力導入手段を、前記可変オリフィス上流圧を前記第2の流体圧力室に導入する第1の絞り手段と、前記可変オリフィス下流圧を前記第2の流体圧力室に導入する第2の絞り手段とから構成したことを特徴とする可変容量型ベーンポンプ。
  2. 前記第1と第2の流体圧力室は前記カムリング外周とアダプタリングとの間に画成され、前記制御プランジャと略同軸上にフィードバックピンを備え、このフィードバックピンを前記アダプタリングに形成した貫通穴に貫通させ、前記フィードバックピンの一端を前記制御プランジャに当接させ、他端を前記カムリングに前記第2の流体圧力室側から当接させるとともに、前記第の絞り手段を前記フィードバックピン外周と前記貫通穴の間に形成された環状隙間から構成したことを特徴とする請求項1に記載の可変容量型ベーンポンプ。
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