JP3797229B2 - 薄膜半導体の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は絶縁体上に形成される薄膜トランジスタ、液晶表示装置の表示画素または液晶駆動回路構成素子として利用される薄膜トランジスタを製造する製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多結晶シリコン等の半導体は薄膜トランジスタ(以下TFTとする)や太陽電池に広く利用されている。とりわけ多結晶シリコン(p−Si)TFTは高移動度化が可能でありながらガラス基板のような透明で絶縁性の基板上に作成できるという特徴を活かし、液晶表示装置(LCD)や液晶プロジェクタなどの光変調素子あるいは液晶駆動用内蔵ドライバーの構成素子として広く用いられ、新しい市場の創出に成功している。
【0003】
ガラス基板上に高性能なTFTを作成する方法としては、最初に高温プロセスと呼ばれる製造方法が実用化に至った。この高温プロセスとはTFTの製造方法として工程最高温度が1000℃程度の高温を用いるプロセスの一般的な呼称である。高温プロセスの特徴は、シリコンの固相成長により比較的良質なp−Si膜を作成することができることと、熱酸化により良質なゲート絶縁膜(一般的に二酸化珪素(SiO2))および清浄なp−Si膜とゲート絶縁膜の界面を形成できることである。高温プロセスではこれらの特徴により、高移動度でかつ信頼性の高い高性能なTFTを安定的に製造することができる。しかし、高温プロセスを採用するに当たっては、TFTを作成する基板が1000℃以上の高温の熱工程に耐える必要があり、この要求を満たす基板としては石英ガラス基板しかない。このためこれまで高温プロセスによるp−Si TFTは総じて高価で小型の石英ガラス基板上に作成されており、コスト上の問題から大型化には向かないとされている。また、固相成長では十数時間という長時間の熱処理が必要であり、生産性が低いという課題がある。この方法では基板全体が長時間加熱されていることに起因して基板の熱変形が大きな問題と化し、実質的に安価な大型ガラス基板の使用は困難であるという課題が生じており、これも低コスト化の妨げとなっている。
【0004】
一方、高温プロセスが持つ前記欠点を解消し、尚かつ高移動度のp−Si TFTを実現しようとしているのが低温プロセスと呼ばれる技術である。比較的安価なガラス基板を使用するために、工程最高温度は概ね600℃以下のp−SiTFT製造プロセスを一般的に低温プロセスと呼ぶ。低温プロセスではp−Si膜の製造方法としてレーザー結晶化が広く使われている。レーザー結晶化とは、ガラス基板上のアモルファスシリコン膜に高出力のパルスレーザー光を照射することによって瞬時に溶融し、その冷却過程において結晶化する性質を利用する技術である。最近ではガラス基板上のアモルファスシリコン膜にエキシマレーザービームを繰り返し照射しながら走査することによって大面積のp−Si膜を作成する技術が広く使われるようになっている。ゲート絶縁膜にはプラズマCVDを用いた成膜方法で比較的高品質なSiO2膜が成膜可能となり、実用化へと至っている。これら技術の集合によって、現在では一辺が数十センチほどもある大型のガラス基板上にp−Si TFTが作成可能となり、量産が行われている。しかし、この低温プロセスにおいて問題となるのはレーザー結晶化したp−Si膜は高い欠陥密度を有しており、TFTの移動度を大きく左右する要因となることである。レーザー結晶化で発生する欠陥密度は特にレーザー結晶化におけるレーザー照射方法の制御に強く依存する。昨今の大型基板対応のレーザー結晶化装置では図2に示すようなライン状にレーザービームを整形し半導体膜にレーザー照射する方法が一般的になっている。これは液晶表示装置などの大面積基板上にp−Si膜を短いタクトタイムで形成するための実用性を最大限に重視したものである。特にこの場合には限られたパルスエネルギーしか発生できないレーザービームの長尺方向の長さ201を確保するために短軸方向のビーム幅202は数10μmから数100μmと大変狭くなっている。このラインビームを図2中の矢印(203)方向のように移動させながらパルス照射する方法がとられている。ただし、各パルスの照射領域に境目が発生すると結晶性ばらつきの原因となるため、通常パルス毎の照射領域を90%程度互いにオーバーラップさせながら走査することによってレーザー照射を行う。このため、レーザー結晶化装置では基板上の半導体膜とライン上に集光したレーザービームの位置をレーザー照射パルス毎に相対的に数μmから数十μmという高い精度でずらしながら基板全面の結晶化を行うのである。
【0005】
レーザー結晶化はシリコン薄膜をパルスレーザーによってごく短時間に加熱し、同薄膜が融点以上で溶融した後、冷却過程で結晶化する性質を利用したものである。通常このレーザー結晶化は不純物の膜中への混入防止や表面状態制御のため真空雰囲気下にて行われるが、前述のようにシリコン膜が融点に達するわけであるから、シリコン膜の温度は1000℃以上に上昇している。真空中にてこのような処理を行うと熱エネルギーを有するシリコン原子やクラスターが膜表面から離脱する。溶融時間はせいぜい数100ナノ秒の短時間であるから離脱するシリコンの量は微量であるが、前述のように高い重ね率、多数回のレーザー照射によって、大面積のシリコン薄膜の結晶化を行う量産装置ではレーザー導入窓に前述の熱脱離したシリコンが付着し、レーザー光の透過率を次第に変化させてしまうという問題がある。窓に付着したシリコンは微量でも紫外光に対する光学的影響は甚大で、例えば300mmX300mmの基板を10枚程度処理すると透過率が10%程度低下してしまう。レーザー結晶化の最適エネルギー条件はわずか3〜5%の範囲しかないため、経時的にレーザー結晶化p−Siの膜質が変化してしまう。そのため、処理の合間には前記レーザー導入窓を外し、その表面を研磨し、透過率を回復させる必要がある。
【0006】
この問題を回避するため従来技術としては特開平11−26393がある。これは図1に示すようにレーザー光導入窓にガスを吹き付けながら処理を行うことによって、シリコン粒子の付着を防ぐものである。しかしながら前述のように熱速度で飛来してくる粒子は通常の装置構造における窓までの距離である10cm程度をわずか数μ秒で通過してしまう。減圧下においてガスを圧力によって吹き付ける程度では、その衝突確率は極めて低くほとんど効果が望めないのが実状である。
【0007】
このため照射レーザー光の実効的エネルギー密度が経時的に変化してしまい、結晶化膜の品質のばらつきを招き、歩留まり低下の原因になっている。また装置のメンテナンスに要する時間が長くなり、稼働率低下ひいては製造コストを引き上げることになってしまうのである。
【0008】
【発明が解決しようとする問題】
本発明は前記の諸課題を鑑みて、真空雰囲気下でエネルギー光を利用した熱処理を行う半導体製造装置で問題となる光導入窓の透過率変化を低減し、特にレーザー結晶化p−Si膜のばらつきを抑え、高い稼働率を有する半導体製造装置および薄膜半導体の製造方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明では、容器内の薄膜半導体にエネルギー光を照射することにより熱処理を行う薄膜半導体の製造装置において、該容器は光導入窓を備えた光導入室と、光導入室とはゲートバルブによって分離され被処理半導体基板を保持する光照射室とからなることを特徴とする。ここで光導入窓とは前記半導体に照射する光を透過させる窓である。従って照射する光の波長において比較的高い透過率を持つ材料によって形成される。
【0010】
また本発明において前記容器内は減圧雰囲気にすること、及び任意のガスを導入することが可能であることを特徴とする。
【0011】
従って、大気状態に比べより清浄な雰囲気において被処理物を処理することが可能となる。さらに、前記光導入窓へのデポ物の付着を比較的防止する効果がある。
【0012】
さらに本発明において、前記光導入室は、前記光照射室とは別に排気系を有し、前記ゲートバルブによる分離後も真空度の制御が可能であることを特徴とする。
【0013】
その上で本発明において、前記光導入室に備えられた前記光導入窓は、その光導入室側の表面に、被処理物から熱脱離した粒子を付着させる透光性の物質(本願ではこれをデポ物付着体と称する)が備えられていることを特徴とする。
【0014】
本発明における、前記デポ物付着体は、前記光導入窓よりも薄いことを特徴とする。
【0015】
また本発明における前記デポ物付着体は、紫外線の透過率を80%以上有する材質からなることを特徴とする。このデポ物付着体についても、光導入窓と同じく前記半導体に照射する光が通過するため、照射する光の波長において高い透過率を持つ材料であることが望まれ、後述する様に、該光としてはその波長が紫外線領域であることから、紫外線に対する透過率の高さが重要となる。
【0016】
その上で、本発明における前記デポ物付着体は、石英であることを特徴とする。若しくは、透光性アルミナ(Al2O3)であることを特徴とする。若しくは、透光性セラミックスであることを特徴とする。若しくは、耐熱性紫外線透過フィルムであることを特徴とする。
【0017】
更に本発明において、前記デポ物付着体は、支持機構により、前記光導入窓に固定されていることを特徴とする。ここで支持機構としては、光導入窓を固定する金属製のフレームであって、このフレームの下部分と光導入窓の間にデポ物付着体を挟み、更にその上にフレームの上部分を載せ、ネジにより締め込む構造となっている。
【0018】
前記課題を解決するため、本発明では、前記薄膜半導体へのエネルギー光照射処理の終了後、前記ゲートバルブを閉じ、光導入室と光照射室を分離した後、前記光導入窓を外し、前記デポ物付着体の交換を行うことを特徴とする。つまり、溶融した被処理半導体膜が付着し、汚れたデポ物付着体を、都度交換していくことによって、透過率を安定させようというものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による実施の形態の一例を図4に基づいて述べる。
【0020】
はじめに半導体膜(403)について説明する。本発明が適用される半導体膜としてはシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)等、四族単体の半導体膜の他に、シリコン・ゲルマニウム(SixGe1−x:0<x<1)やシリコン・カーバイド(SixC1−x:0<x<1)、ゲルマニウム・カーバイド(GexC1−x:0<x<1)等の四族元素複合体の半導体、ガリウム・ヒ素(GaAs)やインジウム・アンチモン(InSb)等の三族元素と五族元素との複合体化合物半導体膜、またはカドミウム・セレン(CdSe)等の二族元素と六族元素との複合体化合物半導体膜がある。あるいはシリコン・ゲルマニウム・ガリウム・ヒ素(SixGeyGazAsz:x+y+z=1)といった更なる複合化合物半導体膜やこれらの半導体にリン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)などのドナー元素を添加したN型半導体膜、あるいはホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)等のアクセプター元素を添加したP型半導体膜に対しても本発明は適応可能である。これら半導体膜はAP−CVD法やLP−CVD法、PE−CVD法等のCVD法、あるいはスパッタ法や蒸着法等のPVD法で形成する。半導体膜としてシリコン膜を用いる場合、LP−CVD法では基板温度を400℃程度から700℃程度としてジシラン(Si2H6)などを原料として堆積する。PE−CVD法ではモノシラン(SiH4)などを原料として基板温度が100℃程度から500℃程度で堆積可能である。スパッタ法を用いれば基板温度は室温から400℃程度で可能である。この様に堆積された半導体膜の初期状態(as−deposited状態)は非晶質や混晶質、微結晶質、あるいは多結晶質等様々な状態があるが、本願発明にあたり、初期状態はいずれの状態であっても構わない。なお本願明細書中では非晶質の結晶化のみならず、多結晶質や微結晶質の再結晶化をも含めて総じて結晶化と呼ぶ。半導体膜の膜厚はそれをTFTに用いる時には20nm程度から100nm程度が適している。
【0021】
下地絶縁膜(402)と半導体膜(403)を形成した後、この半導体膜をレーザー照射することによって結晶化する。通常LP−CVD法、PE−CVD法等のCVD法で堆積させたシリコン膜表面は自然酸化膜が成長している。従ってレーザー光を照射する前に、この自然酸化膜を除去する必要がある。この方法としてはフッ酸溶液に浸漬してウエットエッチングする方法や、フッ素ガスを含んだプラズマ中におけるドライエッチング等がある。
【0022】
次に半導体膜のついた基板をレーザー照射チャンバー(405)にセットする。レーザー照射チャンバーには、一部分に開口部があり、ここへ石英からなる光導入窓(415)をはめ込んだ金属フレームを取り付ける構造となっている。チャンバーを真空に排気した後、この光導入窓からレーザー光を照射する。また、この光導入窓は、これ自体も真空チャンバーの構成部位であるから、真空状態に耐えうるべく、十分な強度が必要であり、その厚さは2cm程度となる。
【0023】
照射されたレーザー光は半導体膜(403)表面で強く吸収され、その直下の絶縁膜(402)にはほとんど吸収されないことが望まれる。従ってこのレーザー光としては紫外域またはその近傍の波長を持つエキシマレーザー、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー高調波等が好ましい。また半導体膜を高温に加熱すると同時に基板へのダメージを防ぐためには大出力でしかも極短時間のパルス発振であることが必要となる。従って前記レーザー光の中でも特にキセノン・クロライド(XeCl)レーザー(波長308nm)やクリプトン・フロライド(KrF)レーザー(波長248nm)等のエキシマレーザーが最も適している。
【0024】
次にこれらレーザー光の照射方法について図3にそって述べる。レーザーパルスの強度半値幅は10ナノ秒程度から500ナノ秒程度の極短時間である。レーザー照射は基板(300)を室温(25℃)程度から400℃程度とし、背景真空度が10−4Torr程度から10−9Torr程度の真空中にて行う。図3に示すように、照射領域形状を幅100μm程度(302)以上で長さが数10cm以上のライン状(301)とし、このライン状レーザー光を走査して結晶化を進めても良い。この場合照射毎のビーム幅方向の重なり(303と304の重なり)はビーム幅(302)の5%程度から98%程度とする。ビーム幅が300μmでビーム毎の重なりが95%であれば、一回の照射毎にビームは15μm進むので、同一点は10回のレーザー照射を受けることになる。通常半導体膜を基板全体で均一に結晶化させるには少なくとも5回程度以上のレーザー照射が望まれるので、照射毎のビームの重なり量は80%程度以上が求められる。高い結晶性の多結晶膜を確実に得るには同一点が10回程度から50回程度の照射が行われる様に重なり量を90%程度から98%程度へと調整することが好ましい。
【0025】
引き続き図4を用いるが、特に光導入窓(415)とデポ物付着体(420)そしてこれらを固定する上フレーム(421)と下フレーム(422)については、その部分を拡大して示している。
【0026】
この図4において、高い重ね率でレーザー照射を繰り返しても光導入窓(415)の光透過率が低下しないように本発明の半導体製造装置では真空容器(405)はゲートバルブ(441)によって光導入室(442)と光照射室(443)の2室に分離される。ゲートバルブを開いた状態で真空中に設置された基板(401)上のシリコン膜(403)にレーザー照射を行う。一連のレーザー照射が終了した後、ゲートバルブ(441)が閉まり光導入室は光照射室と分離される。この後、光導入室は大気解放され、光導入窓(415)とデポ物付着体(420)の一式を取り外す。このデポ物付着体は、光導入窓に沿わせた上で、その上下を金属フレームで挟み、締め込む構造となっているので、容易に脱着が可能である。ここで、図4拡大部にも示す様に、デポ物付着体は、光導入窓に比べ薄く、真空を保持し得るほどの強度は有していない。そこで、真空の保持は光導入窓とO−リング部(424)において受けるものとし、デポ物付着体は真空中に浮いた状態の構造であることが必要となる。
【0027】
この様に、汚れたデポ物付着体を取り外し、別に用意した新しいデポ物付着体へと交換することで、すぐにも新たなレーザー結晶化処理に備えることが可能である。
【0028】
デポ物付着体としては、例えば石英ガラス基板が利用可能であり、取り替えられたデポ物付着体の石英ガラス基板であれば、希フッ酸溶液に浸漬することで、その表面ごとわずかにエッチングされ、付着したシリコンは取り除かれるため、何度かは使用することが可能である。
【0029】
ここで石英ガラス基板に用いられる様な合成石英であれば、前記した波長300nm前後のエキシマレーザーに対し、92%程度の透過率がある。
【0030】
従来例の様な真空チャンバーの構造体でもある石英窓そのものを交換し、研磨を行うのと違い簡便である。また、エッチングや研磨を行うことで、石英の表面は傷つき、透過率も低下してくるが、同じ石英であってもデポ物付着体としての石英薄板の方が遙かに安く、経済的である。
【0031】
他にも、透光性アルミナ(Al2O3)や、透光性セラミックスといったものがデポ物付着体として使用可能であるが、いずれも波長300nm前後のエキシマレーザーに対し、85%程度の透過率があり、1000℃程度の高温に対しても透過率の低下を示さない。この様な透光性セラミックスとしは、YAG(Y3A5G12)系材料のものも使われており、石英にも劣らない透光性と耐熱性が得られている。
【0032】
また紫外線をよく透過し、耐熱性を有する部材としては、有機系化合物などがあるが、耐熱性とは言っても、溶融したシリコンの1000℃近い温度までの耐性は持ち得ない。そのため、これらを用いる時には使い捨てで、逆に汚染元とならぬ様、わずかな処理毎に交換していく必要がある。
【0033】
従来の例ではレーザー光導入窓のメンテナンスに長い時間を要し、高価な光導入窓を多数枚使用するなど、ランニングコストを高止まりにする原因となっていたが、本発明の方法により稼働率の向上と、ランニングコストの低減が可能となる。また品質面においても、導入窓の透過率変動を少なく抑えることが可能となり、安定なレーザー照射が可能となる。ひいては安定して高品質なp−Si膜の作成が可能となる。
【0034】
【実施例】
本発明の実施例をあらためて図4を用いて説明する。本発明で用いる基板および下地保護膜に関しては前記の説明に準じるが、具体的には基板(401)として汎用無アルカリガラス基板を用いる。基板(401)上の下地保護膜は成膜温度400℃としてPE−CVD法にて500nm程度の膜厚を有するSiO2膜(402)を堆積する。次に高真空型LP−CVD装置を用いて、原料ガスであるジシラン(Si2H6)を200SCCM流し、425℃の堆積温度にてアモルファスシリコン膜(403)を50nm堆積する。次にこのアモルファスシリコン膜にエキシマレーザー光(416)を照射し結晶化を行う。このレーザー結晶化装置は真空容器(405)の中にX−Yステージ(407)を有し、この上部に基板ホルダ(406)がある。この基板ホルダに前記の基板(401)を設置する。X−Yステージ(407)はボールネジ(408)の回転によって移動し、このボールネジはパルスモータ(409)によって駆動される。1X10−6Torrの真空中でレーザー照射をしながら基板(401)を移動させ、基板全面のシリコン薄膜を結晶化させる。結晶化が終了すると同時にゲートバルブ(441)が閉まり、結晶化させた基板はすぐさま真空ロボットにより隣接する搬送室(図中略)への搬出作業に入る。ゲートバルブを閉じた後、光導入室(442)は大気解放され、光導入窓(415)とデポ物付着体(420)の一式を取り外す。デポ物付着体は厚さ1.1mmの石英ガラス基板であり、これを別に用意しておいた新しいものと交換する。その後、この一式を元の状態にセットし、真空引きを行う。光導入室の大きさは光照射室に比べ狭いため、真空引きに要する時間は短く済み、適当な真空度に到達した時点でゲートバルブを開けることで、次のレーザー照射の準備が整う。
【0035】
また、交換した後の石英ガラス基板は、3%程度の希フッ酸溶液に浸漬することで、その表面ごとわずかにエッチングされ、付着したシリコンは取り除かれるため、再度使用することが可能である。
【0036】
【発明の効果】
従来の技術ではレーザー導入窓の透過率変化により結晶性シリコン膜の特性にばらつきが発生すると共に、装置稼働率の低下によるスループットの低下が問題となっていた。しかし、以上述べてきた様に本発明の半導体製造装置および薄膜半導体の製造方法を用いることによって、レーザー導入窓の透過率変動を少なく抑えることが可能となり、結晶性シリコン膜の特性の均一性を向上することができると共に、装置の稼働率向上によって高スループットを持つ製造装置を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の装置の説明
【図2】レーザー結晶化時のレーザービーム
【図3】レーザー結晶化時のライン状レーザービーム照射方法
【図4】本発明の半導体装置を示す図
【符号の説明】
101 基板
102 下地絶縁膜
103 半導体膜
106 石英窓
107 レーザー光
108 ガス吹き付けノズル
110 結晶性半導体膜
415 光導入窓
420 デポ物付着体
427 光導入室の真空引きポート
Claims (3)
- 容器内の薄膜半導体にエネルギー光を照射することにより熱処理を行う薄膜半導体の製造装置において、
該容器は光導入窓を備えた光導入室と、光導入室とはゲートバルブによって分離され被処理半導体基板を保持する光照射室とからなり、
前記光導入窓の光導入室側の表面には、光導入窓より薄く、光導入窓とは別体とされた透光性デポ物付着体が、支持機構により前記光導入窓に固定されており、
さらに、前記光導入窓および前記透光性デポ物付着体は前記容器から取り外し可能に設けられていることを特徴とする薄膜半導体製造装置。 - 前記光導入室は、前記光照射室とは別に排気系を有し、前記ゲートバルブによる分離後も真空度の制御が可能であることを特徴とする請求項1記載の薄膜半導体製造装置。
- 前記デポ物付着体は、紫外線の透過率を80%以上有する材質からなることを特徴とする請求項1または2記載の薄膜半導体製造装置。
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